2021.01.15
       北九州市と福岡市の感染対策の比較を12月7日まで行ったのであるが(論文 参照)、その後、第3波に対して、北九州市での積極的PCR検査が見られたので、1月10日までのデータを追加した。分類された各陽性者の総数を表にした。ここで、北九州市(2)というのは、発症記述の無いデータの解釈方法を変えたものである。というのも、12月8日以降のデータには患者の経過報告が一切無いので、備考を頼りにして濃厚接触者を全て無発症者として解釈すると、無発症者があまりに多く推定されてしまい、濃厚接触者についても殆どが発症日を記載している福岡市との比較という意味ではあまりに不公平になってしまうからである。そこで、発症していることが確実なケースのみ11ケースを無発症者と判断し、他は発症有無不明としたのが北九州市(2)である。こうすると、以下の推定に大きな振れ幅が出来てしまうが、致し方ない。
  福岡市  北九州市 北九州市(2) 
 発症日有り  5572  338  338
 発症日不明発症者  60  8  8
 無発症者  143  815  11
 発症有無不明  599  509  1323
 総数  6374  1670  1670
      感染状況は下図に示した。第3波に対しても、福岡市と北九州市の検査方針の差が明確である。福岡市は発症後に検査を行っており、北九州市は発症前に検査を行っている。おそらく、今後の終息は北九州市が早いであろう。これに対して、福岡市は指数関数的に感染者が増加しており、殆ど何の対策も行っていないことが判る。

検査遅れ分布は福岡市と北九州市であまり変わらない。遅れ平均は、福岡市、北九州市で、それぞれ、4.8日、4.6日である。

    無発症者数の内、どれくらいがその後発症するか、つまり未発症者数はどれくらい居るかということについては、文献から比率の推定分布を求める。その推定分布を元にして、そもそもどれだけ無発症者数があるかについては、各ケースにおける、無発症者数が最小見積もりで、無発症者数+発症有無不明者数が最大見積もりとなる。この間は均一分布とする。下図にそれを示した。この分布に95%が入るようにして、未発症者数の最小見積もりと最大見積もりを決める。下図太線の両端がそれである。

      未発症者については、検査の何日後に発症したか、というデータは無いので、1日後と2日後と仮定して、検査・隔離による再生産数の低減比率を計算したのが、下図である。

発症有無についての情報が開示されていないので、北九州市の2ケースが大きく異なるのであるが、おそらく実態はこれらの中間程度と思われる。

 
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