暑い中、今日は中央図書館に行って平田篤胤の本を借りてきて、帰りにEDIONに寄って、そのまま平和公園の中を歩いて、時々木陰のベンチで休みながら、国際会館のフェニックスホールに辿り着いた。

    広大付属中高のオーケストラの定期演奏会である。満員であった。700人くらいだろうか?ほとんどが父兄と家族という感じであった。まあ無料だし、学芸会みたいなものなのだが、演奏は素晴らしかった。決して上手いというのではない。実際ソロになると表現力不足が目立った。しかし、全体演奏でのバランスのとり方や掛け合いのタイミングやらで、統一感があって、演奏として訴えるものがあった。余程練習したのであろう。

      前半は校歌で始まった。何となく記憶にある感じ。結構ダイナミックである。次は「ウィリアムテル序曲」から最後の「スイス軍の行進」、ここまでは高校生の指揮である。なかなかやるなあ、という感じ。それから、ミュージカルの「レミゼラブル」からと「ライオンキング」からの抜粋編曲で、これは編曲と指揮が顧問の原先生であった。「ライオンキング」では数少ない男生徒たちがジャングルの雄叫びを上げて盛り上がった。

      後半は何とベルリオーズの「幻想交響曲」である。よくもまあやる気になったものだ。大変な技術的困難があったと思うが、5つの楽章それぞれに訴えるものがあって、興味深く聴かされた。第3楽章ではオーボエ奏者がイングリッシュホルンに持ち替えて舞台の外に出た他のオーボエ奏者と対話をする。なかなか堂に入っていた。最後の楽章は「サバトの夜の夢」ということで悪魔の踊りが面白かった。名前は聞いているが実際に曲を聴くのは初めてであった。面白い。録音すればよかった。今度CDで聴いてみたいと思う。

      アンコールは「のだめ」調で楽しくやっていた。団員はざっと100人くらい。ほとんどが女生徒である。一学年200人くらいだろうから、中1、2、3、高1、2で5学年あって、1000人くらいとして、その1割がオケのメンバーということになる。クラシックがこんな風に根付いているのだと思うと奇妙な感じすらする。客層が何となく上品なところがいかにも付属らしい。音楽をやらせるだけの家庭環境にも恵まれているのであろう。僕は知り合いに会えるかと思ったが世代が一つ若い感じである。生徒達はもう僕との関係では孫の世代なのである。まあ、若いということは素晴らしい。原先生も困難を乗り越えていく度に急成長していくと言っていた。ただ、僕としては、何となく霊界から現世を見ているような気分だったので、多少哀しみを感じた。
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