1週間前から観始めた「愛の不時着」を今日は最後まで観た。ユン・セリを北朝鮮に拉致しようとするチョ・チョルガンと守ろうとするリ(李)・ジョンヒョクの決戦は韓国の警察との三つ巴の中で決着して、国家情報局の捜査や北朝鮮との取引もあり、最後は何ともこそばゆいハッピーエンド(スイスでの再会)であった。最終話は長くて、早回ししたかったが、出来なかった。
全編通してあらためて思ったことは「無償の愛」、というか「愛」とはかくも無償のものであり、また自己犠牲を厭わないものである、ということ。(「愛」の反対語は「打算」である。)それは通例家族内のものであるが、共同体内、更には友情、男女間でも見られる。男女間の愛はとりわけ成り行きと偶然に左右される。そして、主人公リ・ジョンヒョク中隊長の愛はそれを体現している。こういう徹底した愛は女心を捉えるだろうなあと思う。また、彼の行動には確かに共感できるところもあって、見た後しばらくは、しばし彼の表情や姿勢を真似している自分に気づく。中島みゆきの「空と君との間に」でも「君が笑ってくれるなら、僕は悪にでもなる」というのがある。愛というのはそれほどにも単純な原理で、考えてみれば人の社会というのは多少ともこういう心がないと維持できないのではないだろうか?政治というのは本来はそれをうまく調整する技術ではないだろうか?このドラマは「愛」を極度まで強調して判りやすくしてあるのだが、日常生活の中で小さな「愛」はその気になれば結構見つけられる。
それに対して、ユン・セリは幼い頃から「愛」を知らず、徹底した功利の世界で生きてきたのだが、北朝鮮に不時着したことで、初めて無償の愛に遭遇して、少しづつ変わっていく。筋立てとしてはあまりリアリティを感じなかったが、コメディ・タッチで楽しめたし、脇役たちの演技はそれぞれ素晴らしかったと思う。
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