先週の日曜日に東図書館で借りた「フルート、フルート」吉倉弘真(大河出版)はなかなか参考になった。

喉を広げるというのは口の奥のことであって、これは共鳴を助ける為であるが、声帯の近傍はむしろ空気圧を蓄えておくために締めておくことが多いということである。初心者にはそれが出来ないので空気を無駄に使ってしまうということである。制御は喉と唇の共同作業である。

息を吐く力は横隔膜ではなくてもっと下の筋肉である。咳をするときの筋肉で、おへその下の方にある。所謂ハラである。

発音のメカニズム研究についても詳しく述べられていて、高音域では空気速度はあまり変わらず、唇とエッジの間の距離が縮まる事で周波数が上がる。唇からでた空気は広がりながら上下に波打つ訳であるが、その周期は唇から離れるほど長くなるし、周波数も低くなる。従ってエッジに近づければ周波数が上がる。一方で歌口の隙間は狭まるから有効共鳴管長は長くなり、共鳴周波数は低めになる。高音域では倍音の周波数は上がり気味になるから、うまくバランスするのである。

このような調整をスムースに行うためには、唇をめくった状態ではまずい。むしろ唇は自由にして支点から離れていたほうが良い。すなわち歌口の手前には下唇を押し付けるのではなくて、下唇の下の窪みをしっかり当てて、そのかわり下唇は横に引いて歯の先端より下げて、上唇を前に出して空気の出口を手前に持っていくようにする。こうすればちょっとした顎の出し入れで唇の空気出口とエッジとの距離を変えることが出来る。音色を変える時にはエッジと空気流の中心のズレ量を変えればよい。特に内側にズラすと低音で息の量を大きくできる。もう一つの要素は口腔内容積である。頬を弾いて音の高さを確認することが出来る。あくびをするくらいがよい。

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