「フルート演奏の秘訣(上)(下)」ミシェル・デボスト(音楽之友社)も参考になる。

アンブシュールと呼吸については同じ事を言っている。特に空気圧の制御は例えば咳をするときのような発音とか、座っていて急に立ち上がるときの筋肉の使い方ということである。

また、指使いについての考えが面白い。正規の指使いに拘るべきではなく、無関係なキーは楽器を安定に支えるために使ってはどうかということである。また右手小指を常に押さえておくことは必ずしも楽器の安定性を保証しないし、かえって邪魔になることもある。特に必要が無ければ離したままで良い。楽器を支えるのは左手の人差し指の付け根であり、これを下唇の下と右手親指で押し付けてバランスを取る。

音程の跳躍で失敗する原因は腹部の準備不足と楽器の安定性不足の二つが考えられるという事である。後者は案外な盲点である。(左手の人差し指を除いて)キーは押すときよりは上げるときが鈍いから注意しないとどこかのキーが遅れている事がある。

この本は曲の解釈についてもいろいろと書いてある。アルファベット項目別になっていて著者の合理主義を反映している。手元に置いてちょっと疑問に思った項目を見て実践してみるという使い方である。

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