2017.07.13
夕方から出かけて、エリザベト音大で「フルート・フルート&ピアノ」を聴いてきた。ザビエルホールが結構満席に近かった。広響の首席奏者の森川公美とエリザベト音大講師の熊谷美保でピアノは戸梶美穂。この2人のフルーティストは広島在住者としては最高レベルなのかもしれない。曲目は、まあこの編成では仕方ないのだが、かなりマニアックであるから、あまり楽しいものではない。もっぱら技術的な関心で聴いていた。

・・・前半は全員でのテオバルト・ベーム(現在のフルートの発明者)による「メンデルゾーンとラハナーの主題による3つの二重奏曲」Op.33、F&K.ドップラーの「ハンガリーの主題による幻想曲」Op.35。いずれもなかなか良かった。さすがに歯切れがよくて、一糸乱れぬ調和である。森川さんは白いセラミック(だと思う)の頭部管で、ちょっと荒目に感じるくらいの力強く鋭い音で、なかなか出せるものではないなあと感心した。熊谷さんのは澄んだ感じの鋭い音である。これもなかなか得難い音。

・森川さんのソロはフェルーの「フルートソロの為の3つの小品」で、当時のフランスの東洋趣味を反映した中国風の曲で、なかなか面白かった。

・・・後半にやっとよく知っている曲、J.S.バッハの「無伴奏フルートの為のパルティータイ短調」BWV1013 を熊谷さんが演奏した。そつのない演奏。バッハを吹いて人に聴かせるのはなかなか難しいものだと思った。誰もが吹くものだから、超一流の幾人かの演奏が頭に入ってしまうと、どうしても比較してしまう。思い切ってテンポを崩して、語るように演奏すれば面白いのに、と思ったが、これも勇気が要るだろう。

・ピアノソロでのラフマニノフの「楽興の時」Op.16-1 はいかにもラフマニノフらしく情緒連綿としていたのが印象的。

・ボワモルティエの「2本のフルートの為の6つのソナタ」Op.47-1 は珍しくピッコロ2本の演奏でちょっとびっくりした。森川さんはピッコロもセラミック頭部管である。さすがに巧い。

・最後はF&K.ドップラーの「リゴレット幻想曲」Op.38 で華やかに締め括った。

・アンコールはベームの曲の最後の章。

・・・3人が交替で MC をやったのだが、森川さんだけが長々とよく喋って、他の2人は原稿を棒読みという対照も面白かった。

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