福山のリーデンローズホールでフルートフェスティバルに出演した。2か月程毎週日曜日に練習し、金曜日と土曜日には福山組も広島に来て、夜間、指揮の甲斐雅之先生(N響の首席フルート)の指導を受けた。総勢140名で、これだけ集まるとフルートでも相当迫力がある。僕は後ろの方なので比較的気楽である。フォルテの処だけは集中してしっかり吹くように心がけた。あとはテンポの変化とか休みの間の小節のカウントに注意した。

      最初の「こうもり序曲」はプロと学生だけの演奏。細かいニュアンスが良く出ていて素晴らしかったと思う。次の2曲はその中のアリアで、我々アマチュアが吹いていたのでよく判らないが、まあまあ調子よかったかな、と思う。このオペラはあまり聞いた事がなかったのだが、なかなか変化に富んでいて楽しい。またじっくり聞いてみようと思う。

      次のプロアマ合同演奏「モルダウ」の前に恒例の楽器紹介があった。今回ホールが大きいので音が良く聞こえるように、急遽ダブルコントラバス(3オクターブ低い)では音の一番大きい根石さんがデモ演奏をした。「水戸黄門」のテーマで、なかなか印象的だったのではないだろうか?

      その根石さんが僕の隣だったので、迫力ある低音を聞いて楽しかった。つられて一生懸命低音を吹いていたら貧血気味になって慌てた。練習ではこんなことは無かったのだが。ともあれ、この曲はなかなか良かった、最初のソロの処でちょっと食い違いがあったらしいが、僕たちが入る頃には大波に押し流されるように全てが正常化していた。ヴルタヴァ川の水源から始まって川となり、途中に村祭りの踊りとか月の光とかが出てきて、大きなうねりもあり、急流もありで、描写的にに出来ている。考えてみれば音楽というのはどんどん流れていく。どんなトラブルも苦しみもあっという間に過去のものとして印象だけを残して薄れてしまう。こういう時間の流れ方というのは日常生活には無い。音楽が慰めになるというのはそういうメカニズムに拠るのではないだろうか、と思った。

      後半最初はプロと学生のフルートオケを従えて甲斐先生のソロでタファネルの「魔弾の射手ファンタジー」という名曲かつ難曲。これはリハの時に客席で聞いていたのだが、素晴らしかった。ホールの響きも良かった。その響きを楽しむかのようにバッハとモーツァルトの宗教曲があって、最後は合同でディズニーの曲を8曲並べた。楽しかったとは思うが20分以上もかかり、長すぎたようである。アンコールは天国と地獄からの「ギャロップ」で僕にとっては一番きつい曲であった。最後に「ふるさと」の合唱でお仕舞い。今回は聞きに来てくれた旧友と旧交を温めたので、打ち上げはパスした。
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