今日は天皇誕生日である。天皇陛下が豪雪での雪かきに苦労しているお年寄りの話をした。戦争を二度としてはいけないとも。あまり政治の話は出来ないのだろうが、現政権に不安を抱いているのだろうと思う。

      午後から、エリザベト音大までフルート科学生のフルートオーケストラ発表会を聴きに行ってきた。22名で、皆可愛い子ばかりで驚いた。これは一種の習慣なのだろう。こういう顔つきというか表情を無意識の内に覚えてしまう。つまり適応というべきだろう。

      それはともかく、最初の曲はボワモルティエの5本のフルートの為の協奏曲ニ長調Op.13、No.13で、まあ合奏の練習曲みたいな感じである。次は、グリークの組曲「ホルベーアの時代より」でバロック様式で前奏曲、サラバンド、ガヴォット、アリア、リゴドン。アリアだけはとても良かった。休憩のあとは3人のピッコロと4人のC管フルートで"7 O'Clock Train"という曲で面白かったが、やや雑。以上は熊谷美保さんが指導したらしい。

      最後に宮本美砂保さんが指揮で出てきて、シューベルトの未完成交響曲をやった。これはとても良かった。今までのが何だったんだろうと思わせるくらい。すっかり引き込まれてしまった。一人何となく似ている子が居たということもあるが、高校3年生の時の片思いの記憶が蘇った。ああいった感情は本当に今思うと何とも実体の無い浮ついたもので、その子に聖霊のような清らかな憧れだけがあって、およそ性欲というものとはかけ離れていた。しかし、それこそが自分の意思では何ともならない不可解な自我というものを意識させ、それによって引き起こされる不安を齎し、自己反省からその後の人生の方向にまで影響を与えたものであった。さて、この有名な曲を僕はあまり聴いた記憶がなかったから、比較はできないのだが、フルートだけで演奏されると、かえって曲の構造が明瞭に聴こえるのではないだろうか?普通のオーケストラでも聴いて見ようと思った。何しろ、同じ主題が何回も何回もしつこいくらいに出てきて、その間に様々な中間部が入ってくる。これだけやって退屈させないというのが正に作曲もであるが、それよりもむしろ演奏設計技術者としての指揮者の腕なんだろうと思った。アンコールは、4年生5人での、フルートコラールでよく演奏される胡桃割人形からの「葦笛の踊り」という有名な曲であった。ちょっと低音が弱かったが、可愛らしい曲であった。

<目次へ>  <一つ前へ>  <次へ>