2018.07.16
 ご招待を頂いて、昨日、広島中央合唱団の第53回定期演奏会を聴いてきた。僕は声学、特に合唱はどうも苦手なのだが、最近慣れてきたのか、楽しめるようになってきた。

・・プログラムの最初は、メンデルスゾーンのオラトリオ「エリア Op.70」の第2部で、第1部は去年やったそうである。指揮者の寺沢さんが丁寧に解説してくれてよかった。ちょっとバッハの曲みたいで、対位法が絡み合っていて、なかなか面白かった。

・・次は「歌い継ぎたい歌より」ということで、昔は学校でよく歌われていたという合唱曲を3曲。でも、僕は初めて聞いた。3曲共、身近な人の不幸を歌っている。平穏な序章と突然訪れた不幸の激動と諦めの終章という構成が共通している。「木琴」は戦争での被災によって失った子供を歌う。「親知らず子知らず」は津波で失った母子を歌う。「消えた八月」は原爆で失った僕と君。ピアノが印象的に情景を描き出していてなかなか感動的な仕上がりであったし、合唱での表現も研ぎ澄まされていた。よく歌いこんでいる感じ。

・・3曲目はドブロゴスと言う人の「Suite romantique」で淡い恋の歌。ちょっとジャズ調のピアノは山下雅靖さん。英語の歌なので、もう少し英語らしくダイナミックに歌った方がよかったかなあ、と思った。

・・最後は高野喜久雄という人の作曲で「内なる遠さ」。動物に仮託してそれぞれの生の深遠を語る。白鷺、かもしか、さる、蜘蛛、深海魚、である。詞がなかなか面白い。

・・こうやって並べてみると、僕の合唱の好みはマタイ受難曲のような劇的な表現にあるのかもしれない。

・・・なお会場の安芸区民文化センターは海田市駅の近くで、ここから先のJRは水害のため不通になっている。いつになく駅が込み合っていた。日傘をさして安芸区民文化センターに着くと、駐車場にはマイクロバス、テントもあって、支援物資も積み重ねてある。ここは水害被災地へのヴォランティア派遣センターになっていた。矢野や呉、坂、等々、数時間かかるようである。この暑い中、皆忙しそうに働いていた。敬服!


 
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