2018.08.08
NHK-BS『美しき海の墓場:トラック島』
      日本海軍には輸送船を直接護衛するという考えはなかった。海域を連合艦隊が守れば良いと考えていた。しかし、その網を潜って潜水艦が攻撃した。対策を建てようとすると連合艦隊の一部を護衛艦とせざるを得ない。これが許されなかった。連合艦隊はそれほどまでに神格化されていた。そこで、失われる輸送船を急造の船舶で補っていた。トラック島は日本海軍がアメリカ海軍との一か八かの戦いに備えて要塞化されていたので、危険を冒して物資を運んだ輸送船が多く居た。しかし、アメリカ軍の攻撃を知った連合艦隊は敵前逃亡し、取り残された輸送船がなす術もなく沈没。

・・その船体内に今回初めて潜水で入った。機関室に入っていくと、多数の遺骨が見つかった。トラック環礁から逃げ出したもう一艘の輸送船には、島から避難する民間人が600人乗っていた。沈没前に人々は海に飛び込んで泳いだ。数十名が助かった。証言が生々しい。戦時徴用船の乗組員の戦死率は陸軍や海軍よりも高かった。本土さえ守ればよい、という事であるが、これが更に進むと天皇さえ守ればよい、という事になる。最後はさすがに昭和天皇も国民無しには生きていけないことを理解して、敗戦を受け入れたのである。

2018.08.13
NHK『漁師たちの戦争』
      太平洋戦争では、海外展開の為に民間の船が徴用されて、簡単な銃座だけが取り付けられた。黒潮部隊:敵船偵察用の漁船。無線を発すれば位置が同定されてアメリカ軍に襲われた。そもそも、海軍で行われた事前の輸送船被害の図上演習によると、深刻な被害が予想されていたが、その結果は隠蔽された。その結果「想定外」の被害が出たのである。海軍はなす術も無く、アメリカが増強した潜水艦に襲われて被害が拡大していった。太平洋戦争で船員約6万人が死んだ。乗組員は若い猟師であった。まだ徴兵年齢にも満たないものも多い。生存者はなかなか語りたがらない。自分だけが生き残ったことに自責の念がある。フィリピンではレイテ沖海戦に多数の船舶が巻き込まれた。近辺の島に逃れた者は日本軍指揮下に入って、いきなり戦闘員として先陣を切らされた。ガダルカナル島。鬼怒川丸の例。既に制空権はアメリカであった。海岸に座礁させて強制上陸。生き残った船員は密林に逃げ込んだのだが、そこに潜んでいた日本兵に略奪された。戦争指導者達の無責任性は、日本人自身によって問われるべきであるが、戦後の日本では曖昧にされた。
 
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