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途方もない風の中に
途方もない風の中にぼくの沈黙はあるだろう。
光の届かない海の底にぼくの恐れはあるだろう。
閉じた輪の中に閉じこもり、
その中の愛に耽り、
その中の詩を偉大ならしめる
巨大な世界の維持者たる者よ。
けれどぼくは外へ、
人間が造りだした神の外へ、
歴史のうすの外へ、
歩み出たいのだ。
明日という日がないなら、
ぼくは大地に散りばめられた図形を集めて
賢者の坩堝で
ぐつぐつ煮てみたいと思うだろう。
遊星では空が真っ赤に燃え、
ぼくは重い足を引きずって、
砂っぽい風をなめるだろう。
あなたが拒絶したところのものが
ぼくの心に突き当たっている。
たった一人の反乱、
無力な者の、
消え入らんばかりの虚ろな反乱。
「ぼく」という名のアルファベットが
冷徹な宇宙の淵に干からびている。
(1988.4.24)
(2015年7月改訂)
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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第2詩集『青ざめた鳥たち』