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神話『ブルーポールズ』

【第6巻】-まえがき/あらすじ

向殿充浩    
                                                   

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【まえがき】

 

 第5巻において、創造された人間の世界が停止されて物語がいちおう完結したわけですが、「それでは、その後の神々の世界はどうなってゆくのだろうか?」という疑問が心に残っていました。そして、それは、私たちの人間の世界がこれからどうなってゆくのだろうかということとも相通ずるものでした。そのような視点から、未来を舞台とした物語を書こうと思い立ち、2014年春から書き始めたのが、この第6巻です。2016年でほぼ形になってきましたので、2017年からアップを開始いたします。

 未来を考えるとき、大きく2つの可能性があるように思えます。それらは現在の諸相に基づくものですが、一つは悲観的なもの、もう一つは楽観的なものです。

 まず、悲観的な可能性は、人間たちの偏狭な心を元凶とする宗教や人種の対立、さまざまな格差が生み出す軋轢、さらには核の脅威や資源エネルギー問題、人口問題など、現代においてなお重い問題となっている問題を簡単には越えられないという可能性で、次の世界大戦すら思い描くことができるのかもしれません。

 もう一方の楽観的な可能性は、第2次世界大戦後大きな大戦が起きていない現実、さまざまな技術革新が人々をより豊かにしている事実、それらに連動して後進国の人々の生活レベルも着実にあるいは急速に上がっている状況などを踏まえ、将来、より明るい満たされた世界が実現するというものです。

 私自身の思いとしても、その楽観的な可能性が開けることを期待していますし、また、そのような世界になった時、人々はどう生きるようになるのだろうかという視点もあって、この第6巻では、楽観論に立った未来像を描くことにしました。

 実際の未来世界が、この物語で描かれているようなフリーセックスも含めた安逸な世界になるかどうかは分かりませんが、ロボットの普及も含め、これまでの世界とは根本的に異なる何かが生じてくるのではないかという思いで描いてみました。但し、ロボットに関しては、ロボットが自分の意思を持つという可能性についてはこの物語では封印しています。

 尚、この第6巻では、若い頃書いた『ぼくは宇宙の底で』という習作から多くの部分をとっています。

 また、現在、山形大学で取り組んでいるフレキシブル有機ELの将来像のようなものも物語に登場させています。ディスプレイに関しては、第5巻も含め、液晶ディスプレイが登場せず、ブラウン管の次は有機ディスプレイとなっております。これは、技術者としての有機ELへの思い入れと理解いただければと思います。

 この第6巻の物語は、シャープを退社後、米沢の山形大学に移ってから書き始めたのですが、米沢や山形に関するものもところどころに入れ込んでいます。

 

【あらすじ】

 第5巻において、創造された人間の世界が停止された後も、神々の世界は自律的な技術進展を続け、すべての神々が安逸に生きることのできる世界が実現する。その核となっているのは、ロボットとフリーセックスである。

 一方、ナユタは森に籠り続けているが、今後の世界がどうなるかという関心と、首都ビハールのドレッシェル教授からの要請から、首都ビハールに行く。そこで、ナユタは世の現状を再認識するが、彼の心を満たすものではない。そんな中、女流画家のリリアン、詩人のハーディ、音楽家のシュヴァイガーなどと出会う。1年数か月のビハールでの滞在の後、ナユタはリリアンを伴って森に帰る。

 森では、近くにレストランを開き土偶を作製するカウティリヤ、木を叩く女流打楽器奏者ナスリーン、写真家のサナムなどと知り合い、さらには、森に住むバラドゥーラ仙人、エシューナ仙人、ウパシーヴァ仙人、アシュタカ仙人などとの交流を続ける。ナユタは、この世界で生きる意味は何か、どう生きたら良いのかということ疑問と向き合いながら、高原で自分自身と向き合った日々を送る。

 ある時、突然、ナタラーヤ聖仙が訪ねてくる。そして、ブルーポールを授ける。その夜、ブルーポールは強烈な光を大空に放ち、その光に呼び起こされて、ユビュはビハールに姉のシュリー女王を訪ね、『ナユタと仲間たち展』という芸術祭を行うことになる。その芸術祭は成功裏に終わるが、ナユタは満足したわけでもなく、ただ、再び森に帰る。

 この物語の最後で、ヴィカルナ聖仙がやってきて、別れを告げる。あまりの突然のことにナユタは言葉を失うが、聖仙は、「では、わしは行くよ。」と言って姿を消す。

 

2017225日掲載 / 2017911日改訂)


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向殿充浩 / 神話『ブルーポールズ』第6巻