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神話『ブルーポールズ』

【第4巻】-まえがき/あらずじ

向殿充浩

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【まえがき】

 

 神話『ブルーポールズ』は当初、3巻構成の構想で書き始めた作品であり、第3巻をもって完結したはずでした。しかし、約10年かけて第3巻までほぼ形を整えた頃、心の中にくすぶっていたのは、これですべてだろうか、という思いでした。その思いは、心の中のどこかにわだかまっており、何度か、続巻を書こうかと思い立ち、少しだけ書きかけたりしたのですが、なかなか筆が進みませんでした。そんな時期が2~3年あったように思います。

 この第4巻を本格的に書き始めたのは、2005~2006年頃ではないかと思います。第4巻では、創造という行為から離れて、神々が勢力争いを行うという世界を描いていますが、2~3年くらいかけて第4巻の全体の形を整えたように思います。

 

【あらすじ】

 第3巻において、ヴァーサヴァによって創造された世界がユビュのタンカーラによって帰滅し、神々の宇宙は、パキゼーの聖なる悟りに基づく平安に覆われていたが、ある日、その静寂が破られ、ルガルバンダが目を覚まして復活する。ルガルバンダは、神々の新しい世界を築くことを宣言し、この声に呼び起こされるように、ムチャリンダ、イムテーベ、ヤンバー、シュリーなどが次々に起ち上がり、かつてのナユタ陣営の神々も独立し、群雄割拠の世界となる。

 そのような世界の中で、ナユタとユビュは静観を保っているが、世界では神々の勢力争いが激しさを増す。シュリーはプシュパギリに勝って部将として取り込み、イムテーベに敗れたカーシャパはルガルバンダの部将になるなど、信義ではなく、利に基づく合従連衡が進んでゆく。中でも、ルガルバンダは、ヤンバー、ルドラ、カーシャパを抱え、カーシャパが編み出した騎馬軍団によって破竹の勢いで勢力を広げる。ルガルバンダは、ムチャリンダを倒し、さらにはシュリーを倒し、イムテーベを懐柔することで覇権を確立する。

 ルガルバンダは世界統一のために、ナユタとユビュを取り込もうとするが、ふたりが臣従しないため、ナユタ征伐の軍を起こす。一方、ルガルバンダ帝国において国父となったイムテーベは形だけの敬意による臣従に不満を抱き、ルガルバンダから離反して、ナユタと連合を組んで戦う。しかし、決戦では、ルガルバンダが勝利し、イムテーベは倒される。

 ナユタは、戦場から逃れて再起を期すが、ウダヤ師の勧めにより、森に棲むバラドゥーラ仙人を訪ねる。ナユタはバラドゥーラ仙人の元で教えを請い、さらに、森のウパシーヴァ仙人、エシューナ仙人、アシュタバ仙人を訪ねて教えを請う。その後、森を出たナユタはユビュと合流し、再びルガルバンダと戦うことを決意する。そして、ナユタはナタラーヤ聖仙を、ユビュはヴィカルナ聖仙を訪ね、それぞれ新たな神器を授かる。

 ナユタらは、覇権主義のルガルバンダを倒すため、旗を上げる。ナユタらは、ルガルバンダ帝国への批判勢力を取り組みつつ勢力を広げ、最後のナッチェルの野での決戦でルガルバンダに勝利する。

 こうしてナユタらは再び平和な宇宙を取り戻すが、神々が清新の心を失い、欲望に基づいて動くようになった世界に馴染まず、ルガルバンダを倒した3年後、失望して森に帰る。

 

2017225日掲載 / 最新改訂:2017625日)


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向殿充浩 / 神話『ブルーポールズ』第4巻