形成外科は体表面のすべての部位を治療対象としているため、形成外科単独でなく他の診療科と重複したり、協力したりすることが多くあります。具体的にどのような関連があるのでしょうか。
- 顔面・頭部の外傷
明らかに顔面に限られているけがの場合は形成外科が初めから治療するのが望ましいと思います。しかし頭蓋内、眼球、頚部、胸部、四肢に合併損傷がある場合も多く、脳神経外科、眼科、整形外科、外科など関連各科の専門医と協力する必要が生じます。
- 唇裂口蓋裂
手術の他に成長の各段階において関連の科とのチームアプローチが必要です。発音の障害、咬み合わせの異常、そのほか耳から鼻へ抜ける換気の管(耳管)の働きが悪い、などの問題が生じるため、言語療法士、矯正歯科、耳鼻科、小児科等々の協力なくして治療は成立しません。唇裂、口蓋裂の子供は、体の他の場所にいろいろな異常をもっている確率が高くその治療も併せて行う必要があることがあります。
- 顔・頚部の癌
顔面、口腔、咽頭、頚部食道などに癌が発生した場合、切除する範囲が広がれば変形した異常な顔貌や食物の摂取や発語に障害が生じ、患者さんの社会復帰が困難となります。形成外科は、耳鼻科(頭頚科)が手術を行った際に生じる組織欠損を元に近い状態もどすことで“生活の質(quality of life)”を向上させる役割を担っています。また、乳癌、四肢の悪性腫瘍の手術にも形成外科は、外科、整形外科の先生から協力を求められる場合があります。