Cambridge 駅の配線に関する考察

はじめに

 Cambridge 駅は、様々な方面への列車が発着する、交通の要衝である。この駅を 始発または終着とする列車は多いが、中間駅として通り抜ける列車は、そう多くは ない。そのためか、駅の配線は、図 1 に示すような、独特の形状をしている。 一見すると、Ely 方面から London 方面に向かう本線には、プラットフォームが 設置されていないような形である。

diagram of Cambridge Station
図 1. Cambridge 駅配線図。灰色の部分がプラットフォームである。四角で 囲んだ数字は、番線を示す。駅本屋は、中央の部分にある。

 この形のために、駅正面(図の下方)の車寄せの所から 各プラットフォームまでは、まったく段差がなく、理想的なバリア・フリーを 実現している。運転関連の施設であるが、プラットフォームに並行して留置線が あり、また、Ely 方には車庫がある。この、独特な形状の Cambridge 駅の配線に ついて考察してみたい。

プラットフォーム使用方の概要

 わかりやすくするために、車庫への引込線と留置線を省略したものが、図 2 である。2、3、5、6 番線は行き止まりの構造となっているため、Cambridge を 中間駅とする列車は、1 番線または 4 番線を使用することになる。London 方面から Ely 方面に向かう列車は、進路変更せずにプラットフォームに入れるが、Ely 方面から London 方面に向かう列車は、渡り線を使用してプラットフォームに 入る必要がある。2、3 番線は London 方面への折り返し系統にしか使用できず、5、 6 番線は Ely 方面への折り返し系統にしか使用できない。

simplified diagram of Cambridge Station
図 2. Cambridge 駅配線略図。記号 A 〜 F は、本線同士を結ぶ渡り線を示す。

キーとなる両渡り線

 この配線でキーとなるのは、図 2 で C で示した両渡り線である。これがある ために、1 番線がふさがっていても 4 番線の発着が可能となり、4 番線が ふさがっていても 1 番線の発着が可能となっている。以下、具体的に見てみよう。

Ely 方面から London 方面に向かう場合

 4 番線が塞がっていて 1 番線を使用するときは、両渡り線 C を使用して 1 番線に入れ、片渡り線 D または E を使用して London 方面への本線へ出す。

 1 番線が塞がっていて 4 番線を使用するときは、片渡り線 B を使用して 4 番線に入れ、両渡り線 C を使用して London 方面への本線へ出す。

London 方面から Ely 方面に向かう場合

 4 番線が塞がっていて 1 番線を使用するときは、入線時はそのまま 1 番線に 入れる。出発後、両渡り線 C を使用して 4 番線をバイパスし、片渡り線 A で Ely 方面の本線に戻す。

 1 番線が塞がっていて 4 番線を使用するときは、片渡り線 F を使用して 1 番線をバイパスし、両渡り線 C 経由で 4 番線に入れる。Ely 方面の本線へは そのまま出発できる。

重複した片渡り線

 片渡り線 D と E は同じ向きで場所も近く、機能としては重複している。E は 2、3 番線から London 方面への本線に列車を出すのに必要であるが、これさえ あれば、D は必要ないように思える。しかし、D があることで、London 方面から 2、3 番線に到着する列車と、1 番線から出発して London 方面に向かう列車とを 同時刻に運行できる。

significance of point D
図 3. 片渡り線 D の意義。これがあることで、左図のような同時発着が 可能となる。D がない場合、同時発着は不可能である(右図)。

 Ely 方の B-C 間には、このような役割を果たす渡り線は存在せず、4 番線への 到着と 5、6 番線からの発車は同時刻には行えない。Ely 方は列車本数が少ない ため、特に同時発着の必要に迫られない、ということであろうか。

Platform 4 of Cambridge Station
Cambridge 駅 4 番線から London 方面を見たところ。


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