運命 |(転宅)| (えころじぃ童話)|

運命



鈴木朝子
魚の死骸
胸糞の悪くなる におい
 汗ばむ鱗
苦し紛れ 浄化されずに
 嘲り笑うつぶれた眼球
澄みわたる血の  迷路
 冷たい暑さ
輝く月の光り 限りある

しずく
パライソ
 まるで パラノイア
  楽しいほどに
日常の残飯にたかる虫
ヴィオラの不透明な響きに
紫陽花は 身をもたげる
   小さな
息苦しくなるほど
 雨は降りてくる仮面
池に捨てられた 時祷書
消えた十二の季節

ただ 在るだけ も なし

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