債務整理(借金返済方法)には、通常、次の方法があります。
- 借換え 金利の低いローンに切替える方法です。同一金融機関でないと抵当権の登記をし直すので、その費用(主に債務金額の1000分の4に当たる登録税)が余計にかかります。資金に余裕のない債務者はこの方法は無理です。
- 夫、親などの近親者の援助あるいは代位弁済など
この場合債務者本人が同じことを繰り返す危険があり、勧められません。
債務者が近親者の援助で弁済したり、債務者の近親者が代わって返済した場合、債務者本人は事故リストに載りません。サラ金から何回も借りる債務者(多重債務者)は精神の病気である面があります。そこで、債務者側から積極的に「貸付の自粛依頼」をし、リストに載せてもらえば(情報センターに加入している業者からは)借入れなどできなくなります(貸付自粛登録)。その場合は下記へ登録してください。身分証明書(運転免許証、健康保険証)、認印、写真持参。この取下はいつでもできます。
信用情報登録機関
買い物、キャッシング関係その他の信用情報機関
- 新宿区新宿5-15-5新宿三光ビル6階
株式会社シーアイシー
電話 3358-9371開示請求
- 株式会社日本信用情報機構(JICC):0120−441−481)にてお問い合わせください。 / 破産宣告の宣告日から10年を超えない期間、再生手続開始決定日から10年を超えない期間登録
- 全国銀行個人信用情報センター:TEL 0120-540-558 / 延滞、代位弁済などの情報 ・ その事実が発生した日から5年間(ただし、第1回目不渡は不渡発生日から6か月間、取引停止処分は取引停止処分日から5年間)。破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間。
- 各信用情報登録機関の「本人開示制度」を使い、手続をすれば、あなたの情報を確認することができます。信用情報登録機関に行き、開示請求の申し込みをすれば、直接、見ることができます。郵送でも可能です。
- 弁護士による任意整理
債権者と交渉し、金利ないし元金の減額、(ローン支払額計算機で月の支払額を計算し)分割払いの和解を成立させる方法です。
金利が高い場合は利息計算機で計算をやり直し、利息制限法の範囲まで下げさせます。支払済みの(法律の決めた最高金利を超える)利息については元本充当すると主張します。実際に借主が過払いの場合は結構ありますので、返還請求します。
この方法で元金が減ります。
- 利息制限法上の最高金利・損害金
借入金 最高金利 遅延損害金 元金10万円未満の場合 年20% 年29.20% 元金10万円以上100万円未満の場合 年18% 年26.28% 元金100万円以上の場合 年15% 年21.90%
遅延損害金の金利は、利息の1.46倍(注:平成12年5月31日以前に締結された契約では2倍)です。
なお、貸金業者が年29.2%(注:平成12年5月31日以前に締結された契約では年40.004%)を超える利息の契約をしたり、受領した場合は出資法5条2項により罰則の制裁があります。
貸金業者の正確な名前、所在がわからないときは、下記で検索。 債務を3年間(最大で5年間)で弁済する方法が原則です。別の言い方では、残債務合計を36で割った金額を毎月払う必要があります。これができないなら、下記の民事再生、あるいは、破産です。
- 特定調停
裁判所で話し合って、分割弁済の調停を成立させる手続きです。 「特定債務者等の調整の促進のための特定調停に関する法律」が制定され、2000年2月17日から施行されています。
利息制限法の範囲内に利息などをカットできます。債権者が少ないときには便利です。債権者の所在地を管轄する簡易裁判所に申立てをします。費用は、1社500円くらいの印紙代と1000円くらいの郵便切手
強制執行などを停止させることができます。ただし、裁判所は、入札期日が決まっていない段階ではほとんど停止決定を出しません。
債務金額が億単位で大きく、債権者が金融機関で、債権者の担当者の判断で債務免除を決定できない場合は、債務者から申立てると良いでしょう。担当者は、「裁判所の勧告で決めたのだから」と、組織の中で言い逃れができるので、調停が成立し易いのです。このため、融資の際の不正を糊塗するためや、周囲をごまかして債務免除するためにも使われています。
若干努力すれば、弁護士を依頼せずに自分で裁判所に申立できますので、チャレンジするとよいでしょう。
特定調停の申立をした際、さらに、差押さえなど民事強制執行の停止を求めることができます(法律7条)。
最近、千葉県住宅供給公社など、規模の大きな公益法人が、大きな金額の債務免除を求めて特定調停の申立をする例が目立ちます。破産とか、会社更生では関係者の責任が問われるので、それを避け、特定調停、民事再生で、責任を免れようとしているのです。「裁判所の手続きを通したので、公正な手続きを経た」と言い逃れをする目的です。
- 民事再生
民事再生法に基づくものです。
2001年4月1日から、小規模個人再生、給与所得者等再生手続き、住宅資金貸付債権に関する特則 手続きができるようになりました。従来、任意整理をしていた人たちがこの手続きの対象となるでしょう。債権者の意思にも依存するところもありますが、債務の 1/5 以上を弁済し、残債務を免除してもらい、破産を免れることができます。
ただし、保証人は原則として免責されません(民事再生法177条2項)。
- 自己破産
分割返済の場合、債権者は大体3年間くらいで完済することを望んでいます。
そこで、債務者にそれだけの資力がない場合は、任意整理は無理ですので、裁判所に対し、自己破産の申立をします。破産の開始要件は、「支払い不能」です。
この手続きは強力で、借入れの際に詐欺行為、あるいはギャンブルのための借入れなど一定の事由のない限り、裁判所が免責決定をしてくれますので、債務者は債務から解放されます。
前に免責決定を受けたことがあり場合(再度の免責申立)には、前の免責決定から7年経過している必要があります(破産法252条1項10号イ)。 再度の免責申立の場合は、少額管財 の申立をするとよいでしょう。
なお、主たる債務者(破産者)が免責されても、保証人は免責されません(破産法253条2項)。
- 弁護士費用
債務整理と自己破産の弁護士費用(報酬)は、現在、日弁連の旧報酬基準(各弁護士会もだいたいこれに準じている)と東京3弁護士会のクレジット・サラ金法律相談センターの基準( およそ右の通り → 債務整理およびの自己破産の弁護士費用 を参照)の2つがあります。前者は後者の約2倍です( 自己破産の弁護士費用が高過ぎる を参照)。
弁護士費用を支払う余裕のない方は、 法テラスで法律扶助 を受けて下さい。弁護士費用を節約するために、自分自身で申立手続きをする方法もあります。自分で申立てする場合全ての債権者を債権者名簿に載せるよう努めてください。記載漏れがあると、その債権者に対し免責の効力が及びません(破産法366条の12、五号)。
東京では下記の通りクレジットサラ金専門の相談所があります。「債務を1本化しませんか」とのチラシで、業者(整理屋)が提携弁護士を紹介しています。「融資の審査をします」などと言いますが、嘘です、整理屋と組んだ弁護士を紹介するのです。融資はしません。危険です。気を付けてください。
- 弁護士会四谷法律相談センター:Tel 5367-5280(四谷駅)
- 神田法律相談センター(03-5289-8850)(神田駅)
- 錦糸町法律相談センター(03-5625-7336)(錦糸町駅)