Menu(資源・エネルギー)堀内・炭素制御ラボ炭素という元素とは
                                                                                                 

 【堀内・炭素制御ラボ】                                                                          carbon /生命の基盤 

 

            炭素/C という元素とは 

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                         担当 : 堀内 秀雄

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プロローグ          ・・・【堀内・炭素制御ラボ】の設立・・・ 2008. 3.22
No.1 〔1〕 “炭素循環”と、“地球生命圏”の姿・・・ 2008. 3.22
No.2     <無機/炭素化合物と、有機/炭素化合物の循環・・・> 2008. 3.22
No.3     <Tea Time----------> 2008. 3.22
No.4 〔2〕 “炭素”という元素について 2008. 3.22
      推敲完了                                       *************** 2008. 3.22

  

    プロローグ                  wpe74.jpg (13742 バイト) house5.114.2.jpg (1340 バイト)

 

「お久しぶりです!資源・環境・未来工学/担当堀内秀雄です!

  今回、企画/担当里中響子さんの方から、“地球の炭素循環・制御”について、

門研究機関を立ち上げて欲しいという依頼がありました。そこで、《航空基地・赤い稲

妻》/ シンクタンク=赤い彗星・ビルの1室に、【堀内・炭素制御ラボ】を設立

しました。

  微力ながら...“地球生命圏の炭素・循環”の考察と、“文明による炭素・制御”の役

に立てればと考えています...ええ、この【炭素制御ラボ】でも、この方面に最も詳し

い、白石夏美さんに手伝ってもらうことにしました...夏美さん、よろしくお願いします」

「はい!」夏美が、首筋の方へ長い髪をなでおろした。「こちらこそ、どうぞよろしくお願い

します!

  いよいよ、“地球温暖化対策”が、世界中で胎動して来たた観がありますわ。まだ、世

界の情勢が統一されていませんが、これからは専門的な知識も必要になって来ます。当

面の、COの排出権取引”もそうですね、」

「まあ...」堀内が、上着のポケットに手入れた。「まだ、入口レベルですねえ...

  経済原理/市場原理でのCO削減”が、果たしてどのぐらい成功するかは、未知数

という所でしょう。しかし、いずれ、総動員体制になることは間違いありません。化石燃料

の代替えエネルギーの開発/クリーン・エネルギーの開発/コンパクトな循環型社会へ

の転換...

  そして、私たちが提唱している...究極的形態の、“万能型・防護力”/〔人間の巣〕

の展開などもありますね...必要なのは、地球環境/生態系への負荷の軽減です。

明形態そのものの、大転換が必要なのです...つまり、“文明の折り返し”ですね、」

軍事・担当大川さんが言っていましたわ...

  兵力を小出しにするような“地球温暖化対策”よりも...一気に、〔人間の巣/未来

型都市〕世界展開した方が、より混乱が少ないのだと...でも、これまでに形成され

てきた、資本による利害対立が、邪魔をしているのだと...」

「確かに、それはあります...

  今後は、〔世界市民〕...そして世界のリーダーたちが...どのように行動するかが

重要な局面になって来ました。まだ始まったばかりですが、やるべきことは山ほどありま

すねえ...まあ、しかし、そうしたことについては、津田・編集長や、大川さんにお願い

するとしましょう...私たちは、【炭素制御ラボ】の仕事をして行きましょう」

「はい...

  もう1言、いいますと...“世界政府/地球政府”の創設が必要ですね。覇権競争

どをしていたら、この文明史的な大課題は乗り越えられませんね、」

「まさに、その通りです...

  究極的には、経済原理/市場原理を越えた、“文明の折り返し”が必須になります。

今はまだ、その入口にたどり着いたばかりの所でしょう。ただし、時間がありません。とも

かく、そうした土台作りのためにも、【堀内・炭素制御ラボ】を設立したわけです」

「はい!」

「そういうわけで...

  私たちが、“炭素/(/原子番号:6/原子量:12.01/)についての、総合的考察を引き受け

たわけです。あまり専門的すぎず、また最先端知識をも交えて、広く理解を得るものにし

ていきたいと考えています...そういうわけで、夏美さんにも、よろしくお願いします」

「はい!一般的な人にも、理解できるページにしていきたいと考えています!」

 

「そこで...」堀内が、斜めにモニターを見下ろしながら言った。「当面は...

  COの排出権取引”が話題になっていますが...ここには投機的資金なども入り、

利害関係のレベルで話し合われています...グローバル経済の中での、入口的な対策

ですねえ...これが、決定的な対策になるとは思えないわけです...

  いずれ、経済原理を越えて、強力にCOの排出を押さえ込んで行かざるを得なくなる

でしょう...気候変動食料不足環境の激変感染症圧力の増大...そして、世界

経済の破綻も...いよいよ、かすかに、現実の姿として遠望できるようになりました...

  いずれにしても...最終的には、“文明の折り返し”なしには、決着しない問題でしょ

...構造的には、単純な問題なのです。あとは、覚悟の問題なのですが、ここからが、

ゴチャゴチャしそうですねえ...膨大な既得権と、生存競争が絡んできます...」

「はい...」夏美がうなづいた。「ええと...

  〔人間の巣/未来型都市〕の展開...その上での、“人口の激減”必須の時代

になりますね...そこに、いかに軟着陸するかという問題だと思います。90億100億

の人口で、地球生態系が安定することはないわけです...ホモサピエンスだけで、生態

系を独占するなどということは、あり得ないわけですね...

  したがって...いずれ現在の状態は、クラッシュするわけですね...それを、軟着陸

させる可能性を持つのが、〔人間の巣のパラダイム〕ですね...人類文明も、生態系と

協調し、生態系と同じレベル“巣”を作っていくということですね、」

「そうですね...」堀内がうなづいた。「ま、よろしくお願いします...

  今、人類文明は、ようやくCO削減”に、本腰を入れて動き出そうとしています...

人類文明全体が、ようやくその方向へ、顔を向けたばかりの段階です。基礎データも、決

定的に不足しています...

  それゆえに、事の本質が、十分に分からない状況なのです...まあ、私たちも、そう

した中での考察になるわけですが、よろしくお願いします」

「はい!」夏美が、髪を揺らした。

 

  〔1〕 “炭素循環”と、“地球生命圏” の姿・・・

             wpe74.jpg (13742 バイト)house5.114.2.jpg (1340 バイト)   

 

「ええ、堀内さん...」夏美が言った。「【堀内・炭素制御ラボ】ということですが...

  まず、“炭素/という元素について、大局的な説明していただけないでしょうか。地

球という惑星単位での、“炭素制御”という大問題になると思いますが...壮大なスケー

ルでの大問題になってきていますね...」

「そうですねえ...」堀内が、ゆっくりと、顎にコブシを当てた。「まず...

  現在、話題になっているのは...化石燃料や、二酸化炭素メタンという...無機

化合物としての“炭素/です...二酸化炭素/COメタン/CHは、温室効果ガ

として、“地球温暖化対策”ターゲットとなっているものですね、」

「はい、」

「また...

  人類文明により...大気中濃度が増したCOは...一方で、広大な海洋表面から

海水に溶け込んでいます...これが、“海洋の酸性化”の原因となっています...海水

の酸性化は、サンゴプランクトンなどの炭酸カルシウム/COの殻を溶かします。

そして、このことは、海洋環境の激変をもたらすと、警告され始めています...

                     【詳しくはこちらへどうぞ...《海洋表層・海の森》//《海洋の激変》

  ええ...いずれにしても、人類文明由来コンスタントなCOの排出”が、大問題に

なります。この継続的な蓄積が、地球生態系相転移しようとしています...

  火山などから排出される大量のCOや、海底から立ち上る巨大なメタンプルームや、

深海底海洋表層での巨大な炭素循環は、自然界のサイクルですから、そうしたものは

本来ある姿として、容認しなければなりません。

  しかし、“地球温暖化”による、地表からのメタンの大放出などは、人類文明由来の温

暖化の加速ということになります...つまり、悪循環ですね。それで、ますます“地球温

暖化”が加速しているわけです」

「うーん...

  ツンドラ地帯などでは、永久凍土が解けて、大量のメタンが大気中に放出されている

と言いますね...そうした中から、冷凍状態のマンモスが出現したりして...」

「そうですね...事態は、予想よりもはるかに加速しているようです...

  地球は今、南極の氷河が後退し、北極海の氷が減少し、チョモランマ(エベレスト山)の氷

河も消滅する一方だと言います。また、それらの結果として、海水面が上昇しています

ねえ。サンゴ礁の島々が、すでに危機的状態にあります。温暖化の影響が、非常にダイ

ナミックに顕在化しています...これはすでに、相当に深刻な事態だということですね」

「地球には...」夏美が、キイボードに手をかけながら言った。「もともと...

  地質年代的に、温暖な時代と、寒冷な時代がありますね...先カンブリア時代には、

地球が雪ダルマのように、全球凍結した時代もありましたわ。そういう大きな、地球環境

の周期はどうなのでしょうか?」

「さて...」堀内が、マウスに手をやり、モニターの隅をクリックした。「そうですねえ...

  スノーボールアース(雪玉地球)仮説というのがあります。約...6〜8億年前に、地

球が雪ダルマのように、全球凍結したというものです。その時は、地球の赤道地帯にま

で氷河が進出し、地球は雪ダルマのように真っ白になったようですねえ...

  この時の“大量絶滅”の後...その膨大な“空きニッチ(空になった生態系的地位)に...

ンブリア紀生命の爆発的大発生があったわけです...

  ええ...その膨大な量の氷を解かしたのは、大造山活動による、火山性のCOだと

推定されています...つまり、地球に温室効果をもたらす、温暖化ガスCOですね」

「あの、堀内さん...22〜24億年前頃にも、大氷河時代があったようですが?」

「ああ...“ヒューロニアン氷期”ですね...」堀内が、マウスをクリックした。「それにつ

いては...まだ学説が固まっていないようですねえ...いずれ、時間がたてば、はっき

りとしてくるでしょう...」

「うーん...はい...

  ええ、地球環境は...例えば、氷河時代の中でも、氷期間氷期がくり返しているわ

けですね...現在の“地球温暖化”は、こうしたサイクルとは別に進行しているのでしょ

うか?」

「それは、確かに、論争のあった所です...

  地球の大気圏と、生態系といういう...非常に微妙で難しい分析なのですが...大

気中のCOの、C12C13の比率の分析などから...生物由来化石燃料の炭素

が、増大していることが分かってきているようです...今後、さらに詳しく分析されていく

でしょう。

  ええ、つまり...地球を取り巻く大気圏において...“18世紀の産業革命”以来の、

人類文明由来のCOの増加が、はっきりと科学的に確認できているということですね、」

                            ・・・・・詳しくは、こちらへどうぞ/《地球温暖化の考察》

「はい!」夏美が、椅子の背に肩を引いた。

 

<無機/炭素化合物と、有機/炭素化合物の循環・・・>

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「ええ...」堀内が、両手を組みながら言った。「そうした一方で...

  人類文明はいまだに、軍備の増強兵器の生産で、覇権競争をやっています“地球

温暖化対策”を真剣に考えている人々と、これまでの惰性で、経済競争・覇権競争に没

頭している人たちがいます。こうした事の“落差というもの”が、非常に大きい時代になり

ました...」

「はい...」

「一刻も早く...

  世界標準を、“持続可能な経済発展”から、【エコ/文明の存続】転換していかな

ければなりません。それは、ともかく、早いほどいいわけですね、」

「はい...」夏美が、前髪を手ですいた。「そうですね...

  人類文明の中枢、まだ真の危機を把握していない...組織/システムが、非常に

多くありますわ...それから、欲望エゴイズムですね...これまでも、繰り返し叫ばれ

てきたことですが...まず、紛争戦争兵器の生産は、ともかく、全面的に中止しな

いといけませんわ...もちろん、核兵器の拡散などは、論外です」

「うーむ...

  世界のリーダーたちにしても...まだ市場原理で、グローバル経済を動かそうとして

いますねえ。“文明のターニング・ポイント”が来ていることは、分かってはいるのでしょ

うが、経済原理の惰性に流されているようです...日本も、そうですが...」

「はい...」夏美がうなづいた。「〔世界市民〕にできることは...

  まず、個人として、そういう覇権主義に関連する仕事には、従事しないということも、非

常に大事な選択肢になってくると思いますわ...そういう意識を持つことが、世界を変え

る潮流になるのではないでしょうか?」

「そうですね...単純明快な行動です...」

「そうした仕事に就かず、自給自足の生活に入ることに、誇りを持つべきですわ。それが

より人間的な生活なのだと思います...」

「ともかく...」堀内が、脚を組み上げた。「全ての争いごとを無くすことです。戦争

を無くすということです...それが“地球温暖化対策”で、最も効果が上がるということ

でしょう...」

  夏美がうなづいた。

「それには、“地球政府/世界政府”が必要でしょう...

  “地球温暖化対策”では、地球が平和であることが、まず、基本ベースになるというこ

とです。戦争などをしていては、“温暖化対策”にはなりません。すべての努力を、そうし

紛争が食い潰してしまいます」

「はい...そうした矛盾我儘(わがまま)は、許されない時代ということですね、」

「そういうことです」

 

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「ええと...」夏美が、モニターに目を流した。「話を進めます...

  二酸化炭素/COや、メタン/CHは、“無機物”としての炭素の形態ですね...も

う1つ、“有機物”としての炭素の形態がありますが...このあたりの説明を、お願いし

ます」

「そうですね...

  ええ...炭素/には...“単体(ただ1種の元素からなる純物質)として、黒鉛/グラファイト

ダイヤモンドがあります。そして、その他に、膨大な量の炭素・化合物があります。そ

れには、無機物を構成する炭素・化合物と、有機物を構成する炭素・化合物とがありま

す...

  これらの単体の炭素や、化合物の炭素が、地球生命圏という惑星レベルで、壮大なス

ケールで循環しているのです...この“ダイナミックな炭素循環”“莫大な水量”が、

大生命圏としての地球の、最大の特徴でしょう...

  特に...生命を構成する有機/炭素化合物...有機物を構成するタンパク質...

ンパク質を構成するアミノ酸は、そもそも炭素原子必須の構成要素になっています。こ

のように考えて行くと、この巨大生命圏そのものが、全体として命として波動している側

面も見えてきます...生命システム理論の、開放系システムとしては、そういう見方もで

きるということです...」

「高杉・塾長が提唱されている、“36億年の彼”の概念になりますね?」

「うーむ...そうですね...

  塾長には、そろそろ“36億年の彼”の概念について、総合的にまとめて欲しいもので

すねえ...」

「でも、塾長は、時間がないのだと言っていましたわ。それに、まだ時期尚早(じきしょうそう)

だとも...」

「うーむ...そうですか...時間的な熟成が必要だということですか...」

 

「ええと...

  堀内さん...まず、基本的な問題として、無機物有機物との違いは、どういうことで

しょうか...これまでにも、何度か説明していることですが、」

「はい、そうですね...

  無機物というのは...空気鉱物類...また、これらを原料として作られた物質

総称です。したがって、金属の機械道具類も、こうした無機物の類です...

  一方、有機物というのは...これらと対極的な言葉で、生物に由来する炭素原子を含

む物質総称です。これらは、いわゆる、有機化合物とも言われますね。地球表層に大

繁殖している全生物や、その死骸なども含まれます...まあ、この無機物有機物の区

別は、慣れてくれば簡単に区別できます」

「はい、」

「さて...

  生命体とは...この無機物有機物で構成されている、“生命システム”とも言えるも

のです。生命体は、決して有機物でけで構成されているのではありません。有機化合物

器の中や、その内面を...巨大な化学工場のように、様々な物質エネルギー

が流れています...

  器の中内面を、無機物有機物が複雑に流動し、分裂し、新陳代謝し、それ自体

進化・構造化のベクトルを持っています...したがって、生命の本質は、その有機物

の器にあるのではなく...その、ダイナミックなプロセス(過程・経過)にこそあるのです。

だから、生命の本質は、死ぬことはなく、世代を超えて、波動のように伝わっていくもので

す。生命体とは、その波動を受ける、壮大な開放系システムの器とも言えますね....」

「うーん...波動のように伝わり、広がっていくものなのですね...」

「まあ、ここでは...あえて、“一般的な見方とは違う、別の命の側面”を見ているわけで

すがね...しかし、この方が、より真実に近いのかも知れません...ともかく、“命”

“意識”というものは、あまりにも広大なテーマで、簡単に語りつくすことはできません」

「はい...」

「高杉・塾長に言わせれば...

  1個の生命体は...上位レベル種の意識体リンクし、さらに“36億年の彼”とも

リンクしていると言います。そのリンクが切れると、枯葉が落ちるように、命のリンクが切

れると言っていますねえ...全生命体睡眠をとるのは、そのリンクと関係しているよう

だと、塾長は言っています」

「あ、はい...

  塾長から聞いたことがあります...リンクしている、全ての生命体は、そうした意味

で、平等な存在だと言っておられました...真に平等なのだと言っていましたわ...だ

から、細菌も、昆虫も、も...平等に起動し、感応しあえるのだと」

「そうですね...

  塾長は、そこに...淘汰圧力や、食物連鎖の喧噪にも...禅的な“悟りの風景”を見

ているようです...そうしたものは、生存競争の喧噪ではなく、もっと静かなもののようで

すね...私には、分かりませんが...」

捕食される事がですか...?」

「...捕食される側も、それを受け入れる体制ができているということでしょう...たとえ

ば、産卵したサケが、その役目を終え、死を待つようにです。また、チベットなどでは、

(ちょうそう/死体を野において、鳥に食わせる葬法)というのがありますが、そうしたものを、人間も受

け入れていたのです...

  静かに、死を受け入れる心です...“全体が1つ”なら、それは容易なのかも知れま

せん...」

「それが...“36億年の彼”から、与えられていると...?」

「というより、“全体が1つ”なのでしょう...

  人体の内部では、細菌などの侵入に対し、そうしたことが容易に行われているわけで

しょう...人体は、1個の総合システムですからねえ...うまく説明できませんし、私に

は、分かりませんがね...」

「ともかく...そうした意味で...細菌も、昆虫も、も、全てが平等なのですね...」

「思い当たるフシは、多々あります...

  しかし、真実は分かりません...ただ、そうした概念が出現しているということは、少

なくてもそうした方向での解明も進んで行くでしょう...つまり、そうした方向へ、人類文

明が構造化されて行くということなのです...」

「うーん...」

 

「ええ...」堀内が、椅子の背に体を起こした。「話を戻しましょうか...」

「あ、はい!」

「ともかく...

  生物の死骸が腐乱して、メタン/CHが蒸発しますが...それがいわゆる、生物由

無機/炭素化合物になります。湖沼などから立ち上る、メタンガスなどがそれです

ね。石炭石油天然ガスメタンハイドレートなども、生物由来無機物炭素化合物

です...」

「あ...メタンハイドレートについては、こちらの方で、詳しく解説しています」

                                           <メタンハイドレート>

「ええ...」堀内が、マウスでモニターをスクロールさせた。「地球生命圏では...これら

炭素が、壮大なスケールで循環しています...地球規模で循環しているわけです」

「はい、」

「現在、地殻の表層では...

  DNA・生態系を形成している...膨大な有機物としての炭素が存在しているわけで

すね。それらの死骸も含めてです...それから、大気中には、二酸化炭素/COや、

一酸化炭素/COメタン/CHなどが存在します...

  さらに、広大な海洋にも、炭酸カルシウム/COなどの様々な形で、大量の炭素

が海水に溶け込んでいます...また、火山から吐き出される大量のガスの中にも、

機物の炭素が存在します...

  マグママントルの中にも、相当量の無機物の炭素が存在します。時にはそうしたも

のが地殻の表層に出てきて、ダイヤモンドの鉱脈になったりするわけですね...」

  夏美が、うなづいた。

「そうした...

  地球規模で循環している炭素の1部が、炭素生物/炭素生物の生態系を形成してい

るわけですね。そして、炭素生物である人類が...まさに、この惑星レベルでの炭素循

を狂わせ、繊細に構成されている生態系を破壊しつつあるということです...」

「はい...途方もない話ですね...」

「とりあえず...」堀内が、手を立てた。「重要なのは...

  深海底で、長い休眠状態にある炭素です。海洋性生物の死骸は、全て海底に沈みま

す。海洋性プランクトンは、常時、マリンスノーとなって、雪が降るように海底に沈んで行

きます。そして、深海底に堆積します...

  それらは、長い眠りの後、再び海洋表面に上昇し、光合成をする植物性プランクトン

して“命”を結晶化します...その植物性プランクトン食物連鎖の下には、動物性プラ

ンクトンがあり、無数の魚類がいます...人類大量の魚を食べていますね...すべて

が、循環しているわけです...」

「はい、」

「ところが...

  こうした炭素循環から外れて...さらに長い休眠状態にある、大量の炭素がありま

す。それが、いわゆる化石燃料と呼ばれるものです。それらは、古生代/石炭紀などの

時代の、有機物/・・・生命体の残骸です。

  古生代/石炭紀と呼ばれるのは...今からおよそ、4億年から3億年前の時代です

が...巨大なシダ植物が大繁栄し、爬虫類昆虫などが出現した時代です。また、

代の海にも、生命が大繁殖していたでしょう...それらの膨大な死骸が堆積し、有機物

が蓄積され、石炭石油天然ガスになったのです。

  もともとこれらの化石燃料は、地殻の中で長い休眠状態にあったものです。それを、

人類文明テクノロジーが掘り起こし、“エネルギー・産業革命”機械の動力源として、

大量に燃やし始めたのです。その最も典型的なものが、地球規模で普及した、自動車

航空機でしょう...これらが、温暖化ガスであるCOを、大量に大気中に蓄積してき

たのです」

「はい...」

「この“産業革命”と、“緑の革命(1960年代/水稲・小麦などの高収量品種の開発によって起こった。開発途上

国へ導入された農業技術革新)が...全生態系危機的状況をつくり出してしまったわけです。

つまり、これは、ごく最近の出来事ということです。

  それこそ、アッという間に、世界人口60億を越えました。近い将来90億に達しよう

しています。しかも人類は、まだ開発地球環境の破壊を続けています。つまり、この状

況には、加速度がついているということです...

  この最後の加速度によるの環境破壊が、地球の生態系沈没させてしまうかも知れ

ません」

「本当に...」夏美が、肩をかしげた。「ここ数十年間のことですわ...」 

「そうです...」

 

********************************************************

          <Tea Time>        

 

  堀内が、モニターを見ながら、しばらく考え込んでいた。夏美が席を立った。

真新しい【堀内・炭素制御ラボ】の窓から、どんよりとした早春の草原を眺め

た。淡い陽光が、春を感じさせた。遠くの方に、白い花をつけている灌木があ

ったが、山桜はまだ咲いていなかった。

  夏美は、お茶の用意をしながら、片手で携帯メールをチェックした。マチコか

らメールが2つ入っていた。それに簡単な返事を送った。それから、持ってきた

シュークリームとお茶を、作業テーブルへ運んだ。

「堀内さん、どうぞ...」

「ああ...」堀内は、シュークリームに手を伸ばした。が、それを食べながら、

じっと考え続けていた。

  夏美は、新しい殺風景な部屋の中をぐるりと見まわし、シュークリームを食

べ、熱い茶をすすった。それから、ゆっくりと椅子を引き、自分のデータの方に

目を通した。

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「さて...」堀内が、冷めてきた茶を、ゆっくりと飲んだ。「メタンハイドレートというものに

ついて、一言触れておきましょう...」

「はい...」夏美が、茶碗を置いた。

「いや...

  メタンハイドレートそのものについては、そちらのページで詳しく解説しています...こ

こで私が言いたいのは...地球生命圏という惑星レベルの...有機体的メカニズム

しての、メタンハイドレートの地位についてです...」

「...と、言いますと...?」夏美が、髪を揺らし、茶碗を遠くの方へ押しやった。

「うーむ...

  この、深海底で眠っている...膨大の量メタンハイドレートは...最近、ようやくそ

の実態が分かりつつあります。日本海/直江津沖(新潟県)でも、世界最大級のメタンプル

ームが発見されていますね。ともかくメタンハイドレートは、地球的規模で、相当な量があ

るようです...」

「はい...」

「この...

  メタンハイドレートという“大量のメタンを内包した氷”...大規模な、メタンの固定/

メタンの休眠をつくり出しています...これは、ハビタブルゾーン(habitable zone/ 生命居住可能

領域 )の惑星の...ホメオスタシス(恒常性)の、巨大な調整弁ではないかということです。

  巨大生命圏において、ここが崩れ始めると...惑星としての生命圏の維持が、困難

なるのかも知れないということです...ここはまさに、“神の領域の話”なのかも知れ

ませんねえ...」

「うーん...」夏美が、口に手を当てた。「“意志的な生命圏の創出”...ということでしょ

うか...?」

「そうまでは言いませんが...これは、科学を超越した話になりますね...

  高杉・塾長の言われる、“36億年の彼”をも超える...生命潮流の意志的な流れ

なるのかも知れません...メタンハイドレートには、そうした触れてはならない、危ういも

のを感じます...」

「うーん...ともかく私たちは、地球という巨大生命圏について、より多くのことを知る必

要がありますね、」

「まあ...そういうことですねえ...

  “地球温暖化”という問題は...人類文明が、地球表層という閉鎖的空間を打ち破ら

ない限り、人口の激減という事態は、必至だということです...それ以外の方法では、

乗り越えられない課題です...言い換えれば、いかに適正な人口に、軟着陸するかとい

う問題になるわけです...」

「その点、日本は...急速な人口減少社会に向かっているわけですね...

  これが、長期展望上、何よりの強みではないでしょうか...経済大国や、金融大国

や、資源大国になるよりも、適正な人口規模縮少することが、何よりも重要な時代です

わ...もちろん、日本だけで解決できる問題ではありませんが、」

「その通りです...

  ともかく、日本水先案内人となることはできます...社会体制“自給自足農業”

細分化し...“万能型・防護力”/〔人間の巣/未来型都市〕の展開で、安定化してい

くことでしょう...

“万能型・防護力”は、専守防衛であり、周辺国の軍備増強にも対処できるものです」

「はい...」夏美が、うなづいた。「軍事・担当大川さんが言うには...

  核弾頭にも...通常戦力にも...大量破壊テロにも...宇宙空間からの攻撃にも、

“万能型・防護力”を発揮すると言いますわ...アメリカの核の傘を離れ、日本独自の防

も、可能だと言っていました...」

「うーむ...大川さんがそういうのなら、そうなのでしょう」

「はい...

  その上で、“日本独自の世界平和戦略”を展開するべきだと言っていました...時

代は、その方向へ動いているのかしら?」

「さて...ともかく、世界が流動化しています...

  そうかも知れませんが、その問題は軍事・担当大川さんや、津田・編集長に譲り

ましょう...」

「そうですね...」夏美が、頬に笑窪(えくぼ)を作った。

 

   〔2〕 “炭素”という元素について・・・ 

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「ええと...堀内さん...」夏美が、自分のモニターをのぞいた。「炭素と言えば、まず

思い浮かぶのは、黒鉛/グラファイトですね...炭素/(/原子番号:6/原子量:12.01/)

いう元素について、もう少し詳しい説明をお願いします」

「うーむ...そうですね...

  遊離状態の炭素/単体の炭素としては、ダイヤモンド黒鉛/グラファイトなどとして

存在します。化合物としては、二酸化炭素炭酸塩などの無機化合物があります。それ

から、炭水化物炭化水素などの有機化合物として、DNA型生命やその生態系の、

心的元素になっています。

  炭素は...常温では、空気などの作用を受けないし、普通の薬品に侵されるこ

ともありません...これは、タンパク質でできている、私たちの人体の特徴に反映してい

るのかも知れません...

  それから、高温では容易に酸素と化合するので、酸化物の還元金属の精錬(純度を

高める精製の工程)などに利用されますね...」

炭素同位体(原子番号が同じで、質量数が異なる元素)として...C12C13C14などがあり

ますが、」

「そうですね...

  同位体というのは、原子核陽子数が同じで中性子数が異なる原子です。ええ、水素

では、重水素3重水素が知られています。炭素は、原子番号:6(陽子数:6)で、中性子

数が異なる、C12C13C14があります。

  炭素の同位体の中では、C12(陽子数:6/中性子数:6)が最も多く存在し、安定しています

ね。C13C14は、中性子1つづ多いわけですが、わずかしか存在していません。し

かし、それなりに、有効に活用されています...」

「それは、どのぐらいの割合なのでしょうか?」

「そうですねえ...

  自然界の炭素は、C1298.93%と、C131.07%ですね...それで、炭素/

の質量は、正確には1 2.01となるわけです。C14は、時間を経ると自然に減少して

いくので、存在比率というのは、多少ややこしくなります。ともかく、非常に少ないというこ

とです」

「はい...こうした元素は、何かの役に立つのでしょうか...?」

「ええと...

  C13は、磁性をもっているので、内臓断層撮影(MRI)などに利用されるようで

す。それからC14は、よく知られているように、放射性同位元素(ラジオアイソトープ)です。β

という放射線を出しています。これは“炭素14法”などの、年代測定に使われているの

で、私たちもよく耳にしていますね...

  他に、C14ラジオアイソトープの性質は...トレーサーとして、植物の光合成量の

測定や、河川や地下水の流量の測定などにも利用されますね...まあ、その他にも、

医薬品の効いている部位の測定などに利用されているようです...」

「はい...」夏美が、自分のモニターを眺めた。「ええと...

  最近の話題としては...メタンハイドレートと、フラーレンがありますね...フラーレン

についても、基礎的な問題ですので、一応、説明しておいていただけるでしょうか、」

フラーレンですか...

  この、フラーレンというのは、炭素原子60個からなる、サッカーボールのような、立体

的・炭素分子構造を言います。この立体的・炭素分子構造は、60個で構成されるものば

かりではありません。実に、様々な数のものがあります...

  607084102 といったように、さまざまな数の炭素原子で、ボールが形成

れます。こうしたものの中に、560個の炭素原子からなる560があります。ところが、こ

大きなボール状の網カゴの中をのぞいてみると...中に240があり、さらにその中

80が入っていたと言います...まあ、極微の世界のマトリョーシカ人形(ロシアの民芸品)

のようですね...」

「はい...」茜が、肩をかしげで微笑した。「マトリョーシカ人形ですか...」

「それから...

  ダイヤモンドも...結晶構造を持つ、炭素“同素体”(/同一元素からなるが、原子配列や結合が

異なり、性質も異なる単体)の1つですね。“同位体”(原子番号が同じで、質量数が異なる元素/中性子数が異なる

元素)と似た言葉ですが、覚えておいて欲しいと思います。

  つまり...ダイヤモンドというのは、黒鉛/グラファイトと同じ成分ですが、自然界では

最も硬い物質となっています...そのダイヤモンド結晶構造というのは、8面体が多

いのですが、12面体6面体もあるようです...まあ、宝石としてのダイヤモンドについ

ては、私はあまり詳しくは知りませんが...」

「うーん...」夏美が、髪を揺らした。「ともかく、ダイヤモンドは...地球内部高温

高圧の環境で生成されるわけですね?」

「そうです...

  人工ダイヤモンドもありますが、自然界にあるものは、地球内部で作られます...

は、高温になると液体になります。そして低温では、黒鉛ダイヤモンド結晶化しま

す。これは、その結晶構造が違うということですね...ともかく、ダイヤモンド炭素から

できている共有結合の結晶 ( 巨大分子 )です...」

「うーん...炭素は、どのぐらいの温度で液体になるのでしょうか?」

「これは、高いようですねえ...ええと...融点は3550℃... 沸点は4800℃とあり

ます」

1気圧でですね?人工ダイヤモンドでは、相当に高い圧力をかけるようですわ、」

「そうですね...

  私は、ダイヤモンドのことは、詳しくはないのですが...これには温度圧力が関係し

ているようです。人工ダイヤモンドでは、圧力が相当に高ければダイヤモンドになり、低け

れば黒鉛になるようですね...まあ、工業用ダイヤモンドですが、最近ではいいものも作

られていると聞いています」

「はい...黒いものから、天然ダイヤモンドのように、透明なものまでありますわ...堀

内さん、ダイヤモンドが燃えるというのは、本当なのかしら?」

「はは...」堀内が笑った。「私は試したことがないですがね...本当なのでしょう」

「はい、」夏美も、笑ってうなづいた。「あと...ナノ・テクノロジーの分野で、カーボン・ナ

ノチューブというのがあります。これは、どういうものなのでしょうか?」

「うーむ...

  これは...炭素によって作られる“六員環ネットワーク”というものが...単層/多層

同軸管状になった状態ということです...炭素の同素体ですが...フラーレンの1種

として分類されることもあるようですねえ...

  まあ、こうしたものは、詳しく知りたいのであれば、その方面の専門分野のホームペー

を見ていただきたいと思います」

「あ、はい...

  非常に専門的になるわけですね...ええ...炭素の基礎知識としては、このぐらい

にしておきまましょうか...

  問題は、地球という惑星レベル/地球生命圏レベルでの、炭素コントロールということ

になりますね。人類文明が、地球の全生態系を席巻してしまい、惑星レベルの炭素循環

にまで、異変が生じて来ているということですね...

  “文明の第2ステージ/エネルギー・産業革命”による機械文明と、“緑の革命”による

爆発的な人口増加で、地球の全生態系の歯車まで、狂い始めたということですね...」

「その通りですねえ...

  私たちは、まだ、あまりにも無知なるがゆえに...かけがえのない地球生命圏を、

してしまおうとしているという事です...今、人類に求められるのは、謙虚さでしょう。

経済原理/欲望の原理で、処理できるレベルの問題ではありません」

「でも、すでに...海水面の上昇気候の大変動が、始まっているということですね、」

「そうです...

  そうした中で...現在ようやく、COの排出権取引”などが議論され始めました。し

かし実際には、それよりも、1歩も2歩も進んだ対策が必要なのです...まさに、“コペル

ニクス的転回(カントの言葉/『純粋理性批判』)が必要です...“文明の折り返し”が、急務の状

になっているということです」

「はい!

  ええ...地球生態系の風景も単調になり...生態系の中では、絶滅種絶滅危惧

が膨大なものになりつつあります。“櫛(くし)の歯”が抜け落ちるように...また、“華麗

に織り込まれた生態系という布”の、縦糸横糸が抜き取られるように...地球生命圏

が、極度に弱体化して来ています...多様性・複雑化のベクトルも、衰退しています。

  “グローバル経済の最後の加速”は...この“華麗に織り込まれた生態系という布”

から、“最後の命綱”...その縦糸横糸を、抜き取ろうとしています...それが、抜き

取られれば、もはや取り返しがつきません...その時は、地球生命圏に、“6度目の大

量絶滅”がやって来ることは確実です...」

 

             

「ええ...夏美です...

  このシリーズでは、こうした状況下で、人類文明の炭素コントロールについ

て考察を開始します...どうぞ、今後の展開にご期待ください...」

 

 

                                                   

                    

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