嘆願書の取消

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弁護士河原崎弘

相談:嘆願書に捺印した

夜の駅でのことでした。私の前で切符を買っている人がモタモタしていました。私の後ろに並んでいた人が、「早くしろ」と大声で言いました。前の人は切符を買って振り向くと、突然、私の顔を殴ったのです。周りの人がその人を押さえ、警察に行きました。
私は、頬の骨にひびが入り、病院で、全治4週間との診断を受けました。
加害者には傷害の前歴がありました。加害者の父親が家に来て、示談になりました。示談は、「加害者が、治療費、休業補償の他に慰謝料30万円を支払う」との内容で、示談のときに20万円の支払いを受けました。熱心に頼まれたので、私は、「寛大な処分を求める」との嘆願書にも捺印しました。
その後1か月経過しましたが、加害者は、残りの示談金を支払いません。
私は、嘆願書を取消したいですが、できますか。

弁護士の回答:嘆願の意思表示は撤回できる

嘆願書 については、法律に規定がありません。嘆願書の取消(正確には、撤回)についても、法律に規定がありません。嘆願書は、被害者などが、一方的になす意思の表示ですから、その取消しも一方的におこなえると考えてよいでしょう。
事件後まだ1か月しか経過していませんから、事件は、まだ、検察庁にあるでしょう。検事宛に、書面で、示談金を支払ってもらえないこと、嘆願書を撤回する旨通知するとよいでしょう。
刑事事件に伴う示談(和解)では、示談金がきちんと支払われないことが多いです。嘆願書は、示談金が全額支払われた後に書くべきだったですね。

関連質問:刑事裁判は終わっていた

加害者側を考慮した嘆願書を拝見させて頂きました。当方の場合は、娘が交通事故の被害者です。
現在、事故から2年8ヶ月経過しましたが、加害者が加入していた保険会社が治療費などの立替を清算してくれたのは、僅か事故後2か月間だけです。
加害者は、事故当時、未成年だったので、 昨年9月に、両親に宛てに、「保険会社が治療費などの清算していないこと、きちんと賠償が終わるまで保険会社のやることを見守ってほしい」旨、手紙を出しましたが、何ら返事があ りませんでした。
最近になって、事故状況と加害者の刑事裁判を調べたところ、この保険会社と加害者の母親とその代理人から、「加害者は被害者に充分謝罪し、保険会社がきちんと無 制限の任意保険で対応している」との嘆願書が出されているのを知りました。判決は、昨年7月16日に出ており、懲役1年、執行猶予3年です。
判決後まもなく1年を迎えます。今月(7月)16日までに、「嘆願書に嘘がある」と、裁判所に訴えた方がいいでしょうか。
または3年の執行猶予期間中 であればいいのでしょうか
訴えることで、法的に加害者に裁判のやり直しとかの何らかの制裁は可能なのでしょうか

弁護士の回答:損害賠償請求をする

この嘆願書は、加害者の母親などが提出したものですので、あなたが取消すことはできません。しかし、内容が虚偽であると通知することはできます。
刑事事件は、既に判決の言渡しが終わり、確定しているようです。残念ですが、今からは、そのような申出をしても、意味がありません。
今できることは、民事事件として損害賠償を請求することです。この権利も3年で時効消滅しますから、急いでください。
登録 July 6,2010
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 電話 3431-7161