控訴審で一審判決が取消される可能性(確率)は

弁護士ホーム離婚
2017.10.11mf

弁護士河原崎弘

相談:控訴すべきか迷っています

有責配偶者(夫)から離婚請求訴訟 を提起され、弁護士に依頼しました。
先日、判決があり、離婚が認められてしまいました(敗訴)。
私は、この判決に不服です。弁護士は控訴を勧めます。私は、迷っています。そもそも、控訴審で一審判決が取消される可能性(確率)は、どのくらいあるのでしょうか。

お答え

控訴審は合議制で、審理は原則1回

1審では、通常、1人の裁判官(単独制)が審理し、判決します(1審でも、重要な事件は3人の裁判官が審理、判決)。2審(控訴審)では3人の裁判官(合議制)が審理し、判決しますので、2審の方が、1人の裁判官の個性に偏ることなく、より平均的な判断がなされる可能性があります。
控訴審は、新証拠がない限り、弁論期日は1回で終わります。

民事控訴審の統計

下記は、令和3年度控訴審における判決の状況です。
12,109件の控訴申立があって、判決になった事件は7,286件、そのうち、一審判決が取消されたのは1,575件です。取消された割合は22%です。 なお、控訴された事件で和解が成立したのは3,556件、和解成立率は約29%でした。

控訴審通常訴訟既済事件数―終局区分別 ― 全高等裁判所(民事・行政):令和3年度司法統計)より引用

手続きの種類控訴申立総数判 決決定命令和解放棄認諾取下げその他
判決総数棄却取消し却下その他
平成21年度 15,1028,8856,4502,3423459351844,7671071,110104
平成24年度 18,98611,4298,8392,4934057742265,387441,745117
令和3年度 12,1097,2865,6311,5753050421843,5569-905127

有責配偶者の離婚請求事件の場合

なお、有責配偶者の離婚請求は、別居期間の長さ、子供の有無、配偶者と子供の生活に対しどのくらい配慮したかなどによって結論が異なります。さらに、裁判官個人の考え方によっても結論は異なります。1審は単独の裁判官ですが、高裁は、3人の裁判官ですので、より平均化された判決が出ます。
従って、控訴審で原判決が取消される可能性(確率)は、かなり高いです。一審判決に納得できなければ、控訴すべきでしょう。

なお、控訴審では、口頭弁論期日は、多くの場合、1回です。その期日までに、全ての主張をし、証拠を提出する必要があります。

2011.9.27
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 電話 3431-7161