続・250万円の経緯(抜粋)



4:会計士へ……


[96/9/〜]

 幸い、事務局にあった領収書類の大半は私の手元近くにありました。しかし、
私自身会計の専門知識がありませんでしたし、スタッフの中にも会計に詳しい
人間が居なかったため、今大会の証憑類その他を「会計士」の手に委ねる事に
しました。
それは『菱田氏から何らかの改竄がなされる前に会場の請求明細・内訳を回収
する』必要があったからです。というのも先の電話(=テープその1)でも明ら
かになった通り、氏は会計になんらかの手を施し不正を画策している気配が
濃厚で、それはなんとしても避けねばならぬと判断したからです。



私は会計士の能丸政考氏の元を尋ね、今大会の経緯、そして菱田氏が不正を
意図して、なんらかの改竄を用い、助成金までをも不正に搾取するつもりで
あること…。また、『実行委員会のスタッフが、誰一人として知らず知らず
のうちに不正に加担させられることがない様に、そして巻き込まれない様にし
たい』という切迫した事情を事細やかに説明し、能丸氏に理解と協力を求め、
能丸氏はこれを引き受けてくださいました。

会計士に委ねるべきと判断した理由は以下の通りです。

1・実行委員会の中には私を含め、会計に精通している人間がいなかった。

2・菱田氏、またはその関係者・友人の手が及ばないところに会計資料を隔
  離しておきたかった。

3・会計士にこれらの資料をつまびらかにする事で、適正な帳簿を作成す
    る為には、あと何の資料が不足しているか? また、どのような事務処
    理を行なうべきであったか、そしてさらに決算に必要な請求明細・内
    訳は何かを再認識する為。

4・あとで、菱田氏が誰かれに責任転嫁出来ない様、不正の無い適正な帳簿
    を作っておきたかった
 
そして能丸会計士は、帳簿作成の為、最低限必要とされる、次のものを早
急に揃える様、指示してくださいました。

 (1)大会の参加費(入金)の合計、差し引いた経費(出金)の明細がわか
     るもの

 (2)会場費の合計金額と内訳(明細)がわかるもの

上記のどちらも、大会の窓口となった旅行代理店「N旅行」でないと出せ
ない資料でした。

私はとにかく請求明細・内訳の回収を急いでいました。
なぜなら9/15には「総会」と称する最終スタッフ集会ならびに会計報告が菱
田氏の段取りで執り行われる事がこの時すでに決定していたからです。

その集会までには、実にあと10日程しかありませんでした。


5:N旅行


[96/9/13]

 決算報告ならびに「帳簿作成」に必要な請求明細・内訳を入手すべく、能丸
会計士と私は、N旅行に対し不足している会計資料の提出を求めました。
しかし、N旅行からは催促の連絡する度に提出日を順送りされて、この13日を
迎えます。N旅行は請求明細・内訳の提出を求めた会計士に対し依然、提出を
拒みます。



 大会はすでに終了し、20日近くが経過していました。N旅行からは依然として
会場使用料の請求書明細・内訳、また参加受付の収支が出ないことに対し、私
は苛立ちを感じていました。なぜならば合計何人の参加者が居て、いくら参加
費の入金があるのか?といった収支については大会の総窓口であるN旅行でな
いと解らず、また、今大会のメーン会場であったホテルの会場使用料の請求内
訳はN旅行を経由してでないと明らかにならないものであったからです。(*1)

 そして、最終スタッフ集会(以下=「総会」)の日時はもう目前にまで迫ってい
ました。

(*1)大会のメーン会場であるホテルの会場使用料は、当初、直接、実行
委員会に請求が来ることになっていましたが、いつのまにかN旅行を経由し
て実行委員会に請求されることに変更されていました。
後の調査で明らかになったことですが、その変更は菱田氏の希望であったので
す(詳細は後のContentsにて、ご説明いたします)。

「総会が9/15なので、この日までに資料をもらえないと、まとめることが出来
ない」と、N旅行側に会計資料(まず入・出金の明細)提出を強く要求しま
した。しかし、再三に渡って資料の提示を要求したにも関わらず「じゃあ、受け取り
にきてもらえれば、13日に渡してもいいです」という不誠実な返事しかもらえま
せんでした。それでも急いでいた我々は、能丸会計士にN旅行に出向いて
いただき、請求明細・内訳の一部を回収します。

 しかし、N旅行には15日に「総会」がある事を事前に伝えて、作成を依頼していたにも
関わらず、ここで回収できた資料は完全なる請求明細・内訳とは言えず、僅か以下
の一部の資料だけでした。

(1)不完全な参加者の参加申し込み内訳一覧(入金分)
(2)参加者の支払い原票(入金分)

 回収した資料ではとても会計報告に使用できないと、会計士も判断せざるを
えませんでした。
N旅行には15日に「総会」がある事を事前に伝えて、作成を依頼していたにも
関わらず、回収した資料のありようは会計士の判断で、とても15日に間に合う
ものではない状態であったといいます。しかも肝心の「会場の請求明細・内訳」
はN旅行の担当者(仮名)S氏が、「部外者には渡せない」という理由(?!)で
渡してはもらえなかったということです。

 この連絡を能丸会計士からいただいて、私はN旅行の担当者S氏に「何故
出せないのか?」と電話で尋ねました。
その結果、以下のことが判明します。

  1・Rホテルからの請求書(内訳)は、N旅行には届いている。
 
  2・N旅行からの請求書は、手数料などの計算が終ってないのでまだ
      出せない。

  3・Rホテルからの請求書だけを実行委員会に出すのは菱田氏から
     「待ってくれ」という指示がN旅行に来ている。

 4・大会当日に受付けた参加者の名簿は菱田さんの指示でそのまま
    (作成しないまま)になっている。

 結局、N旅行の担当者(仮名)S氏は「菱田さんがRホテルに会場費を値引いて
もらっている(*2)。菱田さんの話が終っていないので(資料を)出せないんで
すよ」「もっとも値引きの話はウチ(=N旅行)とRホテルさんの話で企業秘
密の部分もありますから、そのままでは部外者には(話すことが)出来なかっ
たんですよ」と答える。

ここで、N旅行が実行委員会に対して請求明細・内訳を渡せないのは何故か?
菱田氏にはあらためて尋ねる必要が生じました。

(*2)後に、ホテルサイドにこの「値引きの交渉」なる理由でN旅行を
通して「差し戻し」の事実があったのか? という事についてお話を伺ったとこ
ろ、「大会が終了してすぐにN旅行に対して請求書を出している。」「差し戻し
をされた事実は無い」とのコメントをいただきました。
また、「菱田氏の指示で出せない」と言った直後、「企業秘密の部分で出
せない」との度々変わるN旅行のコメントは、納得の行くものではありません
でした。



6:「総会」前日の菱田氏と


[96/9/14]

 「総会」を翌日に控えたこの日、菱田氏と電話で話す。(*3)
というのも帳簿作成の為の請求明細・内訳の"一部"を菱田を通さず入手した事
で、私が会計士と一緒に行動をしている事になんらかの不審をいだいたのか?
菱田氏は「物分かりが悪いな」と言った風な、実に言い諭す様かの様な口振りで
前回にも増して、より具体的に不正の意図を林田に説明しました。

=====

(*3)この章を裏付ける「テープその2」が存在します。「テープその2」は前回
の「テープその1」、そして「テープその3」との連続性が大変重要になります。
合わせてお聞きいただく事を希望いたしております。
こちらを参照ください。


(その1・菱田氏の思惑)


昼間、菱田氏は職場に電話を掛けてきて、私に「水増し請求をしようと思う」とい
う意志を明らかにしました。おそらくはN旅行からの連絡で私が会計士に頼んで
菱田氏を通さず、無断で明細の一部を回収しに行った事につき、なんらかの不審を
いだいたのか?早速コンタクトを取ってきたのであろうとこの時、認識しました。

 私は仕事中という事もあって、あらためて掛け直すことを菱田氏に伝え、一旦電話を
切り、「菱田氏の具体的な考えを聞き出すにはどうしたら良いか、そして不正を回避
するにはどうするべきなのか」を思案しました。
 そして、9/4の電話と同様、できるだけ菱田氏から聞き出しを試みました。

1、まず、私はホテル(会場)からの請求書がN旅行に届いているか否かを菱田氏に
    確認しました。菱田氏は、以下の様に答えました。

      「ホテルからはN旅行に(請求書は)来ている」
      「N旅行で"落し込み"(=調整)をして実行委員会に請求する」

2、次に菱田氏が昼間電話を掛けてきたときに口走った「水増し」の具体的な方法
  について尋ねました。そうすれば、菱田氏の不正な行為に対して回避・防衛策
  がたてられると思ったからです。
 
      「水増しというのは、大きいところ(=項目)の数字のところをもうちょっ
        と膨らまそというみたいなヤツですけれどね」

 と、菱田氏は意図を明らかにしました。
 しかもN旅行から出される金額をもとにして、菱田氏が数字を水増しするというこ
ともはっきりと断言しました。

3、電話を切ろうとすると菱田氏は、私が依頼した会計士の制作する帳簿の出来具
    合を尋ねてきました。そして私と菱田氏の意志がかみ合っているか?をあらため
    て確認するかの様に↓

      「会計士には(大会の会計が)黒字になるといっているよね?それを
        赤字にしたいとも言っている?」

私は不正を同意するかの様な不適当な発言が無いよう、慎重に言葉を選びながら
「9/15に会計報告をするために、明確な(不正の無い)帳簿を作製してもらうこ
とが目的である」とだけ菱田氏に言いました。

※ここで解った事は菱田氏は会計士の社会的信用性をも利用して「黒字の会計を
赤字にする」ことによって、翌日の集会で行なう氏の(虚偽の)報告に真実性を
持たせようとしていたことです。

※私は依然、菱田氏の指示通りに動いているかの様に注意深く接する事を心がけ
ました。さもないと菱田氏の真意を聞き出せないばかりか、なまじ反発する素振
りなどみせたりしたら、菱田氏はたちまち証拠を隠滅し、「8/10文書」のように
自分を絶対安全な場所において、私や実行委員会の誰かに罪をなすりつけたりする
ことは目に見えていたからです。

※幸いにも菱田氏は私を「ただの世間知らず」と見てくれていたようで、単に私の
物分かりが悪いだけだと思い込んだようです。
そのため、菱田氏は噛んで含む様に会計を赤字にする方法を説明し始めました。
また、N旅行と実行委員会の間に菱田氏を入れて、その後の監査を躱すプランもあ
るんだよと得意げに語り始めました。
 
4、私は、電話の最後にはっきりと「N旅行の会計資料が無いから帳簿が完成しな
い。資料・明細が欲しい」ということを菱田氏に訴えました。

※菱田氏は、物分かりが悪いな、という口調で……

(菱田)「林田と菱田がばらばらに動いて(=N旅行に請求して)金額的なものが
        (請求の前にはっきりと)出るとN旅行も困る。だから(請求明細・内訳)
         出せない」
   
(菱田)「あなた(=林田)が(明細資料を取りに)行っても、会計士さんが行
          っても絶対に出ない!」

 と、やはり菱田氏は意図的に私たちに資料を渡さなかったのです。

 ところが、ここまで分かっていても菱田氏のこの発言のみで、何一つ証拠は得ら
れておらず、前述の様に、今追求したとして、かえって彼を刺激すれば実行委員
会に罪をなすりつけられた上、証拠を隠滅される恐れがあると、このとき思いま
した。
 
※とにかく「請求明細・内訳を得るまでは、決して私の気持ちを悟られてはなら
  ない」と思いました。
※この時私を支えていたのは「菱田氏があとで何をしようと、私が会計資料を先
  に仕上げてしまえば、実行委員会の皆が不正に荷担したことにはならない。
  とにかく、N旅行の請求書を入手することだ」という一念でした。
  この様に私達は、何としても菱田氏より先に完全な請求書明細・内訳をN旅行
から入手する必要がありました。


(その2・会計資料不足につき「総会」不参加)

 同夜、再び信頼できるスタッフの数人と私と寺西氏は、これらあからさまに不正を意
図し画策をしようとしている菱田氏の思惑に対し、どのような姿勢でのぞむべきか?
を討議をしました。そこで話し合いの結果、「2つの事」を決定しました。
1つめは翌日の集会に「林田は欠席する」ということです。

 これは、請求明細・内訳の不十分な状態では明確な会計報告(作成)は道理的に不可
能であるということ、また、菱田氏はあくまで不正な会計報告を強行しようとする気
配が濃厚であり、かつ、うやむやの内にそれを押し切られることを危惧したからです。
 私が出席している集会で、このでたらめな会計報告が承認されては、私も会計報告
を承認したことになってしまう、それは断じてあってはならないと思ったからです。

 そこで、欠席するかわりに、(仮名)N氏(現、管理委員会スタッフ)4に「根拠無き
会計報告は、私にはできません」という主旨の委任状を託すことにました。

 また、明日の総会は実行委員会として「最終スタッフ集会」であり、それは「実行
委員会の実質的解散」をも意味するものでした。
すなわち実行委員会が解散してしまえば、この菱田氏に対する追求は実行委員会とし
ては出来なくなってしまいます。

 それは不正を強行しようとする菱田氏にとってはこの上なく願ってもない事である
と、容易に想像出来るものでした。(*4)

(*4)菱田氏は予想した通り、裁判が始まるや否や「管理委員会そして林田が一体何の
権利、誰の承認を得て原告を語り、裁判を行っているのか?」また、「返還請求を求
める権利がどこにあるのか?実行委員会は無いのに、どこにそのお金を返還すること
となるのか?」と、予想通りの反論を展開し、ごく最近まで「原告適格が管理委員会
には無い!」と氏は主張を繰り返して続けてきました。

そこで、2つめの決定事項として、実行委員会に変わる「管理委員会」の発足をこの時
発議することとなります。


(その3・管理委員会の発足へ……)

 この集会を最後に実行委員会は解散する。
 それを最も危惧した理由は実行委員会として今後菱田氏を追求出来なくなってしまう所にありました。

 かといって、私が単体で氏を追求しようものなら、前述の通り「実行委員会の
誰の許可を得てしているのか?」「そんな権利が君にあるのか?」などと切り替
えされ、あるいはまたしても各所で侮蔑的な発言で吹聴し、私を陥れる行動をと
るだろうことは充分予測出来る事でした。

 実行委員会の皆に理解を求めることも勿論考えました。しかし、この時点では
まだ明確な証拠もなく、充分に説得する時間もないままで、理解を得ることは不
可能と言わざるをえない状況下でした。

また、皆に理解を求めるという事は『実行委員会のスタッフが、誰一人として知
らず知らずのうちに不正に加担させられることがないように、そして巻き込まれ
ないようにしたい』という当初の私達の目的・考えに矛盾するのではないかと悩
み、大変躊躇しました。

そこで、私はこの日集まった限られたスタッフにのみこれらの理由を述べ、つま
びらかにし私は管理委員会の発足の必要性について理解と協力を求めました。

それが後に「コクラノミコン管理委員会」として原告となる発端であります。



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