規制のため、ちびエリミの馬力は二度にわたって落ち、その結果最高速が落ちています。初期モデルでは最高速が110km/h程度出ていたといい、風防を付けると、メータスケール一杯まで出るらしいのですが、現行03年モデルでは最高速80-90km/h程度のようです。ハッピーメーター度(但し速度計及びメータスクリューの部品番号は同じ)の違いやタイヤの違いもあるかも知れませんが、残念ながら最高速低下は事実のようです。往年の2スト125車はおろか、CD125TやCB125Tにも全くかないません(まあ最高速を云々するバイクじゃないけど)。
2ちゃんねるバイク板「エリミネーター125」スレッドで、パワーダウンの原因と対策について論議がありました。要点をまとめておきましょう。「レス番」が多岐にわたりますので、いちいち引用する事はしません。同サイトを御覧下さい。
エリミ125は大変な不人気車で、元オーナー兼女性ライダーが開いている人気サイトはありますが、オーナーズクラブがありません。ネット上でもほとんど国内仕様車についての情報がない現状です。なお、部品番号はカワサキのパーツ検索サイトで調べられます。また、サービスマニュアル(5000円程度)は、年式による変更点を補遺の形で掲載していますので参考になります。
いうまでもなく、この文書は違法改造を勧めることや、法定速度以上での最高速アタックを勧めることを目的としてはいません。あくまでも技術的興味によるものです。もちろん、この文書の内容を信じて何か良くないことが起きても、当方は一切関知しません…エコエコアザラク…m(._.)m
早速ですが、どのような理由と方法で馬力低下が起きているかです。
シリンダ、ピストン、カム、カムシャフト、バルブなどは、A1-A6まで全て共通の部品番号です(部品レベルで共通です)。バルブタイミングや、低速での点火時期も同じです。クラッチやミッションも同じ。
A3とA4との間で13.1ps/9500rpm→11.8ps/9000rpmと一割減。と
とを比較してください。前者がA1-A3、後者がA4のです。見づらいのですが、エンジン性能曲線の横軸の最大値は11、最小値は3です。A4には8000rpmの辺りに奇妙なディップがあります。
高速側の点火時期を35度に戻すと9500rpmまで回り馬力回復するかも知れません。それにはイグナイタ変更が有効かも。キャブセッティングも濃いめになっているらしい(??)ので、見直すといいかも。KCAを潰したりブローバイを大気開放にしたりしても高速側が伸びそうですが、もちろん公害の元になります。ちなみにKCAはある負圧の範囲で動作するようで、これを潰しても最高速にはあまり効かないかも。アフターファイヤーは顕著に減少するようです。
なお、A1(1998年モデル)は単相交流発電機で、発電量に不安があったのか、CDIはバッテリとオルタの両方から電源を受け、切り替えて使っていたようです。A2で三相交流発電機になり、CDIへの電源供給が整流器-バッテリの陽極に一本化されました。それ以降A6までイグナイタの端子はコンパチで、配線は共通のようです(A3-A5ではメインハーネスの変化がありません)。
A5とA6の間で11.8ps/9000rpm→7.3ps/8000rpmに。
一見大変な馬力低下ですが、要するに吹けなくなった状態です。エンジン性能曲線で判る通り、高回転になるにつれ、全体としてトルクが落ちるようになっています。これについては、公道での使いやすさをできるだけ維持しながら、なんとか騒音規制をクリアするためだとのことです。
部品番号を子細に検討すると、キャブレターのバキュームバルブ(バキュームピストン+ダイヤフラム)の部品番号が
つまり、わざわざ「全開にしても全開にならない」状態にして、規制をなんとか通しているのだそうです。規制項目にフル加速時の騒音や、最大出力を出す回転数の50%での騒音などがあり、スクーターならともかく、空冷単気筒エンジン剥き出しスタイルのバイクだとなかなか大変なようです。ホンダのAPE100も苦労したとか。ホンダは「規制を通す苦労」として、騒音規制対策をネットで一時公開していました。これが馬力向上を目指すエイプ100ライダーの参考になったのは言うまでもありません。
こんな規制をしても、車検のないバイクだと違法マフラー使い放題なので、それ程実効があるとも思えません。わざわざエンジンの性能を出さないようにするとは、カワサキも寂しいでしょうね。非力なのは4st125ですから仕方がありませんが、高速性能に関しては、問題の部品を16126-1352に変更するだけで相当回復するとのことです。もちろん、必要以上に吹かさなければ騒音は増えません。部品代は5000円くらい。日本全国に百人くらいはいるだろう03年式エリミ125ライダーの参考になれば幸いです。ショップに依頼しても技術料は数千円でしょう。A4,A5とA6とでは工場出荷時のキャブセッティングが同じですから、全くのポン付けで済むはずです。
エンジン関係以外を見ると、A1からA6までの間に、オルタの能力が上がりバッテリーを上げにくくなっただけでなく、フロントディスクブレーキが2ポットになり、サスのホイールトラベルが伸び、ハンドルの角度調節が可能になり、タンクに保護を兼ねた立体エンブレムが付く、などの細かい改良も施されています。電装系には機能を落とさない範囲でのコストダウンの努力も伺えます。IRCのタイヤだけはやめてくれ、できればチューブレスにしてくれ、せめてチェーンをシールにしてくれという声も聞きますが…
ふうさんのエリミサイトにあるBBSでこんな噂を聞きました。
Jun., 2005