ルール

 ルール問題は試合の直前まで難航したアリの来日後、特にアリ側が猪木の公開スパーリングを見てからは、強硬な態度で禁止事項が追加され、猪木にとってがんじがらめのルールが出来上がった。
 試合前、ルールの詳細が説明されることはなかった。もし、ルールがもっと認識されていれば、試合の評価は違ったものになっていたかもしれない。
 直前までルールが決まらなかったことも原因だが、このルールでは猪木がなすすべがないことは明かであり、興行的にも発表出来なかった。

5月26日に発表されたルール全文

1.試合時間
  3分15ラウンド、1分インターバル。
2.採点法
  レフェリー1人、ジャッジ2人が5ポイント制で採点。ラウンドの勝者は5点、敗者は1〜4点、
  引き分けの場合は両者5点。各ラウンドの終了ごとに採点。
3.装備
 a)ボクシングのトランクスまたはプロレスのタイツ。
 b)ボクシングのシューズまたは裸足。
 c)ボクシングのグローブまたは空手のプロテクティブグローブ、素手またはこれらの適正な修正。
 d)ボクサーは普通の2インチのガーゼおよび1インチのテープを手に着用。バンテージは日本の
   ボクシングコミッションおよびレスラーの代表に監督させる。
 e)オイル、グリースおよび他の異物を体、拳、頭髪、グローブに塗ってはならない。
4.試合の終了
 a)15ラウンド後、レフェリー及びジャッジのスコアの集計による判定。
 b)ノックアウトおよびレスリングホールドによって意識を失い、10カウントとられた場合。
 c)両肩がマットに3カウント押さえられた場合。
 d)選手が降参またはチーフセコンドがタオルを投げた場合。
 e)医師が、選手が試合を続行できないほど負傷したと認めた場合。
5.反則
 a)ベルト以下を打つこと、コブシ、ヒザでローブローまたは蹴りで急所を打つこと
 b)頭または肩でバッティングすること。
 c)オープングローブまたは手で相手の目を突くこと。
 d)レスラーの手首またはコブシにテープを巻くこと。
 e)レフェリーのブレークの後に打ったり攻撃すること。
 f)ベルが鳴った後に打ったり攻撃すること。
6.規定
 a)ボクサーはスタンディングポジションでいる間は、通常のボクシングのルールに従う。これに加
   えてボクサーはキャンパスに倒れた後もパンチを出すことが出来る。またボクサーはいつでも
   格闘技の技を使用できる。
 b)レスラーはスタンディングポジションまたはキャンパスにヒザをついたポジションにおいては
   通常のレスリングのルールに従う。しかし、両者が立っている間はパンチを出すことが出来る。
 c)ラウンド中のブレークは1人または両者がロープにつまった場合。またホールドのときにロープ
   にさわった場合。この場合は、両者はリングの中央に戻る。
 d)選手がリングロープの外側にノックアウト、投げ出された場合にはリングに戻るのに20カウン
   ト与えられる。
 e)レスラーは空手を使用できるが、これは空手およびレスリングに共通の技に限る

以上のルールは、この目的のために指名された3人の委員によって書かれ認められた。
     ビンス・マクマホン アンジェロ・ダンディ マイク・ラーベル


最終ルール全文(6月23日発表)

1.試合時間
  1ラウンド3分の15ラウンド制、休憩は1分。
2.採点法
  1人のレフェリー、2人のジャッジが5点法で採点する。
3.装備
 a)ボクシング用トランクスまたはプロレス用タイツ。
 b)ボクシング、プロレス用のシューズまたは裸足。
 c)ボクシンググローブ、空手用保護グローブ、素手またはバンテージ着用。各ラウンド選択は
   自由。
 d)バンテージを巻く場合は、相手が承認したもの。
   バンテージは、日本のボクシングコミッションおよびレスラーの代表に監督させる。
 e)いかなる物質も体やグローブに塗ってはならない。ケガをした場合は例外。
4.試合の終了
 a)判定=15ラウンド終了したときは、レフェリー、ジャッジの合計得点が多い方の勝ち。
 b)フォール=肩甲骨を含む両肩がマットについて3カウント経過したとき。
 c)KO=ノックダウンして10カウント経過したとき。
 d)ギブアップ=競技者またはチーフセコンドが棄権を申し出たとき。
 e)ケガ=ひどいケガをしたとき。ただし、判定する権利はあらかじめ競技者が指名したドクター。
5.反則
 a)コブシでベルトの下を打つこと。
 b)ヒザ、ヒジで打つこと。
 c)急所を打つこと。
 d)頭で打つこと。
 e)指またはオープングローブで目を攻めること。
 f)レフェリーがブレークを命じたあと攻撃すること。
 g)首のうしろ、ジン臓を打つこと。
 h)手の平で打つのを除く、プロレスで使うすべてのチョップ。
 i)ノドを打つこと。
 注 プロレスで通常認められたいるキックは禁止する。ただし、ヒザをついたり、しゃがんでいる
   状態のときは、足または足の甲、側を使って、相手を倒す足払いは認められる。ギブアップを
   迫る場合は、相手に意志表示をするチャンスを与えなければならない。大きな反則を犯した場
   合、または1、2回の警告のあと反則が繰り返された場合はレフェリーが失格を宣言できる。
6.規定
 a)ボクサーは立っているときはボクシングのルール。寝技になってもパンチが打てる。
   レスリングスタイルに変更する権利を持つ。
 b)レスラーは反則と規定されたほかのプロレスルールに従う。2人とも立っているときはパンチ
   できる。ホールドしているときはパンチできないが、腕で打つことはできる。
 c)競技者がロープにふれたときはブレークとなり、リング中央へ戻る。
 d)競技者がロープ外へ出た場合は20カウント内にリングに戻らなければならない。
 e)パンチでダウンしたときは8カウントを数え、その間は攻撃してはならない。