十三菩提式

じゅうだんぼだいしき

標式遺跡 神奈川県川崎市十三菩提遺跡

前期末 中部高地・関東


 製作 胎土は砂粒に富む。金雲母を含むものも目立つ。厚さは@o前後が多い。
 器形・装飾 諸磯c式の伝統に加え、北陸や西日本の影響を強く受けた別系列の土器が出現し、複雑にからみあう。器形・装飾の原理がそれぞれ異なるため、分けて説明する。古い段階には、諸磯c式の伝統に、大木5式の影響を受けながら北陸で発達した印刻手法や蕨手状の渦文が取り込まれる。諸磯c式新段階の波状口縁深鉢の波をさらに深くし、屈曲を明瞭にしたトロフィー形の深鉢が著名である。口縁を折り返し状にして、鋸歯状印刻帯を巡らせるものが多い。口辺部には北陸由来の蕨手状渦文や双渦文の退化した横位対弧文が多用される。描線は、竹管内面を利用した深い沈線や結節沈線を複数並列させ、余白を印刻する。口縁部と胴部の境界に橋状把手が現れる。胴部はさらに括れで2部位に分けられることが多い。諸磯c式以来の文様や横位羽状縄紋が施される。平縁の装飾的深鉢では文様帯を多段の横帯に区画して鋸歯文や縦位・横位の対弧文を描く。平縁の深鉢は、2個一組の粒状貼付を散らした縦位の羽状沈線を地紋とすることが多い。新しい段階にはキャリパー状の深鉢で、縄紋を地紋として結節状あるいは素麺状の浮線文で口縁部には横線や横位対弧線、胴部に懸垂文を描くものが主体となる。
 細別名 今村啓爾が1段階から4段階に分けたが定着しない。印刻文の発達に象徴される古い段階と浮線文の発達に代表される新しい段階が有ることは共通認識となっているが、細別名称にには至っていない。

先行型式 諸磯c式 後続型式 五領ヶ台式

隣接型式 大歳山式 福浦上層式 大木6式

学史的・地域的異称 踊場式 桜沢式 晴ヶ峰式 籠畑式 扇平式

メモ かつては「十三坊台」と書かれたこともある。

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