石 の 刃

 鋭い牙や爪を持たない人類は、石器を発明することで獣を超える刃を手に入れました。

 黒曜石のようなガラス質の石を叩き割ると、刃こぼれしやすいけれども切れ味が抜群なシャープな刃が現れます。獣を仕留め、皮を剥ぎ解体するにはこの鋭利な刃が必要です。

 割れにくい石を、時間をかけコツコツ叩いて形を整え、丁寧に磨いていくと、衝撃に強いしっかりした刃が現れます。木を切倒し、柱や材木に仕上げるにはこうして作ったずっしり重い斧が必要です。

 石の目を読み的確に割っていく観察力と経験。機械も使わずに石から刃を磨き出す忍耐力。一つの石器にも、自然と語り合う縄文人の心が込められています。
 水子貝塚から出土した石器は狩猟用具、採集用具、伐採・木工具、食物加工具など、当時の生活の姿を見せてくれます。

 石器にはそれぞれの用途に合う石材を使い分け、近くの河原、荒川の上流、遠く八ヶ岳山麓などから入手しています。

石器の使い方

  目次