青春13階段

             「その時、Y氏は・・・」(その8)

 私と、Y氏の付き合いは長いものです。よく有楽町のK喫茶店や、ガード下のヤキトリ屋
」さんで彼の子供のころの話を聞かされたものでした。
最近は特に過ぎ去った思い出をたどっているようです。「今や将来に思いはないのか。」と
聞くと「それにも格別な思いがある。」とのことですが、将来の話になると若干肩が落ちる
のが気掛かりであります。・・・・
そんな、彼の思い出話の中で印象に残ったところを照会していきます。
「暇な人は気休めに読んで下さい。・・・・・」

 日比谷公園の桜も満開となりました。Y氏と私は久し振りに昼間、女子新入社員の膝下が
白く眩しい公園で落ち合うことになりました。赤や黄色のチューリップが咲き乱れ香ばしい
臭いを漂わせる時期は何故か僕たちは蜜蜂になり女性の膝下の白さが眩しいのです。
 ローソンで買った弁当を開きながら、「最近の小学校では、トイレは男女別に分かれてい
る」ということを話したら、「それは良かった。」とY氏も大変喜んでいました。(情報あ
りがとうごさいました。)

 では、今回の話はと言うと、弁当を頬張りながら若い女性たちの花の臭いに酔ってしまっ
て、おもしろい話が出来ませんでした。「ヤー、MVG君・・・今日はじめじめするような
話は出来ないなあ。」ということなので、こちらから、最近、ヤングたちのザックを背負っ
た姿を見掛けるがどう思うと、私から切り出しました。
「ずいぶん色気のない話だな。」とY氏が話始めました。

小学校の時は遠足を思い出すな。母親が用意した弁当とキャラメルやリンゴなどをザックに
入れて夢のように遠足にでかけたなー。
 それから、秋には親父の実家の柿の実を取りに出掛けて、ザックに柿の実をいれ背負った
のを思い出すヨ。でも、なにか、恥ずかしかったのを覚えているなァー。友達に見られたく
ないなーと思いました。今になって思うと、何故恥ずかしいと思ったのか理由が思い出せま
せん。あまりにも、小さい体に大きなリュックは不格好であると、自分で思い込んだことが
原因しているかも知れません。その頃は周りに気を使う時代であったような気がします。ま
た、柿があまり好きでなかったからかも知れません。

 よくザックの姿を見掛けますが、みんなセンス良く着(付け)こなしています。それはフ
ァッションの一つの素材なんですね。どんな姿、形を作ろうが、周りではあまり気にならな
いそんな良い時代になったんだナアーとつくづく思います。
 でも、ザックは背中で貧相にぶる下がっているようで、ズッシリ重い物を運びたいという
身震いも見せず、その機能が失われている寂しさを感じます。

 ザック、それはおむすびとリンゴの入った遠足の思い出。柿の実をたっぷり入れ運んだ重
くて恥ずかしい思い出、登山で肩にくい込むもの。膨らんで、固く、重いもの。
何か今とまるで違う感覚。・・・・・
 みなさんは、どんな夢をザックにつめて背負っているのでしょうか。・・・・・・

   (次回へつづく)

                    DE 7L3・・・(浦和市)

目次へ戻る 前回へ戻る 次回へ進む