この二人もカンタベリー・シーンを語る上で絶対に欠かせない重要な人達で、参加したグループの数の多いこと。
そもそもフィル・ミラーとピップ・パイルの二人は幼少の頃からの友達で66年頃からフィルの兄、スティーヴ・ミラーらとブルーノス・ブルース・バンドというバンドを結成しクラブなどで演奏を始め、後にロイ・バビントンを加えバンド名をデリヴァリーとし本格的な音楽活動を始めていく中、バビロンというデュオでデビューし歌っていたキャロル・グライムスをライヴに招いたことにからグループに加わり70年に「Fools
Meeting」というアルバムを発表するものの、キャロルはすぐ脱退してしまう。デリバリーはその後も活動を続けるが、71年に解散し、フィルとスティーヴ兄弟は一時デリバリーにも加わっていた、ロル・コックスヒル(sax)とジュディ・ダイブル(vo)らとデリヴァリーの延長線上で、よりインプロヴァイズ指向のサウンドを目指し活動を続けるが、フィル・ミラーは、71年の暮れにロバート・ワイアットの新しいグループ「マッチング・モール」に誘われ加入し、2枚のアルバムを発表するもののワイアットの不慮の事故によりグループはやむなく解散したため、フィルはまたスティーヴとデヴィッド・アレンのソロやゴングに参加していたピップ・パイルを呼び戻し元キャラヴァンのリチャード・シンクレアを誘いグループ結成、キーボードは最初アラン・ゴウエンが務めていたが、最終的に元エッグのデイヴ・スチュワートに落ち着きグループ名を「ハットフィールド&ザ・ノース」とし活動を始めスタジオアルバム2枚とライヴ1枚を発表するもののリチャード・シンクレアが脱退したためグループは解散する。残りのメンバーはそのままデイヴ・スチュワートのナショナル・ヘルスに参加し2枚のアルバムを発表(その後82年にアラン・ゴウエン追悼の為に一時再編されアルバム1枚が発表された)。ピップは同時にセッション色の濃いソフト・ヒープなどでも活動しながら84年頃からピップ自身のバンド「L'EQUIP'
OUT」を始動し、87年と91年に1枚ずつアルバムを発表。そして90年代に入ると再編されたゴングにも参加したり、フィルやヒュー・ホッパーらと「ショート・ウエーヴ」を結成したりしながら、98年には再び豪華なメンバーをゲストに迎えたソロ・アルバムを発表。その後も新バンド「BASH!」を結成したり、再編したハットフィールド&ザ・ノースに参加し、05年来日も果たすが、翌06年8月28日に惜しくも他界。
一方フィル・ミラーも83年頃から本格的なソロ活動に力を入れ始めピップを加えた自身のバンド「イン・カフーツ」を率いてアルバムを次々と発表していますが、04年にイン・カフーツ脱退したエルトン・ディーンがピップと同じく2006年に他界してしまいました。
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CAROL GRIMES AND DELIVERY「FOOLS MEETING」 ジャニス・ジョプリンばりの渋いヴォーカルを聴かせるキャロル・グライムスがすばらしいロック・アルバム。ロル・コックスヒルも参加して後のジャズ・ロック的な片鱗も覗かせる。 |
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Phil Miller「CUTTING BOTH WAYS」 フィル・ミラー初のソロ・アルバムはデイヴ・スチュワートとのコラボレーションも含み、イン・カフーツによる3つのパートからなる16分の大作などフィルのクネクネしたフレーズが心地よいジャズ・ロック。 |
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Phil Miller「SPLIT SECONDS」 前作に続きスチュワート&ガスキンやリチャード・シンクレアとのコラボレーション作もありのバラエティーに富んだ聴き応えある作品集。 |
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Phil Miller「IN CAHOOTS LIVE 86・89」 ヒュー・ホッパーとピート・リーマーが入った86年のライヴとフレッド・ベーカーとスティーヴ・フランクリンに代わった89年のライヴが楽しめる。フロントマンのディーンの存在感が素晴らしい。 |
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Phil Miller「DIGGIN IN」 ベテラン・キーボード、ピート・リーマーとジャコ・パストリアスの影響も感じるフレッド・ベイカーのベースとピップ・パイルによるカルテットでの演奏と打ち込みとギターシンセによるソロ演奏集。 |
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IN CAHOOTS「LIVE IN JAPAN」 91年12月、初来日公演の模様を抑えたライブ。前作「DIGGIN IN」からのナンバーを中心にソロ名義の1・2枚目からも選曲され、ライブならではの各々の充実したソロ・パートを収めた演奏が聴ける。 |
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Phil Miller in Cahoots「recent discoveries」 ピート・リーマー不参加によりキーボードレスの、ミラー、ベイカー、パイルにE・DeenとJ・Dvorakによる2管を加えたクインテットのよるジャズ色濃い演奏を聴かせる。 |
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Phil Miller In Cahoots「recent discoveries」 ピート・レマーが戻って来日時のメンバーと同じセクステットによる演奏でとてもフィルらしいカンタベリーっぽさを感じさせる曲が多い充実した内容でとてもいいです。 |
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Phil Miller / In Cahoots「Out Of The Blue」 珍しくブルース色を強く打ちだした作品。ホーンを加えたsextetとホーン抜きのquartetにゲストのDoug Boyleのギターを加えるなど、今までとはまたひと味違った演奏が聴けます。 |
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Phil Miller・IN CAHOOTS「ALL THAT」 ドラムがマーク・フレッチャーに変わったものの彼ららしいメンバー間のまとまりがよい開放感溢れるのびのびした演奏が楽しめる。 |
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Phil Miller - IN CAHOOTS「CONSPIRACY THEORIES」 E.ディーンの脱退に伴いサイモン・フィンチ(tp)、サイモン・ピカード(sax)の二人が加わり、アニー・ホワイトヘッド(tb)やディディエ・マレーブ(sax)も参加。他にも久々にD.スチュワート&B.ガスキンにR.シンクレアが各1曲ずつに参加してジャズっぽい演奏を聴かせる。 |
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PIP PYLE'S EQUIPE OUT「EQUIPE OUT」 H・ホッパー、E・ディーンにフランス人ピアニスト、ソフィア・ドマンシッチとゴングで一緒だったディディエ・マレルブを加えたジャズ・フュージョン的作品で、それぞれの個性が良く出てます。 |
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SHORT WAVE「LIVE」 H・ホッパー、E・ディーン、D・マレルブ、P・ミラー、P・パイルによる92年スイス「ル・マン・ジャズ・フェス」のために結成されたスーパー・バンド!このメンツゆえ単なるセッションにとどまらない充実した演奏が聴けます。 |
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PIP PYLE'S EQUIPE OUT「Instants」 EQUIPE OUT名義による94年パリでの未発表ライブ。メンバーがピップとディーンの他、ベースにポール・ロジャース、ギターにパトリス・メイヤーと変わって前作でのフュージョンっぽさがなくなりよりジャズ・ロック的内容でメンバー同士のアンサンブルが絶妙。 |
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PIP PYLE「7 YEAR ITCH」 ピップ・パイルの待ちに待ったソロ・アルバムはカンタベリー・オールスターとフランス人脈の参加で唄物を中心に多種多様なサウンドを聴かせるとても楽しい作品集です。 |
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PIP PYLE'S BASH!「Bell Illusion」 ピップ・パイルの新ユニットBASH! はパイルの他Fred Baker(B),Alex Maguire(Key),Patrice
Meyer(G)によるカルテット。02年8月と03年6月フランスでのライブで軽快なジャズ・ロックを聞かせる。 |
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