魔女っ子チックル
マハールターマラ フーランパ!

にも歌われているとおり、指指立てたら魔法の呪文。
「マハールターマラ フーランパ!」である。
大好きだった親友が引っ越していき、ぽっかりと寂しくなった小森チーコ。気晴らしになれば、とお父さんが買ってきてくれた一冊の絵本。夢中になって読むチーコはいつしか寝入ってしまう。その時声が...

「出して!アタシをココから出して!」

絵本の中には女の子。ココから出す呪文を唱えて欲しいという。 チーコは言われるがままに呪文を繰り返す。
「クルンカクルンコテコポコテン!」
...こうしてその女の子・妖精チックルはチーコの前に姿を現しましたとさ。

女っ子、と呼ばれる作品の中で、どうにも中途半端な位置にいる気がするのが、この作品『魔女っ子チックル』。きっと当時見てて覚えてる子たちは結構いると思うんだよね。「魔女っ子モノ」だし、割合関連グッズも多かったし。キャラクターとしての絵ヅラもいい(ありていに言やあ、かわいい)し。ではなぜ、今一つ振り返られないのか?

あ、詰まるところそれは「製作会社」の問題なんだろう。他の魔女たちが東映動画なり、ぴえろなりの括りに納まる(ミンキーモモは健闘してるね)のに対して、これは東映本社製作。概して同社製作作品はなぜだか余り振り返られない!(まだロボットモノはサンライズがらみで注目されるのだが...)それにしてもいわば兄弟会社なのに、『魔女っ子大作戦』にすら入れて貰えないのが、ダイナミックファンとして、アニメファンとして残念だぞ!なあ!

にこの作品にとって不幸なのが、永井豪ないしダイナミックプロ作家のコミカライズが存在しないこと。その上、この『チックル』がデビュー作となる、成実由規によって連載されたマンガも単行本化されていないという点である。

りあえず、俺はもう一度見たいっ!東映チャンネルさん!キッズステーションさん!ホームドラマチャンネルさん!どうっすか!

<追記EX!:2005年12月より、DVD全4巻により初のソフト化!しかも、当時の玩具・グッズ類を資料として貸出・ご協力できるという至福の経験をさせて頂いたっ!集めていて良かった!惚れこんで良かった!ああ、「チックルモノは北波に」と回してくださった皆様にも、感謝し倒してもできないほど頭を垂れまくりますともっ。(涙)>

...それにしても、「制作協力」にクレジットされてる「ネオメディア・プロダクション」は俺の見た資料では後にも先にもこの一作のみなんですが、一体どうしたんでしょうか?
<追記1:Z.Sawatariさまのご指摘によれば、『無敵ロボトライダーG7』『最強ロボダイオージャ』(ともにサンライズ作品)に各話作画で入っているとのこと。失礼しました。>

<追記2:「Webアニメスタイル」でロングインタビューあるも、案の定(笑)チックルには一言もナシ。ただし俺が不勉強で知らなかったネオメディアの沿革に関しては詳細回顧アリ。ああ、Aプロがらみで『ルパン三世』『アタックNo.1』を知らなかったのは、我ながら情けなさ過ぎ>

<追記3:2003年5月26日の日記の方に残したが、その後BBSにてマエダ氏から 放映当時の貴重なクレジット情報を頂いた。これによると、前半は 製作協力がネオメディア。中盤が森下圭介(『グレートマジンガー』の キャラデザイナー)の風プロダクションとネオメディアの混在、 後半が日本サンライズ(当時)と風プロダクションの混在だったようだ。 手元にあるシナリオにもそのように書かれている。>


コミカライズ
クルンカクルンコテコポコテン!

夢見がちな11歳の女の子・チーコ。

彼女は今日も今日とて、老紳士が営む古本屋に入り浸り。そこで今日もお気に入りの絵本をゲット。その夜読みながら、ついうとうとしたチーコの耳に語りかけてくる声。それは絵本の中の少女からだった!驚くチーコに少女は「ココから出して!」と言う。

きっと夢よ、とチーコは少女の言う呪文を唱える。「クルンカクルンカテコポコテン!」

...というわけで、いたずらが過ぎて絵本の中に閉じこめられた、妖精チックルが現世に現れたのだ。若干きっかけがアニメ版とは違うが、骨子は同じ。

このチックル、流石ダイナミックキャラである。

...と言っても「現世に復活したぞ!」つって大暴れしたり
「この世界もワシのシマじゃあ〜っ!」つって虐殺の限りを尽くしたりするわけではないのでご安心。

大体悪さするから閉じこめられるようなヤツだが、古本屋店主のペットのイヌを猫に変え、店主をショックで寝込むまで追いやるし、現世に居着くために、チーコの家族始め周りの人全てを洗脳し、チーコと双子の姉妹だと信じさせる。この風呂敷の拡げ方がウチの妹(非おたく)辺り凄く気に入った模様(当時)。

掲載されたのは秋田書店の「ひとみ」。この号が創刊号である。右が連載第一回のトビラだ。ビバ!2色カラー。執筆する成実由規はこれがデビュー作。「原作・永井豪」のクレジット。

チックルは少女マンガにしてはかなりのつり目でワイルドな顔つきだが、 「永井豪TVアニメ大全」(双葉社)にも見られる豪ちゃんのラフスケッチを参考にしつつも、 「ダイナミック風」でない成美氏なりのアレンジが加わっていて、好感。

ただ、チーコの方はアニメとは異なる印象。ダイナミックお得意の<髪のハネ>がないのもそうだが、ヘアバンドをしてないのが、特にそういう印象を与えるのだろう。

古本店主への仕打ちやイタズラに怒ったチーコが、チックルを一度は叩き出す。そりゃそうだろう。でそれに対し自分の態度を責め、チックルへ感情移入する描写はマンガオリジナルの演出。

左の絵が本編初登場のチックル。ね、目はきついでしょ。

アニメのチックルとチーコが11歳の割にやや肉感的なのに対して、こちらは少女マンガだけにほっそりとしていて、リアル(なのか?)。第一話は極端なつり目をまだ処理しきっていないようだが、この後どうなったのか興味あるところではある。

その他アニメのオープニングのテロップを見ると、「てれびくん」「テレビランド」「小学館の学年誌」にも連載となっている。「てれびくん」ではTV情報ページに1カットでの紹介でマンガ連載はない。他は未調査。

永井豪の筆になるマンガは無いが、同時期連載の 『へんき〜んタマイダー』(双葉社アクションコミックス) 1巻p68/4コマ目に黒髪アレンジされた姿が。2巻p62/2コマ目には、 もっとはっきり主人公・変 金太の前の席に。p112/2コマ目では チーコとペアでなわとびをしている。

また、『超マン』(集英社ジャンプコミックス)にも。 1巻p44/4コマ目にチーコの妹のヒナが(大きくなってるけど)。 2巻p177/4コマ目右ハジでチーコと二人で歩いている。 以上がアシスタントの手になるかも知れないが、ダイナミックな絵柄で 見られる姿だ。 さあ!確かめよう!

その後の皆様からの情報提供にて、ダイナミックプロの筆になる 絵本が2種 あった。アニメの 絵柄のものはどうもなさそうだが。


マンガ『魔女っ子チックル』情報さらに追加。黒ダイナミック・リサーチャーの ヤシキさまより、チクリを頂き新たに2本のマンガが見つかりましたことよ。

まずは「小学一年生」(小学館)掲載の「菜摘ペコ」バージョン。 「プリンセス」連載やらひばり書房や高橋書店でコミックスを出し ている作家さんだが、あいにく俺はこのために検索するまで存じ上 げなかった。70年代後半から80年代前半の作家さんなのかしらかしら。 タッチとしては、端正だがチックルの表情が思いのほか、生き生 きと描かれている。「ひとみ」の成美氏よりもぱっと見で分かり やすい絵柄だ。

連載期間は1978年5月号(2ページ)、6月号(2ページ)、7月号 (1ページ)の全3回。内容は初回が人間界に来たチックルが魔法 を使ってヒナをびっくりさせるというもの。二回目が体育のテス トがイヤなチーコのために魔法で雨を降らせるが、国語のテスト になってギャフン。最終回はドン太たちに取られた花火を打ち上 げ花火に変えて、びっくりさせてめでたく終了。

さて、もう一本は「幼稚園」(小学館)1978年6〜8月号掲載分。 作者は荒スミ子(3回中初回のみこの表記。後は「あら すみこ」) 氏。初回のみ2色カラーで各回2ページ連載だ。時計の勉強のため に、扉に載ってる放送時間7時のイラストが妙な味。

内容としては、初回がドン太たちいじめっ子をチックルが魔法で 懲らしめる話。二回目、三回目はいずれも魔法で食べ物を増やし 過ぎて食べ過ぎる、という執拗な食へのこだわりが心に残る(のか)。

また印象的なのが、わずか3か月での絵の変遷だろうか。この左右 にあるチックル、無論両方とも荒氏の絵だが、左の初回は豪ちゃん タッチかあるいは、アニメの設定画を意識したどぎついチックル だが、右の二回目はすっかり少女マンガタッチ。チックルばかり でなく、チーコもヒナも70年代に流行った線を重ねる(いがらし 風味な)笑顔となっているぞ。根を上げられたのだろうか、あら先生。

しかし両者とも放送は続いてるのに、途中終了なのが残念。 一応付け加えると、他の学年誌の掲載状況は情報程度のようだ。


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