ギンヤンマ Anax parthenope julius ♂

日本のヤンマといえばコレ、と言われるくらい有名なトンボで、誰でも一度は耳にする名前だと思います。昔、近所にギンヤンマの住んでいる池がなかったので、何が何でもとってやりたいと願っていました。神宮外苑にある循環式の調整池にはオスが飛んでいるのですが、網のリーチが届くところまで近付いてくれないのでまったく取れず、ただ眺めているだけでした。でも、眺めているだけでも充分に満足感が得られました。時よりちらつく水色の模様が印象的で、飛び方も力強くて魅力があると思います。今は、東京都内でもそれ以外でも各地にギンヤンマがいるので取るのには苦労しませんが、初めて取ったときは感動しました。個人的に思い入れの強い種類です。子供たちの間でも、オニヤンマよりも若干レアな印象があるらしく人気の高いトンボだといえます。

ギンヤンマ属は日本に4種類います。ギンヤンマのほかにオオギンヤンマ、リュウキュウギンヤンマ、クロスジギンヤンマです。日本での定着が微妙なヒメギンヤンマはギンヤンマ属ではなく、ヒメギンンヤンマ属というグループに入ります。また、ギンヤンマとクロスジギンヤンマとの雑種とされるスジボソギンヤンマは正式なギンヤンマ属ではないようです。

トンボは秋に多いというイメージがありますが、だいたい6月から7月が一番多く、晩秋(霜降、寒露以降)になると数が少なくなっていきます。ギンヤンマはその中でも、成虫は春から秋にかけて長く見られるトンボなので見つけやすいと思います。 成虫の羽化期間が短いと、時期を逃したとき大変です。ムカシトンボなどは春の1ヶ月の間しか羽化しないので、成虫を見つけるのが難しいトンボになってきます。

言わずと知れた激レアなトンボ。レッドリストに載る位深刻な問題を抱えている種類です。見た目の美しさはさほどではありませんが、一度見たら忘れないインパクトがあると思います。それは、本でしか見られなかったものがやっとこの目に映ったという実感からくるのではないでしょうか。このトンボだけは消えてほしくありません。聞くところによれば、環境改善が少し進んだ四万十では数が安定してきているらしいです。

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