名探偵ピンじろうシリーズ
10本足の怪物
第1回

 

 ――便次郎――

 私の名前は便次郎と書いてたよりじろうと読む(冠二郎もびっくりだな)
 ちょっと変な名字だが、私にはりっぱなニックネームがある。
 便次郎の便をビンと読んで、ビンジロウと小さいころ友だちがんでいた。
 それがかわっていき、今ではだれもが「ピンじろう」とんでいる。ピンじろう……ちょっといかしたニックネームだ(…………)
 そんな私は今、たんていの仕事をやっている。「便たんてい会社」とりっぱなかんばんがついている。鉄きん3階だて……はまだゆめだが、一応小さな家でたんていの商売をやっている。では、これから私が1番初めにやった仕事をごしょうかいしたいのである。

 ――10本の足あと――

「ピンじろうさん!」
 ピンじろうがいい気持ちで昼ねをしている所に、男はとびこんできた。ピンじろうはねぼけているような目つきで、その男に話しかけた。
「はい、なんですか」
 その口調もまたあやふやなので、男は水をもってきてピンじろうにぶっかけた(おいおい)
「ウーッ、冷たい! ヒー、目が覚めた」
 ピンじろうはタオルをもってきて、ピショヌレな体をふきながらそういった。
 男は心ぱいそうな目つきをしながら(おまえがやったんだろーが)、ピンじろうに話しかけた。
「もうねぼけていませんね。実はぼくの家の前に1つの死体がおいてあったんです」(いきなりですね)
 そこまで聞くと、ピンじろうは庭の方へ走っていき、自転車にとびのった。
「話は後でゆっくり聞く! ちょっと夕飯を買ってくるので……」
「にげないでくださいよ!」(コントみたいだな(笑))
「しかし、初めての仕事が殺人事件だなんて……。ほかのたんてい事務所へ行ってください」
「あなた、それでもたんていですか!」
「まだ新まいなので……。それでは……」
「ちょっと待ってください。私がどうして、こんなおくびょうな新まいの回転のにぶいたんていを選んだかというと……」
 その言葉にピンじろうはずきんときた。
「こら! おくびょうで悪かったな! 新まいで悪かったな! 回転がにぶくて悪かったな!」
 ピンじろうはカンカンだった。(傷ついたり怒ったりと、忙しい人だ)
「まあ、おこらないでくださいよ! ゆっくりぼくの話を聞いてください! 1ヶ月前にとなり村で殺人事件があったことを知っているでしょう」
「うん、よく知っているとも。田川太郎(ネーミングのセンスも素晴らしい)という1人の男が森の中でたおれていたんだろう。たしか、10本足の男がおそってきたとかなんとか……」
「そうです。その男が死んだ日はちょうど雪だったので、足あとがくっきり残っていたんです。5つ一直線に足あとがあったら、今度はちょっと前の方に5つ足あと。そのくりかえしです。これがその足あとの写真です(右)」
「なるほど。本当に10本足の怪物が歩いているようだ(爆笑)。でもこんなトリックはだれにだってできるさ」
「しかし、その足の指が3本足(は? 意味がわからんぞ)なんです。どうしても人間の足あととは思えないのです」
 ピンじろうはうでくみをしてつぶやいた。
「10本足の怪物か……」


 

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