UPDATED 99/7/19

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

近作の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

どれを見ますか
[99年後半公開の作品の感想] [98年後半公開の作品の感想]

最近封切りの作品の感想のページです
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どれを見ますか

  ball1[カラオケ]
  ball1[鉄道員(ぽっぽや)]
  ball1[菊次郎の夏]
  ball1[コキーユ 貝殻]
  ball1[ワンダフルライフ]
  ball1[RONIN]
  ball1[永遠と一日]
  ball1[スタートレック 叛乱]
  ball1[恋におちたシェイクスピア]
  ball1[39 刑法第三十九条]
  ball1[大阪物語]
  ball1[ライフ・イズ・ビューティフル]
  ball1[りんご]
  ball1[シン・レッド・ライン]
  ball1[鮫肌男と桃尻女]
  ball1[ユー・ガット・メール]
  ball1[バグズ・ライフ]
  ball1[ラブ・ゴー・ゴー]
  ball1[エネミー・オブ・アメリカ]
  ball1[ボクらはいつも恋してる! 金枝玉葉2]
  ball1[セントラル・ステーション]
  ball1[ガメラ3]
  ball1[レ・ミゼラブル]
  ball1[スネークアイズ]
  ball1[鳩の翼]
  ball1[ジョーブラックをよろしく]
  ball1[パーフェクト・サークル]
  ball1[死国]
  ball1[リング2]
  ball1[メリーに首ったけ]
  ball1[恋の秋]
  ball1[あ、春]
  ball1[おもちゃ]
  ball1[宋家の三姉妹]
  ball1[ラッシュアワー]
  ball1[ビッグ・リボウスキ]
  ball1[マイ・スウィート・シェフィールド]
  ball1[のど自慢]
  ball1[アンナ・マデリーナ]
  ball1[時雨の記]
  ball1[ベルベット・ゴールドマイン]
  ball1[アルマゲドン]
  ball1[ロスト・イン・スペース]


ball1カラオケ
 (TBS/ヘラルド 94分 98年)
監督 佐野 史郎
出演 段田 安則  黒田 福美
 人気タレントと結婚した同級生を囲んでの久々の同窓会から始まる群像青春?ドラマ

 佐野史郎の初監督作品、原案も彼とのことです。くせのある役柄等が多かったため、個性的な作品になるのかと思いきや、非常にオーソドックスな作りでした。題材としては「コキーユ 貝殻」と似たところがありますが、不倫まで行かず中学生の頃の感情をそのまま引きずっているところが違っているというか、子供っぽいというか…。こちらの方がいいかなぁと思っていたけれど、ラストでアレッという感じで覆されました。もうちょっと考えて欲しかった。
 キャストはなかなか面白いですねぇ。段田もいいけれど野口五郎が面白いです。カラオケのシーンがかなり長く描写されていいますが、それぞれ配役の選曲が考えられている感じで聴かせるし、笑わされます。息子のシーンもちょっと中途半端だし、映画でなくてもいい気もしますが、第一回演出としてはまあまあかなと思われます。

 評価 ☆☆☆  (99/6/20)


ball1鉄道員(ぽっぽや)
 (東映 112分 99年 ドルビー)
監督 降旗 康男
出演 高倉 健  大竹 しのぶ
 北海道のローカル線を舞台に定年間近の鉄道員を主人公に彼の人生、家族、周囲の出来事を描く浅田次郎の短編の映画化。

 良くも悪くも健さんの映画。それと共に日本映画だなぁという雰囲気プンプンの作品でした。
 キャストも芸達者を揃えて見応えがあります。ただ、そのせいか年齢設定に疑問が起きます。健さんが定年間近なのはともかく、妻が大竹しのぶ、小林稔侍の息子の吉岡秀隆がJR幹部というのもどうだか…。とどめは広末の娘役かなあ。
 主人公の生き様や家族に対する思い、エピソードの積み重ねには頷けるものがありましたが、終盤の雪子の登場になるとやや唐突な感じがして首を傾げざるを得ませんでした。登場すること自体はいいのですが、いくら父親に対する感謝や慰めの言葉を言っても、私には彼の自己弁護の投影にしか聞こえないところがあり、泣けませんでした。一番重要なシーンと思われるだけに残念で す。
 ただ、この映画、鉄道ファンの一人として観ると非常に美しく見応えがある映像です。さすが、木村大作。タブレット(通票)は再三出てくるし、鉄道電話や信号のシーンもあり、見逃せない作品です。広末が作った鍋のグツグツ煮える音もいいですなぁ。テネシーワルツと言えば、健さんが結婚していた江利チエミの持ち歌。この辺りも意味深。

 評価 ☆☆☆3/4  (99/6/19)


ball1菊次郎の夏
 (バンダイビジュアル他/ヘラルド=北野オフィス 121分 99年)
監督 北野 武
出演 ビートたけし  関口 雄介
 下町に住んで妻の収入で食っている中年男が近所に祖母と住んでいる夏休み中の小学生と一緒に一緒に母親探しの旅に出る。

 カンヌで賞を取れなかった話題作ですが、どんなものでしょう。率直な感想で言えば従来の彼の作品ほどの出来ではなく、この程度の作品で賞を取ったら他の作品に悪いのではないかなぁという気がします。
 テーマがテーマだけに今までの彼の作品に比べ、分かりやすい展開になっています。逆に言えば、説明過多と思えるくらいです。「HANA−BI」などに見られる緊張感もなく、冗長な感じさえするほどです。特にバス停のシーンや最後のキャンプのシーンはちょっと飽きてしまい、「スーパーJOCKEY」を見ているような錯覚さえしました。私は以前、彼の作品には暴力シーンが多くそれがいつ出てくるか分からないため、非常な緊張感がある旨、発言したことがありますが、この新作を見るとそう言ったところが彼の作品の特質で、それがないこの作品では毒気を抜かれている感もあります。
 配役では子役は無愛想だったのですが、それが現在を感じさせずかえってよかったかも…。「ザ・コンボイ」はなかなか好印象。水準作で決して悪い作品ではないし、敢えて意図的にやっているとも思われるが、この程度で甘んじていたのではいけない監督だと思えるので、若干辛目の評価をします。それにしても以前は見向きもしなかったのに、カンヌで賞を取るだの取らないだのお祭り騒ぎをしていたマスコミには辟易でした。

 評価 ☆☆☆1/2  (99/6/6)


ball1コキーユ 貝殻
 (松竹/ヘラルド 95分 98年)
監督 中原 俊
出演 小林 薫  風吹 ジュン
 同窓会である女性と30年ぶりに再会した男性が彼女が開いたスナックに通ううちに、中学生の頃からの彼女の恋心に気づき恋に落ちていくストーリー。

 率直な話、不倫の話です。が、「失楽園」や「時雨の記」のようにベタベタした話ではないところがまだ救いです。
 主演が小林薫と風吹ジュンというのがベストキャストでなかなか感じが出ています。
 しかし、デテイルを考えると首を傾げたくなります。風吹ジュンの中学生時代を浜丘麻矢を演じているのですが、これがかわいくて、いくら男の方が鈍感でもちょっとは気が付くだろう?という感じです。彼女の方も小学生時代から好きで、クラスも一緒になったことがあるなら、彼のハンディキャップくらい知っているだろうと思われます。原作がコミックのせいもあるが、大人のおとぎ話という感もします。
 監督は「桜の園」の中原俊ですが、前作「Lie lie Lie」といいちょっと低迷の感がします。製作が松竹なのに自社配給ではなく、配給がヘラルドというの情けない話です。

 評価 ☆☆☆1/2  (99/6/5)


ball1ワンダフルライフ
 (テレビマンユニオン=エンジンフィルム 118分 98年)
監督 是枝 裕和
出演 ARATA  小田 エリカ
 「幻の光」の是枝裕和監督の新作。死んだ後の7日間の内に人生において最も大切な出来事を申告し、それを映画として残すことによって天国に旅立てるという話。

 事情を聴く役である主役の二人はほとんど新人、死者の役も一部を除いてはほとんど一般の人と大胆な配役です。しかし、それが結構功を奏しています。実際に同じ内容でインタビューして選んだという人の話でも、結構吸い込まれる物があります。セリフを与えたわけでなく自由にやらせたようですが、カメラに臆しないものですね。映画を撮るシーンでスタッフにダメだしする人もいる位です。
 一方、役者陣もいいです。実際に亡くなってしまった由利徹や白川和子などは実体験を話しているようです。谷啓や内藤剛志も良いです。
 公開初日で監督がきていまして上映の後、ティーチインが行われ、これも有意義でした。わざわざ映像として残す意味、監督自身の大切な出来事とは…。主役やいつパンの人の起用の理由、セリフの意味合い等々、私が軽く見逃してしまったシーンまで質問が入り、その鋭さに感心させられたりしました。福岡映画祭の時も感じますが、直接こういうやり取りをすると映画がより深い物に感じられます。主役ともう一人出ているのが人気男性モデルだそうで、女子高生が結構観に来ていました。映画だけ観てティーチイン見ずに帰ってしまった人がいたのは残念でした。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (99/6/5)


ball1RONIN
原題 RONIN  (UA/UIP 122分  DTS 98年)
監督 ジョン・フランケンハイマー
出演 ロバート・デ・ニーロ  ジャン・レノ
 デ・ニーロとジャン・レノ。豪華な顔合わせです。フランスを舞台にある組織のブリーフケースを略奪するためにそのてがのプロが集められて、雇い主やその中身が明らかにされないまま、計画が遂行されていく。タイトルの「RONIN」の意味は日本語の浪人そのままです。

 うーん。見かけ倒しの映画になってしまいました。確かにカースタントがすごく、二人の演技もそこそこ見せてくれますが、それだけになってしまっています。せっかくショーン・ビーンやジョナサン・プライスなど渋めも揃えているのに矛盾や疑問が多すぎて…。オチの付け方もよくわかりません。
 パリの地下道でのカーチェイスはどうもダイアナ妃を思い出してしまいます。不謹慎かな。

 評価 ☆☆☆  (99/5/23)


ball1永遠と一日
原題 MIA EONIOTITA KE MIA MERA  (ギリシャ/フランス映画社 134分  98年)
監督 テオ・アンゲロプロス
出演 ブルーノ・ガンツ  イザベル・ルノー
 アンゲロプロスの新作。死を目前にした老詩人の一日の出来事を通して、彼 の過去や思いを描いた作品。

 なかなか見応えがある作品でした。時系列が結構飛びますが、従来の彼の作 品より分かりやすい気がします。多くの監督がそうであるように「死」というの は魅力的なテーマなのでしょうか。なぜかビーチが大抵出てきますね。 「永遠と一日」というタイトルも深い。
 長回しが結構あります。雪の国境警備の風景、海の近くでの結婚式。デ・パ ルマと違いゆったりとしたカメラワークですが、なかなかいいです。 一番印象的だったのはバスの中のシーンでした。うむむ。
 ブルーノ・ガンツ、好演でした。死に対して直接的にはどう思っているのか わからなかったけれど…。ギリシャ語を自身で話していたのでしょうか。着て いるのがいいコートだなぁと思っていたらアルマーニでした。なーんだ。
 が、体調整えていないと熟睡映画になるかも…。後ろの人は高いびきでした。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (99/5/16)


ball1スタートレック 叛乱
原題 STER TREK:INSURRECTION  (パラマウント/UIP 103分 DTS 98年)
監督 ジョナサン・フレイクス
出演 パトリック・スチュワート  ジョナサン・フレイクス
 スタートレック劇場版シリーズの新作。データが調査していたバクー星が実は不老不死の星であることを知ったピカード艦長は、そこに惑星連邦提督やソーナ人の企みがあることが知り、命令に背きその計画を阻止することにする。敵役の顔がよく分からないけれど、演じているのは「アマデウス」のF・マーリー・エイブラハム。

 テレビの「宇宙大作戦」はよく観ていて以前の劇場シリーズは全部観ていたのですが、やや飽きてしまい新シリーズは初めての鑑賞ではないかと思います。今のテレビシリーズも観ているわけでないのですが、登場人物等は一応知った上で観たのですが、この映画全然予備知識のない人にはちょっとわかりづらいと思われます。冒頭のシークエンスなどは艦長とデータの関係を知らないと全然どういう話かわからないと思います。逆にスタートレックファンの人は結構楽しめるシーンがあるのではと思います。ピカード艦長のロマンス、艦長とデータのカラオケデュエット(笑)等々。民族問題や環境問題等、現代の情勢も投影している作品でしたが、戦闘シーンや結末にはやや物足りなさを感じました。テレビシリーズの延長線の作品なのでしょうか?
 評価 ☆☆☆1/2  (99/5/9)


ball1恋におちたシェイクスピア
原題 SHAKESPEARE IN LOVE  (ユニバーサル/UIP 123分 98年)
監督 ジョン・マッデン
出演 ジョゼフ・ファインズ  グウィネス・パルトロウ
 16世紀、「ロミオとジュリエット」を執筆前夜のシェイクスピアが上流家庭の娘で芝居好きの女性に一目惚れとして…というストーリー。本年度アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、助演女優賞等を獲得しました。

 一部ではなぜこの凡庸な作品がなぜアカデミー賞だという様な風評もあるようですが、なかなかどうしてよくできた作品だと思います。史実とフィクションを合わせた脚本だと思うのですが、よく練られていて面白くいい意味での娯楽映画の王道作品だと言えます。セリフも印象的です。
 ロミオとジュリエットは知っていてもシェイクスピア本人については知らない人が私を含めて多いと思うので、この作品の製作過程をメイキング物というか劇中劇みたいな感じで楽しめます。ジョディ・ディンチの存在感もいいですが、今まであまり評価しなかったグウィネス・パルトロウがこの作品についてはいいです。あれー、御代官さまー、クルクル(笑) ジェフリー・ラッシュも面白いし、ラストで「十二夜」に繋がるというのもいいかも…。
 評価 ☆☆☆☆  (99/5/3)


ball139 刑法第三十九条
 (松竹=光和インターナショナル 133分  99年)
監督 森田 芳光
出演 鈴木 京香  堤 真一
 夫婦を殺人した容疑者が二重人格であるという疑いで精神鑑定を受けることになるが、二重人格であると判断した主任監査人の鑑定に対して助手が疑問を呈するというストーリー。監督は「家族ゲーム」「はる」の森田芳光。

 予告編を観て結構期待していた作品です。従来のこの手の作品の常套手段である手法を逆手に取った設定がなかなかユニークです。そうすることにおいて最近多発しているこの手の映画や実際の事件に対して問題提起する形になっています。
 登場人物がかなりユニークで容疑者役の堤がかえって一番まともに見えるのも面白いです。妙におどおどしている鑑定人の杉浦直樹、いつもガムか何かを噛んでいる岸部一徳、二人住まいなのに目一杯食事を作る吉田日出子等、かなり病的です。この世の中、まともな人間はいないということでしょうか。カメラもわざと斜めの構図で撮ったりして不安定さを増しています。鈴木京香についてはそんなに評価しません。
 ホラーやサスペンスとして観ると途中でネタばれしてしまいラストは予想通りという感じもしますが、問題提起の映画として観るとそこそこの出来ではないでしょうか。この手の映画で海岸が出てくるとどうも「砂の器」を連想してしまいますねぇ。
 この映画小倉では5月1日公開で一週間は通常上映でしたが、8日からは朝一回のみの上映となり、昼からは「スタートレック 叛乱」の上映となっています。松竹最後?の力作なのに何という扱いでしょう。せっかく門司港でもロケしているのに…。
 評価 ☆☆☆☆  (99/5/3)


ball1大阪物語
 (東京テアトル=大阪物語製作委員会 119分  99年)
監督 市川 準
出演 池脇 千鶴  沢田 研二 
 当地では「たどんとちくわ」との上映順番が逆転してしまいました。連休中になぜか「東京夜曲」がゴールデンアワーに上映されていた市川準の新作。現在放映されているリハウスのイメージガールを主人公に今までの作品と一変して大阪の今ひとつ売れない漫才師の一家に起きる出来事を綴った作品。
 何はともあれ、主演の池脇千鶴がいいです。CFでも光っていましたが、演技もまあまあです。最初、関西弁がその口から出てくると意外感もありますが、段々慣れてくるといい感じです。あと、弟の面倒をみたり赤ん坊の世話をしたりするシーンも今時そんなという感じもしますが、いいです。
 沢田研二と田中裕子が彼女の親で夫婦漫才師の役なのですが、これがまたいいです。沢田研二のだらしなさもうまいです。後半、父親を捜し回るシーンが進むにつれて本筋と違う少女の成長モノみたいな感じになり中途半端な感がしましたが、やはりこの監督の撮り方は大阪が今までの作品で見たものと違った感じに思え、私は好感がもてます。「東京兄妹」みたいにまた一年かけて撮っていますね。すごいなぁ。
 シネリーブル博多の一階で前売りを1000円で譲ってくださった方、この場を借りてお礼します。
 評価 ☆☆☆☆  (99/4/29)


ball1ライフ・イズ・ビューティフル
原題 LA VITA E BELLA (イタリア/松竹富士=アスミック・エース 117分  98年)
監督 ロベルト・ベリーニ
出演 ロベルト・ベリーニ  ニコレッタ・ブラスキ
 カンヌ映画祭グランプリ、アカデミー賞主演男優賞、外国語映画賞等各地での賞を総なめしている作品。第二次大戦中、ユダヤ人であるために強制収容所に送られたある家族の出来事をつづった作品。
 イタリアのチャップリンと呼ばれるベリーニが脚本、監督、主演と活躍しています。以前「ダウン・バイ・ロー」に出ていた時などはそんなでもなかったですが、結構笑わせますね。実際の妻でもあるブラスキにアタックかける前半のラブストーリーが非常に面白いです。昨今のハリウッドのドタバタと違って、久々動きや繰り返しによる笑うことができるコメディシーンでかえって新鮮な気がしました。特にマリア様ネタには大笑いでした。
 その前半がよかっただけに肝心の主題になる収容所での話になる後半が弱い感じがしました。ユダヤ人ではないのに自ら志願して収容所に来た妻や不安がらないように収容所での出来事をゲームとして説明する息子に対する思いはわかりますが、顔見知りである医師とのやりとり、ラストでの無駄死にとも思える行動等の描写が今ひとつ理解出来ず、泣けませんでした。コメディで押し通すのも難しいでしょうが、ちょっと残念な作品です。ユダヤ人迫害ものというのがやはり業界では点数が高いのでしょうね。私には絶賛はできませんが、後に残る作品にはなるでしょう。
 評価 ☆☆☆☆  (99/4/25)


ball1りんご
 (イラン/フランス映画社 86分  98年)
監督 サミラ・マフマルバフ
出演 マスメ・ナデリー  ザーラ・マデリー
 カンヌ映画祭や東京映画祭で評判を取ったイラン映画。父親も映画監督である18歳の少女監督サミラ・マフマルバフが実話をもとに撮った作品。12歳の双子の少女が親に監禁されて学校にも行けずにいたのを隣人達の通報で解放されてからというストーリー。
 父親が監督だから撮れた作品だとは思いますが、なかなかびっくりの作品で すね。大体実際にあった事件を元にして、その当事者を出演させて映画を撮る という発想がすごいです。どこまでが実話でどこまでが演技なのだか…。まる で「ゆきゆきて神軍」です。
 監督が18歳ということで年齢が近いせいかどうか分かりませんが、主人公の 双子を含めアイスクリーム売りの少年、テーマとなっているりんごでからかう 子供、一緒に遊ぶ少女含め子供の表情が生き生きと撮れています。そんなにカ メラが日常にあるとも思えないのにそんなにカメラを意識していません。
 父親が子供を家から出さなかったのもそれなりの理由があったことも理解で きるし、実は母親の方がちょっと考え方に問題があるきがしますね、事実かど うかわかりませんが…。イランにもソシアルワーカーがちゃんといることも含 め色々と勉強になりました。
 映画自体はそんなにうまいとは思えずちょっと期待はずれな面もありました が、不思議な魅力がある作品でした。
 評価 ☆☆☆1/2  (99/4/17)


ball1シン・レッド・ライン
原題 THIN RED LINE (米FOX/松竹富士 171分  SRD 98年)
監督 テレンス・マリック
出演 ショーン・ペン  ジム・カヴィーゼル

 3時間弱の作品ですが、見た後の充実感が心地よい作品でした。原題の意味もなかなか深いです。
  「プライベート・ライアン」が先に世に出たことで損している映画ではないで しょうか。自然や風景の描写は非常にきれいで、特に光の扱いがとてもきれい です。それに対してドラマの方は中心人物がなく、ちょっとバラバラした印象 を受けます。そう言った意味でその辺をどうとるかで大きく感想が異なる映画 だと思います。ナレーションもちょっと難解にしている感じもするし…。
 私個人としては割と肯定的に受け止めます。そういうドラマ性を追いかける 映画ではないと感じたからです。次々と登場する兵士たち、日本兵を含めその それぞれが主人公だと思います。でも彼らも何のために戦っていたのか…
 ショーン・ペンが全体の流れを回していく感じですが、なかなかいい役者に なりました。ジム・カヴィーゼルはちょっとトム・クルーズに似た感じで人気 が出そうです。ニック・ノルティやエリアス・コーティアスも好演。日本兵の 扱いについて色々意見があるでしようが、まあこんなものではないでしょう か。前線で勝利した部隊と後援部隊を交代させ、1週間の休養を与える余裕が ある国と戦争していたんじゃねぇ。
 久々のテレンス・マリック作品、一見の価値はあると思います。
 評価 ☆☆☆☆1/2  (99/4/10)


ball1鮫肌男と桃尻女
鮫肌男と桃尻女  (日 東北新社 107分 98年)
監督 石井 克人
出演 浅野 忠信  小日向 しえ

 望月峯太郎の原作を映画化したもの。暴力団の金を持ち逃げして逃走している男とそれに巻き込まれた女性の物語。
 原作の漫画を読んでいないので、原作のせいか脚本のせいか何とも言えませんが、ストーリーとしてはどうってことない話でそんなに独創性ある話だと思いません。確か「バタアシ金魚」も同じ作者でしたが、それにも浅野忠信は出演していましたね。
 この映画、出演者のキャラクターがすごいです。岸部一徳や鶴見辰吾のサイコ振りはまだ見慣れているけれど島田洋八と我修院達也(若人あきら)。よくこんなのキャスティングしました。彼らの個性の前にはあの浅野忠信でさえ飛んでしまっています。こういった本筋からそれた横道的なエピソードは結構面白いのに肝心のストーリーが凡庸でオチも締まらなかったのが残念な映画でした。でも、そういう映画でもない気もしますね。
 評価 ☆☆☆  (99/4/5)


ball1ユー・ガット・メール
原題 YOU'VE  GOT MAIL  (米 ワーナー 119分 98年)
監督 ノーラ・エフロン
出演 トム・ハンクス  メグ・ライアン

 「めぐり逢えたら」のエフロン監督がまたもやトム・ハンクス、メグ・ライアンの顔合わせで送るラブ・ロマンス。「桃色の店」という40年代の作品を E-MAILをネタにリメイクした作品。
 ちょっと評判が悪いようで先送りしていたのですが、なるほどですねぇ。前半はまだいいのですが、後半がちょっと今ひとつです。店の話が終わった後が長くて少し飽きてしまいました。トム・ハンクスのみが相手の素性を知っての画策は、ちょっと卑怯な感じもします。メグ・ライアンももっと早くに気がついてもいい感じにも取れ、気が良すぎる気もします。従って、せっかくのエンディングも当然の予定調和で白けた感じがしました。ストーリーが今ひとつとなると主役の二人に頼った展開になるのですが、彼らにはそろそろこういう作品も年齢的に限界かとも思われます。トム・ハンクスはあごの輪郭がなくなっているしなぁ(笑) 使われているのはCMで大プッシュのAOL、パソはハンクスがIBM、ライアン(プライベートではない(笑))はアップル。キャロル・キング等、音楽は良し。
 評価 ☆☆1/2  (99/3/28)


ball1バグズ・ライフ
原題 A BUG'S LIFE  (米・ディズニー=ピクサー/ブエナ・ビスタ 94分 98年)
監督 ジョン・ラセター
声の出演 デーブ・フォーリー  ケビン・スペーシー 

 「トイ・ストーリー」に続くピクサーの第二作。一部には「アンツ」はこれのパクリとの噂もあります。基本としては、「アリとキリギリス」みたいな働きアリとこの収穫を搾取するバッタの話。見方によると「七人の侍」に見えなくもないとのこと。結構、人間の世界を皮肉っているとも言える言動やシーンもあります。
 これだけ笑えて楽しめた映画は久しぶりです。意外でした。「オースティンパワーズ」以来かも知れません。脚本は割と手堅いのにディテールのギャグはなかなか鮮やかなものがあります。CGもなかなか見応えあるし、キャラクターの設定も悪役側の論理もしっかりしています。私は「トイ・ストーリー」よりこちらが上と思うし、大人から子供まで自信を持ってお勧めできる作品でしょう。話題のエンドクレジットもなかなかですね。これを子供に対する勧善懲悪ストーリーのフォローの意味で作っていたとしたら大したものです。画面がシネスコサイズというのもすごい気がするけれど、そうでもないのかな。こんな調子でCG映画を作られたら実写チームも大変かも知れません。音楽はランディ・ニューマンでこれもいいです。
 評価 ☆☆☆☆1/2  (99/3/27)


ball1ラブ・ゴー・ゴー
原題 愛情来了 (台湾  /アジア映画社他 113分 96年)
監督 チェン・ユーシン
出演 タン・ナ  シー・イーナン

 台湾の監督、チェン・ユーシン(陳 玉勲)の新作。前作、熱帯魚は福岡映画祭でみましたが、結構面白くその後一般公開もされました。台北の同じアパートに住む3人の若者を中心にその恋愛事情をオムニバス風につづった作品。
 主役がほとんど演技経験がない人たちというのが面白かったです。時々セリフも音楽もないシーンが長く続くのが若干違和感が有りましたが…。それもそんなに美男美女を主人公にしていないためニヤニヤしたり爆笑したりできるシーンが多いです。その中で一人光っていたのが歌手でもタン・ナです。先週まで台北に行って来たため見たような風景が出てきて親近感がありました。ちなみに実際にもポケベルをチェックしている若者はよく見ました。
 評価 ☆☆☆1/2  (99/3/26)


ball1エネミー・オブ・アメリカ
原題 ENEMY OF THE STATE (米 ・タッチストーン/ブエナ・ビスタ 132分 98年)
監督 トニー・スコット
出演 ウィル・スミス  ジーン・ハックマン
 台北で観てきました。日本でも3月には公開の予定だったと思いますが、驚異の泣きパニ映画「アルマゲドン」の大ヒットのため公開が先延ばしになっているようです。今のところ公開予定は4月17日のようです。ニコラス・ケイジ主演の「8mm」を観ようかとも思ったのですが、中文(中国語)字幕で話がわからなかったらまずいので、こちらにしました。原題は「ENEMY OF STATES」ですが、邦題はアメリカになっています。監督はトニー・弟・スコットで、製作はジェリー・ブラッカイマー。
 とある弁護士が法案通過に反対しているために消されてしまった国会議員殺人事件の証拠となる画像を知らないうちに所持してしまうため、NSA(国家安全保障局)に追われる羽目になると言ったストーリーです。わからないところが若干ありましたが、結構面白かったですね。この様なハイテク情報網が知らないうちにできているとすると恐い話ではあるのですが、笑えるシーンもあるし、伏線の張り方もなかなか考えられている感じもしました。ウィル・スミスがインテリと言う設定がちょっと似つかわしくないのですが、好々爺っぽいジーン・ハックマンや最近悪役絶好調のジョン・ボイトも好演でした。最後の銃撃シーンはすごくて笑ってしまうほどですが、こういうパターンもあるのかと感心しました。
 評価 ☆☆☆☆  (99/3/22)

ball1ボクらはいつも恋してる! 金枝玉葉2
原題 金枝玉葉2 WHO'S THE MAN,WHO'S THE WOMAN (香港 UFO 96)
監督 ピーター・チャン
出演 レスリー・チャン  アニタ・ユン
 この映画、2年以上前の映画ですが、やっとの日本公開です。前作も結構好評だったと思いますが、なぜこんなにかかるのかと思います。とはいうものの出来としては今ひとつの感じもします。前作、金枝玉葉の続編で後日談と言った感じてすが、新たにアニタ・ムイが出てきたりして顔ぶれはなかなか豪華です。テーマとしては、バイセックスみたいなものが見え隠れしていますが、基本はレスリーとアニタの関係が果たして維持できるかというところです。仮面をかぶってのパーティーシーンがあるのですが、そこでウディ・アレンなどがでてきたのが笑えました。あと、プラネット・ハリウッドや上海灘がロケで使われていたのが懐かしかったです。いずれも2年前に行った店だったので、すぐわかりました。
 評価 ☆☆☆1/2  (99/3/14)

ball1セントラル・ステーション
原題 CENTRAL DO BRASIL (ブラジル 98)
監督 ヴァルテル・サレス
出演 フェルナンダ・モンテネグロ  マリリア・ベーラ
 来週あるアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされているブラジル映画なのでずが、なるほどこれはなかなかの映画です。まず、冒頭の代書屋に来る客の口述のアップシーンの連続、仕事を終えて電車で帰る主人公、家に帰り着いての一作業、この辺の流れがわざとらしさを感じさせずに人物を語るのに十分の役割を果たしています。大きい駅であると思われるのにコンコースやホームでの横移動のカメラの撮り方がまたうまいです。
 脚本もうまいですね。電車ではなくて、バスなのが残念ですが…。
 子供と一緒に父親探しに行かなくてはならなくなる動機づけ、お金がなくなる理由、つかの間の恋、思わずうなずいてしまいます。代書屋という設定もう良いです。都会の雑踏の極致とも言える駅での仕事で様々な客の生活を聞き取り、したたかに生きるすべを知ってしまっているという感じですね。
 アカデミー賞主演女優賞候補のフェルナンダ・モンテネグロもうまいですが、子役もいいです。主人公は周りの者にくらべ信仰心が薄い様に感じましたが、この子供と同行することによって改心したと言ったところでしょうか。
 そんなに小難しい映画ではないので、お勧めの作品です。
 評価 ☆☆☆☆☆  (99/3/14)

ball1ガメラ3 邪神(イリス)覚醒
作品 ガメラ3 邪神(イリス)覚醒
監督 金子 修介
出演 前田 愛  中山 忍
 特撮のシーンの出来は結構いいのですが、その分その他がすごく緩慢に見えてしまう映画です。特に人間側のドラマは疑問だらけですね。ヒロインの前田愛はともかく山咲千里と手塚とおるの役は、変な理屈をこねているだけで、かえってストーリーを混乱させてしまっている気がします。まだ奈良のシーンで出てきた朱雀と玄武の話で続けた方がずっと納得できます。京都駅のシーンでもだだ観ているだけで作為的に怪獣を操作しようとしているわけでもないし、目的がはっきりしていません。手塚は最近よくみかけますが、変な役が多いですねぇ。
 でもまあ、渋谷と京都駅の特撮シーンは鑑賞に堪えうるものであり、あれだけ人間がやられるシーンがある怪獣映画も少ないのではないでしょうか。また、最後のガメ ラの奮闘ぶり、またその後飛来してくるであろうギャオスを迎え打たんとする姿は下手な役者より感動的でした。
 評価 ☆☆☆1/2  (99/3/13)

ball1レ・ミゼラブル
作品 レ・ミゼラブル
監督 ビレ・アウグスト
出演 リーアム・ニーソン  ジェフリー・ラッシュ
 こういう作品って原作が有名なだけに映画としての批評がしにくいですね。可もなく不可もない出来です。結構長い間の出来事を二時間ちょっとにまとめているので、多少無理を感じるのは否めません。それから何年、と言った感じで時代がどんどん飛んでしまうし…。リーアム・ニーソンと宿敵警部、ジェフリー・ラッシュのやりとりがメインになっていますが、これは結構見せてくれます。ユマ・サーマンはコゼットの母という意外な役柄でしたが、割といい感じでこなしていました。
 リーアム・ニーソンもジェフリー・ラッシュも有名になって主役級の常連になりましたね。先日放映された「ダーティーハリー5」でリーアム・ニーソンが出ていたそうですが、私は気がつきませんでした。
 パリでロケしたのかと思ったらプラハのようですね。古めの時代設定の話は プラハロケが多いようです。一回行ってみたいところです。
評価:☆☆☆1/2  (99/3/7)

ball1スネークアイズ
作品 スネークアイズ
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 ニコラス・ケイジ  ゲーリー・シニーズ
 この作品の監督は「殺しのドレス」や「アンタッチャブル」の監督のブライアン・デ・パルマですが、やりましたね。デパルマ、久々の復活と言った感じです。前作の「ミッション・インポッシブル」が彼らしくなくてがっかりでしたが、今回はその威力存分に発揮です。私も彼の作風が好きなのでうれしいですが、大ファンである映画評論家、今野雄二氏も喜びのことでしよう。確かにネタ割れが早いか、クライマックスがあっけないとかストーリー面で勧められる映画ではありませんが、冒頭のノーカットシーン、金髪扮装の女性、眼鏡を割ってよく見えない女性等々フムフムとヒッチコックを含め色々連想してしまいます。主演のニコラス・ケイジもなかなか貫禄が出てきましたね。冒頭のしゃべり放しや刑事らしからぬ服装もなかなか見せてくれます。ラストクレジットでもまたノーカットがあるので見逃さないように…。
 評価:☆☆☆☆  (99/3/5)

ball1鳩の翼
作品 鳩の翼
監督 イアン・ソフトリー
出演 ヘレナ・ボナム・カーター  ライナス・ローチ
 この作品、どうもなじめませんでした。久しぶりに寝てしまいました。ヘンリー・ジェイムズという作家の最高傑作の映画化ということですが、ただの三角関係というか、ラブゲームの話で、凡庸で起伏があまりなく、それを上回る魅力的なものもあまりなく、ちょっと退屈してしまいました。確かに20世紀初頭のベニスの風景やロンドンの街角の再現はなかなか引きつけるものがあり、数々の賞を取ったヘレナ・ボナム・カーターは割と好演していますが、相手役のライナス・ローチやもう一人のヒロイン、アリソン・エリオットに魅力がなく、何を考えているのかもよくわかりませんでした。
 アリソン・エリオットはよく見ると「この森で、天使はバスを降りた」のヒロインですが、あちらの方が全然よかったです。
 鉄道ファンにはロンドンの木造?の地下鉄の再現シーンがあります。
評価  ☆☆1/2  (99/2/28)

ball1ジョーブラックをよろしく
作品 ジョーブラックをよろしく
監督 マーチン・ブレスト
出演 ブラット・ピット  クレア・フォーラニ
 後回しにしていたのですが、公開終了が迫り、マーチン・ブレストとクレ ア・フォーラニに惹かれてみてきました。私は結構気に入りました。理由はせりふ回しのよさとクレア・フォーラニです。字幕にするとちょっとわからないのですが、すごくせりふが練られていてウィットに富み、またちょっとした一言が布石にもなって効果をあげていると思います。3時間の長尺ですが、そんなに飽きることなく楽しめました。
 ブラッド・ピットは脱ぐと体すごいです。クレア・フォーラニもいいですね。「ザ・ロック」の時はそうでもなかったのですが、「バスキア」を見て気に入り、この作品でもなかなかいい感じで久々の正統派と言った感じです。評価が分かれる一目惚れのシーンでも私はそんなに違和感がありませんでした。 ただ、ブラット・ピットが席を離れているときはジュースが置いてあったのに、いつのまにかコーヒーに変わっていた気がするのは見間違いでしょうか。
 クレジットに特撮にILMの名がありましたが、花火のシーンでしょうか、それとも迫真の交通事故のシーンかな?
 アンソニー・ホプキンスの引退の話もありますが、そうだとすると惜しいです。
評価  ☆☆☆1/2  (99/2/27)

ball1パーフェクト・サークル
作品 パーフェクト・サークル
監督 アデミル・ケノヴィッチ
出演 ムスタファ・ナダレヴィッチ  アル・ディン・レレタ
 数多く作られているユーゴ紛争に関する映画のうちの一本です。
 家族を市外に逃したサラエボの詩人と親や親族を亡くした兄弟を中心にした 話です。
 テレビニュースでは見るけれど実際遠くのちであっている出来事について知 らないことが多すぎます。こういう映画を見ることによっていくらかでもそれ らについて考える時間が作れればスタッフの意図にそうものにもなりえるでし ょう。プライベートライアン等は兵士を中心にした話ですが、一般市民にとっ て戦争がどういう意味を持つ者なのか、今もまたコソボの問題が出てきていま すが、不況だとは言っても一応安心して暮らせる我々にとっては実感しにくい 問題です。
 映画としては家族の幻影?を出したりして工夫していますが、もう一つ足り ない気がしました。子役はなかなか、詩人はどこかで見た覚えかあるなぁと思 ったら以前公開された映画「パパは出張中」の人でしたか…。
 鉄道ファンとしては、パンタを降ろしている黒こげの市電をどうやって動か して写したかが、興味ありました。
 評価  ☆☆☆1/2 (99/2/21)

ball1死国
作品 死国
監督 長崎 俊一
出演 夏川 結衣  筒井 道隆
 長崎俊一監督、久しぶりな気がします。が、なぜこんな…。
 予告編見て、あまり期待していなかったのですが、全然なじめない映画でした。まず、必要もなく不安定なカメラにイライラさせられます。そうかと思うとクレーンで高所から俯瞰で撮ったりしていて、一貫性がありません。
 夏川 結衣はまだしも、もう一人の栗山千明というのが、どうもですね。ミス東京ウォーカーとのことですが美人でも…でもなく中途半端です。もうちょっと…だったらキャリーにもなり得たのでしょうが…。
 一応、ホラーには分類されるのでしょうが、後半のサバ折り、お約束の佐藤充登場では笑いが起きていました。監督はツインピークスを狙ったとか言っていますが、そんなことでいいのかな。
 大杉 漣出演作品も万能ではありませんでした。
 評価  ☆☆  (99/2/14)

ball1リング2
作品 リング2
監督 中田 秀夫
出演 中谷 美紀  佐藤 仁美
 大好評の一作目に続く二作目。今回もかなり混んでいて立ち見も出ていました。「らせん」と違った前作の続編の形をとっていますが、プロットや怖がらせ方は前作でバラしてしまっているために、前作を見た人にとっては恐怖感は薄くなってしまっています。前作であった時間の制約もなくなってしまい、緊迫感も薄く今回は悲鳴もあがりませんでした。単独で見るとそこそこの出来だとは思うのですが、もうちょっと違う趣向をこらして欲しかったです。主題歌も前作の方がインパクト大。深田恭子がメインかと思ったのですが、大した役ではなかったのですね。
 でも、最近鈴木その子さんを見ると貞子を連想してしまって…(笑)
 評価  ☆☆☆  (99/2/14)

ball1メリーに首ったけ
監督 ボビー&ピーター・ファレリー
出演 キャメロン・ディアス  ベン・スティラー
 うーむ。この映画、面白くないです。ギャグも下ネタ、差別ネタ、虐待ネタ ばかりでどうかと思いますね。大バカ映画です。私自身はお約束ギャグ連発で あまり笑えなかったのですが、隣の女子高生?が下ネタでゲラゲラ笑っている方 が気になりました(笑)
 しかーし、キャメロン・デイアス、いいですねぇ。おでこにしわがよるのが 気になりますが、彼女のための映画でストーリーはどうでもいいという感じで す。それとジョナサン・リッチマンがいいです。音楽担当というのは知ってい ましたが、冒頭からいきなり登場、その後も狂言回しみたいに感じで再三登場 して曲演奏、最後にはオチまでつけてくれます。この二人のファンの方のみ必 見。ベン・スティラーはそこらの兄ちゃんっぽいですね。
 ベン・スティラーが乗っていた車は、トヨタ・ターセルの2ドアですね。日本にはありませんが、合衆国では割安な個人車ということでよく走っています。キャメロン・デイアスがフロリダに住んでいながら、サンフランシスコの49ersファンというのも変ですが、台詞に出てくるジョー・モンタナのせいかな。
 評価  ☆☆  (キャストのみだと ☆☆☆1/2)  (99/2/13)

ball1恋の秋
監督 エリック・ロメール
出演 マリー・リヴィエール  ベアトリス・ロマン
 久しぶりのロメールの映画です。なかなかいい出来で、もうちょっと早く見られたらベスト10に入れられるぐらいの出来なので惜しかったです。
1人でワイン用のぶどうを作っている女農園主の再婚相手を見つけてやろうと考える女友達と息子のガールフレンドを巡るコメディタッチの物語で、もうちょっと崩れたらドタバタ喜劇的な面もありますが、その微妙なところのやりとりで結構笑えました。観客もそこそこ入っていましたが、受けていました。フランスのそれもいい年とった大人が高校生みたいにバタバタしているところがおかしいけれど、とても楽しい作品でした。主役がそれほ美人でないところも逆にチャーミングに見えてよかったです。
 評価  ☆☆☆☆  (99/2/7)

ball1あ、春
監督 相米 慎二
出演 佐藤 浩市  斉藤 由貴
 久しぶりの相米慎二監督作品です。逆玉結婚したが、バブル崩壊で悪戦苦闘している証券マンのところに子供の頃に死んだはずだった父親が現れて…という話です。
 一見平和に見える家庭でもその裏には…というどこにでもある様な小市民的なネタが詰まっていてなかなか笑えました。逆にちょっと恐い面もある気もしたが…。ずうずうしく居座る山崎努よりもそれを軽くあしらう富司純子、藤村志保はさすがである。孫は男の子なのに雛人形を飾るところは怖い(笑) で、娘の斉藤由貴はバタバタしていたが、なんとなくいい感じではありました。
 相米のトレードマークの長回しは見られなかったが、そこそこの満足感は得られた感じです。でも、ちょっとひよこは孵らないでしょう。
 評価 ☆☆☆☆  (99/2/7)

ball1おもちゃ
監督 深作 欣二
出演 宮本 真希  富司 純子
 いいですね、この主演。二十歳過ぎには見えませんが逆にこの映画にはマッチングしています。昭和30年代、売春禁止法施行直前の京都の舞妓の卵を主人公にしたストーリーです。演出では前半のスピード感がいいですね。主人公の一日の行動を通して状況や人物説明があるのですが、ずっと走り回っていてキビキビとした感じがよく出ています。富司 純子もいい感じでいいです。津川雅彦はまたかという感じですが、その他の配役はなかなか巧妙でした。
 文句言わせてもらえばオープニングとエンディングの妙な合成シーンと大阪の幼なじみのところに行く場面での街頭シーン。どう見ても現在にしかみえません。大阪の京福電車はまだしもシルバーシート付きの103系電車とは…。説明するためでしょうが、カットした方がまだ誤解がなくていいようなシーンでした。みずあげシーンもくどいなぁ。
 評価  ☆☆☆☆  (99/2/6)

ball1宋家の三姉妹
作品 宋家の三姉妹
監督 メイベル・チャン
出演 マギー・チャン  ミシェル・ヨー
 パンフで気が付いたのですが、この映画岩波ホールでやっているのですね。 私の記憶が確かならば、ここの映画が北九州で劇場公開されたのはほとんどな かったと思います。客も結構入っていたし、捨てたものではないわ。福岡でも 3月までのロングラン公開となり好評のようです。
 この姉妹については以前何かの本で読んだことがあり、興味持っていまし た。映画なので若干脚色があるのかも知れませんが、結構波瀾万丈ですね。前 半では、姉妹の父親をやっていたチャン・ウェン(芙蓉鎮)がよかったですね。 長女をアメリカ留学に出すシーンあたり…。姉妹ではメインだと思われるマギ ー・チャンがよかったです。
 激しく動く歴史を背景にあれもこれも詰め込むのは難しく、三姉妹の動向に 絞ったストーリーになってしまい、期待していた程の壮大なドラマにはなって いませんでしたが、姉妹のお互いの感情も割と理解できる映画になっていてそ こそこ満足できました。
 評価  ☆☆☆☆  (99/1/31)

ball1ラッシュアワー
作品 ラッシュアワー
監督 ブレット・ラトナー
出演 ジャッキー・チェン  クリス・タッカー
 ジャッキー・チェンが主演したハリウッド映画で、全米一位になってヒットした映画です。私は意外と彼の映画が好きでよく観ています。平たく言えば、リーサルウェポンやビバリーヒルズコップみたいな映画です。こんな警官しかいないのかなL.A.P.D.(笑)
 設定とかは考えられていて結構笑えて楽しめる作品ですが、予告編や紹介番組でほとんどのアクションシーンを公開してしまっていてそれ以上のものがなかったのが、残念でした。ジャッキーの英語については、映画の中でもネタの一つになっていますが、ジャッキー映画恒例のNGシーンの中の一言がなかなか的を得ていました。しかし、NGシーンを入れるとはこの監督もジャッキーのことをよく見ています。
 評価  ☆☆☆  (99/1/24)

ball1ビッグ・リボウスキ
作品 ビッグ・リボウスキ
監督 ジョエル・コーエン
出演 ジェフ・ブリッジス  ジョン・グッドマン
 前作「ファーゴ」でアカデミー賞を受賞したコーエン兄弟の新作です。私は彼らの作品が好きで何本か見ています。またしても登場人物が間抜けな映画ですが、結構気に入りました。ジョン・グッドマンがイメージちょっと違いますが、いいですねぇ。彼らしくない役どころのジェフ・ブリッジスもそこそこ頑張っています。ヒッピーくずれという感じですが、何をして生活しているのでしょう。ボウリングのシーンがかなり出てきますが、彼らが投げているシーンがほとんどないのが笑えます。一人で投げていたスティーブ・ブシューミはせりふも少なく(笑)ちょっと可哀想な役でした。ライバル役のジョン・タトゥーロは最初気が付きませんでした。
 どこがいいのかと言われても説明に困るけれど、この手の映画好きの方にはお勧めできる映画でした。
 評価  ☆☆☆☆  (99/1/23)

ball1マイ・スウィート・シェフィールド
作品 マイ・スウィート・シェフィールド
監督 サム・ミラー
出演 ピート・ポスルスウェイト  レイチェル・グリフィス
 「ブラス」や「フルモンティ」に続いてまたしてもイギリス失業映画シリーズの一本です。とは、言っても今回は一応日雇いで食べていますが…。
 脚本は「フル・モンティ」と同じ人らしいですが、うーむ。フリークライミングを趣味にしている主人公達が高圧電線の鉄塔のペンキ塗りをしていく話です。主人公が「ブラス」や「ジェラシックパーク」のピート・ポスルスウェイトで結構いい味だしているのですが、全裸のラブシーンはねぇ…。
 風景描写等にちょこちょこいいシーンがあり着想もまあまあかと思うのですが、全体としては今ひとつ盛り上がりのない話に終わってしまいました。監督のせいかなあ。
 それにしてもイギリスの田舎であんなにカントリーを歌ったり踊ったりしている人たちがいるとは新発見です。
 評価  ☆☆☆  (99/1/17)

ball1のど自慢
監督 井筒 和幸
出演 室井 滋  大友 康平
 乗れるか乗れないか差があると思いますが、私は結構楽しめたしホロリときました。山下達郎のコンサートを観て結構インパクト受けた後だったもので、「歌」や「音楽」ということについて若干考えさせられました。アラも結構有りますが、多い登場人物を割とうまくさばいています。大友康平が意外に頑張っていますし、その他のキャストも割とそろっています。作りとしては高校生役の伊藤歩の予選シーンを敢えて写さなかったところがよかったです。それまでの描写が割とクールに描いていただけに効果がありました。使われている曲の歌詞をよく聴くと選曲も結構いいことがわかりますが、やはりラストの「上を向いて歩こう」にはかないませんねぇ。
 テレビの「のど自慢」を見ているとこちらが恥ずかしくなるので、あまりちゃんと見たことがなく、またカラオケも好きでない私ですが、なんとなくいい気持ちにさせてくれた映画でした。いかにも有りそうでなさそうな小市民的映画と言えばそれまでですが、寅さんとかと違ったこの様に全世代的に楽しめて話題にできる映画も必要だと感じます。
 この映画、シネカノンが製作した映画を見て東宝が買い付けたらしいですが、最近シネカノンって製作、配給と頑張っていますね。終わりに笑えるおまけがあるので、席を立たないでください。

評価 ☆☆☆☆1/2  (99/1/16)

ball1アンナ・マデリーナ
監督 ハイ・チョンマン
出演 金城武  ケリー・チャン
 アミューズとゴールデン・ハーベストが組んだ作品です。香港映画界もかな り景気悪くなっているようで、ゴールデン・ハーベストもスタジオ売却という 話もあるようです。
 映画は三角関係みたいな話ですが、ちょっと今ひとつでしたね。特に終盤の 挿話が浮いていました。挿話シーンに出てきたアニタ・ユンはロングヘアでか わいくないし…(笑)
 香港四天王の一人、アーロン・クォックの映画は初めて観ると思いますが、 役柄のせいかパッとしませんねぇ。「アンナ・マデリーナ」って聞いたことあ るタイトルだと思ったらバッハの曲でした。

評価  ☆☆☆  (99/1/15)

ball1時雨の記
監督 澤井 信一郎
出演 吉永 小百合  渡 哲也
 どこを評価してベスト10に入れているのかちょっと疑問の一本です。なるほ ど主役二人も時折さすがという演技をみせます。木村大作のカメラもどっしり としていて鎌倉や京都の景色も美しく描写しています。大活躍、久石譲の音楽 も雰囲気盛り上げるかな? でも、早く言えば観光案内みたいな映画でストーリ ーがつまらないのです。歌い文句は「失楽園」に対抗しての大人の不倫とのこ とですが、どっちもどっち、一歩違えばストーカーの話です。
 時代背景は昭和天皇崩御の前あたりに持っていって、わざわざ新聞記事やら ご容体ニュースなど織り込んでいるのですが、なぜそうしているのかが判りま せん。会社重役の役の渡や友人の林隆三のオフィスのデスクにパソコンが載っ ていて結構長く写るのですが、これがかなり新しい型で、時代が下ったのかな と錯覚させる感じなのです。置かない方がまだいいです。ウィンドウズになる 前の頃にパソコン使っているエクゼクティブなんかそんなにいませんって(笑)  スタッフ誰も気がつかないのかなぁ。別に現在の設定でもかまわない話だと 思うのですが。

評価  ☆☆1/2  今年は出鼻から、はずればかりだなぁ(笑) (99/1/9)

ball1ベルベット・ゴールドマイン
監督 トッド・ヘインズ
出演 ユアン・マクレガー ジョナサン・リース・マイヤーズ
 うーん。これはちょっとつらいものがありました。70年代でイギリスで起こ ったグラム・ロックのムーブメントをモチーフにした映画です。知っている人 が映画を観たらすぐ判りますが、デビッド・ボウイとイギー・ポップを主人公 にした話です。ですが、話題的にちょっと危ない話のため彼らから許可が出な かったためと思いますが、彼らの曲が使われていません。他のTREXやロキ シーミュージックは使われているため中途半端な感じになっています。ストー リー自体も何だかなぁという話なので、その辺のロックファンか主役二人のフ ァンあたりにしか楽しめない映画になってしまっています。残念。
 しかし、グラムロックって音だけ聞くと結構ポップな音楽だったんですねぇ。

評価  ☆☆1/2   (99/1/3)

ball1アルマゲドン
監督 マイケル・ベイ
出演 ブルース・ウィルス ベン・アフレック
 最新作続きだったブルース・ウィルスの新作です(笑) 最近、はやりの小惑星激突ものの一作。「デイープ・インパクト」や先日テレビでやっていた「アステロイド」もそうでした。こういったパニックも入った映画の場合、地上側と対策側のどちらに重点を置くかで随分見方がかわります。「アステロイド」などは対策側にいた学者が職権乱用で自分の子供を探しに行ったため、おいおい良いのかな、というストーリーになってしまいました。「ディープインパクト」も対策側は甘く、地上側に重点をおいた結果、私にはちょっと安易な泣かせ方になった気がしました。

 そこへ行くとさすがマイケル・ベイ、対策側に集中し、続けざまのローラーコースター感覚でこれでもかと危機を打ち出してきます。しまいにはこちらも慣れてきて展開を読めるようになりますが、長尺をそれなりにまとめてはいます。かなりお金も掛けている気がします。NASAの支援もついているようですが、ラストは放射能検査もなくあんなことしていいのかな?

 展開が早く宇宙服など着ているので誰が誰だかわかりませんが、ベン・アフレックとビリー・ボブ・ソーントンも儲け役、スティーブ・ブシェミはもうちょっと活躍させてほしかったです。トレバー・ラビンとエアロスミスの音楽はまあまあ。松田聖子はゴジラ並のおいしい役でした(笑) 

 スターウォーズ・エピソード1の予告編があるので、お見逃しなく。
評価  ☆☆☆1/2   (99/1/1)

ball1ロスト・イン・スペース
監督 スティーブン・ホプキンス
出演 ゲイリー・オールドマン  ウィリアム・ハート
 60年代の人気テレビシリーズ「宇宙家族ロビンソン」の映画化です。私も少し記憶があってドクター・スミスを熊倉一雄が吹き替えていました。その役をゲイリー・オールドマンがやっていてクレジット順位も一番上で気持ちよさそうに悪役をこなしています。全米でタイタニックの連続一位記録を破った作品でなるほど結構面白いです。ウィリアム・ハートがちょっと弱い感じがしますが、操縦士役のマット・ルブラン等がうまくサポートしています。彼はWOWOWでもやっている「フレンズ」というテレビシリーズの出身ですが、人気が出そうな気がします。タイムパラドックスの問題がありましたが、そんなに肩肘はらずに楽しめる作品でした。

評価  ☆☆☆☆   (99/1/1)



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