UPDATED 2002/6/16

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

近作の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

どれを見ますか
[近作の感想] [12月以前の作品の感想] [2000年公開の作品の感想]

最近封切りの作品の感想のページです
上から新しい順です
どれを見ますか。ネタばれがありますので、未見の方は注意してください。

  ball1[アザーズ]
  ball1[クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大作戦]
  ball1[ハッシュ]
  ball1[E.T.  20周年アニバーサリー特別版]
  ball1[ブラックホーク・ダウン]
  ball1[ビューティフル・マインド]
  ball1[マルホランド・ドライブ]
  ball1[ランドリー]
  ball1[ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ]
  ball1[シッピング・ニュース]
  ball1[モンスターズ・インク]
  ball1[オーシャンズ11]
  ball1[カタクリ家の幸福]
  ball1[化粧師]
  ball1[キリング・ミー・ソフトリー]
  ball1[助太刀屋助六]
  ball1[修羅雪姫]
  ball1[ロード・オブ・ザ・リング]
  ball1[青い夢の女]
  ball1[バニラ・スカイ]
  ball1[フェリックスとローラ]
  ball1[地獄の黙示録・特別完全版]
  ball1[イースト/ウェスト遥かなる祖国]
  ball1[アメリ]
  ball1[こころの湯"]
  ball1[Dr.Tと女たち]
  ball1[スパイキッズ]
  ball1[メメント]
  ball1[耳に残るは君の歌声]
  ball1[劇場版とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険]
  ball1[ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃]
  ball1[シュレック]
  ball1[ハリー・ポッターと賢者の石]



ball1アザーズ
原題 THE OTHERS (米・西・仏/ギャガ=ヒューマックス 104分  2001年)
監督 アレハンドロ・アメナーバル
出演 ニコール・キッドマン  フィオヌラ・フラナガン

  1945年。第二次大戦末期のイギリス領のある島。出征した夫の帰りを待つ妻が、広大な屋敷で子供二人と暮らしている。子供たちは極度の光アレルギーで、昼間でも屋敷の窓という窓にはいつも分厚いカーテンが掛かっている。ある朝、その屋敷に、3人の新しい使用人がやってくる。使用人たちが出ていったばかりった彼女は、彼らを雇い入れることにする。しかし、その日から、屋敷には奇妙なことが起こり始める。娘が見たという少年の姿と話し声。無人の部屋や廊下から聞こえてくる足音。音楽室のピアノはひとりでにメロディーを奏でる。子供たちの悪戯か? あるいは新しい使用人たちが意趣あって嫌がらせをしているのか? 屋敷の中には、彼女たちには見えない何者かが入り込んでいる。それはいったい誰なのか?「オープン・ユア・アイズ」のアレハンドロ・アメナバール監督が、ニコール・キッドマン主演で撮った最新作。製作はニコールの元夫、トム・クルーズ。

 前作の「オープン・ユア・アイズ」が評判だった、アメナバール監督。私も結構楽しめた作品でした。その作品を気に入ったトム・クルーズが権利を買い取って再映画化したのが、「バニラ・スカイ」です。そして、それとは別に製作したのがこの作品です。ヒッチコック辺りを意識したというだけあつて、かなり心理的に怖がらせる趣向がうまくいっています。ちょっと卑怯な手かも知れませんが、子供の使い方もうまいですね。特に息子役の子がいつも眉間にしわを寄せているのが怖い感じを増していますね。家族と使用人との愛だの緊張感の描き方は上手かったのですが、出征していた主人が帰ってきたところから、緊張感が無くなってしまったのが惜しいです。ラストはちょっと途中で気配が分かってしまったのも残念な気がしますが、やはりこの監督、なかなか才能があるなというのが率直な感想です。ニコール・キッドマン。怖さ倍増の美しさ。

  評価 ☆☆☆☆  (01/5/3)


ball1クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大作戦
 (シグロ 90分  2002年)
監督 橋口 亮輔
出演 田辺 誠一  高橋 和也

 いつも平和な春日部の野原一家。ある日、しんのすけは庭の土中で古い手紙を見つける。しかも、その手紙を書いたのは他ならぬしんのすけ。 でも、それを書いた覚えもなければ、書いてある内容もちんぷんかんぷん。しかし、あくる日気が付くとしんのすけは前日夢に見た静かな森の中にひとりでいた。そこを抜けると本物のお侍さん達が戦闘中。どうやらタイムスリップしてしまったようなしんのすけだが、ひょんなことからあるお侍さんを助けてしまう。歴史上討たれるはずだったひとりのお侍さんを救ってしまったのだった。ご存じクレヨンしんちゃんの10作目。

 前作のオトナ帝国の逆襲がなかなかの出来でビックリしましたが、本作はそれに続く新作。時代劇の造りになっています。が昨年の福岡映画祭で上映されていたのですが、そのうち公開されるだろうと思ってその時は見ませんでした。やっと公開され、だいぶ評判が良いようなので見に行きました。小倉の映画館にしては珍しく、監督の挨拶までありました。
 なるほどうまいですね。現実味があるのか、ないのか。考えている内に引き込まれてしまうものがあります。主人公達の職業などの設定がうまいです。理系のサラリーマンとか歯科技工士とか…。類型的でいそうで、そうでない微妙な感じがいいですね。演じている3人もなかなかいい感じです。高橋 和也って元々男闘呼組だっのですが、いつのまにか俳優になってしまったのでしょうか。片岡礼子というのも女優っぽくないのですが、その辺が逆に説得力がある感じです。田辺誠一は役柄のせいもあるのでしようが、ちょっと存在感が薄いですね。その代わり、彼の兄役の光石研と秋野暢子が対称的で存在感があります。光石研、最近脇役として欠かせない存在ですね。田辺がゲイだと知らずに思いを募らせる同僚の女子社員もいそうな感じですね。しかし、あそこまでばらしたら彼が会社にいられなくなるのでは?
 ヒロインに本当に子供をつくる気があるのかどうか、また何故その気になったか分かりづらいところもありますが、何か不思議に面白い作品でした。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (01/4/28)


ball1ハッシュ
 (シグロ 135分  2001年)
監督 橋口 亮輔
出演 田辺 誠一  高橋 和也

 見ず知らずの三人を偶然が結びつける。 気ままなゲイライフを送っているペットショップで働く男とゲイであることを隠している会社の研究所で働く青年が偶然出会い、一緒に暮らし始める。一方、歯科技工士の女性は、好きでもない男とセックスしても、空っぽの気持ちを誤魔化しているだけだった。 しかしこの3人が偶然出会ったことで、彼らの平穏にいくかに見えた関係が揺れ動きはじめる。 彼女は彼たちがゲイだと知ったうえで、結婚とか、付き合うとかではなく、子供が欲しいという、提案を持ちかけるが…。「二十才の微熱」「渚のシンドバッド」の橋口亮輔監督。5年ぶりの新作。

 昨年の福岡映画祭で上映されていたのですが、そのうち公開されるだろうと思ってその時は見ませんでした。やっと公開され、だいぶ評判が良いようなので見に行きました。小倉の映画館にしては珍しく、監督の挨拶までありました。
 なるほどうまいですね。現実味があるのか、ないのか。考えている内に引き込まれてしまうものがあります。主人公達の職業などの設定がうまいです。理系のサラリーマンとか歯科技工士とか…。類型的でいそうで、そうでない微妙な感じがいいですね。演じている3人もなかなかいい感じです。高橋 和也って元々男闘呼組だっのですが、いつのまにか俳優になってしまったのでしょうか。片岡礼子というのも女優っぽくないのですが、その辺が逆に説得力がある感じです。田辺誠一は役柄のせいもあるのでしようが、ちょっと存在感が薄いですね。その代わり、彼の兄役の光石研と秋野暢子が対称的で存在感があります。光石研、最近脇役として欠かせない存在ですね。田辺がゲイだと知らずに思いを募らせる同僚の女子社員もいそうな感じですね。しかし、あそこまでばらしたら彼が会社にいられなくなるのでは?
 ヒロインに本当に子供をつくる気があるのかどうか、また何故その気になったか分かりづらいところもありますが、何か不思議に面白い作品でした。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (01/4/28)


ball1E.T.  20周年アニバーサリー特別版
原題 E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL 20TH ANNIVERSARY SPECIAL EDITION (ユニバーサル/UIP 120分  2002年  DRS)
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 ディー・ウォーレス  ヘンリー・トーマス

 エリオットは、都心から離れた郊外の新興住宅地に住む少年。母親と兄や妹と一緒に住んでいるのだが、父親とは別居している。その彼がある夜、庭で「怪物」を見たと言い出すが、誰も信じなかった。しかし、彼は自分が見たことを信じていた。ある日、色とりどりのチョコレートで「彼」を誘い、家に入れることに成功した。そして、彼はこの秘密を兄と妹に打ち明け、兄妹達は彼を守ることにし、故郷の星に帰ろうとする彼の手助けををしようとした。しかし宇宙船に置き去りにつれた彼の存在に気づいたNASAの科学者たちは、精巧な盗聴器などを使って、すでにE.T.の存在をかぎつけていた。 スピルバーグ自身にとって最も思い入れの強い作品「E.T.」の20周年アニバーサリー特別版。

 もう公開されて20年になりますかねぇ。小倉では確かダイエー前のSY松竹と富士銀行の裏のロマン座で上映されていました。これらは今はすべてありません(笑)。富士銀行はみずほに名前が変わっただけですが…。SY松竹で見たのですが、珍しく上映前に建物の外まで行列が出来ていたのを覚えています。
 あまりテレビでも放映されない作品だし、私はあまりビデオで何度も見たりしないので、ちょっと記憶が曖昧になっているところもあり、確認の意味を含めての本編です。E.T.が冒頭から姿が見えているのが意外でしたね。音楽が効果的でいいですね。ジョン・ウィリアムス。最近の作品より印象的なのでは…。だいぶデジタル処理で手直ししているみたいですが、効果的ですね。空を飛んでいるのを上空から撮っているシーンはやはり最近の作品に比べれば見劣りしますが、20年前ですからねぇ。E.T.が風呂でおぼれるシーンとか母親が娘に本を読むシーンがあまり記憶がないのですが、追加のシーンでしょうか。しかし、読んでいる本がピーターパンというのがスゴイですね。スピルバーグ、よほどピーターパンが好きなのでしょうね。なんだかんだ言っても永遠に残る作品でしょう。
 ドリュー・バリモア。面影残っていますね。20年、一時期色々あったようですが、よくがんばって復活したものです。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (01/4/27)


ball1ブラックホーク・ダウン
原題 BLACK HAWK DOWN (リボリューション/東宝東和 145分  2001年  DRS)
監督 リドリー・スコット
出演 ジョシュ・ハートネット  ユアン・マクレガー

  1993年アイティード将軍による略奪と虐殺の行為が、たえまなく続くソマリア。首都モガディシオでガリソン少将は部族の幹部集会が行われるビルの周囲に空から降下し、アイディードの副官2名を捕らえる作戦にゴー・サインを出した。市内に乗り込んで行くのは、レンジャー部隊とテルタ部隊で構成された100名の精鋭たち。その中に今回の任務で初めて班の指揮をとることになった軍曹もいた。部下を必ず生きて連れて帰るべく彼は基地にやって来たばかりの新兵やデスクワーク専門の特技下士官等と共に、ブラックホーク・ヘリに乗り込んだ。ところが、1時間で終わるはずの作戦が、プロペラに攻撃を受けたフラックホークが墜落したことにより予想外の展開を迎えることになる…。監督は「グラディエーター」のリドリー・スコット、製作は「パール・ハーバー」のジェリー・ブラッカイマー。

 全編、「プライベート・ライアン」の戦闘シーン並のシーンが続く作品とのことでしたが、どんなものでしょう。「プライベート・ライアン」ほどの緊張感がなかった気がします。なるほどそれなりの戦闘シーンはありますが、相手がソマリアの民兵ということで、相手側の作戦というものがまるでなく、ただ火器や数を頼みに襲ってくるという感じなので、緊迫感がないのかも知れません。戦争映画の怖さよりバタリアンとかゾンビ的な感じてすね。また、ソマリア側の論理というのを割と雑に扱ってしまっているので、その辺も緊張感のなさに繋がってしまっています。
 でも、米国側もそれほどの作戦や対応力がないですね。奇襲の我には動きが筒抜けだし、低空に降りたブラックホークはRPGにやられるし…。まさかRPG(対戦車ロケット砲)を持っているとは思わなかったのでしょうか。10年ほど前の実話なのですが、ベトナムなどの教訓が全然生かされていない感じですね。世界の警察を演じるのは勝手ですが、縁もゆかりもないアフリカの国で亡くなっていった兵隊たちはどう思っているのでしょう。結局何が言いたいか私にはわからない作品でした。ただの戦争娯楽映画なのか、国家意志軒昂作品なのか…。
 ジョシュ・ハートネット、メジャーになってきましたね。「パールハーバー」よりもいい演技だったかな。私が好きなサム・シェパード。一応司令官なのですが、ちょっと無策過ぎる気がしますね。何でこの作品に出ているのかな。ユアン・マクレガーも出ていますが、全然目立ちません。それに対して、トム・サイズモア。彼には絶対、弾丸が当たりませんねぇ。しかし戦地実況みたいに、上の方で基地に映像を送り続けているだけのヘリってのも何か変だな。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/4/21)


ball1ビューティフル・マインド
原題 A BEAUTIFUL MIND (ユニバーサル・ドリームワークス/UIP 134分  2001年 DRS)
監督 ロン・ハワード
出演 ラッセル・クロウ  ジェニファー・コネリー

  1947年9月、出身地のウエスト・バージニアで“数学の天才”と謳われた青年が、プリンストン大学大学院の数学科に入学した。彼にとって、世の中に起きることは、ガラスの反射から碁に勝つことまで、すべてが頭の中では方程式になった。しかし、人づきあいが下手で、女の子もろくに口説けないナッシュは、クラスメートたちからも次第に変人扱いされるようになる。彼が目指すのは、MITのウィーラー研究所だったが、論文が書けずに、焦燥感にさいなまれる彼を慰めてくれるのは、ルームメートだった。  ある日、彼は、プールバーにやってきた3人の女の子を見て、突然ひらめいた。従来の競争理論に基づけば、男たちは一人のブロンドを奪い合った末、誰もが彼女を手に入れられない。しかし、もし男たちが自分の利益とグループ全体の利益を同時に追求して、ブロンドをあきらめてほかの2人の女の子を口説いたなら、誰もがいずれかの女の子を手に入れることができる。ナッシュはこれを定式化した。それは、150年間も定説とされてきたアダム・スミスの理論を覆す、単純で美しい彼独自の理論の構築だった。こうして、ウィーラー研究所に入ることができた彼の元に諜報員が訪れ、雑誌に隠されたソ連の暗号解読を依頼する…。本年度のアカデミー賞を5部門受賞した作品。

 ちょっとびっくりな作品でした。単純な美話かと思っていましたが、なかなかどうしてドキドキさせられるようなシーンもあり、サスペンスとしても見られる作品になっています。'94年にノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュと言う人の伝記の映画化ですが、事実に基づいていてそんなに脚色がないとすれば、かなり数奇な話ですね。本人の主観が主体になっているので、その辺りをどうとるかによって感想が変わるかも知れません。ドラマとしては「シャイン」を連想させるかも…。
 ロン・ハワードの演出はうまいですね。話の語り口がうまい気がします。その演出に応えているラッセル・クロウとジェニファー・コネリーも熱演です。特にジェニファー・コネリー。「レクイエム・フォー・ドリーム」も目立っていましたが、この作品でも大人の演技ができていた感じてす。本当の奥さんはヒスパニック ?なのに白人の彼女が演じたという批判が出たそうですが、そこまで言いますかねぇ。エド・ハリスも怪しい役を好演。終盤の授賞式のシーン辺りが軽い感じもしますが、ここのシーンのメークもすごい気がします。実話かどうかは別にして面白い作品でした。ジェームズ・ホーナーとシャルロット・チャーチの音楽も印象的でした。

  評価 ☆☆☆☆  (01/4/14)


ball1マルホランド・ドライブ
原題 MARHOLLAND DRIVE (アメリカ=フランス合作映画/コムストック 146分  2000年 DRS)
監督 デイヴィッド・リンチ
出演 ジャスティン・セロウ  ナオミ・ワッツ

 真夜中のマルホランド・ドライブを走る1台の車。後部座席にはブルネットの美女が座っている。突然車が止まり、彼女は運転手に銃を突きつけられる。その時、前方から猛スピードで走ってきた2台の車。激突。大破した車から出てきたブルネットの女は、傷を負ってよろめきながらハリウッドの街へ降りていく。女は力尽き、ある高級アパートの玄関先に倒れ込んだまま意識を失う。一方、女優を夢見て、ハリウッドへやって来たブロンドのベティ。叔母が留守中のアパートに滞在し、女優になるぺくオーディションを受けようとするのだが、予期せず叔母のアパートで一人の美女に遭遇する。美女は自分のことを「リタ」と名乗る。 事故のせいで記憶を失ってしまった彼女の記憶を取り戻そうとする探索が始まる。あらゆる手がかりを求めて、記憶の奥へ、心の闇へ、迷路のようにさまよいこむ二人。行き着く先は?彼女の正体は・・・・? 2001年カンヌ映画祭監督賞

 前作、「ストレイト・ストーリー」は至極まっとうな作品だったのですが、この新作。久々にリンチ・ワールド全快の作品で、思わずにんまりしてしまうほどです。でも、アカデミー賞の最優秀監督署の候補になったことはちょっとびっくりですね。結局受賞はできず、その難解さをギャグにされていたりしましたが…。
 冒頭からなかなかの導入です。みるみる彼のペースにはまっていく感じてす。いくつかの話が平行で進んでいくのですが、それらがどう関わっていくのか分からないまま話が進んでいきます。なぞめいた部屋や謎の男は出てくるし、謎は深まっていくばかりです。ラストで一応決着はつけてくれますが、解釈は人それぞれになるでしようね。当初はテレビシリーズの予定だったけれど、パイロット版を見たテレビ局の腰が引けてしまったとのことです。まったくなぁ、リンチをどういう監督だと思っていたのでしょう(笑) この作品のイマジネーションの元になったのは今日、NHKで放映していたビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」とのことです。

  評価 ☆☆☆☆  (01/4/7)


ball1ランドリー
 (ROBOT・メディアファクトリー・NHKエンタープライズ21・博報堂・IMAGICA 126分  2001年 )
監督 森 淳一
出演 窪塚 洋介  小雪

 主人公は子供の頃のケガがもとで、二十歳になっても子供のような精神を持ったままの青年だ。彼は祖母の経営するコインランドリーで、洗濯物が盗まれないように見張る仕事をしている。ある日、乾燥機の中に置き忘れてあった服がきっかけで、彼は若い女と知り合う。だがそのすぐあと彼女はコンランドリーの乾燥機に1着の服を残したまま、故郷の町に戻ってしまう。テルはその服を彼女に返すため、ヒッチハイクをしながらその町に向かうのだが……。

 ストーリーの流れの時間感覚がちょうどいい感じで、違和感なくとけ込むことが出来ました。最近、この辺の感覚があわずイライラさせられる様な作品も多いのですが、内容どうこうよりもこういう感覚も大事だと思います。窪塚 洋介がやや障害がある青年を演じているのですが、その度合いがはかりにくいところがありますね。まるっきりの○○では話にならないし…。ただ、この設定で性的な感じの希薄性を説明できることになります。相手役の小雪はCMなどで見ていると何故人気がでてきたのか、分からなかったのですが、この作品を見るとなるほどねぇと思えるところもあります。彼女もどちらかと言えば中性的な感じがしますね。内藤剛志のキャラもなかなかよかったです。

  評価 ☆☆☆☆  (01/4/7)


ball1ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
原題 HEDWIG AND THE ANGRY INCH (ニューライン/ギャガ 92分  2001年 DRS)
監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演 ジョン・キャメロン・ミッチェル  スティーヴン・トラスク

 共産主義体制下の束ドイツで生まれ、母親と二人暮らしで、米軍用のラジオ番組から流れるロックを子守唄に育った主人公の夢は、いつか自由の国アメリカに渡り、ロックスターになることだった。成長したある日、彼は米兵から愛をささやかれ、性転換手術を受けたうえ、アメリカに渡る。米兵に捨てられた彼女は、ロックスターになる夢を思い起こしカツラを手に、韓国軍兵士の妻たち数人と、ロック・バンドを結成する。やがて、同じくロックスターになる夢を持つ少年にすべての愛情と、ロックシンガーとしての魂を注ぎ込む。しかし、少年はは彼女を捨てたばかりか、彼女のオリジナル曲すべてを盗んで、ビルボードNo.1のロックスターになってしまう。裏切られたヘドウィグは自らのバンド「アングリーインチ」を引き連れ、トミーの全米コンサートを追い、会場脇の嚇末レストランを巡業する…。
 オフブロードウェイでロングランヒットした同名ミュージカルを、舞台版とほぼ同じスタッフとキャストで映画化したロック・ミュージカル。監督・脚本に加え、主人公ヘドウィグ役を演じるのはジョン・キャメロン・ミッチェル。

  前にも書いたかと思いますが、私は映画も音楽も好きですが、演劇やミュージカルというのはあまり興味がありません。どうも舞台でセリフや歌を歌うのが、不自然に思えるからです。しかし、これの題材が映画化されると見に行くことがおおいですね。自分でも不思議ですが…。
 この映画、言うなればロックミュージカルですが、「ロッキー・ホラーショー」や「トミー」に近いところがありますね。主人公が性転換した男性ということで、フリークスっぽいところもありますし…。
 中で歌われている歌の歌詞が持つメッセージがかなり強烈です。いつも思うことですが、日本の歌、特に対金の歌はこういったメッセージを持った歌つて少ないですね。翻訳はちゃんとできるのだから、語彙としては持っていると思うのですが…。向こうの歌って恋だの愛だのだけではなくて、様々なメッセージを含んでいることが多いです。文化や宗教とかの違いもあるのでしようか。  時代的にはデビット・ボウイや一時期のルー・リードのグラム・ロックを彷彿させるものですね。単調にならない様に使われたアニメも効果的な気がしました。アングリー・インチ(性転換手術の失敗で残ってしまった男性器)は結局、出しましせんでしたが、これはこの方がよかったかな。

  評価 ☆☆☆☆  (01/4/6)


ball1シッピング・ニュース
原題 THE SHIPPING NEWS (ミラマックス/アスミック・エース、松竹 112分  2001年 DRS)
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ケヴィン・スペイシー  ジュリアン・ムーア

 子供時代に受けた厳しい教育のため、自分の殻に閉じこもる無気力な性質に育ってしまった男が主人公。孤独な毎日を送っていたある朝、彼は美しく魅力的な女性と出逢い、初めて知った甘い関係に彼は幸せでいっぱいになった。 しかし、その幸せも長く続かず、妻は彼に愛想を尽かせ、娘を連れて他の男と逃げ出してしまう。妻が男と交通事故で亡くなり、彼女が娘を裏取引の養子縁組で売り飛ばそうとしていたことを知った彼は、娘を連れて、父の故郷である北国の小さな島、ニューファンドランド島に娘と共に流れ着き、地元の新聞のコラム“シッピング・ニュース”のライターとして第二の人生を歩み出す。地元の人々との触れ合いにより、徐々に自信を持ち始めるクオイルだったが…。
「サイダーハウス・ルール」「ショコラ」と、アカデミー賞の常連と化した感のあるラッセ・ハルストレム監督の最新作。

 うーん。ひねりが効いたなかなか面白い作品で、ビュリッツァー賞を受賞した作品が原作というのが頷ける感じです。でも、映画として見た感じたとどうも物足りなさを感じてしまいました。ラッセ・ハルストレムにしては今ひとつの作品のように思えます。どうしてかなあ。
 ケヴィン・スペイシーが主演なのですが、前半の彼と後半の彼のギャップがありすぎるのが、どうも逆に良くなかった感じがします。冒頭の彼の所作などはとても情けなく、風采なども本当にケヴィン?と言った感じがします。しかし、島の生活に慣れ、仕事のやり方などを覚えた彼は、いつもの彼に戻ってしまった感じで、それはそれで名演技なのでしょうが、どうも現実感がなさ過ぎ、違和感になってしまった感じです。いつもはあまり好きではないジュリアン・ムーアやジュディ・ディンチ辺りがいい演技しているだけに惜しい感じです。
 ケイト・ブランシェットの悪女振りもビックリですね。途中まで気が付きませんでした。この人、「エリザベス」辺りではそう感じなかったのですが、「ギフト」、「耳に聞こえる君の歌声」などを見ると、本当に演技の幅が広い女優だなという感じがします。あと、「父の祈りを」「ブラス!」のピート・ポスルスウェイトも悪役っぽい感じで出ていましたが、もったいない使い方でした。
 でも、全体としては監督、キャストの割には今ひとつのできで、ちょっともったいない感じの作品でした。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/3/31)


ball1モンスターズ・インク
原題 MONSTERS,INC (ディズニー・ピクサー/ブエナビスタ 92分  2001年 DRS)
監督 ピート・ドクター
声の出演 ジョン・グッドマン  ビリー・クリスタル

 ここは、「モンスターズ株式会社」。モンスターシティの貴重なエネルギー源である子供の悲鳴を集めるのが、モンスターズ社の仕事。そして、モンスターズ社のエリート中のエリートが、悲鳴獲得ポイントNO.1の怖がらせ屋、サリー。仕事上のパートナーで大親友のマイクとのコンビは完壁。一目見ただけでビビってしまう恐ろしいルックスと、日々の厳しい訓練の成果である脅かしテクニックを駆使し、次々と子供の悲鳴でエネルギー缶を満タンにしていく。 モンスターシティには、決して破ってはいけないルールがある。モンスターにとって人間の子供は有毒だと信じられており、子供はもちろんのこと、その持ち物であってもモンスターシティに持ち込むことは禁止されているのだ。子供相手のモンスターズ社の仕事は常に危険と隣り合わせのため、優秀な怖がらせ屋はモンスターたちの憧れのヒーロー。しかし、最近の子供は簡単にはモンスターを怖がらないし、未熟な怖がらせ屋が子供に逆襲されることもしばしば。サリーの活躍のかいもなく、悲鳴獲得量は減少傾向にあり、モンスターズ社のウォーターヌース社長は経営難に頭の痛い日々が続いていた。「バグズ・ライフ」「トイ・ストーリー2」に次ぐ、ピクサー・アニメーション・スタジオの最新作。

 CG技術の進化には驚かされることが多いですが、新しい作品に触れるとその感も強いですね。特にプーなど人間の子どもの髪の毛やサリーの毛並の質感などは凄さすらありますね。ふわふわした感触すらありそうです。後、ドアの倉庫?でのチェースシーンもなかなか見応えがありました。ストーリーとしてはもう一つの様な感じがしますが、キャラクター設定などはなかなかうまくできていたと思います。子どもを悪役に見立てているところなどは子どもと大人の関係を見立てた寓話かなと連想するところもあります。この作品は「シュレック」に敗れてアカデミー賞はとれませんでしたが、この作品の前に上映されていた短編の「FOR THE BIRDS」というのがまたうまくできていまして、そちらが短編アニメのアカデミー賞を取りました。また、ピクサー作品ではおなじみ、ランディー・ニューマンがこの作品でも音楽を担当しています。今までノミネート歴は十数度あるけれど、取れなかった最優秀オリジナル歌曲賞をついに取りました。彼は映画音楽だけでなく、自分でCD出したり、人に曲を提供したりしているのですが、私はボックスセットを買ったりしている彼のファンであるだけにうれしいです。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (01/3/21)


ball1オーシャンズ11
 (ビレッジロードショー他/ワーナー 116分  2001年 DRS)
監督 スティーブン・ソダーバーグ
出演 ジョージ・クルーニー  ブラッド・ピット

 刑務所でくさいメシを食っていたオーシャンという男が出所して間もないのに、次の計画を練り上げていた。それはラスベガスのカジノに集まる膨大な現金を、ガッポリ手に入れようという大仕事。旧知の仲間達に声をかけ、各分野のエキスパートを集め始める。スポンサー、運転とメカニックの担当、爆弾の専門家、電気の専門家、スリ、カード・ディーラー、詐欺師、軽業師まで、総勢11人の仲間たち。ターゲットはカジノをいくつも経営するカジノ王の現金が集まる地下金庫。しかし、そのカジノ王の恋人は泥棒である亭主に愛想をつかしたオーシャンの昔の妻だった…。40年余り前に作られたフランク・シナトラの「オーシャンと11人の仲間」のリメイク。監督はスティーブン・ソダーバーグ。

 ソダーバーグ監督の作品らしくそつがない感じがします。しかし、それ以上のものがあるかと言うと、どうも疑問です。大物スターが多く出ている作品にしてはうまく出来ましたという感じでしようか。犯罪物とは言っても罪悪感はあまりなく、ゲーム感覚。話がうまく行き過ぎの感じもするし、逆におしゃれな感じも強いです。ラストはちょっと疑問でしたが、まあこんなところかな。メンツにしてはもったいない気もしますが…。クルーニーやピットは役柄に合っている感じですが、ジュリア・ロバーツの美術館長?はかなり変で浮いている感じでした。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/3/16)


ball1カタクリ家の幸福
 (松竹・毎日放送・衛星放送他/松竹 113分  2001年 )
監督 三池 崇史
出演 沢田 研二  松坂 慶子

 人里離れた山の中で、長年勤め上げたデパートをリストラされてしまった男の一家が、ペンションの経営を始めた。もうすぐ大きな道路が通るから、客が来るぞという知人の言葉につられての話だったが、待てど暮らせどお客は来ない。ある日、やっと客がやってくるが、翌朝起こしに来てみると、何と部屋のキーを首に突き刺して死んでいた。しかし、ここで警察沙汰になってしまっては、このペンションには二度とお客が来なくなってしまう。悩んだカタクリ家の面々は、裏山に死体を埋めることにする…

 日本一?忙しい監督である三池 崇史。韓国の「クワイエットファミリー」という作品をリメイクしたのですが、これをミュージカルにしてしまいました。しゅっえんしているのが、沢田研二、松坂慶子、武田真治、西田尚美、そしておじいさん役が丹波哲郎。なんとも奇妙な顔ぶれです。ストーリーも奇怪ですが、インド映画もビックリなミュージカルシーンがすごいです。ははは。そして、予算不足のために使ったという飛び道具! おいおい、と言いながらこれがなかなか味があります。でもこのばかばかしさから言えば、好き嫌いが分かれる作品ですね。
 忌野清志郎のインチキ軍人がとにかくおかしいです。これに西田尚美がからむところが最高(笑) 沢田研二と松坂慶子のデュエットシーンもねぇ。沢田研二は年取った感じがするが、松坂慶子は若いですねぇ。音楽の担当は昔懐かし、馬飼野康二。西城秀樹とか河合奈保子の曲をかいていましたねぇ。

  評価 ☆☆☆☆  (01/3/7)


ball1化粧師
 (イオン化粧品・読売連合広告社・東映CM/東映 113分  2001年 )
監督 田中 光敏
出演 椎名 桔平  池脇 千鶴

 大正時代、女性に化粧を施す仕事「化粧師」をする男がいた。無口で謎めいた彼に憧れる天婦羅屋の娘で化粧師に弟子入りを望むが両親は反対していた。ある日、 化粧師は孤児で女優を夢見る女中と出会う。彼女は化粧師に相談することで少しずつ自分の可能性を信じ始めるのだった…。 ビッグコミックで連載されていた今は亡き人気マンガ家、石ノ森章太郎の原作を映画化。

 去年の東京映画祭で最優秀脚本賞作品。あまり情報がなかったのですが、紹介記事を見ていて原作のマンガを思い出しました。この作品、原作では江戸時代の設定でしたが、映画では大正時代になっています。女性が自立に目覚める時代ということで変えているのでしょうが、果たしてこれが効果的だったのかどうか…。
 池脇千鶴は例によってけなげだし、菅野美穂もこういう思っている相手には思いが伝わらないけれど、明るい女の子というのはうってつけのキャラクターです。柴咲コウや岸本加世子のエピソードはちょっと極端な感じもしましたが…。街角の滋養感などそれなりにいいのですが、女性陣が化粧してもそんなにきれいな感じがしなかったのは時代設定のせいでしょうか。
他にもいしだあゆみ、田中邦衛、柴田理恵、佐野史郎となかなか役者揃いです。主演の椎名桔平もまあまあかな。ちょっと心情がわかりにくてところがあるけれど、そういうキャラ設定なのでしょう。あまり評判にはならなかったけれど、もったいない作品です。オチも途中でみえてきますが、そんなに悪いオチでもなく、絶対的評価は高くないかも知れませんが、特に女性にとっては素直に泣ける作品かも知れません。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (01/3/3)


ball1キリング・ミー・ソフトリー
原題 KILLING ME SOFTLY (米/アミューズ 101分  2001年 DRS)
監督 陳 凱歌(チェン・カイコー)
出演 ヘザー・グラハム  ジョセフ・ファインズ

 ロンドンに住んでいる米国人のキャリアウーマン。彼女はエンジニアの恋人と平穏な生活を送っていたが、ある朝出勤途中の交差点でミステリアスな男と出逢う。男の強い視線の魔術に吸い込まれた彼女はオフィスを出て、先程男が消えた本屋を覗き、彼と再会する。彼女はタクシーで向かった男の家で、これまで経験したことの無い激しい愛の営みに溺れてしまう。1度限りにしなければいけないと思った危うい出逢いだが、有名な登山家だった彼に彼女は激しい想いを募らせてしまう。 監督は「覇王別姫」のチェン・カイコー。

 チェン・カイコーが中国では撮れないような男女の情愛をハリウッドで撮ったという作品。結果的にはその文句そのままと言う感じで、それ以上の感銘はありませんでした。どうもロンドンで働く米国人のキャリアウーマンという設定と主演のヘザー・グラハムがミスマッチな感じです。そんなに仕事が出来る感じではないし…。どんな相手に一目惚れしようが、その相手の為につき合っている彼氏を捨てようといいのですが、何かスッキリしないまま終わってしまいました。ヒロインにも自業自得的なところもあるし…。スリラー仕立てのラブ・サスペンスと言ったところですが、ベットシーンを主にしたラブストーリーとサスペンスがどっちつかずで中途半端なところもあって、ストーリー的にももう一つ。
 相手役のジョセフ・ファインズは相変わらず爬虫類っぽくて気持ち悪いし、見所はヘザー・グラハムの見事な脱ぎっぶりと時々見え隠れするチェン・カイコーらしい色合いでしょうか。何でアイヴァン・ライトマンが製作総指揮?

  評価 ☆☆☆  (01/3/3)


ball1助太刀屋助六
 (日活・フジテレビジョン/東宝 88分  2001年 )
監督 岡本 喜八
出演 真田 広之  鈴木 京香

  父を知らずに上州の片田舎に育った助六は、母親が死んだ後に故郷を捨てて旅に出る。彼が身につけたのは、仇討ちに出くわすたびにその助太刀をするという稼業。その彼が久しぶりに死んだ母の墓でも建替えようと故郷に再び舞い戻る。ところが故郷の宿場町はやけにピリピリと神経質な 雰囲気。なんでも間もなく、近くで仇討ちがあるらしい。渡りに船とはこのこと。助六はいい儲け話だとほくそ笑むが、追っ手に狙われる初老の侍は、実は助六の父だった…

 岡本喜八監督、もう年は88歳だそうですが、元気な作品を作っていますね。主演の真田広之もそれによく応えています。一人で立ち回りをやつているシーンなどを見るとアクションスターだった若き頃の彼を彷彿させるものがあります。ラストへの持って行き方もなかなか痛快でした。
 主人公は成長して7年振りに生まれ故郷に帰ってくる若者と言う設定だと思うのですが、どうみても真田が30前後にしか見えないのが、難点です。おいら変わっただろうと言われてもねえ。それに彼の幼なじみの女性というのが、鈴木京香。彼女は彼女でお転婆な役をこなしてはいるのですが、おぼこと言われてもねぇ。岸部一徳演じる関八州取締役もいざその段となるとちょっと困ったのでは…。
 この様な役をやるにはある程度年齢の違いは我慢しなければならないのでしょうか。役者がいないということでしょうね。岸田今日子は相変わらずスゴイキャラです。山下洋輔の音楽も真田の軽快な動きにマッチしていて効果的でした。また冒頭のエピソードにチラリと出ている役者ももったいないくらい豪華でした。

  評価 ☆☆☆☆  (01/3/2)


ball1修羅雪姫
 (日活・パイオニアLDC他/東京テアトル・ザナドゥー 92分  2001年 )
監督 佐藤 信介
出演 伊藤 英明  釈 由美子

 暗殺集団・建御雷家で育った雪は、愛を知らず、また哀しみすら知らぬ弧独な女剣士であった。が、母の死の真実を知った雪は組織を抜けて逃亡をはかり、組織から追われるようになってしまう。偶然通りかかった反政府グループのメンバーに助けられた彼女は、自分の心の中に生まれつつある新しい何かに気づくのだが…。

 「ロード・オブ・ザ・リング」より見ようとした作品がこれです(笑) 意地で見に行ってきました。由美子どうこうよりもアクション監督が、香港のアクション・スター、ドニー・イェンで特技監督がガメラの樋口真嗣ということで、興味を持って見たくなりました。感想としては面白かったです。ストーリーは今ひとつでしたが、やはりアクションシーンがなかなか見応えがありました。釈由美子が自分でアクションしていて骨折したというのも頷ける感じです。ただ、ちょっと相手を倒す決め技を詰めて欲しい気もしましたが…。
 この作品の原作は小池一夫、上村一夫というゴールデンコンビの劇画なのですが、内容はかなり変えているようですね。この作品、SFなのでしょうが、合成シーンなどがかなり変で、お金がかかっているのかいないのか分かりにくい作品ですが、その辺のチープさとアクションの派手さのアンバランスがいい感じで成功しています。釈ちゃんもテレビではちょっと…ですが、この作品ではかなりマジでこの役はまっています。特に格闘シーンで上目遣いで見る顔が溜まりません。監督の演出が上手いのでしょうか。共演も嶋田久作、佐野史郎、六平直政等かなりくせ者が揃っています。しかし、伊藤英明というのはどうなのでしょう。私、どうも彼の評価はしがたいですね。

  評価 ☆☆☆☆  (01/2/26)


ball1ロード・オブ・ザ・リング
原題 THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING (ニューライン/ヘラルド=松竹 178分  2001年 DRS)
監督 ピーター・ジャクソン
出演 イライジャ・ウッド  イアン・マッケラン

 遠い昔に戦乱の中で失われた冥王サウロンの指輪が、ホビットという民族の村に出現する。サウロンは指輪を取り戻すため、自分の軍勢を村に差し向けるが、その動向を察知した魔法使いは、一人のホビットの若者に指輪を託して村を脱出させる。指輪はこの世にあってはならないものだで、それを破壊するには、サウロンが指輪を鍛えたという火山の噴火口に、その指輪を投げ捨てなければならない。彼は仲間たちと共に、サウロンの軍勢を突破して無事に火山までたどり着けるのだろうか…。近代ファンタジーの規範となり、実写化は不可能と言われていたトールキンの傑作文学「指輪物語」を総計340億円という巨費を投じて、「ブレインデッド」「乙女の祈り」のニュージーランド人のピーター・ジャクソンが監督。

 他の映画を見に行こうとして、土曜日にある映画館に行ったのですが、この映画の先行ロードショーをやるということで上映されていませんでした。新聞の映画案内等では、その後の上映はないと書いてあったけれど…。誤報でした。うーんむ。デモ、文句を言っても仕方がありません。他の作品みも開始時間が合わないし、やむを得ずこの作品を見ることにしました。しかし、この先行ロードショー、一体どんなものでしょう。従来は前の週のレイトショーくらいだったのですが、最近は何週間も前からやったり、この作品のように昼間からやったり…。以前は興行側からも反対があったようですが、段々麻薬化してきているのでしょうね。
 で。この作品。まず邦題に苦情ですね。なぜ原作と同じ「指輪物語」にしなかったのでしょう。予告編やりだした頃から疑問でした。しかも、原題が複数形なのにはずしているし…。こういう中途半端な邦題は嫌いです。でも、冠詞の「ザ」をのこしているだけまだいいかな。

 原作は読んだことはありませんが、何となく想像がつくような話ですね。極論してしまえば、スターウォーズ、アーサー王の物語、エクスカリバー等にも通じる西洋では普遍的な話でしょう。日本のそれとはちょっと世界観が違うと思いますが…。長い原作を映画化してものなので、仕方がないかも知れませんが、デティルについては分かりにくいところもあります。導入の部分などはちょっと経緯がわかりにくい感じがしますね。あと民族やエルフの違いについてなども…。特撮、CGなどについては、かなり見応えがあるのはあります。身長が低いホビット族をどうやって撮り分けているのかが、よく分からないほどうまく撮れています。しかし、それに対して戦闘シーンは意外と迫力がない気がします。
 もともとこの作品を見る気があまりしなかったのはイライジャ・ウッドが主役というところが大きいのですが、見てみるとこの作品に関してはそんなに悪くはなかったですね。向こうで評判が悪いリヴ・テイラーもそんなに悪くなかったし、弓の名人役のオーランド・ブルームというのが買いです。三時間、ちょっと長い気もしましたが、そんなに退屈な映画でもないでしょう。でも、アカデミー賞で何部門もノミネートというのはそれほどの作品かなと思いますね。

  評価 ☆☆☆☆  (01/2/23)


ball1青い夢の女
原題 MORTAL TRANSFER (フランス=ドイツ/アミューズピクチャーズ=ザナドゥー 122分  2000年 DRS)
監督 ジャン=ジャック・ベネックス
出演 ジャン=ユーグ・アングラード  エレーヌ・ド・フジュロール

 精神分析医ミッシェルは、心密かにひかれる患者でマゾ的性癖を持つ美しい人妻の話を聞いているうちに、不覚にも居眠りしてしまう。夢の中で彼は彼女にまたがって首を締めていた。そして目覚めると、驚いたことに彼女の冷たくなった死体が横たわっていた。果たして自分が殺したのか。診察室の外には患者が待っている。困惑した彼は取りあえず死体を診察ソファの下に隠すが…。「ベティ・ブルー/愛と激情の日々」のベネックス監督8年ぶりの新作。

 ヒッチコックがやりそうなサスペンス映画的な題材ですが、死体を隠すためにドタバタするシーンなどクスクス笑えるところも多く、なんなとなく面白い作りになっています。巻き込まれ型の映画と言えるでしょうか。精神分析医が他の精神分析医にかかっていたり、患者がみな診察料をポケットからお札一掴みを渡しているところもおかしいですね。でも、その反面、謎解きが中途半端な感じになってしまったため、意図が今ひとつわからなくなってしまっている点もしてきされるでしょう。ベネックス作品としてはその辺りに物足りなさも感じますが、映像はさすがすごくきれいです。主人公やその先輩など男性陣が非常に情けない代わりにヒロイン?エレーヌ・ド・フジュロールがとてもきれいで印象的な映画です。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/2/11)


ball1バニラ・スカイ
原題 VANILLA SKY (米パラマウント/UIP 137分  2000年 DRS)
監督 キャメロン・クロウ
出演 トム・クルーズ  ペネロペ・クルス

 マンハッタンの豪華マンションに住み、フェラーリを乗り回すニューヨーク出版界の若き実力者が主人公。ハンサムで裕福、カリスマ性に満ちた彼の存在は人々を魅了し、彼自身も自由奔放なプレイボーイを気取っていた。 ところが、ある日彼は親友がパーティーに連れてきたガールフレンドに、一目で心を奪われる。 彼の心変わりをつき合っていた別の女性が見抜くのは早かった。彼女は彼をドライブへと誘い、思い詰めた彼女が運転する車は次の瞬間、ガードレールめがけて猛スピードで突っ込んでいった。監督は「あの頃、ペニーレインで」のキャメロン・クロウ。

 スペイン映画の「オープン・ユア・アイズ」と言う作品をトム・クルーズがリメイクした作品です。彼とのプライベートな熱愛?が話題のペネロペ・クルスが元の作品と同じ役柄で出演しているのも話題でした。私は元の作品が割と気に入っていました。
 冒頭、ニューヨークのタイムズスクエェアでトム・クルーズ以外は無人のシーンがスゴイですね。この手の撮影は始めて許可されたとのことです。次官は数十分でしょうか。こういう撮影を伽化するところがまたスゴイですね。日本でも最近やっと行政などがロケに協力するシステムができてきました。でも、このシーン実際に使われているのはタイトル前の数分でもったいない使われ方でもあります。
 場所の設定はニューヨークに変えてはいますが、割と元の作品と同じですね。ペネロペ・クルスは清楚な感じだし、敵役?はキャメロン・ディアスですが、割に合わない熱演です。ペネロペは英語が今ひとつで、スペイン語まで出てきていましたが、どうも設定が不明な感じもします。ラストは元の作品とちょっとテイストが違っている感じがします。この辺がキャメロン・クロウのアレンジでしょうか。音楽で「グッド・バイブレーション」の使い方何もうまいですね。トム・クルーズは、はまり役です。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/2/9)


ball1フェリックスとローラ
原題 FELIX ET LOLA (フランス/シネマパリジャン 89分  2000年 DRS)
監督 パトリス・ルコント
出演 フィリップ・トレトン  シャルロット・ゲンズブール

 移動遊園地のバンパー・カーのコーナーを受け持っているある男が、お祭りの喧騒を楽しむお客たちの姿を眺めている。 ある日、ひとりで遊園地に現われたの姿が、フェリックスの好奇心を刺激する。孤独な様子で、何度もバンパー・カーに乗っては、いっこうに降りようとはしない彼女は、他のバンパー・カーにぶつけられても何の反応も示さない。 その後、遊園地の食堂でふたたび彼女を見かけた彼が声をかけると、思いがけず彼女に「私を雇う気はない?」と尋ねられる。彼女のことを何も知らない彼だったが、彼女を雇うことにする。

 「髪結いの亭主」「橋の上の娘」のルコント監督の新作ということで、期待して見に行ったのですが、どうもはまれませんでした。ヒロインはシャルロット・ゲンズブールが演じているてのですが、役柄のせいでしょうがどうもこれがパッとしないのです。どうして彼女を好きになってしまうのか…。まあルコント監督、お得意の行き違った恋愛がテーマではあるのですが、この作品については今ひとつ賛同出来ませんでした。ところどころいいところもあるのですが、私にとって記憶に残る映画になりそうにない映画でした。オーティス・レディングの 「愛しすぎて」は印象的でしたが…。女性が見るとまた違うのでしょうね。

  評価 ☆☆☆   (01/2/2)


ball1地獄の黙示録・特別完全版
原題 APOCALYPSE NOW REDUX (フランス・ロシア・スペイン・ブルガリア/日本ヘラルド 233分  1998年 DRS)
監督 フランシス・F・コッポラ
出演 マーティン・シーン  マーロン・ブランド

 ベトナム戦争末期。軍の統制を離れてカンボジアのジャングルに自分の王国を築いた大佐を暗殺せよとの命令を受けて、ある大尉が小さな哨戒艇でベトナムの川をさかのぼっていくことになる。彼と行動を共にする兵士たちには、任務も目的地も知らされていない。彼らは行く先々で戦争の狂気をかいま見る。狂気がもたらすのは、際限のない無秩序と混沌だ。大尉はこの旅の中で、少しずつ大佐の心理を理解していく…。  コッポラが1979年に作ったベトナム戦争映画を、自ら再編集した3時間23分の完全版。

 オリジナル版を見た時のインパクトはかなりのものがありましたが、終盤の大佐の語りの辺で眠くなってしまった記憶があります。そして、今回は…。強烈ですね。やはりこの作品。冒頭のバックでスローで聞こえるヘリの音。この辺りの映像からもうゾクゾクする感じてす。そして、ドアーズの「ジ・エンド」。この辺りから「ワルキューレ」のギルゴア中佐のシーンまでの畳みかける様な映像は見応えがあります。それ以降の川上りのシーンは一転してスピードダウンした形で違った狂気を見せてくれます。オリジナル版ではなかった中佐のサーフボードのエピソード、フランス人の農園のエピソードなどは作品をより深いものにした感じがします。見ている方が年取ったせいもあるでしょうが、オリジナル版よりストーリーが追えるようになった気がします。ただ、プレイメイトのその後はちょっと蛇足な感じもしました。
 大佐の王国に入り込んだあともいくつかシーンが増えている感じがしましたが、大佐のシーンでやはりまた眠くなってしまいました。どうもこの辺りオリジナル版ともども、私には緊張感がないように思えます。そして、ラストクレジット。オリジナル版と異なるこちらの方が本当だろうと思いながらやはり…。
 昨今のCG技術も大変な進歩を見せていますが、20年前のこの作品、実写の迫力というのはかなりのものがあります。好き嫌い、賛否両論あるでしょうが、やはり一度は見ておくべき作品でしょう。最近の彼の国の動きにも通じるものも感じられます。

  評価 ☆☆☆☆1/2   (01/2/2)


ball1イースト/ウェスト遥かなる祖国
原題 EST-OUEST (フランス・ロシア・スペイン・ブルガリア/シネマパリジャン 121分  1998年 DRS)
監督 レジス・ヴァルニエ
出演 サンドリーヌ・ボネール  オレグ・メンシコフ

 第二次大戦直後の1946年。ソ連のスターリンは国外逃亡していたロシア人たちに恩赦を与え国土再建のため祖国に戻るよう呼びかけた。フランスに移住していたある医師は、これを機会にフランス人の妻と一人息子を連れてロシアに帰ることを決意する。たのロシア人達と帰国した彼らのはを待っていたのは、彼らは西側のスパイであるという濡れ衣の疑惑だった。監督は「インドシナ」「フランスの女」のレジス・ヴァルニエ。

 この作品で描かれていることが第二次世界大戦後のソ連で行われていたことは知りませんでした。最もその頃の西側にもその実態は分からなかった様ですから、仕方がないことですね。冷戦と言う言葉が出来る前のことだと思われますが、これがつらい現実だったのでしょう。
 ロシア人の医師とフランス人の妻の話で、当初は愛情深い監視で描かれていますが、ソ連に帰ってその厳しい状況が分かってくるにつれて、二人の間に距離が生じます。直接的に帰国するための行動をとろうとする妻とそういった行動を取っていては危険なため、間接的な行動とする夫との間で亀裂が生じるのは当然のことでしょう。しかし、そのために妻を帰国させるために浮気までしようとする夫の行動は滑稽でもあり、また哀れな感じもします。夫側のそれと違い、妻側の水泳の選手の存在は夫婦間の感情を逆にあいまいにしてしまっている気もします。結局、不倫かな…と。結局、自分自身の危険を顧みず、妻を帰そうとするのですが、それがはたして彼の為によかったのかなと思います。
 主演の二人が昔風の美男、美女と言った感じで時代の雰囲気と合っていて、いいですね。「仕立屋の恋」のサンドリーヌ・ボネールと「太陽に灼かれて」「コーカサスの虜」のオレグ・メンシコフです。「タンサー・イン・ダーク」のカトリーヌ・ドヌーブがまたしてもいい人役で出ています。最もこちらの作品の方が撮影は前田と思いますが…。
 久々に東京で見た作品。シネスイッチ銀座の地下の方は何度も行ったことがありましたが、上の方は初めてです。イスもよかったし、二日酔いにはピッタリの劇場でした。

  評価 ☆☆☆1/2   (01/1/27)


ball1アメリ
原題 AMERIE/LE FABULEVY DESTIN D'AMELIE POULAIN (フランス/アルバトロス・フィルム 121分  2001年 )
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
出演 オドレイ・トトウ  マチュー・カソヴィッツ

 少女アメリの遊び相手は空想の中の世界。ちょっと冷たいパパと神経質なママのもとで、想像力が豊かな女の子として育った。やがて、成長しモンマルトルのカフェで働いている彼女は、ダイアナ妃の事故のニュースの日をきっかけに、彼女はとあるウダツのあがらない中年男の人生を優しく希望のあるものに変えてしまう。その事件は、アメリに人生の目的を発見した!と思わせた。彼女は、まわりの誰かを今よりちょっとだけ幸せにすることの喜びを見つけたのだ。「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」「エイリアン4」のジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作。

 フランスで大ヒット。米国でもフランス映画としては珍しくベスト 10に入った作品。日本でもかなりヒット作品になっているようです。とてもほのぼのとしたファンタジーな作品です。ちょっと子ども向けといいう訳にはいきませんが…。「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」辺りの毒気はちょっとこの作品に関してはあまり出てきません。想像力豊かなシーンが多いのですが、その辺はCGやデジタル処理などを効果的に使われています。
主人公を演じるオドレイ・トトウがいいですね。彼女は「エステサロン/ヴィーナス・ビューティ」に手でいたらしいですが、私は未見です。当初の主役はエミリー・ワトソンが想定されていたと言うのですが、そうなると全然違った作品になっていたでしょうね。相手役は「アサシンズ」、「クリムゾンリバー」のマチュー・カソヴィッツです。ジュネ監督の「エイリアン4」の足なし男等、ジュネ作品、常連のドミニク・ピノンは出ていますが、いつものデコボココンビ、ロン・パールマンのが出ていないのが残念です。
 時々、犯罪まがいの行為があるところが気になりますが、全体としてとてもハッピーな気分にさせてくれる作品です。

  評価 ☆☆☆☆   (01/1/25)


ball1こころの湯
原題 洗澡 SHOWER (中国/東京テアトル、ポニーキャニオン 92分  1999年 )
監督 チャン・ヤン
出演 チュウ・シュイ  プー・ツンシン

 父が北京の下町で営む銭湯を継がず、シンセンで働く長男は、弟から1枚の葉書を受け取る。知的障害のある弟は、文章の代わりに父が横たわる絵を描いてきた。それを見た長男は、もしや父が倒れたのではと心配し、久しぶりに帰郷する。 幸い父に変わりはなかったが、しばらく振りの帰省に在を延ばして銭湯を手伝うことにする……。 「スパイシー・ラブスープ」のチャン・ヤン監督の最新作。

 中国の銭湯を舞台にした映画ですが、日本のそれに非常によく似ていますね。マッサージなどのサービスは日本のより充実していますが、最近のスーパー銭湯に似ている感じもします。テーマも舞台を日本に持ってきてもそれだけで通じる感じです。後継者の問題、古くからの街の再開発の問題、どこでも同じようなことが起こっているのだなあという感じです。母親の話がちょっと突飛な感じを受けましたが、父と長男、そして障害がある弟とのやりとり、常連の客とのやりとり、何度も出てくるジョギングのシーンなど、日常の描写の繰り返しを続けることにより、その中の変化を上手く浮き彫りにすることが出来ています。父親役は「心の香り」「變瞼〈へんめん〉この櫂に手をそえて」、日本のドラマでは「大地の子」にも出ていたチュウ・シュイがいつもながら好演。長男役のプー・ツンシンも寡黙でいいですね。首都である北京からわざわざシンセンに仕事に行っているという人もいるんですね。あの付近の隆盛振りが伺えます。でも、シンセンにいる妻との携帯でのやりとりをもうちょっと工夫してもよかったのでは…。父親が死んだことをすぐ連絡しないのもおかしい気が…。

  評価 ☆☆☆☆   (01/1/20)


ball1Dr.Tと女たち
原題 DR. T & THE WOMAN (米/ギャガ 122分  2000年 )
監督 ロバート・アルトマン
出演 リチャード・ギア  ヘレン・ハント

 Dr.Tことドクタートラヴィスはダラスの産婦人科医。ハンサムで女性の悩みにも親身になって耳を傾けるため、彼の医院はさまざまな欲望や思惑を抱えたエキセントリックな女性の患者で溢れ返るほどの盛況ぶり。彼には最愛の妻と二人の娘、アルコール依存症気味の義理の妹がいる。こんな女性ばかりに囲まれた日々を過ごすDr.Tの唯一の息抜きは男友達とゴルフ・コースを回り、野鳥のハンティングをすることだったが…。「マッシュ M★A★S★H 」や「ザ・プレイヤー」のロバート・アルトマンの新作。

 ロバート・アルトマンは結構好きな監督です。冒頭の病院の受付風景を描いたワンシーン、ワンカットが見所ですね。さすがと言った感じです。でも、そのあとが…。どうも何がいいたの分からないと言った感じをうけました。宗教観か倫理感の問題も含んでいるのかなあ。ラストもちょっと解釈が難しい感じです。安易な感じもしますが…。
 彼の妻役の突然のファラ・フォーセットの街頭ヌードにはビックリさせられましたね。後の女優陣もなかなか豪華です。ローラ・ダーンやリヴ・テイラーなんかも出ています。

  評価 ☆☆☆   (01/1/13)


ball1スパイキッズ
原題 SPY KIDS (米/アスミックエース 88分  2000年 )
監督 ロバート・ロドリゲス
出演 アントニオ・バンデラス  カーラ・グギノ

 東西冷戦時代、敵対する国のトップ級のスパイだった男と女が恋に落ち、めでたく結婚。スパイを引退して平和な生活を営む彼らだったが、かつての同僚たちが次々と行方不明になり、その足取りを追うために活動を再開する。しかし、彼らもまた囚われの身となってしまう。自分たちの両親がスパイだったことを知らなかった子ども達が彼らを助けるために立ち上がる。

 ロバート・ロドリゲスとアントニオ・バンデラスのコンビと言えば、「デスペラード」等があるが、これはひと味違った映画です。なにせファミリーで楽しめるような作品ですからちょっとビックリです。でも、そこそこの出来のようで、米国でも大ヒット。第二作も製作されるようです。  中身についてはあれこれ言うほどの物ではないです。見ている間面白ければ…と、と言った感じです。バンデラスのちょつと間抜けな父親振りもいいし、子役もまあまあいい感じです。後の配役がいいですね。悪役にアラン・カミング。彼は「タイタス」や「アイズワイド・トョット」にも出ていたと思いますが、割と目立ちますね。もともとはコメディアンだったと思いますが、歌も自分でうたっているようです。同じく悪役に「ターミネーター2」のロバート・パトリック。子ども達の偽のおじさん?がテレビシリーズの「ナッシュブリッジズ」でドン・ジョンソンと共演しているチーチ・マリン、本当のおじさんが悪面のダニー・トレホとこれまたロドリゲス映画ではおなじみのメンツが出ています。ラストで大物俳優が目線入りで出演していて、大爆笑。

  評価 ☆☆☆1/2   (01/1/12)


ball1メメント
原題 MEMENTO (米/アミユーズ 113分  2000年 )
監督 クリストファー・ノーラン
出演 ガイ・ピアーズ  キャリー=アン・モス

  愛する妻が目前でレイプされ殺害されてしまったショックによって前向性(順行性)健忘と言う記憶障害に陥り、10分前の記憶しか保てなくなってしまった主人公。そんな状況のなか、彼はポラロイド写真や彼自身の体に書き込んだメモ代わりの入れ墨などを駆使しながら何とか妻殺しの真犯人を探し出そうとするが……。プロット、表現方法、編集すべてにおいてオリジナリティが絶賛された革新的リワインド・ムービー。監督・脚本は31才の新鋭。クリストファー・ノーラン。

 何よりアイデアがすごいです。極端に言ってしまえばビデオを終わりから少しずつ巻き戻しながら見ているような映画なのですが、その戻し方とかつなぎ方が絶妙な感じで、効果的な演出になっています。同じシーンが何度も出てきたりするのですが、その度にそのシーンの持つ意味が違っているので、見逃せない感じになっています。構成の仕方がかなりうまく傑出した効果を上げていると思います。保険会社の調査員だった主人公が語る調査対象の人物の話も効果的ですね。ふーむ。まだこういう作り方もあるんですね。
 しかし、残念なのは見終わった後、だからどうしたと言った感じになることですね。なるほど作り方はすごい上手いのですが、それしか印象が残らずストーリーというか謎自体がもう一つスケールが小さいはなしだったせいかも知れません。ちょっと残念ですね。大体10分の記憶しか持たないと言いながらこの映画で描かれているのは、モーテルの宿泊などから言っても数日間の様な感じなので、ちょっと辻褄が遭わない気がします。でも、とても才能があるし、今後がすごく楽しみな監督であるような気がします。
 「L.A.コンフィデンシャル」のガイ・ピアースが主演なのですが、キャストも今ひとつ地味なところが効果的ですね。とは言え、「マトリックス」に出ていた人が二人も出演していましたが…

  評価 ☆☆☆☆   (01/12/23)


ball1耳に残るは君の歌声
原題 THE MAN WHO CRIED (英=仏/アスミック・エース 97分  2000年 )
監督 サリー・ポッター
出演 クリスティーナ・リッチ  ジョニー・デップ

  1920年代。ロシアにある小さなユダヤ人の集落が襲撃される中、幼い少女が同郷の少年たちと共に馬車で村を脱出し、出稼ぎに出た父親を探して米国に向かおうとする。しかし、少年たちと引き離されて、たどりついたのは英国だった。イギリス人の家庭に引き取られた彼女だが、家族や学校にも馴染めず、彼女の心を慰めるのは、かつて父親と共に口ずさんだ故郷の歌だけだった。やがて、彼女はパリでコーラスガールの職を得る。監督・脚本は「オルランド」「タンゴ・レッスン」のサリー・ポッター。

 ミニシアター系の正月映画では、評判が高いようですが、なるほどな感じです。ストーリーを追うと大河ドラマの題材だと言えますが、97分にまとめられています。無駄に長いよりも短い方がよいでしょうが、ちょっと霧過ぎている感じでシーン、シーンでの余韻が楽しめません。この監督、題材としてはいつもいいものを選んでいて、とてもいいのですが、どうも詰めが甘いというか、もう一つ何か足りないというところがあります。冒頭に船が攻撃されて波間に彷徨っている主人公がでてくるのですが、どうもと突飛で本編とうまくつながっていない気がします。彼女の運命を象徴しているのでしょうが…。
 しかし、キャストの方では主演のクリスティーナ・リッチ、いいですね。そんなにスタイルがいいわけではなく、太めの体のスリップ姿とかがかえってリアリティがある感じです。ジョニー・デップも寡黙な感じでいいですね。役柄としては、ショコラの役に近いですね。ロマ(ジプシー)の役だし…。ケイト・ブランシェットはちょっと驚きました。こういう役もできるのですかね。やはりうまいのか? ハリー・ディーン・スタントン。これもなかなかいい役柄でした。ポスターにも使われているですが、彼女の子ども時代を演じている子がクリスティーナ・リッチにそっくりでビックリです。
 しかし、この映画もなんかセリフで使われている言語がバラバラですね。フランスでロシア出身のユダヤ人が英語で会話するのかなぁ。英語版の吹き替えでしょうか。ちなみにタイトルはビゼーのオペラの一節からだそうです。作品の中では、ジョン・タトウーロがイタリア出身のオペラ歌手を演じています。

  評価 ☆☆☆☆   (01/12/23)


ball1劇場版とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険
(小学館・テレビ東京他/東宝 分  2001年 )
監督 出崎 統
声の出演 間宮 くるみ  池澤 春菜

  ある日、ハム太郎たちは、ぐうぜんにも「ハムハムランド」の入り口を見つけました。 そこは、ハムスターばかりのゆめの国。 そこには食べると人間とお話ができるという、ふしぎなヒマワリのタネがあるといいます。ハム太郎は、飼い主のロコちゃんに自分の思いをつたえたくて、そのタネをさがしにぼうけんの旅に出かけるのでした。

 うーん。すみません。さすがの私も途中で寝てしまいました。ミニハムズが出てくるまではしつかりみていたのですが…。ちょっとこの作品とゴジラを併映するというのは、観客増大をめざしたのでしょうが、無理があったのではないでしょうか。ストーリーも毎も向けとは言え、割とありふれたテーマだし、肝心のハム太郎のキャラがあんまりいい性格じゃないですね。これじゃ悪たれのしんちゃんの方がほどかかわいい気がします。
 観ていたお子さまの方もどうも盛り上がらなかった気がします。残念ながらしんちゃんの新作の予告編の方がよほど面白かったです。でも、時々CGがすごいところがあってクレジットを見たらガメラの樋口真嗣でした。うーん。ゴジラをやらなくて、ハム太郎をしていたのですね(笑)。釈由美子の「修羅雪姫」もやっているとか。

  評価 ☆☆   (01/12/22)


ball1ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃
(東宝映画/東宝 105分  2001年 DRS)
監督 金子 修介
出演 新山 千春、宇崎 竜童

  グアム島沖でアメリカの原子力潜水艦が消息を絶ち、その探索に向かった日本の防衛軍の作業艇が海底で巨大生物と遭遇する。同時に日本各地では超常現象が発生、それらは民間伝説に出てくる、災いから国を護る聖獣達が眠る場所と一致していた。やがて、ゴジラは日本へ上陸するが、それに呼応するように、「ヤマトの守護神」であるキングギドラ・モスラ・バラゴンが目覚め、ゴジラに戦いを挑んでいく。

 ゴジラシリーズの新作。ゴジラ、モスラ 、キングギドラ、バラゴンと怪獣勢揃いの作品です。監督は「平成ガメラ」シリーズの金子修介、念願のゴジラ映画、初監督ということでしょう。
 ある程度期待して観たのですが…。今までの怪獣映画に対する疑問に応える作品とのことですが、どうでしょう。何故日本に怪獣が集まるのか、ゴジラにやられる犠牲者の描写等々。でも、色々考えすぎて頭でっかちになりすぎて論理が変な感じもします。しかし、対決シーンなどはかなりの迫力だし、破壊シーン等のリアリティも評価できます。久々のバラゴン、中に入っているのが女性というのも感心させられます。
 キャストでは、新山千春はある程度ガンバっていましたが、宇崎竜童がどうも変。他の作品で観る限り演技等も下手ではないと思うのですが、この作品でみる限りどうもセリフ回しなどで違和感があります。なぜこのキャスティングなのかなぁ。
 それに対して犠牲になる市民などの役でそこそこ有名な人出ているのが面白い。前田姉妹がモスラガールやっているし…。篠原ともえ、かとうかずこ、温水洋一、近藤芳正、佐伯日菜子等々。小ネタもかなり入れ込んでいますね。シネスコサイズというのもいいかも知れない。ラスト近くの宇崎のせりふはアルマゲドンなどを観て感じた違和感に対しての金子修介の答えでしょうか。共感です。

  評価 ☆☆☆☆   (01/12/22)


ball1シュレック
(ドリームワークス/UIP 91分  2001年  DRS)
監督 アンドリュー・アダムソン  ヴィッキー・ジェンソン
声の出演 マイク・マイヤーズ  キャメロン・ディアス

 人里離れた沼のほとりに住む怪物シュレックのもとに、シンデレラやピノキオなどおとぎ話の登場人物たちが助けを求めてやってきた。横暴な支配者である貴族に追い出されたのだという。彼らを、そして城に囚われている姫を救うため、シュレックはロバのドンキーと共に立ち上がる! 本年度全米No.1を記録し、大ヒットしドリームワークス最大のヒット作品になったファンタジーCGアニメション。

 出来のよいCGアニメかと思ってみていたら…。はは、結構この映画毒がありますねぇ。  この映画を作ったドリームワークスと言うのはスピルバーグ達が作った会社なのでずか、そのメンバーの一人、カッツェンバーグという人はディズニーを追われるように飛び出した人なのです。いつかディズニーを超えるアニメを作りたいといっていたのですが、これがその作品になるのでしょうか。登場人物がことごとくディズニーのアニメのキャラのパロディになっています。
 メインのキャラクターの顔が吹き替えている声優の顔にそっくりに作っているところも面白い。ラストのオチも逆転の発想で笑えました。この作品、アニメにしては過激なシーンもあるし大人向けのアニメですね。吹き替えで見るのももったいない映画です。個人的にはバカ受けの作品でした。

  評価 ☆☆☆☆   (01/12/21)


ball1ハリー・ポッターと賢者の石
原題 HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE  (ワーナーブラザース 152分  2001年 )
監督 クリス・コロンバス
出演 ダニエル・ラドクリフ  ルパート・グリント

 優秀な魔法使いだった両親を他の魔法使いに殺された孤児ハリーは、そのことを知らずに叔母夫婦に育てられている。ある時、彼の元に魔法使いの学校から入学の許可証が届き、その学校に入学することになる。そこでいろいろな仲間や先生と出会い、魔法を学んでいく。そして、巨大なパワーを持つ「賢者の石」をめぐる陰謀に巻きまれるうちに父や母を殺した魔王と対決することになる。

 原作については欧米、特にイギリスでかなりの人気になつていて、翻訳が出た頃から知っていました。でも、あの分厚さと値段の高さで原作はいまだに読んでいません。また、去年の夏頃から映画の話が出てきて予告編も見ていて、ある程度面白そうだなと期待していた作品です。監督はクリス・コロンバス。「ホーム・アローン」の監督です。「グレムリン」や「グーニーズ」の脚本も書いているの出、この手の作品は得意だち言えるでしょう。でも、この作品の映画化についてはその内容に、原作者のJ.K.ローリングスの意向が強く左右されているようなので、原作に忠実なものになっているようです。
 原作の分厚さに忠実なせいか、映画の方も2時間半の長尺。子どもにはどうかなと思われますが、そんなに退屈しないで見られるようで、無難なできでしょう。長尺もなるほど中身は盛りだくさん、あれやこれやてんこ盛りと言ったかんじてです。ファンタジー、アクション、サスペンス?色々な楽しみ方ができます。CG等、ビジュアル的な面も割と出来がいい方ではないでしようか。ただ、空中ゲームのところはやりすぎな気もしましたが…
 子役のキャストは適訳ですね。主役もいいですが、相手役の二人もぴったりな感じです。縦ではアラン・リックマンがいいですね。悪役っぽくって…? 校長役がリチャード・ハリスだったのは、気が付くのが遅れてしいました。音楽はもちろん?ジョン・ウィリアムス。余談ですが、英国でのタイトルは、HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE。米国でのタイトルはHARRY POTTER AND THE SORCER'S STONEです。本の方も同様です。「賢者」と「魔法使い」ではちょっとニュアンスが違う気もしますが…。

  評価 ☆☆☆☆   (01/12/8)


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