UPDATED 2001/1/2

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

近作の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

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[近作の感想] [2000年前半公開の作品の感想]

最近封切りの作品の感想のページです
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  new[宮廷料理人ヴァテール]
  ball1[ことの終わり]
  ball1[チャーリーズ・エンジェル]
  ball1[タイタス]
  ball1[十五才 学校IV]
  ball1[金髪の草原]
  ball1[アンジェラの灰]
  ball1[スペース・カウボーイ]
  ball1[X−メン]
  ball1[シベリアの理髪師]
  ball1[五条霊戦記]
  ball1[顔]
  ball1[17歳のカルテ]
  ball1[キッド]
  ball1[マルコヴィッチの穴]
  ball1[しあわせ家族計画]
  ball1[U−571]
  ball1[春香伝  (福岡映画祭)]
  ball1[天馬茶房  (福岡映画祭)]
  ball1[あかね色の空を見たよ  (福岡映画祭)]
  ball1[三文役者  (福岡映画祭)]
  ball1[ストップ・メイキング・センス]
  ball1[サウスパーク 無修正映画版]
  ball1[ハピネス]
  ball1[ホワイトアウト]
  ball1[ボーイズ・ドント・クライ]
  ball1[ミラクル・ペティント]
  ball1[パーフェクト・ストーム]
  ball1[レインディア・ゲーム]
  ball1[あの子を探して]
  ball1[ファンタジア/2000]
  ball1[ドグマ]
  ball1[クロスファイア]
  ball1[M:I−2]
  ball1[サイダーハウス・ルール]
  ball1[ボクのおじさん THE CROSSING]
  ball1[グラディエーター]



new宮廷料理人ヴァテール
原題 VATEL  (仏・英/ヘラルド 118分 2000年)
監督 ローランド・ジョフィ
出演 ジェラール・ドパルデュー  ユマ・サーマン
 17世紀のフランス。有力貴族であるコンデ将軍は、失った信頼を回復するために太陽王ルイ14世を3日間の饗宴に招待し歓心を買おうとする。将軍の名誉回復のため、その饗宴の全ての料理と演出を請け負ったのが天才的な料理人であるヴァテールだった。監督は「キリング・フィールド」「ミッション」のローランド・ジョフィ。

 予告編を見て期待して言ったのですが、うーん。仕掛けは立派だけれど内容が伴っていないかな?と言った感じです。なるほど宴会の演出は素晴らしいし、料理の準備の舞台裏もよく描かれています。製作費が40億円というのも頷けます。でも、その宴会で繰り広げられる政治的な駆け引きや、ユマ・サーマン演じる王妃お付きの女官を巡る、ジェラール・ドパルデュー演じるヴァテールとティム・ロス演じる貴族とのやり取りが何か中途半端です。ヴァテールの心情がよく分からないままの展開だったので、予想されたものとは言え、結末はちょっと釈然としない感じもします。英語劇だったのですが、その辺の違和感はあまりなかったと思います。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/12/30)



newことの終わり
原題 THE END OF THE AFFAIR  (英/ソニー 101分 99年)
監督 ニール・ジョーダン
出演 レイフ・ファインズ  ジュリアン・ムーア,
 第二次世界大戦中のロンドン。ある作家が取材対象として知り合った高級官僚の妻と出会い、恋に落ちる。しかしね彼女は彼の前から突然姿を消してしまう…。
 グレアム・グリーンの小説「情事の終わり」の再映画化。監督は「クライング・ゲーム」「マイケル・コリンズ」のニール・ジョーダン。

 ニール・ジョーダンの名前に惹かれて予備知識無しで見に行ったのですが、題名通り「こと」というのはLove Affair、情事のことですね。調べてみるとデボラ・カーとヴァン・ジョンソン主演で1954年に映画化されている作品です。でも、こてこての恋愛映画かと言えばそうでもなく、ミステリー的要素や宗教がかったところも見られます。主演がレイフ・ファインズということで、「イングリッシュ・ペイシェント」みたいなところもありますね。謎解きについては期待はずれみたいなところもあり、結果的に単なるメロドラマに終わった作品になった気がして残念なところもあります。別れたと言いながらまた一緒にブライトンに行くシーンが安易だし、ところどころ疑問なところもありました。イギリスのアカデミー脚本賞を取った作品とのことですが、もうちょっと深い作品かなとも思ったのですが…。相手役のジュリアン・ムーアは「ジュラシック・パーク」や「マグノリア」に出ていた女優ですが、この作品でのファッションがいいですね。官僚役のスティーブン・レイの顔もハンフリー・ボガートを連想させるところもあり印象的です。

 評価 ☆☆☆☆  (00/12/16)



newチャーリーズ・エンジェル
原題 CHARLIE'S ANGELS  (コロンビア/ソニー 94分 2000年 SRD)
監督 McG
出演 キャメロン・ディアス  ドリュー・バリモア
 完成間近の音声識別ソフトを開発中のトップが何者かに誘拐される。その会社の女性パートナーからの依頼を受けて、エンジェル達が捜査を開始する。彼の会社のライバルの会社が怪しいとにらんだが…。20年ほど前に放映されたTVシリーズの映画化。

 当初はそんなに興味なかったのですが、今年、最高のおバカ映画だと評判なので、思わず見に行きました(笑) なるほどこれはレイクエンジェルよりおバカで楽しめます。元はTVシリーズで結構はやったシリーズです。私もそんなに、はまりはしなかったけれど一応見ていました。ファラ・フォーセットの人気が出た作品でもありました。それの映画化なのですが、こういうのもかなり前例があります。「スタートレック」や「ミッション・インポッシブル」などもそうです。
 この映画、エンジェルの一人として出演しているドリュー・バリモアが製作もしていて、親友?のキャメロン・ディアスなどと出ています。冒頭から「007シリーズ」の様な空中アクションで始まりはしますが、全体としてマンガを見ている感じで緊迫感というより笑いながら楽しめると言った感じです。ストップモーションやリプレイの多用もねぇ。いきなり水着になったり、ショートパンツになったり不必要に見える展開もコスプレ的要素も点数高いです。(笑) 昔のTVシリーズとはちょっと違った作りですが、これならこれでもいいかなと思えます。もう一人のメンバーのルーシー・リューのキャラががちょっと弱い気もしますが、他の二人を考えると仕方がないのかな。ちなみにこの役、工藤夕貴もオーディションを受けたようです。
 音楽もレオ・セイヤーとかアラン・オデイの昔の曲でいい所ついているし、「マイアミ・バイス」や「アダム30」のネタもあるし、相手役でビル・マーレー、テイム・カリーが出ているのも渋い。TVシリーズを知っているようなある程度年齢がいった人には違った意味でお買い得の映画です。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/12/8)



newタイタス
原題 TITUS  (米/ギャガ=ヒューマックス 120分 2000年 SRD)
監督 ジュリー・テイモア
出演 アンソニー・ホプキンス  ジェシカ・ラング
 古代ローマの将軍タイタスはゴート族との戦いに勝利し、ゴート族の女王タモラと息子たちを手みやげにローマに凱旋する。タイタスは自分の子供たちを失った恨みを晴らすため、女王の長男を斬殺。折しもローマの皇帝が亡くなり、タイタス達の指名で選ばれた新皇帝は、捕虜となっている女王を開放して自分の妻に迎え、彼女の言いなりにタイタス一族を冷遇するようになる。シェイクスピアの原作を「ライオン・キング」の舞台版を演出したジュリー・テイモアが監督。

 予告編で気になって見に行ってきました。シェイクスピアの原作とのことですが、この話は知りませんでした。シェイクスピアはよく映画化されていて、ケネス・ブラナーあたりもよくやっています。それらと比べるとこの作品、異質かも知れませんね。この作品、R-15に指定されているだけあってちょっとどぎついシーンもあります。将軍の娘を女王の息子がレイプして両手首、舌を切断したり、将軍自身の手首も取ったり…。時代設定はローマ帝国ですが、オートバイや自動車が出てきたりします。しかし、それがあんまり違和感がないところが面白いです。テイストとしては「グラディエーター」に「ロミオ+ジュリエット」を足した感じです。あとグリーナウェイの影響もあるかな? 内容としててはアンソニー・ホプキンス、独り舞台といった感じです。相手はジェシカ・ラングですが、ちょっと役不足の感もあります。グレン・クローズあたりだともっと迫力あるかも…。もともとは悲劇でしょうが、どっちもどっちと言った感じかな?

 評価 ☆☆☆☆  (00/12/2)



new十五才 学校IV
  (松竹 120分 2000年 SRD)
監督 山田 洋次
出演 金井 勇太  赤井 英和
 不登校になってしまった15才の中学生。親にもなかなか理解得られない彼は、屋久島にある縄文杉を見に行くためにヒッチハイクの旅をはじめる。

 学校シリーズも4作目。松竹大船の最後の作品になったようです。出来の方は相変わらずの手堅いつくりです。不登校の中学生が主人公になっていますが、話が重くなるのを避けるためか、いじめなどはない設定になっています。でも、その分不登校の理由の説得力がないですね。彼を気遣ってくれる隣の席の子はかわいいし…。従って、ロードムービーの体裁になっていますが、ヒッチハイクの道中であう人の設定はさすがです。大阪までのトラック運転手、赤井英和もいいですが、その後の麻実れいがいいですね。この人映画では見かけたことなかった気がしますが、なかなかよいです。そこここで寅さんのメンバーが出てきているし、丹波哲郎の怪演も見物です。でも、この主人公、吉岡秀隆にそっくりですね。
 シネプレックスと言う最近できたシネコンで初めて見たのですが、隣で「シャフト」をやっていて、時々音や振動が伝わってきて気になりました。シネコンでは初めての経験ですが、ちょっと気になる感じです。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/11/25)



new金髪の草原
  (ザナドゥー 96分 99年)
監督 犬童 一心
出演 伊勢谷 友介  池脇 千鶴
 20才の帝国大学生である青年はある日目を覚ましてみると、記憶は青年のままだが80才の心臓を患う老人になっていた。しかし、本人にその自覚はない。そこにヘルパーとしてやってくる学生時代のマドンナそっくりの女性に彼は恋してしまう…。大島弓子原作の漫画を「大阪物語」の脚本家犬童一心が監督。

 主演の池脇千鶴は結構気になっていて、「大阪物語」もよかったですが、彼女の出ていたドラマを時々みてたりしていました。相手役の伊勢谷友介は、「ワンダフルライフ」に出ていてこれも好演していました。80才の老人役とのことですが、下手にこじつけた演技をしていないだけ非日常感が出いてよかったと思います。作品自体も冒頭のシーンから凡庸でどうなることかと思いましたが、まとめて見るといい感じで好感が持てた作品でした。クレープ屋のシーンなどはよかったのですが、主人公が足の動きはゆっくりなのに手の動きが早いところ、池脇の弟とか他の男との関係はちょっと疑問だし、大体彼女が酔ってしまい寝過ごして、脱ぎ捨てていた下着をはくシーンはいらない気がします。私は気が散ってしまいましたが、どうでしょう。でも、私も彼女がヘルパーだったらうれしいな(笑)

 評価 ☆☆☆☆  (00/11/25)



ball1アンジェラの灰
原題 ANGELA'S ASHES  (アイルランド/アスミック・エース 145分 99年)
監督 アラン・パーカー
出演 エミリー・ワトソン  ロバート・カーライル
 1930年代のニューヨーク。アイルランドから移民したけれど働き口に恵まれず酒に溺れる父と生まれたばかりの娘を亡くして悲しみに暮れる母は、残りの兄弟4人を連れてアイルランドへと帰郷する。母の家族を頼っての帰郷であったが、故国での生活も厳しいものがあった。ピュリッツァ賞受賞のフランク・マコート自伝小説の映画化。監督は「父の祈り」「ザ・コミットメンツ」アラン・パーカー。

 貧しいアイルランド移民の家族の歴史。さすが、アラン・パーカー。ディテールは細かくなかなか重厚な映像となっています。でも、どうも私にとっては今一つ納得行かない話でした。国民性や時代の設定は理解できるのですが、ベースは所詮ぐうたら飲み助父さんの家族の話で、今はどうか知りませんが私の子どもの頃だとよくあった話のような気もします。原作はベストセラーだということだしそういう映画だといってしまえばそれまでですが、どうも映像とのギャップがある気がしました。そういう世界から脱却したい主人公の気持ちもわかりますが、死人の金を取ってまでアメリカに戻ろうとする点もひっかかりました。IRAの話とか当時の生活振りの描写、イギリスや北アイルランドとの関係、アイルランドの気候とかはとても勉強になったんですが…。母親がそんなぐうたらな北アイルランド出身の父親と結婚した理由もわかりませんでした。主演のエミリー・ワトソン、ロバート・カーライルはとても好演だったのですが、自分の気持ちの入り方が中途半端になつてしまったのが残念でした。

 評価 ☆☆☆☆  (00/11/23)



ball1スペース・カウボーイ
原題 SPACE COWBOYS  (米/ワーナー 130分 2000年 SRD)
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド  トミー・リー・ジョーンズ
 ロシアの通信衛星が地球に落下することが判明。ロシアではどうにもならずNASAが 機能の回復を試みるが、スカイラブの技術を流用した古い制御装置は現在の技術者達には対応できないため、修理できるOBの技術者が呼ばれることになった。彼はアメリカ初の宇宙飛行士になるべく訓練を受けていた空軍パイロットでもあった。監督・主演はクリント・イーストウッド。

 いゃぁ、カッコいい映画ですね。クリント・イーストウッド、前作などはかなり地味で単館ロードショーだったのですが、まだまだ元気です。なにしろメインのクルーを演じるのが彼とロナルド・サザーランド、ジェームス・ガーナー、一番若いのがトミー・リー・ジョーンズ。みんな喜々として楽しそうに演じている感じです。悪役がジェームズ・クロムウェルというのも流行り(笑)。途中でもRipe Staffという新聞の見出しが出てきましたが、前半は私の好きな映画である「ライトスタッフ」、後半は「アルマゲドン」と言った感じの作りですが、ラストシーンがとてもいいです。シナトラの「フライー・ミー・トゥー・ザ・ムーン」と共に流れる映像は「アルマゲドン」のアンチテーゼとも言えるのかな。これがやりたくてイーストウッドはこの映画を撮ったのかとも思いました。途中首をかしげたくなるところや強引なところもありますが、普段映画を観ない人にも勧められる佳品だと思います。

 評価 ☆☆☆☆  (00/11/12)



ball1X−メン
原題 X-men  (米/FOX 162分 2000年 DTS)
監督 ブライアン・シンガー
出演 パトリック・スチュワート  イアン・マッケラン
 超能力を持つがゆえに孤独なミュータントたち。人間たちの中でミュータントを危険視する動きのある中で、人間と共存共栄を望む一派と、逆に人間を支配する社会を作ろうとするテロリスト集団との間で争いが始まった。人気アメリカン・コミックの映画化した作品。監督は「ユージュアル・サスぺクト」のブライアン・シンガー

 原作はちらっと見たことがある程度ですが、特撮で結構評判の映画です。人間より能力があるミュータントの疎外感を描いた映画でもある訳ですが、その辺りはそこそこうまく出来ていてるし、主役の野性味もまあまあ、細かい所に色々ギャグが仕掛けてあったりして、さすがブライアン・シンガーと思えるところもあります。でも、それに対してどうもメインストーリーである悪役集団の意図と戦略がどうも疑問です。ネタばれになりますが、手数や能力から言って無理と思える作戦を取って予想通りの失敗をしてしまうのです。しかも丁寧なことにラストシーンで最初からそうすればよかったのに…と思えることをまたやってしまっているんですね。楽しめればそれでいいかも知れませんが、この手の映画は結末はわかりきっているとは言え、もうちょっと丁寧な脚本にして欲しいものです。クライマックスももう一つでしたね、残念。それにしてもアンナ・バキンは何故こんな映画にでているのかな…。

 評価 ☆☆☆  (00/11/4)



ball1シベリアの理髪師
原題 THE BARBER OF SIBERIA  (フランス=ロシア=イタリア=チェコ/ヘラルド 162分 99年)
監督 ニキータ・ミハルコフ
出演 ジュリア・オーモンド  オレグ・メンシコフ
 帝政ロシアの末期、アメリカから来た美しい女性とロシアの若い士官候補生の恋のすれ違いを描いた作品。監督は「黒い瞳」「太陽に灼かれて」のニキータ・ミハルコフ。ジュリア・オーモンドやリチャード・ハリスが出演していてメインは英語になつている。

 まずセビリアではなく「シベリアの理髪師」という題名にひっかかりますが、このフレーズが実は物語のキーワードになっていていくつもの意味を持たせています。そしてストーリーの中心は二人の恋愛ドラマだと思いますが、全体としては壮大なドラマになっています。二人が互いに相手に好意を持ちながらもそれを告白することなく胸に秘めている前半と、士官候補生が意を決して自分気持ちを打ち明けて以降の後半に分けられますが、前半の色々なエピソードを詰め込んだ当時のモスクワの様子を描写したところは笑える情景描写もあってとても楽しめるのですが、後半の悲恋?の話になってくると何故か一転白けた感じになってしまっています。こうなると前半の展開が効果的だったのかどうか疑問です。「サブリナ」のジュリア・オーモンド扮するアメリカ女性の感情や行動にあまり共感できないところが問題かも知れません。彼女のキャスティングはどうだったんでしょうね。でも、その辺をのぞけば丁寧に撮られた情景やスケール感あふれるモスクワやシベリアの風景、ユニークな士官学校の校長等のキャラクター等、十分映画らしい映画と言う要素があっただけにどうも残念な気がします。

 評価 ☆☆☆☆  (00/11/3)



ball1五条霊戦記
  (サンセント/東宝 137分 2000年 DRS)
監督 石井 聰亙
出演 浅野 忠信  永瀬 正敏
 平安末期。源氏を圧倒し隆盛を極めていた平家の武者を倒す「鬼」と呼ばれる者がいた。彼は遮那王こと元服前の源義経であった。その鬼を倒すよう不動明王から啓示を受けた武蔵坊弁慶は鬼が出るという五条橋へ向かった。

 賛否両論分かれている作品のようですが、私は結構はまって楽しめた口です。監督の石井聰亙というのは福岡出身で、私と年代が近いせいもあって結構応援しているのですが、つまらない作品もあり、前に観た「エンジェル・ダスト」などは退屈であくびが出た作品でした。この「五条霊戦記」、サンセントシネマ製作で東宝配給、彼の作品にしては珍しく大規模な宣伝をやった作品です。元ネタは誰でも知っている牛若丸と弁慶の話ですが、ストーリーは世相を絡めて大胆なものになっています。ちょっとモタモタしてかったるい所はありますが、映像がなかなか凝っていて飽きない映画でした。平家を殺して回るところも森の中で血しぶきだけが飛んだり、月の扱いや光線の当て方も効果的でした。宣伝では浅野忠信と永瀬正敏がクローズアップされていますが、永瀬は狂言回しで実際には隆大介が主役ですね。私、彼は結構好きだし、この作品ではぴったりの役柄だったのでそれもハマリました。ハンディカメラがちょっとイライラさせられたのと、上映時間が長いこと、オチが途中で読めたのがマイナス点でしょうか。岸部一徳と國村隼が出てきた時は「顔」かと思いました(笑)

 評価 ☆☆☆☆  (00/10/15)



ball1
  (東京テアトル 123分 99年)
監督 阪本 順治
出演 藤山 直美  豊川 悦司
 クリーニング屋を営む母親を手伝いながら、家から出ない生活をしている主人公。友人や恋人もなく、ただ針子の仕事をしているだけでおばさんになってしまっている。ホステスをしている彼女の妹は時々帰ってくるとそんな姉を蔑み、厳しい言葉を投げつける。突然母親が急死した通夜の晩、妹は再び姉に強い言葉を突きつけ、カッとなった正子は妹を絞殺してしまう。集まった香典を持ちだして彼女の逃亡人生が始まる。監督は「どついたるねん」「ビリケン」の阪本順治監督。主演は藤山直美。

 コメディタッチの作品が多い阪本順治ですが、今回は割と正攻法の暗い話になっています。しかし、藤山直美が主人公だけあって何故かレイプシーンですらどことなくユーモラスな感じがします。歳が結構行っていますが、これは主人公の成長物語の体裁になっています。家や母親、妹から解き放たれたことによって彼女は女になり、自転車に乗ったり、水泳が出来るようになり、生活自体も社会性を帯びていきます。脇もなかなか豪華です。妹が牧瀬里穂、酔っぱらいのレイプ犯に中村勘九郎。その他も豊川悦史、佐藤浩市、國村隼、大楠道代、岸辺一徳など阪本作品ならではの顔ぶれです。そしてそれぞれが行く先々で彼女に絡んで行くのですが、いずれも彼女まではいかないまでもそれぞれ、陰がありまたそれなりの生活感がある役柄を演じているのも見逃せません。逃亡先に別府や姫島が出てくるのもいかにも逃亡先といった感じ(失礼)でいいですね。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/10/8)



ball117歳のカルテ
原題 GIRL, INTERRUPTED (米/ソニー 127分 99年)
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 ウィノナ・ライダー  アンジェリーナ・ジョリー
 アスピリン一瓶とアルコールを飲んだスザンナは、医師の勧めで精神病院に入院することになる。頭痛を治したかっただけという彼女だが、自殺未遂と見なされ境界性人格障害という診断を受けてしまう。同じ病棟に入院している女性達に彼女は始めは戸惑うが、次第に打ち解けていく…。

 時代は60年代後半ですが、現代に通じるところもあるようです。しかし、「17歳のカルテ」という邦題は最近のキーワードである「17歳」が使われているが、やり過ぎかも知れません。主人公は18歳以上だというやり取りが冒頭に出てきています。演じているのは最近、絶好調のウィノナ・ライダーで、彼女自身が製作総指揮も務めています。しかし、30間際の彼女が演じるのはちょっと無理があったかな。原作はスザンナ・ケイセンという人が自らの入院体験を書き綴った回想記「思春期病棟の少女たち」という話です。時代から行くと「カッコーの巣の上で」が連想されるところもありますが、最近の作品では「サイダーハウスルール」に通じるところもあるようです。異常に見られている患者たちの方が映画を見ている者からは正常に見え、周囲の世界の方が実は異常に見えるというパターンです。患者のリサ役のアンジェリーナ・ジョリーがアカデミー賞助演女優賞を受賞したのも最もな感じだし、この人が出てくるとホッとするウーピー・ゴールドバーグ等も好演。ウィノナがウーピーに毒づくシーンがありかなり差別的表現で言っているのですが、字幕だとかなり表現がおだやかになっています。

 評価 ☆☆☆☆  (00/10/8)



ball1キッド
原題 DISNEY'S THE KID (米ディズニー/ブエナ ビスタ 104分 2000年 ドルビー)
監督 ジョン・タートルトープ
出演 ブルース・ウィリス  スペンサー・ブレスリン
 イメージ・コンサルタントとして成功している主人公だが、未婚で親などとの関係も疎遠になっていて、社会的には成功してはいるが傲慢なところもある。そんな彼の前にある日、太めの少年が現れる。最初は分からなかったが、それは8歳の時の彼自身だった。少年は子供の時になりたかった自分の姿と遠くかけ離れてしまっている、未来の自分の姿に失望してしまう…。監督は「クールランニング」や「あなたが 寝てる間に…」のジョン・タートルトープ。脚本は「好きと言えなくて」のオードリー・ウェルズ。

 最近、子ども相手の作品が多いブルース・ウィリス。本作もタイトル通りそう言った作品になっています。過去の自分と出会うというのはテーマ的にはありがちな話ですが、ツボを押さえていてよく出来ている作品だと思います。子供時代の主人公が自分だけではなく、他の人にも見えていると言うのが目新しさを感じ、パラドックス的にはどうかという気もしますが、そんなに無理はない感じです。ただ、すぐ自分だとは気づかなかったり、子どもの頃のことをあまりに覚えてなさ過ぎな気はします。この映画でも主人公が傲慢でちょっと病的な設定になっているのは、この現代では仕方がないのかな?。原題はチャップリンの作品を意識してか「ディズニーのザ・キッド」となっていますが、さすがディズニー印。ただ、子どもよりも大人向けの内容になっていますね。ウィリスの助手役のエミリー・モーティマー。「スクリーム3」や「ノッティング・ヒルの恋人」などに出ていたようですが、本作で抜擢されたようです。私的には買いです。要注意(笑) 秘書役のリリー・トムリンもいい感じです。

 評価 ☆☆☆☆  (00/10/8)



ball1マルコヴィッチの穴
原題 BEING JOHN MALKOVICH (米プロパガンダ/アスミック・エース 112分 99年)
監督 スパイク・ジョーンズ
出演 ジョン・キューザック  キャメロン・ディアス
 人形師として一流の腕を持っているが収入がなく、ニューヨークのど真ん中にあるビルの中の会社で働きはじめた主人公は、仕事の最中に偶然壁に空いている穴を発見する。そこはなんと、俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じていた。監督のMV出身のスパイク・ジョーンズで、これが長編映画初監督作品で、今年のアカデミー賞で助演女優賞・監督賞・脚本賞の3部門にノミネートされた。

 なかなかすごい発想の映画です。ジョン・マルコビッチの頭の中に通じている穴があるとはねぇ…。相手がジョン・マルコビッチというのがまたすごい。(笑) 知らない人がいるかも知れませんが、分かり易いので上げれば「ザ・シークレット・サービス」とか「コン・エアー」で悪役やっていた役者です。その他の作品でもくせがある役が多いですね。そう言った奇抜な話の割にはすんなり話に入っていけるのは、冒頭の主人公が人形を操るシーンとか天井が低い7と1/2階という不思議な舞台設定のせいもあるでしょうね。でも、主人公やその妻が一回その穴を通っただけでその事実を受け入れてしまい、哲学的思考になってしまったのはちょっと疑問です。その割にその後の行動が哲学的ではなく割と短絡的ではあるけれど…。観る前は単なるコメディかと思っていたけれど意外と深いところもあったのが意外でした。主人公のジョン・キューザックとキャメロン・ディアスのダサダサ振りもすごいけれど、この作品の見所はやはりジョン・マルコビッチですね。監督のスパイク・ジョーンズは「スリーキングス」にダサい役で出ていたヤツです。ソフィア・コッポラの夫でもあるとのことです。私が印象に残っているのはダイナソージュニアのプロモビデオでニューヨークのビル街をゴルフするやつとか、アズシとサンプラスがいきなり交差点でテニスを始めてしまうナイキのCMですね。

 評価 ☆☆☆☆  (00/10/1)



ball1しあわせ家族計画
 (松竹 100分 99年)
監督 阿部 勉
出演 三浦 友和  渡辺 えり子
 三浦友和扮する会社をリストラされたダメパパが、息子が応募したこの番組の課題であるピアノの演奏に取り組むことによって家族の絆を取り戻していく。テレビ番組の「しあわせ家族計画」に出場する一家を主にしたファミリーコメディー。去年松竹の製作で一度出来上がっていたのですが、松竹内の方針の変更もあって公開されずにお蔵に入っていた作品です。監督は、山田洋次監督の下でずっと助監督をしていた阿部勉という人で、彼のデビュー作になっています。松竹大船撮影所が売却されたので、大船育ちの最後の新人監督となってしまいました。監督の出身地である仙台の方で今年の2月に公開されたのですが、評判がよく、やっと全国6都市で公開されるようになったとのことです。他に渡辺えり子・野際陽子・いかりや長介・片岡鶴太郎・名取裕子などが共演しています。

 ニフティのフォーラムの方に仙台の方から書き込みがあってプッシュされていた作品です。ストーリーから推測される様に感じとしては昨年だったか公開された「のど自慢」と似た感じになっています。二番煎じ的な雰囲気がするのは惜しいのですが、まあそこそこの出来ではないかと思われます。作りはコメディになっていますが、主人公やサブの片岡鶴太郎が会社の都合でリストラされたり、自宅待機を命じられたりとサラリーマンに取っては結構身につまされる話になっているところがブラックでもあります。途中で出てくる阿部寛などが中途半端な扱いになっていたりしていますが、大団円というところでいいかな。単独ロードショーで通じる作品かどうかは微妙なところですが、2本立てなら大丈夫な作品だったのでは…。百道のTNCシネサロンパヴェリアで金曜までの公開ですので、興味がある方は是非ご応援を。

 評価 ☆☆☆☆  (00/9/24)



ball1U−571
原題 U−571 (米国/ギャガ・ヒューマックス 116分 2000年)
監督 ジョナサン・モストウ
出演 マシュー・マコノヒー  ハーヴェイ・カイテル
 第二次世界大戦のさなか、ドイツの暗号発信器を奪うために、連合軍の潜水艦 がエンジントラブルのため航行が不自由になっているドイツの潜水艦「U−571」に味方のふりをして近づき、乗組員が乗り込むという作戦が進行していた。首尾良く作戦が成功して戻ろうとしたところ、連合軍の潜水艦は魚雷攻撃を受け、奇襲部隊は「U−571」に取り残される…。 監督は「ブレーキ・ダウン」のジョナサン・モストウ。

 先日のロシアの潜水艦の沈没事故、不謹慎ですが、配給会社はタイミングのよさに思わず…ではないでしょうか。私もそうですが、この手の映画って男性ファンの血をかき立てられるものがありますね。私も思わず見に行ってしまいました。作りとしては昔ながらの戦争映画プラス潜水艦の副長役のマシュー・マコノヒーの成長物語と言った感じになっています。実物大の潜水艦を作ったりかなりお金がかかっているようですが、上映時間は2時間以内とコンパクトにまとまっています。脚本も導入部もそこそこにいきなり作戦に突入し、下手に女性や家族をからませない潔さがいいですね。矢継ぎ早の展開もなかなか面白いです。マシュー・マコノヒーはそれなりに頑張っていましたが、この映画、どうもおいしいところはハーヴェイ・カイテルに持って行かれていますね。一体、あの若さで艦長候補になれるのだろうか。ジョン・ボン・ジョビも出ていましたが、途中でどこかに行ってしまいました。そこそこの作品ですが、ちょっとご都合主義もありますね。しかし、こうやって見ていると今更ながらペーターゼン監督の「Uボート」の緊迫感のすごさが認識されます。製作がラウレンティスというのが懐かしい。まだがんばっているのね。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/9/17)



ball1春香伝  (福岡映画祭)
 (韓国 120分 2000年)
監督 イム・グォンテク
出演 チョ・スンウ  イ・ヒョジュン
 李朝時代、南原の郡守の息子は、出かけた先でキーセンの娘に一目惚れ、身分の違いを越えた愛を誓い合う。しかし、父親の転勤で郡守の息子都に戻ったため、離ればなれになった娘を後任の郡守が妾にしようとする。古典的な恋愛物語の10回目の映画化。監督は「シバジ」「風の丘を越えて〜西便制」のイム・グォンテク。

  冒頭からのパンソリの声に圧倒されてしまいます。パンソリというのは、韓国の民族芸能で、日本で言えば浪曲みたいなにものでしょうか。全編通して、このパンソリがストーリーになっていて、それを映像が追いかけていくという作りになっています。ストーリーはロメオとジュリエットと水戸黄門を併せたような話で分かりやすくて感情移入もしやすいです。笑えるシーンもあっていかにも大衆受けする感じです。それに対して映像はかなり練り混まれていて無駄がないです。また、人間国宝みたいですが、パンソリの声がすごいです。さすがイム・グォンテク監督。私が韓国映画を意識したのはこの監督の「風の丘を越えて〜西便制」というのを見てからです。ちょっとラブシーンとかがきつくてそんなにする必要があるのかなと思ったのですが、さすがの作品でした。

 評価 ☆☆☆☆  (00/9/15)



ball1天馬茶房  (福岡映画祭)
 (台湾 93分 99年)
監督 リン・チェンシェン
出演 リン・ギョン  シャオ・シュウシェン
   日本統治下から戦後にかけての台湾で若い芸術家が集う台北のカフェ・天馬茶房を舞台に抑圧に反発する若い情熱や恋愛模様を描いた作品。また、茶房前の闇タバコ摘発に端を発し、以後、40年にわたる厳戒令が布かれる事となる「228事件」を初めて直接扱っている。

  本作が4作目に当たる新鋭の監督のようですが、見ていると視点やカメラの動きに戸惑わせるところがあり、うまく話に入っていけないところがあります。テーマとしては重い所もあって、ホオ・シャオシエン監督の「非情城市」などで描かれている「228事件」も出てくるのですが、主人公たちのモタモタした恋愛を見ているとピンと来ないところがありますね。今後に期待といったところでしょうか。

 評価 ☆☆☆  (00/9/15)



ball1あかね色の空を見たよ  (福岡映画祭)
 (中山フイルム他 100分 2000年)
監督 中山 節夫
出演 湊 雄貴  左 時枝
 小学校5年から中学校にかけて不登校を続け、何度も自殺未遂を繰り返した自らの経験を綴った堂野博之氏の原作「あかね色の空を見たよ 5年間の不登校から立ち上がって」を映画化した作品。岡山県のグループが製作委員会を立ち上げ、製作協力券を買って貰うことで製作費を捻出した。監督は「兎の目」や「ブリキの勲章」など児童映画や教育をテーマにした映画を監督してきた中山節夫。

 テーマから言って観る前はちょっとおっくうだった映画ですが、見てみるとそこそこの感動がありました。なぜ不登校になったかとかの理由は意図的に排除したとのことですが、主人公が立ち直っていく様子がうまく描かれています。両親役の左時枝や小倉一郎などを除くと大半が岡山で公募された素人だそうです。その辺がちょっと弱くて、立ち直るのがいかにも当然に見えてしまっているのが残念です。でも、最近はそれだけ普通の子が不登校になっているのかもしれません。私が子どもの頃とはやはり違っているのでしょうね。いじめにしろ不登校にしろ誰もが日々の生活を自分の楽な方に、楽な方にとベクトルを向けていて、キツイ方に変えようとしていないために問題が拡大していっている気がします。
 中山監督と左時枝が舞台挨拶、ティーチインに来ていました。公開形態としては、普通の映画館でやっても見に来てくれる客がいないので、上映会形式でやっていくとか、母親は見てくれても父親が見に来てくれないとか苦言を呈していました。その辺は作品の中での両親を見ていても何となくわかりますねぇ。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/9/10)



ball1三文役者  (福岡映画祭)
 (近代映画協会 126分 99年)
監督 新藤 兼人
出演 竹中 直人  荻野目 慶子
 名脇役として250本以上の映画に出演して89年に亡くなった殿山泰司の半生を描いた作品。売れない俳優だけれど女性にもてる主人公は、内縁の妻がいるのにも関わらず京都の17才のウェートレスにプロポーズする。それを知った妻が勝手に自分の籍に入れてしまったが、三角関係を生涯続けていく。新藤 兼人が原作・脚本・監督、そして出演。

 演じる役柄にも独特なものがありましたが、人生そのものがドラマだった人ですね。脇役に誇りを持って一生懸命やっていた気がします。晩年、ポルノなどに出ていて、どうして…と思っていたのでずか、その辺もこの作品を見るとうなずけます。近代映画協会、創立時からメンバーだったとのことで、新藤監督自身の作品が再三でてきて、それがストーリーの節目になると言った構成です。冒頭から「裸の島」がでてくるくらいですからねぇ。竹中直人演じる殿山と会話する感じで音羽信子も再三出演してくるのにもビックリしました。彼女は96年だったか亡くなっているのですが、そのシーンは生前、「午後の遺言状」の前に撮ってていたとのことですから、さすがです。上映後のティーチインによると「午後の遺言状」の前に脚本はできていて、演じる俳優を捜していたとのことです。その…、竹中直人ははまり役でした。声色や下から見た顔などはそっくりに見えたシーンもありました。笑えるシーンも多いのですが、新藤監督、87才まだまだ健在という感想です。この作品がそのまま、自身の軌跡を辿ったものになっているという気がします。
 新藤監督と竹中直人が舞台挨拶、ティーチインに来ていてこれまた感動ものでした。

 評価 ☆☆☆☆  (00/9/10)



ball1ストップ・メイキング・センス
原題 STOP MAKING SENSE (米/キネティック 88分 84年)
監督 ジョナサン・デミ
出演 デビッド・バーン  ティナ・ウェイマス
 80年代を代表するロックグループ、トーキングヘッズのライヴを撮影したドキュメンタリーフィルム。監督は「羊たちの沈黙」を撮る前のジョナサン・デミ。撮影は「ブレードランナー」を撮る前のジョーダン・クローネンウェス。84年に製作された作品のニュープリント再公開。

 私はトーキングヘッズが大好きで、来日公演を見に行ったこともありますし、この映画も公開時に観に行きました。という点はさておいても、この作品、なかなかの出来だと再確認しました。まず、冒頭、ギターとラジカセを抱えたデビッド・バーンがラジカセのスイッチを入れて「サイコ・キラー」を歌い出し、それから一曲毎にメンバーが増えていくコンサートの構成もいいのですが、それを淡々とストイックな感じで追っていくカメラも良いです。下手に観客などを追ったりしないところがいいですね。あくまでもステージ上のバーンたちのパーフォーマンスを描き続けます。ビックスーツは私の記憶よりも大きかったし、ティナ・ウェイマスの動きも可愛いな。ドルビーデジタルということでしたが、音があんまり大きくなかったのは劇場のせい? 

 評価 ☆☆☆☆☆  (00/9/9)


ball1サウスパーク 無修正映画版
原題 SOUTH PATK:BIGGER, LONGER & UNCUT (米/ワーナー 81分 99年)
監督 トレイ・パーカー
出演 トレイ・パーカー  マット・ストーン
 人気テレビアニメシリーズの映画版。コロラドの田舎町サウスパークに住む小学生4人組はカナダのコメディアンが出ているコメデイ映画に夢中。彼らが影響を受けたこの映画の下品で過激な言葉遣いに怒ったPTAはカナダを非難。ついにアメリカとカナダの全面戦争に突入する。

 日本ではWOWOWでやっていたテレビアニメで私も見ていました。キャラクターはかかわいいのですが、言っていることは過激、テレビでも子どもが対象のアニメではありませんと注意が入り、ピーという音が入ったりするほどです。映画版はさらに過激で、放送禁止用語のオンパレードです。下ネタあり、人種差別ありのかなりヤバイさくひんです。それでいて、ちゃんとミュージカル仕立てになっていたり、風刺が入っていたり、まともなところもあります。アカデミー賞の授賞式だったか、ロビン・ウィリアムスが主題歌候補になっていた「ブレーム・カナダ」を歌っていて、その内容にびっくりしました。カナダでは受けたのかな、この作品。福岡で唯一の上映館、レディースデーとあって女性客が比率的には多かったのですが、以外と下ネタ受けていましたね。隣の女性にはウィノナ・ライダーのピンポンショーがバカ受けでした。私が個人的に受けたのはボールドウィン兄弟やアークェット姉妹の話、ビル・ゲイツのネタあたりかな? サダム・フセインはちょっとしつこい感じがしました。人には勧めにくいけれど、個人的には大爆笑映画でした。ケニーの素顔も見られたし…

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/8/30)


ball1ハピネス
原題 HAPINESS  (米/シネカノン 134分 98年)
監督 トッド・ソロンズ
出演 フィリップ・シーモア・ホフマン  ディラン・ベイカー
   ニュージャージー州に住む一見平凡な三人姉妹。末娘は作曲家を目指しているが、交際相手に恵まれず振った相手が自殺する始末。次女は女流作家でそこそこ売れているが経験不足でスランプ状態。長女はセラピストの夫と家族に囲まれて恵まれた暮らしをしているように見える。ところがこの三人姉妹に様々な不幸が襲いかかる…。

 何か毒気だっぷりでスゴイ話です。「アメリカンビューティー」に通じるところがありますが、この作品の方が先に作られているんですね。米国での配給も内容に問題があるとゴタゴタした作品のようです。しかし、登場人物や話の持っていき方を見るとウッディ・アレンの作品に通じる所もあります。それより登場人物がもっと直接的な所作をしていますが…。ネタばれで書いてしまうと少年愛指向の医者、もてない腹いせに手当たり次第に女性に悪戯電話するコンピューター会社の社員、その向かいに住むH嫌いの女性等々、登場人物が普通の様でいてなかなか強烈です。結構笑えるところもありますが、何とも現代人の病的なところを見た気がしてやるせない気もします。「マグノリア」にも出ていたフィリップ・シーモア・ホフマンがなかなかの役柄。音楽はこれまたREMのマイケル・スタンプでした。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/8/26)


ball1ホワイトアウト
 (日本ヘラルド・東宝他/東宝 129分 2000年)
監督 若松 節朗
出演 織田 裕二  松嶋 菜々子
    雪に閉ざされた山奥の巨大なダムを武装占拠したテロリスト集団。彼らはダム職員とダム下流の住民20万世帯を人質に、日本政府に対して50億円の身代金を要求する。たまたま人質になることをまぬがれた一人のダム職員が、下界からの交通が閉ざされた中で仲間たちを救出すべく行動を開始する。真保真一の原作を映画化。

 予告編でも見当がつきましたが、日本版の「ダイハード」と言った感じです。人質になることから逃れたけれど、現場に一人残された主人公が犯人たちに闘いを挑みます。「ダイハード」と違い警官でないのに、そんなにうまく立ち回れるのかな?と思いますが、まあまあのできではないでしようか。犯人たちの背景や要求について分からない所がありましたが、時間の関係等で敢えて説明を省いていると、よい方に取りました。しかし、せっかく巨大なダムや大自然で巻き起こる「ホワイトアウト」を舞台やタイトルにしているのに、その大きさをうまく取り込めていないところが残念です。大きさが感じられたのは、主人公がダムの堰堤をザイルで下る場面のカメラの引きと、ラストの空撮くらいですねぇ。肝心のホワイトアウトのシーンも顔ばかり撮っているので、ただの吹雪と変わらない感じです。予告編も描き過ぎで観る前にラストは読めてしまったのも…、うーん。まあ真夏に雪を見て少し涼しくなったので、いいか(笑)

 評価 ☆☆☆1/2  (00/8/13)


ball1ボーイズ・ドント・クライ
原題 BOYS DON'T CRY (米/フォックス 119分 99年)
監督 キンバリー・ピアース
出演 ヒラリー・スワンク  クロエ・セヴィニー
   実際に起こった「ブランドン・ティーナ事件」の映画化。ネブラスカ州に住むブランドンは短髪の男性に見えるが、実は性同一性障害の女性だった。彼(彼女)は飲み屋で会って、意気投合したグループの中の一人の女性と愛し合うようになるが、あることがきっかけで実は女性であることが明らかになる。そのことを知った仲間たちは、彼女を許さなかった…。主演はこの作品でアカデミー賞主演女優賞を取ったヒラリー・スワンク。他に助演女優賞にもノミネートされた。

 最近、日本でも認知されるようになり、手術なども行われるようになった性同一性障害の女性が主人公の実話です。7年ほど前の米国が舞台なのですが、なにせ田舎の話なのでかなり軋轢があったのでしよう。主演のアカデミー賞受賞も頷ける感じで、かなり難しい役をこなしています。テーマとしては理解できますが、どうも私は話に入っていけませんでした。というのは主人公に感情移入できなかったのです。自分の特性をよく理解していながら実際の行動は分別がありません。興味を持つ女性も割と見境ないし、仲良くなるグループにしろ危なそうなグループというのが、分かりそうなものなのにズルズルつき合うし、特に危なそう男とつき合っている女性に興味を持って愛し合うようになるというのが、どうも納得がいきません。男性でも手を出さないと思うけれど…。まぁ、それだけ愛情に飢えていたということでしょうか。従って、結末についてもある程度必然的な感じさえ受けます。相手の女性の母親の態度などは差別意識はあったことはわかりますが、あの男性二人組はそれ以前の要因の方が大きいと思います。「レイディアゲーム」でも出てきたのですが、、この映画の不良グループ?の男女も獄中での文通で知り合ったというようなセリフがありました。(違っていたらすみません) こういうのが割と多いのかなぁ。
 観た後、あまり後味がよくない映画ですね。いわゆるヘイト・クライムの映画なのですが、日本でもねぇ、大分の高校生殺人もあったし…。こういうのは現実が追いつかなくてもいいテーマと思うのですが…。

 評価 ☆☆☆  (00/8/14)


ball1ミラクル・ペティント
原題 EL MILAGRO DE P.TINTO (スペイン/パルコ 106分 98年)
監督 ハビエル・フェセル
出演 ルイス・シヘス  シルヴィア・カサノヴァ
   子どものときの運命的な出会いで結ばれたが、長い間子宝に恵まれなかったペティント夫婦。最後の奇蹟を信じて、聖像に祈りを捧げたところ、何と子どもが…?

 ストーリーを説明しようとしてもよく分からない作品です。まあ例えで言えば、「ロスト・チルドレン」とか「黒猫・白猫」と言った感じのごちゃ混ぜ何でもあり映画と言えましょう。とは言ってもただハリウッド的なナンセンス映画ではなく、その裏には宗教観や家族観も入っていて、なかなか考えられた作品だと言えるでしよう。冒頭の短編映画?は関係ないとずっと思ってみていたら実は…、というダマシもあります。映像的にも面白いシーンが多く、特に夕陽や旅立ちのシーンの色合いはとても印象的で良いです。ちょっとダレル所もありますが、私的には凄く好きなタイプの映画です。よくこれを日本で公開しましたね。スペインで大ヒットの作品とのことです。

 評価 ☆☆☆☆  (00/8/8)


ball1パーフェクト・ストーム
原題 THE PERFECT STORM (米/ワーナー 130分 2000年 SRD)
監督 ウォルフガング・ペーターセン
出演 ジョージ・クルーニー  マーク・ウォルバーグ
   1991年、マサチューセッツ州沖の大西洋で実際に起こった出来事に基づいた作品。ハリケーンと2つの嵐が融合して生まれた史上まれに見る大嵐に、大漁に恵まれたカジキ漁船等が巻き込まれてしまう…。監督は「Uボート」「エアフォース・ワン」のウォルフガング・ペーターセン。

 「Uボート」というのは、監督が西ドイツにいた頃の20年くらい前の作品なのですが、すごく緊迫感がある作品で私も強く印象が残っています。しかし、「エア・フォースワン」や「アウトブレイク」など米国に移ってからの作品は、社会性がなくはないが、普通の娯楽作でちちょっと今一つの作品が多い気がします。久々の海洋物?というということで期待して見に行きました。なるほどILMの技術による特撮は見応えがあるし、なかなか迫力のあるものになっていました。しかし、ただそれだけの映画になってしまった気がします。実話が元になっているということですが、それがネックになっているのでしょうか。メインの漁船の話と沿岸警備隊の話、テレビ局の話とがなんとなく、ちぐはぐな形で進んでいてなにか乗り切れないのです。漁師たちが船に乗る前の別れのシーンも、我々はその先にある出来事を知っているのでしんみりしますが、いくら季節が悪いとはいってもいちいちそんなことやっているのかな?という感じです。しかも、まともな夫婦な形の人はいないし…
 その他の収穫と言えば、沿岸警備隊のヘリは嵐の中でも空中給油ができる能力がある?というのと、ダイアン・レインが見事なおばさんになっていたということでしょうか。ハッピーエンドじゃないのは意外でしたが、それならそれで、もうちょっと脚色するなりして工夫の仕方があったのではないでしようか。へたすると単なるパニックやディスアスター物になってしまうから難しいですが…。なにか権利を押さえられていたのかな?

 評価 ☆☆1/2  (00/8/6)


ball1レインディア・ゲーム
原題 REINDEER GAMES (米ディメンシヨン/松竹 104分 2000年)
監督 ジョン・フランケンハイマー
出演 ベン・アフレック  ゲイリー・シニーズ
 出所を数日後にひかえた二人の青年。一人は半年前から文通している女性に会えると自慢げに話していたが、もう一人はそれを羨ましそうに聞くだけだった。しかし、突然起こった暴動に巻き込まれ、女性と文通していた青年は命を落す。そして、出所したもう一人はシンだ青年になりすまして出迎えた彼女に会うが… 監督は「RONIN 」のジョン・フランケンハイマー

 ピカデリー・松竹文化が閉館になると聞いて見に行きました。もう一館は「カードキャプターさくら」と「ファンタジア/2000」だったもので…。あまり行く気がなかったのですが、目当てはシャーリズ・セロンです。いいですねぇ、彼女。「ノイズ」「サイダーハウスルール」と見ていますが、最近の一押しです。言ってみれば巻き込まれた映画ですが、最後にちょっとどんでん返しがあります。ゲーリー・シニーズが長髪の悪役ですが、まあこんなものかな? ベン・アフレックは巻き込まれとは言ってもちょっと犯罪者っぽくないですね。
 ラストは疑問、サンタクロースの衣装の数は足りなくなるし、素手でさわってしまったら指紋でばれるでしょう。タイトルのレインディアというのはトナカイですが、いい邦題がなかったのかな?

 評価 ☆☆☆  (00/7/30)


ball1あの子を探して
原題 一個都不能少 (中国・米/コロンビアアジア 106分 99年)
監督 チャン・イーモウ(張芸謀)
出演 ウェイ・ミンジ  チャン・ホエクー
 中国の山間部の小さな村の小学校に、休暇を取ったたった一人の老教員の代わりとして13歳の女の子がやってくる。しかし、何をどうしていいか分からず、ただ板書を写させるだけの授業にも生徒達はすぐに飽きてしまい、小さな先生は途方にくれる。そんなある日クラス一の腕白少年の姿が見えなくなる。貧しい村では街に出稼ぎに出てしまう子どももいる。老教員から生徒を減らさなければ報酬を増やすと言われていた少女は、街に少年を探しにいこうとする。監督は「紅いコーリャン」「菊豆」のチャン・イーモウ。

 今までのチャン・イーモウの描く映画とちょっと毛色が変わっているように感じます。解放されて急速に現代化している様に思われる中国ですが、その実はいろいろあるのですね。校舎を立て直す資金もチョークを買うお金にも困っているような農村の小学校。その近くにあって活気あふれている様に見える都市にも、駅で寝泊まりするようなホームレスに見える大人や子どもたち…。共産主義を捨ててはいないのでしょうが、ほとんど資本主義国家と変わらない世界に見えます。中学校にも行けなかったような少女が代用教員をしたり、小学生でも出稼ぎに行くような貧困さ。なかなか考えさせられるものがあります。キャストは子どもたちを含めて素人を使っているのですが、この映画では効果的な気がします。主役の少女がわざわざ言うのも失礼ですが、あまり可愛くないところがいいですね。最初と終盤でだいぶ表情が変わってきます。最初はお金目当てで少年を捜しに行っていたのが、段々マジになるところがいいですね。テレビ局の話は突飛すぎる気もしますが。バス代の計算のシーンと折れたチョークに絡む少女の日記を読むシーンが印象的。ソニーが出資しているコロンビア映画が中国映画まで資金出すようになったんですね。この夏一番のお勧め映画です。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/7/29)


ball1ファンタジア/2000
原題 Fantasia 2000 (米ディズニー/ブエナ・ビスタ 75分 99年)
総監督 ヘンデル・ブトイ
 ディズニーの名作。「フアンタジア」のリメイク作品。音楽とアニメが合体したオムニバス作品。正月からIMAXシアターで封切られていたのですが、ようやく一般映画館でも封切りになりました。

 元作は観ていると思うのですが、あまり記憶がありませんでした。しかし、ミッキーマウスがでてくる「魔法使いの弟子」は見覚えがありました。このエピソードだけがリメイクで、他は新作の様です。使われている曲はベートーベンの交響曲第5番「運命」、レスピーギの交響詩「ローマの松」、ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」、ショスタコビッチの「ピアノ協奏曲2番」、サン・サーンスの「動物の謝肉祭」、デュカの「魔法使いの弟子」、エルガーの「威風堂々」、ストラビンスキーの「火の鳥」の8つ。印象的だったのは「ローマの松」の鯨が飛ぶシーンと「動物の謝肉祭」のフラミンゴでしょうか。「火の鳥」はちょっと「もののけ姫」みたいで引いてしまいました。まあ動くドナルド・ダックやミッキーマウスが観られただけでも価値があったのかも…。前作にもあったと思いますが、エピソードのつなぎで様々な有名人が出てきて解説を入れます。アミューズメント施設のイベントホール上映ならばいいでしょうが、映画としてはややうっとうしい気がします。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/7/20)


ball1ドグマ
原題 Dogma (米/ギャガ・ヒューマックス 129分 99年)
監督 ケビン・スミス
出演 ベン・アフレック、マット・デイモン
 その昔、神に背いて天界を追放された二人の天使。あるカトリックの神父が提案した企画を利用し、天国へ帰ろうと計画する。ところが、彼らが天国に戻ると世界の消滅を招くことになるので、神の声はとある女性を引っ張り出してその行動を阻止するためにニュージャージーへ向かわせる。

 面白そうな感じがしたので、見に行ったのですが、結構ハマリました。究極の天使映画かも知れません(笑) キリスト教や聖書、黙示録などをパロった単なるオバカ映画かと思っていましたが、意外と行っていることはまともです。とは言っても、神は女性だつたとか、13人目の使徒はアフリカンだったとかそんなことですが…。ベン・アフレック、マット・デイモンの「グット・ウィル・ハンティング」コンビが堂々と出ていますが、どこか変。なんでこんな映画に出ているのだろうと言った感じですね。それ以外にもアラン・「ダイハード」・リックマン、サルマ・「デスペラード」・ハエック、クリス・ロックや何故かアラニス・モリセットまで飛んでもない役で出てきます。預言者役のコンビの喋らない方が変だなぁと思ってみていたら彼が監督なのですね。役名がサイレント・ボブ。なかなかの才人だと思います。ジョン・ヒューズ作品などの映画批評や冒頭にいきなり苦情除けの言い訳も盛り込まれていてバカ受け。この監督、「チェイシング・エイミー」の監督とのことですが、観てみましょう。でも、一般受けはしないでしょうね。

 評価 ☆☆☆☆  (00/7/15)


ball1クロスファイア
 (東宝・TBS 115分 2000年)
監督 金子 修介
出演 矢田 亜希子  伊藤 英明
 生まれつき念じることで火を起こすことのできる能力を持っている女性が主人公。彼女はその力を恐れ、人と接触することを避け、身を隠すように生きてきた。彼女が唯一好意を持つようになった会社の同僚の妹が、連続女性殺人事件を起こしていた少年グループに惨殺された。容疑者は見つかるが、少年たちは少年法の壁に阻まれ罰せられない。原作は宮部みゆき、監督は「ガメラ」の金子修介

 掲示板でも話題になっていましたが、割と評判がいいようなので見に行ってきました。なるほど等身大の「ガメラ」ですね。原作は読んでいないので、比較はできませんが、途中まではそこそこの出来だと思います。近頃、理不尽なことが多いので、焼き殺すまでは行かないまでもギュッと言わせたいことがいくつもありますね。題材から行くとドリユー・ハリモアの「炎の少女 チャーリー」を思い出します。特殊効果の出来は邦画としてはかなりいいのではないかと思います。主演の矢田亜希子は役柄そのままのクールな感じでいいですね。てで、後半のガーディアンというグループが露呈すると何か話しがおかしくなります。まあ、戦う相手がいないとお話にならないのでしょうが、黒幕の思想というか思考が飛んでいて無理があります。ただの悪役軍団の方がまだ納得できます。エンディングもなにか間抜けになっている気がします。浜丘麻矢、すぐ殺されて可愛そう。シンデレラガール長澤まさみもまあまあかな。男性陣は名前がよくわかりません。T.M.が出てた?(笑) ちょっと力不足。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/7/9)


ball1M:I−2
原題  TMISSION:IMPOSSIBLE 2 (米パラマウント/UIP 124分 2000年  SDDS)
監督 ジョン・ウー
出演 トム・クルーズ  サンディ・ニュートン
 製薬会社によって極秘に開発された細菌とそれを治癒するワクチンが盗まれた。イーサン・ハントは犯人グループの元の恋人であった女泥棒とコンビを組むことになり、彼女を事情を探る為に犯人グループの元に送り込む。

 言わずと知れた「ミッション:インポッシブル」の続編。でも、元ネタのテレビシリーズ「スパイ大作戦」を知る人は少ないかも…(笑) 前作の監督はブライアン・デパルマだったのですが、今回は製作者でもあるトム・クルーズの指名によりジョン・ウーが演出しています。共演しているのが、「シャンドライの恋」のサンディ・ニュートン。「シャンドライの恋」とイメージが全然違いますが、結構いい感じです。ジョン・ウーが演出<しているだけあって見せ場が結構あります。冒頭のクライミングシーン(何故休暇なのにわざわざあんなところ登っているの?(笑) 華麗なダンスシーンの様なカースタント、バイクスタントにもちろんお約束の鳩も出てきます。娯楽作としては十分楽しめるものにはなっていますが、ストーリーについてはちょっと?です。最近の怖さが今一つ迫力ないし、前作の侵入シーンのようなハラハラドキドキの行き詰まるシーンもあまりありません。悪役ももう一つ役不足な感じもするしなぁ…。わざわざヘリで通信眼鏡?持ってくるなとか、顔変えられるのなら変装して侵入した方が早いのに…と言ったもどかしさもあります。まあそんな野暮を言う作品じゃないのかな。

 評価 ☆☆☆☆  (00/7/8)


ball1サイダーハウス・ルール
原題  THE CIDER HOUSE RULES (米ミラマックス/アスミック・エース 126分 99年 DRS)
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 トビー・マグワイア  シャーリーズ・セロン
 ニューイングランドのある孤児院で生まれ育った主人公は、医師と看護婦たちの愛情に包まれて健やかに成長する。医学的知識も備わった彼を自分の後継にと望む医師だったが、彼は自分の人生を探すために孤児院を出ていき、とあるリンゴ農園で働くようになる…。今年のアカデミー賞で脚色賞と助演男優賞を獲得した作品で脚色は原作者でもあるジョン・アーヴィング、監督は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレム

 以前、「サイモン・バーチ」の時も書いたのですが、私はジョン・アーヴィングの原作物は観るようにしています。かれの作品はちょっと破天荒なものが多いのですが、そんなにどぎつくもなくどことなくユーモアに包まれた独独の世界を持った作だと思います。今回の「サイダーハウス・ルール」については自分で脚色してアカデミー賞を取りました。やはり、今までの映画化に着いても一家言があったのでしょうね。スティーブン・キングにも言えていますね。アーヴィングは本作品で駅員の役で出演しているようです。話の中身は「ガープの世界」や「ホテル・ニューハンプシャー」ほど過激じゃないです。主人公の設定のせいもあるのですが、割と淡々と話が進んで行きます。この辺り、トビー・マグワイアは適役ですね。私は今まであまり彼の作品を観たことがなかったのですが、好感が持てました。相手役のシャーリーズ・セロンもいいです。設定でもある40年代の女性っぽいですね。彼女は「ノイズ」で目立っていました。他にもマイケル・ケイン、キヤシー・ベイカー、ケイト・ネリガンなどキャスティングがいいですね。リンゴ職人の娘役がエリカ・バドゥだつたのが意外でした。彼女はR&Bの歌手です。最近、L.L.クール.Jなどラップ辺りの歌手がかなり役者に進出していますね。原作はかなり長いようで、映画はちょっとはしょり過ぎているかなという感もありますが、お勧めの作品です。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/7/2)


ball1ボクのおじさん THE CROSSING
 (シグロ 116分 2000年)
監督 東 陽一
出演 筒井 道隆  細山田 隆人
 東京でデザイナーをしている主人公は、最近クライアントの部長と関係がうまく行かず仕事に行き詰まっている。そんなところに郷里の兄からは父が死んだという知らせが届き、さらにその兄の息子が郵便局で強盗未遂事件を起こして捕まったという。

 「橋のない川」「絵の中のぼくの村」に続く、東陽一監督の最新作。また、大人になりつつある少年の心情がモチーフになっています。しかし、この作品は前作などに比べてもうちょっと辛口になっています。タイトルから見ると「寅さん」みたいな感じがしていたのですが、この映画で寅さんの様に一番気ままに動いていたのは、主人公の彼女?役のつみきみほでした。久々に彼女を観た気がしますが相変わらずいいですね。主人公やその甥がフワフワしていてどことなく落ち着かないのに対して、しっかり見守っているという感じがします。テーマとしてはどうも最近の男性の情けなさ、居場所のなさを描いている感じがします。それに対して、つみきと謎の男役の宇崎竜童が押さえる役柄になっています。大人の世界、子供の世界通じてのいじめなどと言った社会問題も出てきます。しかし、そのせいか逆にどことなく焦点がボケてしまっている感じがしたのが残念な気がしまい。故郷が熊本の人吉という設定になっている点は、何となく親近感が沸きました。安部聡子がまた出てきたのですが、なんと甥の母親役でした。

 評価 ☆☆☆☆  (00/6/25)


ball1グラディエーター
原題 GLADIATOR  (米ユニバーサル/東宝東和 155分 99年 DRS)
監督 リドリー・スコット
出演 ラッセル・クロウ  ホアキン・フェニックス
 ローマ帝国の五賢帝の最後、マルクス・アウレリウスのもと、彼が全幅の信頼を寄せる将軍アエリウス・マキシマスは、数千人のローマ軍を従えゲルマン民族と戦い期待通りの勝利を収めた。しかし、老い先短い皇帝が、実の息子ではなく将軍に後を継ごうとしたために悲劇が始まっていった。監督は「ブレードランナー」のリドリー・スコット。

 事前の宣伝が不足気味だった気がしますが、米国の公開とあまりタイムラグがなかったせいかと思います。 実在の人物をベースにした話ですが、今時、珍しいほどのアナクロな映画と言えます。「ベン・ハー」を初めて見たときの感動はなかったですが、それは実写が主だった当時と違って、最近のCGなどに踊らされてしまっているせいでしようね。他にも書きましたが、ラッセル・クロウが主演というのがちょっとビックリでした。肉体派というイメージはないですね。でも、「インサイダー」で付けた肉を15kg落としたそうですが、なかなかの精悍さでしっかりはまっています。
 映画の方は冒頭の戦闘シーンからスゴイ迫力です。その後のコロッセウムでの戦車チームとの対決シーン、その前後の町中のCG合成シーンも迫力が結構あって、最近、パッとしないリドリー・スコット、久々の会心作と言えるでしょう。そう言った意味でははまって楽しめる映画ですが、終盤の展開はアレアレっと言った感じで疑問だらけになっている間に終わってしまいました。娯楽作?がこういうことではいけないと思います。敵役のホアキン・フェニックスも好演だっただけにちょっと惜しいストーリーでした。興行師役のオリバー・リードの遺作になっています。彼が印象的だったのはやはり「トミー」ですね。冥福を祈ります。

 評価 ☆☆☆☆  (00/6/24)


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