UPDATED 99/12/28
映画の感想のぺージです
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[あの、夏の日 とんでろ じいちゃん]
[踊れトスカーナ!]
[サイモン・バーチ]
[54 フィフティ★フォー]
[交渉人]
[レッド・バイオリン]
[ハムナプトラ 失われた砂漠の都]
[メイド・イン・ホンコン]
[スターウォーズ エピソード1]
シュウシュウの季節
原題 天浴 (米/エースピクチャー=ビクター 99分 98年)
監督 ジョアン・チェン
出演 ルールー ロプサン
「ラストエンペラー」や「ツインピークス」のジョアン・チェンの監督第一作。1966年から始まった中国の文化大革命によって都会から地方に多くの少年、少女が送られた。そういった中でチベットに送られた少女の過酷な運命と彼女を見守る中年の男の話。
文化大革命というのは当時はあまりその実体が分からなかったけれど、最近の映画でも取り上げられることが多くなっている感じです。やはり批判的に書かれていることが多く「レッドバイオリン」にも出てきましたね。この「シュウシュウの季節」にも一場面、画面の片隅でバイオリンを弾いている子供が写っていたのですが、この後糾弾されたのでしょうか。この映画も中国政府の許可が得られず、無許可で撮影したとのみとです。
ラジオも情報もろくに入らないような辺地に送られた彼女は、他の者達が都会に戻り始めたのも知らず、それを知った後は金やコネがないため、帰らせてあげようと言って近づく男達に次々とだまされていく羽目になります。それに対してテントで一緒に暮らす男はどうすることもできず、身体を洗う水を汲んできてくれと彼女に頼まれても文句言わずに夜中に10里の道を馬で飛ばして水を汲んでくるだけ…。主人公は純真な感じでなかなか演技もがんばっていたのですが、そう言ったシーンが結構リアルで痛々しさがあります。ただ、そう言ったシーンが吹き替えであるのが見え見えなので、そこまでする必要があったのかどうか…。半年の研修予定で帰るに帰れないとは言え、その後は全然仕事せず迷惑ばかりかけていたのもどうかと思うし…。ラストシーンを見たときはアレッと思って合点が行きませんでしたが、後で考えるとなるほどと思い直しました。なかなかうまい演出でしたが、やはりちょっとつらい話でした。
評価 ☆☆☆☆ (99/12/23)
あの娘と自転車に乗って
原題 BESHKEMPIR (THE ADOPTED SON) (キルギスタン・仏/ビターズエンド 81分 98年)
監督 アクタン・アブディカリコフ
出演 ミルラン・アブディカリコフ アルビナ・イマスメワ
旧ソ連、キルギス共和国の映画。自分が養子であることを知った思春期の少年の気持ちの揺れ、近所の悪童達とのやりとり、性への目覚めや恋心を描いたキッズ・ムービー。昨年の東京映画祭のアジア映画賞特別賞受賞作品。
キルギスタンの映画というは初見です。しかし、キルギス共和国誕生後は映画製作どころではなかったようで、この作品が長編第一作とのことです。でも、映画はこういうところでも娯楽の王道の様で、作品中でも映写技師が出てきたり野外上映会のシーンがあったりします。もっとも上映されているのが、インド映画というのがなんとも不思議な気がします。ストーリーはたわいもないと言えばそれまでですが、顔つきも日本人っぽくて何となく懐かしい気も起こさせます。ラストに綾取りのシーンがあるのですが、これがびっくり私たちと同じやり方です。映画は大半が白黒で、一部がカラーになっています。主人公の心情を表現しようとしたのでしょうが、カラーのシーンが多すぎてかえってあいまいになった気がします。全部白黒でもよかったのでは…。監督自身が養子だったということで、主人公役は彼の息子が演じています。
評価 ☆☆☆1/2 (99/12/12)
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
原題 NOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR (独/K2エンターテイメント 90分 97年)
監督 トーマス・ヤーン
出演 ティル・シュヴァイガー ヤン・ヨーゼフ・リーファース
不治の病で余命幾ばくもない二人の若者。病室が一緒になって最初は反目しあっていたが、一人が海を見たことがないことがわかり、死ぬ前に海を見に行こうと病院を抜け出したことから始まるロードムービー。
またもやドイツ映画ですが、これもいい作品でなかなか元気なようですね。「ラン・ローラ・ラン」より気に入りました。病院で盗んだのがたまたまマフィアの車だったため、警察とマフィアの両方に追われる羽目になるのですが、結構笑えるシーンも多くテーマの割に深刻さがありません。そのため、「死」に対するイメージがちょっと希薄になった感じがする点が残念と言えば残念かもしれません。「ラン・ローラ・ラン」の相手役等が扮するおとぼけギャングもおかしいですが、最後に登場のボスも大甘ですね。でも、ルドガー・ハウアーだし、許すか?(笑) 片方の主役の役名がマーチン・ブレストというのもおかしいですね。「ビバリーヒルズ・コップ」や「ジョーブラックをよろしく」の監督の名前です。
評価 ☆☆☆☆ (99/12/12)
ウェイクアップ!ネッド
原題 WAKING NED (英/K2エンターテイメント=東京テアトル 92分 98年)
監督 カーク・ジョーンズ
出演 イアン・バネン デビッド・ケリー
アイルランドの小さな漁村で宝クジが巻き起こした大騒動。当選者の老人がショックでショック死してしまい、その大金を村人で分けるべく身代わり工作が始まった…。
なかなか痛快な作品です。ストーリー自体は不謹慎な話で、キャッチコピーもネコばばる(笑)。「シンプルプラン」を連想させるような話ですが、味付けでこうも変わるのかと感心します。住人が数十人しかいない寒村で、老人が多いのですが、魅力的な人物描写で風景や音楽もよく、元気な作品になっています。数少ない若者?のラヴロマンスもひねっています。ネコババしようとする老人役二人がいいですね。片方は当社の役員にそっくりです(爆) ただ、もう一人のイアン・バネンは先月自動車事故で亡くなってしまいました。惜しい気がします。村人の中で一人ひねくれている悪役的存在の老婆をラストで吹っ飛ばしてしまったのが、痛快ではあるけれど、ちょっと気になります。シネコンである中間AMC16で上映されていて観たのですが、単館系をやるとはえらい!
評価 ☆☆☆☆ (99/12/5)
白痴 (手塚プロ/松竹 146分 99年)
監督 手塚 眞
出演 浅野 忠信 甲田 益也子
坂口安吾の原作を映画化。長引く戦争の中、下町の長屋の二階に下宿し、テレビ局に勤めている青年。彼の隣家には気違いと言われている男と白痴の妻が住んでいた。監督は手塚治虫の息子で「星くず兄弟の伝説」の手塚眞。
いゃぁ、これはすごい作品です。予告編を観て凄そうだと思って見に行ったのですが、期待を裏切りませんでした。かなりクセが強い作品でもあるので、好き嫌いが分かれるでしょうが、私は一応高評価します。原作は第二次大戦の話だと思いますが、映画では時代性をあいまいにして、ハイテクのテレビ局があったりしています。その辺のギャップにとらわれてしまうと話に入り込めないかもしれません。前近代的な長屋の生活と未来的なテレビ局の中。視聴率を稼ぐ「銀河」というアイドルの横暴さにはやや辟易としますが、上司役の原田芳雄や筒井康隆のキャラが生きています。白痴役の甲田益也子もすごいですね。また、眉毛がありません(笑)。主役は浅野忠信しか考えられませんね。存在感のなさが際だっています。新潟で大規模なオープンセットを組んだのが話題になっていましたが、終盤の空襲シーンはなかなか見応えがあって、それだけで一見の価値があります。クラシックの多用がきになったが、橋本一子の音楽もよい。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/11/28)
I love ペッカー
原題 PECKER (ヘラルド 87分 98年)
監督 ジョン・ウォーターズ
出演 エドワード・ファーロング クリスティーナ・リッチ
ボルチモアまのハンバーカー屋に勤めている青年は写真を撮るのが趣味。、いつもオンボロのカメラを持ち歩いていて家族や友人、街の風景などを撮っている。ある日バイト先のバーガー屋で開いた作品展が思わぬ評判になって、ニューヨークで個展を開くことになっていく。監督は「ピンク・フラミンゴ」のジョン・ウォーターズ、主演は「ターミネーター2」のエドワード・ファーロング。
監督がジョン・ウォーターズと聞いて、またどんな変な?(笑)作品かと思って見に行ったのですが、意外とまっとうな映画でした。そこそこ皮肉は効かせているようだが、あまり毒気がなく物足りない感じすらしました。基本にあるのは、高尚的な芸術やニューヨーク至上主義への反発の意味があるようですが、なんだかねぇ。とある理由によりR-15指定映画になっていますが、ボカシを入れなかったのは評価します。
評価 ☆☆☆ (99/11/28)
将軍の娘 エリザベス・キャンベル
原題 THE GENERAL'S DAUGHTER (パラマウント/UIP 117分 99年)
監督 サイモン・ウェスト
出演 ジョン・トラボルタ マデリーン・ストウ
ジョージア州の米軍基地で心理作戦の女性教官が全裸で手足をロープで固定された状態での死体が発見された。彼女はまもなく退役になり大統領候補の呼び声もある将軍の娘でもあった。ちょうど別件で潜入捜査していた犯罪捜査部の係官がFBIの手が入る前の限られた時間内に内部捜査することになった。
軍隊内部での犯罪ミステリー物かと思っていましたが、結末は結構重いものがありますね。これも原作があっての映画化のようですが、よくこんな作品を娯楽作?として取り上げるなぁと感心するところもあります。あまり書くとネタばれになるので止めて起きますが、「ア・フュー・グッドメン」に似たテーマと言えば伝わるでしょうか、軍の内部問題などをえぐった作品になっています。後のクレジットによると軍の協力がなかった様に見えましたが、どなたか確認してみてください。某県警などと同じく向こうもやはり内輪の問題は隠してしまうのが、ベストなのでしょうね。
登場人物が多い上、思わせぶりに犯人っぽく見せたりしているのですが、ストーリー展開は結構こなれている感じがします。ただ、演出が「コン・エアー」のサイモン・ウェストだけに段々自分でじれてしまい、ラストで大爆発させてしまった様に見えたのはうがち過ぎた見方でしょうか? ジョン・トラボルタはすっかり貫禄、当初は奥さんが相手役の予定だつたと思いますが、マデリーン・ストウはまあまあ。ジェームス・クロムウェルやジェームス・ウッズも渋いなぁ。音楽も舞台のジョージア?ぽく、暑ーい感じなのがよかったです。
評価 ☆☆☆1/2 (99/11/27)
黒い家 (アスミックエース・松竹 119分 99年)
監督 森田 芳光
出演 内野 聖陽 大竹 しのぶ
日本ホラー小説大賞を取った貴志祐介の原作であるホラー小説を「失楽園」「
39 刑法第三十九条」の森田芳光が監督。地方の生命保険会社の営業所で働く主人公がある顧客から呼び出しを受けて、家に向かうと顧客の息子の首吊り自殺の死体の発見者になってしまう…
うむむ。サイコ・スリラーと言いながら途中で結末がわかってしまうので、推理性は薄く、怖いと言うよりも気味悪さが目立ちます。その要因としては大竹しのぶや西村雅彦の怪演ということになるのですが、その分ストーリー性が希薄な感じがしますし、怖がらせるにしてはちょっと見せ方がまずい気がします。変に笑えるようなシーンを入れているところも演出でしょうが、その意味もあいまいで作品の狙いが中途半端になってしまっています。サイコパスという設定なのでバックボーンは無視して多少の無理は効きますが、ストーリーもちょっと無茶ですね。前作を越える作品にしたいということでこの作品を演出したのでしょうが、森田芳光がこの作品の監督した意味はあるのかなと疑問を感じました。映像や音の効果は効いていて、そんなに悪い作品でもないのですが、どこかずれている気がします。
キャストは結構いいです。前出二人や内野聖陽、石橋蓮司あたりもいいですね。ただ、田中美里はどうしようもないですが…。ドラマ観ても感じますが彼女は全然、華が感じられず、ヒロインとしての存在感がありません。
(追加)やけに変な出前持ちのシーンだなぁと思っていたら山崎まさよしでした。ファンの方はご存じでしょうが…。ラストのm-floの音楽はちょっとミスマッチ。
この作品は原作本を出している角川絡みの作品でもあるし、自分で見に行っているので文句言うのも何ですが、最近のこの手の作品の多さには段々辟易してきました。これは日本映画だけではなく、洋画も「羊たちの沈黙」以後この手の映画が多いのですが、休みの日にわざわざ見に行く映画にしては暗すぎます。世紀末ブーム?で活字の方もこの手のミステリーばやりですが、エスカレートしてきてドロドロした方が受ける様になってきているようです。この「黒い家」も昨今の保険金殺人に似た内容で話題になっている面もあるようですが、反面その手の事件はもうニュースや新聞で十分だという気もしなくはありません。今日(11月25日)も幼稚園児殺害事件があっているし…。ジャッキー・チェンのポリシーではないですが、人も死なず、血も流れない、暴力シーンもないという映画作品が少なくなってきている気がします。「つりバカ日誌」ほど短絡的ではないですが、もっとほのぼのとした作品が観たいなぁという気持ちになりました。現実ではなかなか感じられない「夢」を見させてくれるのも映画だと思います。
評価 ☆☆☆ (99/11/21)
皆月 (日活 114分 99年)
監督 望月 六郎
出演 奥田 瑛二 北村 一輝
花村萬月の原作を「鬼火」の望月六郎を映画化した作品、脚本は荒井晴彦。妻に逃げられ、会社も倒産寸前の平凡な中年サラリーマンがその妻の弟のチンピラやソープランド勤めの女性と妻を捜して能登へ向かう…。
奥田瑛二が情けないですね。先日も自分自身がワイドショーネタになっていましたが、役柄とダブって見えるのは私だけでしようか。義弟役の北村一輝がなかなかいいのと吉本「ハヤタ隊員娘」多香美が身体張って頑張っているのが印象的でした。望月監督の作品は初めて観たのですが、他もこんな感じでしようか。ストーリーを追っているだけでうまいという感じはないですね。終盤の追っかけシーンでのハンディカメラがグラグラ動きすぎて裏目に思えました。原作、脚本がどうなのか分かりませんが、エピソードを入れるよりも、「日と月の話」にこだわってもよかった気がします。ラストは甘いけれどまあいいか。
評価 ☆☆☆☆ (99/11/13)
アナライズ・ミー
原題 ANALYZE THIS (米/ヘラルド 104分 99年)
監督 ハロルド・ライミス
出演 ロバート・デ・ニーロ ビリー・クリスタル
原因不明の発作に襲われるニューヨーク・マフィアのボス。部下がみつけて来た精神分析医の世話になることになったのだが…
ロバート・デニーロがマフィアのボスを演じているのですが、いつもと違い冷徹さがなく逆に涙もろく、拳銃を撃とうとしても撃てないストレスがたまった状態の役なのですが、楽しそうに演じています。そのデニーロとビリー・クリスタルの丁々発止のやりとりが楽しめる作品になっています。演出は「ゴーストバスターズ」のメンバーで最近、監督業が多いハロルド・ライミス
評価 ☆☆☆1/2 (99/11/13)
シックス・センス
原題 THE SIXTH SENSE (米/東宝東和 107分 99年)
監督 M・ナイト・シャマラン
出演 ブルース・ウイリス ハーレイ・ジョエル・オスメント
全米で今夏「スター・ウォーズ エピソード1」の後、大ヒットしたスリラー映画。小児専門の精神科医の主人公が治療を試みた少年には人間の五感を超越して死者を見ることができるという特殊な才能があった。
日本でもネタばれ禁止で話題になりつつある映画です。監督はインド出身の人で、結構練り混まれたストーリーにはその非凡さが感じられます。ブルース・ウイリスはともかく、少年役のハーレイ・ジョエル・オスメントの芸達者ぶりが見応えがあります。単純な演技なのか、監督の意向を汲んだものなのか…。内容についてはあまり書けないので、またいずれ。大作ではないですが、映像なども細やかで一見の価値はある映画かも…
この映画の日本サイトのアドレスはこちらなのですが、よくこんなアドレス取れたなぁと感心していて、よく見るとTHが取れていて、綴りが違うではないですか。ああ、恥ずかしい。こんなアドレス、取らないで欲しいよ東宝東和(笑) 映画本編を観るとパスワードが案内されます。
評価 ☆☆☆☆ (99/11/7)
オープン・ユア・アイズ
原題 ABRE LOS OJOS (スペイン/ポニー・キャニオン=東京テアトル 117分 97年)
監督 アレハンドロ・アメナーバル
出演 エドゥアルド・ノリエガ ペネロペ・クルス
スペインの俊英アレハンドロ・アメナーバルの新作。98年東京国際映画祭のグランプリ作品。裕福で二枚目な主人公がある日ストーカーの女性に乗せられた車で事故にあい、一命は取り留めたものの顔に大怪我を負ってしまう。手術がうまくいかない中、友人の彼女を奪い取ることに成功するが、次第に夢と現実の区別がつかなくなっていく。
かなり面白い映画でした。「オペラ座の怪人」的な映画かと思ってみていると「マトリックス」な展開になっていきます。「トウルーマンショー」に似ている面もありますね。あちらがアクションなどを多用したかなり大業的な映画になっているのに比べこちらは、ストーリー展開で酔わせていてくれる正統的なやり方で魅せてくれます。観客の裏、裏ばかり攻めてくる監督がまだ20代とは大したものです。あまり書き込むとネタばれになるので書きませんが、この秋一番のお勧め作品です。しかし、ラストは今ひとつ納得がいかない気がするのがちょっと残念です。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/11/3)
Hole
原題 洞 (台湾・仏/プレノン・アッシュ 93分 98年)
監督 ツァイ・ミンリャン
出演 ヤン・クンメイ リー・カンション
「愛情萬歳」や「河」のツァイ・ミンリャンの新作。世紀末を迎える寸前の台北。街には雨が降り続き、奇病が流行っている。古いアパートに住む青年の部屋から漏水があり、開花の女性の部屋に漏れている。対策工事したところ床に穴が開いてしまい、女性と奇妙な関係が生まれていく。
かなり特異な映画です。彼の作品は大体セリフが少ないのですが、この作品ではさらに寡黙です。最初から最後まで雨が降り続け、雨音が響いています。1シーン、1シーンを長く撮っていて動作が終わった後もカメラが回っています。感覚的に言えば、タルコフスキーの映画みたいな感さえします。そういったシーンの合間に突如、ミュージカルシーンが挿入されています。彼らが暮らしているアパートのエレベーターや廊下でいきなりドレスアップしたヒロインが踊り出します。役ではさえないのにキラキラしています。また、ランニングにブリーフと言った下着姿が多いリー・カンションまでが踊るのにはビックリです。孤独でカップ麺ばかりすすっている生活とわざと対称的なシーンにしているのでしょうが、突飛さは否めません。ただ、ラストシーンはすごく印象的でした。
評価 ☆☆☆☆ (99/11/1)
スパイシー・ラブスープ
原題 愛情麻辣盪 (中国/東光徳間 109分 98年)
監督 チャン・ヤン
出演 リュイ・リーピン プー・ツンシン
98年の東京映画祭や99年の福岡映画祭によ参加した作品。北京を舞台に中学生?から50代まで世代を越えた5組の男女の恋を描いていくラブ・ストーリー。原題のマーラータンは四川料理で二つに仕切られた鍋を使った火鍋料理です。
どうってことないストーリーと言ってしまえばそれまでですが、いい気持ちにさせてくれる雰囲気があります。一組のカップルが結婚に至るまでの経過をメインストーリーにして、5つのエピソードを絡めています。それぞれ中学生、50代の寡婦、結婚数年目で子供がない夫婦、離婚寸前の夫婦とその子供、一目惚れの若いカップルと言ったはなしです。こうやって見ると北京が舞台のせいでもあるけれど、中国も日本なんかと変わらなくなってきたなぁという感じです。街にはブランドショップはあるし、家の中も日本のアパートに似た感じになってきています。出演者もなかなか個性的な感じで好感が持てました
評価 ☆☆☆☆ (99/11/1)
裸の銃(ガン)を持つ逃亡者
原題 WRONGFULLY ACCUSED (米/ギャガ 85分 98年)
監督 パット・プロスト
出演 レスリー・ニールセン リチャード・クレンナ
友人宅で殺人事件に巻き込まれたバイオリニストの主人公が、護送中に逃げ出し事件の真相を解いていく。
というストーリーはさておき、相変わらずの映画のパロディ、オンパレードです。邦題では「裸の銃…」をうたっていますが、NAKED GUNシリーズではありません。しかし、逃亡者、ミッション・インポッシブルからER、タイタニック等々、オリジナルを観ている人ほど楽しめます。なにせ役名がライアン・ハリソン(爆)。配給会社の方ではいったい何本のパロディがあるか、クイズにしているほどです。レスリー・ニールセンは70才過ぎていると思うのですが、すごいパワーですね。しかし、みなさんにお勧めできるかと言えばちょっと厳しいものがあり、おバカ映画がお好きな方はどうぞ、という感じです。私は好きですが…(笑)
評価 ☆☆☆ (99/10/31)
グロリア
原題 GLORIA (米/ギャガ=ヒューマックス 107分 98年)
監督 シドニー・ルメット
出演 シャロン・ストーン ジェレミー・ノーザム
ギャングの身代わりの服役を終えて出所してきた主人公に対して、ギャングは約束を果たそうとしない。ちょうど組織の会計係りが情報が入ったフロッピーディスクを持ち出し、それを奪い返そうとした手下に家族は殺されてしまう。そのフロッピーを持っているため命を奪われそうになっている少年を連れて主人公は逃避行をはかることになる。
ジョン・カサヴェテス監督の代表作である作品のリメイクです。確かオリジナルでは確か堅気になった中年女性が主人公で、ジーナ・ローランズが演じていましたが、この作品ではシャロン・ストーンがセクシーな情婦という設定になっています。オリジナルを見ていない人はそこそこ楽しめるでしょうが、観ている人には何か違うし、物足りなく思えるのではないでしょうか。シャロン・ストーンが見たい人だけにお勧めの映画になってしまっています。「レオン」の話に似ているというのも今では裏目になるし…。「狼たちの午後」などのシドニー・ルメットがピンチヒッターで監督したという話ですが、何かもったいないなぁ。
評価 ☆☆1/2 (99/10/31)
ラン・ローラ・ラン
原題 LOLA RENNT (ドイツ/コムストック/パンドラ 81分 97年)
監督 トム・ティクヴァ
出演 フランカ・ポテンテ モーリッツ・ブライブトロイ
ギャングの下っ端の恋人がドジを踏み、正午までに10万マルクを用意しないと、彼の命はない。それを知った主人公は、わずか20分の間にこの大金を用意するべくベルリンの街を走り回る。しかし、彼女が時間までに来なかったため、彼はスーパーに強盗に入ろうとする。
今年なぜか立て続けに公開されているドイツ映画の一本。アイデアとしては面白いですね。主人公がとにかく走り回ります。フイルムとビデオを混ぜあわせたり、アニメまで利用したり…。オープニングシーンは結構気に入りました。また、走っている途中でぶつかったりした人の将来まで予見したりします。恋人を助けるのに失敗したらまたやり直します(笑) 音の使い方も結構考えられています。しかし、リフレインも三回目ともなるとちょっと飽きてしまい、多少の展開の突飛さがあってもそれを納得させるだけのものがあるかと言うと、疑問に思える作品であります。テンポのよさが原点の作品だけにちょっと惜しい作品です。
評価 ☆☆☆1/2 (99/10/30)
アルナーチャラム 踊るスーパースター
原題 ARUNACHALAM (インド/N.S.W.=アジア映画社 166分 97年)
監督 スンダルC
出演 ラジニカーント サウンダリヤー
ムトゥ・踊るマハラジャのラジニカーント主演のマサラ・ムービー。
村一番の人気者で富豪の息子でもある主人公が妹の結婚式に出席しにきた親戚の娘と恋に落ちるが、彼は実は富豪の息子ではなかった。破談になり、マドラスに向かった彼の運命は…
はは。相変わらずのパターンですが、はまってしまいますね。しかし、ストーリーや踊り等はマハラジャの方がインパクトがあった感じで今ひとつでした。ヒロインのサウンダリヤーは例によっておめめぱっちりのいい感じでしたけれど、もう一人のランバーがインド人っぽくなくてしかも脚が太く、変な感じでした。主人公のお婆ちゃんが女性客に受ける、受ける、出てくるたびに大笑いでした。親父も大笑いだし…。悪役は江本議員に似ていました。
評価 ☆☆☆1/2 (99/10/25)
金融腐蝕列島 呪縛(東映 114分 99年)
監督 原田 真人
出演 役所 広司 椎名 桔平
高杉良原作の新聞掲載小説を「KAMIKAZE TAXI」や「バウンス ko GALS」の原田真人が映画化。とある銀行を舞台に総会屋との癒着や不正融資、実際にあった事件を彷彿させる出来事を元にカダガタになった銀行を、どうにかして建て直そうとする中堅銀行員たちの動きを描く。
東映でメジャー公開の映画を原田真人が監督したことがちょっと意外だが、そこそこの出来には仕上がっています。主演の役所広司や椎名桔平たちを別にして脇の重役や社員、捜査官を今ひとつメジャーでない俳優を使っていることが、かえってリアリティをましています。また、日頃テレビニュース等ではわからない家宅捜査の状況などが描かれているところも面白いです。また、自分たちが勤めている企業に踏みとどまって、立て直そうとする心情もわからなくはありません。
中盤までは緊迫感やスピードがあって面白かったのですが、終盤ちょっと息切れしたのが、残念です。鍵を握る仲代達矢に捜査が及ぶ経緯や、株主総会のシーンが残念でした。私も株主総会の裏方をしたことがありますが、この映画の舞台であるような規模の銀行の株主総会がああいう設営であったり、議事進行で行われることはないと思います。監督が室内装飾を古代調にこだわったためだと思われますが、ちょっと裏目に出ている気がします。映画をみた数日後、映画で使われていたブルームバーグ通信社から職場に決算問い合わせが有ったのには笑いました。でも、貴社役の若村麻由美はなぜミネラルウォーターばかり飲んでいたのでしょう。ひょっとして、パラサイト(爆)
評価 ☆☆☆1/2 (99/10/11)
秘密(TBS/東宝 123分 99年)
監督 滝田 洋二郎
出演 広末 涼子 小林 薫
バスの転落事故で重傷を負った母と高校生の娘。やがて母は息を引き取り、娘は意識を回復するが、その娘の中には母親の人格が乗り移っていた。
観ようかどうしようか迷っていたのですが、滝田監督の名前につられて見に行きました。意外といい出来でした、というよりストーリーに、はまってしまいました。小林薫がいいですね。主役は彼と言ってもいいでしょう。娘の体に妻の人格が入り、とてもたまらないジレンマに襲われます。妻として抱けない上、娘としての恋愛も浮気に見なされ認めることができないのです。こうなると男としては情けないものです。その辺の描写がうまいです。それに引き替え女性の方は人生を高校生の時代からやり直せるとばかりに生き生きとしているから対照的です。広末が中年の役をしているのですが、その辺の違和感はあまりありませんねぇ。もともとおばさんっぽいところがある上、元々の母親役が若く見られる岸本加世子なので、その辺のキャストはうまいです。演技自体はどうかなぁ…と思える面もありますが、「20世紀ノスタルジア」よりはいいでしよう。
結末のドンデン返しがちょっと卑怯な感じがしてアレッとおもったのですが、どうも東野圭吾の原作と違うようです。男としては裏切られた感じがします。その辺がどうかと思いますが、全体的には可だと思います。
評価 ☆☆☆☆ (99/10/10)
ノッティングヒルの恋人
原題 NOTTING HILL (米/松竹=ギャガ・ヒューマックス 123分 99年)
監督 ロジャー・ミッチェル
出演 ジュリア・ロバーツ ヒュー・グラント
ロンドン近郊のノッテイングヒルであまり儲からない旅行書専門の書店を営んでいるバツイチの主人公の店に、ある日今をときめくハリウッドの人気女優が客として訪れる。やがて二人は恋に落ちるが…
「カイロの紫のバラ」というのもありましたが、映画好きな人なら一度は考えたことがあるストーリーではないでしょうか。「ローマの休日」みたくウェルメイドなラブ・ストーリーになっています。主演が崩れかけたハンサム、ヒュー・グラントというのがいいですね。この人、この手のコメディタッチの映画の方が似合う感じです。しかし、この映画、彼の立場に立って観るとなかなかいいのですが、ジュリア・ロバーツの方から観るとちょつと弱いです。彼が彼女が好きになる理由や心情描写はうまく描けているのですが、逆に彼女がなぜ彼が好きになったかの説明がほとんどなく不自然な感じがするのです。脇役も面白いし、通りを歩きながらワンショットで四季の移り変わりを写しているシーンが印象的でした。あと、彼の家にあるフジカラー風の着物姿の立て看板とノッティングヒルの店先の新聞スタンドにタブロイド紙と一緒に並べてあった日経新聞も…。あれはいい宣伝になるなぁ。
ハリウッド女優がそんなにしょっちゅうイギリスに行っているのかという疑問がありますが、最近はイギリスのスタジオで作られている米国映画も多いのであり得ることでしょう。
評価 ☆☆☆☆ (99/10/9)
双生児(東宝 84分 99年)
監督 塚本 晋也
出演 本木 雅弘 りょう
江戸川乱歩の原作を塚本晋也が独特の世界を描いた作品。ある病院を舞台に平和な日々を送っていた主人公がある日思っても見なかった苦しみわ味合わせられる。
すごい、すごい。モッくん、すごいっすねぇ。このような役をさせたらピカ一になりつつあります。りょうも映画は初めてだと思いますが、存在感があります。ドラマはあまり見ていませんが…。眉がないだけで人間、とても不気味ですね。ネタはタイトルでバレていますが、とういう展開になるか楽しませてくれるし、ライティングや美術もなかなか凝っています。脇も常連、竹中や筒井・裁判長・康隆、石橋蓮司等々、なかなか豪華ですが、せりふが聞き取りにくいのが難。マトリックスではないけれど異次元空間に行ったようです。しかし、よくメジャー公開したものです。
評価 ☆☆☆☆ (99/10/3)
リトル・ヴォイス
原題 LITTLE VOICE (英/アスミック 97分 98年)
監督 マーク・ハーマン
出演 ジェイン・ホロックス ユアン・マクレガー
「ブラス!」のハーマン監督の新作。父親の死後、自分の殻に閉じこもってしまった一人の女性。一緒に暮らす母親ともソリが合わず一人父親が残したレコードを聞いていることが多いが、実は彼女には人並みはずれた特異な才能が隠されていた。
うーむ。話は予想通りの展開だし、別に大きなひねりもないしもう一工夫して欲しい映画でした。海外では受けるかも知れませんが、ジュリー・アンドリュースとか一時代前のスターだしなあ。ジェイン・ホロックスの歌のうまさやオリジナルへの似方はみとめますが、マイケル・ケインやブレンダ・ブレッシンの熱演に食われてしまっている面もあります。ユアン・マクレガーも出ていますが、あまりパッとしません。
評価 ☆☆☆ (99/9/26)
黒猫・白猫
原題 CHAT NOIR, CHAT BRANC (ユーゴスラビア/フランス映画社 130分 98年)
監督 エミール・クストリッファ
出演 バイラム・セバルジャン スルジャン・トドロビッチ
「パパは出張中」「アンダーグラウンド」のクストリッファ監督の新作。ドナウ川のほとりで暮らすジプシー達。怪しい貿易を営む親子三代の家族を主人公に詐欺師やマフィア、様々な人々が力強く生きていく様子を描いたコメディ。
一度は引退を表明していたクストリッファ監督ですが、すごい作品で帰ってきました。あまり予備知識なしで観たのですが、笑った笑った。かなりデタラメなストーリーですが、巧妙に考えられていて、それでいてこんなに笑える映画とは知りませんでした。役者ではない本物のジプシーが演じているのが多いのですが、すごくパワフルでかつ見応えがあるコメディになっています。冒頭のシーンからうまいですね。登場人物がどういう関係でどういう生活をしているのかとついつい引き込まれてしまいます。主役の若者が木訥とした感じで周りの人々の存在感と対照的な描かれ方をしていますが、後で段々それが生きてきます。
「オースティンパワーズ」以来の大笑い映画ですが、それでいて巧さも目立ち私のお気に入りの映画になりそうです。お勧めです、だまされたと思って観て下さい。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/9/26)
エリザベス
原題 ELIZSBETH (ポリグラム/ヘラルド 124分 98年 SRD)
監督 シェカール・カプール
出演 ケイト・ブランシェット ジェフリー・ラッシュ
16世紀のイギリス、ヘンリー8世の妾腹の子エリザベスは新教徒だったため、ロンドン塔に幽閉される。しかし、腹違いで旧教徒の姉、メアリー女王の死後、王室を継承するが的が多く、その前途は多難であった。
この映画、私が春に台湾に行っていた時に上映されていたのですが、やっと公開されました。公開が遅れた理由として「恋におちたシェイクスピア」のヒットがあったと思われますが、逆にそのお陰で拡大公開となり、また結構客が入っているとのことです。しかし、先に「恋におちた…」が公開されたことによって損していますね。私は同じ中世物として見るならば「恋におちた…」を取ります。「エリザベス」の方が重厚で見応えがあるのはあるのですが、知っている史実でやや退屈な感もあり、娯楽性がある「恋におちた…」の方が面白いです。主演のケイト・ブランシェットも華がなく、何故彼女が…という理由がわかったのがラストシーン。脇もジョセフ・ファインズやジェフリー・ラッシュとダブっています。観る順番が違っていたらまた感想も違っていたでしょうが…
しかし、こんなコテコテのイギリス映画をインド人の監督に任せるとは何と太っ腹。久々にファニー・アルダンが見られたのはよかったです。
評価 ☆☆☆1/2 (99/9/25)
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シンプルプラン
原題 A SIMPLE PLAN (パラマウント/東宝東和 136分 99年 SRD)
監督 サム・ライミ
出演 ビル・パクストン ビリー・ボブ・ソーントン
町外れの森の中で、偶然墜落していた飛行機を発見した三人組。その機内で大金をみつけ、その事故が公になっていないことをいいことに密かに山分けしようとするが…。
「死霊のはらわた」や「ダークマン」のサム・ライミが監督するとのことで注目の作品ですが、意外と?オーソドックスな作りになっています。原作者自身が脚本を書いているせいでしょうか。雪のシーンが多いせいか、どことなく「ファーゴ」を連想させます。普通の人が一番怖いというのが宣伝文句ですが、その通りの展開になっています。大金を前にしてその考えが次々と変わっていきます。最初は警察に届けるべきだと考えていても、次々と…。夫を操るブリジット・フォンダも怖いですが、何と言っても兄役のビリー・ボブ・ソーントンがすごいですね。この人、映画毎に全然イメージが変わります。アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされていますが、今後も彼の出演作は注目しておくべきでしょう。しかし、この映画で描かれている警察やFBIもちょっと情けないです。ちょっと突っ込めば分かるだろうに…。そういう映画でもないですが…。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/9/25)
マトリックス
原題 THE MATRIX (ワーナー 136分 99年 SDDS)
監督 ウォシャウスキー兄弟
出演 キアヌ・リーブス キャリー・アン・モス
「バウンド」のウォシャウスキー兄弟の新作。ソフトウェア会社のプログラマーであるが、実はハッカーでもある主人公の元にある日メッセージが届く。彼が住んでいる世界が実は…
前作「バウンド」は結構面白い作品で、この新作も期待して観ました。しかし、うーむ。何と表現したらいいのかな。設定自体はかなり理論的で、難解な感じさえします。現実と虚構の違いとか時代のズレとかが説明が色々とありますが、一回観ただけではよく理解出来ない感じです。逆にそこがちょつとダレる感もあります。こういった作品では理詰めではなく面白さだけで攻めた方がいい気もしますが、どんなものでしょうか。
この作品の後半のアクションシーンの斬新でそれだけで見応えがあります。ただ、予告編や初回番組で観たシーンがほとんどでそれ以上のシーンがなかったのは残念です。そう言った意味で露出の多さが裏目に出る困った面もありますね。予備知識がない方が楽しめるかも知れません。日本のアニメ、特に「攻殻機動隊」の影響が大きいというのもうなずけます。三部作になるとのことですが、ファッション的にも面白いし、見る人によってはカルトにもなりそうな作品です。
評価 ☆☆☆☆ (99/9/23)
悪女列傳 (福岡映画祭)
原題 悪女列傳 洋題 BAD GIRL TRIOLOGY (台湾 115分 98年)
監督 ウェン・ヤオティン他
出演 ファン・ルイジュン チャン・シィ他
台湾のテレビコマーシャルやミュージックビデオの監督、3名が悪女をテーマに監督したオムニバス映画。監督はウェン・ヤオティン、リン・ヂンジィエ、チャン・インユウ
意図はわかりますが、ちょっと退屈なオムニバスでした。内容としては最後の「猫チャン、犬チャン」のヤツかなぁ。
評価 ☆☆☆ (99/9/19)
カラー・オブ・ゴッド (福岡映画祭)
洋題 THE COLOR OF GOD (イラン 90分 99年)
監督 マジド・マジディ
出演 レオン・ライ スー・チー
テヘランの盲学校で寄宿生活している8才の少年。夏休みになって父親に連れられて田舎に帰るが、母親がいないため目の不自由な息子を父は疎ましく思っていた。監督は「運動靴と赤い金魚」のマジド・マジディ。前作はアカデミー賞外国語賞候補になったが、この作品でもモントリオール映画祭で金賞を獲得している。
今回映画祭で観た中で一番見応えがある作品でした。父と子、祖母と孫たちといった家族の問題。障害を持った者を家族に持つ苦悩。宗教観。色々なものを見せてくれます。実際に目が不自由な主人公も存在感があります。前作も素人を起用していましたが、この辺の監督の手腕は大したものです。また村の情景もいいのですが、全てのシーンが意味を持っていて無駄なシーンがないという感じも受けました。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/9/19)
玻璃の城 (福岡映画祭)
原題 玻璃之城 洋題 CITY OF GLASS (香港 110分 98年)
監督 メイベル・チャン
出演 レオン・ライ スー・チー
「ガラスの城」と読むようです。70年代から香港返還の97年にかけて二人の男女とその子供達の出会いや別れを描いたラブストーリー。監督は「宋家の三姉妹」のメイベル・チャン
いゃぁ、これほどのメロドラマは久しぶりに観ました。主演はレオン・ライ。カッコよいです。息子のダニエル・ンも良いのですが、ヒロイン役の二人のスー・チー、ニコラ・チェンが今ひとつな感じがします。結末を冒頭に見せてしまっているのはちょっと興ざめですね、後の描き方はいいのですが、どうも繰り返しになってしまっています。これは前の「ミステリー・オブ・ザ・キューブ」もそうで導入部分の繰り返しがうっとうしいです。この映画がアミューズが製作にからんでいるようです。どうせ一般公開されるでしようから、わざわざ映画祭でしなくても…という気がします。
評価 ☆☆☆1/2 (99/9/18)
ミステリー・オブ・ザ・キューブ (福岡映画祭)
洋題 THE MYSTERY OF THE CUBE (韓国 110分 99年)
監督 ジョナサン・ユー
出演 イ・ミヌ シン・ウンギョン
ミステリアスな詩や小説を残した作家イ・サン。彼の作品に興味を持つ若者が集まって研究会を開いたがそのメンバーが次々と謎の死を遂げていく。その関連について調べていく残りのメンバーにも危機が迫っていく。
ホラーっぽくもあり、ミステリーっぽくもあり、ラストにかけてはアクションになっていくといなかなか盛りだくさんな映画でした。簡単に言えば、「リング」と「インディ・ジョーンズ」を一緒にした様な作品です。韓国映画も最近やっと日本で公開される様になってきています。テーマの一つに戦前の日本が絡んでいるのがちょつと引っかかる点では有りますが、こんな映画なら日本でも受けるかも知れません。ロケやセットなんかも結構お金かけている感じです。
評価 ☆☆☆1/2 (99/9/18)
グッドバイ・トゥモロー (福岡映画祭)
洋題 GOODBYE TOMORROW (トルコ 110分 98年)
監督 レイス・チェリック
出演 ベルハン・シムチェッキ マズリム・チメン
70年前後、トルコの学生運動のリーダーであったデニズ・ゲズミスの活動や投獄生活、死刑執行の様子などを描いた作品。監督は98年の福岡映画祭で上映された「そこに光を」の監督。
この辺の歴史になると疎いのですが、日本でもこの頃学生運動があったし、この映画でも反米の動きを描いてあるので、どこでもこういった動きがあったということは理解できます。日本では死刑になることは無かったと思いますが、何となく警官との衝突で亡くなった樺美智子さんを連想させる様な映画です。こういう映画が制作出来るようになったということは制約が無くなってきたということでしようか。史実に忠実に描かれているのか、そんなにドラマ性は感じらられませんが、なかなか重みがある映画でした。
評価 ☆☆☆☆ (99/9/18)
アパートメント (福岡映画祭)
洋題 COLLECTIVE FLAT (ベトナム 90分 99年)
監督 ヴィエト・リン
出演 マイ・タイン ホン・アイン
ベトナム戦争後のサイゴン。元々はホテルだった建物が解放軍に接収され幹部のアパートになった。前はホテルの門番だった男が管理人として入居者の面倒を見ることになったが…。監督は「悪魔のしるし」等の女流監督の7年ぶりの新作。
ベトナム映画というのは初めて観る気がします。「青いハパイヤの香り」などベトナムを舞台にした映画は観ましたが…。エピソードの積み重ねの感じで割とシンプルなストーリーですが、登場人物が多いためやや雑然とした感じもうけます。日本でも以前はこの様な集合住宅等で助け合って生活していたと思うのですが、近代化と共にそう言った絆が薄れていくのはどこも同じですね。監督とヒロインのホン・アインが来福していたのですが、しっかりした考えを持っていて、しかもかわいかったです
評価 ☆☆☆1/2 (99/9/15)
テロリスト (福岡映画祭)
洋題 THE TERROLIST (インド・タミル語 100分 98年)
監督 サントーシュ・シヴァン
出演 アイェーシャ・ダルカール パラメーシュワラン
家族とともにテロリストとして活動する少女が、自爆爆弾として自らの命と引き替えに対立勢力の要人の命を奪おうとする作品。監督は「ザ・デュオ」などマニラトナム監督作品等のカメラマンを担当していたサントーシュ・シヴァン。
インド映画と言えば最近は「踊るマハラジャ」のように歌ありアクションあり恋愛ありのマサラムービーが日本でも流行っていますが、この映画はうって変わって深刻な題材です。91年のラジブ・ガンジー首相暗殺事件がヒントとなっています。クローズアップや主人公の動悸音の多用、結構斬新さがあります。ただ、途中で結末が読めてしまうストーリー展開はどうかなと思われる面も有りました。上映後のティーチインでもラストについての質問がいくつか上がっていました。
評価 ☆☆☆ (99/9/15)
オースティンパワーズ デラックス
原題 AUSTIN POWERS THE SPY WHO SHAGGED ME (/ヘラルド 95分 99年)
監督 ジェイ・ローチ
出演 マイク・マイヤーズ ヘザー・グラハム
「オースティンパワーズ」の続編で主演のマイク・マイヤーズが製作、脚本を兼ね三役までこなしている。前作の結末で宇宙をさまよっていたドクター・イーヴルが地球に戻り、タイムマシンで69年に遡ることに成功し、冷凍睡眠中のオースティンからモジョを奪うことに成功する。
前作は北九州で公開されることもなく、わざわざ福岡のキャナルAMC13まで見に行ったのですが、二作目は拡大ロードショーになり、関連本が何冊も出るまでになりました。前作は98年最高のおバカ映画という評を下しましたが、本作については近頃にないおバカ映画ということが出来るでしょう。たまたまこの映画、関西で見たので吉本の「フォースティンパワーズ」を上映前に見ることができ、これからタイトルロールの流れまで笑いっ放しでした。全編がパロディみたいな映画ですので、そのネタ探しだけでも楽しめます。007シリーズからスターウォーズ、バックトゥザフューチャー、ID4等々。下ネタの徹底ぶりもすごいですが、そのやり方も感心するほどで、ウィリー・ネルソンやウディ・ハレルソンの扱いもすごいです(笑)。スターバックスコーヒーがその扱いを快諾したというのも太っ腹。音楽の方のラインアップも豪華で楽しめ何故かまたバート・バカラックやエルヴィス・コステロまで楽しげに登場しています。ハマれる人とそうでない人といるでしょうが、私はこの映画、最大級の賛辞を送ります。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/8/28)
パラサイト
原題 THE FACULTY(ディメンションズ/ギャガ・ヒューマックス 104分 98年)
監督 ロバート・ロドリゲス
出演 イライジャ・ウッド ジョシュ・ハートネット
「デスペラード」の監督、ロバート・ロドリゲスと「スクリーム」の脚本家、ケビン・ウィリアムソンが組んだホラー映画。高校が舞台、オタクな主人公が校庭で奇妙な生物をみつける。一方、そのグラウンドをしているフットボールのコーチ達の行動がどうもおかしい。
ストーリーとしては常道に沿っていて特に目新しさはありません。いつの間にかエイリアンに侵された市民が増えていくという展開です。しかしこの作品、結構皮肉が効いています。主人公が高校でいじめられる存在になっているし、クスリの氾濫、それらを知っていながら注意できない教師等、日本でもありそうな風景を背景としています。また、エイリアンが言う侵略理由も現実の社会批判にも取れます。招待のバラシ方やエイリアンに侵されている仲間の見つけだし方などに展開に疑問がありますが、相変わらずの映画ネタはあるし、まあまあ楽しめる作品になっています。私の嫌いなイライジャ・ウッドも少しは好演かな? 常連サルマ・ハエックやロバート・パトリック等脇役がなかなか妙です。ジョシュ・ハートネットは買いです。
評価 ☆☆☆ (99/8/27)
セレブリティ
原題 CELEBRITY(米/松竹富士 114分 98年)
監督 ウデイ・アレン
出演 ケネス・ブラナー ジュデイ・デイピス
しがない雑誌ライターの主人公が一念発起して学生結婚した妻と離婚、脚本家として売り込みをかける一方、女優の卵やモデルなどにアタックしていくが…
相変わらずのウディ・アレンの世界です。今回は本人は出演せず、ケネス・ブラナーが主演しています。自らが監督したりして、シェークスピア物では定評がある、ブラナーが主演とは、意表をつくキャステイングなのですが、ウディ・アレンよろしくのちょっとどもりながらのセリフには大笑いです。心機一転、有名になるためだけに離婚を持ち出した彼のその後はうまく行かず空回りするばかりですが、一方的に離婚された形で教師をしていた妻の方が転職すると思いがけず注目されるような存在(セレブリティ)になるとは何とも皮肉な話です。相変わらず自虐的な笑いなのですが、テレビ局の内幕シーンやレオナルド・ディカプリオ演じる売れっ子俳優の乱行振りはさもありなんの感じも受けます。他にもウィノナ・ライダー等が出演。所々笑えるシーンもありますが、全体としてはバラバラの感もありちょっと弱い気もします。
評価 ☆☆☆1/2 (99/8/22)
バッファロー’66
原題 BUFFALO'66 (米/キネティック 113分 98年)
監督 ビンセント・ギャロ
出演 ビンセント・ギャロ クリスティーナ・リッチ
あくの強い脇役が多いヴィンセント・ギャロが脚本・監督・主演等を兼ねたした映画。刑務所を出たばかりの男が両親のところに電話して久しぶりに会おうとするが、はずみでついた嘘のため、妻を連れていかないといけない羽目になる。たまたま電話代を借りた女性を脅して妻の役をさせることにするが…というストーリー。タイトルは主人公の出生地と生年。
単館系で非常に流行っている映画ですが、情けない主人公です。刑務所に入っていたくせに立ち小便もできません。そのくせ女性や弟分に対してはすごく強がった行動もできるようです。冒頭は強引な話の進め方で馴染めないところもありますが、段々はまって行けるのは演出のせいでしようか。特に両親にあうところはなかなかとんでもない両親で主人公に同情できるところもあります。母親がアメフトのバッファロービルズの熱狂的ファンとい設定も効いています。彼が刑務所に入った理由も…。誘拐されるのが「アダムス・ファミリー」のクリスティーナ・リッチなのですが、すごい身体になっています。「I love ペッカー」の予告編ではそうでもないのですが…。ラストはありふれた展開かなと思っていたのですが、思わぬ展開で意外でした。インディーズみたいな造りですが、脇役でアン ジェリカ・ヒューストン、ロザンナ・アークエット、ミッキー・ローク、ジャン=マイケル・ヴィンセントなどが出ていて、音楽もイエスやキング・クリムゾン等が使われています。
評価 ☆☆☆1/2 (99/8/22)
運動靴と赤い金魚
原題 BACHEHAYE ASEMAN 「CHILDREN OF THE HEAVEN」 (イラン/エース・ピクチャーズ 88分 97年)
監督 マジッド・マジディ
出演 ファロク・ハシェミアン バハレ・セッデキ
99年のアカデミー賞外国語賞ノミネートされたイラン映画。主人公は小学生の兄妹。ある日兄が修理屋に持っていった帰りに妹の靴をなくしてしまう。兄妹の家庭には新しい靴を買う余裕がなく、親に言い出させないために兄妹は兄の靴を交代で使うことにする。ある日、地域の小学生マラソン大会の3位の賞品が運動靴であることを知った兄はその賞品目当てにマラソン大会に出場し、3位を目指すことにする。
各国で絶賛されている映画の様ですが、97年の福岡映画祭で「天使のような子どもたち」という題名で上映されています。(私は今回初見) ストーリーとしては特に特別のものもない平凡な子供が主人公の映画なのですが、カメラが子供の視点に立っていてすごく撮り方がうまいです。靴をなくした兄に文句いいながら授業が終わると靴の交換のため妹が一目散に学校を飛び出す風景、誰か自分の靴を履いているものがいないか、朝礼の時に他人の靴ばかり気にしているシーン、それでもやはり遅刻して先生に見つかったけれど言い訳できず涙を流す兄。「泥の河」を連想させるものもありますが、現在の日本が失っているものを思い出させる感じがします。私が子供の頃はまだ靴に穴があいていても、我慢して履いていたものです。出演者は例によってみんな素人のようですが、それも効果的。マラソンのシーンはやややりすぎかなぁと思われましたが、余分な説明がないラストも好感が持てました。今夏、最大のお勧め作品。
評価 ☆☆☆☆1/2 (99/8/14)
ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
原題 LOCK, STOCK & TWO SMOKING BARRELS (英/ソニー 108分 98年)
監督 ガイ・リッチー
出演 ジェイソン・フレミング デクスター・フレッチャー
英国でヒットし、昨年の東京国際映画祭で監督賞を取った作品。ロンドンの下町で暮らす4人組が、賭博で負けた50万ポンドの借金を返済するために、隣に住むギャングの部屋から偶然麻薬売人を襲撃する計画を聞きつけ、その奪った金を戴こうとする。意外とあっさり計画はあっさり成功するが、やがてばれて敵に囲まれることになってしまう。監督はこれが長編映画デビュー作となるガイ・リッチー。
相変わらずのイギリスもの。今回は失業どころかみんなろくなことしていません。インテリ校出身とかいいながら大麻の栽培などしているくらいです。ストーリーは受けがいいだけあって、冒頭からノリがいいです。登場人物がちょっと多いので、整理ができていない面がありますがまあ大体わかります。まあ、わからなくてもノリで勝負の映画でしょう。あまり説明していても流れが悪くなります。下町訛りだと思いますがセリフも小気味いい感じがします。結構銃が使われ、人がたくさん死にますが、そんなにどぎつくもなく、コメディっぽい仕上がりで楽しめます。ご都合主義的なところもあり、「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」が前にあるため不利な面がありますが、まあまあの出来ではないでしょうか。でも、絶賛するまでは行けませんでした。
しかし、若者大勢でかかったとしても父親役!のスティングにはかなわないようです。すごく存在感がありました。あと、目立っていたのは取立役の親子連れかな。単館系公開かなと思っていたら結構拡大公開になっています。大丈夫かな。それと後、邦題がまずいですね、原題のままだけれどチケット買うのにも一苦労で、これ下さいの世界です。観た者でさえうろ覚えなので他の人に説明の仕様もない。
評価 ☆☆☆☆ (99/8/14)
アイズ・ワイド・シャット
原題 EYES WIDE SHUT (ワーナー 159分 99年 SRD R-18)
監督 スタンリー・キューブリック
出演 トム・クルーズ ニコール・キッドマン
スタンリー・キューブリックの最後の作品。ニューヨークに住む内科医が、ある日妻から他の男に対するの密かな思いを聞く羽目になる。信頼していた彼女の言葉を聞いて彼は動転し、夜の街を当てもなくさまよい、ふとした成り行きで秘密の仮面パーティーに参加してしまう。
キューブリックは生前この作品が最高傑作であると言っていたようですが、どうでしょう。率直なところ私にとっては残念ながら今年一番の退屈な作品になってしまいました。冒頭のクリスマスパーティーの間延びした会話でイライラしてしまい。後半やや盛り上がったもののラストでやっぱり…という感想で、2時間40分が長く感じました。そもそも、題材が私がちょっと苦手とするものでした。ちょっとお互いの感情に隙間が空いた夫婦が三日間の出来事の後に元の鞘に戻るというパターンなので、結局は何もないのと同じではないかということです。こういう映画の場合、その間の出来事が面白かったり登場人物に感情移入できたらその辺も違和感ないのですが、この映画はそうでもなかったし…。内容を聞いた時はそんな予感もしたのですが、キューブリックだしやはり観てしまいました。
そういう意味で本編に対してこの映画は予告編がうまいです。当初は余分なシーンを露出させず夫婦のシーンを流してびっくりさせておいて、R-18指定と来ればなんとなくそそられます。私が観た時も女性の二人連れや夫婦などキューブリック通(失礼)ではないような観客が多かったです。本編ではそれほどのシーンもなくなーんだということですね。ただ、指定のおかげで仮面パーティーの場面でぼかしが入らなかったのは評価できます。
ということでこの映画、私には波長が合いませんでした。キューブリックファンやトム・クルーズ、ニコール・キッドマンのファンの方以外にはあまり勧めない映画です。初めてキューブリックの作品を見るなら他の作品の方を観た方ががいいでしょう。ただ、二人が実際にも夫婦なので、のぞき見的な面もありますね。その辺は監督も考慮済みでしょうが…。もちろんストーリー以外の映像や音楽、特にピアノの単音を繰り返し弾く場面は見応えがあります。また、主演の二人よりシドニー・ポラックが熱演していました。
評価 ☆☆1/2 (映像と音楽は☆☆☆☆) (99/8/13)
スターウォーズ エピソード1 ファントム・メナス THX
原題 THE STER WARS:EPISODE 1 THE PHANTOM MENACE (FOX 133分 99年 THX)
監督 ジョージ・ルーカス
出演 リーアム・ニーソン ユアン・マクレガー
同じ映画を何回も観るよりも数多く観る方が…と思っているので、同じ映画を何回も観ることはあまりしません。しかし、THXを体験するためにトリアス久山のヴァージンシネマズまで行って来ました。ヴァージンシネマズ自体で鑑賞するのも初めてです。
他のマイカルやAMCのシネコンはフロアに入る場所に係員がいてどのスクリーンに入るかは実質フリーの形を取っていますが、ここのヴァージンは各スクリーンの入り口のドアに上映前、係員が張り付いてチケットをチェックする様になっています。まあ、この方が不正が少ないでしょうね。プレミアスクリーンはスクリーンサイズが小さいという情報だったので、スクリーン1で観ました。しかし、マイカル戸畑の3番スクリーンよりも小さいのは残念です。全席指定で2000円ですが、客席の半分強しか埋まっていないのに全席指定とはやや矛盾を感じました。初めて観るTHXのオープニングクレジットに引き続き本編がスタート。話を聞くのと体験するのでは大違いです。かなり迫力が違う感じですね。重低音が腹にひびいてくる感じでいし、ドロイトなどの歩行音までよく認識できます。ただ、必要以上に音が大きすぎるのではないかという感じも受けました。それとなぜか時々スクリーンの真ん中に縦筋が出ていたのはマイナス点です。
前の感想は公開前だつたので、あまり書けませんでしたが、ちょっと内容にふれます。観ていない方は読まない方がいいかも…。
・ジャー・ジャー・ビンクス。設定上こういうキャラクターも必要でしようが、ややうっとうしいですね。実際のセリフより字幕上でのセリフの方が気持ち悪い感じです。歩き方なとが黒人っぽいので米国では人種差別ネタになっているようです。
・ナブーの深海での襲撃。グンガンに追い出された後、潜水艇でナブーに向かっている時、水中生物に2回ほど襲われるのですが、反撃シーンもなくここから逃れるパターンが2回とも同じで、全然芸がないです。
・ポットレースのシーン。ゲーム感覚でかなり楽しめるのは事実ですが、極端に言えば本筋とは関係ない話ですね。アナキンを連れて行く過程説明には必要なシーンではあるのですが、ちょっと長すぎる感じがしました。元ネタはベン・ハーでしょう。
・ラストクレジット。ジヤバ・ザ・ハットの配役が彼自身というのは笑えます。ちなみにジャー・ジャーやC3-POでも配役があるのに、ダース・シディアスの配役が載っていません…(謎)
評価 ☆☆☆☆ (99/8/12)
ホーホケキョ となりの山田くん (スタジオ・ジブリ/松竹 104分 99年)
監督 高畑 勲
声の出演 益岡 徹 朝丘 雪路
朝日新聞に連載中のいしいひさいち原作のマンガの映画化。ぐうたらな山田家の日常をエピソードの連続にした形で描いた作品。監督は「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」の高畑 勲。
ちょっと一口では批評し難い映画です。テレビのリモコンのシーンなど面白い話もあり、笑えない映画ではありません。背景を省略し水彩を用いる代わりに全ての画像をデジタル処理したため23億円というアニメ最高の制作費がかかったということです。なるほどと思える場面もありますが、よほどのファンでない限り「ふーん、これで」という感じを持つのではないてじょうか。私も朝日新聞を取っているので見ているのですが、この原作自体笑える日が少なく、彼の作品として面白いものと言えない気がします。この映画はさらに高畑監督の意向が強調され過ぎている感じがして、いしいひさいちの画からさらに遊離している感じがします。原作では私が一番面白くて待っている藤原先生のエピソードもはずされているし…。また、テーマからはずれて海に出たり、空を飛んだりするシーンが監督の主張のポイントだと思われますが、ちょっと私はそれからが長く感じられ飽きてしまいました。
寅さんなき後、こういう家族をテーマにした映画の継承も必要な気がしますが、23憶円の制作費の価値、1800円の鑑賞料の価値に対して自分たちの日常を見させられるのはどうかと問われれば、興味がある人以外の人にお勧めできる映画ではない気がします。テレビの「ちびまる子ちゃん」や「サザエさん」を見ていればそれでいいかなぁという気もするし。
ちょっと厳しく書いたけれどこの映画不入りのようです。ジブリはともかく、松竹が心配だなぁ。
評価 ☆☆☆ (99/8/1)
あの、夏の日 とんでろ じいちゃん (プライド・ワン=PSC/東映 123分 99年)
監督 大林 宣彦
出演 小林 桂樹 厚木 拓郎
「転校生」などの原作でもおなじみ山中恒の原作を映画化した「ふたり」「あした」に続く新・尾道三部作の第三作。東京に住んでいる小学生の男の子が、最近ボケたのではないかと言われる行動をとるようになったおじいちゃんを見張るため、夏休みに尾道に向かう。最初はおっかなびっくりだったおじいちゃんとの仲もうまくいくようになると、彼の行動や誰も知らない過去の秘密も分かってきた。
彼の作品は大体交互にいいのと悪いのがあるのですが、今回はどうでしょう。面白いといえば面白いですが、ちょっと乗りきれない所も感じました。しかし、大林作品らしい優しさは出ていたので、おおむね可かな。でも、なぜおじいさんがこの時に過去の思い出を確認しに行く必要があるのか、また孫である少年が一緒に行く必要があるのか、その辺の説明不足を感じ、若干無理も感じたのは事実です。しかし、もうちょっと考えてみると原作は児童文学で少年向けの話で、映画も子供向けの体裁は取っているが、その実は「永遠と一日」や「鉄道員」と同じく死を目前にした老人が、やり残したことや思い残したことを片付けていく老人向けのファンタジー映画という感じもします。
見飽きたはずの尾道・向島の風景は相変わらず美しく、小林桂樹、菅井きん等も好演だし、マドンナ役の勝野雅奈恵等も新鮮。最近、この手の描写は定番になりつつありますねぇ。この映画、尾道市制百周年記念映画とのことですが、こんな映画を記念として残せるのは羨ましい気がします。
評価 ☆☆☆☆ (99/7/25)
踊れトスカーナ!
原題 IL CICLONE (イタリア/ブエナビスタ 93分 96年)
監督 レオナルド・ピエラッチョーニ
出演 レオナルド・ピエラッチョーニ ロレーナ・フォルテーザ
イタリア・トスカーナ地方のある田舎町に、ある日スペインからフラメンコのダンサー達が公演にやってきた。彼女達と住民達、会計士をやっている主人公を巡る騒動やロマンスを描いたラブ・ストーリー。
評判はいいようですが、私にとっては絶賛すべき映画までには至りませんでした。でも、観ている間は結構楽しめてほのぼのとした作品ではあります。主演のレオナルド・ピエラッチョーニが脚本、監督を兼ねています。ラテン系で明るく性に対しても奔放な住民が出てきますが、それに対してちょっと奥手で平凡な主人公の職業が会計士というのがおかしいですね。現地でもこういうイメージの職業なのでしょうか。主人公の兄弟もかなりおかしいです。主人公以外の性格設定がうまく出来ていて、それに反して主人公を際だたせている感じです。
タイトルほどのダンスシーンが数多くはありませんが、広大なひまわり畑、「癇癪持ち」と書いたTシャツ、百武彗星等、小道具もうまく効いた作品でした。
評価 ☆☆☆1/2 (99/7/20)
サイモン・バーチ
原題 SIMON BIRCH (ハリウッド/ブエナビスタ 113分 98年 SDDS)
監督 マーク・スチーブン・ジョンソン
出演 ジョゼフ・マゼロ イアン・マイケル・スミス
ジョン・アーヴィングの原作の映画化。病気で身体が小さく五体不満足な少年サイモン・バーチと私生児の少年ジョーの心温まる友情と運命を、彼らを囲む家族や社会、信仰についても反映させながら、成長した私生児の少年が回顧する形で描いていくドラマ。
同じ原作者の映画に「ガープの世界」や「ホテル・ニュー・ハンプシャー」があって、いずれも私の好きなタイプの映画だったのですが、この映画もそうなりそうです。いずれも一般人でない人を主人公にすることによって、当たり前の社会を皮肉的に捉えているところもあるのですが、この映画も系譜的にとらえられます。また、冒頭からのカメラワークも考えられていて、映像は色々凝っています。ただ、全体がエピソードを綴った形になっていて、そのそれぞれのエピソードは結構面白く笑えるところもあるのですが、全体のストーリーとして見るとちょっと弱いかなぁという感じがします。ジョーの父親探しとサイモンの運命が後半のメインになるのですが、持って行き方にもうちょっと工夫が欲しかった気がします。
主人公の子役二人の演技もいいけれど、未婚の母親役アシュレー・ジャットがいいですねぇ。追いかけようかな? あと、ジム・キャリーが思いがけず出てくるので要注意。設定が60年代なのでその頃の音楽が多いけれど、ラストの曲はベイビーフェイスの曲でした。
評価 ☆☆☆☆ (99/7/20)
54 フィフティ★フォー
原題 54 (アスミック 101分 98年)
監督 マーク・クリストファー
出演 ライアン・フィリップ ネープ・キャンベル
70年代から80年代にかけて一世を風靡したニューヨークに実在していたディスコ、スタジオ54を舞台にしたドラマ。華やかな舞台に憧れたニュージャージーの青年を主人公にしてその繁栄と裏側を描いている。
最近、ネオディスコブームの様でジャミロクワイあたりもそんなサウンドでやつていますが、この映画は70年代のディスコを描いた物です。ある種の回顧物ですが、段々その舞台が自分が過ごしたリアルタイムに近づいた話が多くなっているのが恐いです(笑)
ストーリーは今ひとつな感じがします。主人公の青年がトントン拍子で出世してバーテン(黒服的な花形)になるのですが、最後にその世界の虚実性に嫌気して店を辞めようとした時に店自体も終焉を迎えてしまう話になっていて、いいとこ取りになってしまいます。ドリカム状態で居候させてもらう夫婦との関係や理由ももう一つ描けていないし…。オーナーを演じていたマイク・おバカ・マイヤーズが意外と好演していたし(ある意味では地かな?)、ライアン・フィリップも人気でるかも知れません。
評価 ☆☆☆1/2 (99/7/18)
交渉人
原題 THE NEGOTIATOR (ワーナー 139分 98年 DTS)
監督 F・ゲーリー・グレイ
出演 サミュエル・L・ジャクソン ケビン・スペイシー
人質事件で人質を無事に解放する交渉人役であるシカゴの腕利き刑事が、署内の横領事件に巻き込まれ、その事件を調べていた同僚を殺したのではないかという自らの嫌疑を晴らしていくサスペンスストーリー。
またしてもサミュエル・L・ジャクソンです。「レッド・バイオリン」や「スターウォーズ:エピソード1」にも出演し、目下絶好調のようです。競演はケビン・スペイシーで、アクションも少しはありますが、心理的なものや演技的なものが中心となった作品になっています。ちょっとタイプは違いますが、昨年公開された「L.A.コンフィデンシャル」みたいな感じですね。ラストも少し似た感じです。観た後で考えるとストーリーにご都合主義的なところもありますが、観ている間は十分楽しめる娯楽作としてお勧めできます。相変わらずのケビン・スペイシーの表情の変化の無さを観るだけでも価値があります(笑)
話は変わりますが、この映画の舞台がシカゴになっています。向こうの映画って製作会社があるニューヨークやロスばかりで撮らず、サンフランシスコやボストン等いろいろなところが舞台になっているところが評価できます。日本の映画で名古屋や福岡が始終舞台の映画なんか滅多にないですね。客の入りもいいようですが、もうすぐ公開が終わってしまうので、お見逃しなく。でも邦題が今ひとつですね。ちなみに原作はジョン・グリシャムではありません。また、ニーバウム役を演じたJ.T.ウォルシュはこの作品が遺作となっています。
評価 ☆☆☆☆ (99/7/17)
レッド・バイオリン
原題 THE RED VIOLIN (カナダ・イタリア/ギャガ 131分 98年)
監督 フランソワ・ジラール
出演 サミュエル・L・ジャクソン ジェイソン・フレミング
17世紀のイタリアの名工によつた作られたある一台の赤いバイオリンを巡る様々な出来事を4世紀、5ヶ国に渡ってオムニバス風にその運命が描かれていく。
評判はいいようですが、私はあまり買いません。このレッド・バイオリンが掛けられる現在のオークションのシーンを主軸に過去のエピソードを綴っていくという構成なのですが、そのつながりがあまり感じられないのです。と言うか、逆にそれぞれのエピソードの彫り込みが浅く、そんなに感銘を受ける話になっていない気がしました。どうせ大がかりな話にするのなら、もっとホラを吹いたドラマにしてもよかった気がします。一番よかったのは修道院の話と次々と弾き手が変わって時間の経過を示すシーンで、その他はグレタ・スカッキなどが出ているのにパッとしない話でした。一番わからないのは本筋のバイオリンを鑑定するサミュエル・L・ジャクソンの行動で、何かこういう結果になる理由が示されていましたっけ? さんざん引っ張った挙げ句の結末がこれではねぇ。
ただ、雰囲気としてはいい作品で、そこそこ楽しめるのは楽しめます。こういった文芸作品?に彼が主役になるとは大したものです。
評価 ☆☆☆1/2 (99/7/11)
ハムナプトラ 失われた砂漠の都
原題 THE MUMMY (ユニバーサル/UIP 125分 99年 DTS)
監督 スティーブン・ソマーズ
出演 ブレンダン・フレイザー レイチェル・ワイズ
1932年製作のホラー映画のリメイク。紀元前のエジプトで謀反のため極刑に処された僧侶のミイラを秘宝目当ての冒険家たちが目覚めさせてしまったため、様々な災いが降りかかってくる…。
元々は上記の様なホラー映画で原題も「ミイラ」という意味なのですが、「インディ・ジョーンズ」ノリのアクションアドベンチャーの作品になっています。全米でも予想外の高記録になった映画で、SFXの技術はスターウォーズ以上という話もあるくらいです。
結構オバカな映画で楽しめると評判ですが、私は今ひとつ乗れませんでした。「インディ・ジョーンズ」というよりは「ロマンシング・ストーン」に近いノリなのですが、あそこまでお気楽でもなく中途半端な感じがしました。ギャグ映画ではないのですが、途中のギャグが地味な感じで、かと言ってシリアスなホラーでもないのです。ラストのミイラ相手のアクションはかなり楽しめたのですが…。
評価 ☆☆☆1/2 (99/7/10)
メイド・イン・ホンコン
原題 香港製造 (香港/東光徳間=ツイン 108分 97年)
監督 フルーツ・チャン
出演 サム・リー ネイキー・イム
香港の下町に住んでいて取立屋をやっている少年と家族、彼の弟分、取立に行った先の娘等を取り巻く閉塞感と孤独でやるせない運命を描いたドラマ
冒頭はやや緩慢で映像もちょっとくたびれた感じで、単なる不良少年の話で観るのが失敗だったかなぁというイメージだったのですが、後半への展開になってかなり面白く観られました。私はちよっとツボにはまりましたが、この映画は好き嫌いが別れるでしょう。
障害気味の弟分が拾った自殺した女子高生の遺書と取立先の娘の病気がキーワードになるのですが、この辺の展開がうまいです。遺書とのつながりがうまく分からずイライラさせられるところもありましたが、これを払拭する墓地のシーン。自殺に対して肯定的に描かれている点が疑問ですが、最後のラジオのアナウンスには思わず拍手してしまいそうでした。うまい!
評価 ☆☆☆☆ (99/7/4)
スターウォーズ エピソード1 ファントム・メナス
原題 THE STER WARS:EPISODE 1 THE PHANTOM MENACE (FOX 133分 99年 EX)
監督 ジョージ・ルーカス
出演 リーアム・ニーソン ユアン・マクレガー
御大ジョージ・ルーカスが22年振りに自らメガホンを取ったスターウォーズの新作。前三作を遡ること30年ほど前、ある平和な惑星を利用しようとして侵略する通商連合とそれを阻止しようとする惑星の若き女王とジェダイの騎士の戦い。その中での子供だった頃の悪役ダースベイダーと出会いといったエピソード。
公開前ですので詳しくは書きませんが、やはり見るべき映画でしょう。はっきり言ってストーリーはいつもの繰り返しみたいなものです。よく考えると不合理な面もあります。しかし、この映画はそんなことを言う映画ではないでしょう。楽しめばよいのです。遊園地のローラーコースターみたいなもので、一緒にキャアキャア言って楽しめばいいでしょう。
キャストの方ですが、意外に見えるリーアム・ニーソンとユアン・マクレガーが結構はまっていました。
CGはこれはすごいと思わせるものはないのですが、やはりこれだけ物量でこられるとなかなかのものです。音響のほうはまあまあかなぁ。
ワーナーマイカル戸畑での先々行ナイトで、キャパ500席ほどのスクリーン3観ました。混み方はほぼ一杯ながら満席ではありませんでした。しかし、スクリーンやイスに余裕があるだけ見やすいです。ドルビーサラウンドEX導入と言っていたのですが、それほどの驚きはありませんでした。後ろのセンターのスピーカーが作動しているかどうか確認すればよかったかも…。公開後にはヴァージントリアス久山のTHXもチャレンジしてみます。
評価 ☆☆☆☆ (99/6/27)
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