UPDATED 2000/7/4

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

近作の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

どれを見ますか
[2000年後半公開の作品の感想] [99年後半公開の作品の感想]

最近封切りの作品の感想のページです
上から新しい順です
どれを見ますか

  ball1[マン・オン・ザ・ムーン]
  ball1[親指タイタニック]
  ball1[親指スター・ウォーズ]
  ball1[インサイダー]
  ball1[エニイ・ギブン・サンデー]
  ball1[サマー・オブ・サム]
  ball1[ミッション・トゥ・マーズ]
  ball1[どら平太]
  ball1[ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ]
  ball1[MONDAY]
  ball1[シャンドライの恋]
  ball1[オール・アバウト・マイ・マザー]
  ball1[アイアン・ジャイアント]
  ball1[アメリカン・ビューティー]
  ball1[はつ恋]
  ball1[ヒマラヤ杉に降る雪]
  ball1[グリーンマイル]
  ball1[スリー・キングス]
  ball1[シュリ (2回目)]
  ball1[ストレイト・ストーリー]
  ball1[救命士]
  ball1[ノイズ]
  ball1[ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ]
  ball1[風が吹くまま]
  ball1[トイ・ストーリー2]
  ball1[スリーピー・ホロウ]
  ball1[アンナと王様]
  ball1[M/OTHER]
  ball1[マグノリア]
  ball1[橋の上の娘]
  ball1[ワールド・イズ・ノット・イナフ]
  ball1[豚の報い]
  ball1[ナビィの恋]
  ball1[シュリ]
  ball1[雨あがる]
  ball1[エイミー]
  ball1[シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦]
  ball1[ジャンヌ・ダルク]
  ball1[200本のたばこ]
  ball1[ゴースト・ドッグ]
  ball1[ブレア・ウィッチ・プロジェクト]
  ball1[御法度]
  ball1[海の上のピアニスト]
  ball1[ターザン]
  ball1[ファイト・クラブ]


ball1マン・オン・ザ・ムーン
原題 MAN ON THE MOON  (米ユニバーサル/東宝東和 119分 99年 DRS)
監督 ミロシュ・フォアマン
出演 ジム・キャリー コートニー・ラブ
 小さい頃からTVショーの真似が好きだったアンディは、各地のクラブをまわりながら次第にコメディアンとしての才能を発揮するようになった。そして、ある日その姿がハリウッドの有名なマネージャーの目に留まり、TV進出を果たすが・・・。監督はミロシュ・フォアマンで、スタッフも前作の「ラリーフリント」と同じようです。

 描かれているアンデイ・カウフマンというのは実在のコメディアンで「サタデーナイトライブ」などに出ていました。1984年に早逝した彼の半生を描く作品になっています。ジム・キャリーが彼を演じているのですが、映画の最初から笑わせてくれます。冒頭にこういう引っかけをつけた映画は久しぶりのような気がします。ギャグも出だしの頃はいいのですが、段々やらせを二重、三重に張り巡らせた演出過多の作戦になってくると、何の為にそうまでして笑わせているのかむなしい気がしてきます。ジム・キャリーはアンディになりきっているようでかなりの演技なのですが、どうもアンディの生き様が私には捕まえきれなかったのが残念です。日本人にはちょっと無理なのでしょうか。題名はR.E.M.のアルバムに入っていた曲で私もよく聞いていた曲から来ています。マイケル・スタンプはアンディのファンだっということで、サントラにも彼らの曲が多く使われています。


 評価 ☆☆☆1/2  (00/6/23)



ball1親指タイタニック
原題 THUMBTANIC  (米/K2エンタテインメント 26分 99年 DRS)
監督 スティーブ・オーデカーク
出演 スティーブ・オーデカークの親指 マリー・ジョー・ケフナンの親指
 親指で描くタイタニックのパロディ版。

 親指タイタニックのヒットによって製作された親指シリーズ第二弾。主人公二人の顔はよく似ていて笑えますが、話の方は今一つ盛り上がりません。パロディのし甲斐がなかったと言うことかな? 上映の際はこちらの作品が先にあるのですが、それがいいのか悪いのか… 。後の方がいいと思います。(笑)


  ☆☆1/2  (00/6/20)



ball1親指スター・ウォーズ
原題 THUMB WARS  (米/K2エンタテインメント 28分 99年 DRS)
監督 スティーブ・オーデカーク
出演 スティーブ・オーデカークの親指 アンドレア・フィアーズの親指
 「エピソード1」公開前夜、米国でテレビで放映されてバカ受けした作品。元ネタを知っていると余計楽しめます。監督は「ジム・キャリーのエースにおまかせ!/エース・ベンチュラ2」のスティーブ・オーデカーク。

 言わずと知れたスター・ウォーズの一作目のパロディなのですが、演じるのが全部親指になっています。登場人物のみならず、デススターやXウィングも指がモチーフになっている徹底ぶりです。おまけに足の指まで出てきます。いゃあ、その徹底振りにお笑いです。もともとがテレビ向けだけにブロウアップされたクレジットなどはかなり見づらいです。


 評価 ☆☆☆1/2  (00/6/20)



ball1インサイダー
原題 THE INSIDER  (米ワーナー/東宝東和 158分 99年 DRS)
監督 マイケル・マン
出演 アル・パチーノ  ラッセル・クロウ
 アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞などにノミネートされなが ら、「アメリカン・ビューティー」に独占され、ノミネートので終わった社会派作品。ある番組のプロデューサーの元に届けられたタバコ会社の極秘書類。その内容を説明するために出演を依頼したタバコ会社の元副社長が、タバコに含まれる有害成分の内容について告発することを決意する。出演は、ラッセル・クロウ、アル・パチーノ。監督は「ヒート』」でもパチーノと組んだマイケル・マン。

 実話に基づく作品です。番組はCBSの「60ミニッツ」です。日本でも「CBSドキュメント」という題名で放映されていますね。このモデルになった番組も95年に放映されたものだそうです。こういったつい最近の出来事を実在の社名や人名を使いながら描いた映画が作れるというのはスゴイことですね。日本ではまず考えられません。向こうでもタバコ会社の妨害があったようですが、それでも製作、公開にこぎつけているというのは、さすが、「報道の自由」「言論の自由」の国だと感服させられます。内容的にはどうこう言うのもどうかと思うし、どこまでが事実でどこからが脚色か分かりませんが、ちょっと長尺な映画なので展開にイライラさせられる点があります。映画としてはもうちょっと工夫が欲しかった気もします。


 評価 ☆☆☆☆  (00/6/18)



ball1エニイ・ギブン・サンデー
原題 ANY GIVEN SUNDAY  (米タッチストーン/ヘラルド 151分 99年 SDDS)
監督 オリバー・ストーン
出演 アル・パチーノ  キャメロン・ディアス
 「JFK」、「プラトーン」などの社会派、オリバー・ストーン監督の新作。アル・パチーノ演じるコーチが率いるマイアミが本拠地のアメリカン・フットボールチームは、調子が良くない。彼は、商業主義最優先の若き女性オーナーとも衝突している。主戦QBのけがのために急遽出場させた無名の新人選手が思わぬ快進撃の元になる。だが、彼の存在は次第にチームワークを壊していくことになる…。

 オリバー・ストーンがPR来日して、藤原紀香にデレデレしていた作品。 相変わらずの社会派ドラマかと思いきや、意外とまともなスポーツ映画に収まってしまっている感じがします。観た後も、だから何なの?と言った感じも受けます。とは言え、試合のシーンの迫力やアル・パチーノ扮するコーチの演説?と言った描写には一日の長がある気がします。うーむ。ああやって気分を鼓舞させるんですねぇ。管理職、必見のシーンです(笑) しかし、いくらリアリティを求めても、ロッカーシーン辺りはともかく、目玉オヤジまで出すことはないでしょう。キャメロン・ディアスの役柄もどうでしょうかね。しかし、彼女にコーチがラストで一泡ふかせたのは笑えました。他にデニス・クエイドやジェームズ・ウッズ、チャールトン・ヘストン「会長」が出演。


 評価 ☆☆☆☆  (00/6/18)



ball1サマー・オブ・サム
原題 SUMMER OF SAM  (米タッチストーン/ブエナビスタ 142分 99年 DRS)
監督 スパイク・リー
出演 ジョン・レグイザモ  エイドリアン・ブロディ
 1977年の夏、ニューヨークのブロンクス。サムの息子と呼ばれる男の連続殺人に住民が怯える中、ディスコ通いをしているある青年が惨殺死体を目撃してしまう。彼は犯人に姿を見られたのではという被害妄想に取り憑かれてしまい、パンクロッカーになろうとしている彼の友人は、犯人ではないかと他の仲間から疑われ次第に仲間たちから孤立していってしまう。監督はデミオに乗っている?スパイク・リー。

 ここ何本かは見逃しているのですが、ちょっと今までのリー監督作品と違った設定だと思います。時代が70年代まで遡っているし、舞台や登場人物もアフリカ系ではなくイタリア系が住んでいるブロンクスが主になっています。ディスコミュージックなども多く使われていて去年公開されていた「54 フィフティ★フォー」に似た感じです。実際、スタジオ54も出て来るし…しかし、描かれている内容は彼の作品に一貫して流れているものが感じられます。人種や価値観、宗教観等々色々なものに対する微妙な感覚のずれが、友情や家族への愛情をどんどん歪ませていってしまっています。これは現在の事件にも通じるものがありますね。拝啓となっている連続殺人事件はあくまでも背景となっていて主人公たちと直接の繋がりはそんなにはないのですが、何となく考えさせられるものはあります。でも、全体通しての印象は殺人シーンほどのインパクトがありませんでした。だらしない主人公の奥さんが美形のミラ・ソルヴィーノというのが、ちょっとやりすぎで、オイオイこんな旦那と一緒になるかよっと言った感じです。スパイク・リー自身がニュースレポーター役で出ているのですが、これがまた似合っていなくて笑えました。


 評価 ☆☆☆1/2  (00/6/10)



ball1ミッション・トゥ・マーズ
原題 MISSION TO MARS  (米タッチストーン/ブエナビスタ 114分 2000年 DRS)
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 ゲイリー・シニーズ  ティム・ロビンス
 西暦2020年、人類初の有人火星探査機が火星を探索中に連絡が途切れ消息不明になった。クルー4人の内一人は生存している可能性があるため、一緒に訓練を受けたメンバーが2号機を使って救出に向かうが…。監督はブライアン・デ・パルマ。

 作りは真っ当なSF映画で「アポロ13」や「2001年宇宙の旅」を連想させます。(何と「ハムナプトラ」も入っています) 監督は「Mi2」の話を蹴飛ばしたという噂のブライアン・デ・パルマなのですが、冒頭のシーンの長回しや宇宙船の外観から窓を通して内部にワンショットで展開するシーンなどで彼らしさが窺えます。中でも無重力ダンスシーンがある宇宙船内のシーンはそこそこの見応えがあります。しかし、ストーリーの方は今一つですね。最初の事故の生死の分かれ方も今一つわかりづらかったし、その後の事故の起こり方も工夫がない、というかちょっとオバカモード。ティム・ロビンスもあまり意味のない死に方だしなあ…人面岩やラストの火星人に至ってはオイオイという感じで引いてしまいました。この辺りは「マーズ・アタック」の方がまだ潔かったです。でもまあこれが実は「アポロ13」の続編で、クルーをはずされたゲーリー・シニーズが、この作品でも火星の一番乗りも逃してしまってしまい、そのリベンジの話だったということだったら、面白いかも知れません(笑)。もっとどうかした脚本はなかったのかな? うむむ。それにしても残念


 評価 ☆☆☆1/2  (00/6/4)



ball1どら平太
   (東宝 111分 2000年 ドルビー)
監督 市川 崑
出演 役所 広司  浅野 ゆう子
 犯罪の温床となっている壕外と呼ばれる一画を抱える、ある小藩。その町奉行に新しく江戸詰めから新しい男が着任することになった。彼は放蕩者であまり良い評判がない上に何日経っても奉行所にも一向に顔を出さない…。山本周五郎の原作を、黒澤明、木下恵介、小林正樹、市川崑の4人が共同で脚本を執筆していた作品をようやく市川崑が監督した作品。

 なかなか痛快で楽しめる作品です。まあ水戸黄門の様によくある勧善懲悪の時代劇と言えばそれまでですが、役所広司がカッコよいです。この人、最近何をやってもはまっていますが、顔がやや大きいだけあって時代劇も似合っている感じです。コンビを組む感じの片岡鶴太郎や悪役の石倉三郎あたりもいいですね。浅野ゆう子や菅原文太はちょっと違和感がありましたが、本田博太郎などの脇役を含め、キャスティングが練られています。悪役と家老との結びつきや宇崎竜童の役回りやが割と安直だったのがちょっとマイナスでしたが、市川監督、健在という感じですね。まだまだ頑張って欲しいものです。


 評価 ☆☆☆☆  (00/6/4)



=ball1ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
原題 BUENA VISTA SOCIAL CLUB   (ドイツ・米国・フランス・キューバ/日活・バップ 105分 99年)
監督 ヴィム・ヴェンダース
出演 コンパイ・セグンド  イブライム・フェレール
 ライ・クーダーの企画によってキューバ音楽の大御所達が集結し、世界中で大ヒットとなったアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。そのライブやレコーディングの風景を中心に、参加したミュージシャン達をとらえた音楽ドキュメンタリー。監督は「パリ、テキサス」「ベルリン 天使の詩」のヴィム・ヴェンダース。

 私の好きなミュージシャンであるライ・クーダーが絡みヴェンダースが監督していると聞けば見に行かざるを得ません。そういう贔屓目はあるにしろとてもいい感じにできた作品になっています。現地のキューバでもやや忘れられた存在になっていた92才のギタリストや72才のボーカリスト等々、一人ずつにスポットライトを当てつつ、人生を語ると言った構成になっていますが、それぞれの人生に音楽が生きていてとても説得力があるものになっています。あの年齢でよくあれだけ演奏できるものです。至上の感動とまではいかないものの感じるものは多々ありました。レコーディングのシーンとライブのシーンとの繋がりもうまく自然でした。バックに回ったはずのライ・クーダーのボトルネックがちょっとうるさ過ぎて邪魔ぽかったのが残念。7月にこの中の何人かが来日してライブをしますが、見に行く予定にしてるので楽しみです。ところで、ハバナっていつもあんなに波が高いのでしょうか。ほとんど高潮ですね。


 評価 ☆☆☆☆  (00/5/28)



ball1MONDAY
   (シネカノン 100分 99年)
監督 SABU
出演 堤 真一  松雪泰子
 「弾丸ランナー」、「ポストマン・ブルース」、「アンラッキー・モンキー」で人気のSABUの新作。ある朝ホテルのベッドで目覚めた主人公は、自分がなぜそこにいるのかまったく覚えていない。周囲には酒瓶が転がりひどく酔っぱらった気がするのなのだが、その子細をまったく記憶していない。彼はポケットに入っていた塩やマッチから、少しずつ記憶をたどりはじめる……。

 平凡な主人公がいつしか事件に巻き込まれていく…というのがサブ監督作品の常套ですが、今回の作品は前作などと違い主人公が走ることなく進んで行きます。前半はなかなかいいです。主人公がお通夜に出たことを思い出すのですが、ここの描写がとても面白いです。ちゃんとしたシチュエーションドラマになっています。ところが、それに続くスナックのシーンあたりから段々ダレてきてトーンダウンしていってます。ラストの二段落ち?に至っては私の理解力がなかったのか、それはないだろうという落ちになっています。走っていないせいばかりではないでしょうが、従来の作品に比べての疾走感がなくちょっと監督の意図がわからないような作品になってしまった気がして残念です。ただ、主人公の気持ちは一部では分かるところもありますし、ヘンリー・マッケンナなどバーボンばかり飲んでいた所は買いです。出演者は野田秀樹を始め結構豪華でこちらはなかなか楽しめます。


 評価 ☆☆☆1/2  (00/5/27)



ball1シャンドライの恋
原題 L'ASSEDIO   (イタリア/アミューズ 94分 99年 SRD)
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
出演 サンディ・ニュートン  デヴィッド・シューリス
 アフリカの某国で政治犯として夫を逮捕され投獄されてしまった女性が、一人医学を学ぶためにに来たローマで住み込み家政婦として裕福な英国人作曲家の屋敷に住み込みの家政婦として働き始める…。「ラスト・エンペラー」「リトル・ブッダ」のベルナルド・ベルトルッチが低予算で撮った恋愛映画。

 観ていて思わずうまい、と言いたくなる様な映画です。そんなに大仕掛けでもなくストーリーも大げさな作品ではないのですが、さすがベルトルッチと言った感じです。ローマのスペイン階段のすぐ横にある屋敷でのロケとのことですが、螺旋階段やエレベーターといった設定がとても効果的です。また、主人公が聞いているサリフ・ケイタなどのアフリカン・ミュージックと音楽家のクラシックの絡み具合もいいし、主人公が掃除したり音楽家がピアノを動かすと言ったなにげないシーンも凝ったカメラワークで見せてくれます。セリフがとても少なく、いかにも見せる映画と言った感じですが、十分観客を満足させてくれる作品になっています。しかし、主人公の心の動きの機微は今一つわかりませんでしたが…。主人公の名前がシャンドライ、というのですが、内容がみえてしまって身も蓋もない邦題ですね。 英題はBESIEGEDですから包囲されて…かな?


 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/5/5)



ball1オール・アバウト・マイ・マザー
原題 ALL ABOUT MY MOTHER   (スペイン/ギャガ=東京テアトル 101分 99年)
監督 ペドロ・アルモドバル
出演 セシリア・ロス  マリサ・パレデス
  息子を女手一つで育てたある女性が、ある日息子から自分の父親について尋ねられる。長い間隠していた秘密を話そうとした決心したその日、息子は交通事故で死んでしまう。失意の彼女は、別れた夫を捜すため昔いたバルセロナに戻って行くが、その旅は自分の過去を辿る旅になる…。今年度アカデミー賞最優秀外国語作品賞他、数々の賞を取った作品

 面白い作品です。この監督は「アタメ」「ハイヒール」などの作品が好評だったのですが、私は初めて見ました。予告編での作品イメージと違いましたが、登場人物が皆おかしくて個性的です。また、映像感覚も面白く、劇場の外壁の絵、息子が車にはねられるシーン、列車がトンネルの中を走るシーン等斬新な感じがします。基本的に「赤」がベースなのですが、時折見せる「青」も強烈に印象に残ります。シリアスな映画と思いきや笑えるシーンも多く、お勧めの一本です。連休中とは言えAMCなかまのレイトショーで客席が半分以上埋まっていたのはビックリでした。スクリーン間違えたかと思いました。まだまだ捨てたものではないな。


 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/5/5)



ball1アイアン・ジャイアント(日本語吹替版)
原題 THE IRON GIANT   (米/ワーナー 86分 99年 SRD)
監督 ブラッド・バード
声の出演 進藤 一宏  郷里 大輔
 1957年、米ソ冷戦時代のさ中、人類初の人工衛星ソ連のスプートニクが打ち上げられた。その頃、メイン州の沖合に宇宙から謎の物体が墜落した。それは身長数十メートルの巨大ロボットだったのだが目撃者の話は誰も信じない。森の中に隠れていたロボットを発見したのは、近所に住むある少年だった。

 ラストのクレジット(何故かスタッフ等の仕事名が日本語、名前は英語。吹き替え版ってほとんど観ないのですがいつもこうなのかな?)を観ていて気が付いたのですが、製作総指揮がピート・タウンゼントなのですね。「ザ・フー」のギタリストです。そう言えば以前こういうのをミュージカルでやっているのを聞いたことがありました。でも、映画の音楽はマイケル・ケーメンです。
この映画、日本ではワーナーマイカル系のシネコンでしか公開されない映画ですが、ある一定の年齢以上の観客は涙なくして観られないという評判の映画です。えーと、例えが悪いかも知れませんが「鉄人28号」や「E.T.」、「となりのトトロ」などをごちゃ混ぜにした様な映画です。ラストは「ガメラ3」か(笑)。悪い作品ではないのですが、私はそれほど感動しきれませんでした。その理由としては主人公の少年と悪役の政府職員のキャラクターがちょっと強すぎてうっとうしいことです。それだけロボットのキャラクター(これが実はなかなかのキャラ!)が目立たなくなってしまい、逆効果になってしまっています。絵としてはディズニーなどに比べれば薄っぺらに見えるアニメですが、終盤の盛り上がりはそこそこのものがあります。


 評価 ☆☆☆☆  (00/5/5)



ball1アメリカン・ビューティー
原題 AMERICAN BEAUTY   (米ドリームワークス/UIP 122分 99年 SRD)
監督 サム・メンデス
出演 ケビン・スペイシー  アネット・ベニング
 今年度のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞、撮影賞といった主要部門をほぼ総なめにした作品。郊外の住宅地に一戸建てのマイホームを持ったある幸せそうな三人家族。しかしその家の主人は、会社ではリストラの対象となっている上、妻や娘との仲も冷え切り、人生に何の生き甲斐も見いだせないでいた。そんなある日、彼は娘の同級生に出会い、セクシーな彼女に魅せられた男は、彼女の気を引くために、様々な行動をとるようになる。

 なかなか面白い作品です。下手すると陰湿なドラマになりそうな題材ですが、コメディ仕立てで笑える場面が結構あります。この辺が脚本のうまさで斬新さも窺えます。本人の回想形式の仕立てもこの作品の場合効果的な感じです。キャストの方も主役のケビン・スペイシーが怪演。こんなに情けない主演男優賞もなかなかないでしょう。今まで評価したことがなかったのですが、アネット・ベニングのキレ方の巧さ(それでも主演女優賞を取れないところは、さすが(笑))。可愛くない娘役のソーラ・バーチ、カワイイ悪魔、ミーナ・スバーリとなかなかのキャストです。隣家との対比が極端でその描き方が類型的な感じもしなくはないのですが、ラストの落とし方もまずまず。万人向けではないけれど、それなりに楽しめる作品でしょう。


 評価 ☆☆☆☆  (00/4/29)


ball1はつ恋
   (東映 115分 99年)
監督 篠原 哲雄
出演 田中 麗奈  原田 美枝子
 病に倒れた母親のオルゴールから古いラブレターを発見した娘が、彼女の初恋の相手を捜し出し母親に会わせようとするが…

 「月とキャベツ」や「洗濯機は俺にまかせろ!」が評判の篠原哲雄監督の新作ですが、私は初見です。しかし、今回それほどの感慨はうけませんでした。最近、この手の作品が割と多く観ているせいもあるのですが、そんなに目新しさがないオーソドックスな内容で演出も凡庸な気がするのです。主人公が予備校生という設定もありますが、何故母親の初恋相手を捜そうという気になったのか、また探し出された男性(これが真田広之だから様になるのであって父親役の平田満と役柄が逆だったら面白くも何ともない(笑))が何故その要望に応じて母親に会おうとしているのかその辺の説明がないのです。母親のためというよりも自分が彼を気に入った上でのゲーム的な行動の様な気がします。このままじゃ父親が救われないなぁと思っていただけに終盤の作りには一応納得しました。着眼はよく楽しめない作品ではないのですが、引っかかる点が多くてどうも泣ける映画にはなりませんでした。田中麗奈のせいではなく、原田美枝子もよかったのですがねぇ…、脚本のせいかな?。まだ「秘密」や「LOVE LETTER」の方が泣けますね。しかし、原田美枝子が田中麗奈の母親役とは私も歳をとったものです(爆)


 評価 ☆☆☆1/2  (00/4/23)


ball1ヒマラヤ杉に降る雪
原題 SNOW FALLING ON CEDARS   (米ユニヴァーサル/UIP 128分 99年 SRD)
監督 スコット・ヒックス
出演 イーサン・ホーク  工藤 夕貴
 ワシントン州の小さな島で一人の漁民の死体が見つかり、彼と土地を巡るトラブルがあった地元の日本人漁民が容疑者として逮捕される。彼の妻と事件を取材する地元新聞の記者は幼なじみであったが、戦争によって2人の仲は引き裂かれていた。
 以前、当掲示板でも話題になっていた工藤 夕貴、ハリウッドメジャー進出の作品。役柄のせいでセリフは少な目ですが、まずまずの演技ではないでしょうか。向こうの人から見たステレオタイプである日本人である気がしますが…。それに対して相手役のイーサン・ホークってまあ美形ではあるけれど、どの作品を観ても全然演技になっていない気がしますがどんなものでしょう。それに比べて子役の二人がよかったですね。鈴木杏の方が期待が持てます。あと、父親役のサム・シェパードが相変わらずカッコいいです。まあ彼を目当てに行ったようなものですが…。他もまたしてもジェームズ・クロムウェルが出ていて、久々マックス・フォン・シドーも健在でした。

 内容としてもまあまあですが、不満もあります。ただ、第二次大戦前後という時代背景からしたらやむを得ないのでしょうが、工藤夕貴の母親役や夫役の言動、行動がちょっと疑問です。全然土地に馴染もうとしていない気がします。英語が話せないならともかく自分は流暢に英語を話しているのに白人とつき合うななどと言うのはどうかと思います。何のために移民したのでしょう。こういう国民性は現在まで続いていて、向こうの人に今も表情が読めないなどと思われ続けているのでしょうね。それに加え主人公たちの心情の変化もよく分からないのが残念でした。


 評価 ☆☆☆1/2  (00/4/16)


ball1グリーンマイル
原題 GREEN MILE   (米キャッスルロック/ギャガ=ヒューマックス 188分 99年 SRD)
監督 フランク・ダラボン
出演 トム・ハンクス  マイケル・クラーク・ダンカン
 「ショーシャンクの空に」と同じコンビ、原作がスティーブン・キング、監督がフランク・ダラボンの新作。大恐慌時代の刑務所に、主任として勤める男の元に少女殺害によって死刑を宣告されたコーフィという大男の黒人の囚人が送り込まれた。ところがこの男には不思議な力があり、主人公の病気をたちどころに治してしまう。

 3時間以上の長尺ですが、なるほどそれだけの観るだけの価値がある作品だとは思います。しかし、丁寧にことの経緯が描かれていますが、そこまでしなくても良かった気がします。話の内容は途中で読めてしまっているからです。逆にラストはちょっと蛇足な気がしてない方がいいですね。あれを付けた結果おとぎ話っぽさが薄れ、現実感がありすぎる結果になった気がします。ただ、ストーリーはともかく、キャストの演技だけでも観る価値はあります。トム・ハンクスやマイケル・クラーク・ダンカンはともかく同僚のデヴィッド・モースがいいですね。気に入りました。あとサム・ロックウェルというのもゲイリー・オールドマンっぽくてよかったです。またまたハリー・ディーン・スタントンももったいない役で出ていたし…、ゲーリー・シニーズまで出ていました。「トップハット」の使われ方も効果的。

 マイカルシネマ戸畑で3番スクリーンでTHXの設備が付いた後、初めて観たのですが、普通のドルビーデジタルの作品でした。まあ、そういう映画ですね。(笑)。
 評価 ☆☆☆☆  (00/4/9)


ball1スリー・キングス
原題 THREE KINGS   (米国/ワーナー 115分 99年 DTS)
監督 デイビッド・O・ラッセル
出演 ジョージ・クルーニー  アイス・キューブ
 湾岸戦争時に参加した多国籍軍の兵士たちが、ある捕虜が持っていた1枚の地図を発見。そこにはイラク軍がクウェートから運び出した、膨大な金塊の隠し場所が記されていた。地図を頼りに金塊は手に入れたものの、4人の兵士はイラク軍と反フセイン派ゲリラの争いに巻き込まれてしまう。

 一風変わった戦争映画ということで評判の映画です。なるほどそんなに深刻な反戦映画でもなく、ただのおバカな冒険映画でもありません。職業軍人ではなく、元々他の仕事をしていた徴兵という設定が効いていて、はるばるイラクまで行って戦争をしている虚しさやショーアップされた報道のいい加減さを描かれています。米国人にはわかる話なのでしょうが、敵味方の関係が日本人にはわかりにくいところもあります。わざとザラザラとした質感にしているところや映像の感覚は割と面白いのですが、ストーリーがちょっと後半尻すぼみです。脱出がすんなり行き過ぎているし、兵士の一人が亡くなるタイミングもちょっと疑問です(ある意味では殺さなくてもよかったかも…)。シリアスな所とコメディっぽい所の兼ね合いが中途半端になってしまった気がします。ポイントはいいところをついているのですが、ちょっと語りすぎの感もあり。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/4/9)


ball1シュリ (2回目)
 (韓国/シネカノン=アミューズ 124分 99年)
監督 カン・ジェギュ
出演 ハン・ソッキュ  キム・ユンジン
 
 「ストレイト・ストーリー」と二本立てになっていたので、二度目の鑑賞でした。私はあまり同じ映画を二回観ないのですが、この映画はそう言った意味で鑑賞に耐えうる作品と言えます。おかげで前に観たときに見落としていたこともつかめました。ただ、ホールから調理場にかけての銃撃戦はやはりちょっと疑問でした。銃弾の量の多さと外側の警備体制の弱さです。

 しかし、やはり「ストレイト・ストーリー」の一本立てロードショーは無理がありました。いい映画ではありますが、やはり単館向けの映画じゃないかなぁ…。小倉ではもう上映終わってしまいました。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/4/8)


ball1ストレイト・ストーリー
原題 THE STRAIGHT STORY  (米/コムストック 111分 99年)
監督 デヴィッド・リンチ
出演 リチャード・ファーンズワース  シシー・スペイセク
 「ブルー・ベルベット」「ツイン・ピークス」等で独特の世界を作り上げているデヴィッド・リンチの新作。自分の身体も弱くなってしまった老人が、喧嘩別れして10年以上顔を合わせていなかった兄が倒れたことを知り、芝刈り用のトラクターに乗って560キロ以上離れた町まで時速8キロ位のスピードで旅をするロードムービー。主演のリチャード・ファーンズワースは今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

 主人公の姓でもあるのですが、題名通り非常にストレイトなストーリーです。大きい意味では何も起きない話です。しかし、主人公の行く手には様々なことが起きます。道中で会う人とのやりとりがいいですね。妊娠したことを誰にも言えずに家出した若い女性、老人と同じく戦争体験者である老人等。それ以上の展開があるのかな?と思わせておいてそれ以上はありません。冒頭のシーンや鹿をはねる所などはリンチっぽいのですが、それ以外もなかなかの演出です。ハリー・ディーン・スタントンが兄弟役とはちょっと違和感がありますが、久々に姿を見れました。吃音の娘役、シシー・「キャリー」・スペイセクもいい感じです。

 評価 ☆☆☆☆  (00/4/8)


ball1救命士
原題 BRINGING OUT THE DEAD  (米/ブエナ・ビスタ 121分 99年 SRD) 
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ニコラス・ケイジ  パトリシア・アークエット
 巨匠マーティン・スコセッシが久々に古巣のニューヨークを舞台に描く人間ドラマ。自分が救急に向かった後、看護の甲斐なく何度も人を死なせてしまったことで自信を失い、ノイローゼ気味になった救命士を主人公に、患者の亡霊につきまとわれ、魂の救いを得ようともがき苦しむ彼が、命を救った男の娘の存在で立ち直って行く…。

、  脚本がスコセッシと「タクシー・ドライバー」でコンビを組んだポール・シュレーダーということで話題の映画です。評判は今一つの様ですが、私はハマりました。冒頭のニューヨークの街角のシーンから久々のスコセッシ節復活と言った感じです。テーマとしては結構シリアスな話なのですが、ユーモラスなシーンもあってハイスピードなシーンなどは自虐的な感じで笑えます。ストーリーがちょっと弱く中盤の展開にちょっとダレるところもありますが、私は「クンドゥン」を観ていないので久々のスコセッシを堪能し個人的には十分楽しめる作品でした。ニコラス・ケイジが「タクシー・ドライバー」のトラビスっぽいのもおかしいですが、死者とのやりとりから彼が出ていた「シティ・オブ・エンジェル」に繋がるところも感じさせます。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/3/26)


ball1ノイズ
原題 THE ASTRONAUT'S WIFE  (米/ギャガ=ヒューマックス 109分 99年) 
監督 ランド・ラビッチ
出演 ジョニー・デップ  シャーリーズ・セロン
 スペースシャトルの飛行士たちが宇宙空間で交信が途絶え、空白の二分間があっち後に無事帰還した。しかし、彼等を愛する妻たちは彼らが以前と違って思える出来事が頻発するようになる。

 一本立てでは見なかったけれど、何故か「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」と二本立てになったために鑑賞。なるほど向こうで7〜8ドルで観るならばいいけれど、日本で1800円でははっきり言って辛い作品です。狙いは悪くないのですが、ラストへの持って行き方はオイオイという感じです。ジョニー・デップもこの手の作品だとパッとしないし…。儲け役はシャーリーズ・セロンです。ジーン・セバーグかミア・ファローみたいなショートヘアでなかなかいいです。おっとそう言えばこの作品、ひょっとすれば「ローズマリーの赤ちゃん」か? こちらの邦題はまあまあかな。

 評価 ☆☆☆  (00/3/20)


ball1ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ
原題 HILARY AND JACKIE  (英/日本ヘラルド 121分 99年) 
監督 アナンド・タッカー
出演 エミリー・ワトソン  レイチェル・グリフィス
 20世紀屈指の名チェリストであり1987年に亡くなったジャクリーヌ・デュ・プレの悲劇的生涯を描いた伝記映画。原作は映画の中でも出てくる実姉のヒラリー・デュ・プレが書いたもので、家族でしか知り得ないショッキングなまでの姉妹の絆や葛藤が描かれている。

 うーむ。この手の作品は結構あって、最近では「シャイン」(そう言えばデビッ ド・ヘルフゴットはもうすぐまた来日するみたい…)とか、「不滅の恋 ベートーヴェン」にも描かれているのですが、実話という事実の前には何とも言いようがないです。ちょっと最近辟易気味ですが…。何しろ主演が「奇跡の海」のエミリー・ワトソンだけにそのエキセントリックな演技振りにも感心するやら、あきれるやら…。ちょっと自己中心的な描き方をされているため、そのことがかえって天才の孤独を感じさせられます。途中でひどい扱われ方されているチェロは確か、先日ヨー・ヨー・マがタクシーに置き忘れたヤツです。何か運命的です。昨年のアカデミー賞の主演と助演女優賞の候補になった作品で、演技や演奏シーンもさすがですが、冒頭の浜辺のシーンは見え見えだし、内容的にもちょっと疲れる作品でした。関係無いけれど邦題も最悪(笑) 原題は姉妹の名前である「ジャッキーとヒラリー」です。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/3/20)


ball1風が吹くまま
原題 THE WIND WILL CARRY US  (仏=イラン/ユーロスペース 118分 99年) 
監督 アッバス・キアロスタミ
出演 ベーザード・ドーラニー  ティム・アレン
 今や巨匠とも呼べるイランのアッバス・キアロスタミの新作。テヘランから遠く離れたクルドのある村にTVクルーがやってくる。彼らの目的は、この地方で行われる珍しい葬式をカメラに収めることで、危篤状態の老婆に目を付けるが、老婆はなかなか死んでくれない。そうこうしている内にディレクターは老婆の孫や井戸掘りの若者などと親しくなっていく。

 いゃあ、地味な作品で寝不足だと眠気を誘うような作品ですが(笑)、その実中身はなかなか練られています。冒頭からいきなりトレードマークのくねくね道。イランのそんな田舎でも使えるのかと感心すらする携帯電話のやりとりと電波の状態が良い丘に登る再三の繰り返しのシーン。カメラに撮ることが出来ないイライラ感を伝えたいのでしょうが、観客の方にも電話の相手の家族やプロデューサー、スタッフ、井戸掘りの青年たちの声は聞こえるけれど姿はほとんど見せずにイライラさせられるほどです。彼の唯一?姿が見える話し相手の少年が素人のようですが、またなかなかいいですね。そう言えば主役のディレクター役も素人とのことで相変わらずです。最後は人生についての考えが描かれていますが、とても詩的でもあり感心させられる作品です。
 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/3/19)


ball1トイ・ストーリー2
原題 TOY STORY 2   (米・ディズニー/ブエナビスタ 92分 99年 SRD) 
監督 ジョン・ラセター他
声の出演 トム・ハンクス  ティム・アレン
 世界初のフルCGアニメだった前作の続編。おもちゃマニアに盗まれたことによってウッディがプレミアが付いた貴重な人形であったことがわかった。日本のおもちゃ博物館に売られて行こうとする彼を助けようとバズや仲間たちが立ち上がる。今年のゴールデン・グローブ賞のコメディ・ミュージカル部門で作品賞を受賞。

 前作もなかなかスゴイ技術を見せてくれましたが、さらに磨きが掛かっています。人形が床やガラス窓に写り込む姿や人間の造形がより一層になっています。泣かせるし笑わせるし、パロディもアクションもあるし子供はもちろん大人の鑑賞にも耐えうることができ万人にお勧めできる作品です。ただ元々の仲間であるはずの爺さん人形の扱いが敵役とは言え不満が残ります。ランディ・ニューマンの音楽もお聞き逃し無く…
 もちろん、本編が終わった後も席を立つことがないよう…。また字幕版だけかも知れませんが、この映画を製作しているピクサーの原点、「ルクソー・ジュニア」が本編の前に上映されるのでこれも必見。  評価 ☆☆☆☆1/2  (00/3/12)


ball1スリーピー・ホロウ
原題 SLLEPY HOLLOW   (米・マンダレイ/ヘラルド 106分 99年 SRD) 
監督 ティム・バートン
出演 ジヨニー・デップ  クリスティーナ・リッチ
 「シザーハンズ」「マーズ・アタック!」のティム・バートンの新作。18世紀末、ニューヨーク近郊の村であるスリーピー・ホロウという村で起こった首なし騎士による謎の連続殺人を、ある科学好きの捜査官が調査することになるが…。脚色は、「セブン」のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー。主演は「シザーハンズ」「エド・ウッド」で監督とコンビを組んだジョニー・デップ。

 さすがティム・バートン。彼らしい暗い色彩でちょっとドロドロした話が進んでいくのがたまりません。現代劇でなく200年位前の話というのも効いています。終盤は少しすんなり行き過ぎて、アレッという感じですが、原作がそうなのでしょうか。バートン独特の悲哀を感じられなかったのはコッポラが製作というのが影響していたのでしょうか。最近、出演作目白押しのクリスティーナ・リッチもいい感じだし、ドラキュラで有名なクリストファー・リーが出ているのもいいです。そして何と言ってもクリストファー・ウォーケンです。彼が出ているだけで必見とも言えます。ターミネーターの様に死なない首無し騎士はダースモール役で有名になったレイ・パークがやっているということでこれも納得。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/3/11)


ball1アンナと王様
原題  ANNA AND THE KING   (米/フォックス 147分 99年 DTS) 
監督 アンディ・テナント
出演 ジョデイ・フォスター  チョウ・ユンファ
 19世紀のシャム王国に皇太子の英語教師としてやってきたある英国人未亡人。異国での封建制度や女性差別などに悩みながら自らの信念を貫くことによってやがて国王の信頼を得ることが出来るようになる。監督は「エバー・アフター」のアンディ・テナント。

 言わずと知れたミュージカル作品でユル・ブリンナーの「王様と私」として知られるのリメイクです。テレビなどでも放映されていますが、ちょっと内容は忘れてしまっています。ジョデイ・フォスターがちゃんとクイーンズイングリッシュを話しているところも注目ですが、何と言ってもこの映画、儲け役はチョン・ユンファでしょう。オスカー女優を相手にしての堂々の演技ぶりです。もっとも両方優等生的演技で面白味はかける気がします。アンナがイギリス人にしてはえらく開けた考えなのと王様がそれ以上に出来た人に描かれているのが引っかかりますが、時代設定がかなり細かくてリアリティも感じさせられ、全体としてはそこそこいい出来の作品ではあります。上映すら禁止されているタイではロケできず、マレーシアで撮影された様ですが、セットなどで結構お金がかかっています。 

 評価 ☆☆☆☆  (00/3/5)


ball1M/OTHER
  (サンセントシネマワークス 147分 99年) 
監督 諏訪 敦彦
出演 三浦 友和  渡辺 真起子
 バツイチのレストラン・オーナーとデザイナーの女性が同棲している家に、彼の前妻が育てている息子がその母親が入院したため転がり込みも二人で面倒を見ることになる。息子の存在によってうまく行っていた二人の仲のバランスが崩れ、二人の関係がぎくしゃくしたものになる。 カンヌ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した、諏訪敦彦監督の新作

 WOWOW出身で「萌の朱雀」などを製作した仙頭武則氏プロデュースの作品ですが、この作品も海外で評判がいいようです。監督と主役二人でセリフ等を考えながら作られており、普通の家でのやりとりをのぞき込むようなドキュメンタリーみたいなタッチになっています。そのためこの作品も好き嫌いが分かれるのではないかと思います。上映時間も2時間半ほどありますし…。場面のつなぎ目でブラックアウトが異常に長いのも辺に気になります。ただ、私は視点としては結構面白いなと感じました。男側の理論と女性側の理論のずれも理解できるし、その辺が理解できない主役もなんとなく理解できます。ダラダラしたカメラにも見えますが、主役等に近づかず微妙なところで留まっているのも好感持てます。 題名は家庭教師のトライのCMと同じ意味のようで、「M」を取ったら「OTHER」という意味のようです。福岡公開が遅れたせいもありますが、もうWOWOWで放映するとはなぁ… 

 評価 ☆☆☆☆  (00/2/27)


ball1マグノリア
原題 MAGNOLIA   (ニューライン/ヘラルド 187分 99年 SRD)
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
出演 トム・クルーズ  ジュリアン・ムーア
 ロス・アンジェルス近郊の街を舞台に何人もの親子・夫婦などが、様々な思いに揺れ動きながら互いに交差する一日の風景を描いた作品。監督は「ブギーナイツ」のポール・トーマス・アンダーソン。 ベルリン映画祭金熊賞受賞作品

 前作「ブギーナイツ」は北九州で公開されなかったため未見ですが、この作品を30才そこそこで自ら脚本を書いて監督したとは、非凡な才能を持った監督だと思います。 予想とは異なった作りの映画でしたが、数多くの登場人物は上手に整理されており、3時間以上の長尺の割にはそんなに飽きることなく見ることが出来る作品です。(最も飽きちゃって途中で帰ったカップルもいて、好き嫌いが分かれる作品かもしれません)。しかもテーマが割とシリアスな家族関係というのになかなかのものです。エイミー・マンの歌にインスパイアされて作ったというのも何かスゴイ気がします。群像劇と言えばロバート・アルトマンの「ショートカッツ」を連想させます。若干余分なところもある感じで、あそこまでの老練さは当然ないですが今年を象徴する作品として観るべき作品だと思います。他の出演もウィリアムH・メイシー、ジェイソン・ロバーズ、フィリップ・シーモア・ホフマンなどで好演。スリー・ドッグ・ナイトでヒットした「ワン」やスーパートランプの「ロジカルソング」などが冒頭や途中で流れるのも懐かしい。クライマックスはちょっとビックリかな?

 評価 ☆☆☆☆  (00/2/26)


ball1橋の上の娘
原題 LA FILLE SUR LE PONT (仏/シネマ・パリジャン 90分 98年)
監督 パトリス・ルコント
出演 ダニエル・オートゥイユ  バネッサ・パラディ
 人生に悲観し、パリの橋の上から身を投げようとしている女性。偶然そこに通りがかり彼女の命を救ったことから彼女に運命的な出会いを感じ、自分の職業であるナイフ投げのパートナーとしようとした中年男性、巡業の旅に出た二人を描いた作品。

 パトリス・ルコントの新作です。パリの橋と言えば、「ポンヌフの恋人」を連想させますが、この作品の方が私は惹かれました。白黒映画になっているし、途中でサーカスが出てきたりしたので、フェリーニを連想させるところもあります。セックス依存症?の女性をヒロインにしての純愛ドラマと言ったところでしょうか。セリフの一言、一言が非常に印象的でなかなか効いています。最初、ヒロインのバラディがすごく不細工に見えましたが、ナイフ投げに挑戦するようになると魅力的に見えるから不思議です。ナイフを投げられる時の表情もなかなかいいですね。しかし、相変わらずのスキッ歯です。ルコントにしては珍しい?ハッピーエンドも途中で予想つきましたが、いいものです。

 評価 ☆☆☆☆  (00/2/20)


ball1ワールド・イズ・ノット・イナフ
原題 THE WORLD IS NOT ENOUGH (英/UIP 128分 99年 SRD)
監督 マイケル・アプテッド
出演 ヒアーズ・ブロスナン  ソフィー・マルソー
 世界をまたにかけるテロリストに命を狙われている石油王の娘の護衛をすることになったジェームズ・ボンド。ロシアから中東にかけての石油パイプラインを巡っての駆け引きが続けられる。

 熱狂的なファンではないのですが、007シリーズはそこそこ見ています。新作が公開されるとつい見てしまいます「映画」を観ているという気になります。ソウルバスを彷彿されるような見応えがあるタイトルクレジットです。今回のヒロインはソフィー・マルソー、悪役はロバート・カーライルになっていて、かなりドラマ、それも恋愛ドラマっぽい仕掛けになっています。監督が「ネル」のマイケル・アプテッドというせいもあるのでしょうか。しかし、それが裏目に出て、この手の映画にしてはちょっと分かりにくい話になってしまいました。前半に比べて終盤のアクションが今ひとつだし、カーライルのキャラが弱く何がしたいのか今ひとつ足りない気がします。せっかくのボンドカーもあまり活躍しなかったし、レート換算をわざわざパソコンでやることもないでしょう(笑) ジョン・クリースが出てきたのには笑えましたが、エンディングのLUNA SEAについては特にコメントするほどもなかったです。全体としてはまあまあでしょう。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/2/19)


ball1豚の報い
 (ビターズエンド=サンセントシネマワークス 118分 99年)
監督 崔 洋一
出演 小澤 征悦  早坂 好恵
 又吉栄喜の原作を、鄭義信が脚色して崔洋一が監督。製作も「月はどっちに出ている」の仙頭武則。スナックで働く女性の一人が店に入り込んできた豚のせいで、マブイ(魂)を落としてしまう。客でもある大学生とこのスナックで働く3人の女性が厄を落としてしまうために大学生の故郷でもある島を訪れる。

 これまた沖縄の映画ですが、鄭義信=崔洋一コンビ、かなり練られた展開で面白く観られました。結構本筋に関係なさそうな話それも性や食、排泄と言った基本生理のシーンを長々と描写していくのですが、それが逆に効果的になっています。ラスト の大団円も気持ちいいし…。三人の女性のパワフルさと大学生の純朴さが対称的でいいのですが、なぜあんなにヘコヘコしているのか、単なる客なのかそれともヒモなのかちょっと疑問でした。特に特定の女性との関係もなさそうだったし。スナックのママ役のあめくみちこが好演というか怪演です。なお、主演の小澤征悦は小澤征爾の息子です。

 評価 ☆☆☆☆  (00/1/30)


ball1ナビィの恋
 (オフィス・シロウズ/東京テアトル 92分 99年)
監督 中江 裕司
出演 西田 尚美  村上 淳
 東京から沖縄の離島に戻ってきた一人の女性。彼女と一緒に彼女の祖母の若き日の悲恋の相手が島に戻ってきたために平和な村に騒動がまきおこる…。監督は「パイナップル・ツアーズ」の中の一編を監督した中江 裕司

 小渕首相も観たという話題の映画で(笑)。かなり評判はいいようですが、私にはちょっと緩慢な感じがして今ひとつでした。沖縄版マサラムービーといういうだけあって、歌のシーンが多いのですがどうもストーリーのほうが… とは言え出演者がみんな魅力的な人ばかりで、そういった意味ではいいですねぇ。特におじいちゃん役がいいです。特に朝、仕事にでかける時が最高です。蛇三線肩に国歌をならし、お昼を届けるのトゥエルブサーティーね。(爆) オバァの恋もいいのですが、ヒロインの方の恋が今ひとつ消化不良、予告編で使われていたシーンがなぜか本編ではカットされているのも変。あのシーンはあった方がまだしっくり行くのでは。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/1/30)


ball1シュリ
 (韓国/シネカノン=アミューズ 124分 99年)
監督 カン・ジェギュ
出演 ハン・ソッキュ  キム・ユンジン
 韓国で空前のヒットを記録したという話題作。新しく開発された液体爆弾によってテロを企てる北朝鮮の特殊部隊と、それを阻止しようとする韓国の情報部員の攻防をその情報部員のラヴ・ストーリーと共に描いた映画。「機密情報ビデオ」の配布など宣伝にも力が入っています。なお、「シュリ」は朝鮮半島に住む淡水魚の名前です。

 「ハリウッド映画よりすごい」という前評判ほどの作品でもなく、ストーリー展開にちぐはぐで首をかしげたくなるところも何カ所かあります。アクションシーンも火器の数は多いですが、ちょっと気抜けするところもあるし…。しかし、そういったマイナス評価を補うだけのパワーがこの映画にはある気がします。日本では所詮絵空事になりがちなテロ部隊という設定も韓国が舞台ではなんとなくリアリティがある気がします。それとこの映画、アクションが主ではありながらラヴ・ストーリーとしてもそこそこ観られるところがいいです。大体こういうのはどっちつかずの中途半端になるのですが、これはそうでもありません。ちょっとリアル過ぎる残酷シーンもありますが、この手の映画が苦手の女性でも、最後は泣けるようになっているのでお勧めできます。ただ、ラストの処理はちょっと蛇足かな?
 ハン・ソッキュは福岡映画祭で「八月のクリスマス」と「接続 ザ・コンタクト」を観て注目したのですが、韓国では出演すれば必ずヒットするカリスマ男優(笑)とのことです。島田紳助をサラリーマンにしたような普通の風采なのですが、それがなかなかな味があります。これで3億円で出来たとは安価ですね。日本映画も外注に出すか?
 中間AMCで見たのですが、 結構客が入っていて「リング0」の次位並んでいました。東京で「ブレア・ウイッチ…」を抜いて何と週末興収一位だそうです。

 評価 ☆☆☆☆  (00/1/22)


ball1雨あがる
 (アスミック・エース 91分 2000年)
監督 小泉 堯史
出演 寺尾 聰  宮崎 美子
 山本周五郎の短編小説を元に黒澤明が残した脚本を黒澤組のスタッフで完成させた作品。剣の腕は立つものの、その人の良さ故になかなか仕官の口にありつけない浪人と妻、その二人が豪雨のため川を渡ることが出来ず、ある安宿に足止めされる。ある日たまたまその腕を見かけた藩主によって剣術の指南番の仕事を持ちかけられる。

 非常に気持ちの良い映画でした。冒頭の雨のシーンから何となく黒澤映画っぽく雰囲気がよかったのですが、キャストも黒澤映画ゆかりの人が大半でいかにも黒澤追悼映画っぽい感じです。メインの寺尾聰、宮崎美子の設定がとてもよく性格描写をうまくできていますが、やや極端に理想的な感じがし、本当かな?という気がするのが難点。久々登場の三船史郎もいいですね。声も父親の三船敏郎に似ている気がしますが、どうでしょう。仲代達矢や松村達雄もいつもと違う風采でした。タイトル通り観た後晴れ晴れとした気にさせる映画でした。

 評価 ☆☆☆☆1/2  (00/1/22)


ball1エイミー
原題 AMY  (オーストラリア/パルコ 103分 97年)
監督 ナディア・タス
出演 アラーナ・ディ・ローマ  レイチェル・グリフィス
 主人公の少女エイミーは有名なロックミュージシャンである父が演奏中に事故死したため、耳も聞こえず喋ることもできなくなってしまった。しかし、彼女とは歌を通してコミュニケートできることがわかった。オーストラリアの映画です。

 いい話で感動もしなくはないのですが、脚本か演出の出来で大きく損しています。もっといい話にできたはずなのにもったいないです。父親の事故のシーンをずっと引っ張ったのはまだやむを得ないにしろ、母親が彼女が歌えることに気がつくシーンなどはあっけなくて何の感動もありません。笑えるシーンとシリアスなシーンの繋がりが悪い気もしますね。もっとどちらをメインにするか明確にしてもよかったかと思います。エイミーの歌のうまさはびっくりですが、耳と口が不自由であんなにうまく歌えるのもちょっと不自然。実際の問題は母親の方だったという結論はまぁいいでしょう。曲は結構印象的で良いです。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/1/18)


ball1シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦
原題 DIWALE DULHANIA LE JAYENGE  (インド/インディア アクション プラン 190分 95年)
監督 アディティヤ・チョープラー
出演 シャー・ルク・カーン  カージョル
 ロンドンに住んでいるインド人の大学生が旅行中にある女性と出会い恋に落ちるが、彼女には親が決めた婚約者がいた…

 絶好調のインド映画の中でも評判の良い映画ですが、私にはいまひとつな感じです。前半は二人の旅行の情景を描かれ、後半は舞台をインドに移してのラブゲット大作戦(笑)の二部構成になっているのですが、前半がちょっとイライラさせられます。というのも主人公がチャラチャラした金持ちのドラ息子的な描かれ方をされてるために余り共感できないのです。後半の一生懸命振りは評価できますが、それでもちょっとですねぇ。そこが評価の分かれ目になる気がします。主人公はインドの織田裕二、「ラジュー出世する」のシャー・ルク・カーン。ヒロインのカージョルは眉毛が繋がっているけれどかわいいですねぇ。ヒロインの父親役が迫力でどこかで見た顔だなぁと思っていたらインディー・ジョーンズに出ていた人でした。

 評価 ☆☆☆1/2  (00/1/16)


ball1ジャンヌ・ダルク
原題 JOAN OF ARC  (アメリカ=フランス/ソニー・ピクチャーズ 157分 99年)
監督 リュック・ベッソン
出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ  ジョン・マルコヴィッチ
 「レオン」のリュック・ベッソンが15世紀、イギリスに占領されていた時代のフランスの英雄、ジャンヌ・ダルクの半生を描いた作品。

 この映画、解釈がかなり難しいです。テーマとしては世界史の教科書にも出てくる人物を描いていますが、ちょっと前評判が悪かった割には十分堪能できるものに仕上がっているのはさすが、リュック・ベッソンと言えるでしょう。ただ、合戦の描き方ががかなり残酷と言えば言えるのだが…。それはさておきこの映画、前半はそう言ったジャンヌの幼少時代から紙の啓示を受けて、戦士の先頭に立ってオルレアンを解放する経緯などが描かれていますが、後半ではそれが一変してコンピエーニュで捕らえられ、イギリス軍に引き渡されて処刑されるまでが描かれています。異端と判断された裁判の経緯や彼女自身の苦悩が描かれています。ここでダスティン・ホフマン扮する黒衣の男が獄中彼女の元に幻想の用に現れるのですが、これがよく分かりません。始めは神の使いか悪魔かなと思ってみているたのですが、最後の言葉を聞くとどうも違うようです。クレジットや監督が言っているのを見ると彼女の良心という説明になっています。うむむ。神の声に従いフランスを解放し、王太子シャルルを国王の座につけたのに何の良心の呵責があるのでしょう。敵や味方の命を大勢奪ってしまったのが神の意志であるかどうか?あるいは彼女自身が人を殺したか?というのが問題になるようですが、この辺になると我々クリスチャンではない我々にとっては分かりにくい問題です。彼女が最初試みた用に無血で解放するというのはほとんど不可能でしょうから…。とはいうものの20世紀の現代でも同じ様な戦争を行っているわけでそういう意味では600年以上進化がない気もします。また、この映画で描かれているジャンヌではカリスマ性がなく、何故民衆が彼女で従ったのかが説明不足な気がします。またジョン・マルコヴィッチが情けなくて好演ではあるのですが、米国の俳優がメインで英語で演技していてちょっと違和感がありました。無学で田舎の出であるジャンヌが本当にイギリス軍と自分でやりとりしていたのでしょうか。このような結構重要なポイントがぼけてしまいました。

 評価 ☆☆☆☆  (00/1/15)


ball1200本のたばこ
原題 200 CIGARETTES  (アメリカ/フランス映画社 116分 99年)
監督 リサ・ブラモン・ガルシア
出演 ベン・アフレック  ケイシー・アフレック
 1981年の大晦日。次の一年を明るく過ごそうとして新しい出会いを求め、ニューヨークに住む若者たちがパーティーやバー等に繰り出していく…

 予告編を見たらバックにニック・ロウの「恋する二人」が流れていて、エルヴィス・コステロが写っている写真等が出てきたので、きになって見に行ったのですが、この作品、拾い物の佳品でした。内容は異性との出会いを求めて右往左往する若者の群像劇であるパーティーに全員が集まるまでの数時間を描いたグランドホテル形式の話ですが、登場人物が多い割にはエピソードがうまく繋がっている感じです。出演しているのはアフレック兄弟を始めコートニー・ラブ、ジャニーン・ガラファロ、クリスティーナ・リッチ等々そこそこのキャストが出演しています。時代設定にあわせてその頃流行った曲がかかるかかる。上映時間中ほとんど音楽が掛かりっぱなしです。そしてエルヴィス・コステロもキーマンの役で出演? なかなか豪華な作品だなぁと思いますが、それもそのはずこの映画を製作したのがMTVでした。まあ私の年代に近い話なので結構頷ける話もあり楽しい作品でした。

 評価 ☆☆☆☆  (00/1/10)


ball1ゴースト・ドッグ
原題 GHOST DOG,THE WAY OF THE SAMURAI  (アメリカ=日本=フランス=ドイツ/フランス映画社 116分 99年)
監督 ジム・ジャームッシュ
出演 フォレスト・ウィテカー  ジョン・トーメイ
 武士道の極意を説いた「葉隠」を愛読する黒人の殺し屋、通称ゴースト・ドッグは以前命を救われたマフィアの命令で殺しを遂行していたが、ある日そのマフィアの組織に逆に命をねらわれるようになる。

 ニール・ヤングのドキュメンタリー「イヤー・オブ・ザ・ホース」は見逃してしまったが、「デッドマン」以来久しぶりの劇映画になるジム・ジャームッシュ作品です。殺し屋が主人公なのでハードボイルドなのですが、ちょっと狙いは変わっていてジャームッシュ版「レオン」と言った感じです。ポートマンに当たるのが味方か敵かが微妙ですが…。主人に忠誠を尽くし寡黙に仕事をこなしていく主人公。読書をかなりこなし伝書鳩を飼っている反面、ピストルやCDをまるで刀を扱うように操れる… なんとなくジャームッシュっぽくていいですね。音楽がうって変わってヒップホップなのも面白い。フランス語しか話せないアイスクリーム屋とのやりとりもいいですねぇ。ラストはともかく全体的に何となく心地よい作品でした。

 評価 ☆☆☆☆  (00/1/10)


ball1ブレア・ウィッチ・プロジェクト
原題 THE BLAIR WITCH PROJECT  (米/アスミック・エース=クロック・ワークス=松竹 81分 99年)
監督 ダニエル・マイリック エドゥアルド・サンチェス
出演 ヘザー・ドナヒュー マイケル・ウィリアムズ
 メリーランド州の田舎町にある森には魔女伝説が残っていた。この伝説を確かめるべくカメラを持って森に入って行った3人の学生。彼らは失踪してしまったが、創作によって彼らが撮ったフイルムが発見された。

 うーむ。やられてしまいました。予想はしていたものの見事なまでのおとぼけ映画ですね。(果たして正当に映画と呼んでいいものかどうか。でも、いい意味で取れば実験映画か?(笑) 全然怖くもなんともなかったですね。女性リーダーの独走振りが有る意味では怖いけれど…
 予告編で出てくる女性のモノローグがやっと出てきてホッとして、ラストに はもう笑いしか出てこない感じです。どっちのシーンを先に撮ったんだ。時間 軸がおかしいぞ。だまし方では「シックス・センス」の方が上等ですね。それより、カメラのブレが気持ち悪くて途中で目を閉じて、セリフ聞いていました。(笑) これで映画学科の学生の撮影という設定もなかなかいいけれど、行方不明になった後、見つかったフィルムを編集した分だけで公開というのも徹底しています。何時間分あったのか分からないけれど、食料がなくてもバッテリーはあったのか(爆)
 これもギャグなのか作戦なのか…
 ある意味で「ツインピークス」に似ている受け方ですが、この流行り方はいかがなものかな。

 評価 企画、宣伝、インターネット情報、正月公開させた配給会社の作戦は     ☆☆☆☆
    映画自体は ☆  (気分が悪くなったので0点にしたい…) (00/1/9)


ball1御法度
  (松竹 100分 99年)
監督 大島 渚
出演 松田 龍平  ビートたけし
 大島渚の13年振りのの新作。幕末の京都で大きな力を持っていた新撰組。優れた剣の使い手である二人の若者を新たに隊員に加えるが、その内の一人が美少年であったばかりに隊の中に様々な波紋を引き起こしていく。

 さすが、大島渚、映像は結構凝っているし、衣装やセリフなども見応えがあります。しかし、ストーリー的にはどんなものでしようか。最初出てきた浅野忠信がずっと出なくなってきて、その間、田口トモロヲ、坂上次郎やトミーズ雅のエピソードのサブストーリーでつないでいます。それはそれで面白いのですが、ちょっとダレた感じになり、最後のやりとりがちょっといきなりな感じで、えっ、これで終わり?という結末になっています。それぞれの配役が個性的で面白かっただけにちょっと残念な気がします。松田龍平はそんなに買いませんが、沖田総司役の武田真治やトミーズ雅あたりは儲け役ですね。しかし、松田龍平は父親そっくりだなぁ。

 評価  ☆☆☆☆  (00/1/9)


ball1海の上のピアニスト
原題 THE LEGEND OF 2000 (米=伊/アスミック・エース=ビクター 125分 99年)
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 ティム・ロス  プルート・テイラー・ビンス
 「ニュー・シネマパラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレの新作。1900年にある豪華客船の中で見つかった孤児が、船から下りることなく過ごした人生を描いた作品。
 あるトランペット吹きを狂言回しにして、過去を回想する形であるピアニストについて語る形にしていますが、全体通してみれば大人の寓話という気がしますね。原作がある映画なのですが、原作もこんな感じかな? かなり現実離れした話になっていますが印象に残るシーンがいくつかあります。嵐の夜、大揺れの船内で騒ぐことなくフロアを踊るようにピアノを滑らせながら弾くシーンとか、ジャズの創始者とのピアノ合戦のシーンなどです。CGみたいですが、結構分からなくしています。ティム・ロスは好演ですが、ピアノが弾けないみたいです。エンリオ・モリコーネの音楽もなかなか盛り上げてくれます。しかし、客船でもなくなり魚礁になるだけの廃船からなぜ彼が下りなかったのかが理解できず、全般の印象としても期待していたほどではない映画でした。

 評価 ☆☆☆1/2  (99/12/26)


ball1ターザン
原題 TARZAN (米/ブエナ・ビスタ 88分 98年)
監督 ケビン・リマ  クリス・バック
出演 トニー・ゴールドウィン  ミニー・ドライバー
 ディズニーのアニメ、ターザンの話。詳しい説明は必要ないでしょう(笑)
 最新技術を駆使した話題のCG?アニメはなるほど見応えありました。ジェットコースターの様にカメラ?がグルグル回るし、動きは早いし感心するものがあります。フィル・コリンズの歌がミュージカルみたいに状況説明やセリフ代わりになっているのですが、これも音圧があって迫力があります。そう言った意味では字幕版で音響のいい劇場の方がいいと思いますが、ジェーンの感じが少し変。なぜかと思ったら吹き替えが私の嫌いなミニー・ドライバーなので納得(笑) ターザンの顔は何故か猪木か原田泰造みたいでした。オーリャ(爆)。

 評価 ☆☆☆☆  (99/12/19)


ball1ファイト・クラブ
原題 FIGHT CLUB (米/FOX 139分 99年)
監督 デビッド・フィンチャー
出演 ブラッド・ピット  エドワード・ノートン
 「セブン」や「ゲーム」のデビッド・フィンチャー監督の最新作。自動車会社に勤める不眠症のサラリーマンが、出張の飛行機で隣席になった石鹸販売のタイラーという青年と仲良くなる。自宅を原因不明の爆発で破壊された彼はタイラーの家で一緒に暮らすようになり、一緒にある秘密クラブを作ることになった。
 私はどちらかと言えば暴力的なシーンの多い映画はちょっと苦手なのですが、この映画にはそういうシーンが多く、好き嫌いが分かれる映画でしょう。ちょっと違うかも知れませんが「時計仕掛けのオレンジ」に似た感じのところもあります。しかし、ストレスがたまっている人々が「ファイト」によってそれを発散させるというのも分からなくはありません。「ファイトクラブ」が巨大化し危険な組織になっていく過程を割と細かく描写していきますが、その辺がちょっと退屈です。最後への伏線になっている面もあります。ブラッド・ピットではなく、エドワード・ノートンの映画ですね。あまり表情の変化がない俳優と思っていたのですが、この作品ではなかなか生きています。一人芝居のシーンなどはなかなかですね。ネタばれになるので書きませんが、ラストについては興ざめしました。またしても、こういう話だったとは…。見方によってはコメディですね。先日テレビで未見だった「ゲーム」を見たのですが、どうもこの監督「だまし」に凝っているようです。

 評価 ☆☆☆  (99/12/18)




[ホームへ] [映画館のページへ] [2000年後半公開の作品の感想] [99年後半の映画へ]