第20場 第18番 僧侶たちの合唱
舞台はアーチ形の天井のある部屋となってそこには弁者と数名の僧侶たちが入ってきます。そのうちの2人はピラミッドを肩に担ぎ、残りは皆ランプくらいの透明なピラミッドを手に持っています。僧侶たちはこの合唱でイシスとオシリスを讃えつつ、まもなくタミーノが新しい生を感じ、我らにふさわしいしい者になるだろうと歌います。この男声合唱が「彼の魂は雄々しい
Sein Geist ist kuhn
」と力強く歌うところが、ワーグナーの楽劇『パルジファル』第1幕の聖餐式が始まるときにアカペラで歌われる少年合唱(信仰の動機)を連想させます。『魔笛』を高く評価していたワーグナーがここからヒントを得たとまでは言いませんが、宗教的な雰囲気に包まれた音楽が約90年の年月を隔てて創り出され、聴く人の心を揺さぶることに感慨を覚えざるを得ません。