* アウフ・デア・ヴィーデン劇場(Theater auf der
Wieden)は現在のウィーン国立歌劇場の南南西へ直線距離で約600メートル離れた辺りに位置していました。1936年頃に開始された都市開発でオペルンガッセが延長されてフライハウスの真ん中を貫くことで町並みは大きく変わることになりました。現在では近くにシカネーダーガッセが走り、シカネーダーという名の小さなシネマ・バーがあることで当時を偲ぶことができそうです(あくまで
Google Map で調べただけですが)。
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アウフ・デア・ヴィーデン劇場は『魔笛』初演10年後の1801年にアン・デア・ウィーン劇場(Theater an der
Wien)として移設(直線距離で240mくらい)再建されて現在に至っています。但し、当時の建物は「パパゲーノ門」など一部しか残っていません。このパン・プルートを吹くパパゲーノの像は『魔笛』で自ら「パパゲーノ」役を演じ、その後にこの劇場を建てたシカネーダーを記念して造られたものです。なお、アン・デア・ウィーン劇場はベートーヴェンの歌劇『フィデリオ』をはじめ交響曲第3番『英雄』、第5番『運命』、第6番『田園』が初演されたことで歴史に名を残していますが、それだけでなく、オペレッタの名作ヨハン・シュトラウス2世の『こうもり』、『ジプシー男爵』、フランツ・レハールの『メリー・ウィドウ』など数々の名曲が初演された劇場としても知られています。
* ケルントナートーア劇場(Theater am
Karntnertor)は後にウィーン宮廷歌劇場に吸収されると閉鎖され、現在はその跡地にホテル・ザッハーが建っています。1階にあるカフェ・ザッハーで食べるザッハートルテは有名ですが、ジョージ・ガーシュインがウィーン滞在中この店に来た時に『ラプソディ・イン・ブルー』を演奏して彼を歓迎したことでも知られています。