縮刷版97年8月下旬号


【8月31日】 駅構内のワゴンセールでOVA「イ・リ・ア」全6巻が1本1000円で出ていたので買ってしまう。中身も知らずに買って後で後悔することもない訳じゃないけれど、この程度の値段だったら勉強だと笑って自分を許せるからね。実写で有名な雨宮慶太さんの「ゼイラム」を土台にしたアニメってことで、まあそれなりに安心も出来るし、声優も久川綾さんに小杉十郎太さん、千葉繁さんと揃っているし、キャラだって桂正和さんだ。あの肉付きの良いボディが動くってことだけでも楽しみ倍増、だね。

 「雨宮くんは映画撮らない方がいいぞ」って、某有名デジタルコンテンツ制作会社の偉い人で、雨宮さんのCD−ROMも作っていて、雨宮さんの映画に落ち武者役で出るって言っていた人が話していたのがちょっと気にかかったけど、始まってみると動きは軽快だしキャラはカッコ良いし、ビジュアル設定がなんだか似非オリエンタルぽくってちょいイヤだったけど、それは趣味の世界だからとりたてて異論はない。あとはストーリーってことで、でも3時間もビデオに貼り付いている時間がなかったので、6巻を見通した後のインプレッションは後日ってことで。

 切り替えて「ねらわれた学園」の第5話は前作に続いて清水厚さんの監督で、クローズアップやら広角やらを使いまくりの清水アングルに目眩でクラクラして来る。ををなんと脚本は特殊翻訳家の小中千昭さんだったか。シリーズでは初めての登場ですね。まだ何本か書いているのかな。馬渕英里何さん演じる高見沢みちるは、次第に無邪気な邪悪さ(ちょい言葉に矛盾あるけどそうしか言いようがないんだよね)を発揮しつつあり、なるほど邪悪な邪悪さを目からじとじとと発散していた、佐伯日菜子さん演じる劇場版「ねらわれた学園」の高見沢みちるにも負けず劣らず、良い味を出して来ている。第5話まで終わって残りは4話しかないってのに、話の先がまだまだ見えず、どんな展開になるのか、楽しくもあり恐ろしくもあり。終わってしまうのもちょっと寂しい。次の作品は決まっているのかな。しまった全9話ってことはラスト1話だけビデオカセットが別になるぞ。早くLD−BOXにしてくれー。

 日曜出勤で会社に居ると、共同通信のピーコがガンガンとなり始めて「ダイアナ妃が交通事故で重傷」と伝え始めた。それでも最初は脳震盪で腕を骨折している程度の怪我で、命にそれほど重大な危機が迫っているとは伝えられておらず、「死んだらモナコのグレース王妃みたく伝説になったのにい」などと軽口を叩いていた。僕が。しかし、しばらくして「キンコンカンコン」と最大級のフラッシュを示すサウンドが鳴り響き、次いで「死去した」との一報が飛び出すと局内は騒然となり、あまり冗談も言ってられないとチャネルを回してニュースがやっていないかを確かめ、ネットにアクセスして速報は流れていないかと情報収集に走った。それでも局内が落ちついて来ると、今度は「イギリス王室の威信を守るために情報部が消したんだ」とか「CIAの陰謀だ」とか、もっと不謹慎な言動をまき散らしていたんだけどね。もちろん僕だけが。

 カメラマンに追いかけられたダイアナ妃の乗ったたぶんメルセデス・ベンツが、セーヌ河畔を飛ばしてトンネルに入ったところで支柱にぶつかり壁に跳ね返ってぐしゃぐしゃに大破。なんとなくキャビンの形が判別出来るくらいの形状は止めていたんだけど、それでもエンジン部分は完全に潰れ天井も平べったくなり、それを見れば第一報で「重傷だが命はある」と伝えられた時に、目撃者が「奇跡だ」と感動したのがよく解る。結局は肺に血が溜まったのが原因となって息を引き取ったとのこと。おそらくはこれから全メディアで、事故の遠因とされた、王室なり皇室に執拗に迫る「パパラッチ」に対する非難が始まるんだろーなー。ワイドショーがしたり顔で「追っかけってイヤですねえ」なんてやったら笑っちゃうけど。梨本さん、さあなんという?

 売ってないぞとり・みきさんの「SF大将」。折り込みのチラシでは28日発売の予定になっているのに見かけないってことは、刷り部数が余りにも極端に少なくってすでに売り切れたか、もしかしてとり・みきさんのヘアヌード写真でも載っているのか。「いえいえトータル・ヌーディティーと呼んで下さい」と、唐草模様のマントをはだけて「バァー」とやっているとり・みきさんが載っているのか。それは買わねば予約してでも。じゃない、まあ多分刊行が遅れているだけなのだろー。とりあえず待つ。開いてびっくりってことは、ないですよね。ね。

 かわりじゃないけど柴田よしきさんの「禍都」(徳間書店、952円)とかイアン・マクドナルドの「火星夜想曲」(ハヤカワSF文庫、900円)とか、彩院忍さんの「電脳天使」「電脳天使2」(ソノラマ文庫)などをまとめて購入。別の店に言って柴田さんのサイン会が三省堂で開かれるとの案内を見て、しまった1週間のばせばせばよかったかなー、などとちょっぴり残念な気持ちになるも、本人にグーパンチをかます訳にもいかないので、とりあえず時間があれば出向いていって遠くからそっと見つめることにする。もちろんガッパの扮装をして。三省堂の改装記念サイン会は夢枕獏さんのも予定されているみたいなので、そっちには是非行こう。でも平日だぞ。いいのだブンヤは毎日が日曜日(じゃない毎日が仕事の日)なのだ。


【8月30日】 だいたい土曜日の朝っぱらから呼び出しておいてなにかい、「米国がオープンスカイに固執するものですから合意にいたりませんでした」って前回とおんなじ結論かい。そんなこたぁ始まる前から予想がついていたことじゃないか。前回はそれでも開かれたのが東京だったからまだいいさ。滞在費とか渡航費とかかからないし。けど今回はわざわざワシントンまで出向いていって、それも決して安くない給料をもらっているエラい人たちが雁首揃えて行って3日間も交渉やって、一歩も前進しなかったぁだ? んでもって9月末の合意に向けて努力していくことで共通の認識を得たぁだ? その程度の話し合いだったら電話でやれってーの。インターネット使ってテレホーダイタイムに「シーユーシーミー」で話やがれってんだ。てめえらは税金泥棒かっ。

 などということを、お国のために頑張ってはるばるワシントンまで出向いて、難しい日米航空交渉を進めて頂いていらっしゃるお役人様の方々に、怠惰でマヌケなブンヤ風情が言えるわけがない。それこそ口が裂けよーがお尻が割れよーが言えるはずがない。その証拠にどこの新聞にも「日米航空交渉物別れに、米国主張譲らず」と、正しく米国に責任を押しつけ、じゃなかった米国の責任を指摘しているではないですか。今度は9月の末に東京で開催だから、時差ボケでボケボケになりながらアウェイで交渉を進めなくていいのですよ。ぶ厚いだけで味っ気のないステーキとビッグマック3つ分はありそーな巨大なハンバーガーを食べさせられなくて済むんですよ。もう万全の姿勢で「お国(こうくうがいしゃ、とルビを振る)」のために頑張って下さい。後にはデージン様も控えておられます。もう中途半端にダラダラと5日間を過ごしちゃって下さい。

 運輸省を出て秋葉原へ。この段差が(もちろん秋葉が上、断じて上)いーですね。石丸電気で「エコエコアザラク」のLD−BOX発売記念イベントが開かれることになっていて、佐伯日菜子さんもご登場するとあっては、霞ガ関なんぞでちんたらと言い訳を聞いているヒマなどないのだ。店につくとすでに受け付け時間も終了に近づいていて、第1部は入れない訳じゃないけれど後ろの方で見物になりますよと言われる。後ろってもそんなに広い部屋じゃないからら余裕で見られるだろうと思ったのが甘かった。連れて行かれた会場は、椅子が前半分くらいしか用意されておらず、中段からはすべて立ち見とゆーとんでもない状況を余儀なくされた。こんなことなら3時からの回に回れば良かったよー。

 立ちんぼうで待つこと30分、黒黒黒禿黒な頭波の向こうに切れ切れに見えるスクリーンに栄光の第1話が映し出された後で、いよいよ真打ち(っても1つ目もなにもいないけど)佐伯日菜子嬢登場。でもテレビじゃー始終むっつりとジロ目でカメラを見据えていた日菜子さんが、笑顔でニコニコとしながら登場して来たその表情に、最初はすっげー違和感を覚えた。黒いセーラー服にでっかい鞄もって上目遣いで登場して欲しかったな、ってコスプレショウじゃないから無理か。でも笑顔の日菜子さんもいーです。ガハハ笑いが似合いそうな口。イベント会場で行われたインタビューじゃーコメディもやりたいって言っていたから、そのうち大口開けて「わっはっは」とかやってる日菜子さんを見られるよーになるでしょう。どこでもいーから、そんな役柄に是非ぜひ日菜子さんをキャスティングしてやってくれい。

 イベントのインタビューでは、「エコエコ」で苦労したのは呪文を覚えて自分の言葉にしなくてはならなかったことって話していた。時には台本のページの半分以上にも及ぶカタカナの文字。もちろんいー加減な言葉の羅列じゃなく、すべての呪文にちゃんとした意味があって、ロケとかに着いて来ている魔術の専門の人が、途中まで呪文を唱えた段階で「それ以上は言わない下さい。出ます」とかいって止めに入っていたとか。それでも撮影済みのテープに聞いたことのない声が入っていたそーで、こーなると途中で打ち切りになってしまったってのは、もしかしたら映ってはいけないものが映ってしまっていたからなのではって、そんな邪推もしてみたくなる。映ってはいけないもの? もしかして毛か、っておまえ祟られるよ。

 とりあえずは現物を見られたことに感謝しつつ秋葉を後に。夢枕獏さんと岡野玲子さんの「陰陽師 第6巻」(スコラ)とか、山本直樹さんの「フラグメンツ2」(小学館)とかをどさどさ買い込みベラベラと読む。「陰陽師」は冒頭から「大極」や「五行相克」に関する晴明による難しい講義が続いて頭ぐりんぐりんになる。物語が始まったからさあ面白くなるぞと安心したのも束の間、勉強したばかりの「五行相克」を復習するかのよーな問題が提出されて、またしても頭を絞らされる。巻末の案内を見ると「全12巻刊行予定」になっていて、獏さんそんなに話書いていたっけと訝り、けれどもあと6巻も続きが読めるのかと喜び、だからといっていつ読めるのか解らないし、スコラが持つとゆー保証もないので、とりあえずは引きで終わったエピソードの結末を教えてもらえるよーに、次の巻「天后」だけは出してちょーだいと強く祈る。「フラグメンツ2」、みんなセックスばかりしているなあ。いいなあ。


【8月29日】 午前中から渋谷をウロウロ。仕事をサボって「まだらけ」でコスプレ見物、って訳じゃー絶対になくって、渋谷にある映画制作会社に行っていろいろと話を聞きにいったんだけど、とにかく午前中だってのにセンター街の人の多さには圧倒される。まだ夏休みってこともあるんだろーか、とにかく学生さんっぽい若い人が群をなしてゾロゾロと歩いては店をのぞき、道ばたにしゃがみ込んでは煙草を吹かしたり、ケイタイかけて仲間を集めたりしている。背広じゃないけど上着にネクタイの格好ではとにかく浮きまくりな地域で、「マンサラ野郎」ってな若者のジト目を気にしながらセンター街じゃないけど渋谷のスクランブル交差点を渡っていかなくちゃならない、近隣の国営放送局に通う人たちの精神的圧迫が忍ばれる。

 時間があったので東急ハンズで模型のコーナーをブラブラ。「新世紀エヴァンゲリオン」のリアルモデルの新製品が入っていて、「サキエル」と「ゼルエル」に興味を引かれる。でもあんまり良い作りじゃないよーに見えたので、「サキエル」は9月に出るとかゆー「LM−HG」の方を買って色塗ったり改造したりすることにしよー。「ゼルエル」も出るんだったけか。そお「LM−HG」には幻とゆーか画面には1回も登場しなかった「参号機」(だったかな?)がリリース。全身を銀鍍金(メッキ)パーツで固めたフォルムは、プラスチックに色塗ってある関係からか妙な安っぽさがあって、バイオっぽいフォルムの他の「エヴァ」シリーズとは一線を画す雰囲気に仕上がっている。でも粗組みで結構イケちゃいそーなので、初心者の僕にはちょうどいいかも。購入、考え中。

 時間だ、東急ハンズを抜けてすぐそばにあるマンションの1室に桝井さんとゆー人を尋ねる。知る人と知るこの人は「アルタミラピクチャーズ」とゆー映画制作会社の偉い人。といってもちょっと前までは映画会社にいて周防正行さんとかと映画を作り、独立して周防さんたちを会社を興して、「Shallwe ダンス?」を企画制作した。最初はどーかと思われていたこの映画も、心配をよそに去年公開された映画ではナンバー1の評価を勝ち得、年度末の「日本アカデミー賞」では全部門を総なめにする快挙を果たした。映画はそのまま海を越え、7月からは全米で公開が始まり、最新の数字では130スクリーンにかかって、「影武者」の興行収入を抜くことは確実と、かの「ヴァラエティー」にまで評されるほどのスマッシュヒットを放っている。

 これだけの映画を作った会社ながら、名前がそれほど知られていないのは、ひとえに日本の映画が出資した人が1番エラいってことになっていて、「日本アカデミー賞」のような場でも、映画会社の社長がトロフィーを手にして大はしゃぎするよーな事態が起こるから。実際に企画し制作もしたアルタミラピクチャーズは、あれだけのヒット、これだけの世界的評価を受けながらも、文化庁の助成金とか国内ヒットの報奨金とかで持ち出した資金を埋め、ようやくプラマイゼロってことになったらしー。あの大ヒット映画をして、ですもんね。

 よくぞ怒らず腐らずにやって行けるもんですねってことだけど、そうも言っていられないのか、米国の配給会社の「ミラマックス」との間で、周防監督の時期作品の企画が上がったら、真っ先に見せる「ファースト・ルック」ってゆー契約を結んで、米国流の仕組みの中で仕事をしていくことに決めたそーな。契約の話を横で聞きつつ「大映」に人は「ふーん」ってな顔をしていたとかで、これだけ聞くと「もののけ姫」で大フィーバーの日本映画界も、根底の部分で結構ヤバい状況に来ているんじゃないかって気がしてくる。「どうせ次もオレんとこに持ってくるだろう」って、そりゃ甘いよね。

 期待の周防監督は監督業はしばらくお休みのよーだけど、企画ではフジテレビにポニーキャニオン、そしてアルタミラが共同製作の形を取る「がんばっていきやっしゃい」を担当している。来年だかの公開に向けて今月から撮影が始まったとか。「坊ちゃん文学賞」とゆー「ふるさと創生的地方文学賞」の中でも、老舗で格式もありそーな賞を受賞した作品。台本を見せてもらったら、メインキャストは新人ばかりのよーだけど、中嶋朋子ちゃんとか白竜とか結構シブいところも出演しているから、過去にどんな作品が受賞して、そこから今大活躍の人が出ているかなんって明るい話をまったく聞かない文学賞の受賞作品でも、もしかしたらそれなりに楽しめる映画に仕上がるかもしれないと期待してみる。と書いてみる。一応。義理人情もあるし。

 マンションを出てその足でさくらやの上にあるホビーコーナーを覗く。東急ハンズでは正価だった「リアルモデル」が1500円程度のバカ安で出ていて、それなら「サキエル」「ゼルエル」も買ってもいーかなと誘惑がむくむくわき出て来る。でも引っ込める。流石にリアルモデルを持って運輸省の記者クラブに帰った日にゃー、今でさえ「たまぴっち」に「アスカ」のガシャポン人形をブラ下げて顰蹙を買っているものが、一段の「オタク」扱いを受けていじめらえ、早引けしなくちゃならなくなる。どうせ「オタク」扱いされるんだったら、リアルモデルなんってちっこいこと言わないで、全長が40センチくらいあったでっかいモデルを担いでいくぜ。あと「ザンボット3」のLD−BOXぶら下げて、とかね。

 仕事をしたのかしないのか、ともかく夜になったのでソニー・ミュージックエンタテインメントが主催して日本や亜細亜各国からアーティストを集めて演奏させるイベントに、青山スパイラルホールまで出かける。冒頭に登場した日本から参加の「B☆COOL」は美少年もどきがステージ上で徒党を組んで踊るチャチャみたいなグループ、って別に桃太郎はいませんけどね。ダンスも唄も上手いけど、だからどうだってゆーインパクトがない。インディアン風のボロっとした衣裳も特徴ではあるけれどありきたり。これだったら頭に羽根でもさして上半身ハダカで踊った方が迫力あるぞ。あとは白い衣裳にバンダナ巻いて「一発太郎」の芸名で「ペッパー警部」唄うとか、ね。

 中国の「アイジン」は流石に日本でもちょっとは知られているだけあって上手い、そして綺麗。なんだかデビュー当時の白井貴子を思い出しましたね。顔も声も全然似てはいないけど。大股開きでアコースティックギターをかきならすその演奏スタイルには、もう舞台前にかぶりつきで見たくなるほどのオーラがこもっている。だからといって、スカートだったらって考えるのもはばかられるほどに(はばかりはしないけど)、熱気のこもったステージを見られただけでも、行った価値があったってもんだ。

 とゆーことは残りはオマケかってことになるけれど、しかしオマケなんて言ったらオマケが喜ぶほどに、登場して来るアーティストがそれぞれに個性も才能も存分に持っていて、やっぱりプロは違うな、デビュー前でもプロになろうってだけの腕を持っているなと感じさせられた。感銘したのがタイから来た小娘がボーカルの「le」。コロコロとしたスタイルのショートヘアの女の子が、ギターをじゃかじゃかかきならして詠唱したり、マイクスタンドをけっ飛ばして激しく唄ったりと、迫力たぷりのステージを見せてくれた。似てないけどリンドバーグをちょっと思い出した。

 それからジュリアードを出たとかゆー米国在住の韓国人が、エレキバイオリンをで「サマータイム」なんかを弾く「Eugene Park」にもちょっち注目。葉加瀬しかいない「クライズラー・アンド・カンパニー」ってことかもね(葉加瀬がバイオリンだったかは知らないんだけど)。日本からの来場者は亜細亜の次のスターを探し、亜細亜からの参加は日本のアーティストを見てそれから全体のウケ具合を確認する。つまりは一種の亜細亜地区オーディションて感じなんだけど、来場者のウケ具合から見るとタイと韓国のアーティストは相当にいい線を行っているかもしれない。先物買がお好きな方に勧めしまーす。アイジンはあげないぞー。


【8月28日】 超ラッキー。9月6日に開かれる「闇のエコエコ大祭」のご招待に当選、テレビ東京で放映されなかった第19話から第26話までの上映会と、佐伯日菜子さんのトークショーを見られることになった。テレビのうねるような映像美(美?)と、佐伯日菜子さんのジロ目な演技に圧倒されて、一気に「エコエコロジスト」(環境保護運動とは無関係、って当たり前だ)への道を歩んだ者として、とにかく見たくて仕方がなかったイベントだもん。あっちこっちの媒体で募集していたものに片っ端から応募。ウェブの投票ページで応募したのが当たったのか、キネ旬で募集していたのに当たったのかは解らないけど、もし当たんなかったら職務権限をフルに活用して、後ろめたい気持ちを抱きつつも潜りこもうと思っていたほどだったからなー。入り口で「おとといおいで」と追い返されそーな薄いうすい職務権限ではあるけれど。

 30日に石丸電気だったかで開かれる「LD−BOX」の発売記念イベントにも出かけるつもりだけど、こっちにも佐伯日菜子さんは来るけれど、上映されるのが第13話だったかなとにかく1話分くらいしかなかったから、放映されなかった分を見るためには、それこそ現在放映中の北海道に移住するか、9月26日からレンタル開始されるビデオを借りるか、それが嫌なら年末に予定されているとゆー「LD−BOX」の第2弾の発売を待つしかなかった。午後の2時から8時までのロングランイベントだから、途中で眠ったりしないよーに、前の日はしっかり寝ておかなくっちゃ。当日は確か記者クラブ向けにJR西日本の主催で「京都駅ビル視察プラス駅ビルホテル初泊まり」なんて行事があったけど、「エコエコ」の方が大事ってのは明々白々なのでパスすることに決定。「エコエコロジスト」として当然、だよね?

 ソニー・ミュージックエンタテインメントグループのアニメ製作会社で、今や全世界のオタクと子供が楽しみにして、木曜夜7時が来るのを待っているとゆー超話題アニメ「はれときどきぶた」を作っているそSPE・ビジュアルワークスの人と話す。だらだらと書いた惹句が、あながちJAROとは言えないほどに、高い視聴率を稼いでいるそーで、全年齢ではふたケタも間近、子供だったら20%は行っているそーな。流石に「ポケモン」には叶わないものの、テレビ東京の全アニメで「こどものおもちゃ」も「少女革命ウテナ」も「スレイヤーズTRY」ももちろん「みすてないでデイジー」も上回る、第2位の地位をほとんど確実のものにしつつある。

 フジテレビでは「るろうに剣心」という、これも人気のある作品を手がけているSVWだけど、この局には化け物「サザエさん」に「ドラゴンボールZ」に「ちびまる子ちゃん」と視聴率だけは稼ぎ出すアニメが目白押しだから、それほど目立っていない。けれでもテレビ東京だったら、ふたケタ稼ぎ出せばそれはもう脅威的な数字に間違いなく、おまけに夕方5時台とか6時台とかいった「おたくのゴールデンタイム」じゃない、夜の7時とゆー「ちゃんとした」ゴールデンタイムでのふたケタ確保を達成したのだとすれば、それはやはりニュースに違いない。フラッシュ出しても良いぞ、テレビ東京。

 あまりの人気に小学館での漫画掲載誌も、これまでの幼児誌と学年誌でも「小学1年生」と「小学2年生」だけだったものを、近く全学年誌に拡大することが決まったとか。小学館の看板雑誌になったそーなの「コロコロコミック」にはまだ進出は決まってないよーだけど、番組が順調に視聴率を稼ぎだし、巷に「はれぶたグッズ」があふれだし、盆踊りで「はれぶたダンス」が流れるよーになった暁には、それこそ「ちゃお」から「SAPIO」から「BEPAL」から「DAIME」にいたる全雑誌が「はれぶた」を取りあげるよーになり、長年小学館がマークにして使って来た「ドラえもん」に変わって、「はれぶた」が小学館の看板キャラクターになるのだ。「ピカチュウ」に踏んづけられている図柄で、だけど。

 東小金井に行く。といえば解る人にはすぐ解る、「スタジオジブリ」に鈴木敏夫プロデューサーを尋ねて近況を取材する。前に会ったのは東京テレビセンターだったので、すべてのアニメファンのエルサレム(ちなみにメッカは武蔵野の方、かな)を見たのはこれが初めてになる。ベランダに木をたくさん植えている写真を見るたびに、いった根っこはどう処理しているんだろーか、もしかしてオフィス内は天井から根っこが生えてジャングルのよーになっているんだろーか、的な好奇心を持っていたけど、当然のことながら天井には全然根っこは生えてなかった。毎日ちゃんと手入れしているのかな。

 「もののけ姫」は11月までのロングランになるそうで、あの長蛇の列に恐れをなしている人でも、9月かせめて10月になれば、ゆっくりと座って見られるかもしれない。でも上野の博物館で何年か前に開かれた「プラスティネーション展」のよーに、終わりに近づくに連れて列が長くなるイベントもない訳じゃないから、かけ込み観覧の観客でやっぱりぎっしりってことになりかねない。いくらなんでもそこまではと思っても、なにせ常識外れな受け方をしている作品だから、もうホント締めてみるまでは解らない。「ET」を抜くにはあとだいたい400万人の観客数が必要だそーだけど、3カ月あるからなんか届きそーな気がしてきた。抜いた暁には、「ET」が「SW」みたく「デジタル厚化粧」でリバイバル上映をやって客集めに出なければ、10年は君臨し続けるだろーね。宮崎を越えるのは宮崎だけなのかなー。河井真也さんでも無理だよなー。

 あっと宮崎さんはまったく仕事をしなくなるってことではないそーな。宮崎さんが認識している「監督」は、企画から脚本、演出、絵コンテ、原画チェックまでしっかり自分でやるってことで、脚本書いて絵コンテ切って演出するって程度の、つまりは普通一般のアニメ監督がやっている(あるいはそれ以上の)仕事からも、すっぱり足を洗うってことではないとのこと。そもそもが3月だったかの製作発表の席上で、これから仕上げるぞっと意気込んでいた時に「次の作品は」と聞かれて「次なんかねえ」と半ばあきれ起こりながら喋ったことに尾鰭がついて、本人の発言がそれに輪をかけて「引退」ってことになったとか。ただし、次になにかやると具体的に決まっている訳でなないよーなので、もちろんそのまま引退ってことも絶対にないとは言えない。ここまで来ると世間が許さないけどね。

 今市子さんの新刊「大人の問題」(芳文社、562円)は「GAME」にも通じるゲイコミック。父親が母親と離婚してゲイに目覚めて10余年、その父親がついに身を固めると美形の青年を紹介してきてひと騒動とゆー展開で、ベタベタした雰囲気もシリアスな濡れ場も一切なく、もうそれはケラケラと笑いながらおかしなシチュエーションを楽しむことができる。父親の愛人とゆーか伴侶とゆーか戸籍上は息子にあたる青年の実家の母親と姉たちのズボラぶりが爆笑もの。なんかほかでも読んだことのあるシチュエーションだったけど、なんで読んだのかなー。そこまで出てるのにい。


【8月27日】 「もののけ姫」に破られるまで日本の映画配収記録のトップを誇っていた「南極物語」で制作デスクを務めたのが、フジテレビに入社して最初の仕事だったとゆー映画プロデューサーの河井真也さんが登場する記者会見が、キャピトル東急ホテルであったので出向く。河井さんが現在所属するポニーキャニオンが、広告代理店の博報堂と組んで”ビジネスとしての映画作り”を行うプロジェクト「PeacH」がいよいよ立ち上がるとゆー内容で、河井さんはポニキャニと博報堂からエラい人たちが出席する間に挟まって、映画の制作発表のような華やかさとは対極に位置するような真面目で神妙な顔つきで、プロジェクトの概要を話し始めた。

 「南極」が「もののけ」に抜かれたことへの感想は、絶対に聞かれるんだろーと予想していたのか、発表会の冒頭から「うれしいけれど・・・」と複雑な心境を吐露し、「実写で抜き返したい」と抱負を語る。流石に記者の聞きたいこと、聞いてくるであろうことがよく解ってらっしゃる。プロジェクト自体は、1期2年の間にとにかく映画の企画開発を行い、出来る物から製作に取り組んでいこうとう内容。とにかく売れる映画作りに重点を置いていて、河井真也さんの映画製作に関するノウハウと、博報堂が持つマーケティング力を結びつけて、デジタル他チャンネル時代、マルチメディア時代に、マルチユースの利くオールライツな映像ソフトの資産を、確保していこうとゆー考えがあるらしー。

 すでに8本ほど企画が立ち上がっていて、日本と香港と台湾の若手監督を起用してオムニバス形式で撮る作品はちょっと「スワロウテイル」的で、世界にカラオケを売って歩くセールスマンの話は「僕らはみんな生きている」のカラオケ番ってことになるのかな、んでもって衛星デジタル他チャンネルの台頭などで急激な変化にさらされているTV局を舞台したコメディーも、業界物に強かった「ホイチョイムービー」の後継ともいえるから、つまりはいかにも河井さん的な作品が、ラインアップとして並んでいるってことになる。なかに20年近くも映画を撮っていない長谷川和彦さんに監督を務めてもらう企画とかも入っていて、本当に実現するんだろーかと心配しつつも、話題性はあるだろーなと皮算用が頭に立つ。

 第1弾に決まっているのも、舞台演出家の宮本亜門さんがはじめて監督を務める作品だったりするから、知名度はあるけれど映画は素人な人に作品を撮らせて、話題性で客を集める従来の手法と、そーたいして違いはない。じっくりと時間をかけて良い作品を企画開発していく「PeacH」の趣旨に沿っているんだろーかとゆー疑問も起こったけれど、せっかく立ち上げるプロジェクトが、いきなりコケては立つ瀬もないとゆーことで、「実に監督らしい人」と河井さん自身のフォローをつけて、話題性のある宮本さんを1番に持って来るってのは、「ビジネス」としては至極真っ当な手法なんだろー。この辺はいつか本人に聞くことにしよー。会ってくれれば、だけど。

 吉野朔実さんの「恋愛的瞬間」(集英社)の第3巻を購入。意志が薄弱なのかそれとも単に自分を傷つけるのがいやなのか、あいまいにしているうちにのっぴきならない環境に追い込まれたり、置いてきぼりを味わうことって結構経験があるけれど(ってゆーか今の自分がまさにそー)、そんな女性が登場する話ばかりが収録された第3巻は、比較的コメディーな要素のあった前2巻と比べると、極めてシビアなエピソードのオンパレードとなっていて、読み通すのに結構気力が要された。疚しいところがあるのを隠そう、カバーしようとして親切にしてしまって、結果ドロ沼へとはまって抜け出せない「恋愛の才能」なんて、優柔不断な人間にとってズンと胸に応えるエピソード、だもんね。

 一番最後に入っている、30過ぎまで未婚で処女(なんだろーな)な女子校教師のエピソード「世界の果てまで」は、いつか王子様が、いつかシンデレラがなんて思い続けて、未だ1人物の30男女にとって、結構重たいメッセージを発している。「動けばいいじゃん」と言われたって、そんなこととっくに知ってらい、でも動けないんじゃないか、自分が可愛いから、動いて摩擦が起こるのが嫌だから、ってのが現実的な答え。サハラ砂漠のホテルで押し倒されるところまで進むことのできた主人公を見ながら、やっぱ漫画じゃんと一人ごちる弱腰な30男女が結構いそーな気がする。僕を含めてね。

 北村薫さんの新作「ターン」(新潮社、1700円)を購入、「スキップ」のよーに時間と記憶をテーマにした作品だとは聞いていて、装丁もどこか「スキップ」に共通するところがあるけれど、「スキップ」でオヤヂな評論家たちを号泣させたよーな感動を秘めているかどーかは、まだ1ページも読んでいないのでなんとも言えない。とりあえずは早急に西澤保彦さんお「仔羊たちの聖夜」を片づけなくっちゃならないから、かかれるのは週末、ってことになるんだろー。「ミッドナイト・ブルー」(ナンシー・A・コリンズ)のシリーズの最終巻「フォーリング・エンジェル」も出たけれど、その前の「ゴースト・トラップ」もまだ読んでいない。今週こそ週末は缶詰だな。


【8月26日】 「デッ、デカルチャー!」、なのであった。いやー、いったい何年ぶりになるんだろーか、「超時空要塞マクロス 愛おぼえていますか」を見るのは。公開から間もない時期に、名古屋駅前の映画館で2回ほど続けて見た記憶があるけれど、どんなストーリーだったのかボンヤリとしか覚えていなかった。てっきりテレビと大差ないストーリーだと思っていたら、夏休みのアニメスペシャルとして千葉テレビで放映された「愛おぼえていますか」を録画したものを、家に帰って再生してみて、あまりのテレビとの違いぶりに「デカルチャー!」と驚いた。冒頭からミンメイ歌いまくりのキスしまくり。そうかこの「愛おぼえていますか」、ミンメイをフィーチャーした一種のアイドル歌謡映画だったんだな。記憶ってあてにならない。

 どーして「マクロス」が宇宙にいて、どーしてその中にアイドルがいて、どーしてゼントラーディーとかと闘っているのかってことの説明が一切なく、時系列をズタバラにしてつなぎ合わせた「春エヴァ」も真っ青の、フリの客を一切寄せ付けない映画に仕上がっていた。公開当時は「マクロス」現象に熱狂していたから、画面にバルキリーとミンメイと早瀬大尉が映ってさえいれば安心して見ていられたけれど、10余年を経て改めて冷静になって見てみると、結構すごい映画だったってことに気がつく。「春エヴァ」のわかりにくさを非難する声が起こったよーに、きっと当時もいろいろな論争が起こったんだろーなー。エンディングのスタッフロールでメカニックデザイン強力にかがみあきらさんの名を見つけて涙。早瀬大尉の「男の子は仕事を謝ると一生不幸よ」って言葉が妙に心に染みる。もっと叱って、土井美加さん。

 六本木プリンスホテルでフロリダから来たITECとゆー会社の社長の人とランチョンミーティング。1月にフロリダに行った時に会ったことのある人で、ディズニーストアとかベースボールカフェとかのデザインワークや、テーマパークのアトラクションの設計、プロデュースなんかを手がけている。「SPA!」の編集の人も来ていて、内情ってほどじゃないけれどいろいろと仕事の段取りを聞き、ほんとフジサンケイグループって人使いの荒い会社だってことを認識する。けどまあ、好きなことを出来るってだけでも「SPA!」の方がはるかにマシか。しゃべりだしたら止まらないザンボットで開明したオタクの彌津亮太氏(だから誰なんだ)が、会社では寡黙におとなしくパソコンをペコペコやっていると聞く。ふーん、そうなの?

 ミーティングの後は講演会。あちらこちらで手がけた仕事を社長の人がスライドを使って説明していたけれど、もうすでにフロリダでさんざんっぱら見せられたものなので、ちょっと退屈する。終わり掛けになって「現在計画中のプロジェクト」と言って披露した一種のテーマレストランに、ハッと目がさめる。その名も「ボブ・マーリー・レストラン」(仮称)。レゲエの王様ボブ・マーリーの家を模した建物がレストランになっていて、観客はボブん家にお呼ばれにいくって感覚を味わえる。出てくる食べ物がジャマイカ風なのかは知らない。ウエイターが全員本格的な一切のシャンプーを拒否した果ての天然ドレッド・ヘアだったらちょっと臭いかも。日本じゃー絶対に営業停止だな。

 ボブ・マーリーのレストランが可能なら日本じゃー美空ひばりレストランだって可能だね。あの「ひばり御殿」にお呼ばれに行くって感じ。そこに「待ちねえ」とかいってギターを抱いた渡り鳥が登場するんだ。あと寅さんの「とらや」を模したレストラン。でも1年に1回しか寅さんは帰って来ないから、会えた人はよほど幸運ってことになるね。さくらファンとかタコ社長ファンとかだった毎日通おう。芸能人以外ではそうですね、綾辻行人さんの「館シリーズ」をテーマにしたレストランとか。同じ敷地内に「十角館」とか「時計館」とか「迷路館」とか「黒猫館」とかが建っていて、中にはいると黒いメガネをかけた「アヤツジくん」がウエイターとして迎えてくれる。隣でナタが振り下ろされ、横では首が吹っ飛ぶなかで食べる血みどろのステーキの味たるや、きっと格別なことだろー。モツ煮込みって手もあるか。どーですか誰かやりませんか綾辻さんの許可もらって。

 本を買う。創刊なった「カドカワエンタテインメント」のラインアップに入っていた西澤保彦さんの「仔羊たちの聖夜」(1000円)は、タックとボアン先輩とタカチの3人が登場するあのシリーズ。今晩のお楽しみ。それから「クイックジャパン15号」は、「ご存じ」大泉実成さんと竹熊健太郎さんに東浩紀さんを交えた「もののけ姫」と「夏エヴァ」に関連する座談会。昔だったら「クイックジャパン」が取りあげたってことで話題になったけど、映画公開から1カ月以上が経過して、あらゆる雑誌に感想とかが出まくった後になると、たとえ非凡な対談であっても、流石にちょっといーかなってゆー気になる。慣れって恐ろしい。食べ過ぎって怖い。


【8月25日】 「今日立ち読みしたSFマガジンによると」、とり・みきさんが脚本を書いた「機動警察パトレイバー」の新作には、どーやら「パトレイバー」がほとんど出てこないらしー。おまけに押井守監督の暗い暗い「パトレバー2」に輪をかけて、暗くて救いよーのない話になるとか。出渕・ゆうきの「パトレイバー」が壊されたって言い出す輩が出るんじゃないかと、「SFマガジン」に登場して、大森望さんのインタビューを受けているとり・みきさんが話している。もっともインタビューによれば、果てしなく暗い新作の「パトレイバー」にも、ゆうきさんはちゃんと最後までコミットしているそーで、つまりは果てしなく暗いパトレバーも、立派に出渕・ゆうきの「パトレイバー」ってことになるんだとか。

 映像作品としての「パトレイバー」を、つい最近まで見る機会がなかったから、押井守さんが監督したOVA第1期や劇場版の2本の「パトレイバー」を、出渕・ゆうきのパトレバーじゃないと非難した人がいたのかどーかよく知らない。まあ僕自身、慣れ親しんだ漫画版と、劇場版のとくに「2」との雰囲気のあまりの違いにとまどった口だから、漫画版に思い入れたっぷりだった人が怒ったかも知れないってことは、容易に想像できる。だって全然可愛くないんだもん、野亜ちゃん。後藤さんはカッコいーんだけどね、劇場版の方がより輪をかけて。

 けれども漫画版に圧倒的に思い入れのあった僕が見ても、劇場版の「2」ってのはもうぞくぞくするくらいに凄みの感じられる作品で、怒るなんてとても出来やしなかった。こうなるととり・みきさんには、押井の「パトレイバー」を壊さないでくれってお願いしてみたくもなるんだけど、一方で「山の音」のように、不気味でもの悲しい雰囲気の作品を幾つか描いているとり・みきさんが、どんな暗くて救いよーのない脚本を書いたのかってことにも興味がある。今はどちらとも軍配を上げることができない。とにかく絵が付いて動き出すのを待つより他にない。待ち遠しいよー。

 週刊アスキーの特集「世紀末ニッポンにつける劇薬」に、「カルト資本主義」で今や売れっ子のジャーナリスト、斎藤貴雄さんが登場している。前著「夕やけを見ていた男 評伝梶原一騎」の著者略歴にはちゃんと書かれていた前歴が、「カルト資本主義」では簡素化されていたから、本が売れて出世するに従って、いよいよ過去の隠蔽を図りに来たかと思っていた。週アスの記事にしっかり書かれていたところを見ると、別に隠していた訳ではないらしー。あるいは黙っていたのを勝手に書いてしまったとか。まー隠したくなる気も解らないでもないけれどね、「日本工業新聞記者」だったって前歴なら(爆)。

 同じ特集には「UNO!」の花田紀凱編集長も登場しているけれど、下からあおった写真だからなのか、額が妙に広がっているよーな気がする。きっとストレスが溜まりまくっているんだろーなー、あんな売れない雑誌やってれば。自分のことを棚に上げて、人様の額を云々するなんて余計なお世話だって言われそーだけど、何の気なしにページをめくっていても、ヤバい人のところに来ると、同類の感性がピピピッと反応して、パッと手がとまるよーになっているのです。次は貴方の顔の前で、手がピタっと止まるかもしれませんよ。その時はキッパリあきらめて、ともに輝ける人生を謳歌しよーではありませんか。花田さんも一足先に来てますから。

 運輸省で午後から10階の会議室に缶詰。1998年度予算に運輸省が概算要求する内容の事前レクがあって、各局からエラい人たちが出て来て、自分とこの目玉施策はこれだってなことをさんざんっぱら喋っていた。およそ4時間にわたってレクは続いていたよーだけど、あれやこれや細かい施策を懇切丁寧に説明したところで、解禁日に新聞の記事としてどーんと出るのは、旧国鉄長期債務の問題に決まっているから、どれだけ長く丁寧なレクも、旧国鉄長期債務問題以外は、結局は砂浜に水を撒くよーな徒労となってしまう。

 28兆円からある旧国鉄長期債務の処理にかかれば、とるにたらないよーに思えるほんの数億円ってレベル施策でも、それを享受する側にとっては、時には死活問題にもなりかねないほどの重みを持っている。けれども紙媒体のスペースには限界があって、紙面を通じて届けることの出来る情報には、おのずと制限が課せられてる。そんな時こそ、物理的な制約を持たないネットに期待がかかるところだけで、今のところは人的・金銭的な制約が、ネット向けオンリーの記事を制作することを許していなくても、そのうち資本力をバックにマイナー情報の電子化に着手して、マイナーな情報を欲しがるセグメント化されたターゲット向けに広告を集めて、しっかり儲けることになるんだ。かくしてメディアの集中はネット時代も止まることを知らず、貧乏な工業新聞はただ黙って消え去っていくことなる。やっぱ前歴、消したくなるよなー。


【8月24日】 23日から広島県で開かれている日本SF大会で決まった星雲賞の受賞作が、はや「SFオンライン」で紹介されている。短編は草上仁さんが「ダイエットの方程式」で受賞したようでまずはおめでとう御座います。まだ住友生命に勤務しているんだろーか。ビッグバンもあれだし、ホント専業になって「ウェディング・ウォーズ」とか「お父さんの会社」のよーな長編をバリバリ書いて欲しいのに。長編はやっぱりな森岡浩之さんが「星界の紋章」(ハヤカワ文庫、500円)で受賞。これに気をよくして早く続きを書いて頂きたいもんです。ファンは飢えている。

 しかし、いつもだったら9月発売か遅い年は10月発売の「SFマガジン」が出るのを待って、なにが受賞していたのかを知っていたのに、ネットにアクセスするよーになってからは、SF関連フォーラムとかに翌日とか翌々日に参加者の大会リポートがアップされて、そこで受賞作を知ることができるようになった。今回の「SFオンライン」の手早さといったら、受賞作が発表されたであろう23日夜には既にアップされていたから、もうほとんどフラッシュといっていーかも。便利な世の中になったなー。主催者が開いている「あきこん」のページは、イベントリポートにでっかい写真1枚掲載しているだけってのがちょっと頂けない。2つ3つコメント入れてくれるだけでも、場の雰囲気が伝わって、それならオレも来年行こう、ってな人が増えるかもしれない。「SFオンライン」には是非とも「SF大会リポート」の大増刊をお願いしたいところです。

 「ねらわれた学園」の第4話「対律(たいりつ)」は清水厚さんが今シリーズで初めて監督、地面が斜めになって人が斜めに立っているなんて、もうバリバリな清水カットを見せてくれて、くらくらと目眩がして頭にたっぷりと汗がたまる。冒頭からして、陽炎に揺れる中を登校してくる楠本和美が映し出されて暑そーなのに、繰り返し挿入される、生徒会室で楠本和美と高見沢みちるが対座しているシーンなんて、みちるから受ける圧迫で汗びっしょりの和美が、苦痛にあえぎ最後は鼻血を吹き出すあたりまで、もう緊迫感の連続で、見ているこっちまで暑くなって来る。

 汗で貼り付いた和美の制服をアップで撮るところなんて、もうすっごく猥雑。腕の部分で胸の部分じゃなかったのがちょっと残念で、せめて背中に汗がびっしょりとたまって、ブラの線が透けて見えるところまでイッちゃって欲しかった。清楚なイメージのなかに、時折残酷な言葉を織りまぜる馬渕英里何さん演じる高見沢みちるは、劇場版「ねらわれた学園」で佐伯日菜子さんが演じた強面で不気味なみちるとは違った、無垢ゆえの恐ろしさを内部からひしひしと発散していて、次第に恐さが伝わって来る。前回見たときはちょっとスベったかなと思ったけど、これで納得。ずっとこの演技で押すんだろーか、時に豹変して粗暴になるんだろーか。気分としては是非とも前者で通して頂きたい。

 先週のコミケに続いて今週はワンフェス。もー「オタク道」ばく進中で御座います。あれほど涼しかったコミケに比べると、今日は臨海副都心線を降りた瞬間にムッと暑さが全身を包み込み、そびえ立つ逆三角形の東京ビッグサイトにたどり着くまでに、Tシャツの汗がじっとりと滲んで来る。60万人を集めたとゆーコミケに比べれば、行列も出来ておらず廊下もすいすいと歩けたけれど、いざ会場に入るとぎっしりと詰まった人、人、人、コスプレの波で暑さがさらにいや増す。冷房入ってるんだけどなー。プレスで入ろーかとも思ったけど、招待状云々と鬱陶しいことを言われそーだったので、ちゃんとチケットを買って入場、水玉さんイラストのカタログがいかにも「ワンフェス」って雰囲気を出している。

 とりあえず霞タカシさんとゆー人が原型を製作したスポールさんとラフィールを探して会場をウロウロ。ホームページの『仙人小屋』に出ていた案内では、各10コつづとあったので、もしや即売り切れかと思っていたけれど、会場に入って30分くらいたった12時くらいで、しっかり売れ残っていたのが嬉しいやら哀しいやら。聞くと他には星界物はどこにも出ていないよーで、SFファンの間では星雲賞を受賞するほどに絶大なる人気を誇っているキャラクターでも、アニメとゲーム全盛のガレキ界においては、思っているほどの知名度はないってことなんだろー。神林ミランダは即完売だったみたいなのにね。うーん、げしょげしょ。

 星雲賞受賞記念だと自分を納得させてスポールさんとラフィールを両方とも購入、しかしガレージキットなんて生まれてこのかた買ったことも作ったこともなく、プラモデルですらもう15年以上も手にしていない。そんなんでいきなりレジンなんて作れるのかと問われれば、たぶん作れないと答えるしかないが、そこは努力と根性と、前に買ったエヴァのキット製作手引き本なんかを参考にしながら、時間をかけてじっくりしっかり作りたい。しかし昨年末のビデオ購入からLD、DVDと来て同人誌に走り、そしてガレージキットと止まるところを知らない「オタク道」。こうなれば次はコスプレでもするか、それとも同人誌を作ってコミケかコミクリかコミティアで売るしかないなー。絵、勉強するか。

 しばらく各社のブースをながめて回るが、やっぱりエヴァ関係は絶大なる人気を誇っているみたいで、印象では確実に3分の1、いや2分の1はエヴァに関する品物を販売していたよーな気がする。「サクラ大戦」も大小とりまぜて相当数が出ていて、アイリスとか神崎すみれには結構良い品物があった。あと光武も相当数出ていて、5センチくらいの小さな光武が5000円くらいするのを見て、こりゃやっぱなかなかなビジネスだわと呆れ感心する。「YAT」の桂さんも何十種類か出ていたけれど、顔立ちにあんまり満足できるものがなかった。コトブキヤはさすがに大手だけあって品物もクオリティーが高く、白布がチラりと見える「ガガガ」のミコトとか、突き出した胸のラインも美麗な「ナデシコ」のユリカとか、もう手元に金があって自分に腕があれば、ぐあばーっと購入してそのまま家に閉じこもり、寝食を忘れて作りたいって気にさせられた。いかん、やっぱりハマりつつある。30過ぎで「慎治」になっちまったか、僕も。


【8月23日】 むーう。近所の本屋を何件か回ったが、やっぱり菅野美穂は入っていない。同じ目的なのかアイドル写真集のコーナーにやって来てはぱぱっと詰んである山を見て、ぶすっと顔をしかめて足場やに立ち去る兄ちゃんが多いのにも辟易するが、あっちはあっちで胡乱な髭禿(だけど長髪)おやじがぶすっとした顔で写真集コーナーに立ちすくんでいる姿を見て、もっと気味悪がっているに違いないが。

 バツが悪いのをごまかすために、「僕は菅野美穂を探しに来たんじゃないよー、芸術書を見に来ただけなんだよー」ってな顔で写真集コーナーをウロウロ。HIROMIXの新作が2点ほど並んでいて、特に風景写真を集めた大判の「空」(ロッキンオン、3333円)に惹かれるが、手持ちが少なく購入を見送る。海上から取った湾岸のビル群の逆光の写真とか、夜のイルミネーションの映える東京タワーを見上げた写真とかが、「20世紀ノスタルジー」で見たビデオ映像のザラっとして空虚な東京の街に凄く似通っているよーな気がする。もう1冊のモデル写真はどーでもいーや。

 さいとうちほさんの「少女革命ウテナ 第3巻」(小学館、390円)が出ていたので買う。1巻と2巻じゃあピンクだった表紙の学ランがいきなり黒くなっていて吃驚。アニメに合わせて日寄ったのかって下司な想像をしたけれど、本文にとりあえず納得できる説明があったので納得する。仮面ライダーに突然線が入ったよーなもんだな(って全然違うか)。でもコミケであれだけ「ウテナ本」を見ちゃった後だから、ウテナとアンシーがあんなことしないし、ミッキーと冬芽もこんなことしない普通の漫画が、どーも物足りく思えて仕方がない。喜びを1つ知るたびに、楽しみを1つ失うんだなー。

 暑かったので昼間から麦酒をぐびぐび。気を失って目が覚めたら午後になっていたので、千葉テレビをつけて「御先祖様万々歳」を見る。荒れたドライブインでのエピソードは、LDで見た劇場版の「MAROKO」ではいきなりのドライブイン到着から逃亡までをサラっと撫でているだけで、とくに文明の登場が唐突過ぎていまいち話がつかめなかった。OVA版を見てなるほどふんふんこーつながっていたのかと納得、加えてLDではほのめかしてさえいなかった麿子と文明と四方田家との関係が、ちゃんと説明されていていた。第1話と第2話を見逃したのが重ね重ね悔しいが、見られただけでも良しとしよー。明日は最終第6話を放映予定、県内の人は要チェック。こんなレア物をタダで見られるなんて、千葉県民でいてよかったなー。それ以外の人は千葉県民じゃないことを悔しがって下さい。

 出るのも億劫なのでそのままテレビ三昧。おお「勇者王ガオガイガー」は最終回もかくありなんとゆー壮絶なバトルとそしてお約束ともいえるヒーローの大復活。ダラダラと涙を流していた命の顔がいつもと違って劇画入ってるよーな気がしたなー。でも最終回じゃないから次回予告はちゃんとあったけど、「次回もファイナルフュージョン承認」な小林清志さんのナレーションがなく、ブキミなイメージのなかで新たな敵の登場を予感させる映像が流れた。プリマーダ亡き後の敵側女性キャラに新顔が登場するらしく、ちょっとだけ期待がふくらむ。華ちゃんにはかなわないけどね。

 時間があると見返してしまう「機動警察パトレイバー2」。ストーリーも好きだけどアニメになって映し出される東京の街がリアルでけれども虚ろで、ぼーっと見ているとその街で生きていること事態も虚ろなものに思えて来る。って千葉県民だから東京には通っているだけで住んではいないんだけどね。「20世紀ノスタルジア」からこっち、隅田川べりの雰囲気に妙に惹かれてしまっていて、「パト2」では永代橋がミサイルに爆破されるシーンに「20世紀ノスタルジア」でもう少し川上にある清洲橋から永代橋の方を俯瞰したシーンとの共通項を探してしまった。いつになるか解らないけれど、引っ越すなら次は隅田川沿いに住みたいなー。どっかいいとこないだろーか、狭くても構わないから2部屋あって8万円くらいんとこ。

 そうか明日はワンダーフェスティバルか。さすがにガレキにはまだ興味はないけれど、コミケにいっちまった駄賃だ、エンターテインメント絡みの企画も迫っているんで、世の中の動向を調べるとゆー純粋な学術的興味から、とりあえずのぞいて来よう。万札3枚も握っていきゃあ大丈夫かな、ってなんか買う気か。でも1分の1は3万円じゃー買えないからなー。カード使えるかなー。


【8月22日】 ははははは、水道が止まってしまった。ちゃんと銀行引き落としの手続きはとってあったんだけど、ここんところ手元流動性が極端に悪くなっていて、指定の口座にお金を振り込んでいなかったのが祟ったみたい。でもガスと電気はちゃんと届いているから、きっと引き落とす日時がズレていて、そっちにとられた後でカラッポになってしまった口座に、水道料金の請求が来るようになっていたんだろーなー。

 買ったばかりのカップ焼きそばが食べられないので、「けった」漕いで水道センターに行ってお金を払い込み、帰って待つこと30分。前庭でごそごそと音がして元栓を開ける音がして、すぐに水も出るよーになった。ああ文明。次はたしかPHSの払い込み期限が迫っていたなあ、払わないとブラックリストにのってしまい、ついでに「たまぴっち」で救援メールも来なくなる(来たことほとんどないけど、友だちいないもんで)ので、これも早いとこ払い込まねば。

 菅野美穂の写真集を探して本屋を放浪、なれどすべて売り切れ完売の状態で、ついに手に入れることが出来なかった。しくしくしくしく。藤田朋子の「遠野小説」(荒木経惟+藤田朋子、風雅書房、3800円)は回収前にしっかり手に入れて、今も持っているけれど、お楽しみ度はやっぱり若い菅野美穂の方が上だからなー。なにやって楽しむのって、そりゃ「リアルサウンド」聞きながら楽しむってことだよ、だって顔が見えるから、イメージつかみやすいじゃない。それだけそれだけ。

 本屋じゃあ「サンタ・フェ」以来の騒ぎだなんて店員が喋っていたけれど、衝撃度ではやっぱ「サンタ・フェ」の方が上だったと思う。当時はヘア・ヌード自体が珍しかったし、それに絶頂のアイドルだったし。比べて菅野美穂、数十万部って予約が集まってるみたいだけど、とりあえずの物珍しさから予約だけ入れてるってケースが多数あると思う。いい気になって増刷繰り返してると、「サンタ・フェ」みたく在庫が積み上がって、結局損したなんてことになりかねない。でもまあ確実に「リアルサウンド」よりは売れる訳で、「どーしてなんだあ」と怒りにまかせて写真集を引き裂く、ワープ飯野賢治さんの憤怒の顔が思い浮かぶ(コワ)。

 平成9年9月9日が「999」の日だからといって、JR東日本は盛岡で「999号」を走らせるイベントを開くけど、アニメの「銀河鉄道999」とは関係なしに、9月9日だけ管内のすべての列車にフリーに乗れる乗車券を、9990円で販売するって企画も実施するとか。新幹線も特急も確か自由席なら乗れたはずだから、結構お得なよーな気がする。ちなみに子供は4990円ね。前日からまたがる列車は、御前0時以降に到着する駅までは所定の費用が必要だけど、9日から10日にまたがる列車は、目的地まで乗れるってことになっているから、時刻表をひっくり返せば得しそうな列車便があるかもしれない。もっとも9月9日って平日の火曜日だから、理容師さん以外はちょっと利用はきついねえ。

 「小説新潮」を本屋で立ち読み。河口俊彦さんの「死線の棋譜」を読んで村山聖8段が結構ヤバい状況にあることを知る。チャイルドブランドの1人として、今をときめく羽生善治や羽生のライバル佐藤康光らに勝るとも劣らない実力の持ち主と言われながら、腎臓が悪く健康面に爆弾をかかえていたことが災いして、なかなか上に上がれずにいた。昨年はようやくA級まで上り詰めたが、健康面が優れなかったのか今期はB級に陥落、そして膀胱にガンがあることが解って、手術と入退院を繰り返しながら今期の順位戦を闘っている。

 「終盤は村山に聞け」とまで言われたほど、正確無比な読みを誇る村山が、河口さんのコラムによればB級順位戦の対局で、得意の終盤で詰みを逃して結局負けてしまったとか。体力がなく集中力が持続しないのだろう、とすればやはり相当悪いということになる。失礼を承知で言えば、あるいは若くして1線を去らざる事態に追い込まれないとも限らない。腎疾患の影響なのだろう、まるまるとして決してルックスが良いとは言えないだけに、羽生や佐藤ほど一般に広がる人気が出るとは思えないが、羽生と畠田理恵がうっふんなんて芸能界的話題だけで将棋界をとらえるワイドショーも、ここは是非とも村山に注目して頂きたい。


【8月21日】 夜更けまで「MAZE爆熱時空」を見る。現代編へと突入しての2週目は、なんだか斑鳩明の秘密なんかが明らかになった重要な回だったらしいけど、前後の脈絡をつかめないまま途中からずっと見続けていた関係で、おおそーだったのかってな種明かしの感動はあまりない。むしろ合間に流れる宣伝で、LDとビデオではテレビで放映したバージョンよりエロスがパワーアップされているってなことを言っていたので、そっちに方が気になって仕方がなかった。全編これバイオレンスなために、テレビでの放映が打ち切りになってしまった不幸なケースもあるけれど、ある程度妥協してテレビでは無難なところを見せておいて、パッケージにした時にバイオレンスとかエロスとかの描写を付け足す方法をとれば、テレビを見ていた人でもLDやビデオを買わざるを得ないもんね。狡いけど上手いなあ。

 続けて「みすてないでデイジー」を見る。まあこんなもんか。これがオリジナルと思って見れば、なかなかにほんわかしていて良いアニメじゃーないかって、そんな感想を持つ人が万に一人くらいはいるかもしれないけれど、歩野くんのアドレナリンのかけめぐり具合がやっぱり漫画とはずいぶん違うので、漫画のファンの人はやっぱり今週も戸惑いながら見たんだろー。永野のりこさんのファンだから見ないって訳にはいかないけれど、さりとて見れば見ただけ落ち込むってゆー悪循環は、絶対に精神衛生上良くないね。自虐がマゾヒスティックな快感に変わるって可能性も、この場合あまりないだろーから、それこそ同人誌のエス子ちゃんじゃないけれど、9月になって「デイジー」が終わるまで、人里離れた場所へと避難するか隔離されるしか、この悪循環を断ち切る方法はないんだろー。ああ、熱狂的なファンじゃなくて良かった。「コロコロポロン」を見た時の吾妻ひでおファンと今の永野のりこファンの、どっちがより不幸だろー?

 寝て起きて会社に行かねばならないと考えて気分がどっぷりと落ち込む。仕事したくないよーってことは常日頃から思っていることだけど、休み明けはとりわけそんな気分が強くなって、踏み出す足の重いことといったら、鉛の靴底に鉄板が貼り付いたような感覚を、木星の重力圏で味わっているにほぼ等しい。2日通えば週末だ、そうすれば行ったことがないけどたぶん楽しいワンフェスだって思えば多少は軽くなるけれど、それとて木星が土星に変わった(土星の方が重力軽かったっけか)程度の違いしかなく、あまりのダルさに電車の中でも人波を押し分けて強引に座席に腰を掛け、そのまま瞑想モードに入る。

 しばらくして気分も持ち直したので、買ったばかりの「SPA!」をベラベラ、なんだ「エヴァ特集」って巻頭記事のほとんどを大森望さんのコメントで埋めてるじゃないか、おまけに結語の部分にも大森さんのコメントが入っていて、あとはどこかで集めたコメントを抜粋して掲載してるだけじゃないか、なんかお手軽だなーと思ったものの、それでも特集が狙いとしたところが伝わって来るから、この返は編集の妙なんだろーなーと半ばあきれ半ば感心する。巻末の「次は火だ!」で四方田犬彦さんが女装したってことを書いていて、それが「週刊宝石」に掲載されているとあったので、立ち寄った本屋で「週刊宝石」を開いて。

 あっとここはどこだ、僕は誰だ。なんか凄い物を見たようことをうっすらとは覚えているが、いったいなにを見たのか記憶にない。ときおり頭にちらつく記憶に激しい頭痛が引き起こされることを勘案すると、記憶になくってたぶん正解じゃないかと思う。そのまま「WIRED」の10月号。新聞各社の電子メディア関連の取り組み一覧があって、各社のあまりのしっかりした取り組みように愕然とする。単純に人員で比較しても朝日150人、日経100人、読売164人、毎日71人に対して産経はたったの38人。これで「電子電波局」なんて言ってるんだから、もう笑うより他にない。えへへへへ。はあ。

 しかし情報にアクセスする権利をいつのまにか確固たるものにしてしまった新聞が、その情報を2枚下ろし、3枚下ろしで加工し、かつ大量の人材を投入して「電子新聞」を送るようになった以上、通信社などからお金を払って情報を買い、それを加工して整理して提供するよーなネット専門の新聞が登場する可能性は、ぐっと小さくなった。新聞が長年の活動で培って来た看板への信頼性はもちろん認めるが、しかし「知る権利」の代弁者を読者から付託されて、それ故に官庁情報や企業情報に直に接する機会を得ている新聞が、情報を2次利用、3次利用することによってお金を儲よーとした時に、「知る権利」の代弁者たる自らの立場を省みたのか、ちょっと聞いてみたい気がする。電子メディアだけの日刊紙が登場した時に、新聞協会が加盟を認めるのか、記者クラブが加盟を認めるのか。技術的には決して夢の話ではないだけに、遠からずきっと問題になるだろーね。

 人の名前と人の顔を覚えられない悪い癖が出たのか、昨日書き上げた今野敏さんの「慎治」(双葉社、1750円)の感想文に、どえりゃー間違いがあることを日曜日の日経の森下一仁さんの書評を読んで発見する。担任の教師の古池とゆー名字を、どう読んだのかずっと深井と書いていた。いっそなのは最初の「ふ」だけ。もしかして精神の襞に「深井」とゆー名前が刷り込まれていて、それが夏休みでぼーっとした頭にひょっこり顔を出したのかもしれない。でも知らんぞ「深井」なんて。本屋では北川歩実さんの新刊「猿の証言」(新潮社、1800円)を購入、なんか読みやすいなーと思いながら、あっとゆー間に100ページくらいまで来てしまう。きっとまたアクロバティックな謎解きが用意されているんだろーなー、読み終えるのが今はとにかく楽しみ。

 「猿の証言」は、表紙の折り返し部分にこれからの「新潮ミステリー倶楽部」としての刊行予定が掲載されていて、タイトルもなにも決まっていない人リストの中に森博嗣さんの名前があって吃驚。だって森さん、受注生産はしない人でしょ、いったいどーして新潮社が執筆の約束をとりつけたのがが不思議でならない。もしかしてたら街頭募金の格好をして「お願いします(原稿を)」と言って「ハイ」と森さんが答えたのを、「執筆受諾」と取っているのだろーか。ちょっと謎。島田さん綾辻さんの名前もあるけれど、ペースだけは圧倒的な森さんと違って、たとえ受諾はしてもらっていても、現物が出来上がるのはきっときっとずっとずっと、先のことなんだろーなー。期待持たせやがって。


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