縮刷版97年3月下旬号


【3月31日】 消費税3%最後の日。欲しかったものを買いだめしておくのが賢い独身者の暮らし大百科なんだけど、先立つナニがないから買いだめなんてとても出来ず、「人造人間エヴァンゲリオン量産機」のプラモデルもパイオニアLDCから出た「エヴァ」のカレンダーCD−ROMも、空山基さんのちょっとエッチな画集も荒木経惟さんの写真全集の買い残し分も、涙を飲んで買うのをしばらく先にのばす。これくらいの品物ななら、2%くらい消費税が上がったってたいして差額は出ないんだけど、昨日まで必要のなかったお金が明日から急に必要になるのって、やっぱなんだか悔しい気持ちがするんだよなあ。

 大日本印刷が新しいカードの資料を持ってあらわれる。ホログラムがプリントされた透明フィルムを全面に張り付けた新しいカードの案内で、東京三菱銀行のCMに登場する、「101匹わんちゃん」の絵柄がプリントされたキラキラカードに使われているから、見たって人やもう持ってるって人も多いかも。関係ないけど、あのCMで縄跳びをピョンピョンと飛んでる女の人たち、とりわけピンク色のスーツを来た女の人に、いつも目が行ってしまうのです。なぜってそれは彼女たちがスカートをはいてるから。それ以上の理由は私的な趣味に関わることなので、おおっぴらにはとても言えない。

 銀行がキャラクターを使ったカードを使い始めたのは、こーゆーものへの規制が緩やかになった4年くらい前からだったと思うけど、東京三菱のよーに、ディズニーキャラクターとゆー全世界で圧倒的な人気を知名度をほこるキャラクターを確保したところは別として、ほかの銀行は例えばモスコウィッツの恐竜キャラだったり、ディック・ブルーナのミッフィーちゃんだったり、Jリーグのキャラクターだったりといった具合に、どーしてもディズニーに比べて半歩から1歩、中には100歩もキャラクターの知名度が落ちてしまう。

 それならばいっそ、もっとレアなヲタク・マーケットをターゲットにして、そこから確実にユーザーを吸収する戦略に出ればいーんではないですか。例えば「綾波レイのイラスト&ホログラム付きキャッシュカード」なんてものを提案すれば、三鷹市水道局のポスターを何万円も出して購入する数百、数千のユーザーから、中途半端な映画に前売りを買っておしよせる約20万人のユーザーまでが預金者になってくれますよ、角度によってホログラムの絵柄の綾波が、プラグスーツを着たり脱いだりすればなおいっそう確実ですよ、ってな出鱈目を大日本印刷の人に向かってひとくさり喋る。ヲタク財布の底なしぶりに注目が集まっている時期だけに、もしかしたら騙されて「エヴァカード」なんてものを作る銀行が出るかもしれないけど、これはみーんなアカデミズムやジャーナリズムに潜入したヲタク学者やヲタク記者の、己が趣味を満足させんがための駄法螺ですから、企業の人は決して信じないよーに。

 お台場のフジテレビ新社屋を見たさに、ワープとフジテレビジョンの共同記者発表会に出向く。今や業界では飛ぶジャンボジェット機をはるか成層圏の彼方へと吹き飛ばすパワーを発揮している飯野賢治・ワープ代表取締役や、フジテレビCGセンターのプロデューサー、編成の人なんかが出席して、7日から始まる新番組「デジタルチャット」のプロモーション。深夜の24時20分から30分まで10分間だけ放送される帯番組で、耳より情報なんかを紹介する内容だけど、そのパーソナリティーに、ワープが誇るバーチャル・アイドルの「ローラ」が起用されたとゆーことで、飯野さんのお出ましとなった。

 なんでも人間の顔中にセンサーを取り付けて、変化する表情をデジタル情報にしてCGに反映させる機械を使って、パーソナリティーのローラに表情や口パクを付けるのだとか。顔だけじゃなく手や胴体も、日本の伝統芸能「文楽」の人形操作の手法をデジタルに取り込んだ「サオバー文楽」の技術で、ちゃんと手をあげたり体を傾けたりするよーになっている。ゲームのジャケットなんかでは無表情でちょっぴり恐いローラだけど、番組では人間の表情を取り込んだ関係で、妙に人間くさくなっている。目がちょっと寄り目気味なのは何故だろーか。

 質疑応答の段になって、「なんでパーソナリティーがローラなんだ」と聞いた人に、飯野さんは「私はホリプロの人間じゃないし、だいいちローラの方が綺麗でしょ」ってな剛胆な返事を返した。もちろん女性の趣味は千差万別だから、中には「DK−96」が好きな人もいれば、バーチャル・アイドルなんて絶対に認めないって人もいるだろー。飯野さんはそれこローラの「生みの親」かつ「育ての親」だから、ローラに対する親の欲目にはかなり根強いんだろーね。しかしウラの放送局ではほぼ同じ時間に、水着の姉ちゃんとかミニスカの姉ちゃんたちがたっぷり登場する帯番組をやっていて、そーいった番組を好む世間一般の人々に対して、美人とはいってもしょせんはビットのカタマリに過ぎないローラが、すんなり受け入れられるものなのだろーかと、ふと疑問に思う。

 2次元、3次元のキャラクターだから×(バツ)ってことはなくって、例えば「おかめ納豆水戸一番」と連呼して歩く「サリーちゃん」のCMに、目と耳と頭と体がピクッと反応してしまうよーに、幼少の砌(みぎり)より全身に刷り込まれたキャラクターが持つ訴求力は、時として生身の女性のパワーを上回る。翻ってローラの場合、知名度はまだまだ決して十分とはいえず、いきなり画面に登場すると、とまどう視聴者も少なからず出そーな気がする。あるいは、とまどいなんかさらさら抱かず、3次元CGのキャラクターに全く違和感を持たない若い世代がジワジワと増えていて、そんな人たちがグリグリグリっと番組に引き込まれていくのかもしれない。個人的にはやっぱ、「綾波レイ」がパーソナリティーやってくれた方がいーなー。フジではぜーったいに無理だろーけど。


【3月30日】 午前2時10分からテレビ東京で「エコエコアザラク」を見る。先週寝てしまって見逃したから2週間ぶりの「エコエコ」タイム。暗いくらい黒井ミサが、なぜか笑顔を見せたり料理をしたりと八面六臂の大活躍で、ちょっちいつもと雰囲気違いませんかと訝りながら、ハーフタイムまでをとりあえず見る。後半に入って夢魔との闘いが始まり、謎の呪文を唱え出すあたりまでくると、上目遣いで相手をにらむ、いつもの黒井ミサとゆーか佐伯日菜子さんの表情が戻ってきた。

 しかし佐伯日菜子さん以外は、相変わらず知らない俳優さんばっかり出演しているし、幻想的なはずの夢魔の世界が、どーしても近所の公園にしか見えないあたり、予算を切り詰めて作っていることがうかがえる。「エヴァ」再放送がなくなった今、「中居くん温泉」といった強力な番組をウラに持って、いったいどれくらいの視聴率を稼いでいるのかは謎だけど、大きなスペースを裂いて報道した責任もあるし、来週も頑張って見よう。起きていられたら。

 目が醒めたのでセガサターンの「エヴァ2」をプレイ。これまで見られなかった「ドカヘル綾波」のアニメシーンをようやく見ることが出来た。中学校の制服だったらまだ似合いそうなドカヘルだけど(そーかー?)、体にピッタリした真っ白なプラグスーツを着ている時に、ドカヘルを被ってるのってとっても奇妙な光景。でも白いプラグスーツに白いドカヘルってところが、ちょっちコーディネート入ってていーかも。夏のコミケあたりで誰かやりませんか、「ドカヘル綾波」のコスプレを。

 サッカーに行く。カップルとアベックと逢い引き連中でごった返す日曜日の京葉線舞浜駅に、黒いジャージ姿で降り立つ不幸ったらないけれど、これも甲斐性なし男の自業自得とあきらめて、トボトボと会場の浦安運動公園へと向かう。集まりが悪いのは相変わらずで、本当に今日のこの時間でよかったのかと不安になるが、しばらくするとわらわらとメンバーが集まってきて、産経新聞グループ各社のサッカーチームが参加する「トキワカップ」の、対浦安センター戦が始まった。

 中盤が薄く、攻め手に欠けるのはいつもどーりの展開で、ゴールキックもクリアボールもすべて相手チームに渡ってしまうから忙しい。現業部門の浦安センターだけあって若い人材が多く、いくら若手のアルバイトくんたちを加入させても、社員選手のほとんどが30歳をとうに過ぎたロートルばかりとあっては、相手のスピードにとてもついていけない。前半にとられた1点も、相手のスピードを殺せずに、そのままゴール前まで持っていかれてシュートされたものだった。

 それでも守備陣頑張って、相手の得点を前半の1点に抑えたのが良かったのか、風上に立った後半に、立て続けに2点をとって見事勝利を飾る。「トキワカップ」はこれで2勝1敗。次に「CTS」チームに勝てば、優勝は無理だけど結構いー線いくんじゃなかったっけか。もっとも野球部なんかと違って、会社内でも知名度が低すぎる我らがサッカーチーム、いくら活躍しよーとも、給料は上がらないし差し入れもない。こーなれば某社長を引きずり込んで一気にサッカーチームの知名度向上を図るかとも考えるが、そーすると後ろから味方のタックルが某社長に集中して、収集がつかなくなること必定なので、我々だけで黙って静かに勝利の喜びを味わうことにしておこー。

 30分ハーフの試合は30歳を越えた身にははなはだツラく、デカい荷物を肩にかけ、足を引きずりながら家路へと急ぐ。あまりに疲れていたので、まるで夢の中を歩いているよーな気分になって、それでもどーにか事故もなく家まで辿り着くと、手に見慣れない荷物を持っていることに気がついた。西武百貨店のビニール袋。中をあけるとこれは吃驚、昨日買うのを見合わせたはずの「新世紀エヴァンゲリオン」のプラモデル「人造人間エヴァンゲリオン初号機輸送台仕様」が入っているではないか。きっとこれは浅草方面から、「買え買え買え」とゆー電波が送られて来ていて、ボーッとした頭に働きかけられたに違いない。はなはだ心外だが、買ってしまった以上は作るのが筋なので、ゴールデンウイークにでも終日家にこもって、パキパキと組み立てることにしよー。明日家に帰って手を見ると、「エヴァンゲリオン量産機」をぶら下げていたら、もっと吃驚なんだけどなー。可能性は・・・・超高い。


【3月29日】 起きたら2時。それも午後の。時間があったら秋葉原でもウロウロしてみよーと思っていたけど、これから出かけるのも面倒くさいし、なんだか天気も悪そーなので、近所のデパートをウロウロするだけに止める。で、近所のデパートの玩具売場を初めてのぞいてみたら、模型店では品切れ続出とかゆー「新世紀エヴァンゲリオン」のプラモデルが山と積んであるではないか。新製品の「初号機輸送台仕様N2爆弾付き(シンちゃんとユイさんも)」なんて10コくらいあったし、ほかにも「零号機」の使用前・使用後仕様、トウジの乗ってた3号機の使徒前・使徒後仕様もあった。ないのは2号機くらいかな。あと最新版の「量産タイプ(ウナゲリオンね)」も。

 一瞬買っちゃおうかなって気になったけど、どうせ作らないだろーし、作っても置いておく場所がなくってホコリが積もって最期はバラバラになるのが目に見えているので、中身を確かめるだけにしてそっと元に戻しておいた。考えてみればプラモデルなんて、中学校に上がったくらいからほとんど作らなくなっていて、中学校高学年の時に「ガンプラ」が大流行した当時も、ついに1コも買わなかった。興味がなかったって訳じゃなくって、高校に上がるかどうかって時に、何故か拳銃のプラモデルばかり(コルトのシングル・アクション・アーミーとかコルト・パイソンの4インチとかモーゼルとか。あと44マグナムの12インチも)を、セコセコと作って遊んでいたことがあった。

 でもその後は本を買うことに忙しくなって、とてもプラモデルまでお金が回らず、ガレキが流行ろーとプラモデルを買うお金が出来よーと、以来15年あまり、ついにプラモデルに手を出さないでいる。「エヴァ」のプラモデルは、完成品のフォルムの美しさに惹かれる部分が大で、1つ、2つ手元に置いておきたいって気にさせられた久方ぶりの作品だけど、パッケージにあるよーに作れるはずもないので、とりあえず「今日は」買うのを見送ることにする。でも「明日は」わからないなー。1万円冊握りしめて、デパートのレジに並んでるかもしれん。可能性は・・・・高い。

 「勇者王ガオガイガー」を見る。「勇者シリーズ」なんて「ダ・ガーン」をほとんどと「ジェイデッカー」をとぎれとぎれで見ていたくらいだから、かれこれ4年ぶりくらいになるんだろーか。あの高橋良輔さんをPDに迎えての最新作は、見かけは人語を解するロボットが出てきて新幹線とかが合体してロボットになって敵を倒すってゆー、たぶんこれまでの「勇者シリーズ」を踏襲したものなんだろーけれど、ゾンダーなんて正体不明の敵の設定だとか、迫力の戦闘シーンとかに、新しい(中年の)アニメファンを惹きつけるところがあるみたい。あと女性キャラの顔立ちがなかなか。スワン・ホワイトのヘンな喋りもいーけれど、僕は華(ハナ)ちゃんが好きです(爆!)。

 んでもって、特番で「逮捕しちゃうぞ」が飛んでしまっていたので、30分の間をおいてNHK教育の「YAT安心!宇宙旅行」を見る。先週のヒキで見せた山本社長とゴローの父親との因縁は、大きなストーリー上の謎となって、これからのエピソードにたびたび登場することになりそー。来週もやっぱり父親がらみになるみたい。あと、先週の初登場ではプクプクになっていたゴローの母ちゃんが、昔ハスリムな美人だったのは驚いた。ちょっぴりヨロメいてしまったけど、僕は山本社長がバーチャルな世界で出会った子供の頃の桂さんが大好きです(爆々!!)

 ヤングアダルト本を何冊かと横田順彌さんの「古書狩り」(ジャストシステム、1600円)を買って読む。紀田順一郎さんの「古書探偵」に似た古書がらみのミステリーを扱ったシリーズかなって思ったら、意外とSFテイストだったりファンタジーテイストだったりする作品が多くって、SFファンとしてちょっと嬉しくなった。もちろんミステリーっぽい話も好きだけど。しかし古書店を回ったり古書市をハシゴしていて美少女に出会う話が多いってのは、もしかして横田さんの願望か、それとも現実の出来事か。ときどき古書店をのぞく限りでは、ついぞ絶世の美女が紙魚でガサガサの本を繰ってる、なんて光景にお目にかかったことがないから、30年以上にわたって古書を漁り続けている横田さんの、たぶん心からの願望、なんだろーね。


makutu 【3月28日】 なんか「魔窟」を公開するのが浜松方面で流行っているみたいなので、ちょっと前に撮っておいたベッドサイドの「積ん読」の山の写真を貼り付ける。別にサイドボードとかに積んであるんじゃなくって、もろベッドの上の眠る場所を削って積んであって、反対側のベットサイドにも文庫本が山となっているから、寝返りなんてほとんどうてない。真ん中辺りにあるグレイのカタマリが枕だから、頭が来る場所の幅がだいたいどのくらいあるか解るでしょう。脇にある本の山は高いところで1メートル。写真を撮ってから1カ月くらい経ってるから、現在本の山は1・2倍くらいになっている。崩れおちたら顔面崩壊は免れないだろーけど、他に置くとこもないし、手近に本をとれるんで、これでなかなか重宝してる。しかし最近地震が多いからなー。

 「ニューリリース」のコーナー向けに加山雄三さんのアルバムを聞く、んじゃなくって加山雄三さんの楽曲を別のアーティストたちがカバーした楽曲を集めた「トリビュート・アルバム」を聞く。タイトル名「60CANDLES」が表しているよーに、4月に還暦の60歳を迎える加山さんの、俳優としてではなくシンガー・ソング・ライターとしての業績を讃えた記念碑的なアルバム。参加しているミュージシャンはASKAにカールスモーキー石井に杏里に玉置浩二にチューリップに高橋幸宏に甲斐よしひろにさだまさしに南こうせつにその他たくさん。とにかく一流中の一流どころが、実にそれぞれのオリジナリティーを出して、加山さんの名曲の数々をカバーしている。

 カールスモーキー石井の「君といつまでも」は「歌謡ショウ」のイメージで浪々と歌い上げるあのパターン。「しあわせだなあ」のセリフもちょっとエッチに変えていて、なんだか米米のライブを聞いている感じにとらわれた。「夜空を仰いで」のASKAはもろASKAだし、さだまさしの「旅人よ」、南こうせつの「幻のアマリリア」なんて、そのまま彼らのアルバムに入ってたって不思議じゃないくらいのこなし振り。「LOMELY NIGHT COMING」の杏里はボサノバっぽくって気持ちよかった。

 「蒼い星くず」のチューリップはちょっとGSが入ってたかな。「ブラックサンドビーチ」の多羅尾伴内楽団(プロデュースド・バイ・大瀧詠一)なんて他に考えられない人選だね。デモには入ってなかったけど、THE ALFEEが「夜空の星」(だったっけか)をカバーしているそーで、ちょっと聞いてみたい気がする。ファンハウスから4月23日発売。2枚組3900円。それぞれのアレンジがカラオケになったら、おっさんだけじゃなくって若い人も、カラオケボックスで加山雄三さんを唄うよーになるかなー。ちょっと提案してみるか。

 五反田のイマジカに行ってギャガ・ヒューマックス配給の話題作「MISTY」を見る。豊川悦司、天海祐希、金城武とゆー亜細亜の3大スタアが出演しているこの映画は、芥川龍之介の「薮の中」を原作に、森の中で起こった殺人事件をめぐって、武士とその妻と盗賊がそれぞれの立場で、それぞれに異なる真相を語り合う。子供は見ちゃだめって指定がかかった映画だから、ハダカもいっぱい出るのかなあって期待してたのに、天海はなぜかバストの稜線すら一切画面に登場させず、トヨエツとの絡みのシーンも天海はせいぜいがふくらはぎと白いももを見せるくらい。むしろトヨエツのお尻の方が頻繁に画面に登場する。

 舞台となる鬱蒼と茂った森林の映像には圧倒されたけど、それぞれがそれぞれの立場で、異なる真相を語り合うに至った心理ってのがイマイチわかりにくくって、目先の綺麗な映像にただ押し流されるだけで、作品世界になかなか入り込めなかった。それから天海って頬がふっくらしてるから、昔風の美人顔なのかなって思っていたけど、現代の細アゴ美人を見慣れた(テレビや雑誌でってことだよ。直に見る機会なんてないよ)目には、男たちが争って取り合うよーな超絶美女にはどーしても見えなかった。カッコ良いはずの金城武が杉本哲太に見えるのも問題。トヨエツだってあんまりワイルドじゃないし、スタアをはめる役所が、ちょっとづつズレてるよーな印象も受けた。ファンにはそれでも楽しめる作品。天海さん、次はいーかげん根性すえて脱いでね。


【3月27日】 新宿にある会社に取材に行って、入り口のテーブルで待っていると、向こうから「始末書を書けー」と大きな声が聞こえて来た。「えっ、オレなんか悪いことしたかなあ」と考えるが、思い当たることなど腐るほどあって、いったいどれが始末書で済む程度のことだったのかなーと、この1週間に起こした数々の失敗を振り返る。って、もちろんこっちに向かって言った言葉じゃなくって、誰か若手の社員の失敗を上司が叱っていただけのことで、「始末書とゆーのは失敗したってことを書くだけじゃー駄目なんだよ、何で失敗したかを書いた上で、次に失敗しないためには何をすればいーかを書くんだよ」って、実に為になるお言葉を間接的に頂いた。次に始末書を要求された時の参考にしよー。しかし、しばらくして叱っていた当の上司の人が、取材の相手として登場した時にはちょっとビビったねえ。僕も怒られるんじゃないかと思って。

 ホテルオークラに東映の製作発表を見に行く。東映の高岩淡社長に角川書店の角川歴彦社長が出席しての、98年陽春公開の超大作アニメーションの発表とゆーから、もしかしたら「エヴァ」の続々編でも作るのかなーって期待した貴方。大ハズレ。アニメはアニメでもタイトルは「蓮如物語」。そう、浄土真宗を再興した蓮如の生涯を子供にも解るように書いた五木寛之さんの「蓮如物語」(角川書店刊)を原作に、真宗大谷派(東本願寺)が製作するアニメーション映画の発表会が、関係者出席のもとで開かれたとゆーだけのことだった。

 製作スタッフに名前を連ねているのメンバーがちょっと凄い。エグゼクティブプロデューサーが俳優の松方弘樹さん、製作統括が日下部五郎プロデューサー、そして脚本が中島貞夫さんとゆー面々で、会見に出席していた五木寛之さん曰く、「メンバーを話したら『極道のお三方ですねえ』と言われました」。その時は五木さんも流石に一瞬考え込んだそーだけど、すぐに「蓮如ってのは権力から一線を画してアウトローの人たちを対象に仕事をした僧侶。へんに上品なスタッフで作ったら、そんな蓮如の精神は作れないんじゃないか」と思い直して納得したそーな。「極道ってのは仏教用語で道を極めた人のこと。本当の意味で道を極める映画を作って欲しい」と締めるあたりは、知識のつまった作家らしいお言葉だと関心することしきり。

 しかし今月に入って4度目のお目通りになる角川社長は、「東映とは2年前からアニメをやってまして、いまは『エヴァンゲリオン』が公開中です」と、やっぱりしっかり宣伝していた。ちょっぴり宗教がかっているとゆーか神がかっている庵野秀明監督の「エヴァンゲリオン」をやった1年後に、今度は大真面目に宗教がかっている映画(当たり前だよね、「蓮如」だもん)の製作に協力するとは、これでなかなかにフトコロが深いぞ角川書店。もっとも今年の4月に某エルカンターレ原作の「ヘルメス 愛は風の如く」を配給して、1年後に「蓮如物語」を配給してしまう東映の無宗教ぶりにも、商売に徹する商人の極道的覚悟がうかがわれてなかなか。そこまで深く考えてないかなあ。

 「ヘルメス」といえば、どこかで集団鑑賞会に行きましょうなんて企画が持ち上がっていて、なるほどそれも面白いかもしれないなと思ったけど、東映の試写室でたった3人で見た時のことを思い出すと、がらんとした映画館ででっかいスクリーンから照射されるエルカンターレ・パワーを全身に受けとめつつ、教化されないぞ、引きずり込まれないぞ、生きて帰るんっだって頑張るのも、結構楽しいと思うよ。見終わった後、食いしばるっていたためた歯とアゴが痛くなったし、顔なんか血の気が引いちゃったもんね。呆然と会社に戻って仕事がしばらく手につかなかった。あと、がらんとしてなくって、満杯の座席の周囲がすべて信者って環境で、たった1人部外者として話に乗れずに見るってのも、それはそれでキモダメってる感じがしていーんじゃないかなー。

 夕方から松竹セントラル1で、ギャガ・ヒューマックス共同配給によるアメリカ映画「乱気流 タービュランス」の試写会。ジャンボジェット機を1人で操縦することになったスチュワーデスの努力と根性物語(いえ、さっきまで「トップをねらえ!」見てたもんで)。ってちょっと違うけどおおむね正解。ラストの結末はハッピーエンドになるって解っているから、あとはそこまでどーゆープロセスを踏んで行き、どんな具合に話を盛り上げるかって点に、関心を集中してスクリーンを見ていた。飛行機をめちゃめちゃにするちょっとマルキな男を演じたレイ・リオッタが結構頑張っていて、迫力と狂気とお笑いに満ちた演技を見せてくれた。ラスベガスの空港に近づいた後に、お約束なお笑いがあってちょっと苦笑が漏れたけど、見ている時間だけはとりあえず楽しめる映画ってことで。もちろん「ヘルメス」よりは以下自主規制。


【3月26日】 なんのことはない、1日遅れただけでちゃんと出た「SFマガジン」5月号の特集は、表が伊藤典夫さんの監修による「エイリアンのいる風景」ならば、裏には「SFの現在を考える」がずどいーんと控えて、強烈なパワーで「本の雑誌」と「日経」の「クズ&氷河期」発言に鉄槌を下している。4月号の編集後記で触れられていた塩澤編集長の見開き2ページを使っての反論、「日経新聞の記事に関して」は言うに及ばず、野阿梓さん、巽孝之さん、小谷真理さんの論客3人が、口の限りを尽くして「本の雑誌」「日経」の記事に反論の舌鋒を加えているし、ホームページでお馴染みの森下一仁さんは、大森望さんがインタビュアーになった「SFインターセクション」に急慮登場して、思うところを語ってくれている。

 以前、「本の雑誌」と「日経」の記事について触れた時、これが呼び水となって専門家たちの間だけじゃなく、一般のシーンでも話題になって、もう1度SFを見直す(たとえそれば墓碑銘を刻む行為になろうとも)きかっけになればいいなと書いた。結果は残念ながら一般のメディアで取りあげたところは皆無であり、今回の「SFマガジン」を除けば、あとはインターネットのホームページなり、ニフティ等パソコン通信ネットのフォーラムなりで、侃々諤々と意見交換が繰り広げられたに過ぎずない。一般の人は「SFって氷河期なの」「クズなの」という以前に、そんな議論があったことを今もって知らないでいる。

 たとえ本好きでも、よほどの人でないと「本の雑誌」って読まないものだし、新聞の読書面だって、本好きが思っているほどには読まれていない。アカデミズムにウケの良い朝日新聞が取りあげたのならまだしも、日経新聞が1面トップとか社会面見開きでは全然ない、日曜日付けの文化欄で書いたからといって、それが既成事実として一人歩きするなんてことは、多分ないと思う。みなさんメディアの力を買いかぶり過ぎている、ってこれは弱小メディアにいる者故のひがみかな。ともかくも話題になったのが「SFマガジン」だけというのは、とりもなおさずその程度の話題性しかないということを示しているとは言えまいか。

 もちろん世間一般的に話題になろうとなるまいと、自分を含めた本好きのSF好きにとっては、大いに議論されてしかるべき問題だという認識に変わりはない。で、かんじんの「SFマガジン」のフォーラムの方はといえば、業界の人が業界の雑誌で予想どおりの反応をしているだけで、外に向かっての広がりがない。神林長平さんや大原まり子さんや高野史緒さんや鎌田秀美さんたちを持ち出して、すっげー作品はいっぱい出てるよと言われても、SF好きならそれくらいとうに読んでいるし、素晴らしい作品だと思っている。思ってもベストセラーの上位に顔を出すことがなく、大きい枠の書評で取りあげられることがないから、やっぱり「氷河期なのかなあ」と自虐的になってしまう。

 野阿梓さんの場合、「本の雑誌」の対談以上に「日経」の記事を「悪質なデマ」と糾弾しているが、書いた記者のことを「偏見と予断に満ちた悪意ある記事構成」を言い切っている箇所に引っかかった。一面識もない日経記者の見方をする気は毛頭なく、むしろ日経なんてだいっきらいな商売仇なのだが、本当に悪意があって、「本の雑誌」の特集に引っかけて「氷河期」の記事を書いたのだとは、実のところはあまり思えない。むしろ末尾で野阿さんが言っているような「裏返しのSFファンのアンヴィヴァレントな愛憎」が日経記者にあって、SF好きなんだけどちょっと元気ないじゃん、おっと「本の雑誌」が「クズ」って特集すんの、よしこれに引っかけて記事かいてやろー、「氷河期」って書けば注目されるかなー、ってな程度の軽い気持ちだったのではないかと勝手に忖度している。

 たとえそうであろうとなかろうと、許せないと怒るのが巽さんや小谷さんで、巽さんが「たえず斜に構えながら自分は何らのオルタネイティヴも発見することなく居座り続ける、あの小市民的シニシストの業界通妄想であろう」と断じれば、小谷さんはさらに激烈に「ジャンルSFを屈辱感のうちに捕らえ、これを貶めたいというくらい欲望が認められる」と分析する。仮に自分が先に述べたような意図で日経と同じ記事を書いたとして、巽さんかと小谷さんの意見は、「そこまでゆーか」とゆーよりは、「そーかもしれんな」と思うほどに、言葉は厳しいが真理の奥底を付いた言葉だと思う。

 だがしかし、「どーせSFなんて」とシニカルに語らざるを得ないほどに、SFおよびSF作家への認知度が低いのも確かな事実。巽さんがSFのカッコよさ、おもしろさ、高級感を伝えんがために編者となって制作した「この不思議な地球で」が、たとえ初版5000部が1カ月で売れよーと、買っているのはコア中のコアのSFファンばかりだろーから、そのカッコ良さは外には伝わっていない。森岡浩之っさんが20万部も売れたことを、「SF」というレッテルの側の勝利例として持ち出す人もいるけれど、あれって赤井孝美さんのイラストの効き目が、やっぱり相当あったんじゃないかな。高級感もカッコよさもないけれど、プロパー以外の読者を引きずり込んだって意味で、外に向かって開いていた戦略だったと思う。

 嫌がる人もいるけれど、表紙や帯で売れるのなら、とっかかりとしてはそれで良いと思う。あまりに表紙や帯と違いすぎて、逆に反発を喰らう例が多々あるのは問題だけど、このさいイラストや表紙で客を釣って、中身の面白さに引きずり込んで、そのままリピーターにしてしまうって戦略を、もっともっととって欲しいと思っている。最近の「SFマガジン」がヤングアダルトで数々の表紙やイラストを手がけている「若菜等+Ki」さんを起用したり(谷甲州「マリコ」)、もろ少女漫画な「たまいまさこ」さんがトップの短編に登場したり(ティプトリー・Jr「星ぼしの荒野から」)ってのも、それがきっかけになるなら決して悪い事じゃない。

 あとは「SF」のレッテルが張られていない作品をどう取り込んでいくかって点で、「ヤングアダルト」なんてレッテルをかぶせないで、面白ければ堂々と「国内SF」のコーナーで、ばいーんとトップで紹介しちゃえば良い。んでもって「SFマガジン」に連載を持ってもらって、他のコアだったりハードだったりする「SF」レッテルの作品と抱きあわせで読んでもらえば良い。読み飛ばす人もいるだろーけど、10人に1人が引っかかったって、相手は1冊で何10万部も文庫本を売る御仁たちだ。1割でも数万って数の人が、騙されよーと洗脳されよーとコアやハードになびいていくれれば、日本のSF人口も一気に倍々ってことで。そのままヤングアダルトの雑誌になって、コアやハードがバイバイってことも、考えられなくもないけどね。かなり高い確率で。(って書くから小市民的シニシストなんて弾劾されるんだな)

 SFジャンルの内側にいながらSFジャンルの外側に圧倒的なファンを持つ栗本薫さんをナマで見る。富士通と光栄が共同で開発した英語体験ソフト「ダークハンター」の発表会に原作者として呼ばれて来たもの。せっかくなので「SFってクズなんすかあ」とでも聞こうと、出たばかりの「SFマガジン」5月号を持って会場に入ったのに、襟川のとっつあん(かあちゃんはいなかった)と富士通の人がいるばかりで、肝心の栗本さんは席に座っていなかった。シアター・アプルで公演中の「天狼星」から抜けてくるとかで、発表が終わり質疑応答がつきかけよーとしていた頃になって、ようやく会場に入って来た。着席して2言、3言挨拶。続いて再び質疑応答になったら、こんどは質問が1つもでずに会見は終了。わずか5分ほどの滞在に、とても「SFって氷河期なんすかあ」と聞く余裕がなかった。聞く勇気もなかったとは、この際触れずにおくけれどね。


【3月25日】 新聞に掲載された「快傑のうてんき」の写真に反響はあるだろーかと商用ネットのあちこちをのぞいたが、「おたくのVIDEO−CD」発売の記事ともどもカケラも話題になっておらず、あらためて読者数の少なさを思い知らされ涙にくれる。がまあ、こんな記事をそもそもが企業のエラい人たちが読んでいる新聞に載せてしまおうってのが間違いなのかもしれず、そんな記事ばかりを書いている自分はいずれお払い箱になるだろーと、机の上に積み上げられた雑多なリリースやサンプルのソフトなどを整理して、いつでも身1つで路頭に迷えるよう準備をする。そーなったら誰でもいーですから、食べるもの下さいね。さんまの蒲焼き1缶でいーですから。

 25日になったので本屋に行って「SFマガジン」を探すが売ってない。同じ早川書房のウレ線雑誌「ミステリマガジン」は平台に山積みになっているのに、同日発売のはずの「SFマガジン」が並んでいないのは、もしかしたらいよいよ「休刊」とゆー名の「廃刊」を余儀なくされたかと心配になる。今度の号は先の「本の雑誌」の「みんなクズ」論争と、日経新聞の「氷河期」記事への反論とゆーか抗議みたいな特集が組まれると聞いていて、すでに森下一仁さんが大森望さんのインタビューを受けたりしている。しかし大森望さんの日記にはなにやら大変なことになっている旨の事が書かれていて、大変なことが発売日の遅延になったのかなー、などと勝手な類推をする。しかしおかしいなー。

 フォーシーズンズ・ホテルで開かれたセガ・エンタープライゼスとワープの記者発表会から帰って来た記者に、発表された新ソフト「リアルサウンド」のプレスリリースを見せてもらっていると、中に「リアルボイス・オーディション実施のお知らせ」とゆー紙が入っていた。「絵のないテレビゲーム」とゆーか「インタラクティブ音だけアニメ」とゆーか、とにかく異色のソフトだけあってプロモーションも異色みたい。柏原崇演じる「博司」に電話をかける役を一般から募集するとゆー内容のコンテストで、優秀な20人くらいには実際にゲームに登場してもらうことになるとゆー。

 応募は簡単。4月1日から5月5日までの間、03・5972・5151に電話をかけてセリフを吹き込むだけでオッケーだけど、相手は必ず「悪い。今、忙しいんだ。」と答えるから、そうした答えを引き出すようなセリフを考えて、自分の名前を入れて5秒間で何か言わなくてはいけない。例に出した2つのパターンのうち、1つが「もしもし、山科だけど、たまごっち手に入ったんだよ。」とゆーのがなかなかにお茶目だが、さすが柏原崇、誰もが「すぐ行く」と答えるところを、超然として「悪い。今、忙しいんだ。」と答えてしまう。クールだねえ。

 ソニー・マガジンズから出た「メイキング・オブ・ブレードランナー」(ポール・M・サモン、品川四郎監訳、3914円)を買う。映画が公開されるかされないうちに「メイキング物」が登場してしまうこのご時世に、初公開から15年も経った今さら「メイキング」も何もあったものではないが、初公開から10数年にわたって何種類かのバージョンが作られ、その都度騒ぎを引き起こして来た映画だけに、「最終版」が出ておちついた今でしか、やっぱり「メイキング」は書けなかったのだろー。

 公開時から注目しつつも貧乏な学生だった所以で映画館へと足を運ばず、家にもアパートにもビデオがなかったため、実は3年前まで「ブレードランナー」を1度も見たことがなかった。実家に帰省してビデオが導入されていることを知り、偶然見かけたワゴンセールで「最終版」が3000円だかで売られていたのを発見して、初めて「ブレードランナー」が「炎のランナー」とは違う映画であることを知った。ってのはウソだけど、とにかく自分にとっての「ブレードランナー」は、デッカードの喋りもハッピーなエンディングもない、ユニコーンの夢がもたらす不安定な未来の暗示に満ちた映画とゆーことになる。

 続編がどーなっているのかは知らないが、もはやハリソン・フォードがデッカードを演じることはないだろーし、ショーン・ヤングもレプリカントのよーな究極の美しさを保ち続けたままでいるとは、とてもじゃないが考えられない。かといってフォードもヤングもルトガー・ハウアーも出ていない「ブレードランナー」を見たいとも思えない。出来ることは「メイキング」を読んで昔を懐かしみ、K・W・ジーターの「ブレードランナー2」(朝倉久志訳、早川書房、1800円)を読んで行く末に思いを馳せることくらいなのだろー。でもやっぱり見たいなー、劇場版「ブレードランナー2」を。


【3月24日】 ドリーム・トレイン・インターネットが渋谷で開催したイベントで撮影した、ガイナックスの武田取締役統括本部長ならぬ「快傑のうてんき」と、みやむーこと宮村優子さんがバッチリ写った写真をデスクに差し出して、「これを載せるとオタクの読者に絶対にウケます」とゴリ押しして、記事といっしょに載せてしまう。これで日本工業新聞は、日本で初めて「快傑のうてんき」の勇姿を載せた産業専門紙となった。もしかして日本新聞協会加盟の新聞として初めてだったりして。こうなれば後は、庵野秀明監督演じる「ウルトラマン」もしくは「帰ってきたウルトラマン」を載せて、「おたく新聞」への道をなおいっそう突き進みたいところだが、これは流石に無理だろーね。

 「東京おもちゃショー」でビームエンタテインメントからもらったチラシに、「エヴァ」を除くガイナックスの一連の作品を、ビデオCD化してリリースして行くとゆー告知が載っていたので、これは面白いと記事にする。こんなん記事にしていいのかと自問しつつも、今はとにかく「ガイナックス」「エヴァンゲリオン」「庵野秀明」と付けば段が1つ、2つ上がる時代だと自答し、DVDのタイトルがどんどんと増えているこの時期に、ビデオCDだなんて遅れてるじゃんとかいった周囲の雑音も無視して、とにかく記事に仕立て上げる。ちなみに「たまごっち」と付けば段が3つ、4つ上がるんだけど。

 リリース予定では5月に「おたくのVIDEO−CD」を投入。これは「1982おたくのビデオ」と「1985続おたくのビデオ」をカップリング2枚組のビデオCDにしたもので、値段は確か6800円だったかな。記事の参考にならないかと、日曜日に秋葉原の中古ビデオ屋を何件か回ったけれど、どこも置いてなかったところを見ると、今やマボロシのタイトルと化しているらしー。これならビデオCDでも売れるかも。

 あとは「トップをねらえ!」全3巻に「王立宇宙軍オネアミスの翼」に「ふしぎの海のナディア」全10巻が順次リリースされる予定で、ガイナックスのたいていのタイトルが、すべてビデオCDで揃えられることになる。せっかくセガ・サターンを買ったことだし、1万5000円くらい出してビデオCD用アダプターを付け足して、ガイナックスシリーズを揃えてみるのもいーかも。かつてアダルトCD−ROMのレビューをやっていた時期に、サンプルでもらったアダルトVIDEO−CDも見られるよーになるし、ねえ。

 しつこく「UNO!」を買う。無論、西原理恵子さんの「有限会社とりあたま」を読むためであるが、のっけから花田編集長が「本てどうやったら売れるんだっけ?」と問いかけるコマが載っていて、売れないことを自虐できる(花田さんが自虐しているのかは別として)だけの売れてない雑誌になったことを実感する。西原さんやいしかわじゅんさん、大石静さん、田中康夫さんとコラム陣が結構充実している割には、特集のピンがどこか外れているよーな気がして、かつて「マルコポーロ」で立て続けに話題となったような、タイミングどんピシャリのキレがない。なんで桑田投手の奥さんなの? なんで丹波哲郎なの? なんで石田純一、ってこれはテレビ朝日にキャスター就任が決まっているからか。年内いっぱい保つか保たないかは別として、「とりあたま」だけはどっかで続かないだろーか。

 面識のある某編集者から手紙。かの「週刊アスキー」に移ったとゆー報告で、結構な年齢に達した人が冒険したなあと、ちょっとびっくりする一方で、渡邊編集長を良く知っている人だけに、なるほどなあとゆー気になった。そろそろ創刊までいくらも期間がなくなって来たが、岡田斗司夫さんが自分の「おたく日記」で「週刊アスキー」から連載を頼まれていると書いていたよーに、話題の先っぽを行っている人たちを連載陣としてずいぶんと集めているみたい。これならば、とゆー気がしないでもないが、しかし週刊誌は連載もさることながらグラビアと特集が何といっても華なので、このあたりどんな切り口でどんな話題を取りあげていくのかを、どんなお姉ちゃんがグラビアに登場して(お嬢ちゃんでもいーんだけど)くれるのかとゆー期待とともに、しばし注目していきたい。


【3月23日】 22日午後3時頃、ホームページを開設しているASAHIネットで障害発生、自分のページに行けなくなっただけじゃなく、更新作業も一切できなくなっている。メンテが開けたばかりの時間だったので、誰かがしくじったと思ってすぐさま事務局宛にメールを打つが、何時間たってもいっこうに回復する兆しが見えない。せめて説明だけでもしろと要求するが、やっぱり音沙汰がない。

 メールを送りボードに書き込むが、それでも事務局側の説明は一切なく、しまいにはキレて社長の人に直接メールを送ったら、しばらくして復旧した(みたい)。これは偶然としても、復旧後にネット上に掲載された事務局からのお知らせが、障害が発生して申し訳ありませんでしたの1言で、理由については何ら触れられていなかったことが、やっぱりちょっとだけ癇に触る。しょっちゅう落ちてる中小ネットも少なくないけど、いちおー大手の商用ネットなんだから、ちゃんとしてよね。週刊新潮に親会社(朝日新聞とかトランスコスモスとか)の悪口書かれよーとも。

 天気が悪い中を渋谷の「ON AIR EAST」へ。よりによって日曜日に記者発表をするとゆー理不尽な要求にも関わらず、オマケにつられて、いそいそと身支度をして出かけてしまう哀しいヲタク記者の性であった。オマケとゆーのは「エヴァ」のマウスパッド。と書けば解る人はすぐに解る、解らない人も「アニメージュ」の表紙裏に出ている見開きの広告を見れば納得の、ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)の記者発表とイベントが開かれたのであった。

 発表は2つ。1つはカラオケジェニーという通信カラオケサービスを25日から始めるとゆーもので、専用のクライアントソフトをダウンロードしておき、あとは会員ならプリペイドIDを使って10曲250円、非会員ならダイヤルQ2を使って10曲300円程度をダウンロードすれば、あとはパソコン上で唄い放題唄い倒せる。オマケに「エヴァ」を付けるだけあって、デモでは「残酷な天使のテーゼ」を流して見せた。でもコンピューターだけあって、なんだかちょっとチャカポコしたヘンな音だった。バックのイメージも「エヴァ」じゃなかったし。

nouten  もう1つが4月3日から毎週木曜午後22時−24時の2時間にわたって、インターネットで生で「マッコウ・春菜のまるみえねっと」とゆー番組を放送するとゆーもので、今日はそのプレイベントもあわせて開かれた。実はそれほどアニメ業界に詳しくない自分は、司会を務めたドン・マッコウさんと池澤春菜さんをあまりよく知らなかったのだが(池澤夏樹は知ってるぞ)、会場に集まった真のヲタクな少年たちの声援を聞く限り、相当に人気のある方々らしーとゆーことが解った。勉強勉強。そんな方々をプレスの特権でかぶりつきで見れたってのは、蹴られても殴られても仕方がないくらいに幸運なことなんだろーね。

 しかし幸運はそれだけではなかった。この番組には、かのガイナックスが協力することになっていて、イベントには取締役統括本部長の武田さんが出席することをあらかじめ聞いていたんだけど、司会に呼ばれて登場したのは武田さんではなく、なんと「快傑のうてんき」であった。黄色いヘルメットにピンクのスーツ、胸(ハラか)には大きく「マルの」の文字。スクリーンから世界中の女に惚れるなと呼びかけて喝采を取った、80年代を代表する変身ヒーロー「のうてんき」を、ナマで間近に見られるとは。来る前に寄った「まんだらけ」のコスプレ店員なんぞ足下にも及ばないそのキマリぶりからは、年季とゆー名のオーラが光り輝いていた。ああ。

 ほかにも今年に入って3回目、今月に入ってからも先週の「エヴァ」の舞台挨拶に続いて2回目になる「みやむー」こと宮村優子さんを、今度はま正面から数メートルとゆー距離で見ることができた。これまで遠くからだったのでよく解らなかったが、あらためて見るとなかなか立派な脚をしておられた。頑丈そうな脚をしておられた。とてもしっかりとした脚をしておられた。けっ飛ばされてみたいと思った。踏んづけられるのはちょっと勘弁したいが。池澤春菜さんもやっぱり立派な脚だったなあ。撮った写真には「みやむー」のおみ脚と「のうてんき」がばっちり写っていたので、明後日付けの表の新聞にデスクを騙してのっけてしまおー。


【3月22日】 朝っぱらからゲーム「エヴァ2」をプレイ。予告編でしょっちゅう出るのに、まだ見ていなかった「瞬間の死闘」と、山岸マユミ妄想シーンがあるのにラブラブなエンディングにいかない「災いを齎すもの」の新シナリオ2本を”発見”する。いつの間にか「シンジとアスカのユニゾンゲーム」も出来るよーになっていて、プレイすればするほどに厚みを増していく展開に、これでなかなか侮れないソフトだと、最初の認識をちょっとだけ改める。戦闘シーンは相変わらずのポン酢な展開だけど。

 本屋に行って「小説新潮」を立ち読み。前は毎月買ってたんだけど、だんだんと部屋の中が狭くなってきたのと、読みたい連載が酒見賢一さんの「陋巷に在り」くらいになってしまったことなんかで、買うのを止めてしまった。他にも例えば河口俊彦さんの将棋コラムや近藤唯之さんの野球コラム、山科けいすけさんのコミックなんかが秀逸で、印象の薄い連載陣なんかよりも、よほど毎月楽しませてくれる。

 楽しみなコラムがもう1つあって、それは関口苑生さんの「書評家の独りごと」。ミステリマガジンの「隔離戦線」で池上冬樹さん、茶木則雄さんと毎月激しいバトルを繰り広げている関口さんがピンで登場して、「書評」ではなく「書評とはなんぞや」ってなテーマで文章を書いている。とりわけ先月号掲載文から始まった、身辺雑記や著者との交流を中心に展開する書評が増えて来た最近の風潮に対して、それを果たして書評と呼べるか否かも含めて、いろいろな例証を上げて分析しようとしている。

 わが身を省みれば、書評のページでいろいろな本の感想を書かせていただいているが、身辺雑記はつまらないだろうからあまり書かず、著者との交流話などは素人なので書けるはずもない(本を通しての思い出話はするけれど)。かわりにという訳ではないが、基本線としてまず粗筋の紹介、それから簡単な印象、賞賛、がっかりさせられた点があればその理由と、がっかりさせられないための次への期待なんかを記すことにしている。

 粗筋紹介をするのは、こんなストーリーの本があるんですよって知ってもらい、著者のネームバリューとかジャンルだけに依らないで、お話そのものの面白さに興味を持ってもらいたいと思っているから。もっとも作者の意図や登場人物の心理状態なんかを読み込んで、評論するなんてことが出来るタマじゃないってこともあるけれどさ。

 戻って先月号で問題を提起した関口さんのコラムは、今月号でも同人誌とかファンクラブの会報に載った、最近の傾向を批判する文章を引っぱって来ているのが中心で、ご自身なりの明確な意見やスタンスは、まだ明らかにされていない。来月に続くそーなので、どんな方法へと結論が集約されていくのか、その過程でどんな「摩擦戦線」が発生するのかを、ちょっと期待して見ている。しかし同じ号に、恐妻を基本線にした身辺雑記書評がウリの茶木さんのコラム「腹立ち日記」が載っているのは、関口さんへのアテツケか、それとも編集部の深淵なる陰謀か。

 「YAT安心!宇宙旅行」は桂さんがたくさん出ていて嬉しい。少年の成長物語っぽいストーリーのラストに、山本社長とゴローの父親との因縁を感じさせる引きが設けられていて、次への期待をあおる。「逮捕しちゃうぞ」はもうどうでもいい出来で嬉しくも哀しくもない。最初の4話分(OVAをそのまま放送した分)だけで終わってくれれば、高品質の印象をそのまま持つことができたのに。TBSはアニメに愛がない。キューティーハニーもなんとなくのめり込めないし、土曜日に見るのはホント「YAT」だけになっちゃった。桂さんソフビ、出ないかなあ。


【3月21日】 東京ビッグサイトで開催中の「東京おもちゃショー」に行く。総武線と京葉線と湾岸高速鉄道(でよかったのかな)を乗り継いで会場へ。今日までが商談日だった関係で、会場は思ったよりも人が少なく、いろんなものをゆっくりとゆったりと、見て回ることができた。もっとも人が少ないと、実演にしているコンパニオンのお姉さんを見ているのが1人だったりする訳で、これって演ってる方、見ている方ともに結構気恥ずかしい。そこを乗り越えてバチバチと写真を撮れるくらいじゃなきゃー、とてもカメラ小僧にはなれないんだろーね。

 やのまんと河田のブースで目立ったのがともに「新世紀エヴァンゲリオン」のジグゾーパズルとゆーのは、最近の流行を見事に映していて面白い。どっちがどっちって訳じゃないけど、さすがにジグゾー大手のやのまんの方が、キャラクター別に分かれた小さいパズルの12コセットだかを1万数千円だかで限定販売するワザを見せて、見事に完売とゆー成果を挙げていた。

 河田も負けじとジグゾーのほかに「エヴァ」関係の飾り鏡みたいな商品を展示していたけど、これだけ商品が増えて来ると、いくらファンでも全部はとてもフォロー出来ない。それから本来のアニメの持っていた世界観、キャラクター設定が、いろいろな品物が増えて来るに従って、次第に崩れていくよーな気もしていて(パズルやポスターの絵柄なんかに出始めてるね)、ちょっといやーんな感じになる。がまあ、売れるうちが華、儲かるうちが幸せってことで、まあ頑張って下さい、みなさん。

 「エヴァ」景気では最大の潤いを見せているバンダイも、やっぱり新製品を続々投入の模様。既報の作業台付きエヴァ初号機のほかに、なんと「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」に登場した量産機、通称「ウナゲリオン」のプラモデルもHG版とレギュラー版の両方が出ていて、3月29日に発売されるって書いてあった。どちらも羽根を広げた「ウナゲリオン」で、HG版の方にはライフル状の武器と、それからアスカと加持の人形も付いていた。やっぱりファンなら8つ集めて、天井から輪のようにしてぶら下げたいところ。しかしすぐに売り切れちゃんだろーね。

 バンダイブースをウロウロしていると、どう見てもキューティー・ハニーにしか見えない「服装」(スタイルではない)をしたお姉ちゃんが歩いていた。呼び止めて「ハニー・フラッシュの場面を実演して」って頼もうかと思い、ダメなら「手伝ってあげるから」って言おうかと思ったけど、追い出されるだけじゃなく突き出される可能性が大なので、ぐっと言葉を呑み込んでビーム・エンタテインメントのコーナーへと行く。ヘンなもの作りにかけては随一のビームが今回のショーに出品したのは、「ネルフ」のマークが入ったリュックとキャップ。リュックは四角い手提げ鞄にストラップが付いたって感じのリセ風ランドセル。色目は初号期をイメージした紫と緑で、これ持って学校に行けば人気者になること間違いなし、かどーかは解らない。

 キャップもネルフのロゴが入った革製のもの。展示はダミーで出来がイマイチだったけど、どちらも今の「エヴァ」人気を受けて、限定の1万コがさっさと売れてしまうんだろーね。でもやっぱり「カヲルくんの首形ペンダントヘッド」とか「エヴァン・ウィリアムズ入りエヴンゲリオン初号機型ボトル」とかを作って欲しいーなー。アスカ人形303号室バージョンでもいいや。

 今日は「エヴァ」づくし。セガ・サターン版「新世紀エヴァンゲリオン 2ndインプレッション」で、「福音を呼ぶための資格」を初めてプレイできた。山岸マユミがばっちりたっぷり登場するシナリオで、予告編にチラリと登場する、マユミが電車の中で自問自答する場面も、どっかの屋上から足を踏み出す場面も、ちゃんとストーリーの上に置かれた形で観賞できた。

 エンディングもこれまでのマユミお見送りバージョンと違うし、なによりもエンディングテーマが「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」じゃない。しかし達成率はまだ完璧じゃないみたいで、いったい他にどんなストーリーが隠れているのかと、購入から2週間経った今も、頭を悩ませながらスタートボタンを押しまくっている。攻略本はまだかー。

 アスキーを飛び出た人たちが作ったアクセラの新雑誌「週刊テレビゲーマー」が届いたのでパラパラとページをめくっていて、24ページまで来てひっくり返る。リクルートから今はマリーガルマネージメントで辣腕を振るう香山哲さんの顔写真が、ゲームアナリストの平林久和さんと対になる形で、でっかく出ているではないか。これまで縁の下の力持ち的存在だった人が、こんな大衆娯楽ゲーム誌にばびーんと出てしまって、仕事に差し支えがないんだろーかと、ちょっと心配になる。

 しかしこれだけで終わらずに、176ページから4ページに亘ってマリーガルマネージメントの特集が組まれていて(それともこっちは広告なのか?)、そこに平林さんと香山さんのお2人が再登場していた。ちょっと前のゲーム誌で、ワープの飯野賢治さんが1号の中に3度か4度出ていたのは見たけれど、クリエーターは一種のアイドルだから何度出ていよーと読者は喜ぶ。しかし業界通のヘビーユーザーではなく、純粋にして単純なプレーヤーにはそれほど知られているとはいえないお2人(特に香山さん)を、がぼーんと登場させるこの「週刊テレビゲーマー」が想定している読者層って、いったいどこいら返なんだろー?


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