縮刷版97年1月上旬号


【1月10日】 電通の新年会。新聞記者らを対象にした懇親会じゃなく、取引先企業やマスコミの経営者らを招いての本格的な賀詞交換会で、大学を出てからまだ10年も経っていない洟垂れ記者には雲の上の存在ともいえる、正論で鳴る新聞社の社長とかお台場放送局の社長とかが会場を闊歩してた。ほかにも新聞テレビ雑誌各社のエライ人とか、三菱マテリアルの永野健さんに日商岩井の速水優さんといった財界の重鎮がたくさんたくさん集まっていて、洟垂れ記者は出る幕もなくこそこそと、会場の隅っこでオレンジジュースを飲んでいた。

 食べ物のコーナーは早くから人が集まって手出し無用の大混乱。仕方がないのであまり人気のなかったローストビーフとカレーライスとスパゲッティーのコーナーに行って、それだけを皿に盛ってもらってかき込む。昼食終わり。広報の人に上のフロアでいろいろと出店が出ているからといってのぞくと、本当に縁日のよーなバナナの叩き売りとか射的とか輪投げとかの出店が並んでいて、オジサンたちが嬉しそーにそれらのコーナーで遊んでいた。似顔絵のコーナーと占いのコーナーは人気があって受け付け終了。しかし会社ではエライ人たちが占ってもらうことって、もしかして会社の経営方針かしら?

 それから話題のプリクラのコーナーも。モデルクラブからの仕込みなのか社員の扮装なのか、ミニスカートにルーズソックス姿の女の子が5人ばかり、仕切られたブースの中に入ってオジサンたちを手招きし、一緒にプリクラしてくれるって出し物で、折角なので撮ってもらおーかと思った時にはすでに遅し、とても渋谷でプリクラできないよーなオジサンたちが列を作って、洟垂れ記者の割り込むすきがなかった。しかし一見女子高生の女の子が、丁寧に礼なんかしてオジサンたちをプリクラの前に迎え入れている光景はなんだかヘン。こんなに親切な女子高生なんて今日びいねーよなー。少なくとも渋谷とかのプリクラの前には。

 筒井康隆さんへのインタビュー「断筆解禁宣言」が掲載された「文藝春秋」を買う。タイムリーな企画はさすがに覚え書きを交わした出版社だけのことはある。巻頭とゆーのも凄いが、実際これまで1度も買ったことのない「文藝春秋」を、それもキオスクで買ってしまった僕のよーな人間も大勢いると思うから、バリューの判断は間違っていないと思う。それだけ筒井康隆さんとゆー人の人気が高く、世間の関心も高かったとゆーことですね。しかしインタビューで「世界初の作家5人によるサーバーの発足という一番重要なことをきちんと書いたのは、産経新聞だけしたね」というインタビュアーの発言には悲しくて涙が出る。日本工業新聞だってちゃんと書いたのにさ。スペースだって1番大きかったよ。マイナーな新聞ってのはこーゆー時にツライ。

 ラスベガス発とゆーニュース記事の日本語訳がファックスで届き、内容を読んで流石アメリカのインターネットはすごいと嘆息する。インターネット・エンターテインメント・グループ社とゆー会社が、世界発の女性ばかりのインタラクティブ・ポルノ・ライブショーをインターネット上で提供するとゆー内容のリリースで、5人のトリプルXのアダルト女優が出演してるんだとか。早速のぞこーと思って日付を見ると、4日付けのリリースで「来週の水曜日と木曜日」に実演すると書かれてあって、つまりはもう終わってしまったとゆーことだった。うーん、残念。

 リリースには「インターネットの視聴者は(中略)この性の祭典に積極的に参加し、あるいは通常の電話からアクションに注文をつけることもできる。(中略)自分の正体を明かさずにライブショーに指図できるサイバー・ポルノとしては世界最初であろう」と書かれてある。でも先月出た「WIRED」には、インターネットでアレしてるところを生中継してるって番組の紹介があったから、中身的にはそっちの方がが喜ばれそー。でも雑誌にはアドレスが書いてなかったし、ヘルパー・アプリもたくさんいりそーなのでまだ見てない。実際ほんとにどっちが凄いんだろーか。

 清涼院流水さんの「ジョーカー」(講談社ノベルズ)を200ページくらいまで読むが、まだよーやく4分の1で、終わりどころか始まりすらもまだ見えない。ちょっくら浮気して西澤保彦さんと二階堂黎人さんの新刊に行きたいんだけど、これでなかなか清涼院、浮気させないだけのストーリーをつむぎ出すうまさがあって、しばらくはこっちにかかりっ切りになりそー。でも半分くらいでつまらなくなったぶん投げるかもしんない。その時にはあまりの重量に負けて、壁に大きな穴があくことだろー。さて日本で何個の穴が壁にあくか。


【1月9日】 筒井康隆さんは載っていないけど河出書房新社から出ている文芸誌「文藝」春号を買う。漫画チックなイラストの表紙にピンクの題字、緑やらオレンジやら紫やらの色を使った特集の案内と、まるで老舗の文芸誌に見えない。そもそも買った理由がテーマコラムとして「新世紀エヴァンゲリオン」が取り上げられていたからで、「クイックジャパン」が特集すれば「文藝」までもが特集する、国民的アニメになったのかと半ば歓喜にむせび半ば呆れる。テーマコラムとは複数のライターが同じ「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマでエッセイを書くとゆー企画で、今回のライターは滝本誠さん、田崎英明さん、篠原一さん、東浩紀さん、赤坂真理さんの5人。いわゆるヲタク系の人じゃないけど、ちゃんとそれなりに「エヴァ」への思い入れを語ってくれている。

 しかし今回の「文藝」春号、ほかにも「不思議の国のアリス」をカバーするってことで古屋兎丸さんやロビン西さん、村上隆さんたちに漫画やイラストを書かせてみたり、「電波系サイコロジー」というテーマで村崎百郎さんと香山リカさんの対談を載せてみたりと、さっき比較の対象として挙げた「クイックジャパン」とバッティングするよーな企画が盛りだくさんに溢れていて、ポップに走って自爆した「海燕」の後を継ぎそうな、そんな勢いとゆーか開き直りが見られて面白い。「ブックレビュー」では、トップに堂々と自社で刊行している「文藝賞」優秀作の2作、「フレア」と「ボディ・レンタル」を堂々と並べ賛辞を贈っているし。今回発表になってる「第3回蓮如賞」で優秀作となった「薔薇の鬼ごっこ」を書いた末永直海さんは、たしか小林よしのりさんのところにいた「ピャーポ」さんて呼ばれてた人だったかな。

 雑誌を読みながら東映会館へ。「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」の公開を前にテレビ版を復習させてあげましょーってゆー主旨の試写会を見せてもらう。24話までを3部に分けて4話から5話づつピックアップして見せてくれる内容で、僕は19話と22話から24話までを上映する第3部を見せてもらった。5月のSFセミナーで庵野秀明監督が最後の死力を振り絞って作ったとか行っていた19話は、ウワサどーりに凄い動き凄いアングル凄いストーリーの話だった。いやストーリーは知ってたんだけど、実際に動いているのを見るのはこれが初めてってことで。22話から24話まではちゃんとテレビで絵付きで見たから懐かしかった。渚カヲルくんてやっぱ人気出そーな顔してるねー。「最後のシ者」が入ったLDとビデオの発売はまだちょっとだけ先だから、ビデオ録画を逃した身としてはこーゆーイベントは有り難い。明日もまたやるとか。1部も見て来よーかなー。

 開場を待っている間にピーアールの人と話していて、劇場版間に合いそーですか、脚本は出来たんですかと聞くと顔が曇った。きっと厳しい進行状況なんだろー。試写会の案内にも映画が完成するのはギリギリになりそーだって書いてあったくらいだし。映画でもうひと山あてよーと懸命なキングレコードと角川書店からせっつかれて、監督の庵野さんがピリピリしているとかいないとかで、あんまり突っついてへそでも曲げられた日には、3月の公開どころか永遠に続編が作られない可能性だってある。チケット付きCDに入っていた「音だけアニメ」になる可能性もちょっとだけ出てきたぞ。嬉しーなー。声でやってる「ミーン、ミン、ミン、ミン、ミン、ミン」ってSEが大好きなんですよ、僕は。いっそ武道館とか東京ドームで、観客を前にナマで「音だけアニメ」を実演して見せるってのはどーですか、東映さん。チケット1万円でも客は集まると思うよ。4万人くらいなら。

 日販から届いた2月の新刊コミック情報をチェック。マーガレットコミックスから吉野朔実さんの「恋愛的瞬間」の第2巻、新書館から西炯子さんの「三番町萩原屋の美人」が出る。見ていて気になったのが田中圭一さんの「ドクター秩父山だっ!!」。昔読んで大笑いして死にそーになったあの「秩父山」がまた読めるのかと思うと、早く2月が来ないかなと気持ちがせき立てられる。再刊なのか続編なのかは解らないけど、百足の青年とかエロ本大好きなカエル(名前忘れた)とかちゃんと出てるのかな。ほかには「エヴァ」に続くかの話題作「機動戦艦ナデシコ」のコミック版「遊撃宇宙艦ナデシコ」1巻が出るみたい。文庫では栗本薫さんの「グインサーガ」の55巻にコードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズ「第81Q戦争」が刊行。いったいいつ以来なんだスミスの新刊が出るのは。もしかして近日公開の「人類補完機構」映画との混同を狙ったのか。だとしたら早川書房も結構お茶目。


【1月8日】 1日遅れで文藝春秋の「文学界」を買おーと本屋をのぞくが売り切れているよーで見つからない。新潮社の「新潮」も売り切れていて、筒井康隆さんの恐るべき人気は、新人賞の応募作品数が売り上げ部数よりも多いと言われるほどに売れ行きが低迷している文芸誌の世界に、台風どころか大暴風を巻き起こしていることを知る。こーゆー事態を目の当たりにすると、他の出版社でも早急に覚え書きを交わして、新作の執筆をお願いするか、書き溜めていた作品の掲載を求めるかしたいと思っているだろーけど、秘密の会合で朗読された「エンガッツォ指令塔」は、食事時にはちょっと効きたくない表現が満載だったから、どこも買うのにきっと二の足を踏むだろーね。しかし覚え書きを交わしたのが雑誌社ばかりで、小説を連載したりコラムを依頼する新聞社が今後どうするのか、覚え書きを交わして筒井さんの小説なりコラムなりを掲載するのかが見えないのが寂しい。まあうちの新聞ではギャラが安すぎて依頼なんて出来ないから安心だけど。

 見つからないのは講談社ノベルズの新刊も同じで、丸善や紀伊国屋書店に行ってもまだ店頭に並んでいない。仕方がないので早出しが得意の神保町の本屋に行ってあちこちをうろうろ。ついに書泉グランデで森博嗣さんの「詩的私的ジャック」、二階堂黎人さんの「バラ迷宮」、西澤保彦さんの「死者は黄泉が得る」、そして煉瓦も真っ青の分厚さを誇る清涼院流水さんの「ジョーカー」を購入する。何とゆー重たさだろーかと、渡された袋をもらって絶句するが、読み始めれば面白さに押されてまたたく間に次々と読了に持ち込み、週内どころか明後日ごろにはきっと4冊とも読み終えているんだろーなー。こんなペースで本を読んでちゃー、やっぱりお金は貯まらないね。

 面白そーな本と言えば、デイヴィッド・トーマスとゆー人の「彼が彼女になったわけ」(角川書店)も相当に面白そーな設定。親不知の手術に病院に行った男性が、手違いで性転換手術を施されて切られて(どこを?)膨らまされて(だからどこをだ?)しまったとゆーストーリーで、これがミステリーなら北川歩実さんの「僕を殺した彼女」、SFだったら小松左京さんの「男を探せ」になるところを、軽妙な語り口によってユーモラスでちょっと哀しい、実は社会的なメッセージも強く含まれたエンターテインメントに仕上げている。強力無比な4冊が控えているだけに読了はちょっと先になりそー。

 渋谷の円山町にある「クラブアジア」とかゆースポットで記者発表会。広告代理店の大広がプロデュースするマルチメディア学校の「デジタルメディアスクール」を4月に開校するとゆー内容で、校長先生を務めるデジタル・ガレージの伊藤穣一社長が出席して喋った。動くジョーイを見るのはこれが2回目か3回目。特別講師の1人として名前を連ねているチバレイこと千葉麗子さんも呼び出されて壇上に上って何か喋っていた。特別講師のメンバーは他に武邑光裕さん、高城剛さん、浜野保樹さん、村井純さんとまーいかにもな面々で、ホントにこいつらが講義してくれるんだろーなーと、疑問がむくむくと湧いて来る。

 どっかの専門学校の講師に名前を連ねているとゆーチバレイが、壇上で「パンフレットに名前とか載せているのに、実際に学校に講義に来いって話がない」と、撒き餌のよーな扱いに不満を表明していたから、こっちの学校ではちゃんと講義するのかと思いきや、ふだんは技術のある人たちがスキルを教えて、月に1回くらいの面談とか、特別講演会とかの時だけ有名でエライ人たちが現れることになるらしー。学生も100人くらい取るそーで、他にも山ほど学校ができて講師不足が叫ばれている昨今、これだけの学生を教えられるだけの人材を、果たして集められるのかとゆー疑問が付きまとって離れない。

 もっとも運営者側はそーした非難が起こることは先刻ご承知のよーで、エライ講師の面々は進路相談にも乗るし、いっしょに仕事なんかして学生とのコミュニケーションを取るそーな。んでもってただ言われた事をやるだけの技術者じゃない、自分で何かを作ろーと意欲に燃えたプロデューサーとかクリエーターとかを育てたいんだそーな。その意気や良し、その理念や良し。でも意欲に燃えてる人って、学校なんか行ってエライ人とコネ作って仕事にあり付こうって考える前に、自分ひとりででコツコツ何かを作ってるんじゃなかろーか。

 NHKが「ヴァーチャルアイドル」についての特集。対人関係に消極的だとか、生身の人間に感心を抱けないとかいった理由を識者に語らせ、ゲームのキャラクターに惹かれている男共の特殊性を描き出そーとする、ステレオタイプな構成だったのが気に入らないが、番組に登場した「ヴァーチャルアイドル」に熱中する男共の容姿や服装を見ていると、こいつらと一緒にされたくねーやと思えてきて、おもわず識者の常識的意見に賛同してみたくなる。

 「ヴァーチャルアイドル」ってゆーと、やっぱり登場するのが「藤崎詩織」と「伊達杏子 DK96」。でもこの2人を双璧として並べるのにはちょっと疑問がある。ゲームのキャラクターとして人々から感情移入されて来た実績のある「藤崎詩織」が人気になるのは、アニメやコミック、昔だったら小説のキャラクターにファンが付くのと同じ文脈。でも作り手側が性格とか趣味とか背景とかを全部作り上げてしまい、さあおまえら感情移入しろって感じで突如現れた「伊達杏子 DK96」に、どーして魅力を感じることが出来よーか。「自分たちが作っている、生み出しているという意識を持たせないと」とゆー識者の指摘には、正直素直に賛同したい。


【1月7日】 筒井康隆さんの断筆解除後初の雑誌掲載作品が、文藝春秋の「文学界」と新潮社の「新潮」に掲載された。ともに巻頭の中・短編一挙掲載で、断筆によって読者の渇望が高まっていたとはいっても、相当に凄い扱いだと言える。普段だったらピクリとも動かない純文学誌が、ホント飛ぶよーな勢いで売れていて、本屋のレジで初めて「文学界」を差し出している人を見た。平台の山もみるみると低くなっていて、もしかしたら書店によっては完売なんてところがでるかもしれない。とりあえず170枚の中編「邪眼鴉」が掲載されていた「新潮」の方を購入。しかし文藝春秋、新潮社といっしょに「覚え書き」にサインした角川書店だけが、文芸誌を持たない哀しさか、お祭り騒ぎに乗れないでいる。きっとこの先当分乗れないだろー。出しときゃよかったねー「野生時代」。せっかくだから「ニュータイプ」に載せるか。あと「スニーカー」とか。いっそ「ドラゴンマガジン」て手も・・・。

 コンテンツ面担当記者とゆーことで回って来た、今年の映画・音楽業界の見通しに関する記事を妄想によって作成する。妄想だから今年1番の注目作品は当然アニメ。でも流石に「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」を推すのははばかられたので、宮崎駿監督の新作アニメーション「もののけ姫」の方をイチオシにする。でも今年の邦画のラインアップを考えると、まんざらハズレでもないよーな気がしないでもないが、どーでしょーか専門家のみなさん。

 音楽はやっぱり小室さんでしょう。でもアジアの方でのプロデュースが増えると、今みたいな土砂崩れのよーなペースで作品を作ることもままらなくなるから、勢い自転車操業のペダル漕ぎが苦しくなる。いったん止まると再起動が効かない業界だけに、ジャンが鳴ってあと1周半のこれからいっきに逃げ切らないと、まくられる可能性がなきにしもあらず。詳しくないのでやっぱり妄想に過ぎないけどね。

 仕方がないので日本レコード協会の新年賀詞交換会に出席。でも知り合いのほとんどいない新米エンターテインメント記者には正直言って辛い会合で、人混みの中をフラフラしながらちょっとでも知ってる顔を探して回る。途中食べ物をかき込むことも忘れないところは流石欠食記者。そうこうしているうちに、取材で会ったことのある人を何人が見つけてお話し、その人のツテを頼っていろいろな会社の人に紹介してもらって回る。こーゆー業界で持つべきものは知り合いですね、いやー有り難い有り難い。

 浮っついた事の得意なグループの証ともいえる、目ん玉マークのついた名刺を持ってはいても、「工業」なんて題字が付いているからいつまでたってもソフト業界の人から認められないとゆーか認知されないとゆーか。かといって「工業」を「興行」「興業」に変えたらどんな新聞か解らなくなっちゃうから、やっぱ「工業」の題字でソフト業界を回るしかないなー。そこでお願い。当欄をお読みのソフト業界関係の方は、"表"の新聞の方に資料をどんどんと送り賜い。今なら先着順に記事掲載時の段数が1つ2つ高くなるサービスが付いてまーす、ってどーだろーか。

 録画しておいた「機動戦艦ナデシコ」を見る。メタではないがパラレルがかかって来たよーで、ますます話が複雑化して来ている。もし同じ次元ですべてを片づけるとしたら、相当に難しい操作が必要となるし、パラレルを入れれば簡単だけれどリアルじゃなくなる。これからどーなるのか興味津々。サウナに入っている時にロッカーの鍵をゴムひもで手首に止めていた描写はやっぱお約束ですかねー。あと入浴後のフルーツ牛乳も。ビンが四角なのはどこか特定の銘柄とゆーことか。名古屋じゃー牛乳は「名古屋牛乳」しかなかったからなー。ちなみにビンは全部丸ビンで、牛乳は200ミリリットル、フルーツ牛乳は180ミリリットル、だったかな。


【1月6日】 仕事が始まるとゆーのにデイヴィッド・ファインタックの「大いなる旅立ち」(野田昌宏訳、早川書房)を読み始めて止まらず、上巻を読み終え下巻を夜明けまでかけて半ばまで一気に読み進む。上官が事故と病気で死に絶えた戦艦で、17歳の主人公が順番に従って艦長に就任して苦労するとゆー話で、書きよーによって「銀河おさわがせ中隊」とか「ヴォルコシガシ・シリーズ」のよーなコメディー・タッチになるところを、手堅く少年の成長物語に仕上げている。表紙がコミック調で感じじゃないのが残念だけど、ハインラインの「宇宙の戦士」っぽくすると今度はカタくなり過ぎちゃうから難しーところ。

 しかし軍隊ってところは無茶な「いびり」が正々堂々まかり通る世界のよーで、やりよーによってはいくらでも鬱憤晴らしが出来る。立場が代わると今度は果てしない鬱憤晴らされをやられるから、やり過ぎると後が恐い。でも上にある時にはとことんやっちゃうんですね、人間って。軍隊のない日本で「大いなる旅立ち」に描かれた軍隊なみに規律に厳しーところっていったら、やっぱ自衛隊だろーか、それとも大学の応援団? 少なくとも会社じゃーないね。目的意識を持った「いびり」はないけど、鬱憤晴らしの「いじめ」は沢山あるから、会社ってところには。

 今日から新入社員が来るとゆーことで会社にいったらいなかった。誰かいじめたから辞めちゃったんでしょー、なんて言われるのは心外で、単に簡単な研修を1日受けているだけとゆーことらしー。思い出せば前いた会社で、新入社員が来た初日に皆で「給料が安い」だの「仕事がつまらん」だのといった愚痴を聞こえよがしに喋ったところ、次の日からぱったり来なくなったことがあった。別に「いじめ」じゃないけど結果的には「いじめ」になっちゃたってところかな。しかしちゃんと明日は来るんだろーなー、新入社員。んでもって「給料が安い」だの「仕事がつまらん」だのと聞こえよがしに喋っている僕たちの話を聞いて、明後日からぱったりと来なくなるんだ。

 テレビ東京の「ワールド・ビジネス・サテライト」を見ていると、キングレコードの大月スターチャイルド制作部長が出演して「新世紀エヴァンゲリオン」について話していた。なるほどついにビジネスニュースまでが扱う素材になったのか、これでブームも社会現象と呼ばれるほどまでに本格的なものになったのかと思って、他の識者のコメントを聞いていたら、岡田斗司夫さんが「(エヴァンゲリオンは)潜在的なアニメファンの中心をつかむことに成功した作品。アニメファンが広がっているんじゃないかと言われているけど、自分はそーゆーふーには考えていない。今いる層をつかむことに成功しただけ」と話していた。

 言い得て妙。現役アニメファンの吸引と休眠アニメファンの覚醒を果たした作品ではあるけれど、全くの無関心層や親子連れを巻き込んでのブームじゃないってことで、勘違いした企業が玩具を売ろーと躍起になっても、あるいは映画に数百万人を動員しよーと躍起になっても、マーケットには所詮限界がある。まあ大月さんはその辺りを解って話しをしていたよーだけど、日経とか朝日とかいったマスコミ(日本工業も含めてね)が、思いっきり勘違いをはじめているので、ともすれば勘違いにもみくちゃにされて、勘違いにしゃぶり尽くされて、作品として悲惨な結末を迎えかねないとゆー心配が、最近むくむくと起こって来ている。やばいよなー、このままじゃ。


【1月5日】 仕事に備えて早く寝よーとしたけど寝付かれず、夜中にかけてやっていたNHK「映像の世紀」を見てしまう。前に見たことがあったけれど、やっぱこーゆーのは何度見ても面白いですね。加古隆さんの音楽も厳粛にして陰惨な20世紀ってイメージを実に良く伝えている。

 「難民」に関する回で目に焼き付いたのが、筋肉レオタード男が何人か踊っている前で耽美系ロッカー風長髪男が歌い上げるモノクロのCM。クロアチアとセルビアの戦争でどっちかがどっちかを殺せって内容のプロパガンダなんだけど、日本にはあんまりないセンスのCMで驚かされるやら呆れさせられるやら。筋肉レオタード男の踊りっぷりが不気味で妙。でも目に焼き付くって意味では洗脳効果が高いのかも。日本でも政府公報をこの程度の感覚で作って欲しいなー。羽織袴で浪花節をうなる橋本首相をバックにふんどし姿の大臣たちが踊りながら「消費税5%」をアピールするってCM、説得力はともかくインパクトはある、と思うよ。

 寝て起きて仕事。途中本屋によるがめぼしい新刊はまだ入っていない。早く講談社ノベルズの1月新刊が読みたいのに、ケチな本屋は週明けに客が集まるまで出さないつもりだな。いや多分きっとまだ、配本されていないだけなのかもしれないけど。コミック関係で水樹和佳さんの「月子の不思議」(集英社、900円)を購入。水樹さんのホームページによれば残り少ない非絶版本だそーで、ほかには最近再刊なった「樹魔・伝説」のほかには「イティハーサ」くらいしか残ってないとか。「月虹」も近く再刊がなるから、後は「エリオットひとり遊び」か。早く再刊して下さいおねがいします創美社様集英社様。でも文庫にはしないでね、小さくてみづらいから。

 仕事といってもすでに作り上げられている明日付けの新聞をチェックして間違いを直すのが主。差し代わっているはずの原稿が代わっていなかったりしてちょっとあせるが、時間はあったし明日から本格的な紙面改革だってことで、ほぼ半数の社員が競って(嫌々)出社していて、原稿をチェックする仕事にかかる負担もぐっと減る。やることがないのでパソコンをいじってインターネットにつなげたりウィンドウズ付属のゲームで遊んだり。さすがにペンティアムだけあってグラフィックの描画がすばやく、旗取りゲームをやっていてもストレスがまるでない。TFTだから画面映りも立派なもので、ハードの性能がますます進歩していることを改めて痛感する。

 年賀状や休み中に届いた葉書をチェックしていたら、「新世紀エヴァンゲリオン」の試写会案内が届いていた。なにもう劇場版が出来たのか、庵野監督寝ないで頑張ったのかと思って良く見ると、案内状には「ぎりぎりまでかかりますからその前に」と前置きした上で、テレビ版のダイジェストを上映して作品への理解を深めてもらおーとゆー内容のことが書かれてあった。まあ確かに普通の一般的な映画評論家に、いきなり劇場版「シト新生」を見せたって、「解らん」の一言で片づけられるのがオチだけど、ファンだったりマニアだたりヲタクだったらテレビ版のストーリーくらい押さえて劇場に足を運ぶでしょ。とゆーかそーゆー人しか見ない映画でしょ。メジャーにしたい普通の人にも見て欲しいそのためにもっと宣伝して欲しいって映画会社の意欲は解るけど、でもそーゆー映画になったら今度はファンやマニアがヲタクが離れる。何とも難しー映画だねー。もっともテレビ版ほとんど見てない(ラジオで聴いただけ)僕には実に有り難いイベントです。東映エラい。


【1月4日】 明日から仕事が始まるので冬休みは今日まで。思い起こせば前半の3日間を風邪で七転八倒しながら過ごしたのが悔やまれる。コミケにも行けなかったし。まあ行こうと思ったのがそもそもの間違いだって説もあるが。夏には時間を作って頑張って行こー。でも夏風邪ひいて死にかけてるってことも・・・うーんだんだんと暗くなるので夏のことは考えずにおいとこー。

 最後の1日だからといってやることはいつもと変わらない、とゆーか別にやることもない。仕方がないので神田当たりまで新刊を漁りに行くが、休み明けで緑すっぽ本が入っておらず、人ばっかりうじゃうじゃといる中を買い忘れ買い残しの本を探して歩く。とあったあった、鈴木いづみコレクションの第5巻で配本では3回目に当たる「エッセイ集1 いつだってティータイム」(文遊社、1800円)がひっそりと並んでた。ひっそりって所は気にくわず、どうせならもっとドカーンと積めばいいのにと思うけど、コレクションの刊行からかれこれ3カ月が経とーとゆーのに、新聞なんかで派手に取り上げられているのを見ないから、あんまり知られてないのかも知れない。そーいえば読売の夕刊に娘さんの写真が出てたっけか、先月の初めくらいに。

 「速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする」とゆー書き出しに脳天直撃のかかと落としを喰らうほどの衝撃を受ける。うんこれこの書き出し。他愛のない身辺雑記とか人生上の経験なんかをしたり顔で枕に振るよーな生温いエッセイ(あっと、オレの文章もこんなんばっかだわ)とは違って、いきなりのご託宣に圧倒されるよーなパワーを感じ、そこから先の文章に、はいはい鈴木いづみ様ってな感じで引き込まれていってしまう。うまいなー。仮に今鈴木いづみが生きていたらって、詮無いことを言っても仕方がないのだけれど、ヤワなエッセイストなんか鼻先で吹き飛ばすだけのパワーを、発揮し続けていてくれたかも知れない。

 ほかには江ノ本瞳さんの「セシリア・ドアーズ」(新書館、1、2巻各520円)を購入。不治の病である「染視病」とゆー設定とかネーミングには惹かれるところがあるけれど、死んでしまった赤ちゃんをポイっと棄てたり自分のバッグを盗ろーとした子供を溺れ死ぬと解っていて見捨てたりする主人公の女の子の行動様式に、ちょっとばかり付いていけない。いや人が平気でぽこぽこと死んでいくよーになった世の中では、そんな行動様式がどく当たり前となっているのかも知れない。あとは物語のパワーだね。

 米があることを幸いにカレーを作って食べる。フライパンでいー加減に作る超インスタント製法はやめて、真面目に肉と野菜を鍋でコトコト煮る正攻法で行く。しかし入れたタマネギもジャガイモも全部ソースに溶けちゃって、なんだかルーが澱粉っぽくなっちゃった。カレーを煮ている合間をぬってジーンズ・ショップへ。3年降りくらいに新しいジーンズを買おうと思って出かけるが、いろいろあって迷う。何しろこれまで3年に1本くらいの割合で、リーバイスの「501」しか買わなかったものだから、他のジーンズのサイズもデザインも解らない。あれこれ見てまー正月だからと腹をくくり、ちょっと値が張ったけどリーバイスの今度は「502」を買って帰る。しかしウエスト31インチかー。病気で死にかけた割には痩せないなー。まあカレー2杯も食ってりゃーしゃーないか。

 しかし昨日見たTBSの「神々の指紋」テレビ版は面白かったなー。何しろゲストがトンデモ本ならなんでもって大槻ゲンヂに疑り深いことこの上なしの上岡龍太郎、そしてエジプトのことならまかせときんしゃいの吉村作治。ドキュメンタリーの部分でハンコックがしたり顔して広げた大風呂敷に、吉村先生が水をかけて大槻ケンヂがくしゃくしゃに丸め、それを上岡龍太郎がばらばらに切り刻む。そんでもって頭ごなしに否定するんじゃなくって「そーゆー見方もあるって発想がいーですねー」なんて持ち上げるもんだから、誉めているのかけなしているのか、まるで解らない番組になってしまった。「トンデモ番組」視聴巧者ばかりをゲストに集めた「トンデモ番組」って、とっても自虐的で好き。


【1月3日】 起きたら12時。これぞ正しい寝正月と感心しつつも、寝過ぎで頭痛まで起こり始めているので、ベッドから抜けて近所の散歩に出発する。といっても毎度スーパーやデパートでは飽きるので、ちょっと足を延ばして1キロくらい先にある「ブックオフ」まで出向く。休みかもしれないと心配していたけれど、流石に「ブックオフ」、元旦から店を開けてヒマな近所のお子さまたちを大勢集めていたみたい。今日もコミックの棚を注進にヒマなお子さまたちが貼り付いて、コミックスの立ち読みに若い青春をぶつけていた。

 一緒になって立ち読みするのは年甲斐がないと、せいぜいコミックスの棚の前を行ったり来たりしてめぼしい商品が出ていないか物色するに止める。前に来てからだいたい1カ月くらい経っているのかな。品物もずいぶん変わっていて、それまで探しても探しても見つけることのできなかった、平井和正原作、泉谷あゆみ作画のコミックス「クリスタル・チャイルド」(徳間書店)が上下揃って並んでいた。値段も1冊400円とまー妥当な数字。しかし泉谷さん、「月光魔術團」のイラストとは随分と印象の違う絵を描いていて、平井さんが見初めただけあってただ者ではないとゆーことを、改めて思い知らされる。

 ほかには水樹和佳さんの「典型的な悪友」(ぶーけコミックス)を100均の棚でゲット。でもこの「典型的な悪友」、名作だけど未読の「エリオットひとりあそび」の番外編とゆーことなので、どっかで「エリオットひとりあそび」を探さなくっちゃならない。明日にでも他の「ブックオフ」とか「まんだらけ」に行ってみよー。さて「ブックオフ」を出ていつも通らない道を歩いていると今度は別の古本屋を発見。入るとなかなかの品揃えで、ハインラインの「悪徳なんかこわくない」(ハヤカワ文庫SF)と水樹和佳さんの「天女恋詩」(ぶーけコミックス)と懐かしや粉味さんの「必勝試験に出る女子高生」を購入する。あと森山塔とか(爆!)。神田あたりと違って地方都市の古本屋って普段探しても見つからない本がぽっかり出ているから好き。出張の多い仕事だったら酒場はいらない、古本屋がたくさんある街に行きたいものなのだが。

 正月も3日目となるとまるで面白いテレビがやっていない。せいぜいが高校サッカーくらいで、天皇杯が終わってサッカー日照りが続いている見にはありがたいけど、やっぱ技術的な点とかスピード感とかでプロの試合に及ばないところがあってちょっと苦しい。それでも最後の方に残って来るチームはそれなりに戦術もあって技術もあってしっかりしていて、反則技が頻繁に繰り出されては試合が止まるプロの試合より楽しく見られる面もある。審判もやたらと笛をふかないし。見ていた試合では市立船橋とか静岡学園とか順当な所が勝ち残って来ていて、これからの試合は相当に楽しめそーな気がする。おっと会社が始まっちゃうから決勝見られねーや。

 ジュディス・ホークスの「氷の囁き」(ハヤカワ文庫NV)を読了。ありきたりかもしれない幽霊話だけど、結構恐くてひとりで田舎の廃屋に滞在するのがちょっぴり恐ろしく思えてくる。昔一緒に遊んでいた時に死んでしまった子供が、大人になって帰省した時にその当時の姿で辺りを俳諧するって話で、そんな経験のある(といっても決して多くはないだろうけれど)人にとって、結構身につまされる話ではないだろーか。しかしこーゆーエンターテインメントをデビュー2作目で書いてしまうって、アメリカ人ってやっぱ凄いねー。


【1月2日】 スーパーに続いて百貨店も営業開始で、どの売場でも福袋の乱売をやっていた。衣類の福袋とか食品の福袋とかセトモノの福袋とかスポーツ用品の福袋とか種々雑多。でも薬の福袋とかレコードの福袋とか本の福袋とかって見かけない。当たり前か。仮にあったとしたら、本の福袋って「男の子編」「女の子編」「男の方編」「女の方編」とかって感じになるんだろーね。でもって「男の方編」にはウフフな雑誌が山ほど入ってる。新聞業界も福袋を出すよーになって「2万円分入った1万円の福袋」を専売店の前で売るわけ。あけるとその日の新聞がどっさりって、あんまり嬉しくないないか。だったら過去10年分をまとめてプレゼント。もっと欲しくない。単価が安くて1種類しかなく、おまけに次の日には価値がゼロになる商品を売ってる業界にゃあ福袋は無理か、やっぱり。

 正月も2日に入ると緑すっぽ面白いテレビがやっていないので、ほとんどテレビを見ずに過ごす。見たのは大学ラグビーと「さんまのまんま」くらいかな。早稲田の最後の逆転はあれがトライになるのかどーかルールをよく知らないから解らないけど、押さえたってゆーよりはタッチしただけって感じだった。でもまあ、あの時間帯でパスを回さずちょんと玉を蹴り出してあのスペースに落とすってのは、やっぱうまいよね。

 もう1つの試合は同志社が最初ボロボロでこのままだと100点ゲームもなんて思ったけど、確かに大差とはいえまあそれなりに同志社も点をとって終わってた。新聞見出し的にいえばやっぱ決勝は「早稲田対明治」って方がウケルし客も集まるってこともあって、ホッと胸をなで下ろしたラグビー業界関係者とか報道関係者も多いだろーなー。どっちが勝っても社会人に粉砕されるんだろーけど。

 日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞を受賞した城戸光子さんの「青猫屋」(新潮社、1400円)を読了。表紙の絵柄とか話の出だしなんかを見て、最初は小野不由美さんの「東京異聞」なんかに近い妖怪変化の話かと思ったら、もっとトーンの明るい、けれども結末はとっても恐い話だった。「歌のちから」って点では「マクロス7」的。いや全然違うか。登場人物の造形や妖しげな街の設定についてはなかなかの物だと思うけど、ぽーんと突き放される感じで終わるラストシーンへのプロセスが今ひとつ理解できず、しばらく経ってからもう1度読み直して見る必要があると思った。

 ダン・シモンズの「うつろな男」(扶桑社、1800円)もラストシーンの衝撃が魅力。そこに至る数学的な議論や物理学的な議論は正直言って難しすぎる。まあ深く考えずにだいたいこんな感じかなーと当たりをつけならが、主人公の数学者が全米をフラフラさまよう描写を楽しんでいくのが楽かも。しかし色々な種類の小説を書くもんだよダン・シモンズ。楽しませてくれるのは良いけれど、ファンとしては早く「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」の続き「エンデュミオン」を読ませて頂きたい。


【1月1日】 新年だからといってとりたてて新しい企画があるわけでもなし、のんべんだらりと日々の雑感を綴る当"裏"日本工業新聞は、相も変わらずのふにゃふにゃぶりを発揮して参りますので、どうぞ皆様よろしゅうご贔屓に。

 体調は7分ほどまで回復。かといって人混みの中を初詣に行くのもしんどいし、繁華街はきっとどこも閉まっているだろうから、1日アパートにいてせめて8分まで体力の回復に務めようと静養する。つまりは寝正月ってことですね。しかし1日部屋の中にいても息が詰まるので、1日から営業している奇特なスーパー、イトーヨーカ堂に行って晩御飯のおかずとか夜食のおやつとかを購入する。

 しかし元旦だってーのにスーパーの中は人でいっぱい。行くところがないからか、近所の人たちがみーんなスーパーに集まって来てる、って自分もそーだけど。1階のエスカレーター横にあるプリクラの前には40人位の行列が出来ていて、晴れ着姿のツーショット写真とか、ただの普段着の初プリクラだとかを撮っている。流石に後ろにならんで一緒にプリクラしよーって気にはならず、本屋とレコード屋に回って面白そうな新刊新譜がないか物色する。もっとも世間が休みに入っているなかでは、イトーヨーカ堂が自社で流通をがっちり押さえている生鮮食料品なんかとは違って、書籍流通レコード流通から新刊新譜が届くはずもないので、とりたてて目新しい品物は発見できなかった。

 去年の末に購入した新世紀エヴァンゲリオンの映画チケット付きCDは、はや売り切れのよーで、イトーヨーカ堂のレコード売場では、ぜんぶチケットなしのバージョンに変わっていた。去年の大晦日(つまり昨日だ)にお茶の水駅横の「ディスクマップ」地下アニメ関連製品売場に行ったら、まだ10枚くらいチケット付きが残っていたから、コレクターの人はすぐに行った方がいーかも。でもいつから営業しているかは知らない。売り切れてるかもしんないし。でもチケット使っちゃったら同じ品物ってことになるのかなー。あー、値段表示が違うか。

 抜かれがないか新聞をチェックするのも億劫なので、ネット上のネット新聞をざーっと眺めてみるがたいして違いがない。ペルーは当然1位か2位の話題。あとは特殊法人の統廃合とか、企業によるガス事業参入とか、まあそんなところ。1日付けを競い合うって風潮は、正直止めて頂きたいものだけど、これはまあ正月番組を競い合うテレビ局どうしの戦いみたいなものだから仕方がない。正月番組みたいに読者が喜ぶかってゆーと、あんまり関係ないってケースもあるけれど。

 正月番組は「サッカー天皇杯」と「開運なんでも鑑定団スペシャル」を見たくらい。天皇杯はかたや去年名古屋グランパスエイトが破ったサンフレッチェ広島が再びの登場。こなたJリーグ発足以来1度も勝ったことのなりヴェルディ川崎が今シーズンの初タイトルをかけて登場し、そこそこの試合を繰り広げた。サンフレッチェは正直攻撃が単調、対してヴェルディは栗原を軸にしてパスワークが冴えまくり、カズの飛び込むタイミングも脅威的なほどに決まっていたため、3対0とゆー結果も仕方がないとゆーところか。得点シーンを見返してみると、すべてに栗原が絡んでいるのが解る。カズに集中していたため、相手の守備が甘くなってしまったかもしれないけれど、あの玉際の粘りとゆーか、玉への執着心はぜひとも全日本の面々に見習って欲しー。

 「鑑定団」は芸能人大会。びっくりしたのはベルマーレ平塚の反町選手の皿と掛け軸。なんか知らないエライ人が作ったとゆー皿が60万だったっけか。それから良寛さまの直筆の掛け軸が忘れたけど何100万円とかゆー値段だった。ヴィッセル神戸の永島の衝立が5万円だったのに比べるとすげー違い。反町選手は選手止めても骨董売り繋いで食っていける。ゴン中山の槍とカメラはまあそこそこの値段。生田智子さん絡みのグッズじゃないことろがちょっと残念。

 しりあがり寿さんの「瀕死のエッセイスト」は、正月向きの題材じゃないけどとにかくすごいの一言。圧倒されるし涙が出る。正月帰らなかった身の不幸を恥じ入らせるよーなエピソードが入っているのにもドッキリで、こーゆー話を書きながらも、一方で流星課長とかヒゲのOL薮内笹子とかを平気で描いてしまうしりあがり寿の多才さ、多芸さに脱帽。16年ぶりに読む水樹和佳さんの「樹魔・伝説」には新たに発見するところ多し。これほどまでにアイディアのつまったSF漫画だとは当時あんまり感じなかったし、当時はそれほど感じ入らなかった絵柄にも、今回はスンナリ入っていけた。近く「月虹」も再刊されるとか。買いに行こー、買いに行こー。


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