縮刷版96年3月下旬号


【3月31日】 "裏"日本工業新聞!!では、明日4月1日に大号外を発行する。表でやれれば最高なんだけどなあ。かつて深代淳郎が天声人語で、パロディ風のコラムを書いたところ、社の内外から非難を浴びて、訂正まで出したことがあったと記憶している。後年、筑紫哲也が自分の番組「こちらデスク」で、そのカタキ打ちといった意味を込めて、4月1日ならではの内容を放送したが、やはり視聴者から批判を受けた。海外では派手にこの日を祝って、お祭り騒ぎのテレビ番組や新聞紙面を作ると伝え聞く。放送が免許制度の下、生殺与奪の権利を郵政省=国会議員に握られて、無茶ができないのならば、日本では新聞が、もう少し羽目を外してくれてもいいのにと、部外者のフリをして1言申し述べる。
 突発的に西炯子(にし・けいこ)さんのファンになって、小学館から刊行されている「ローズメリーホテル空室有り」(1ー2巻)を買い込む。西さんの漫画は、本屋に行くたびにあちこちの書棚で目にしてはいたのだが、みみっちくなったのか、臆病になったのか、なかなか新しい漫画家に手を出す勇気が持てなくて、評判を伝え聞いていたにも関わらず、これまで読むのを手控えていた。しかし、確か三浦雅士さんが編集長を務めていた雑誌「大航海」の表紙を見るたびに、カタめの内容とは対称的に、かわいらしい女の子の絵が目について、その作者が西さんだと解って以来、こうした絵を描く人の漫画って、もしかしたら面白いのかもしれないと、手を出すタイミングを計っていた。
 面白かった。どうして今まで手を出さなかったのかと悔やまれるほどに面白かった。1枚物の絵は上手くても、ストーリーが無茶苦茶だったり、画面に動きがなかったりして、がっかりさせられるケースが少なくなかったが、西さんの絵はシリアスな場面も、コメディ調になった場面も、どちらもしっかりと描けている。不遜かもしれないが、歌の下手な歌手と、絵の下手な漫画家は、ワタシはとても苦手なのだ。ストーリーもキャラクターも、コメディー漫画としては十分過ぎるほとに練られているから、読み返しも苦にならない。
 小学館からあと6冊、新書館から何冊か、西さんの単行本が出ているから、多分今週中には全部揃えて読みふけることになるだろう。気に入ると一変に買い揃えてしまう癖は、一昨年夏の村上春樹、去年冬の島田荘司、綾辻行人、去年春のピアズ・アンソニイ、去年夏の加門七海、今年正月の氷室冴子と続いている。実は小野不由美の十二国記シリーズを、読もうかどうしようか迷っているところなので、これを合わせると、ちょっと膨大(っても1万円もいかないんだけど)な出費になってしまう。困ったなあ。
 「新世紀エヴァンゲリオン」の最終回に関する論争が、いよいよマス・メディアを巻き込んで、大きくなる兆し。といってもまあ、読売新聞の4月1日付けマルチ読書面下に連載されているコラムで、大塚英志さんが「エヴァ」最終回について書くらしいって程度のことなのだけど、大塚さん、相当入れ込んで見ていただけに、最終回を見てショックを受けたらしい。内容が作品論になるのか、制作会社の制作態度についてなのかは解らないが、今でもアニメや漫画の制作現場に身を置きながら、評論活動をしている大塚さんだけに、内容にちょっと期待している。

【3月30日】 雨が降ってるからサッカーは中止ってことにする。ホントなら二子玉川でフットサルの練習をする予定だったんだけど、今日はグランパス対マリノスの試合がテレビ放映されるし、「飛べイサミ」も最終回だから、行こうかどうしようか迷ってた。中止の連絡があったわけじゃないから、もしかしたら小雨ふりしきるナムコ・ワンダーエッグとなりのフットサルコートで、必死に練習している人々がいるかもしれない。何て卑怯なんだ、オレって。でもまあ、船橋でこんだけ雨が降ってんだから、やっぱ中止だよなあ。ただし、来週の本サッカー(広いグラウンドでやるサッカーのこと)の試合はサボる訳にはいかない。宿敵、産経社会部との因縁試合を代々木公園でやる。前回は終盤に引き分けに持ち込まれたが、今回は負けないぞ。応援歓迎(って、誰が来るんだ?)。
 そのグランパス、前半の前半こそパスを上手く回して攻め上がっていたけれど、それ以降はマリノスに攻められっぱなしで、かろうじてバックスラインのうまい連携で守りきって勝利を収めた。オリビエはドリブル突破の力はあるが、それを過信している節があって、周りとの連携や、味方のカバーリングがあまり出来ていない。慣れるまでしばらくかかるかもしれない。でも、ピクシーが出た時に控えに回すにはもったいない選手であることは確かで、その辺、うまい選手起用をベンゲル監督には期待したい。
 浜松在住の某大学教員のように、山積みの雑誌と山積みのCDを買い込んで持ち歩くほど、「をたく腕力」「をたく財力」の発達していないワタシ。本屋とレコード屋とCD-ROM屋に欲しい本、レコード、CD-ROMが並んでいても、ヨダレを流しながら前を通り過ぎねばならず、悔しい思いが募って胃に悪い。CD-ROM屋には話題沸騰怒り心頭の「新世紀エヴァンゲリオン」のコレクターズCD-ROM第2弾が並んでいたが、これは財力という以前に、第1弾の出来が気に入らなかったので、買うのを見合わせる。素材集と割り切っているのは解るけど、いったい何の素材として使えばいいのか。せっかく買ったんだから、自宅のマックのスタートアップスクリーンに「エヴァ」の絵を出るようにしたし、警告音もアスカに「あんた馬鹿あ」と罵倒されるようにした。でも、ネットにアップできるわけじゃなし、プリントして楽しむものでもなし、同じ画像をフォーマットを変えて入れたのは面白い考えだったけど、メモリー不足で見られないんじゃあしょうがないもんね。
 欲しいと思ったのは「天地無用!GOKURAKU CD-ROM」の第2弾の方。第1弾もそうだったけど、作っているパイオニアLDCって会社、こうしたデータベース物のCD-ROMが得意なようで、単に素材やデータをおしこめるだけじゃなく、それらをいかに楽しんで見てもらうかを、実によく考えて作っている。関連会社のインクリメントPって会社もそう。前に見せてもらった「男はつらいよ」のデータベース「右も左も寅次郎」なんて、映画ファン、寅さんファンじゃなくても楽しめるし、遊んでいるうちに寅さんファン、寅さん博士になっちゃうからね。
 「飛べイサミ」は怒涛の最終回で、最終回のお手本を示すかのように、大団円で幕を閉じた。敵と味方が仲良く手を繋いで、別の驚異と戦う幕切れは、ともするとご都合主義のなれ合いに陥って、見ていてこそばゆくなるんだけど、ここ何週間かかけてお互いが共闘できるようなシチュエーションを作り出して来たせいもあって、それほど収まりは悪くなかった。それにしてもヨロイ天狗のルリ子ちゃん、水着の上からヨロイを来ていたのか。胸なんかスレないのかなあ。

【3月29日】 青山のギャラリー「オン・サンデース」からダイレクトメールが届く。中に、1995年の書籍ベスト10という小冊子が入っていて、第1位がジャック・ピアソンの「オール・オブ・ア・サドウン」になっていた。3月にサイン入りのリミテッド・エディションが再入荷すると書いてあったが、もう来週は4月とゆーこの時期まで、果たして売れ残っているかどうか。価格も普及版の7500円に比べて28000円とお高く、ちょっと手が出ない。私は悲しい。
 ちなみに第2位はジム・ショウの「ドリームス」、第3位は森山大道の「ヒステリック6」。「6」は持っているので、内容的に対になった「ヒステリック5」の方も欲しいのだが、すでに売り切れてしまっていて、今ではプレミアムが付いており、値段が何倍にもなっている。定価10000円の何倍だから、ボンビーマンにはとても手が出ない。私は辛い。「遠野小説」なんきゃ、買わなきゃよかった・・・・こともないか。これはこれで最高だからなあ。アラーキーの作品として。もう売ってないし。
 第4位から下はダイアン・アーバス「アンタイトルド」(服のブランド名にもあったなあ)、ジョエル=ピーター・ウィトキン写真集(欲しい! すっげえ欲しい!)、エドワード・ウェストン「情熱の形」、マシュー・バーニー「クリマスター4」、ルネ・マグリット画集、アンディ・ウォーホル「猫猫猫」&「天使天使天使」、デストロイ・オール・モンスターズ「ゲイシャ・ジス」(なんだあ?)。あっ、ヒステリック第7号の「リバー・ベッド」が出ているではないか。ああ、今日、ドリカムのCD2枚買っちゃって、もうお金がないんだよー。困ったよー。
 で、そのドリカムのCDは1枚が「ラヴ アンリミテッド」。ソニー・ミュージックエンタテインメントから前にリリースがあったように、パソコン用のデータがいっしょに入った「CDエクストラ」なんだけど、卑怯にもウィンドウズ95対応のソフトしか入っておらず、マック使いの僕にっとて、何の意味も持たないシロモノとなっている。まあ、音楽が聞けるから十分なんだけどさ(=負け惜しみ)。もう1枚はベスト盤のようなサウンドトラックの「7月7日、晴れサウンドトラック」で、この2枚で週末はドリカムづくし。週明けには、ヨシダミワの大口が目の前にちらつくよーになっているだろう。夢に見るかもしれない。

【3月28日】 SFマガジンの新しい号が出ていたことを思い出し、行きがけに本屋で仕入れる。昔だったら発売日を指折り数えて待ちこがれていた雑誌だったのに、今ではなんか、読むのがルーチンになってしまっている。それでも楽しみにしている連載はいくつかあって、なかでもとり・みきさんのマンガ「SF大将」と、水玉蛍之丞さんの「SFまで1000光年」は、雑誌を買ったら真っ先に読んでしまう。今回は水玉さんの連載に大爆笑。例のアニメーションのパロディが、昨日の本放送の時に出て来たストーリーとそっくりで、もしかしたら水玉さん、あんな結末になることを、どこかでちゃっかり仕入れていたんじゃないかいな、とまで思わせる出来だった。
 気になる記事がもう1つ。95年10月号の「アジモフス」誌に載った記事を翻訳したもので、ロバート・シルヴァーバーグ氏が「深刻化するSF読者の高齢化問題」のテーマで、実に興味深い持論を展開している。スターウォーズやスタートレックもののノヴェラが巻頭をかざり、スターリングやベンフォードらの短編が巻末に載っている雑誌があったら、大人向けSF雑誌の売れ行きは、もっと見通しの明るいものになっていただろう、という氏の指摘は、そのままSFマガジン自身の編集方針に跳ね返ってくる。
 コミック雑誌やアニメ雑誌、ゲーム雑誌から派生した小説雑誌が、着々と巨大なマーケットを築き上げている一方で、ジリ貧状態にあるSF専門紙が起死回生を図るには、何をするべきなのだろうか。それこそダーティーペアにグインサーガにみのりちゃん、アプロ&ラテルにタリオン、タルカス、大森望を毎号欠かさず掲載し、コミックもとり・みきや横山えいじにプラスして、大友克洋、萩尾望都、竹宮恵子(古いなあ、ワシも)をバンバンバンと載せるくらいじゃあないと、とてもとても世間の話題には上らない。でもムリだろうなあ。
 夢見は少しは良くなったみたい。ゆうべは幾つも並んだベンチの上に、犬と猫がズラリと並んで座っているという、何ともはやファンシーな夢だった。アトランダムに並んでいる2匹の猫を持ち上げて、別のベンチの上にポンとおいたのだけれど、後になってそのベンチが、犬ばかりのベンチだったことに気が付き、喧嘩でもはじめやしまいかと、そわそわしているところで目が覚めた。意味があるのか、それともないのか、やっぱりさっぱり解らない。

【3月27日】 夢は相変わらずヘンなまま。ゆうべは、デパートの中にある展覧会場を入り口からのぞき見ている夢だった。何でもロボットの展覧会とかで、なかでは何台ものロボットがぎゃしゃぎゃしゃと動いている。ブリキのおもちゃのようなロボットを見て、誰かが「あれがフジパンロボット館にあったロボットだよ」と話し、自分もその言葉を納得して見ている。
 むろん、意味などあろうはずもないが、少なくとも現実の自分は、夢で見たロボットが、大阪万国博覧会のパビリオンのひとつだった、フジパンロボット館にはなかったことを知っている。夢のなかでは、いかなる不条理も条理として通ってしまうものなのだ。ちなみにフジパンロボット館は、愛知県長久手町の青少年公園に移築されて、今でも多分、ピアノを弾くロボットや、人体が段階的に骨格になってしまうカラクリを見ることができる。新世紀の夢が、もはや前世紀の遺物としか感じられないくらいまで、テクノロジーは進んでしまった。
 いささか強引ながら、新世紀といえば話題沸騰のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が最終回を迎えた。日本中で沸騰した血液が、頭の血管から吹き出したことであろう。初期のロボット格闘アニメ風少年成長物語が、最後に来て少年成長物語心理編へと横すべりし、すべての謎を謎として残したままで、天空の彼方へと消えていった。アニメの文法の可能性を追求した作品としては評価できるかもしれないが、純粋にエンターテインメントとして見た場合には、最悪最低の作品になってしまった。
 半年も費やして出てきた結論がこれか。落語家がマクラに1時間を費やして、最後にたった10秒の小話をしゃべるようなものではないか。テレビという媒体を「利用」して、エヴァンゲリオンという新しい世界とキャラクターを作り出し、これを土台にビデオなり、映画なり、小説なりに展開していくという腹積もりがあったのだとしたら、こうした終わり方もまだ理解できる。しかし、純粋にテレビのストーリーアニメとして楽しんでいた視聴者はどうすればいいのか。「これが言いたかったのか」と納得させられるだけの、話の持って行き方をしていないではないか。話題は今後ますます沸騰するだろう。
 またまた強引ながら、沸騰する話題が1つ。ゲームソフト制作会社のWARP(ワープ)が、プレイステーション向けに進めてきたインタラクティブムービー「エネミー・ゼロ」の開発を、セガ・サターン向けに切り替えると発表した。それもこともあろうに「プレイステーション・エキスポ」の会場で。プレゼン映像のラストに出てくるプレイステーションのロゴが、モーフィングしてセガ・サターンのロゴに切り替わるという、嫌みなまでの念の入れようで、ソニーに決別を表明したWARPの態度を、可と見るか否と見るかは評価の別れるところだろう。WARPはセガ・エンタープライゼスと心中する腹積もりを決めたというところだろうが、セガにとってみれば数10万本しか売れない(それだけ売れれば十分ともいえるが)ソフトを手に入れるのと同時に、ソニーの鼻を明かしたという自己満足を得ることができた。ゲームをやらない自分にとっては、だからどうしたという話。32ビットゲーム機の陣営が、内ゲバのような抗争を続ける間隙を縫って、世界の任天堂が盟主の座を確固たるものにするだけなのかもしれない。

【3月26日】 生活に不安があるのか、ここのところヘンな夢ばっかり見る。
 「バスキアデファ」とゆー名前の、通信講座みたいなものがあって、そこに参加しないと、世の中が大変なことになった時に、守ってもらえないよという不安感に、夢の中でせき立てられている。夢からいったん醒めても、すぐに夢の世界へと引きずり込まれて、繰り返し講座への参加を求められる。どこかで何かの映像を見たときに、サブリミナルとして頭に刷り込まれたんじゃないかと、客観的に見ている自分がいるけれど、一方で不安感にあおられて、このまま夢の中へと没入し、サブリミナルにのってしまった方が楽だよと、呼びかけている自分がいる。
 「バスキアデファ」とは、いったい何の講座なのか、夢の中では解っているのだが、朝になると覚えていない。いったん起きた時に書き留めたメモには、「ロープ訓練」「マスコミが煽っている」「3人の行方不明者」とゆー言葉が、みみずがのたくったような字で書かれている。さっぱり訳が解らない。この夢の意味するところは何だろう。10年くらいたって、本当に世の中が大変なことになった時に、きっと「このことだったんだあ」と気付くのだ。
 大日本印刷が「ヨーロッパ写真館」に関するリリースを持って現れる。パリにオープンした世界的な写真ミュージアムに、大日本印刷が日本の現代写真家の作品を寄贈したって内容で、作家のラインアップが東松照明、森山大道、荒木経惟、細江英公、奈良原一高、深瀬昌久と、なかなかにツボを抑えている。なんといっても篠山紀信が入っていないのがいいね。
 通りすがりに本屋をのぞいて、ちゃかぽこと本を買い込む。うち1冊は佐谷和彦さんが書いた「アート・マネージメント」(平凡社)とゆー本。現代美術の愛好家には知られた、銀座のギャラリー「佐谷画廊」のオーナーが、画廊経営のノウハウを、画廊の財務や展覧会の運営方法、美術界への提言などを含めた幅広い視点から、20年の経験をもとに書き記している。佐谷さんが、住専問題で話題の農林中央金庫に務めていたとは知らなかった。それ故か、美術と経済という、素人ではうかがい知ることの出来なかった関係を、この本で垣間見せてくれる。ほかは森村泰昌さんの「美術の解剖学講義」(平凡社)とか、「小説新潮」の最新号など。たちまちのうちに財布の中身が尽きる。

【3月25日】 CG(コンピューターグラフィックス)ソフトに関する発表があるとかで、世田谷の伊藤忠テクノサイエンスに出向く。発表されたのは、家の平面図をもとに立体図を立ち上げ、中をウオーク・スルーできるようにするソフト。大枚はたいて建てるマイ・ホーム、どうせなら建つ前からイメージをじっくり検討したいってゆーお客さんのために、じゃあ見せちゃいましょうって具合に、モニターの中に家を建ててしまうことができる。
 発表会場にデンを置かれていたのが、CG使いあこがれのマシーン「インディゴ2」。紫色に鈍く輝くそのボディーに、つまった脳みそ1億人力(当社推定)。これはちょい大げさとしても、平面図をちょちょいといじると、たちどろこに立体図が立ち上がったのには驚きで、コプロのないLC575を使ってる身には、ただただ羨ましい限りであった。
 午後は芸能人の記者会見。ずらりとならぶテレビカメラに、カメラのフラッシュが途切れなく輝き、愛想を振りまく芸能人に、リポーター陣が色めき立って質問を繰り返す、なんて派手で華やかな会見ではまったくなくって、集まっていたのは、パソコン雑誌や音楽業界紙・誌の記者ばかり。まあ、工業新聞の記者にも案内が来るくらいだから、内容は推して知るべしってとこね。
 で、肝心の芸能人というのは、貴水博之(ジャーン!)のこと。えっ、タカミヒロユキなんて知らない? 人気ユニット「アクセス」の片割れといえば解るだろうか。一緒にやっていたのが、先にソロデビューした朝倉大介で、貴水も少し前に、デビューアルバムをリリースしている。
 今日の発表は、音楽CDにパソコン用のデータをいっしょに入れる「CDエクストラ」の規格で、貴水のリミックス・アルバムをリリースするというもの。デモを見ると、音楽といっしょに歌詞が流れるとか、プロモーションビデオの映像が入っているとかあって、結構遊べそうな気がした。でもウィンドウズ版だけだからマック使いには関係ないし、貴水ファンでもないのでやっぱり全然関係ない。森高千里なら買うぞ。

【3月24日】 「駅の売店で買った日刊スポーツと朝日新聞を読みながら、百貨店の屋上で罐珈琲をすするのが、ここのところ日曜の午前中の過ごし方になっている。Jリーグがはじまってから、日曜のスポーツ新聞には前日の試合結果が載るようになったが、東京で刷っているためなのか、グランパスエイトの記事がいつも少ししか載っていない。残念といえば残念だ。百貨店の屋上を吹く風はまだ冷たい。素手で持てないくらいに熱かった罐珈琲も、今ではすっかり冷え切っている。最後の一口をすすると、弱った胃袋の表面を、茶色い砂糖水が伝わって落ちていった」
 などといった、3文私小説風のしみったれた独白はさておき、百貨店(船橋西武)の本屋で新刊漁りをしていて、まず目についたのが新保博久氏の「日本ミステリ解読術」(だったかな? 河出書房新社)だったが、これはいけない。人の本に書いた解説で、自分の本を1冊作ってしまうとゆー、オイシイ仕事をしている。羨ましくなるじゃあないか。馬に喰わせると吐くような原稿を、連日、何100行も新聞紙面に書いているのに、本になるとかファンレターがくるとかいったオイシイ話とは、一切無縁の新聞記者(オレのこと)から、ねたまれること必定だ。
 もっとも、フジサンケイグループの間ですら、知名度に不自由している我が日本工業新聞。この前なんか、フジテレビの人に「駅の売店で売ってないんですかあ」といわれちまったい。売ってねーよ、どーせ。オレが名古屋にいたときゃあ、大学の図書館と、愛知県立図書館でしか読めなかったもんね。いくら原稿書いたって、読まれなければ意味がない。虚しくて悲しくて、今日もハラハラと毛が抜ける。
 怒りを沈めて、新刊ではほかにも新井素子さんの「いつか猫になる日まで」のハードカバー版とか、大沢在昌氏の新刊とかが並んでいたけど、明日給料日、かつ銀行残高万年マイナスの身には辛く、しょうがないので荒木経惟写真全集の第4巻「ニューヨーク」(平凡社、2400円)だけ買って返る。
 オリンピック出場のかかった、サッカー日本代表とサウジアラビア代表の試合は、2対1で日本の勝利! 勝利! 勝利! 前園よくやった、城もうまかった、中田も頑張った。トラップミスにパスミスにマークミスは、この際一切水に流そう。世界の桧舞台にA代表より先に立つ、オリンピック代表に心から拍手を贈る。おめでとう!

【3月23日】 こんな夢を見た。
 「千葉ロッテマリーンズらしい球団が海のそばで野球をやっている。映画『紅の豚』に出てきた飛行機工場のように、格納庫の床がそのまま傾斜して海に続いているようなナナメの場所で、プレーヤーは誰もやりにくそうにしている。ピッチャーの足下に海水が押し寄せてくるまで潮が満ちてきて野球は中止。外野の選手3人が、同じサーフボードにつかまって、ベンチまで戻ってくる」
 この夢の意味するところはなにか? ちなみに僕は千葉ロッテのファンではない。
 船橋西武で「カトキチ冷凍さぬきうどん」が1袋100円でセール。同じく100円セールの「オーマイ冷凍スパゲッティ」と合わせて4袋を買う。こんなんばっか食べてると、いつか栄養失調になるだろーと思っていたら、案の定、最近腰痛がひどい、手足がしびれる、めまいがする。30歳にしてこの体たらくだと、40歳、50歳になった時には、きっとでろんでろんになってるんだろーね。
 サッカー中継があって2週間ぶりの放映となった「セーラースターズ」。ほたるちゃんが大きくなって再登場し、久々のセーラー戦士そろい踏みに大興奮! でも、みんなの心が合わさって、セーラームーンがもう1段の成長を遂げたってことは、これまで心が1つに合わさってなかってことかいな。どうせなら10人のセーラー戦士がトリプルファイターみたく合体して、セーラーファイターとかいって戦ったら、面白かろーにと思った次第。タキシード仮面は混じっちゃだめね。それにしても「フェッセンデンの宇宙」とは。今どき誰も知らんぞ、こんな古典SF。
 名古屋グランパスは勝って3連勝、柏レイソルはヴェルディを破って初勝利。面白いサッカーをやるチームが増えていて、今年のJリーグは去年以上に白熱している。面白いサッカーをやっているのに、どうして等々力を満員にできないのか、考えた方が良いぞ、ヴェルディ、そしてヨミウリグループ。

【3月22日】 朝ワイドを見てから家を出た昨日とは一転して、今日は金曜日恒例の「朝練」に参加するために、7時ちょい過ぎには家を出た。8時ちょい前に会社に着いて、「朝練」までの時間、会社のマックでインターネットをいじって過ごす。21インチのモニターで自分のホームページを見ると、これはビックリ、なんとまあ読みやすいこと見やすいこと。自宅のLC575(絶版)とは、受ける印象がまるっきり違っている。
 狭いかなあと思って作っておいた文字の間隔が、妙に間延びして見えたり、大きいなあと思っていたグラフィックが、小さなアイコンと同じくらいに見えたりする。自宅ではとにかく、自分の利用している環境にあわせて、文字の大きさや改行のペースを決めているので、人によっては見やすかったり、逆に見にくかったりするのだと、今さらながら気が付いた。
 「今日の天野喜孝展情報」。ひんぱんに出たり入ったりする、それっぽい女性の大群に、会社のデスクも、なにか大変なことが行われていると気が付いたらしい。僕に向かって「なにやってんの」と聞いてきた。とりあえず「当代きっての人気イラストレーターの展覧会です」と答えておいたが、これでいーのだろうか。お客は午前も午後も途切れることなく入っている。春休みだからなのだろう。明日、あさってはおそらく、サンケイビルを7周り半するほどの行列ができるだろうと、いい加減な予言をしておく。
 「沈没寸前」と見られていた「ケイプX」は、やっぱり沈没したみたい。表紙に堂々と「vol.FINAL」と書かれた最終号を買って中を開くと、活字、活字、活字の渦で、実に「読みごたえ」があった。圧巻なのは、日本経済新聞から昨年末に刊行された「デジタル・ハリウッド」に関わる「Y事件の顛末」。この本、出た時にすぐ買って読んでいただけに、かくもすさまじいまでのウラ事情があったのかと驚いた。記事によると、日経はこの本を、すでに絶版にしたらしい。「遠野小説」とともに、絶版本コレクターに売れるかもしれんなと、胸算用をしている僕ってなんて不謹慎。

【3月21日】 強いぞ僕らのグランパスエイト! 頑張れ僕らのグランパスエイト! 少し興奮してしまった。でも、去年のいまごろ、おととしのいまごろ、さきおととしのいまごろのグランパスの体たらくを思い起こすと、いまのグランパスの安定度が信じられないのも仕方がない。勝って当然のプレッシャーなど、微塵も感じさせないハツラツとしたプレースタイル。負けても良い試合を見せればそれはそれで良いというプロ意識が伝わって来て、見ていて実に気持ちが良い。
 それに引き替えオリンピックの日本代表。固いって雰囲気じゃあないけれど、やはりどこか危なっかしい。タテ1本のパスからサイドを崩されて得点される可能性を、常にはらんでいて冷や冷やさせられる。相変わらずの決定力不足も、準決勝、決勝にのぞむには大き過ぎる不安要素だ。城1枚ではコマが足りない、小倉がいれば、と思ってしまうのは、決してグランパスファンの身びいきではない。次の試合、頑張れとしか言えないが、とにかく攻めて攻めて、攻め勝って欲しい。
 TBSのモーニング・アイを見る。突撃リポーターの傍若無人な質問に、にこやかに答えていたのが通商産業省岡林課長。格幅の良さ、課長補佐を従えての席次、どれをとっても正真正銘、通産省の課長の姿であった。どうせならおきゃんなリポーターではなく、股下96センチの女性が来てくれればよかったのにと、放送を見た課員一同、思っちゃあいませんか?
 会社のとなりで開催中の天野喜孝さんの原画展は、昨日ほどじゃあないにしても、やっぱりすごい人気のようで、朝から晩までひっきりなしに、お客さんが会場に入って行く。女子が多いが、なんとなくみんな、似た雰囲気を持っている。コミック高岡の地下の少女漫画売場とかにいそうな女の子たち。そんな女の子たちでいっぱいになったエレベーターに乗り合わせると、おじさん恥ずかしくなってうつむいてしまう。でも、ちょっとだけ嬉しい。


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