縮刷版2004年7月上旬号


  【7月10日】 飛ばし飛ばしでハーフタイム前くらいまでしか見なかったキリンカップサッカー「日本代表vsスロヴァキア代表」は、ちょっと前まで昔相方だったチェコが「EURO2004」でフランスもドイツもオランダもスペインもポルトガルもイングランドもイタリアも、叶わないくらいに見える完成度を見せて来ているのとは対称的に、スロヴァキアには目立った選手もおらず守り一辺倒で攻めもなく単調で単純。そんなに広くはなかったチェコスロヴァキアを二つに割って出てくるこの違いってのが何に起因するのかに興味が及ぶ。もし仮に、日本が今から2つの国に分断されたら果たして東西どちらがチェコでスロヴァキアになるのかな。それともクロアチアとセルビア・モンテネグロみたくそれなりにどちらも強豪になるのかな。ちなみに東は監督がジーコだ。西はトゥルシェ。名古屋は西。やらせてみたい東西対抗。

 しかしそんなスロヴァキアを相手にやっぱり前半あたりは苦戦していたみたいな我らが日本代表。見ているとパスが足元から足元にしか行かず受けた選手がつっかけ駄目だと分かると別の場所にいる選手の足元にパスするとゆー、まるでハンドボールのパス回しのよーな攻撃ぶり。ハンドボールだって時には選手が激しく動いてパス交換から隙を狙ってシュートにいくんだけど、サッカーの代表にはそんな崩す動きがほとんどなくって一発裏を狙って通ればラッキー、駄目なら戻してもう1度ってゆー、確実にして堅実なのかもしれないけれど先週まで欧州で繰り広げられていたダイナミックでスペクタクルでスピーディーなフットボールとは、まるで違う競技に見えて仕方がなかった。

 1人中村俊輔選手が気を吐いていたよーだけどプレスもそれほどない状態で前を向かせてもらえたからで出したらそれで一仕事、ってゆー親善試合仕様のスーパープレーだったよーな気もしないでもない。ここはじっくり試合を見ていたトゥルシェ監督に今の日本代表封じを対カタール戦で実現すれば見せて欲しいんだけど、それより以前に同じグループのオマーンにやられ他にもしのがれグループリーグ落ち、なんて失態をしてしまう可能性も割に結構あるから困ったものです。来週も主力選手がごっそり抜けてるセルビア・モンテネグロが相手だけど、こっちは主力が抜けても下の世代の有力選手が揃ってるっぽいんであるいは案外に日本代表をコテンパンにしてくれるかも。せめて暑さが落ち着き双方、グッドなコンディションで戦ってくれることを願おう。しかしなあ。横国遠すぎ。何故国立でやらないか。

 暑さの中をのたうちまわった明け方にテレビで90年代の日本のヒット曲が当時の風俗といっしょに流されるNHKの番組をつらりつらり。WANDSとか米米クラブとか大事マンブラザーズとか今は無かったり多分無かったりするグループの懐かしい曲が流れてバブルの余韻残る中を未来に希望を抱きつつ聞いていた記憶が刺激されて涙ぐむ。まさかこんなんなっちゃうとはなあ、世界も周りも。ツブれかけツブされかける日々に慟哭。そんな中で「負けないで」がかかったZARDは今も健在みたいだし「BANZAI」のウルフルズは先だってもトータツ松本さんがカルピスのキャンペーンでプランタン前に登場。「ガッツだぜ」の1発で終わらなかった秘訣、「シーズン・イン・ザ・サン」のTUBEみたく夏限定にもならなかった秘密、何だろう?

 昼過ぎまでのたうちまわってから起き出して「小山登美夫ギャラリー」へ「Mr.」の個展を見に行ったら工事中だった。何かまだ制作中だそーで午後の3時になったら明けるってんでその辺をぶらぶらとして3時過ぎにまた行ったらやっぱり工事中で村上隆さんがぐいっと他って差配している姿がドア越しに見えて熱気むんむんで近寄れず。仕方なく日本橋へと回って「GARAGE」で「ドリームペッツ」のそれなりだかあんまりだかな人気ぶりを確認してから戻って午後の5時ちょっと前に寄ったらやっぱり工事中で今日は見るのを断念する。

 きっと午後の6時だか7時からのオープニングレセプションには間に合ったんだろーけどそーしたセレブな場に紛れ込んで知らない人たちの間を背後霊するのも精神がヤサぐれるんでとっとと退散する。初日には間に合わせて欲しかったけどまあ、規則だとか見に来る人の気持ちだとかって良識をぶち破るのがアートってもんだから仕方がないか。見に来る人の気持ちをぶち破るのがアートの世界の常識だとしたらそれをぶち破ってこその「MR.」って気もしないでもないけれど。来週にでも見に行こう。蒟蒻に首突っ込むパフォーマンスはもうやってくれないのかなあ。あれは良いぞお、臭くって。

 突っ返されたり延期されたりと唖然呆然な事態続出の仕事方面に萎えた気分も多少は晴れてよーやくやっと「R.O.D The TV」の最終巻を鑑賞、なるほどこーなるんだろーって予想はあったエンディングだけどそこへとたどり着くまでの反発から若いといった心理的な段取りなり、世界の恒久平和といったデカい話に個人の幸福って身の回りの話が挑んでこれをぶち破っていくプロセスが見ていて気持ちを高揚させてくれてクライマックスのカタルシスを納得のうちに迎えられた。美少女3姉妹の活躍話、だなんて思わせて人と人との関係の浅いようで深い様、記憶の曖昧さと経験の確かさってな深いテーマを時に淡々とした演出と静かな音楽の中で、時に激しいアクションとテンポに乗った音楽の中で見せてくれて近年にない屈指の好アニメへと発展させていったクリエーター陣にただ拍手。ここぞとゆー場面でのナンシー幕張スーツを着たナンシー幕張のナンシー幕張的な動きで登場しては見せる大活躍にも喝采。ナンシー幕張はやっぱりこーじゃないとね。

 ジェントルマンも散ってしまってウェンディは元のドジっ娘に戻って惚けたジョーカーを世話してて復活の兆しはあんまり見えず、これでシリーズも完了みたいで残るは小説の方のシリーズがどこへ向かうか、だけどこっとはジェントルマンが元気ばりばりで世界を崩壊させる勢いで中国大陸を突き進んでいるからなあ。どこへ向かうか皆目健闘つきません。テレビシリーズとはもはや違う作品になってしまったけど果たしてテレビに向けたテンションを作者の倉田英之さん、小説版の方にも向けてくれるんだろーか、匹敵する感動をそっちでも見せてくれるんだろーか。投げ出さないで完結をとりあえず祈願。ナンシーさんの活躍も祈念。


   【7月9日】 ゴジラだって自分の出ている映画は見たい。でもゴジラがいきなりチケットカウンターの行列に並んだとしたら、同じ行列で「アンパンマン」とか「ドラえもん」を見ようと並んでいる周りの子供たちはいきなりのゴジラの登場に驚き大騒ぎになり、発券業務を行う受付の人も迫るゴジラの巨大な顔にあわてふためいて、カウンター前はパニック状態に陥ること必至。おまけにあの大きな手では財布からお札を抜こうにも小銭を摘み上げようにも出来ずカウンターの前で小銭をバラ巻き財布を引きちぎっては支払いまでの時間をとり、周囲から白い目を向けられ苛立ち果ては放射能を吐いて映画館をビルごと粉砕してしまいかねない。

 そんなゴジラに朗報。新しくNTTドコモが始めた「iモードFeliCa」対応の携帯電話端末で何とチケットが買えてしまう映画館が登場したのだ。携帯電話にあらかじめ見たい映画館の情報を入れておき、ついでに支払いも済ませておくと後は映画館へと行って「vit」って端末についているリーダーに携帯電話をかざすだけ。非接触型ICカードと同じ原理で携帯電話に組み込まれたICチップから情報を読みとった端末が、日時に座席までも指定したチケットをするすると吐き出してくれるから、周囲の行列に迷惑をかけることも発券業務のお姉さんを怯えさせることもない。いくら大きな爪だって携帯電話くらいはつまめるし、実際に摘んでたし、9日に「TOHOシネマズ川崎」で開かれたデモンストレーションでは。

 非接触型ICカードの便利さってのは昔からあれこれ記事を書いていた時から想像はしてたし、JR東日本の「suica」なんかを使うよーになって身に実感もしていたけれどだからといって携帯電話にICカード機能が付く必要があるのかまではよっと分からなかったけど、実際のサービスとして「TOHOシネマズ」が始めた携帯電話発券システムを見るにつけ、「suica」だったら駅頭で「Edy」だったらコンビニといった、どっかのリーダーライター端末がある場所まで行って入金出金の操作を行う必要がまるでなく、携帯電話が1つあればそこからデータをダウンロードしICチップに記録させ、決済まで出来てしまう「iモードFeliCa」はなかなかな利便性で、案外に受け入れられていってしまうのかも。年輩の人には操作とか面倒そうだけど、ゴジラだって使えるくらいだし利便性の前にきっと否応なくデファクトなサービスとして浸透していってしまうんだろー。ところでゴジラがあの太い爪でどーやって携帯電話を押したかが目下の謎。「薔薇の木に薔薇の花咲く」でお相撲さんが使っていたのと同じアダプターでもつかったのかな。

 渋谷へと回って「サッカーショップKAMO」の好例の夏バーゲンをチェック。ミランとかユヴェントスとかあったけどミランは冬に来ないしユヴェントスも前のロットに比べて今ひとつなんでパスして、何故か店員がみんなそろって着ていたパルメイラスのレプリカを買う。今年は日テレ・ベレーザの試合を見に行くことが多くって、緑色のレプリカがあれば欲しいと思っていたんでベストなタイミング。ヴェルディの着てけば良いじゃんって言われそーだけど、あんまり出回ってない上に値段もそれなりでなおかつあんまり街着にはならないのがネック。パルメイラスだと何か不思議な色目の南米っぽいデザインってことで、普通にも着られるんで申し訳ないけれどこっちにさせて頂いた由。

 まあ、昔読んだ本には確かベレーザの兄貴のヴェルディがまだ読売クラブだった頃、パルメイラスの色を参考にして緑のユニフォームを作ったって話が載っていたんであながち無縁でもないんじゃなかろーか。背番号が最初から刷り込んであるのが南米のレプリカの特徴みたいでパルメイラスにも9番とか、10番とかが入っていてどっちを選ぶか迷ったけれど9番武田よりは10番ラモスが良い(古過ぎ、おまけにどっちもパルメイラスじゃない)ってことで10番にする。ベレーザは前節にさいたまレイナスと引き分けて首位戦線でTASAKIペルーレに引き離され気味なんで、スタジアムを緑に染める一端を担って上位浮上を希おー。とりあえずは明日の西が丘で確実に勝利だ。天気崩れないと良いな。


【7月8日】 タカラ傘下でお宝だから「だっこちゃん」? だけど発売はバンダイビジュアルなところがやや面白かったり興味深かったりするオープニングをすっとばして見た「ギャラクシーエンジェル」第4期は深夜なんだからもっとエロエロな服装にしてくれてもって思ったのに最初のバージョンではなく2期以降のバージョンでひとつガッカリ。けど新キャラの松鶴家……ではなかった烏丸ちとせさんが見かけによらない悪辣ぶりを見せてくれてこれだとミントとキャラ被るかも、って心配になったけど一応はメアリー少佐側についたフリをしたみたいなんで相対しながらいろいろと悪辣なかけひきを楽しませてくれることと期待しよー。

 お話の方はまずは地獄だか極楽だかは分からないけど繰り返される怠惰な日常にメンバーがコワれていく話が押井マモラーなファンのハートをゲッチュ、したかな。倉庫を開くと戦車があった場面とかはラーメン屋の地下にハリアーが眠っていたシーンと重なったけどそれで留まらずさらにエスカレーションさせてスペクタクルへと持っていくのがテレビ的。「うる星やつら」でもテレビ版だったらやりそーな展開に見えないこともなかったかな。そんなこんなでなし崩し的にスタートして後半は前半でもチラチラと姿を見せていた烏丸ちとせが「エンジェル隊」へと加わっていく展開。弱げで強くて悪辣、ってキャラがお子さまに受けるか心配だけど時間帯からお子さまは見ないんで別に良いのか。前に昼間の時間帯で見ていたお子さまが見たら……やっぱいっしょか、朝だって散々っぱら不条理に不合理をやってたし。

 シネマコンプレックスってゆーと地方から作られていった関係で駅からは遠くどちらかと言えばショッピングセンターなんかと併設されててファミリーには嬉しくっても遊びに行く若い層とかにはあんまり、使い勝手が良くなかったりしてそんな中、「ヴァージンシネマズ」が東京の真ん中も真ん中の「六本木ヒルズ」に作られたシネコンは交通面は良く雰囲気もアダルティでそれなりに、若者層をキャッチしてはいるんだけど逆にハイエンド過ぎて普通にふらりと出かけて映画を見るにはちょっと気がひける。男1人であそこに行って「世界の中心で、愛を叫ぶ」を見る勇気は僕にはないです。興味はあるけど。

 だから駅至便、近所にプールあり温泉あり大型玩具屋さんありの好立地。そんなシネマコンプレックスの登場は結構話題になりそーで、おまけに新しい仕掛けも導入されているってゆーから9日のオープン以降はそれなりに賑わうんじゃなかろーか「ユナイテッド・シネマとしまえん」。何しろ西武の「豊島園」駅真横で遊園地の「としまえん」より近いかもしれないし、都営地下鉄大江戸線の「豊島園」駅もできて2つの交通機関で直に行ける。入ればひろびろとしたロビーに売店があってポップコーンにアイスクリームが売られてて、脇にはカフェもあって待ち合わせだけじゃなく見終わった後にも映画談義に花を咲かせられる。「ワーナーマイカル」って中にそーゆースペースがないんだよね。プールで遊んで映画見た男女が一服、なんて光景が見られるかも。水着のまんまで見られるんだったら面白かったけど、水着姿を目の当たりにできるんで。

 さらにはこの劇場には世界で初めて、「ウィンブルシート」なるものが導入されててこれがちょっと面白い。ウィンブルって一見アメリカの会社に思えるけれど住所からすると東京都江東区にある有限会社が開発した仕組みで、映画のサウンドにあわせてシートの背中に仕込まれた振動板が揺れ動いて刺激を与えてくれる。テーマパークのアトラクションなんかにはよくある仕組みだけど映画館でこれを導入したのは画期的にして革命的。目で映像を見て耳で音声を聞いて体で振動を味わうスリープラトンの攻撃がもたらす迫力はなかなかのもので、こけら落としには「スパイダーマン2」をかけるみたいだけどおそらくはやっぱりスペクタクルなアクションシーンのたっぷり詰まった映画をこのシートで見ると、そうじゃないシートに比べていくばくかの新しい体験ができるんじゃなかろーか。

 ちなみに映画とは別に料金が必要でロビーで200円のコインを買ってスリットに投入すると稼働。上映中はボタンで自在にオンとオフを切り替えられるんで、あんまり振動とか欲しくない場面では切っておけば鑑賞の邪魔になりません。ジェットコースターみたいにアクションまたアクションだともーふるえっ放しになるんで疲れたらオフにするってのもあり。同じ技術はゲームをプレーする時にも使えるみたいで迫力の画面が展開されるゲームと連動してシートが振動するよーにしておくと、ただ座ってやるのとは違った、より没入感の強いゲームプレーを楽しめそー。「東京ゲームショウ」とかにもお目見えするのかな、したらテストプレーをしてみよー。音声じゃなく「デュアルショック」と連動させられたらそれはそれで面白いかも。恋愛ゲームで相手を見初めた時に鼓動が背中から伝わって来る訳だ。

 そろそろ「ハウルと動く城」の予告編なんかも出回ってきているみたいでハクの育ったみたいなハウルと千尋をちょっと美人にした少女と「ラピュタ」のドーラ以来の婆さんが動く城に載ってあちらこちらに行くみたいな内容になっていそー。とにかくハウルが格好良いんでそれにキムタクの声とか乗った日には何人が卒倒するか。ってかマッチしているんだろーか。興味。美輪明宏さんは大丈夫でしょー、狼だって幻魔だってやれる人だし。絵ではピストンが上下したり煙が吹き上がったり伸びたり縮んだりとてんでばらばらな動きを各部がしながら前へと歩く”動く城”の作画が往年のオームをふと思わせる。よく描いたなあ。デジタルでレイヤーにして自動的に動かしてる訳でもなさそーで、各部を描き城に組み上げた後をどーやって動かしているのかに興味。

 をを舞城。実はあんまり読んだことない舞城王太郎がまたしても芥川賞の候補で登場しては「覆面作家」ってキャッチで持てはやされている。他の面々が前回みたいな若さとか、美貌とかいった話題とちょっと離れているっぽいだけに(ってか絲山秋子さんも栗田有起さんも知らない。松井雪子さんってあの松井雪子さん? モブ・ノリオって何なんだ?)やっぱりひとり舞城さんが注目を集めることになりそー。受賞した会見には誰が来るんだろ。ジェイか。直木賞は独断と偏見で奥田英朗さんと東野圭吾さんに決定。したいけど伊坂幸太郎さん北村薫さんも来て欲しいなあ。この4人なら誰がとっても嬉しい楽しい。奥田さんには受賞会見では中日ドラゴンズの首位とプロ野球1リーグ化について語ってもらおう。あとアパート横のピカピカと輝く「アルトワークス」がその後どーなったかも(「B型陳情団」持ってます)。


【7月7日】 暑い暑いかろうじてまだ梅雨時(今も梅雨時?)に買っておいた床置きだけど衣類の山の上に置かれている扇風機から吹き出す風で体感温度を引き下げることには成功しているけれど部屋の温度全体を引き下げることにはなっておらず油断すると風の届かない場所でもんわりと成長した室内高気圧が流れ込んできては全身にのしかかって汗腺を開かせぬろぬろとした汗を顔から手足から噴き出させる。今でこうなら本番を迎える7月後半8月上旬そしてお盆あたりの気温は摂氏で130度。やがて紙だって髪だって自然に燃え上がる温度にだって届きそうで夏の終わった9月末には道行く人のほとんどがスキンヘッドになってて遺伝学的スキンヘッダーな僕でも肩身の狭い思いをしなくてすむようになっていたらちょっと嬉しい。

 いやホント真面目に頭をつるつるにしてやりたい気分でそれは別にワルサとしてお目玉を喰らったからではなくっていい加減、上の薄い(というより存在しない)サムライスタイルな丁髷にもそろそろ飽きて来たからで、歳もまあそれなりな歳になって来た訳だし「EURO2004」で華麗なスキンヘッダーも山と見られてあんな髪型良いわと憧れる婦女子も増えている今がジャストでベストなタイミング、ヤープ・スタムがヤン・コラーがファン・セヴァスチャン・ヴェロンがロベルト・カルロスがピーター・ギャレットがサンプラザ・ナカノがコウイチ・マスノがタツヒコ・タキモトが、つんつるりんのつうるつるにしてもてまくって持てはやされまくっている状況なんかもこれありで、そのおこぼれにここは是非、預かりたいと想い始めているんだけど今一歩のところで勇気が出ない。

 振り返れば16歳を過ぎたあたりからそれなりな長さを維持し続け、襟足を見せずに来たものの30を超えたあたりから襟を見せないなら頭頂を見せてやるとばかりに頭が叛乱を起こして生えてた髪を1本また1本と毛根から押し出しやがて今のサハラとは言わないまでも100キロ四方に木が4本といった砂漠的な状態に。そこに救いの神ありで某キムタク以降世間では丁髷スタイルで街を歩いてもまあそれなりに見過ごしてもらえる風潮が出来上がり、水まき松浪健四郎の活躍なり上場企業で唯一の丁髷&髯社長だった関口房朗さんの存在なりもあってまあ、大の大人が丁髷であってもユルしはしてもらわないまでも無視してもらえる状況へと至ってる。

 しかしそれもそろそろ限界だ。縛ろうにもなさ過ぎるのだよ我が髪は。かつて力士で薄さも極まって果たして髷が結えるのかが懸念され、結えなくなったら引退だと言われ続けながらもかろうじて引退の時まで頑張った(髪も頑張った)人がいたけど今はさっぱり髪も剃り上げつるつるライフを謳歌しているに違いない。力士だけあって上背もあっただろうから両国のシャックとか呼ばれてたり。それはそれとして力士と違って引退がない分、切羽詰まらないところがあって無い髪をそれでも引っ張り束ねて結わえ続けて来たけれどもう駄目だ。届かない。縛れない。ならば切るしかないではないか。ああ分かってる。分かっているさ。分かっているけど切れないんだねこれがまた。踏み切れない。踏み出せない飛べない羽ばたけない。僕はクボヅカには届かない。困ったものです。

 しかしだしかし。サイン会にて長蛇の列を作っていた若い女性にきゃあきゃあ言われていた滝本竜彦先生の姿を目の当たりにし、またその周りで監視に整列に大活躍するエージェントの短髪な格好良さを見るにつけてやっぱり踏み出さねば、踏み込まねばと痛切に感じさせられた今日この頃。かくなる上は晴れて数えで大台を迎える10日あたりに断髪式&剃毛式といきたいところだけどこの後に及んでスノッブな虫がうずいて電気バリカンはナショナルのかスキカルよりはプロ仕様のが強いのか、ブラウンにしようかやっぱり床屋でやってもらおうかなんて迷っているのが情けないやら哀しいやら。誰かつるつるにして行ったら美味しいご飯を誕生日祝いに食べさせてやるとか私の綺麗な体を存分に眺めさせてあげる(お触りはなし)とかいったって奇特な人でもいたら踏み切れる、かもしれないんだけど。いややっぱり逃げるかな。どうなる自分。やっぱりバリカンはスキカルか。

 「なでしこジャパン」ったぁ月並み過ぎて欠伸も出ない。大和撫子ってそれはおしとやかで可愛らしいイメージの女性を指す言葉でしょ、戦う乙女たちにはまったくまるで向かないネーミングだって最初に募集の話があった時に真っ先に思い浮かべて瞬間で没にした名前を、選んで恥ずかしさを覚えたりしない選考にあたった人たちのセンスをちょっぴり疑いたくなる。まあそれで当の代表の人たちが喜んでいるってんなら話は別だけど、きっと荒川恵理子選手あたりは別のオモロい名前を考えそれにしたかったんだろーなー。

 個人的には前にも言ったけど日本史上で最高クラスの女傑から取った「ともえジャパン」がベスト。言わずとしれた巴御前から取った名前で決して個人的に大ファンの酒井與恵選手をフィーチャーした訳ではありません。でもやっぱりごっちゃになるから応募しても無理だっただろーなー。「ひみこジャパン」でも相手を呪殺出来そうで良かったかも。でもって中国代表が「西太后チャイナ」でギリシャ代表はもちろん「アテナグリーク」、イタリア代表はうーん、ネロの母親かルクレチア・ボルジアか。どっちにしたって試合前に相手から贈られたものは食べないこと。試合中の水分補給もベンチに行ってすること。死なないまでも痺れる可能性が大だから。

 大変ですよ滝本さん。チェーンソー娘の登場ですよ。おまけにキュート。精神のぐらぐらした感じが魅力的だった雪崎絵里ちゃんも岬ちゃんも、チェーンソー娘のアブない魅力の前にはちょっとたじたじかも。成田良悟さんの「バウワウ!」に続くシリーズ2巻目「Mew Mew」(電撃文庫、610円)は日本本土と佐渡島を結ぶ橋の途中に作られた物の廃棄されて法の及ばない場所となった人工島に吹き黙った人たちによる騙し騙され殺し殺され奪い奪われる楽しくも凄まじき日々を描く設定を土台に、西と東に分かれて対立するグループのうちの西側で幹部の用心棒をしている男たち女たちの暮らしとか、島に捨てられそのまま育った子供たちの虚無ぶりとかがつづられる。派手でも最後はハッピーな読後感のある成田作品にあって死もあからさまなら裏切りもたっぷりあって、どちらかと言えば苦手な部類に入るけどでもやっぱり面白い。

 でもってチェーンソー娘こと砂原潤ちゃんはは用心棒の中の1人でそれもグループのリーダーで、普段はおどおどとしているけれど背中に背負った棒状のチェーンソーを握りグリップ部分のアクセルを押すととたんにキレまくった性格になって敵を切り刻み追い払う。そもそもがそんな形のチェーンソーがあるなんて話は聞かずどーせだったら本当の、チェーンソー男が持っているよーな楕円にチェーンの動くスタンダードな奴を両手に持って振り回してもらいたいところだけどそれだと機動性も落ちるし見た目も美しくないんで、脚色があって正解だったってことで。イラストで両手にチェーンソーを持ち羽根状に広げた潤ちゃん、街で決して会いたくないです。シリーズはまだまだ続くみたいでナイスな奴らのナイスな話が多い「バッカーノ!」とは違った成田良悟の才能を、見せてくれるシリーズとしてその行方を眺めて行こうあんまり好みじゃないけれど。


【7月6日】 インドネシアで家族再会することが決まったって記者会見で嬉しそーに話す曽我ひとみさんを見て思う。2年とかぶりに再会したジェンキンスさんと2人の娘は曽我ひとみさんを果たしてちゃんと曽我ひとみさんだと認識できるのかどーなのか。だってほら、2年前に帰国した時って曽我さん、あちらでの食べる物にシビアな生活でそれなりにスリムで顔立ちもロベルト・カルロスに似てると言われてなるほどと思わせるものがあったけど、今では食べる物にだけは不自由しない日本での暮らしですっかりふくよかになってしまって、以前とまるで違う風貌になっているよーな気がするんだよね。2年間をさまざまなニュースで触れてきた日本人いはそれでもちゃんと繋がるけれど、間に2年がある人には果たしてどー映るのか、同じと認識できるのか興味のある所。でも認知できればそこまでになれる日本って国に、きっと憧れ行きたいって思うだろーね。

 あれは焼けるよーに暑い8月のことだったっけどーだったっけ。記憶の剥がれが激しくって思い出せないけれど記憶だと夏の「コミケ」に向かう途中に銀座に寄って大量に仕入れた記憶があるからきっと夏だったんだろー。いよいよ国内で発売されますって喧伝に半ば踊らされ半ば踊ってやるつもりで「ソニープラザ」に朝から並んで「ビーニーベイビーズ」を買い漁ったことがあってそれからしばらく毎週末、あちらこちらの「ソニープラザ」へと出向いては新しいぬいぐるみの発売に並んでいたことがあったなあ。最終的には60個くらい買って当時はまだ広かった部屋の隅へと積んでは眺めて悦に入っていたけれど、今となってはそのほとんどが実家送りとなってまた、ショップでも一時期ほどには種類を見なくなったよーな気がする。ベア関係は相変わらず人気みたいだけど。

 そんなほろ苦くって甘酸っぱい踊る消費者的な記憶があるにも関わらず、またしても飛びついてしまいたい衝動に駆られてしまったのがセガトイズから明日7日に発売となる「ドリームペッツ」ってぬいぐるみ。何でも1950年代頃に米国から鉄道模型を依頼され作っていた職人さんたちが仕事の合間に歯切れとおがくずを使ってひょいひょいっと作り、模型の緩衝材かわりに入れて米国へと送っていたオリジナルのぬいぐるみに、鉄道模型の会社が何かを感じて商品化したのがが初代「ドリームペッツ」の始まり。以後20年以上にわたって2000種類くらいのぬいぐるみが作られたそーで、そのいずれもがユニークな表情を持ちまた「ビーニーベイビーズ」にもあったし内容的には「ビーニーベイビーズ」よりも詳細なプロフィルを持っていて集める楽しみ知る面白みがあったりして、結構な人気を呼んだとか。

 けど80年代を最後に作られなくなり売られなくなってそれから20年程。デジタル玩具が全盛な時代にあって「ビーニーベイビーズ」の人気なんかにも触発されたのか、それともかつて触れて育った人がイニシアティブを持つ年齢にまで達したのか、この春に米国で復刻されたのを手始めにある意味”発祥の地”とも言える日本へもセガトイズが持ってきてくれて、この7日からいよいよ全国で販売することになったとか。見るとなるほど細かい作りでパターンがしっかりしているのか筋肉の形までもが表現された立体像になっていて、それにやっぱり巧みなパターンで抜かれたフェルトか何かで表情がつけられていて、眺めているだけで楽しい気持ちになって来る。

 聞くと古い物には作られた場所(日本とか台湾とか)によって素材も違えばつけられている表情も違ってそれが結構な人気の差になって現れているそーだけど、新しいものは現代の技術とそれから中国の人海戦術&職人魂が込められていてどれもが最良の出来になっている。東京・日本橋にタカラが開いた「GARAGE」に行くと新しいものがすでに売られてて、それから古いものが並べられてて比べることが可能なんで気になった人は行って比べてみては如何。折角なんで双子の弟と同じ1965年生まれのカバとそれからハワイに行きたがってるらしーカメの「ドリームペッツ」を購入。1500円だから「ビーニーベイビーズ」の倍はするけど置いてしっくり、触れてしっとりなぬいぐるみはそのまま1つの芸術とも言えそーで、出来れば発売された第1弾の24種をすべて揃えてみたい気が。でもってやっぱり部屋のどこに置いて良いのか迷いあぐねた果てに実家に送りつけるんだ。やっぱり踊らされているのかなあ。

 偉いぞ博報堂。素晴らしいぞ雑誌「広告」。かつて表紙に東浩紀さんの似顔を起用してこれいった誰なんだ的反響を世間に巻き起こし、また「パイレーツ」の2人を起用して佐藤江梨子さんより何年も早く「Ko2ちゃん」の格好をさせてこれはいったい何なんだ的反応を一部に引きおこした雑誌だけど、今度は何と「名古屋」を大特集。空撮写真を廃した上に金の鯱を載せたエグい表紙も表紙なら、「ナナちゃん人形」に「甘口抹茶小倉スパ」に「嫁入り道具」といった名古屋人なら知らない者はおそらくいないナゴヤンなアイテムをグラビア然と並べて始める記事も記事。名古屋を知るにはこれ以上ないって特集に仕上がっている。名古屋ブームを知るなら「東洋経済」の名古屋特集号よりこっちって感じかも。

 ひとつ「名古屋嬢」ってのだけは名古屋にいた当時には存在しなかった関係で分からず、実は今持って不美人の産地として評判の名古屋の女性がメジャーになるなんて想像が付かないんだけどまあ、ブランドを愛する乙女たちってカテゴリーは美人とはイコールではないんで、不美人の産地であっても女性がトレンド的な中心にいて別に不思議はないってことなんだろー。あと「広告」らしく名古屋の企業の広告が取り上げられているんだけどその中で「ロレックスが安い、名古屋清水口ウェディング美宝堂」のセリフで知られる「美宝堂」のCMについては1992年制作の社長の孫が出ているものも、2004年制作のその孫が成長して専務の父親と祖父の社長といっしょに出ているものも見たことがないんでちょっと新鮮。そのセンスは相変わらずだけど。

 「アサヒドーカメラ」は相変わらずくどいみたい。「米常ライス」は87年制作がまんま使われていて「フラッシュダンス」的レオタードの女性が未だに出ているそーでこれはこれで別の意味で新鮮。女性がしている「ウォークマン」なんてあーた、ヘッドフォンですぜ、頭の上を回してかける。博物館でしか見られないものがテレビで日常的に見られる名古屋はやっぱり凄いところです。記事ではグラビアにも登場の「マウンテン」をルポしたものとか名古屋出身の加藤晴彦さんに瀬戸朝香さんが名古屋弁でトークしたものとか名古屋の建築物につて博報堂とトヨタの人が話したものとかあってなかなか。ちなみに加藤さんに言わせると瀬戸さんは瀬戸弁なので違うそーな。どー違うんだろ。

 スパゲティにあんを組み合わせた「あんかけスパ」とか小倉あんにトーストを組み合わせた「小倉トースト」とか漫画本と喫茶店を組み合わせた「漫画喫茶」とか、名古屋ならではのハイブリッドな商品にサービスを取り上げた記事が秀逸。なるほどこんなにいろいろなハイブリッドな商品&サービスが、名古屋発祥だっとは。潔くなく質素でもない、すべてに”お値打ち”なものを求める名古屋人の嗜好がきっと、こーいったものを生み出したんだろーなー。このアイディアを学び活かせば次のヒット商品が作れるかも。商品企画にマーケティングの人は読んで学べ。ビールも酎ハイも飲みたい人向け「ビール酎ハイ」とか(どんな飲み物だ)、サッカーも野球もしたい人向けのキックベースならぬバットボール(脚の代わりにバットで叩いてボールを運ぶ、ってホッケーじゃん)とか。流行るかな。


【7月5日】 F1もリベルタドーレス杯も寝倒して起きあがった午前3時半につけたテレビに映し出された夢舞台。1カ月近く前から始まった欧州サッカーの祭典「EURO2004」もこれがファイナルってことで(3位決定戦はないんだね)ここまで強い相手をものともせずに倒して勝ち上がってきたギリシャが、主催国にして最初はダメかと思われたどん底からはい上がって来たポルトガルを相手にどこまで奮闘しつつも相手の幻術技術に翻弄されて、散っていくかと目の当たりにしよーかと思っていたのにどーしたことが、フィーゴ兄貴のフェイントにドリブルの嵐から繰り出されるクロスも両サイドから叩き込まれるクリスチアーノ・ロナウドのクロスも相手ディフェンダーの高さの前にパウレタへと渡らず、真ん中からデコが突破しよーにもがっちり固められた隙間を縫えずボールを奪われ反撃へ。でもっていったん攻撃に転じるとギリシャは恐れず左右をきっちり崩し抜けだしゴール前へとボールを運ぶ巧さを見せてくれる。

 最初は結構攻めてたポルトガルも途中からは決定的なチャンスをあんまり作れないよーになり、ギリシャもかといって決定機を何度も作り出せる訳ではなくってどっちが勝つのか分からなくなる。もっともこーゆー試合によるある守りを固め過ぎての膠着状態とはちょっと違って、守ってはいてもギリシャはチャンスがあればラインを上げ、また前線へとボールが渡れば左右のスペースを使って相手陣へと迫る速さもあって気が抜けない。スキがあれば共にヤられる攻防戦は退屈さとは真逆の緊張感を見ている人に与えてあっというまに前半45分が過ぎる。いや面白い。

 そして名シーン。チェコを相手に戦いこれを破ったのとまるで同じ場面を見るよーに、早くて低いコーナーキックのニアに飛び込むギリシャが先取点。ゴールキーパーは出られず正面にさえ入れない有様で、どーしてあそこにあんなに巨大な選手がほぼフリーで入り込めたのかがちょっと分からない。気持ちが前へと向いて選手が守りに入っていなかったのかな。それにしても鮮やかすぎる先取点。このままではタマらんとポルトガルもこれが最後の代表ユニフォームとゆールイ・コスタ選手を入れラッキー・ボーイ(って歳でもないけど)のヌノ・ゴメスを入れて1点をもぎ取りにいくもののルイ・コスタ兄様の華麗なくぐり抜けからのクロスにゴール前で反応する選手はおらずフィーゴ兄貴の反転してのシュートも枠をわずかにはずれてネットは揺さぶらず。観客の乱入もあって5分と伸びたロスタイムでも相手の壁は崩せずファールも多くなって時間が過ぎ、そしてタイムアップの笛が鳴り響く。ボールは乱入して来たコッリーナ審判が奪って行き……ませんでした。

 終わって見れば初戦の再現。あのエーゲ海の圧力を大会期間中の立て直してきたポルトガルでも跳ね返し切れなかったってことでビッグイベントでの戴冠をまたもや逃す結果となった。まあそれでもグループリーグを抜けられなかった「ワールドカップ2002日韓大会」よりは遙かにマシだしパフォーマンスも選手層もかなり上がって来てるんで、ここでもー1度鍛え直して選手も拾って2年後のドイツでのフェリポン2度目の戴冠を目指すってのも手なのかも。でも目立ってたのはヌノ・ゴメスにルイ・コスタにフィーゴだからなあ。デコだって結構歳だし。やっぱり出るのか黄金。でもって決勝はレーハーゲル率いる(かもしれない)ドイツを相手に雪辱か。因縁が盛り上がる。

 閉会式は試合終了の途端に組み立てられたお立ち台で順繰りにメダルを受けて最後に勝利チームキャプテンがトロフィーをもらった途端に音楽がなり紙吹雪が散る2年前の横浜とまるで同じ光景。あれがビッグな大会の閉会式フォーマットなのか。それともそれだけ日本の演出がウケたってことなのか。もっとも演出ではそーゆー晴れ舞台に立てても我らが日本代表が、そーゆー晴れ舞台に上がる日が来るのは2年経っても4年経っても無理そー。仮に目先の「アジアカップ」は軽く相手を捻ったとしても。捻られる可能性だって高いだけに不安。それにしてもホント、盛り上がってないねえ「アジアカップ」。「アフリカ選手権」だって「コパ・アメリカ」だって地元の人は熱狂するのに、どこからこの温度差は生まれてしまうのか。名前が悪いのかな。「ASIA(エイジア)2004」だったら少しはビッグな気分になれるのかな。「亜細亜杯二千四」。何の大会だか分からない。

 「ファブリーズ」を人に向かってシュッシュしてはいけません、例え相手が貴方の嫌いな”男性”であっても。なんて教訓を読んで得る人なんてまるでいないだろー桑島由一さんん「南青山少女ブックセンター」(MF文庫J、580円)。だって読むほとんどはきっと絶対に男性のそれも彼女とかに無縁な人たち。読んでむしろ男嫌いだけど可愛い美少女だったらむしろ是非に喜んで「ファブリーズ」を吹きかけられます犬とだって草鞋虫とだって呼ばれますって下僕的な立場だったりするんじゃなかろーか。別に「ファブリーズ」じゃなく「トイレその後に」だってオッケー、さすがに「コックローチ」だと命に関わるんで出来れば辞めて欲しいけど。

 でもって「南青山少女ブックセンター」。入った本屋で写真集を買おうとしたら店員の女の子にエッチと言われ追い出された挙げ句に車に跳ねられ高校入学を棒に振った少年が、東京で面倒を見てもらうはずだったおばさんが経営している女子校に通わされる羽目(別に女装とかはしない)になって見舞われる数々の不幸を面白可笑しく書いたラブコメディで男嫌いで「ファブリーズ」使いのヒロインをはじめすべてが適当で場当たりなおばさんに本人は男嫌いの自覚がないけど体質が絶対に受け付けない少女や見かけの良さに反比例して口が最悪な年上の女性とか、バラエティーに富んだキャラクター造型とそんなキャラたちによって転がされる物語は「面白い」といった言葉以外の感想を吐きようがない。

 ただなあ、それだけって気もしないでもなく同じ文庫の「神様家族」のよーに設定の奇抜さの上だか下に「家族」ってものへの思いが流れてそれが読んでいろいろ考えさせてくれるよーには「南青山少女ブックセンター」はなっていないのがちょっと物足りないところ。タイトルの意表をついた面白さと設定の面白さに頼ってばかりじゃ読んでて気持ちがおさまってしまうんで2巻以降は男嫌いなヒロインの態度の更なるエスカレーションぶりとか、新しいパターンの男嫌いな少女とかを出して突き抜けていって欲しいもの。しんみりとした展開を求めるのはこの話、ちょい無理そーなんでそっちに期待。イラストは良いねえ。

 新聞は国民の知る権利の代弁者として企業の情報源にアクセスしては情報を引き出す”権利”ではなく”義務”を持つ。情報源はだから新聞あるいはマスコミに対して情報を与える役目を引き受けてくれるんだけど、それはマスコミが義務として”知る権利”を代行している以上は決してサービスではなくむしろ責任としてやってもらいたいものだったりする。一方で最近はアナリストといった存在が出てきてやはり情報源にアクセスをするよーになったけど、それを果たしてメディアと区別するかーかは難しいところでメディアが国民を背負っているならアナリストは株主を背負っていて、企業が企業活動をする上で重きを置くべき株主への説明責任を企業に対して求めている。

 もしもメディアだけを相手にしてそこを介してアナリストにも情報を届けよーとする企業があった場合に果たしてそれは正しいのか違うのか。メディアにとっては特権的に情報にアクセスできる気分を味わえるけど情報との接触は権利ではなく義務であってアナリストに比して下ではないけれど上でもない。もしもアナリストより上に見てます的なことを言う企業経営者がいたらそれを優先されていると捉え嬉しがるんじゃなく、優先されて喜んでいると思われ見くびられているんだと憤るのが普通。メディアを優先しているんだと聞かされたアナリストだってそーゆー使い分けをする経営者のスタンスに疑義を挟み経営能力を再検討してみたくなるだろー。

 ましてや一般消費者を相手にした商業の経営者だ。相手を見下し見くびる態度を内包した経営で果たして遍く消費者を相手にした経営が出来るのかどーなのか。同じ会合の場に集うつどうさまざまな属性を持った人たちのうちの主流1つをのみ取り上げ盛り立て讃える言葉を他の属性の人たちへの配慮もなしに言いつのる経営者を信じて良いものなのかどーなのか。やっかみも半分入りながらそんな言葉を聞かされて、今の華やかさの果たしてどこまで続くのかをいろいろと考えてみた月曜日の夜でした。弱小は辛いなあ。抜ける訳だよなあ。


  【7月4日】 「顔は……。可愛い。桃色がかったブロンドの髪と透き通るような白い肌を舞台に、くりくりと鳶色の目が踊っている。ガイジンみたいだ」。でもって「すらりと伸びた脚、細い足首。背はそんなに高くなく、百五十五センチといったところだろうか。目は子猫みたいによく動く。小生意気そうな眉が、目の上の微妙なラインを走っている」。とってもキュートでスレンダー。ついでに胸までスレンダーな美少女から下僕と扱われ、同じ部屋の床で寝かされ朝な夕なに着替えを手伝われてなおかつ下着を洗濯させられるとゆー暮らしを君は望むか? 普通望むよね。だったらとりあえずヤマグチノボルさん「ゼロの使い魔」(MF文庫J、580円)を読んでトリステイン魔法学院へと召還されてはルイズの使い魔になる暮らしを知ろう。羨ましさに地団駄踏むぞ、絶対に。

 気が付くと平賀才人の周りはマントを羽織った魔法使いみたいな(魔法使いだったんだけど)子供がわんさか。でもってまさしく「桃色がかったブロンドの髪」の少女ルイズが才人に向かって自分を使い魔にするといって契約のキス。夢だと想って殴られ気絶してまた目覚めてよーやくそれが現実と気付いた才人は使い魔としてすなわち半ばルイズの下僕として、着替えを覗くどころか着替えを手伝いパンツを盗むんじゃなく洗濯をしては床に寝床を与えられ、粗末なスープにパンの食事を与えられる日々を送り始める。楽しそーだな。

 その世界は貴族で魔法使いが実権を持った地球だったら中世のよーな時代でルイズも魔法の力を磨くためにトリステイン魔法学院で学んでいたんだけれどどーにもこれがオチコボレ気味。またの名を「ゼロのルイズ」と呼ばれるよーにどんな魔法をかけてもそれが成功する確率はゼロに近く、使い魔を呼び出した時もおそらくは狙ったものではないものが、やって来てしまったのかもしれない。とはいえ呼び出した使い魔を取り消せないのが決まり。否応なしに才人はその世界でのあれやこれやに巻き込まれていく。

 鍵になるのは才人が使い魔になった時に浮かび上がった謎の紋章。それが才人を単なる使い魔以下の下僕の身分から、世界も注目する存在へと押し上げることになりルイズと違って熱情的でボディも発達しまくった魔法使いの少女に好かれ迫られたりして、ルイズを内心やきもきさせるんだけどだからといって態度をガラリとは代えないのがルイズのウブな所。表向きはやっぱり才人を下僕と扱い薄いスープを飲ませ着替えを手伝わせてはパンツを洗わせる。スーパーヒーローにして世界が注目する存在にして美少女の下僕。ああ素晴らしい。そんな身分になってみたいけどこの日本では未来永劫無理だよなあ。呼ばれてみたいトリステインに。なってみたいルイズの使い魔に。

 「クトゥルー+ゾアハンター」。かもって後書きとか読んで手にとったけど実をいうとどっちもそれほど詳しくないんでどれだけそれっぽいかは不明。とはいえだからといってというよりむしろ、世界観なり仕掛けとして楽しめた神野オキナさん「封神機伝マカリゼイン」(アサヒソノラマ、495円)は世界が災厄に見舞われ遠来よりの「融災獣」から飛び散った「融災体」との戦いに叩き込まれた少年たち少女たちのあわただしいけどちょっぴりうらやましい日々が描かれる。

 何せボディのラインもあらわなセンサースーツを着せられ男女でペアを組まされるから目はもう毎日が青少年不健全育成条例。でもって主人公のハルカ(男だよ)は凄い力と頭脳を持ちながらも気は優しく、3歳上のペアを組んでる少女パイロットの室蘭九龍からしっかりしてくれと叱咤叱責される日々。ルイズに虐げられる才人と比べてもどっちを選んで良いのか迷う怖ろしくも楽しそーな毎日に、トリステインに召還されないんだったら代わりに世界に融災獣を召還してみたくなる。

 物語は世界をその咆吼ひとつでぐずぐずいんしてしまう融災獣を復活させよーと企む教団で、教祖の父親に”予言”を与えてきたものの暮らしが嫌で逃げ出した梓も巻き込み教団側とのおいかけあっこに、どうにも謎めいた存在の出現が絡んでなおいっそう世界を混乱と混沌の渦へと叩き込んで行きそーな予感でハルカと九龍がいつまでもいちゃいちゃとはしていられない様子。シリーズになるならゾアハンター由来の超演繹能力を持った梓も交えて三角関係の中を融災獣とのフェーズが変わった戦いへと突き進んで行くんだろーけど前の「星魔の砦」も続きが読みたいのに出てこない文庫なんでそのままこれの続きが出るのかどーかは不明。どっちでも良いからお願い読ませてくださいな。

すごい脚、ここからベレーザの、日本女子代表の勝利が紡ぎ出される、はず  はるばると「浦和駒場スタジアム」まで歩いて(浦和駅からだけど)女子サッカーの「Lリーグ」第4節「さいたまレイナスFCvs日テレ・ベレーザ」を見物。灼熱のスタジアムで午後の2時からなんておよそ選手の体調とか無視してるっぽいスケジュールだけど選手もちゃんとしていれば、来る観客だって昨今の女子サッカーブームもあって1000人を越える人出と、去年に同じ場所であったカードの推定5倍は来ている感じで気持ち的にはうれしくなる。まあ試合前にゴール裏に「志保、結婚してくれ」とかって読んで赤面な横断幕を張り出そーとして注意されて引っ込めていた、アイドル追っかけ的気分な人もいたりして(それとも超絶熱烈Lリーグファンかな?)雰囲気にピリっとしたものが漂ったけれど試合が始まればそこはそれ、先週までと変わらず大勢の観客はしっかりと試合を見守り拍手し、選手も暑いからって止まることなく最後まで、必死のプレーを見せてくれた。

 それにしても点が取れないベレーザは、初戦も先週の第3節も1点を取ってかろーじて価値を拾ったけれど今日は相手が代表キーパーの山郷のぞみさんだからなのか、それとも攻め手にどこか至らないところがあるのか決定的なチャンスを滅多に作れず作ってもきめられず小林弥生選手のミドルも浮いてしまって点にはつながらず、膠着状態の中を前半は両チーム無得点のまま推移する。ハーフタイムはこの節から試合前の練習にも復帰して来た澤穂希選手がサブメンバーにこそ入らなかったものの代わりに吸水用のボトルに水を補充して歩くメニーナさんみたいなことをしていて意外とゆーか不思議なものを見せられた感じ。小野寺志保選手を除けば酒井與恵選手と並んで古株に入る人だけど、復帰しても試合に出られずチームが苦戦していることに何らかのサポートをしたいって気持ちがあったのかな、それとも復帰はそのまま下っぱ扱いにされてまずは用具係から始める掟でもあったのかな。なかなかなものを見せて頂きました。

らーらららー、おーのしのぶげっとごーる、じゃない?  さて後半も日テレ・ベレーザ攻めるには攻めても決定機は作れず変わってレイナスがゴール横のフリーキックを1度フェイクを入れた上でFKの名手、高橋彩子選手が決めて先取点。ここまでの3試合を零封して来ただけあって日テレ・ベレーザ追い掛ける展開は初めてで、ちょっぴりはエンジンがかかり始めた感じだったけど一方のレイナスもエンジンが掛かり始めた感じで、スタメンで出たちさりん伊藤知選手の奮闘とかもあったりサイドでの突破もあったりして攻撃に良い所を見せてくれる。そんな攻防を破ったのがベレーザで、サイドから駆け上がって入れたクロスが大野忍選手にどんぴしゃで同点ゴールをゲット、したかと思ったらこれがオフサイド。ちょーどその位置でベンチに座って見ていた澤選手は頭に見えないハテナを出し、大野選手も愕然としていたけれど判定は覆らず、そのままレイナスが去年に続いて金星を上げるかと思ったもののそこは代表荒川恵理子選手、カウンター気味に突っ込み1対1になったキーパーをかわして無人のゴールに同点のボールを送り込む。

 半ば負けも覚悟していただけに同点に追いつきベレーザとしてはホッとしたかもしれないけれど当面のライバルTASAKIペルーレはYKK AP東北女子サッカー部フラッパーズを1点差で破って4連勝。これまでの試合でたっぷりと得点も稼いでいてリーグ優勝争いでは1頭抜け出してしまった。追うベレーザはやっぱり得点力不足が気になる所で澤選手が復帰してトップ下に入ってトップを荒川選手に大野選手で来れるよーになるまでは、とにかく負けないことを第一義にやっていくしかなさそー。月末25日に天王山とも言える「TASAKIペルーレvs日テレ・ベレーザ」が控えているんでそれまでには立て直して欲しいもの。いざ行かん「稲城中央公園総合グラウンド」へ。

 終わった足で今度は北浦和駅まで歩いて電車で池袋へ出て「ジュンク堂」で開催されてた「滝本竜彦&大岩ケンヂサイン会」に行って駒場スタジアムで撮影した女子サッカーの試合を見に来ていた女子小学生たちの写真を自慢、したかったけど試合に夢中で伊藤選手に荒川選手に近賀選手くらいしか撮ってませんでした。いやホント今のLリーグの試合はサッカー少女がわんさと来てるんでそれを見に来るだけでも心の年齢、若返ります。サッカーなんで短パンなのがマニアには辛いかな。短髪で少年みたいな格好したのも多いし。

 いやそれはともかくサイン会は凄まじいばかりの盛況ぶりで開始から1時間ほど経っての到着だったのに行列ははるかに続き途切れずそこからさらに1時間強を経て終了とゆー、過去に幾つも見たサイン会の中でも珍しい方の部類にはいる賑わい様だった。来ている層はティーンがやっぱり圧倒的で少し女性もいたりして、大岩さんファンか滝本さんファンかはともかく女性層からもキモいと思われないくらいに一般性を帯びて来ているぞって感触をつかむ。そーやって引き寄せてファンにして後で一気に幻滅させる、って作戦なのかな、でも「僕のエア」も読めばサワヤカな青春失恋ストーリーだからなあ。やっぱり滝本さん、一般作家になるしかないよ(特殊作家だったのか?)、直木賞だよ芥川賞だよ太宰治賞は新人賞だから無理だけど。

 見に来る人たちも凄くって「ネガティブハッピーチェンソーエッヂ」の文庫版の装丁とか手がけた大塚ギチさんやら「ファウスト」のJこと太田克史編集長やら佐藤友哉さんやら、数えれば数えられるけど1度に目の当たりにする機会なんてそーない面々が揃って2人のサインをしている様を見守っていてなるほど人気作家ともなると交友関係にもゴージャスさが出て来るもんだなって羨望する。しがない新聞屋では同じ会社の人間くらいしか普段合わないし出てくる会話に「サムライチャンプルー」もなければ「新潮」もなければ「EURO2004」もないからなー。そんなんで最先端の情報メディアらしきものを作っていられるってんだからある意味特殊技能かもしれないけれど。どんな技能だ。本当に最先端なのか。僕の書くのは少なくとも最先端だけど。こないだも那須きのこさんとか書きました。日向まさみちさんの名前も入れたっけ。まだデビューしてない作家の名前はちょっと最先端過ぎたかな。そんな日向さんのデビュー作「本格推理委員会」はカバーが死ぬほど可愛いので買った人は死ぬよーに。デザイン鎌部善彦さんとはまたゴージャス。これで売れなきゃヘンだね。売れたら産業編集センターは大変だね。


【7月3日】 お散歩の日。表参道の同潤会アパート跡地に何かを建設しているその仮囲いにアサヒビールが募集したドライビールのポスターが貼られているってんで見に行く。自在にデザインされたポスターには大きくビールの缶が描かれているのもあればそーでないのもあって千差万別。これが本当のポスターとなるとやっぱりビールが描かれていなければダメ出しが出るだろー作品もあって、その辺にコマーシャルとアートの差なんかが感じられたりする。プロの宣伝部員にこれどうよって聞いたら何作品が残るのかな。

 もちろんこれはコマーシャルな作品を募集するんじゃなくって新しいアーティストの発掘って目的がとりあえずはあるから別にビールがまんま描かれていなくっても構わないんだろーけれど、そーやって募集したビールの宣伝ポスターをまとめて並べて掲げることで雰囲気としてビールがアピールされている訳で、アートでありながらも総体としてコマーシャルにしてしまっているプロジェクト自体の巧みさには頭が下がる。おまけに珍しいと休みを利用して記者が来る(僕だ)。賞金としてかけたお金も場所を借りるお金もテレビのCM1本打つよりきっと安いだろー。

 ちょっと前に渋谷に出来にできたアドスタンドって広告に覆われたカフェとかも、それ自体が放つメッセージってよりはメディアを通して喧伝されたことによる伝播の方が大きかったし、地下鉄の溜池山王から赤坂見附に向かう途中のパラパラ漫画広告(ちょっとニュアンス違うけど)だって最初にやったってことでサントリーばかりが喧伝されて後、どんな広告が流れているかは誰も(僕は)知らない。それ自体が放つメッセージに加えてイベント性を持たせることでメディアも巻き込み広く情報を伝播させるて広告ってのが案外に、これから主流になっていくのかな、ってそれじゃー加藤文さん「電光の男」時代と一緒だよ。つまりは島貫太=小林利雄さんには先見の明があり過ぎたってことで。あのアグレッシブさ、今あればきっといろいろ面白いことが出来たんだろーなー。

 歩いて「GoFa」で「おつきさまのかえりみち」や「とわにみるゆめ。」の三浦冬さんの原画展『「少女とロボット・形』展を見物。始めて行ったけどなんだまるでバルコニーみたいな場所を仕切っただけのギャラリーで、日本が世界に誇ると言われるアニメーションや漫画といったものを常設気味に展示する場所な割にはあんまりな仕打ちに国の口と頭の先行するコンテンツ振興政策の行き違いみたいなものを感じる。こーゆー最前線を支える場所を支援せずして未来は開けないと想うんだけど、もし仮に国がだったら常設できるギャラリーと作りたいって言うとそれは、まずもって公共事業として大きな箱をぶっ立てて、そこに手塚治虫さん宮崎駿さんの”御大”だけを集めて良しとしようってことになってしまうから難しい。民間が出来ることにファンとして通い支持し続ける、ってのがやっぱり地味だけど地道な策なのかも。

 しかし繊細。三浦冬さんの作品は漫画で見ても細い描き込みが巧みな構図でもって配されていて1枚だけでも”絵になる”んだけど、原画はさらに細かく繊細でこれを1枚1枚仕上げていくその仕事の緻密さに、当人の漫画表現にかける意気込み情熱執着みたいなものを感じる。女の子もみんな可愛いなあ。2ndステージってことで飾ってあったのは単行本からの絵が中心で、あとは漫画雑誌のピンナップになった絵がラフから下絵、色塗りといったプロセスを踏んで飾ってあってどーゆー感じに三浦さんの絵が仕上がっていくかが分かって勉強になった。僕が大昔に書評をやってた「電撃アニメーションマガジン」に載ってた、アニメとはまるで違うけど異様に描き込みが凄くてなおかつ展開がポップだった「トラブルチョコレート」の絵は1期に飾られていたよーですでに引っ込められてて久々の再会は果たせず。家を掘って探すか懐かしの「電撃アニメーションマガジン」を。

しかしなぜにアニメ絵なのか、ヌードだったら抜かなくっても血が採れるのに、セラスにだったら捧血したいな、  そこから渋谷へと出る宮益坂の途中で「ナポレオン餃子」なんて看板を見て「ナポレオン」と「餃子」が結びつかず一体どんな餃子なんだろうと思いつつ渋谷駅に到着して見上げたビルの屋上に、献血を呼びかける謎な看板があって泣く。なんだろうこのきゃらわ。でも路を歩く美女よりこーゆーアニメ絵の美少女(?)にこそビビッドに反応してしまう自分の遺伝子がちょっと哀しい。25年、アニメファンやってるとこーゆー人間に育ってしまうのです。子育てには十分に気を付けましょう。とか言って代官山についたらついたで腰もあらわに闊歩する美女やら、胸こんもりとゆすゆすさせながら闊歩する美少女に目を奪われてしまう現金さは持ち合わせているけれど。夏って良いなあ。

 とか想いながら代官山から恵比寿へと抜ける途中の恵比寿西2丁目9の9だかにあるテクノビルって所の5階で開催されている寒河江弘さんの展覧会を見物する。今を遡ること2年前、あの熱狂のワールドカップ日韓大会「セネガルvsトルコ戦」を見た還りに寄った京都で取材した「アミューズ・アーティスト・オーディション」の会場でアートな人にマジって1人、オタク属性9割9分な感性にストライクな美少女フィギュアを展示していてこれが果たしてアートなオーディションに通るのかと想いつつも是非に通って欲しいと願って幾年月、翌日に上がった結果発表に名前はなかったもののアミューズを率いる大里洋吉会長の気持ちに物珍しさかそれとも先見あり過ぎる明故か、引っかかって働きかけられてフィギュア界おそらく初の芸能プロダクション所属原型師になった寒河江さんの作品展ってことである意味、歴史的な展覧会になっていたりすのかもしれない。村上隆さんが「ワンフェス」の場に「HIROPONちゃん」を飾った時くらいに。

 だったらそれこそ村上さんみたく「パルコギャラリー」あたりでどかんとやって、デビューを飾らせ世の中にフィギュアありってアピールして欲しかった気もするけれど、寒河江さんがオーディションに参加して”発見”されてから2年、その間にあったフィギュアのそれも別にアニメ系のフィギュアではなく実写系のフィギュアを食玩にしたりDVDのおまけにつける動きが活発化していく動きをアミューズ側がキャッチアップするプロセスが必要だったみたいで、そーした動勢を踏まえていよいよこれから寒河江さんをフィーチャーして行こうって意識を見せる最初のアクションってことなんで、場所もひっそりとしていて来る人も業界の人をまず主眼に、こんなことが出来ますってゆーことを見せる内容になっていた。

 飾ってあるのは実にいろいろでバンダイから出ていた実写版「キューティーハニー」のフィギュアとか、前に見たアンジェリーナ・ジョリーのフィギュアとか幻らしー「バレットモンク」(=ガンボウズ)のフィギュアとか、見ればなるほど納得の出来の作品ばかり。よく実写系のフィギュアってあんまり似てないよって言われるけれど「キューティーハニー」は小さいにも関わらず佐藤江梨子さんの口のひにゃっとなった感じまでが見事に再現されていて、実写だからといって決して似せられない訳じゃないってことを見せつけられる。マスプロダクツの製品になった場合、色の塗り方が原型と違って似なくなってしまうだけなんだろー。プロって凄い。展覧会は4日まで。ガンダムハンマー(嘘)は見物です。


【7月2日】 チェコの優勝を公言するのは良いけど某代表監督、日本には自在さと強靱さを併せ持った選手もいなければフォワードに雲を突き抜けたコラーもおらず両サイドにスピードだけじゃなくってテクニックも持ってて素早く正確なクロスを蹴ったりペナルティエリアまで運んでシュートを打つ選手もいない。でもってそれだけの選手がいるチェコであっても見事なまでの守備を働かせ、なおかつ最後まで息を切らせず攻撃を続けるギリシャを相手に苦戦し果ては敗れ去った訳でつまりはいくら口先だけでチェコは良い、日本はチェコを理想にしたいと言ったって土台無理な話なんじゃなかろーか。久保の脚と首を5センチづつ伸ばせば良いのかな。強靱な中田に自在な中村をアシュラダンシャクしてナカタムラにすればネドベドみたいなのになるのなか。ならねーよ。

 まあ記事はジーコを讃えて幾星霜な夕刊紙が、ジーコの心中を慮って書いたものって可能性もあるだけに別にジーコはチェコなんて参考にしていなくって、実はギリシャの方にこそ日本の理想があるのかと……思ってないか、きっとギリシャのサッカーなんて知りもしなかっただろーから。ともあれ早朝から息をもつかせぬ攻防を楽しませてくれた「EURO2004」の準決勝「チェコvsギリシャ」は途中ネドヴェドの負傷退場とゆーアクシデントがあったものの、タレントで優れるチェコが攻め勝つかと思っていたらこれが途中からギリシャにことごとく中盤でボールを奪われる状況に。そこからゴール前まで運んでもやっぱり突破できないでいたけれど、かといって反撃も許さず手に汗握る展開に90分をどっぷりと浸らせられる。

 ゴール前でのショートパス交換からコラーが放ったシュートが外れた場面が1番、惜しかったかもしれないしあと、遠目から打ったロシツキーだか誰かのミドルがバーに当たった場面も惜しかったけど、運がなかったのかアテネにましますゼウスにアテナにアポロンアルテミス等々のご加護がついていたのか点にはならず。走り回っては守備に攻撃に邁進するチェコのその先を読むよーに2人3にと集まり妨げるギリシャの守備の凄みもあって無得点のまま延長戦へと突入した。そこでもやっぱり代わらぬギリシャの運動量。押し込み最後はセットプレーのコーナーキックから押し込みその直後のタイムアップでギリシャが晴れて決勝へと駒を進めた。

 決勝はいつか見た「ポルトガルvsギリシャ」でこれで主審もコッリーナさんだったらまるで一緒になってしまったところだけど、準決勝で笛を吹いた以上は出場はないんで国際審判としての晴れの舞台での名ジャッジはこれでお別れってことで。夏の有名チーム大襲来に合わせて来日して笛、吹いてくれないかなあ。結果を見て今度は「本当はギリシャが来ると思ってたんだよ」って某代表監督が言い出してきたら面白いけど前線からプレスして組織的にディフェンスしてオートマティックに組織で攻めていく攻撃なんてもう2年間、やらせてないからきっと再現は無理だろー。

 あと決勝点につながった見事なコーナーキック。ゴール前へと1直線に突き進む早くて正確な球でこれを蹴られる選手、日本にどれだけいるんだろ。ディフェンスを固めた高さもある相手に山鳴りのボールを放り込んでは弾かれる場面しか見た記憶が最近はないもんなあ。ともあれ残るは1戦。タレントの宝庫にフェリポンの采配も乗って波の頂点にいるポルトガルに、ギリシャが再び三度のジャイアントキリングを起こしてくれるか。日曜日の夜も眠れない。月曜日は日本中の会社で遅刻が続出するだろー。顔にギリシャのペイントしたまま出社しちゃ、ダメよ。

 大阪にサミーが作ったテーマパーク「道頓堀極楽商店街」の話を業界の人としながらその成否について考える。いわゆる「フードテーマパーク」が”食”ってゆーただその1点に目的を絞ってお客さんを集めよーとしていて、目的を持ったお客さんに好評を得ているのと比べると、テーマを”大阪の人情”に据えて古い時代の大坂の街を再現して、関連するアイテムをぞろりぞろりと集めたらしーそのテーマパークに果たして、”大阪の人情”なんて食べられもしなければ見ることも難しいテーマをどれだけの人が感じに来てくれるのかってゆー問題に行き当たる。

 なるほど最初は物珍しさで古い街並みを見て楽しめるかもしれないけれど、それだけではリピーターの獲得は厳しいのがこの世界。従って何度も来て楽しんでもらえるよーなソフトが必要になる。フードテーマパークの場合はテーマがそーしたソフトとイコールで分かりやすい上に、全国から数多くの有名店をただ金に飽かせて集めるんじゃなく、出る意義を感じて出てもらっているから誰もが真剣に商売をしているし、来る人にもそーした意義が感じられるよーになっているからまた来ようって気になって来る。双方、納得ずくで同じ想いを共有できる空間だからこそ長く支持される。そんな関係を「道頓堀極楽商店街」に来る人は果たして作り上げることが出来るんだろーか。珍しい街並みがある。歩いて珍しいと感じる。けどそれが「ホンマもんの大阪」だと言われたところで何度も来たい、ホンマもんに浸っていたいと感じる人はどれだけいるのか。ちょっと見えない。

 何せ道頓堀界隈。アメリカ村でカジュアルやファッションを楽しみ道頓堀で繁華街の賑わいに触れ「グリコ」や「かに道楽」や「くいだおれ」の看板に人形を見て大阪らしさを目の当たりにし、そのまま歩いて日本橋でキャラクター関連商品を買いあさる。花月に行けば吉本の神髄が見られるし、お好み焼きだってたこ焼きだって食べ放題。そのまま現実の、でもって最先端にしてど真ん中のリアル大阪がそこにどろりと横たわっているわけで、それを脇に置いて作り物の「ホンマもんの大阪」とやらを見に行きたいのかどーなのか。

 ”食”とゆー目的があればそれでもいく可能性があるけれど、”ホンマもんお大阪”とゆー周囲にいくらだってある”現実の大阪”に比してどれだけ魅力があるのか微妙なテーマに、どれだけの人が理解を見せるのかがちょっと気になる。どれくらいの人が初日に入ったんだろー。でもってどんな感想を抱いたんだろー。ちょっと知りたい。これが東京に出来たんだったら気恥ずかしさは感じるかもしれないけれど行ってコテコテの大阪を見てみたいって気になったかもしれないけれど、大阪にあって大阪を見に行くものなのか。名古屋人なら名古屋のオーバーな所を見に行くかもしれないけれど。タモリの名古屋ギャグでいっぱいの講演を喜んで聞きに行くじゅらいだし。そーゆー自虐的な奴らなんです名古屋人って。当人が言うから間違いありません。

 いっそ逆にバリバリな東京を大阪のど真ん中に付くってしまって見に来た人にスカした東京のみっともなさ、どーってことない東京の文化やファッションのつまらなさを披露しては、大いに笑ってもらおうってテーマパークだったらどーだっただろー、大阪の人が通って東京のトレンドを知りつつも東京のスカした感じを嘲笑するってゆー、アミューズメントの新しい形がそこに生まれたかもしれない。「『○○しちゃった』だって、スカしてるーっ」って言って大阪の人に溜飲を下げてもらい、薄いうどんに薄いもんじゃに薄い人情を大阪の人に罵倒してもらう「東京テーマパーク」。それが大阪のど真ん中に出来たらさてはて大阪の人はどれだけ駆け付けてくれるんだろー。興味のあるところ。もちろん「道頓堀極楽商店街」にたっぷりの来場者があるならいろいろな突っ込みはすべて杞憂。アミューズメント施設の新しい形として今後の発展について考えても良いかもしれない。ともかく明日以降の客入りに注目だ。

 そーか「ツール・ド・フランス」も始まるのか。かつてベルナール・イノーが何連覇かした時代に「サイクルスポーツ」を読んで世界にはこんなに凄いイベントがあるのかと知り、後にフジテレビが夜中にツールの様子を放映するよーになって良い時代が来たものだと感激したのもつかの間、視聴率がとれなかったのか打ち切りになりNHKのニュースでもあんまり触れられなくなって幾年月、日本人にはあの面白さが分からないんだって諦めていたらどーゆーことかこの何年か、「ツール」への興味が高まりBSだかCSだかで放映も始まってそれなりに話題になっているから世の中ってのは分からない。

 どーしてそれだったらフジテレビがやってた時代に見てくれなかったんだよう、お陰で皿貧(パラボラ無しって意味)な我が家では今ではツールが見られないんだよう。って叫びたいけど仕方がない、これも地上波では不可能な、スポーツをスポーツとしてそのまま流すことによってスポーツそのものの価値を認識する世代が増え、それがツールそのもののファンを生んでいるんだってことになるなだろーから地上波の打ち切りを攻める訳にはいかない。ともあれランス・アームストロングの史上最多6連覇はあるのかどーかに注目しつつ、見られないなりに情報収集に勤しもう。イノーやエディ・メルクスやミゲル・インデュラインを超える英雄になった瞬間、すなわち最終ステージ辺りは地上波もちゃんと放映してくれい。


【7月1日】 これを放送せずして何を放送するのかって放送人の持つべきタマシイの衰退あるいは欠如としか思えない状況下で赤坂の放送局に毒念波をぐろぐろと送り、遙か成層圏から降ってくる電波をキャッチする皿のない部屋でひとりタオルを噛みしめる夜。起きて知った「EURO2004」の準決勝「ポルトガルvsオランダ」の結果は不平不満のカタマリだった黒フィーゴから休み心も入れ替わった白フィーゴへと転じた黄金の魔術師が往年のキレを取り戻したらしく大活躍。復帰したパウレタもそれなりにチャンスを作る中で若いクリスチアーノ・ロナウドが決め、マニシェも決めて得たゴールを守りきり、オウンゴールによる相手得点のみに抑えてポルトガルが晴れて決勝の場へと進んだ模様。ホスト国としてはこれ以上にない盛り上げへの貢献としたって言えそー。盛り上がってるのはポルトガルだけになってしまったけど。あとはギリシャかチェコか。

 2002年にフランスが喰らったみたいに初戦で敗退したチームはグループリーグを生き残れないとかってゆー「ワールドカップ」の呪いを大会も違うってことでそのままには受けず、見事に立て直して来たフェリポンはやっぱりただのおっさんではなかったってことになるのかな。これでオシム監督みたく初戦は黄金の至らなさを見せるためにわざと負けたんだ、って言ったらなお凄いけど初戦でフィーゴにルイ・コスタにフェルナンド・コートあたりを外して負けたら中田中村を使わないで受けただろーフィリップ・トルシェ監督への悪罵に1万倍、すごい非難が巻き起こっただろーからやっぱり仕方なく使ったんだろー。でもって負けて後の試合を若手で臨めた怪我の功名がここまでポルトガルを勝ち上がらせた。負けたのも初戦で良かったよかった。下手に勝っちゃったからフランスは立て直せなかったのかもしれないし。

 残る準決勝の「ギリシャvsチェコ」は頑張った赤坂の巨大帽子様によって皿無し屋敷の我が家にも電波が届くんで今夜は、ってゆーより明朝はちゃんと起きてテレビの前でねどべどさんがぺとってしまう場面とか、ずんべらぼうのやんこらーくん(コレルとは俺のことかとコラー言い、いやどっちが正しいか知らないけれど)がずんべらぼうぶりを発揮してぬるぬるとした頭を振り回す場面とかを目の当たりにしよー。どっちがどっちが買っても決勝はガードを下げての激しいぶつかり合いになりそーで、ぬらぬらとして刺激の少なかったフランスとか、守って守って90分のイタリアとかが出てきて1グラムづつ引っ張る砂場の棒倒しのよーなゲームが繰り広げられることはなさそー。これも結果として怪我の功名だったって言えるのかな。

 リーグが放映されることはなく、選手の名前も含めてあんまり知らないチームが出てきて、視聴率的には問題だったかもしれないけれど、サッカーってこんなにダイナミックなんだって、分からせた功績はサッカーを志している子供たち、サッカーをちゃらいと思ってた大人たちに影響を与えたはず。5年後10年後にきっとつながるだろーからTBS、たとえ間引いた放送でもその功績は心より讃えさせて頂きます。とりあえず「アジアカップ」を「EURO」みたいな真剣勝負の場として楽しませてくださいな。「ASIA(エイジア)2004」って呼び名を代えるだけとかじゃなく。

 フィギュアの世界がこんなことになっていたとわ。時代劇フィギュアのアルフレックス方面から聞こえてきた話でアプロって会社が作っているR−18指定フィギュア、俗称「エロポン」の情報を見てそこに繰り広げられているイケナイ世界に頭クラクラになる。商品名は「緊縛絵師 原田雨情の恥縄乱舞」でつまりは緊縛された着物姿の女性をそのままフィギュアにしてしまった、サディスティックでエロティックなフィギュアってことで大きく開いた脚とか縄目の間から押し出されるよーに盛り上がった双房とかが、その質感にその色彩まで実にリアルに且つなめまかしく再現されてて、愛でているだけて体の底が盛り上がる。

 ずいぶんと以前に「夕刊フジ」から頼まれてアダルトCD−ROM(今や死滅したジャンル)の紹介をやっててその中で何枚か、緊縛物のビデオCDを見たことがあるけれど動く肉体が激しい言葉によって絡め取られながら強い力でもって縛られ拘禁されていく様に、する側としての嗜虐性をくすぐられつつされる側としての被虐マインドもくすぐられ、複雑な気持ちになった記憶がある。アラーキーがよく撮る緊縛写真も何度も見たことがあるけれど、アラーキーって存在を通してそこに描かれたオブジェクトみたいな感じがあって淫靡さとはまた違ったアーティスティックなものを感じさせられる。

 アプロが送り出すフィギュアの場合は責める声もなければあえぐ声も聞こえてはこないし動く肉体が動かなくされるシーンも見えはしないけど、フィギュアとして固定化された瞬間から前後に時間を延ばしてプロセスを想いこのあとどーなるかを想い、縛られている女性の心中を想いその痛み、その恥辱に想いをめぐらせることが可能である意味、脳奧にあるさまざまな心理を刺激して精神をゆさぶってくれる。前後の物語を喚起される「王立科学博物館」にも通じるとっても高度な玩具って言えるかも。原型制作はあの高杉涼氏とあと女性フィギュアで知られているらしい矢沢俊吾氏。聞けばその出来の良さも浮かぶでしょー。販売は7月半ばあたりからになりそーで陶然ながらコンビニでは買えず。ホビーショップかアダルトショップを探してコンプ、するのが吉。「ワンダーフェスティバル」にも出るのかな。バリエーションモードに入って食玩も飽きたってユーザーもメディアもゴーだ。

 2人見た。ってのはリクルートから創刊されたフリーマガジン「R−25」を電車で読んでいる人でそれも向かい合って座ってたんでもしかするとリクルートのサクラかもって疑ったけど知り合いっぽくもサクラっぽくもなかったんで純粋に、もらって読んでいたんだろー。クーポン付きとかバイト情報とかってお役立ち系の多かったフリーマガジンだけどこの「R−25」ってのは純然として一般情報を中心に掲載していくフリーマガジンで、まあタイアップっぽい記事も多いんだけどそーじゃない、ランキングに関連して解説めいた文章を寄せるコラムも充実していて本にしても音楽にしてスポーツにしても映画にしても、その時々のトレンドを得られるよーになっているんで探してだってもらって読む価値はありそー。

 インタビューも充実で今回の創刊号では「BE FREE」の江川達也さんを取り上げいろいろインタビューしていて他人を信用することなく自分で出来る限りのことはするってゆー信念が伺えて面白い。サッカーコラムもあるんだけど書いているのが妖ちゃんこと洋ちゃんすなわち永井洋一さんでプレ発行の時から微妙に異様な電波をトバしてくれて話題になっていたけれど、創刊号でも「フランス代表のプレーはなぜ質が高いのか」なんてすでに「EURO2004」でグループリーグを頑張って抜けたもののトーナメントでエンジンのかからないまま敗退していったフランス代表を讃える文章を寄せててちょっとタイミングを逸してる感じ。よりによってフランスを誉めなくても良かったのになあ、チェコかギリシャにしとけば今頃ヒーローだったのに。

 あと「いわば国民感情そのものが、フランスの優秀な選手を排出する土壌をつくっているのだ。ならば我々日本人は、どういう視点でサッカーを評価すべきなのか。ジーコに求めるのはやはり目先の結果なのか」って絞めの文で、最後にジーコを非難する勢力に向けて喧嘩を売ってるよーな言葉を付けて、”トルシェ憎し=ジーコ素晴らし”主義者っぷりを見せてくれていて苦笑。だから反ジーコって別に目先の結果を云々している訳じゃない、将来において結果を出せるよーなロジックのまるで欠如していることを非難しているだけなんだけど、永井さんの目には”反ジーコ=親トルシェ”に映って唾棄すべき存在に思えてしまうのかな。まあ良い創刊なった「R−25」は毎週発行なんで「ナンバー」で月1回程度だった永井節が、毎週ではないにしても2週間に1辺くらいの頻度で楽しめることになりそーで、どんな素晴らしい論が繰り出されてくるのか今からとっても楽しみ。これ読むためだけでももらう価値、あります。


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