縮刷版2003年11月下旬号


【11月30日】 真夜中にテレビを付けたらNHKで偽ソニンがライブをやっていてしばし見入る。ソニンじゃなく偽ソニンって思ったのは何年か前に「EE JUMP」で見た時とは脚が幅で2割増、腰もだいたい2割増しっぽくなっていたからで、そんなスタイルが好きか嫌いかと言われればその太股の量感は決して嫌いじゃないし、放映されてたライブ自体も、ミニスカートからにょっきりと突き出た脚の根本に白が何度も覗いて、有意義な時間を過ごすことが出来たから、これはこれで素晴らしいものだと、心から感謝している。

 だからといってこれをソニンのライブと認めて良いのかってゆーとちょっぴり悩ましく、詐称と指弾すべきかあるいは偽と認めてらって納得するか、今が思案の為所だったりする。もっとも可能性として普通に撮影した映像を、無理にワイドに延ばして放映した関係で横に2割増しになったってこともあるから今後の確認が必要。そーだとすると合間に挟まった往年の「EE JUMP」のビデオクリップに出ていたソニンが昔のまんまのソニンだったこととの整合性が取れないんだけど。やっぱり偽か。

 そんなソニンを横目で見つつチャンネルをザップしてサッカーのワールドユース「日本代表vsイングランド代表」の試合を観戦、持ちすぎなんだよなー、やっぱ。良い感じでサイドから崩して中央へとつなげてもそこでドリブルしたりして囲まれ奪われ反撃に転じられるってシーンが割に見られた印象があって、ポスト的にボールをはたいて後ろからのアタックにつなげる素早いシーンってのを、あんまり見られずまた取られた、今度も取られたって感じでイライラだけが積み重なっていく。

 それでもゴールキーパーが神懸かり的に良かったから相手に点を許さず逆に、サイドからファーへと素早く放り込んだボールを真ん中へと折り返してヘッドでズドン、って鮮やかなプレーが決まった瞬間はお見事と拍手。後も川島選手が守りそのまま日本が逃げ切って、イングランドを相手に1勝をもぎ取ることができてこれで、グループリーグを抜け出す目処もついた。後はどこだったっけ、エジプト? コロンビア? ともかくあと1勝をあげて勝ち抜き決勝トーナメントへと進んで夜中に代表の試合をちゃんと、見られる環境を作って頂きたいもの。コンフェデレーションズカップの二の舞が御免だ。

 火星を舞台に新しく生まれた超能力を持った少年少女たちをめぐる陰謀を描く、深淵なテーマを持った難解でナイーブな作品かな、って「第4回小松左京賞」の授賞式でもらった説明なんかを読んで、受賞作の上田早夕里さん「火星ダーク・バラード」(角川春樹事務所、1800円)のことを思っていたんだけど、刊行なった作品を読んで予想と全然違って、刑事物でバディ物でアクション物だったと確認、つまりは徹頭徹尾エンターテインメントで、どーなるんだとワクワクしながら読んでいけてなおかつその間に、人間のどーしよーもない愚かな部分と、それでも人間のとてつもなく尊い部分を見知ることが出来るよーになっていて、読み終わった後に楽しさと、確かさを得られる作品に仕上がっている。

 相棒の女性刑事といっしょに犯罪者を追っていた男性刑事が、どーにかこーにか相手を捕らえ電車で護送する途中、見たこともない巨大な怪物に襲われ自分は失神。気付くと女性刑事は撃たれて死亡して犯人は逃走。そして男性刑事には犯人と結託して女性を撃ったという容疑がかけられる。熱血系で謹厳実直な男性刑事がそんなことをするはずはないと仲間は信じてくれたけれど、別の部署からは執拗に男性刑事を疑う声が挙がって消えない。怒り心頭の男性刑事は上司の止めるのも聞かず、自分で真相を突き止めよーと調査に乗り出すものの、何故か邪魔がはいりあまつさえ命まで狙われる始末。そんなピンチの最中に男性刑事は1人の少女と出会い且つ、彼女から事件の真相を知っていると聞かされる。

 火星で幾世代にも渡って行われてきた、人類の未来を遺伝私的な操作によって拓こうとする実験の存在が明らかになり、男性刑事が出会った少女の秘密が明るみになっていく展開が興味を先へ、先へとつないでくれる上に、高い次元から迫る力を相手にただの刑事とひとりの少女がいったいどーなってしまうのか、っていった物語が心をドキドキさせてページを繰る手を休ませない。火星ならではの状況を組み入れた大仕掛けの上で繰り広げられるスペクタクルなクライマックスもなかなかなもの。絵にしてみたらどんなに壮大だろーって頭に場面を想像してみたくなった。

 中年の刑事が美少女と知り合いになってあまつさえ……って部分に何と羨ましいんだこの野郎、って憤りたくなる感情もあるけれど、あるいは共感力の優れたプログレッシブには寂しい独身男性の心に共感しやすい所があるのかもと想像。だとすれば是非に今すぐにプログレッシブを作ってもらって僕たちの前にずらり並べて頂きたいもの。ロケットよりも僕はそっちへの投資を強く激しく願います。萩尾望都さんの「スター・レッド」なんかとも通じるテーマとスケールを感じさせてくれる火星物&進化物の佳編。ベスト級です。表紙の田中達之さんはゲームなんかで有名過ぎるイラストレーター。美少女のイラストがキャッチになって神保町の三省堂で平積みにされて売れまくった去年の受賞作といー、小松左京賞、表紙に命、かけてます。

 国内最高峰リーグの優勝争いを土砂降りだからと棄権した身でありながら、小降りとはいえ同じ雨でおまけに場所も「平塚競技場」と遙か彼方になるにもかかわらず、見てみたいって気持ちを抑えることが出来ずに電車を乗り継ぎ平塚へと行き女子サッカー「Lリーグ」の上位リーグ「日テレ・ベレーザvsYKK東北女子サッカー部フラッパーズ」を観戦する。雨こそ小降りになったものの場所が場所だけに観客もどれくらい集まるのかって思ったけれど大宮には来なかったベレーザサポーターの太鼓隊もサンバ隊もちゃんと集まって、交互に歓声を贈る頑張りぶり。東北が本拠のYKKも選手は関東出身の人が多いこともあってか関係者が集まって、スタンドはそれなりの賑わいを見せていた。女子サッカーファン、確実に増えてます、多分。

 試合はと言えば勝たないと上位リーグでの優勝争いから1歩後退してしまう日テレ・ベレーザが、前半からしっかりとつないでは前線へと流し込んでシュートへとつなげるいつもながらの華麗な攻めを見せたものの、フラッパーズのゴールキーパーが当たっていたのとベレーザのシュートがキーパーの正面にばかり行ってしまったのと両方で、点につながらずそのまま前半終了へ。サイドが代わって後半になると、試合前とかに見られるトレーナーの人の綿密なトレーニング風景から想定されるフィジカルコンディションの確かさが奏功してか、バテずしっかり守り走って前線へとつなげるフラッパーズの攻撃が見られるよーになって、がっぷりと組んだ好試合が繰り広げられる。

 そんな攻守が入れ替わる中からフラッパーズがぬかるむピッチに脚を取られたベレーザのサイドバックをかわしセンタリングを上げ、それを走り込んだ選手が叩き込んで鮮やかに先取点を奪取。ここで敗れると終わっちゃう、ってゆー危機感からベレーザも反撃に出たけれど大野忍選手の1対1とかはかわされシュートは止められる始末。そうこうしていうるうちにフラッパーズは選手交代でサイドに入った美少女ミッドフィルダーと呼び名も高い(と勝手に決めた)槙寛美選手(元巨人の槙原寛己さんとは無関係)が守備に攻撃に左サイドを走り回ってベレーザの攻守を脅かし、ベレーザが投入した山口麻美選手のスピードも抑えて最後まで守りきって勝利した。

 ベレーザの何が悪かった、ってこともなくって底から酒井與恵さんが左右に散らし中央で小林弥生選手がさばき時にドリブルで中を抜けてシュートを放ち、大野選手の荒川恵理子選手のツートップも早かったし近賀ゆかり選手のサイド突破も凄かったけどちょっぴり運がなかった感じ。日本代表キャプテンのフラッパーズ大部由美選手の流石な守備もあっったし。ともあれこれで田崎ペルーレFCが1つ抜け出した感じのある上位リーグの行方は来週、ベレーザとペルーレの直接対決でペルーレが勝ってしまうと一気に決まってしまいそー。逆にベレーザが勝ってベレーザと勝ち点で並んでる伊賀くノ一FCがさいたまレイナスに勝ったりすると、再びの混戦となって翌週のベレーザとくノ一の勝者が、スペランツァF.C.高槻には勝つだろーペルーレとの間で得失点を争うことになりそー。Jと同様に混戦模様のL、楽しめまます。


【11月29日】 「何を訳の分からんことを!」とネフライトだかクンツァイトだかゾイサイトだかが叫びたくなるのも分かる気がした実写版「美少女戦士セーラームーン」は、目の前に現れたミニスカートでど派手な色に髪を染めた女が、突然現れてはにょっきりと突きだした足を地面に突っ張り「お仕置きよ!」と決まりのポーズ。そんな姿を目の当たりにすれば普通の人間だったら、こいつ何って思って遠慮したくなって当然かも。

 とは言えそこは銀水晶を妖魔なんて使わず直接取りに来たクイン・ベリルの手下だけあって、相手が2人がかりでも強いこと強いこと。お陰で吹っ飛ぶセーラー・マーキュリーにセーラー・ジュピターのまくれあがった足の付け根にのぞく白をとっぷりと拝むことが出来ました。顔はともかく喋りの棒読みっぷりが凄まじいセーラー・ジュピターはやっぱり、体型の似た江角マキ子さんにやって欲しいなあ、いっそ「ショムニ」の連中で「実写版セーラームーン」を撮るとか。グッピーはセーラー何だろう。続けざまに今回が見たの2回目の「マーメイドプリンセス ぴちぴちピッチ」。音痴が世界を救うって話? デ・カルチャー!

人民が人民だからって人民のために政治なんてしない、と言ったとか言わなかったとか言われる人民共和国の初代主席  ホントは味の素スタジアムまで「東京ヴェルディ1969vsジェフユナイテッド市原」を見に行く予定だったけどふり仕切る雨にダウン気味の体調では来週の「t.A.T.u」に差し障りが(仕事? そんなもの知らない)出るんで断念して近所の散策に切り替え。「ダイソー」に行って身の回りの品とか補充してふと、目に留めたコーナーで得体のしれないフィギュアを発見。およそ15センチくらいの胸像なんだけどよくよく見ると彫られているのはアメリカ合衆国の大統領で、そんなものが何でまた「ダイソー」に、なんて驚きつつもそれなりな出来に感動して1つ、選んで第16代大統領のエイブラハム・リンカーンを購入する。100円。髯が生えてないのがちょとヘンかも。

 ほかにケネディとワシントンとジェファーソンがあってケネディがテディ・ルーズベルトと代われば「マウント・ラシュモア」になったけど人気・知名度の順で並べるとやっぱりこの4人になってしまうんだろーなー。テディ以後の大統領だと人気があってもフランクリン・ルーズベルトやアイゼンハワーではケネディほどではないだろーし、ケネディ以後のジョンソンニクソンフォードカーターレーガンブッシュクリントンブッシュJrも同様だし。ともあれ珍奇な品物をありがとうと「ダイソー」に御礼。をいずれ残る3人も買って机に並べて拝むことにしよー。黙ってワンフェスで並べて売ったら売れちゃったりするかな。

 「ヤングキングアワーズ」2004年1月号。の中身よりも2004年2月号の予告に感涙。「15年振りの『KING』帰還!!」との惹句も迫力たっぷりにあの、聖悠紀さん渾身の、「超人ロック」の連載が、「ヤングキングアワーズ」で開幕だーっ! いや懐かしい。そして嬉しい。今もちょぼちょぼとあちらこちらで新しい話は出ているけれど、「作画グループ」から転じて「ロック」が1番長く連載されていた「少年キング」の系譜を受け継ぐ雑誌で読めるってのはやっぱり嬉しいことこの上ない。

 おまけに内容もロックがロンウォールにも行かずまだ、地球でいろいろやっていた頃の話ってゆーから泣ける泣ける。巻数を経て強くなり過ぎたロックが最近は、スーパーエスパーとして半ば狂言回し的あるいはオーバーロード的な役所になってるっぽい印象があっただけに、人間よりちょっとだけ違った能力を持ってしまったロックが、自身の能力の悩みながらも敵と戦っていく姿を描く話になりそーな連載には期待してし過ぎることはなさそー。聖さん独特の色遣いも鮮やかな巻頭カラーも含む50ページで登場の「超人ロック 〜冬の虹〜」、ファンは刮目して待て。

 更に2004年3月号からは「キング」を支えた「ワイルド7」の新連載が……始まりません。「サイクル野郎」も「龍一くんライブ」も「ペリカンロード」も「湘南爆走族」も始まらない。「プロスパイ」くらいは始まって欲しいけど作家がどこへと行ったやら。東京ひよこ。別名鴨川つばめ。そんな”消えた漫画家”を後目に今も現役バリバリといったら御大・松本零士先生がいるけれど、いくら「銀河鉄道999」が「少年キング」でも屈指の人気作品だったからといって今、これを持ってくるととんでもないことになっちゃいそーだからなー。

 さて1月号。高見ちゃんが高見ちゃんが高見ちゃんが。成沢と成沢と成沢と。修羅場を修羅場を修羅場を。演じなくってちょっと残念、美少女の格闘にガンアクションを描いて世に名を轟かせる伊藤明弘さんが、髪ひっつかんだり顔ひっかいたり涙飛ばしあったりの修羅場をどんな迫力の筆致でもって描くのかに興味があったんだけど。それはそれとしていよいよ神楽総合警備の仕事の怪しさが浮かび上がってきて、秘密に迫ってしまった高見ちゃんの今後が心配。仕事サボってる成沢のハウンドでの立場も心配。まさか高見殉職? でもってクビになった成沢がバイオイエローみたく入れ替わり?


【11月28日】 仙台スタジアムで椅子を壊しても国立競技場に乱入してエメルソンのメダルを奪取しても瑞穂陸上競技場でウェズレイ選手にビールをぶっかけても、それはあくまで大量にいる人たちの1部の暴走であって残る大勢の人たちの長期に渡って浦和レッドダイヤモンズを応援し続けてきた熱意はやっぱり讃えられるべきであって、その意味で「ナンバー」2003年12月11日号に掲載のコラム「いつかどこかで」で金子達仁さんが「最近、Jリーグの試合を観に行くと無性に嬉しくなってしまうことがある。レッズあたりの試合にいくとなおさらである」(本文ママ、「行く」と「いく」が3行の間に出てくる謎の真偽は不明)って書いてレッズサポーターたちの間に年輩のファンが増えていることを喜ぶ気持ちは分からないでもない。

 けど「いつかどこかへ」で金子さんがそんなレッズと引き合いにして、今現在も進行形のバレーボールの「ワールドカップ」で日本代表を応援する人たちについて書いた文章には、それちょっと突っ込むところが違うんじゃない、って気になった。なるほどレッズに年輩者が増えていて、それがJリーグに対する支持の裾野が広がっている証と見た上で、バレーボールの応援は若い女の子たちの歓声ばかりで、先が心配って書くのはバランスとしては取れている。取れているけどでも問題は、どーして若い女の子たちの歓声しか聞こえて来ないのか、って部分でそれはつまりは例のあの、若い男の子タレントを会場に集めてそれを目当てにして来る女の子を呼んで、選手に向けてってよりは若い男の子たちへのエールって感じで応援させる”演出”に原因ががあるんであって、旧来のバレーボールファンが見限ったってことには直結しない。

 行ったことがないから分からないけどVリーグなんかにはまだ、以前からのバレーボールのファンだって来ているんだろーし「ワールドカップ」の会場も、現場で見ればそーした古手のバレーボールファンだっているだろー。日本戦についてはいくら声をあげても嬌声にかき消されてテレビからは流れて来ないだけで、悔し涙にくれている年輩のファンが、柱の影とかにいっぱいいたのかもしれない。あるいは日本が出ていない試合、つまりはとてつもなく高度なレベルの試合が繰り広げられている本場物の試合に、駆け付けては感嘆の声を上げていたりするんだろー。

 明晰な分析で鳴る金子さんが、テレビで流れる日本戦を見てその”異常さ”に気付かないはずはなく、それがどーゆー要因なのかを理解できない筈もないって思うんだけど、そこはそれ、文章ってのは時として書きたいことがまずあって、それに牽強付会気味に要素を引っ張ってきては並べることがあるんで今回の「いつかどこかで」も、まずはスポーツの繁栄のために支持者の底上げを、ってテーマがあってそれにレッズのサポーターとバレーボールのファンの全部じゃないけどあることはある要素を、引き合いに持って来ただけなんだろーと忖度し、過剰に演出された応援方法や中継方法こそが反スポーツ的だって糾弾しないのも、テーマからそれて話が大きくなり過ぎるからなんだと理解しておこー。あの応援なり中継方法の是非については、スポーツジャーナリストとしていずれ別の場できっちりと指摘してくれると信じたい。

 フィギュアスケートの「NHK杯」。桜野タズサが見事優勝を果たしてオリンピックへの出場権を獲得、してません、ってか誰だ、桜野タズサって? それは海原零さんのデビュー作にして意欲作の「銀盤カレイドスコープ」(集英社スーパーダッシュ文庫)を読んで頂ければ分かるとして、リアルな方の「NHK杯」は女子のショートプログラムをテレビで見ていて、チビっ子のアスリート的な切れ味鋭い回転にジャンプのぶつけ合いって感じがあんまりなくってそれこそカタリナ・ビットが全盛だった時みたいな優雅さを前に出し、且つジャンプも3回転をしっかり飛ぶってゆー、美と技でともに確かさを求められているよーな気がして来た。

 体型的なハンディを技とパワーでひっくり返して上位に食い込もうとして日本人なりアジアの選手が頑張り、目立っていたよーな印象があるけど2位に入った村主章枝さんにしても3位の恩田美栄さんも手足の長さで外国人に負けてるって感じはなくって、だったらそんな優雅さを活かしつつ技でも負けないものをってことで全体に、バランスの取れた演技をしよーってことになって来たのかも。1位のエレナ・リアシェンコ選手の演技も見たけど突出してるって感じはない一方で、至らないって感じもなくって、そんなバランスの良さがなるほど1位たる由縁なんだろーと理解する。

 選手ではあと点は伸びなかったけどフランスから来たアンソフィー・カルベッツ選手のスイカとまでは行かないまでもメロン超級のバストに注目。3回転を失敗したのも分かるなあ。違う意味でバランスが。もしかすると遠心力も。競技の後に村主さんへのインタビューがあったけど桜野タズサみたいな減らず口が出ず残念、ってかあんな選手は他の競技でも見たことありません。聞いていて素直な返事に好感を抱いたインタビューも悪くはなかったけどテレビにはその間にリンクで行われていたどーも君たちのスケート場面を是非に放映して欲しかった。今やガチャピンを上回る知名度を誇るどーも君が、未だ至らない着ぐるみ(中に人などいないんだけど)スポーツキングの座を、遠からず奪い取る布石だっただけに見たかった。次はサッカーでミスター・ピッチと対戦して欲しいもの。でもどっちもゴールキーパーは出来ても球が蹴れないんだよね。

 久多良木健さんワントップの下に並ぶ攻撃的ミッドフィルダー3人を香山哲さん鈴木尚さん飯野賢治さんで固めたその下のボランチ2枚を岡本吉起さんにしたとして残る1枚をあれこれ考えここはやっぱりマイクロソフトXbox事業部で奇蹟のソフト「ねずみくす」を作った後、姿をとんと見かけなくなった宮田敏幸さんに出戻ってもらえば前へ飛び出す人と後ろでカバーする人としてそれなりに機能しそーな気がしないでもない。

 そんな4−2−3−1の2−3−1が固まった残りのディフェンス4枚だけど、流石に業界詳しくないんで浮いてるプロデューサーを考えられないんでそこは、より最適なポジショニングも含めて優れたジェネラルマネジャーの人に登場してもらってチーム編成してもらおー。水口哲也さんも確か今はフリーだったけどサイドバックで攻撃参加してもらえそーな気が。多部田俊雄さんはNECインターチャネルでまだ頑張ってセングラ以後のギャルゲーを出しているのかな、だとしたらその鉄壁さでセンターバックについてもらいたいな。仁井谷正充さんも会社が消えて立場が浮いたんで招いてセンターバックに。その後ろから米光一成さんにゴールキーパーとして叱咤の声を。サイドバックがあと1人余ったぞ。粟田政憲さんに蘇ってもらうか。どーなってしまったのかなー、「アンダーワールド」と庄野晴彦さん。


【11月27日】 ゲーム市場の低迷がデジキューブ敗北の主要因ってニュアンスの報道がわんさと出た関係で、今朝の株式市場でゲーム株が売られまくっちゃうんじゃないかって心配もあって眺めていたけどスクウェア・エニックスもナムコも軟調だったものの大きくドカンと下げる気配はなく、カプコンもまずまずだったみたいで市場はデジキューブの敗因が市場環境よりもむしろビジネスモデル的な行き詰まりっていった内的な問題だとちゃんと、看過してるのかもって安心する。もちろんコンビニエンスストアでゲームを買うよーなライトユーザー離れが起きてるって市場環境にリンクした問題もあるけれど、裏返せば移ろいやすいライトユーザーしか買わないコンビニに力を注ぎすぎた挙げ句のパンクって言えば言える訳でやぱり、モデル的な部分を考える方がゲーム業界を観察する上で前向きな気がする。

 ざざっと報道なんかをながめてみてもデジキューブ発足の立て役者だった鈴木尚さんの去就に関する報はなく気になるところ。退任しても坂口博信さんには「ファイナルファンタジー」の生みの親って栄光はシリーズが続く限り付いて回るし内容はともかく映像的なクオリティでは世界を行ったCGアニメーションを作り世に残し遺産として技術も残したって意義を坂口さんの場合は持ち続けるけれど、コンビニ流通ってゆー開拓しよーとしたビジネスモデルを最初は「ファイナルファンタジー」のブランド力で組み上げたもののブランドの威光から離れきれずやがて停滞から低迷そして崩壊へと至った鈴木さんの場合、世に残したものが誹謗だけ、ってことにこのままだとなりかねないのが残念なところ。

 死んでも皮を残すクリエーターもしくはディレクターと、アイディア&弁舌が勝負のプロデューサーのこれが差って言えば言えるんだけど、スクウェア栄光の90年代を形作った立て役者であることには違いがない訳でそこに果たした才気がいずれ、他の場所で活用されることを今はただただ願うばかり。半導体屋はいてもビジネスモデルやマーケティングの部分が最近おろそかになって来ているよーに見えるソニー・コンピュータエンタテインメントあたりで久多良木健さんの片腕にでもなれば活躍の場とか、広がりそーな気もするけれど。セガだと招かれ外様ながらハードから撤退するって英断を下して今日の身軽なセガを作る活躍しても、ちょっとの間違いで棚上げされちゃうからもったいない。いっそSCEIに香山哲さんも呼びついでにゲーム界のカリスマと言われながらもいつしかフェードアウトして「ファウスト」で作家として復活した飯野賢治さんなんかもSCEIに混ぜて久多良木1トップの下の3人として仕事させてみたら面白いかも。いっそ岡本吉起さんも入れて超攻撃的布陣のレアル・マドリッドを真似て見るとか。守備はボロボロで大量失点の恐れもあるけどハマれば大量得点だってありそーだし。

 それは3月に開催された「東京国際アニメフェア」の会場で、新進気鋭のクリエーターたちが集まって自作を披露するコーナーの一角で派手なアクションが格好良い3DCGのアニメーションを披露していたのを見て興味を覚えたのが始まりで、ブースに立っていた作者のロマのフ比嘉さんに話を聞いて本業でも頑張ってるクリエーターって感じで紹介した記憶があるけれど、当時は自主制作したDVDビデオをコミケ当たりで売れれば嬉しいって話してくれたその作品「URDA ウルダ」がその後、いろいろあったみたいで何と商業作品としてマーベラスエンタテイメントからDVDビデオが晴れてリリース。早速買って見たけれど、「ファイナルファンタジー・ザ・ムービー」程のクオリティーは望むべくもないけれど、1人のクリエーターがウィンドウズパソコンの上で1人で作った作品とは思えないくらい、つまりは商業作品として見て十分に見られるくらいの動きに造型に演出で、流石はCGアニメの分野でその名を知られた人だって印象を抱く。

 3DCGなのに書き割りの上を人形みたいなキャラクターが計算されたよーな動きをするってことはなく、レイアウトのしっかりととられた奥行きと広がりのある画面でデフォルメされたかのよーに遠近感をぐっと持たせたキャラクターなりがダイナミックな動きを見せてくれて、キャラクターを見ているだけだと2D作品じゃないかって思いも浮かんでくる。けど車や列車の造型は3Dならではのカチッとしたもので、そんなキャラとオブジェクトの重なり具合が作品に独特の雰囲気を与えて目を楽しませてくれる。”ひとりでできた”系アニメ作品だと新海誠さんの「ほしのこえ」が有名過ぎるくらいに有名だけど、その二番煎じでもなければ二匹目の泥鰌でもない、CGアニメって海に大量発生したクリエーターが入れ食いになるその兆しとして、新海さんに並んでトップランナーとして走ってくれそーな予感。こっちはマイナーなメディアでひっそりと書くくらいしか出来ないけれど、メジャーレーベルからのデビューってことでメジャーなメディアの関心が集まりより大バジェットでその才気が発揮される機会が訪れることを影ならが願おー。面識はまるでないけれど、とりあえずはDVD発売、お祝いさせて頂ます。

 なるほどタカラの傘下に入ったってことはこーゆーことかと、「URDA」を買った秋葉原の「ゲーマーズ」に積み上げられた「ギャラクシーエンジェル人生ゲーム ノーマッド定食エンジェル大盛り」を見ながら感動に……打ち震えません、だってすでい「でじこの人生ゲーム」があるからね。まあ当時はまだ「人生ゲーム」ってプラットフォームを借りて「デ・ジ・キャラット」のグッズを作らせてもらった関係が、今は関係会社として密接にコラボレーションできるってことで、パッケージから駒からレイアウトから「GA」に相応しい物に仕上がっているみたい。ノーマッドの駒をルーレットで動かして行くゲームが行き着く先ってのはいわゆる億万長者or貧乏農場ではないことは確かなんだけど、それが何になっているかは不明。やっぱり買ってみるしかないのか、来年の「SF大会」でクイズのプレゼントとして大量に用意されるってこともないだろーし。ちなみにもらったチラシによると「GA」新シリーズの制作が決定! 冬に特番も放映されるみたいでこれがきっかけになって人気の再燃とそしてブロッコリーの復活が成されれば、溜まったポイントを無駄にしなくて済むんで是非にヒットをと今は願おー。


【11月26日】 ウルフギャングとは俺のことかとウォルフガング言い。なんて戯れ唄を口ずさみたくなったのは会社の隣の「大手町ビル」に新しくオープンした「ウルフギャング・バック・エクスプレス」って飲食店がオープンしたのを見たからで、アメリカンスタイルの店内でピザとか巨大なハンバーガーとかスペアリブとかいったいかにもアメリカンな食事を出すちょっぴりお洒落の入った店が、ネズミ色したサラリーマンが折り重なった大手町界隈で、どこまで受け入れるのかが今は興味深い。130円だって高いと思われるよーになったデフレの時代に、1300円もするハンバーガーなんて売れるのかなー。

 もっとも大手町界隈は最近、新しっぽいスタイルの飲食店がオープンしてはそれなりな行列を作っているんで「ウルフギャング・バック・エクスプレス」も大丈夫なのかも。一足早く「サンケイビル」にオープンしたシアトル・スープの「チャウダーズ」って店は1杯が500円とかラージだったら650円とかするスープにフランスパンとかセットにして売ってる店で値段だけなら超高めって感じだけど、ベジタブルやらチャウダーやチェダーやらって豊富な種類で具も沢山なスープが人気となって昼時は行列が出来る賑わいぶりを見せている。

 それよりも更に前に同じ「サンケイビル」にオープンしていた1ボウルで650円とかするサラダの店もヘルシーなイメージが効いてか昼時に近所のOLさんとあと外資系企業で働く外国人に受けている。吉野屋松屋に行列を作る家族持ちのサラリーマンとはちょっと違った、スノッブ若者&トレンディOL&ヘルシー外国人を相手にした商売ってのがもしかしたら今は狙い目だったりするのかも。かくゆう僕は1300円ハンバーガーも未食ならスープは自販機のカップがせいぜい、サラダも葉っぱに700円とか出せるかって考えで未だ3店とも利用した経験がなかったりする。つまりはネズミ色サラリーマンってことですか? 違います懐がビンボーなだけです。ボーナス、出るけどとてもマスコミ企業とは思えない額なんだよなー。

 デジキューブ消滅。ゲーム市場の低迷がゲーム流通でも大手の会社に打撃を与えたって見られゲーム市場全体へのネガティブな視線を誘いそーなニュースだけど、俯瞰するならゲーム市場そのものは、低迷しているとはいっても前年とさほど変わらない状況で推移していて、中には儲かってる会社もあって底入れの様子。むしろデジキューブに関しては、スクウェアの経営陣が新しいビジネスシーンを切り開こうと当時のスクウェアが持ってた絶大なブランド力なんかもバックに作った会社だったってことが、今回の事態に至る遠因になっていることは多かれ少なかれ言えそー。

 なるほどスクウェアと表裏一体で活動していた時期は、コンビニエンスストア向けのソフトの取り扱いは一手に任されていたし「アルティマニア」って出せばベストセラー確実な攻略本も、デジキューブが出版まで面倒を見ていたけれど、スクウェアが出版部門を持ちまた自社流通網の整備に邁進するエニックスと合併したってことが、直接的にどこまで出たかは判然としないけれどもデジキューブの将来を伺う上で、いろいろと考えるべき要素となって結果、延命策を取らないままの破産を決断させたって想像出来なくもない。スクウェア・エニックスが、「ファイナルファンタジー」の発売を延期したことがデジキューブの首を絞めたって意見もあるけれど、いずれ遠からず出るソフトな訳で、それなりな出資比率を維持しているスクウェア・エニックスが、今も権能としてデジキューブの意義を認めてるんだったら、破産に至らせるってこともなかったよーな気がする。

 逆にスクウェア・エニックスは存命を願ったものの、距離が開いて久しいデジキューブ側が自決を選んだって可能性もあるのかな。気になるところ。いずれにしてもゲームソフトの市場低迷と間接的にはともかくダイレクトにリンクさせて考えるのはちょっと待った方が良さそー。あとやっぱり、コンビニエンスストアってインフラがゲーム流通にとって予想以上に使い勝手の悪いインフラだったってこともあるのかな、値段は高いし種類も山とあるゲームソフトを、安い商品でそれも厳選されたものを扱い利益につなげることがメインなコンビニエンスストアで扱うことの矛盾を、クリアにするだけの手法が生み出せなかったのかも。そーこーしているうちにインターネットでダイレクトに物を売るネットショッピングが隆盛となってしまったし。それでもコンビニをピックアップの拠点と利用することは可能だった訳だけど、デジキューブってその辺でうまく立ち回れたんだろーか。出来てたらネット書店程度には生き延びられたよーな気もするんだけど。

 流通チャネルとしてのコンビニをうまく御せなかったこととは裏表で、コンビニも黙るくらいに魅力のある商材をデジキューブが流せなかったってこともやっぱり理由として挙げられるのかも。ゲームはなるほどスクウェアのビッグなタイトルがあったけど、狙った音楽はキオスク端末を使った配信も出来なかったみたいだしグラビアアイドルの画像配信もいろいろあったみたいで今に至らず。音楽CDの流通も手がけたみたいだし自社でCD制作も頑張ってたみたいだけど、コンビニが中心ってイメージがあってか他でデジキューブのCDタイトルを見た記憶って余りなく、メジャーレーベル化するまでには至らなかったみたい。流れるインフラは滞り、流す商材も今ひとつどころかじり貧の可能性もあってはやっぱり、破産って選択は致し方なかったのかも。

 それにしても毀誉褒貶なスクウェア人(すくうぇあ・びと)たち。ソフト会社でも屈指ってイメージを市場に植え付ける上で大きな働きをした坂口博信さんは映画「ファイナルファンタジー」で大きなロスを出してしまった挙げ句にソフト開発の一線からは撤退。経営に大きな穴を開けてしまいそれが今日のスクウェア・エニックス誕生へと至る遠因となっている。一方でビジネスモデル作りで引っ張った鈴木尚さんは、デジキューブでゲーム制作だけじゃないエンターテインメント全般を包含したリアル、バーチャルを問わない新世代の流通インフラづくりに挑んだものの、目算が外れ波に乗り切れないままデジキューブとともに……。残り社長となって会社を仕切りエニックスとの合併を成し遂げ任天堂とも折り合いを付け、底入れから将来のグローバルエンターテインメント企業を伺うポジションへとスクウェア・エニックスを持っていった和田洋一さんが最終的に得をした、って構図がは傍目には浮かぶけど、そこはそれ、まだまだ若い坂口さん鈴木さんがここで足踏みすることはなく、いずれそのうちにちゃんと何かしらの形でその才気を見せてくれると信じたいもの。期して願おー。

 吉田直さん「トリニティ・ブラッド」シリーズの「リボーン・オン・ザ・マルス6 茨の宝冠」(角川スニーカー文庫、590円)を遅蒔きながら読み終える。オンディニウムへと出向いたシスター・エステルとアベル・ナイトロードにピンチが迫った挙げ句にアベルは死亡。さらにエステルはロンディニウムの王家とつながりのあるやんごとない身分だったことが明らかになり、弱る女王の跡目を巡る陰謀に巻き込まれる形になって振り回される。武人として格好良いところを見せてたメアリ・スペンサーの意外過ぎる1面が浮かび上がったりして、人間の弱さに哀しくなってしまったけど、結果としてたどりついた状況から今後エステルが、どんな道を歩みそこにアベルがどう絡んでいくのか、新しい興味も浮かんで先に期待がかかる。さてどんな展開を見せることやら。早い続刊を願います。


【11月25日】 解説原稿は年末進行だし締め切り過ぎてたしってなこともあったのか何事もなしに通ったみたいで善哉。構想20分執筆実質4時間なんてドタバタな中で集中できたのもすべてはフィル・コリンズ様の背中を叩いてくれそーなボーカルとスティング様の脳天を風通し良くしてくれそーなボーカルのお陰とUK音楽界の偉大な禿頭2人に感謝しよー。3大薄毛ミュージシャンって昨日は書いたけど残る1人は心当たりが多すぎて、人によってバラけそーなんで各自がそれぞれに考えてみてねってことで特定はお許しを。エルトン・ジョン辺りがやっぱり筆頭に来るのかなー。

 届いた「SFマガジン」の2004年1月号を開いてタカノ綾さんのレビュー漫画、って言えば当たってそーな新連載「飛ばされていく 行く先」がスタートしていて吃驚しつつも喝采、以前から作品にグレッグ・ベアだとかコードウェイナー・スミスだとかのSF作品からインスパイアされたタイトルを付けたり自主制作のDVDではジェイムズ・ティプトリー・ジュニアにインスパイアされた映像を作ったり(限定版、「GEISAI」で買ったらサインをもらえたよ)していたくらいにSF好きなタカノさんだったけど、SF本流なシーンではあまりに認知度が低くってそのSFマインドを是非に本流でもって発揮してもらいたい、なんて願っていたから数年を過ぎ満を持しての登場には、もー嬉しいって程度のものじゃない、激しい歓喜の感情を覚えている。

 今年の頭に出た「SFが読みたい2003」だかで西島大介さんが「SPACE SHIP EE」(カイカイキキ、1600円)をベストに選んで褒め称えていたけれど、西島さんだからこその目配りで出版自体は「ワールドカップ日韓大会」が終わった7月ごろだったにも関わらず、SFシーンでまるで評判にならなかったことに内心忸怩たる思いを抱いてた。それがこの夏の「SFマガジン」への表紙起用に続いていよいよ連載作家としての登場。遠巻きにしながらもタカノ綾さんのSFっぽさを喧伝して来た我が身としては、その効果がたとえ遠吠えに以下の無意味に近いものだったとしても、やっぱり喜ぶべきことだって言えそー。それにしても目次に西島大介さんとタカノ綾さんが並ぶなんて、これはいったい「BT」か。おまけに巻頭には笹公人さん。塩澤編集長、トんでます。

 「スポルティーバ」の2004年1月号に掲載されている香山リカさんの連載「スポーツホリック」の第2回目「『欧州サッカーファン』という病」を読んでうーむ、と唸る、もちろん良い意味じゃなく。内容はと言えばタイトルから分かるよーに日本の「Jリーグ」なんてそっちのけで本場欧州のサッカーを好み熱く語るファンを”診察”したものだけど、試合の結果はそれとして語りつつも、それ以外の例えば「『ユニフォームの背番号の下のスポンサーロゴがとっと変わった』『同僚のだれだれと交わす視線に信頼と友情を感じた』など、限りなくディテールにこだわり心理に食い込もうとしている」(100ページ)いることを取り上げてそこに”病”を見出そうとしている部分にちょっぴり棘を感じて居心地の悪さを覚えてしまう。

 香山さんがそーしたディテールにこだわる輩を語る上で引き合いに出しているのが何と「新世紀エヴァンゲリオン」。アニメーションとして放映されながらもあまりの展開の見えなさと、込められた意図っぽいものの多さにネットや同人といった分野が大騒ぎして分析しまくった状況に通じるものがあるって指摘してるんだけど、思うに欧州サッカーでディテールを語る人っちって別にディテールだけにこだわっている訳じゃなく、ベースにチームなりゲームってものがあってなお、それ以上の”深入り”を願ってディテールに凝ってるだけのマニアに近いものがある。主はあくまでゲームなりチームに感心を示す人であってディテール派は従に過ぎない。「ゲームやプレイそのものよりは、ディテールの探求や想像、妄想で手に入れたそれぞれのチームや選手の”パーツ”を再構成して作り上げた、自分だけのオリジナルの物語」(同)を楽しんでいる人なんて決して多数派じゃない、と思う。

 対するに「エヴァ」の場合は本編のあまりの難解さ、散りばめられた謎っぽいものの多さに番組を見たほとんどの人が謎さがしへと足を踏み入れすべてを深読みしよーとした。つまりはディテールにこだわり「想像や妄想の限りをつくし、『読めた!』と思った瞬間の快感にすべてを欠ける、それがいわゆるオタク」(同)こそが主であった訳で、「欧州サッカーファン」全体と比べてはちょっとまずいよーな気がして来る。なるほど「新世紀エヴァンゲリオンファン」は立派過ぎる「病」であったと言えるだろー。けれども欧州サッカーに熱烈な人にビョーキと言って言えても、「欧州サッカーファン」を「病」と括ってしまうのはテレビで相撲を楽しむ人、NBAを楽しむ人、大リーグを楽しむ人をも含めて「病」と言っているに等しい無理さが感じられて仕方がない。

 テレビでもっとも放映される球団ってことで巨人の試合を見続けて、ファンになった地方の人が本物の巨人戦を球場で見ることはなく、それでもテレビを通じて試合を見、雑誌やネットなんかを通して選手の趣味嗜好や選手同士の関係を知り話し合うことが果たして「病」と言えるのか。1度も国技館なり体育館にいかなくっても取り組みはすべてテレビでチェックし、力士に関するあらゆる情報を集めてやれ締め込みの色がどうとか、立ち会いで見せる視線にいろいろ感じたと語ってそれが「相撲ファンという病」と言えるのか。言えたとしてもわざわざ挙げて指弾するところまではいかないだろー。欧州サッカーって言う、新しいと感じられるものに飛びつき、愛でさわぐ日本人の軽薄さに愁眉したい感情が、欧州サッカーってゆー新しいものと受け止められかねない対象を得て発露した牽強付会的なコラム、って言えば言えそーな気がしてならない。サッカーを非難されたっぽい印象を覚えて反発した僕の私的感情がそう思わせているだけなのかもしれないけれど。

 だとしてもそーした反発的な感情を、かつての香山さんから覚えたことはあんまりなく、ここ最近、浮かれ騒いだ「ワールドカップ日韓大会」での日本人サポーターに「ぷちナショ」を感じて指弾し始めたあたりから、どーにも重たい印象を抱くよーになったのは何故なのか、ちょっと考えてみたい所ではある。かつての香山さんが、同世代のちょっとお姉さん的なポジションで精神医学ってゆーものを纏って上に挑み権威を茶化していった、その姿を頼もしいと思い好意を寄せていたのが最近は、それなりな年齢を得て自らが権威となって下を見下しているよーな印象を覚えてしまうことが、心の枷になってその言動に割り切れなさを感じさせている要因なのかもしれない。

 かつては名前からして虚構的なスタンスを持ち、リアルな権威と斬り結んでいた香山さんも、10数年の活動を経てその名が有る程度の信頼感を裏打ちするものとして認知されるよーになってしまった現在、もはや「僕らの世代の代弁者として」として親近の念を抱きつつリスペクトするべき存在ではなくなっているのかもしれない。上の世代の代弁者としてプレッシャーをかけてくる存在になっているのかもしれない。違和感もあって当然、むしろそーした違和感こそがコラムの内容的には求められているんだって言えるのかもしれない。そんな記事を喜んで読む世代が「スポルティーバ」の編集者はともかく読者にどれだけいるのかは微妙だけど。場違いな権威を意識するとせざるとに関わらず背後に纏っては、若人の燃える思いに釘を刺して回る「香山リカといふ病」はこれでなかなかに奥深そー。研究対象になるのかな、誰か研究して欲しいな。


【11月24日】 よく分からない伝で舞い込んできた文庫の漫画の解説を書かなくっちゃと家に籠もって布団に潜って精神統一(逃避とも言う)をしていたら横に積んであった本が昨日から2度目の崩落を起こして胸を押しつぶして苦しくなったんで、しかたなくはねのけ置きだし積み直そうとしたその背後から、反対側に積んであった新撰組やら中村主水やら座頭市やら紀野真弓やらのフィギュアが音を立てて崩れ落ちてきて下敷きになりそーだったけどかろーじて避け、今日の命をとりあえず確保する。

 もはや原稿なんて書ける状況じゃなく仕方がないので近所を出歩き朝食兼昼食とそれから段ボール箱を買って返って食後に本を箱へと詰め込み過去の山の上へと積み上げ、フィギュアも半年は保つくらいの確かさで積み上げて何とかかんとかベッド廻り兼書斎の格好を付けてから、バックに「ジェネシス」のライブDVDを流しつつえっちらおっちら原稿を打つ。どーにかこーにか形を付けてから今度は夕食を仕入れに行ったついでに近所のWAVEで、「ジェネシス」と来ればフィル・コリンズと並んで英国3大薄毛ミュージシャンとして有名なスティングが所属していた「ポリス」のビデオクリップ集DVDを3200円とサービス価格になっていたのをチャンスと購入。帰って「ジェネシス」に替えて流しながら原稿のブラッシュアップに取りかかり、メインのパートが1周する間にどーにか格好をつける。

 そんな合間にも横目でチラチラとのぞき見た「ポリス」はやっぱり最高に格好良くって、スティングのベースにギターのアンディ・サマーズのストロークにドラムのスチュアート・コープランドの切れ味凄まじいドラミングが響くその上に、被さるハスキーで甲高いスティングの声が耳の奥から脳天へと突き抜ける「ロクサーヌ」に始まって、コープランドのドラムが冴えまくる「孤独のメッセージ」に切ないスティングのボーカルが最高な「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」に南海な香り漂うクリップが楽しい「マジック」と、聞けば懐かしく見れば嬉しいクリップが続いてもー頭に麻薬的な物質が出まくりキーボードを打つ手を助けてくれる。原稿に「ポリス」は相性最高、ただし耳に馴染んでる40歳前後の人に限る。もーちょっと若いとマイケル・ジャクソンになるのかな。

 ハルコンネン男爵の甥っ子ファイドとして得体の知れない扮装に軽薄そーな笑みを見せてくれたスティングの、「デューン 砂の惑星」に出ていた当時に近い扮装顔立ちが見られて嬉しい「シンクロにシティー2」のビデオクリップの衣装やセットに懐かしくも感動しつつ、そこでもやっぱり高らかに、そして奥深く鳴り響くスチュアート・コープランドのドラムに感銘を受ける。いっしょに入っているモンセラット島でのレコーディングをリポートした映像での、コープランドが自ら語るドラミングの秘訣なんかを見るにつけ、でもってアンディ・サマーズのギタープレーの冴えっぷりを見るにつけ、今ではスティングばかりが目立つけど、「ポリス」ってやっぱりすげーバンドだったんだなってことを改めて強く心に刻み込む。復活して欲しいなあ。でなければ「シンクロニシティーライブ」のDVDが欲しいなあ。出てたっけ?

 ちょっとだけ休んでからもう1周、「ポリス」のビデオクリップ集を回す間に原稿を完成させてメール、したけどそれが果たして先様の要求に合ったものかどーか謎。なんで本屋へと出向いて文庫で再刊された吉野朔実さんの「ぼくだけが知っている」の文庫版の2巻と3巻を買い込んで、沢田康彦さんと三浦しをんさんの解説ってゆーかエッセイを読んでみたけど2人とも、自分の体験なんかをバックに吉野さんなり「ぼくだけが知っている」の思い出なりを語る内容で、自分が書いてしまったものとの違いに愕然としてぐわんと落ち込む。

 だって僕の原稿には自分の経験なんでまるで入ってないし、そもそもが文中に「僕」だの「私」だのって主語が使ってない。ってゆーか書評系の原稿に主語を使わないのを「電撃アニメーションマガジン」とか、それこそ大昔に手がけた明石散人さんの「謎ジパング」の文庫解説の頃からの主義にしているんだけど、改めて読んでみた沢田さん三浦さんの漫画文庫解説としてのそれっぷりに、主義もたいがいにしないといけないのかなあ、なんてちょっと足下を見直してしまう。

 けどまあ、そこは他人と割り切り経験にたいしたことが在るわけでもなく、そんなスカスカの経験であっても他人には興味深い有名人でもない人間にできることは裏技を使い卑怯な技を使っても、読んでそれなりに楽しんでもらえる文章を書くこと、なんでいっさいの悔恨も手直しもしないで書いて書き直してまとめあげた原稿をそのまま送る。突っ返される、かもしれない。そーなっらそーなったで、他の人たちみたく書き直しますんでよろしゅうに。ところでそれが一体何の解説なのかは秘密だ。出ても秘密だ。恥ずかしいから。本屋で探してみましょう。没ってたら出ないけど。涙。

 「ぼくだけが知っている」を買い出しに行った「ときわ書房」の1階のレジの横を通ったら耳に懐かしくも凄まじい安田成美さん唄う「風の谷のナウシカ」のイメージソングがそれこそエンドレスで流れているのが響いて、あまりの懐かしさに足がすくむ。決して凄まじいからじゃありません、だって凄まじさにはこの歌がやっぱりエンドレスで流れていた公開当時の劇場なり、出演した「ザ・ベストテン」での生の歌声なりですっかり慣れていますから。それにしても半ば封印された観すらあったこの唄を、いくらDVDが発売されたからといってレジ横のCDデッキでエンドレスで流す本屋さんの意図がちょっと謎。もしかすると店長さんが安田成美さんのとてつもないファンだったのかなー、なんて勘ぐってみたりしてるけど、果たして本当なのか違うのか。ちなみに店長さんは茶木則雄さん、って言います。ファンなのかも。


【11月23日】 「トヨタカップ」のセカンドチャンスにも敗北してこれで真っ当なルートからA.C.ミランとボカ・ジュニアーズの試合を目の当たりにできる可能性は全滅。当たればオークションとかでプレミアム価格付きで買えるんだろーけどそれだと興味もないのにもうけるためだけにチケットをゲットして転売するチケゲッターなテインバイヤーを潤わせるだけなんで断固拒否。家で素直にテレビ観戦することに決める。選手ではブラジルから移ったカカーが見たかったけどまあいいや、出てはいなかったけどブラジル代表として帯同していたワールドカップのチームは2度も見ているってことで我慢しよー。来年はインテルかバレンシアが来ないかなー、って「トヨタカップ」って来年もちゃんとあるのかなー。

 転売ってことだときっと大損続出だったろー「t.A.T.u」の「東京ドームコンサート」は、20日だったかの「日経産業新聞」の市況のページに何故か「タトゥーのコンサート チケットが値下がり定価以下の金券店も」なんて記事が出ていて「ファミリーマート」だか「ローソン」だかの先行で初日に転売目的で仕入れた人は今頃悔しさに歯がみしてそー、って僕も初日に買った口だけど別に転売する気はないからいーや。ちなみに値段はS席2枚組が定価で1万5000円のところが1万4000円から2万円。これから迫って果たして上がるか下がるか微妙だけど、こーも不人気だとアーティストなりマネージャーが臍を曲げて「やんない」とか言い出す可能性もあったりで、さっさと金に換えてしまおーとするショップの思惑からさらに値崩れなんて事態も起こったりしそー。しかし本当に開かれるのかな。初日だけ演って2日目は拒否って可能性もありそーだな、2日目チケットなんでとっと心配。まあ良いけど。

 延々と宇月原晴明さんの大作「黎明に叛くもの」(中央公論新社、2900円)を読み耽る真夜中。デビュー作で織田信長を描き続いて豊臣秀吉を確か描いてだったら次は3英傑の大トリを飾った徳川家康かな、って思わないでもなかったけれど天魔王に成り上がりと比べると、名門の出で耐えに耐えた果ての天下じゃー書いても読んでも面白くなかったってことなのか、フェイントをついて松永弾正久秀ってゆー戦国武将でもメインではあんまり取り上げられることのなかった人物にスポットをあて、裏切りに裏切りを重ねて戦国の世を生き抜いた挙げ句に幾度か味方にもついた織田信長に最終的には楯突いて、討ち滅ぼされた男の波乱に満ちた生涯を、その妖しげな出自へと遡ってまとめあげている。

 「波山=ハサン」、ってのがひとつのキーワードで何でも松永久秀はその昔、「波山の法」ってのを伝える寺院に拾われ妖術から体術から武術剣術といったものを教え込まれて育ったものの10歳になるかならずしてそんな生活に嫌気を覚え、兄弟子といっしょに師を殺害しては出奔し、2人して天下を分けて戦うくらいにビッグになろーと誓い合う。この時にいっしょに出奔したのが後の斎藤道三で、油屋で身を立て美濃に入り込んでは権力者に取り入り勢力をひろげやがて主人を追い出しては一国一城の主になって久秀の先を行く。久秀も三好の家に入り込んでは権勢を得るもののしょせんは主従の従でしかなく主となるまでには至っていない。

 そーこーするうちに道三は隣国に現れた織田信長を目にしてその資質に惹かれ彼を日輪と仰いで自分で天下を取る夢を諦めてしまう。兄と慕っていた男の変心ぶりにショックを受けた久秀も、とりあえずは信長を認め従うもののやがて内心にくすぶるものがあり、日輪の如き輝きを放って君臨する信長に対して明星でしかない立場を省みず、山で覚えた妖しげな術を駆使しては挑んでいく。遠く西域から伝播した暗殺の術を駆使するってゆー久秀の造型が、戦国の世を70近くまで生き抜いた男らしーと思わせてくれるし同じく下克上を体言した斎藤道三の原動力としても効いていて、伝記でありながらも伝奇的な今までにない”国盗り物語”を見せてくれる。いわば久秀の嫉妬妄執に引っ張り込まれる形となった明智光秀が見せられる、虚実の入り交じった過去現在未来の描写も、あったかもしれない人生への憧憬なんかを感じさせて足下を揺るがされる。

 希代の術者であった道三、久秀の2人をしてもなお天下を手中には収めるに至らなかったって部分が史実とはいえ徹底したヒーロー(ダークヒーロー?)であって欲しかった主人公としての久秀への思いを阻害してちょっぴり残念になったし、そんな2人をして下に従えさせた織田信長って人物の原動力が、前世的なもの超常的なものってんじゃなく単に生まれた時代とか、生まれの良さと持って生まれた資質に帰していて、道三とあろーものが、久秀とあろーものが屈した天魔王ならではの得体の知れなさを感じて納得したかった気持ちに肩すかしを食らった気もしたけれど、波山の法を使うとはいっても久秀や道三もしょせんは人、信長も人、光秀も人、自ずとある限界の中で頑張って頑張り抜いた挙げ句に栄えたり滅びたりもするんだってことなんだと、今は思って久秀の最後まで突っ走った生涯に拍手を贈ることにする。長いけど読み始めると一気な面白さ。直木賞だって山周賞だって狙えそーな素材だけど直木だと京極夏彦さんみたく、長いとか読みづらいとか言う輩が出るんだろーなー、同じ中公だし。

地元レイナスを勝たせるための儀式中
でもスタンドでたき火は厳禁なので効かず  読書をしつつ大宮へと出向いて「大宮サッカー場」でLリーグの「さいたまレイナスFC田崎ペルーレFC」の試合を見物。午後1時からって思っていたら正午開始だったみだいで1時間弱の余裕を持って行ったらすでにスタートしていてちょっと焦る。全国に支社があるのか前週の日テレ・ベレーザよりもアウェー側スタンドに客もまずまず入っててなかなか賑やか。とはいえ会社関係じゃない女子サッカー好きのサポーターは声出しが1人しかいなくってコールも手拍子も1人だけで大変そーだった。そこで一緒に混じる勇気はないけれど。あとサッカーをやってる女の子っぽい姿がスタンドのあちらこちらで見受けられたけど、試合そっちのけで枯れ葉を詰んでは崩していたりしやがって、手前ら何しに来てるんだ面白そうだな混ぜてくれ、って言いたくなったのは内緒だ。

 得点はどちらにも入ってなくってそれでもどちらかといえばペルーレ優勢な感じで、そーこーしているうちに大谷未央選手がコーナーキックでのゴール前の争いから流れて来たボールを押し込みペルーレがリード。対してレイナスもカウンター気味に攻めてゴール前で倒され得たPKを決めて同点になってさあ良い試合になるのかな、って思った前半も終わり頃。ペルーレ選手が前線へと送ったボールがオフサイド気味だったにも関わらずノーファールでそれを大谷選手がきっちりと決めてこの日2得点目。この判断に怒ったレイナスの田口監督がピッチに飛び出し大声で怒鳴り審判ともみくちゃになった挙げ句、退場を喰らってしまう。

 審判の判定に幾度となくケチを付けては審判にいなされる田口さんのらしさが爆発したシーンだったけど、退場になったのを見たのはこれが始めて。よほど怒り心頭だったんだろー。選手もやっぱりオフサイドだって思ったよーで抗議もしたけど認められるはずもなく、前半はペルーレが1点リードで折り返す。さて後半。ずるずるといってしまうかと思ったものの監督の激がきいたかレイナスも守りが良くなりペルーレの攻めを寄せ付けない。とはいえ中央で高橋彩子選手だったっけ、持ち過ぎるきらいがあって左右へとボールが回らずペルーレの2人3人と集まってくるディフェンスに囲まれ奪われ反撃を喰らう繰り返しで得点へと結びつかない。

 起死回生とばかりに若さとスピードとパワーを兼ね備えていると勝手に想像しているちさりん伊藤千沙選手が投入されるか、って期待もしたけど監督が退場したせーかそれもなく、リズムを変えられないまま試合終了となってしまった。練習なんか見てると伊藤選手、蹴ってもバックスピンがかかって遠くへ飛ばない選手が多いなかで長いキックを、上げてもゴロでも相手の足下まで軽々と届けるパワーを持っていて、リフティングも巧みでもしかしたら1番上手いくらいじゃないかって思えるんだけど、試合に出てないってことはやっぱりまだトップで張り合えるだけの何かが足りないってことなのかも。リーグが終わった後に始まる全日本女子選手権での活躍に期待。でもってアテネ五輪最終予選への抜擢に大期待。


【11月22日】 秋山仁さんが秋山幸二さんで大喜びなら秋山瑞人だったら果たして……誰も知らない可能性に8割。鉄人定食でもてなす可能性に3分。それはそれとして何かしなくちゃいけないことがあるなって思いながらもまだ、2日はあると思うと手がつかずならばと惰眠を貪ることに決めて近所を徘徊したり郵便局に行って預かり物を回収したり昼飯を買ったりしてとりあえずの用事を足した後、引きこもって電気毛布にくるまって溜まっていた本を読み潰す。至福なり。

 まずは桑島由一さん「神様家族3 桃色貯金」(MF文庫J、580円)。「トゥーザキャッスル」(スーパーダッシュ文庫)でちょい、空かして外す技のキレが行き過ぎなのか足らなさすぎなのかちょい、鈍った感じを受けてうーみゅと唸ったけれどこっちは設定の頓狂さが3巻目でよーやくこなれて来て、個性あふれまくりのキャラクターにも味と深みが出てきて読んでいて納得の面白さを感じさせてくれる。神様の子供で次期神様候補の神山佐間太郎はそれまでだったら父親神様の寵愛で、何をしても上手くいってたんだけど1巻目でなぜか初恋に敗れる挫折を味わい、2巻目でさらにつきはなされる経験もして人間として、じゃなくって神様としてちょっとだけステップアップする。

 そして3巻目。佐間太郎を見守る役目を与えられ、地上に降りて幼なじみとして育ったテンコは自分の仕事がなくなって、かといってずっと育つ中で心に抱いていた恋愛感情を立場の違いを超えてぶつける訳にもいかないまま、むにゃむにゃとした日々を送っていたところに現れたのが1巻目で佐間太郎が初恋するも転校していった美少女の久美子。驚く佐間太郎にあろーことか久美子は私と付き合ってと言い佐間太郎はそれを受けてしまい、哀れテンコは何処からともなく現れた豚の貯金箱の言うなりになって、3日後に天へと帰る契約を結ばされる。

 ところがビックリ、現れた久美子とその家族にはどこかに妙なところがあって、それがやがて神山家を巻き込む大騒動へと発展する。佐間太郎の布団にしのびこんではチアリーダー姿でバトンを振る訳分からない性格の母親やら、外では清楚な美人を通しながらも家では下着姿でうろちょろとして佐間太郎をからかう姉やらそんな2人からイケナイ知識をたっぷり刷り込まれた妹やら、いい加減さに溢れているかに見えた一家のとりわけ母親の、意外だけど順当な一面が見られたりしてクライマックスにかけてどんどんと面白くなっていく。哀しみの果てに得られるほほえましいエンディングもグッド。イラストの良さともあいまって、MF文庫Jでも屈指のシリーズになってくれそーな予感がする、ので桑島さんにはまだしばらく、二人三脚で物語りを紡いでいって頂きたいもの、チアリーダー姿になって応援しますによって、胸には「O」でも「V」でも入れまっせ。

 続く「Bad!Daddy1 五月祭にパパは踊る」(野村美月、ファミ通文庫、640円)は「自由が丘スイーツフォレスト」から現れ出でたんじゃないかと想うくらいに甘いお菓子をニックネームに仰いだ美少女戦隊「スイート・パティシエール」の面々が、学園を襲う秘密結社の流々舞を相手に戦うストーリーの第2弾。若き美貌を誇る父親が実は流々舞の大幹部とゆー立場にほとほと嫌気がさしていたところ、「スイート・パティシエール」に引っ張り込まれて父親と戦う羽目となった美夢だったけどそんなことを知ってか知らずか戦慄のアルマンドこと父親の優介は、美夢が学校の学園祭の女王様候補になったと知っては流々舞のダンサーを使って美夢のポスターをはりまくり、当選したと知っては学園祭に乗り込み応援してくれた生徒に菓子と紅茶を振る舞う親ばかぶりを披露する。

 そんな優介をとりわけ慕う女性2人。ひとりは戦慄のアルマンドの親衛隊長としてコスチュームに身を包み鞭をふるう冷徹ぶりを仕事では見せながら、自宅に帰るとファンシーグッズに囲まれにやけつつアルマンドの人形を手で縫う乙女なところを見せるミュゼットさん(良いキャラです)で、もーひとりは美夢の通う学校の女教師、雛乃先生。美夢の家へと上がり込んでは家庭訪問をネタに優介と話しに花を咲かせる雛乃先生を邪魔しよーとミュゼットさんが、厚塗りメイクで乗り込み火花を散らした時から勃発した戦争が、やがてとんでもない事態へと発展しては学園をピンチに陥れる。恥ずかしくも面白い口上をひっさげ登場しては活躍する「スイート・パティシエール」はそれとして、優介が若くして大幹部へと上り詰めるきっかけとなった大技も炸裂するクライマックスが圧巻。新たな敵も現れてこれからますます面白くなって行きそう、だけど「スイート・パティシエール」の影もどんどん薄くなっていくよーな。

 怒濤の如く夏見正隆さんの「たたかう! ニュースキャスター2 B型暗殺教団事件」(朝日ソノラマ、1000円)。ニュースキャスターに抜擢されながらも一方で宇宙人から正義の味方になるべく力を授けられ、事件が起こって報道のためにかけつけなくてはいけない場面で正義の味方として活躍しなくてはいけない羽目となってそれが、仕事をおろそかにしていると会社に非難され哀れ、局アナの立場を棒に振って泣きじゃくりながらもそれでも頑張ってお天気キャスターになった桜庭よしみ。けれどもよーやく掴んで半年間を無難に乗り切っていた彼女の短い晴れ舞台の直前に、東京湾横断道路の中継地にあるパーキングにタンカーが突っ込んで炎上する大事故が発生したかたまらない。心から発せられる使命への気持ちに抗えず、表紙に描かれているよーなお尻ぷりぷりのコスチュームに身を包んだスーパーガールとなってかけつけ、大活躍をし迫るタンカーを退け1人の死者も出さずに事態を解決してしまったものの、自身は仕事をおろそかにしていると非難されてお天気キャスターすら下ろされてしまう。

 もはや「たたかう! お天気キャスター」ですらない無休の下働きになってしまったよしみだったけど、それでも買ってくれてるディレクターの指示で、霞ヶ関にある国土交通省へと突撃取材に行ったところ現れたのが先だって、事故の現場にひとりいて死にたい死なせろと騒いでいた女性。聞けば女性キャリアで実は、上司の命令を受けて事故の裏でうごいていた人らしく、そこから事態は官僚たちが企む陰謀へと発展してよしみを巻き込み進んでいく。国益よりも省益よりも局益なところがある、権威万歳権限大事なキャリア官僚のステレオタイプに戯画化されたワルっぷりは小説とは言え凄まじいところがあるけれどど、昨今の道路公団をめぐる紆余曲折右顧左眄な様を見ると大なり小なりそんなところがあるよーに伺えるんで仕方ないって所か。

 国を憂う気持ちから官僚を責め立てる一方で、公衆道徳が廃れている現状にも深い憂いを抱いているのか夏見さん、タイトルにもなっている「B型暗殺教団」なるものを立ち上げ物語の中で次なる主張をしていてこれがなかなかに辛辣で楽しい。「B型暗殺教団」ってのは電車で大声で携帯電話をかけ長い椅子を占領する傍若無人な証券マンや雑踏を手にたばこを持って歩くサラリーマンとかを見つけては、討ち果たしていく謎の集団。そんな彼らが送りつけてきた主張によれば「自分勝手で、みんなで決めたルールも約束も守らず、時間にルーズで無神経で谷の迷惑もかえりみず、自分さえよければいいと思っている。自分の失敗は棚に上げるくせに他人の失敗は厳しく責め立て、いつも自分がやっていることでも他人がやると平気で激しく非難する。自分が世界で一番正しくて偉いと勘違いしている」人こそ血液型B型の人間で、世界が清く正しく平等になることを阻害しているんだとか。納得、して良いのかどーなのか、周囲にB型っていたっけか、該当する人こそがB型なのか、だったらいるよーな。確かめてそーだったらやっぱり撃つか。


【11月21日】 ナゴむ話。読売新聞によりますと、福岡県にある中学校が体育館の完成記念に講演してもらおーと数学者の秋山仁さんを招いたところ当日になってやって来たのが何と元プロ野球選手の秋山幸二さん。垂れ幕にはしっかり秋山仁さんの名前が入っていて見れば間違われたことモロ分かりなのにも関わらず、慌てながらもとりあえず来て頂いたってことで講演をお願いして来た中学校の申し出を快く受けた秋山幸二さんは、プロへ行くか進学するか悩んだ話やプロでの生活なんかを講演して大喝采を浴びたとか。

 生徒にしてみれば今だとあんまりテレビにも出ていない秋山仁さんよりはちょっと前まで地元の球団で大活躍していたヒーローの登場を喜んだんだろーけど、常識の範疇で考えるなら明らかな間違いでもってお呼びでなかった場所に来させられてしまった秋山幸二さんが怒り、けっ飛ばして帰っても不思議は全然なかっただろー。けれども折角だからと講演して行くあたりに秋山幸二さんの人柄が見えてこの世知辛い世に心ナゴむ話だなーと思ってしまった。町立の中学校だから講演料なんてたかがしれているはず。だけど支えてくれた地元のファンもいるだろー場所を足蹴にするなんて、ファンサービスが何より大事なプロスポーツ選手には出来なかったんだと推測しよー。でも同じ秋山で来たのが秋山幸二さんで良かったよ、これで来たのが秋山庄太郎さんだったら女性とはヌードにされたかもしれないし、秋山豊寛さんだったら農業させられたかも。ジョージ秋山さんだったら? 誰それ、ってなもんか。ムーンムーンムーンムーン。

 呼ばれて水天宮で開催されたトミーと海洋堂の初コラボレーション商品の発表会を見物。実は例の「チョコエッグ・クラッシュ」の際にタカラと同じよーに海洋堂にいっしょに何かやりませんかと働きかけていたらしーけど、折角やるなら他にないものをやりたいって考えながらもそれを何にするかで話がまとまらず、侃々諤々喧々囂々を繰り返した結果あっちが「王立科学博物館」だとか「ワールドタンクミュージアム」で模型なマニアや宇宙なファンを大喜びさせている一方で、水面下にて雌伏1000年の時を過ごしていたらしー、って2年も経っていないけど。

 版権物は制約も多いんでできればあんまりやりたくなかった海洋堂らしーけど、トミーと言ったらやっっぱり来るのが版権でも世界ではディズニーに次ぐか超えるくらいに厳しさを持つ「ポケットモンスター」。それをといかくやろうってことになり、話し合いを始めたところやっぱり原型作りの段階で、「ポケモン」側が譲ってこなかった線を海洋堂のフィギュアにかける熱情が超えてしまっていろいろやりとりすることになったとか。例えばモンスターのフィギュアなら従来はカードのイラストをそのままのポーズで立体化しただけでパースを付けたり色塗りで影を付けるなんてもっての他、ってことになっていたらしー。

 ところが、トミーが来春にも出す海洋堂謹製のフィギュアは「ポケモン」のモンスターが今にも動き出しそーなポーズをしている、その背景の木や森や水や雲までがちゃんと造型されている、ヴィネット仕様になっていて見るほどにアニメとも、ゲームとも違った”実写”っぽさを持ったリアルさでポケモンたちがそこに現れた感じを受ける。そんな迫力満点のフィギュアが台の上に乗った一種の駒みたいな形状で箱に入って売られるとかで、購入者はそのまま飾って楽しむも良し、駒として付属のマップの上を動かし誰かと戦うも良し、ってな作りになっている。子供は遊び大人は集める、って光景が出現しそーな予感。ともあれあの厳しさで鳴るポケモンを攻略した海洋堂が、次に挑むのはやっぱり世界のディズニーになるのかな、興味津々。

 カラッと晴れ渡ったよーな真っ向から竹割りの性格をした第3夫人候補も手に入れて両手どころか胸まで花に埋もれた観のある小野寺剛士総帥だったけど、国に迫るピンチは未だ代わらないどころか日々強さを増しているって実感もあったんだろー、起死回生となる作をひっさげ人間たちが納める国へと新たな戦いを挑むことになり、計画から推進から結果までの一部始終が描かれた豪屋大介さん「A君(17)の戦争6 すべてはふるさとのために」(富士見ファンタジア文庫、660円)を読了、あいかわらずの緻密な作戦ぶりに小野寺剛士への尊敬の念を深めるとともに、聡明にして冷徹なよーでいても根っこには王女様っぽい部分が残っているらしーシレイラ王女との、才能ある2人の邂逅って見所に震えこれがこの後どーゆー意味を持って来るのかに想像をめぐらせる。第4夫人にはなりそーもないけれど。

 裏で暗躍する物語の舞台となってる世界とは次元を異にした勢力が跳梁しては小野寺剛士らにちょっかいを出していて、単純な王国間の戦略シミュレーションでは終わらない、もっと大がかりな仕掛けとそれから結果が想像されて、この先にどんな感じでそれが描かれていくのかに関心が及ぶ。そーならずしぼんでしまう可能性も否定はできないけれど、いよいよ再び大乱戦、って宣言している作者の言葉を信じつつ、かつてないスケールとキャラクターでもって描かれる「A君(17)の戦争」の行く末に、期待を込めつつ思いはせることにしよー。すごごごっと音を立てて寝るシレイラ王女の寝姿を描いた見目麗しいイラストに果てしなく感動&感涙。こんな美少女だどーしてあんなあくどいことを。美少女だからこそあくどいのかな、美人薄情って言うし。


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