縮刷版2000年6月下旬号


【6月30日】 テレビはWOWOWなんて場所でやりやがるもんで見られないけど漫画は買えばオッケーだから嬉しい「Nia_7」(角川書店、600円)を買う、作者は安倍吉俊さんプラスgkってな面々。アニメの雰囲気がどれくらい出ているのかは見たことがないから分からないけど、「ちびちびlain」の4コマで見せてくれたよーなエンピツでデッサンをしたよーなササッとしたの絵に身も蓋もない不条理なんだけどおかしいネームが、長くなった感じの安倍さんらしー物語が展開されていて、モデルがいるらしー小松ちあ紀の広げたラップトップに描かれているグレイの絵とか、宇宙人民服を来て蜜柑の段ボールかかえて悪魔を召喚しているシーンとか、成分無調整で生きたまま腸まで何かが届く成分無調整のガンジスウォーターってな小道具とか、とにかくおかしい設定がてんこ盛りで、「ちびちびlain」のセンスが全然フロックじゃなくってむしろ本領だったんだってことが分かる。ゲーダイの日本画出てるのに超平なんてアカデミってないのはアカデミズムとサブカルの分離が不可能な時代に生まれ育って等位にすべてをこなせる人ならではの感性なのかも、ああこれも一種の超平か。

 ときどきシンミリしてしまうのが苦手で「おたんこナース」は途中から読まなくなったけど、不条理に理不尽な人の出てきては理性の人真面目な人が報われない物語を描かせては天下一品の佐々木倫子さんの本領が出まくっている「Heaven?」(小学館、905円)が出ていたんで買う。謎のオーナー(最近の連載で謎が解けた、んだけど読んだのにすでに覚えていない、嗚呼鳥頭)が墓場の中にある施設に作った本格的なフレンチ・レストランに引き抜かれた、とゆーか流れ着いた若いサービスマンが見たものは、自信のないシェフに店長と名乗る元牛丼屋の店長に、貫禄があるのも当然な、元銀行役員にして趣味のワインが講じてソムリエの仕事を始めた老人といった「シロウト」ばかりのサービススタッフたち。とにかく傍若無人なオーナーの言うなりになって開店を間に合わせチラシを撒いて客を呼び込み次につながるよーなサービスを提供する登場人物たちに、けれども悲壮感がないのは理不尽に立ち向かう達観あるいは無知の知を持っているからなんだろーか。とはいえそれなりに繁盛してしまうのはやっぱり漫画のなせる技、現実にこんなレストランがあったとしてもあんまり生きたくない……ことはないかも。

 「ヤングキングアワーズ」の8月号を読む。成沢のタニマが菊島しゃちょーのフクラミが高見ちゃんのパンツがまやのストッキングが余計だけどスラリとした足が姫萩の下チチが栄ちゃんのバスト&ヒップが最高ですねピンナップ、で右したの憂いある美少女は誰(爆)。1人なーにしょってんだか、梅崎真紀ちゃんは。誰のファンってことを抜きに見ると、しゃちょーのちょっぴりアダルト入った大きな横顔と、汗を流して淫靡に微笑む成沢が2大巨頭かな、本編の方では今回もたっぷりとパンツまる見せてくれれてる(201ページのポーズ最高、高見ちゃんの「あああそんなにもなかよしっ!」ってセリフとともに)柊くんを、今度は是非ともピンでドカンとやっちゃって欲しい気がするなー。ファンは多いはずだぞだって神々しいばかりの「白」だしな、漫画を読んでいる限りだと。

 良く知らない人だけど篠房六郎って人の書いた「男一発六尺魂」がなんかおかしい、ってゆーかどんなシチュエーションであってもラブコメ恋愛シミュレーションにしてしまう日本のクリエーターのチカラワザが、漫画に顕著に現れた例として掲載号はきっと後世まで語り継がれるだろー、後世が1年もたないなんて話は知らないぞー。さても「男一発六尺組」は、任侠の世界に生きる男が自分を狙う組幹部や連合のボスなんかを相手に、自慢の男気と他の何かでもって挑み「好感度」を挙げてハッピーなエンディングを迎えることを待つとかゆー、画期的なのか古いのか分からないゲームのシステムを外側に持っていて、老人やコワモテのおっさん相手に筋を通した途端、紙なんで「ピロリロリン」ってな音は出ないけど、好感度が上がって行く様がアドベンチャーゲームっぽく画面の中にポップアップして出現するのが、分かるんだけど何かおかしい。マジにゲームで見てみたい感じ。まあ多分絶対にならないだろーけどね。


【6月29日】 新聞記者なら1度ややっとくと末代まで語れて優越感に浸れるサミット取材だけど(じーちゃんだいとーりょーを見たんだぜ、とか)、別に世界中から来たメディアに対して取材に役立つテレコとかってな用品を日本のメーカーが配ったりするてな役得があるそーで、前回は下っ端でプレスセンターに立ち入る機会もなく後で聴いて悔しかったんで、次こそはと思っていたら東京から遥か南の沖縄に九州なんて場所が会場に選ばれてしまって、貧乏な会社なんで2人しか、それも沖縄だかにしか出せず外れた当方に恩恵はカケラも降りそーにない。鈍牛は滅しても禍根を残す、うう。

 さらにあろうことか今回のサミットには各国からの代表団に加えてメディアにも、タカラが製作したリカちゃんを土台に琉球の衣装を着せた人形が配られるとか。別に根っからのドール者じゃないけれど、こーゆー限定ものって買いたくなるのが人情って奴で、行った人からパチろーかなんて考えていたら流石はタカラ、商売上手ってゆーか良心なのかオキナワンなリカちゃんを特別バージョンとして別に販売することに。発売日は7月1日で注文はネットからとゆーから当日に気分がまだあったら買おう、とはいえ流石に琉球の衣装を身につけて、おまけに「外務省国際報道室」とかてな現実にはない役職の名刺までも付属しているとかゆー豪華品、値段も確か7000円とかしてたし、残る数日を財布と相談しながら考えよう、そーいえばネットで売り出したバンダイの「ワンダーボーグ」、買うの忘れちゃったよ(買う金もないくせにぃ)。

 「社長とメシを食う作家」(6月27日付)ってゆーと浮かぶのが失楽園なナベジュン級な大御所と料亭で一献、ってイメージだったりするのは文壇への幻想にとらわれているからなのかも。とは言え秋山瑞人さんに古橋秀之さんとは「電撃文庫」を引っ張る数多い作家陣の中でも最近活躍の目立つ2人って点で、なかなかにお目が高いですねえ佐藤社長(「あずまんが大王」の帯に出ているおじさんだ!)と感心しよう。ちょっと前にゲーム業界の団体のパーティーで見かけた時に「電撃の人気作家があちらこちらで書いてますねえ、抜かれてますねえ」と尋ねたけれど、それに反応したドル箱な作家人の抱え込み、なんてことはないですね、だって「電撃文庫」じゃなけりゃー「猫の地球儀」だって「ブラックロッド」だって「タツモリ家」だって「やみなべの陰謀」だってってな、世紀をまたいで残りそうな野心的、冒険的な作品って出せませんもん。

 そうは言っても電撃の看板ってな印象の強くある上遠野浩平さんは講談社から新刊を出したし、やっぱりデビューは電撃な三雲岳人さんも先に徳間書店から「M.G.H」を出して今回、関係のある会社とは言っても別会社の角川書店から新刊「アース・リバース」を出してといった具合に、余所での活躍が目立つ。角川春樹事務所も着々と新進気鋭の作家の原稿を集めてるよーだし、客観的にはたくさんの作家がたくさんの場所から出てきて嬉しいけれど、それで食べてる出版社にとってはやっぱり気になるところだろー。今はなかなか作品が出ないと悩んでいる作家も、第一直観に従ってSFブームが到来すれば、社長と食べる鉄板焼の肉がオージービーフから松阪神戸に化けるなんてこともあるのかな。

 森ぱふぇも吃驚な「山形浩生勝手に広報部」なんてものが出来て「知のカリスマ」としての階梯をそのエンジニアリングブーツで固めた長い足でノシノシと上り始めている山形浩生さんが何とNHKの教育テレビに出演、さすがに背広くらいは着てくるだろーかと思ったら、前に見たのと同じ黒いジャケットに多分細身のパンツでもって黒いTシャツとゆー格好、靴は見えなかったけどやっぱりエンジニアリングブーツだったのかな、もちろんピアスつけてます。能吏っぽい雰囲気のトークもうまい1人と自信家おやじの1人とゆー、アカデミズムにコンサルティングな業界にありそーな2人と並ぶと、「シンクタンク勤務」も外れてオープンソースの活動についての言及も一切ない、単なる「評論家」の肩書きでかつあの格好では、さてはでどこの誰だろーってな印象を視聴者は受けたんじゃなかろーか。それがNHKの作戦だったか、本人の自覚しての行動だったかは知らないけれど。

 もっともせっかくのブームに冷や水を指すよーな不埒者を、格好の異端ぶりをクローズアップし真っ当な発言を司会の権限で封じ込めることによって叩き、相対的にIT礼賛な人たちを持ち上げ流れをそっちへと傾けようとする戦術を取るまでもなく、3人の発言が役割を降られたかのよーに問題点を指摘し讃えつつ反論も加えて次への議論へとつなげよーとする、良く言えば建設的だけど期待していたよーには紛糾せず、ちょっと物足りなさを覚える。

 番組での議論を、解釈するとITってツールを導入することじゃなくってそれを使って何が実現するかってことの方が重要ってこと、ITで素晴らしいことが実現されるよーな制度面なり環境面の整備を国はちゃんとやろうってこと、だったのかな、当たり前だけど案外と分かっていない経営者も多いんで(IT面を作ることが改革だと思って、その実編集幹部がITって何かを理解しておらず、社員がインターネットを自由に使える環境がない新聞社編集部とかもあるよー)、指摘によって改善されればそれはそれで有り難い。山形さんはあと、ソフトの特許が持つヤバさについてチラリ触れてたけれど、司会が議論を曲げてそのヤバさが例えば特許によって小さな企業が大きくなっていくメリットに比べても大きいものなのか、といったことが分からなかったんで、いつかどこかで喋ってください、もうどっかに書いているのかな、だったら探してみます。


【6月28日】 7つあるタイトルの中でも、伝統と格式で賞金が同じの読売新聞が主催する竜王よりも事実上は格上だと見なされていて、その獲得の難しさから「選ばれた者だけがなれる」とまで言われている将棋の「名人」に丸山忠久八段が就くことになったとかで、今朝の朝刊各紙がその栄誉を讃えている。破った相手は1億手読むとかとんでもないことを言われているくらい強い佐藤康光名人。もちろん丸山の方も郷田藤井あたりと並んで、佐藤羽生らを指して言われた「チャイルドブランド」の次の世代を担う有望株と言われ続けていた訳だから、いずれ何らかのタイトルは取るだろーとは思っていたけれど、戦後の歴史を見れば塚田に大山に枡田に中原に加藤(一二三)に谷川米長羽生佐藤と、居並ぶ名前の豪華さがそのまま強さを現す「名人」の位を初挑戦で獲得してしまうとは、やはり実力とともに強運(偶然というニュアンスではなく運命といった意味が近いかな)の持ち主だっってことになるんだろー。

 羽生を破って永世名人の資格を獲得した谷川から佐藤へと移ってさほどの間もないのに丸山へと変わてしまうことを、あるいは落ちつきが成さ過ぎるとか名人の位も軽くなったもんだと見る根っからの将棋ファンも結構いそうだけど、長期政権を維持したのは大山に中原くらいで最年少名人と唄われた谷川だってやっとこさ5期をこなしたくらいだし、羽生も加藤も米長もそれより短い訳だから1期だからといって嘆く必要はないのかも。むしろ研究が進んで全体に底が上がっている状況の中で、一騎当千が集うA級の順位戦を勝ち上がった果てにプレッシャーのかかる初でかつ最重要のタイトル戦で挑戦者として勝つ、それも3勝3敗のタイから勝ってタイトルを獲得することの大変さを、素直に讃えるべきなんだろー。

 とはいえ目下4冠の羽生は5冠目を狙って棋聖戦を戦っている最中で、竜王戦の予選はどーなっているか知らないけれど勢いはありそーなんで来年は挑戦者として4期目、5期目を狙うのかも。今日の朝日だかの夕刊に乗った先崎学八段もA級にいる訳だし熾烈を極める挑戦者争いの中を勝ち上がった勢いで、名人戦も勝ち進んでしまう可能性は大。河口俊彦六段がその顔つきを見て大山康晴の再来だと言った(もちろん強さも含めて)渡邊明四段もプロになってC2級からスタートして、五年後には挑戦者になっている、かもしれないけれど鬼の住処なんでC2での揉まれ具合を見てからそっちは判断。森下森内といった面々に達人世代で唯一のA級棋士加藤の存在も怖いっちゃー怖いし、三浦や屋敷といったタイトル経験者だってまだまだなはず。村山の名前がないのだけが返す返すも残念だけど、ともあれ羽生7冠の結婚後の足踏みでちょっぴり気分が萎えていた将棋業界ウオッチ気分に、久々に火が着いてきた。久々に買ってみよっか「週刊将棋」。

 「やっぱり猫が好き」のテーマソングに使われていた「David」の戦慄に浮かされるように当時出ていた2つのボックスを買ってから何年経つのやら。その「David」も含むライブの音源を集めた矢野顕子さんのニューアルバム「TWILIGHT」が出ていたんで買って聞く、うーん良いなあ、「スーパーフォークソング」当たりからだったっけ、弾き語り系だったりドラムとベースを揃えただけのシンプルな構成だったりする中で唄を聞かせる作品が増えていた矢野さんの、集大成とも真骨頂とも言えるアルバムに仕上がっていて、かけると広がる幽玄の空間に響きわたる澄んで高い矢野さんの声の、全然力んでないのに溢れるパワーにただただ圧倒される。コンサート行きたくなったなあ。

 地声は「David」を唄い始める直前に入っている簡単なMCのようなアルトってんでしょうか、落ちついた声なのに唄い始めるとあの独特の、聴きようによっては甲高い奇妙な歌唱法ととらっる可能性もあるけれど、聴き続けている人にとっては普通であってかつ、ライブならではのアドリブ変奏アレンジおかずがあって、けれども小揺るぎもしない安定感を感じさせてくれる声になるのがやっぱり凄い。DVDも同時に出ていたよーだけど、チラッと見たら矢野さんの中でも好きな「電話線」が入ってなかったよーに見えたんでCD版だけをとりあえず購入、でもバックのミュージシャンの演奏も見てみたい気がするんでDVDも買っちゃうかも。ほとんど同時にター坊こと大貫妙子さんのアルバムも出ていて未聴だけど食指が伸びる。やっぱり僕は音楽に関してはYMO達郎はっぴいえんどの子、なんだなあ。

 ついでなんで8日の「プレイステーション・アウォード」に登場して圧倒的なボーカルを聴かせてくれた、のは多分この人だったんじゃにかと思うアメール・ラリューのCD「インフィニット・ポシビリティーズ」も聴く。黒人っぽいのに髪型とかアクセサリーがネイティブ・アメリカンぽくってビジュアル的にも不思議な印象を受けた女性ボーカリストだったけど、歌声がまた不思議でいわゆるディーバ系とは違って澄んだ歌声なのにグルーブ感があって乗れるし、絞り出したしたり叫んだりするよーな歌唱法じゃないのに日本人のディーバ系な女性ボーカリストよりもはるかに前へと声が出ていてかつ安定感もある、やっぱり年季の差なのかなー。タイプは全然違うけど、ギョッとさせてくれた女性ボーカリストって意味では今どーしてるんだとーと考えてしまう「シャーディ」と共通する部分を感じる。

 ちなみにアメール・ラリュー以前は「グルーヴ・セオリー」ってグループでボーカルとソングライターをやってた人。2月に出たこのアルバムでは作曲とプロデュースまで手がけてソロデビューを果たしたってゆーから、音楽的な才能もきっと並々ならぬものがあるんだろー。「プレイステーション・アウォード」への出席も含めたイベントのために来日したのに合わせて、読売新聞とか朝日新聞とかってなあちらこちらの新聞にインタビューとかライブのレビューが掲載されていたよーで、ちょっとしたブーム化の兆しがあるのかも。まあアルバムを発売しているエピック・ソニーの仕掛けってのもあるんだろーけれど、乗って聴いて損なしの人。せっかくの生をもっとじっくり見ておけば良かったなーと今になって悔やむこと仕切り、次はいつ来日するんだろ。


【6月27日】 モノレールに乗って東京流通センターへ行ってアトラスの新作展示会をのぞく。何か地味、ちょい前のセガ・エンタープライゼスの時も地味だったけどそれでもまだ「東京バス案内」みたいな見た目の派手なマシンがあったのに、プリクラな会社だけあって並んでいたのは全身プリクラに変形のトレカマシン音楽CD作成ボックスにネイルケアを自動で行う「ネイルモア」といた「実用系」のマシンばかり。唯一あったビデオゲームは前にシグマの池袋にある店で「鉄拳」を搭載して動かしていた、手足の動きをセンサーで読みとりコントローラーを操作する代わりにする「ダイナミカ」に、多分コナミのバスケットボール・ゲームを搭載したバージョンだけ。まあ、もとよりビデオゲームの会社ってイメージはないけれど、それ以前に「ゲーム」っぽさを漂わせる機械がなくって、どちらかと言えばちょっと派手な自動販売機屋さんの展示会にも見えないこともない。

 とは言えひとたび店頭に置かれれば、プリクラ系は繁華街の華やかな場所で女の子がモノによっては未だに列を作っているし、近く登場のCD作成マシーンだってきっと賑わうことだろー。ビデオゲームが家庭用に食われる状況を横目に、得点という目標を競ってその場での勝負にすべてをかけるってなビデオゲームの刹那的な楽しさじゃなく、シールでもカードでもCDでも成果物を実際に手に取って後々しばらく持ち歩けるという、自販機系アミューズメントマシンの具体的な楽しさを供給していくスタンスで、したたかに生き残ってるといったところか。ビデオゲームの分野が「職ゲー」「音ゲー」みたいな一種のシミュレーターっぽさを打ち出し「○○になりたい」願望を満たしてあげる、具体的な欲望の受け皿になろうとしているのとも、感じ似ているけれどどーなんだろー。「ゲーセン」の将来って明るいの? それとも暗い?

 あるいはキャラクターという要素を前面に打ち出すってのも、ひとつの方向性なのかも。タイトーがユニバーサル・スタジオと組んで「ウッディ・ウッドペッカー」やら「ひとまねこざる」こと「キュリアス・ジョージ」ってなキャラクターを取り入れた内装を施し、キャラクターを全面的にフィーチャーしたゲーム機まで作ってショッピングセンターとかにコーナー展開していこうってな計画を発表。キャラクターそのものの魅力ってよりは、1つの日常とは異なる空間をそこに作って引き込もうってな発想は、「ゲーセン」よりは「テーマパーク」のニュアンスにあるいは近いのかも。横浜じゃモータウン・レコードと組んだ「モータウン・カフェ」とか作ったりして、テーマを持ったアミュージメント施設に力を入れ始めている感じがあって、タイトー目立たないけどあれやこれやと模索中。とはいえ「インベーダー」でもってビデオゲームの時代を先がけた会社ってことで、そっちも頑張ってもらいたいんだけど、やっぱ時代、なのかなあ。

 転戦して世田谷にあるエンターブレイン。世田谷線には乗らずいつも三軒茶屋から歩くことにしているけれど、やっぱり遠いよなあ、来年度にも株式公開しそーなんだから、もうちょい駅のそばとかに引っ越してもらいたいところ、まあ取材でもなければ用事は全然ないんだけど、仕事もらってる訳でもないし。発表は既報のとおりに「週刊TVゲーマーズ」、じゃなかった「月刊TVチョップ!」てゆー今さらどーしてテレビ情報誌? ってな疑問も浮かんだ新雑誌創刊の会見だったけど、新しく編集長に就任する雨宮さんって人の話を聞いて、単純に番組紹介を網羅するってんじゃなく、「テレビ番組」ってゆー「コンテンツ」を対象に、あれやこれやと掘り下げていこうってな内容を目指しているってことを確認。サッカーで「EURO2000」が話題になってるんなら、「テレビで賑わっているサッカー」って素材を切り口にして特集を組んで、極端に言えば記事を読んだだけでも楽しめるような内容になるってことなのかな、もちろんそこからテレビ番組を見る人が増えれば万々歳ってことなんだろーけれど。

 地上波BSCSと範囲が広がっていくテレビ番組の内容を単純に紹介するだけじゃ、見られない人には全然つまらないのは当然だけど、見られなくっても格闘技とか映画とかスポーツがドキュメンタリーとかが話題になってたら知りたくなるのが人情って奴で、そーゆー情報ニーズをうまくすくい上げれば、それなりに面白い雑誌になるのかも、ただしもらえる素材だけで作れちゃう番組情報誌よりはるかに手間暇記者のスキルが必要になるのは間違いなさそー、さてはて大丈夫か。キーマンの雨宮編集長は、横に座って背広に身を包んだ浜村弘一社長(しゃちょう!)が紹介するには、例のアクセラ独立の騒動で競馬誌の「サラブレ」がガタガタになりかけた時に入って立て直して今もちゃんと続けていられるだけの雑誌にした力のある人らしーから、きっと何とかするんだろー。しかしなあ、見本誌は題字があんまり目立ってない気が。両表紙にして片方をローマ字もう片方をカタカナにするくらいの英断を……するのはちょっとマズいけど、せめてロゴがブランドになるくらいの派手は欲しいです。

 覆面作家らしー大信田麗さんって人の「フェイク!」(幻冬舎、1600円)を買って話題らしー書評家大罵倒関連の記述をチラチラ。本来だったら作家が失踪して原稿が残って大信田麗って名前の人も出てきて最期は表紙にあるような入れ子構造になった全体を提示して、読む人に混乱を催させるとゆー、小説としての目的がちゃんと成功しているのかどーかってな点を、ストーリーの面白さも含めて気にしなきゃいけないんだけど、根が下司で「噂の全貌」、じゃなかった「噂の眞相」的マスコミ関連業界ゴシップ大好き人間だったりするんで、どーしても著名なミステリーの書評の人たちがケチョンケチョンにボコられている様を読むのが先になってしまい、そうは言っても末席のさらに隅っこで書評の仕事なんかをしてる身として、どうしたものかとあれこれ考えつつ、ここで何だと憤るより先にフィクションとしてどうなのかってな当たりを考えるのが先だろうと言われているような気もして、フクザツな気分に陥る。語れば語るほどドツボにはまりそうな感じ、さても皆さんどう語るか。登場する「ヨマツン本」にならって一言で断じるか、「逝ってよし」とか。


【6月26日】 祝山形浩生さんNHK狂育、じゃなかったNHK教育テレビ出演。「IT」ってテーマだから「緊急討論 どうする日本の景気」ってテーマであってもクルーグマンの訳者って訳でも「新教養主義宣言」の著者って訳でも当然ながらバロウズの翻訳者って訳でもなくって、「Linux」の伝道あるいはオープンソースの提唱ってあたりの立場で呼ばれたことになるのかな、当日のスタイル(2メートルの長身を包む黒尽くめのスーツに顔は眉と耳にピアスをガチャガチャ、と思っている人の実は多いような)も含めてちょっと注目。リチャードも植草も超えて突き進むかテレビ常連への道!?

 「日本SF大会」のプログレスレポートほか一式が届く、申し込み番号は1330番だからそれくらいからそれ以上に人間が参加するってことになるのかな、名古屋で開かれた一昨年の「カプリコン」よりは多そうだけど、あの無駄に広くって、置いてあった彫刻の馬も黒龍号の3倍はあろーかとゆー大きさだった名古屋の白鳥のホールに比べると、若干の手狭さすら感じるパシフィコ横浜に入りきるんだろーかとゆー疑問もふと浮かぶけど、それぞれの部屋は結構大きいみたいだし、何しろ「タイムマシン」がオークションに出る時代、どこでもドアもスモールライトもちゃんと用意されていて、空間を広げるなり人間を小さくするなりして、余裕に詰め込むだけの算段はきっととられているんだろー。SF万歳。

 申し込むのが遅かったんでとっくに終わっていた「星雲賞」の投票。仕方がないんでノミネート作品から勝手に選んでみるとして、日本長編部門はうーんやっぱ「やみなべの陰謀」(田中哲弥、メディアワークス、510円)か。「グッドラック 戦闘妖精・雪風」(神林長平、早川書房、1800円)も捨てがたいんだけど衝撃度合では前作に軍配を上げたいし、続編であっても面白さでは最高だった「私と月につきあって」(富士見書房、580円)の野尻抱介さんは短編部門の「太陽の簒奪者」での獲得が内的に確実(実際は知らない)んで申し訳ないけれどご遠慮願う。すでに幻となった久美沙織さんの「ドラゴンファーム3部作」に受賞してもらって再刊を目指すってのも運動としてはありだけど、世の中そんなに出版に甘くはなさそうだし、やっぱりここは田中さんに受賞して頂いて、電撃的に大フィーチャーして「猿はあけぼの」の刊行へと持って行きたいものです。問題は原稿が出来ているかどうかだけど。

 日本の短編に「異形コレクション」も「SFバカ本」も入ってないのは何だろう、まだ出てなかったっけ、うーむ。海外長編は「キリンヤガ」(マイク・レズニック、内田昌之訳、早川書房、820円)。海外短編はほとんど読んでないからパスしたいところだけど、しかし「SFマガジン」に掲載された短編からしかノミネートされないって状況は、何とかなって欲しいものです、それしか短編が掲載される場がないって事情もあるし、ノミネート作品で過不足は別にないけれど、1つの雑誌のしかるべき編集方針なりによってセレクトされた短編群にはやっぱり何らかの傾向がある訳で、異端でも異分子でもかまわないから、別の違った角度からセレクトされた作品があった方が楽しめそうな気がする、刺激になるって意味で。アンソロジーとか短編集とか、なかったっけ。

 とは言えSFへの理解力、SFファンのツボ抑えぶりは流石に歴史と伝統の「SFマガジン」で、新刊の8月号では先に死去したA・E・ヴァン・ヴォクトとジョン・スラディックを大フィーチャーして短編をたくさんと解題、年表といった資料をたっぷり掲載、目配りの良さを感じさせる編集になっている。当方ヴォクトもスラディックも決して良い読者じゃないけれど、こうして読むととりわけスラディックのブッ飛び具合が伝わって来て、死去して一気にメジャーへと躍りでたP・K・ディックのブーム再来なんかも期待したくなってくる。柳下毅一郎さん大活躍の新訳短編も含めた短編集なんかをちょっと期待、でもそーゆー時にかつてのサンリオみたいな無茶苦茶な出版をやってくれる会社がないのがちと痛い。いつかのジャストシステムみたく、バブルなIT会社が出版部門とか作って無茶やらないかなあ。

 メディア部門は「ビバップ」「エピソード1」「ガメラ3」「マトリックス」あたりがつばぜり合いを演じそう、でも個人的には「ビバップ」か。モップが似合うお手伝いロボットが出てくるアニメが入ってないのは釈然としないが、あれをSFと思っている人は少ないだろーから敢えては推しません。コミック部門は「樹魔・伝説」(集英社、1000円)以来に確かなるんだったけな水樹和佳さんが、「SFマガジン」読者の後押しもあって行きそーな感じだけどさてはて。あさりよしとおさん、富沢ひとしさんも頑張りそう、馬頭ちーめいて知らないなあ、差がしてみよう。アート部門は誰でもいーや、意外性あんまりないし、ノンフィクション部門は「AIBOでしょう。さてどれだけ当たっているか、1票の「重さ」が出るらしーんで意外な作品の登場もあるかも。

 ついでに届いていた鳥肌実さんが7月21日に日比谷音楽堂で開く予定の演説会「人間爆弾 鳥肌実」のチケットを確認、添えられた短冊にある「ついに最終兵器となった鳥肌実は、この日比谷野音で華々しく散ることができるのでしょうか?(でもまだ引退はしません)」とゆー言葉に、コワモテで案外とお茶目、かもしれない鳥肌さんっぽさを感じる。常にどこにだって1人で行く寂しい中年でありながら、見栄を張って2枚を購入したけど、今日発売の「Title」にも再びの登場で、ますます人気絶頂な鳥肌さんだけあって、残る1カ月の間にさらに注目が集まって、当日はダフ屋が宇多田ヒカルをも上回る値段でチケットを取引するくらいの、プラチナペーパーになる可能性も決してないとは言えないかもしれなかったりするから、売れば億万長者になれるかな。でも元が2000円なんでたいしたことにはならないだろー。チケットショップを観察だ。


【6月25日】 森博嗣さんの新刊「女王の百年密室」(幻冬舎、1900円)を読む、ををSFだあ。時代は未来でロボットが出て来ているから、とゆーのもあるけれどそれだけじゃなくって、舞台はちょっと未来、アジアのどこかの地域に迷い込んだ若者がたどり着いたのは、女王によって統治され食べ物には不自由せず「死」すらも畏れずにすむ、まさに「楽園」とも言うべき世界だった、というあらすじの中で展開される、「死」というものへの意識が異なった状況を作り出し、そこで暮らす人たちの思考をシミュレートして見る実験は立派にSFだと思う。一方で認識の差異をトリックに使うために、時代を未来に設定して舞台装置を作りウォーカロンやらゴーグルといったガジェットを持ち出すアプローチはSF的設定のミステリィとも言えそーで、評論の人たちがどっちに重きを置くのかにちょっと興味が及ぶ。SFの棚で扱って欲しいなあ、でも一般にミステリィ作家と思われてる森さんだからミステリイの棚行きかなあ。

 「レッツゴーヤング」、じゃなかった「ポップジャム」に出演して唄った郷ひろみさんの新曲のノリノリ(おっさん的表現)なメロディラインが頭について離れなず、CD買って練習しようかとふと思うんでバックダンサー募集したいです歳は8歳から12歳の美人が良いです下は6歳くらいまでなら糊代つけます上は案外38でも良いのかも、要は見かけですから、後は披露する機会だな、渋谷のスクランブル交差点中とか。そういえば質問コーナーで忘れたいこととして上がったパネルが「トラックの荷台で唄った」ってあって、刑事事件にもなってしまった例の渋谷ジャックを笑いに紛らせてしまってNHKなかなかお茶目と関心する、単に何をどこまでやって良いのかに、頭が回ってないだけかもしれないけれど、何でもありなバラエティに気分が慣れてしまってて。

 慣れてしまったと言えば選挙の開票速報に関連する番組で、コナミと組んで派手なCGを使ってみたり、政治に関連して思いきりの良いことを言うとゆー点だけでテリー伊藤さんにデーブ・スペクターさんをコメンテーターとして出演させてみたりしても全然不思議とも奇妙とも思えてこない気分を、ふと我に返るとやっぱり奇妙だなあと思う。昔はNHKくらいしか頑張ってなかった選挙報道に各社が乗りだし大々的な番組に仕立て上げ、それを沢山の人が見ている状況は、選挙に対する関心がそれだけ高まっていることの現れだと見て見られないこともないけれど、逆に真剣であるべき選挙を「気分」が左右する土壌を作ってしまった責任者であるかもしれないんで判断は難しい。

 大勢が判明して自民党はちょっとだけ議席数を落とした一方で公明党が惨敗って状況を見ると、政権維持を目指して過去の批判を覆い隠してまで公明党と手を結んだふりをして自民党、その過程で反対勢力からの公明党に対する批判を顕在化させて潰してしまう、超絶高度な政治的な戦略だったのかもとも思えて来る。自民党も都心部では結構民主党に評を持ってはいかれているけど、地方では圧倒的な強みを発揮してしっかり地盤を守って居るわけで、骨を切らせて肉を断ち切り次回は強力を止めて単独過半数を取りにいく、あるいは大躍進した民主党の中から自民党寄りな人材を引っ張って連立を組むってな方向で、ふたたびの保守合同50年体制ならぬ磐石の00年体制を作り上げるってな筋書きを、勝手に見ているけれどさてはでどうなることやら。政治って怖いなあ。

 もちろん民主党が自民党と簡単に組むことになるとは思ってないけれど、自民よりは左に寄っているように見えても民主党、所詮は右側のなかの左寄りでしかない、新聞で言えば全部が右に入っている中でやや左寄りに守備をしている朝日新聞のような存在で、大きな変化は求めていないけれど、それを支持することが何だか世の中に異論を唱えている気持ちになるとゆー、人間の奇妙なエリート意識をくすぐっての躍進に過ぎず、だからこそ明らかに左寄りに見える共産党でも社民党でもなく、特定個人を崇拝している訳でもない民主党に票が集まったんだと思っている。かつて国会を群衆が取り囲んだ時に、あの朝日ですら群衆ではなく政治の側を支持して群衆に解散を呼びかけたほど。ましてや権力と地位と名誉をぶら下げることが出来る政治の現場で転向があったって不思議じゃない。堕落と腐敗の歴史に終止符が打たれるのか否か、当選した民主党の人たちの心と態度にすべてがかかる。

 歴史は繰り返す、のか。アスキーから別れて出来た会社がテレビ番組表の入った雑誌を作って競馬雑誌やってた人が編集長に就任するってな話があって25日付の朝日新聞に求人広告が掲載されてて今週には記者発表もあるから行ってみるけど、記事書くときに間違えて会社名を「アクセラ」で雑誌名を「TVゲーマーズ」で編集長が前に居た競馬雑誌名を「クリゲ」とかって書かないかちょっと心配、正解は「エンターブレイン」が出す「TVチョップ」(げらげら)で前居た雑誌は「サラブレ」ですね。たまに買うTV情報誌がジャンル内では異端っぽい雰囲気のある「TVブロス」な人間には、アイドルが檸檬持って立ってたりする普通のTV情報誌がいったいどんな内容で、そこにどんなニーズがあるのか分からないけど、インターネットで番組表が流れてテレビの録画予約と連動しちゃうよーな時代に創刊される紙の雑誌である以上はネットとも、またアイドルやらのグラビアに頼った旧来のテレビ情報誌とも違った切り口がきっとあるんだろー、でないと成功しそーもないから。いったいどんな中身になるのか会見に興味津々、続報を待て。


【6月24日】 をー「レベッカ」だ、最近ボソボソ唄いばっかりだったNOKKOが声張り上げて「フレンズ」を唄ってる姿を久々に見て、やっぱり「レベッカ」はこーじゃなくっちゃと再結成への期待が高まる。思えばあれは何年前だ? 高校2年生くらいだった冬に名古屋にある東名商事って会社がスポンサーになって東海テレビだかで放映してた番組に出演して「ウェラム・ボート・クラブ」を唄っているのを見て以来のファンなんで、今の現役で活動している姿を見て、それも老体に鞭打っての出稼ぎ日本公演みたいな悲壮感が全然ないばかりか、昔より余裕で腹の底から声が出ているっぽい熟練の技の冴えを見せてくれて、あー自分も頑張らなくっちゃと元気が出る、けどNOKKO太ったなぁ、他人の事言えない? まあそりゃ当然、中年だし。

 昔聞いてたバンドで復活してもらいってならあれかあ「バービーボーイズ」。杏子とKONTAは現役シンガーだったり俳優だったりで見るけれど、ギターのイマミチトモタカはいったい何をしてるのやら、エンリケは前に取材でソニー・ミュージックエンタテインメントに行った時に新人発掘の部署で社員やってるって話を聞いたけど、それも4年くらい前の話だしなあ、あの人は今。同時期にやってたグループってことで名前の上がった「TMネットワーク」はときどき結成してるから半分現役だからいつだって見られそーだし小室サウンドは食傷気味なんで10年経ったらまたおいで、サンプラザ中野もデーモン小暮もやっぱり現役でやってるから再結成でも有難みがない。商売的に見ても「レベッカ」は玉として結構大きいなあ、越えられるって言うなら「オフコース」かぁ、でもこれは無理かあ、「はっぴいえんど」? それより大滝さんアルバム出すのが先でしょう。

 昔聞いた歌を聞くとついつい懐かしモードに入ってしまうのも歳とった証拠、でも「誰それと過ごした思い出」がちっとも浮かばないのは甲斐性の無さってよりは当時からの人付き合いの悪さ故、アニソン聞くと画面が浮かび名セリフが浮かぶってのは……ちょっと違うか(全然違う)。同じよーな同時代の思い出は「本」とかにも抱くものだけど、割と活発だった活動の最期のあたりに重なっていても(「仮面物語」を新刊案内で見てたからなあ)、ガキだったんでちょっと難しい印象があって読まずに置いたらいつの間にやら伝説の人になってしまった山尾悠子さんについては、残念なことに名前から同時代の感覚を思い出すことがない、むしろ数年遅れて活動を開始した神林長平さん大原まり子さん火浦功さん草上仁さんあたりの名前の方に当時の自分の回りに漂っていた空気を思い出す、暗かったけど、まだ未来に希望を持っていたあの頃の気分と一緒に。

 その分、今回の「山尾悠子作品集成」(国書刊行会、8800円)は虚心坦懐にサラの状態で読めるんで、懐かしさにむせび当時を確認していく感覚は味わえない変わりに、新しく素晴らしい作家を「発見」する喜びがある、どーだ羨ましいだろう山尾ファンな方々、遅れた分に利子つけて楽しませて頂きますぜ。巻末の解題によると、今回の集成刊行に関連して「インターネットのある掲示板に『幻想文学』で山尾悠子の特集をしていて嬉しいと書かれてあったのを見たときに、ある感慨がありましたね。(中略)初めて石が誰かに届いていたんだということが実感としてわかって、とにかく嬉しかったですね」と山尾さんが言っていたそーで、あれだけの熱烈なファンを持つ山尾さんなんだから、物質的な世界でだってファンレターだって評判だって届きそーなものなのに、それも届かないくらいの情報面での格差が都会と地方にはあるのかもしれないという現実を知り、インターネットが持つ情報伝達手段としての素晴らしい一面を見る。まあ悪口だって伝わり易いんで一長一短があるけれど、こーゆー効果があるならどんどんと復活復帰復古をどこかで聞いているかもしれない誰かに向かってネットで訴えかけていこう、火浦功よ復活せよ(してるってば、書かないだけなんだってば)。

 ちなみに「山尾悠子作品集成」を買ったのは船橋東武の旭屋書店です、残りはもう売れた? 読むのはもうちょっと後にしてとりあえず早起きして幕張メッセで始まった「次世代ワールドホビーフェア」へ。着くと限定のポケモン関連グッズとか不思議と人気らしー「ベイブレード」の新製品とかを買いに来ている子供とその親で天候の悪い中を長蛇の列が出来ていて、そろそろ4年は見ているけれど変わらないどころかむしろ下へ上へと世代的に拡大している人気ぶりに、小学館の種蒔きのうまさ育成のたくみさを見る、逃がさないんだからなあ、玩具にゲームにスポーツを揃えて子供の「遊び」をガッチリと押さえてる。「ポケモンカード」も相変わらずの人気だけど、今回は出展物に「マジック・ザ・ギャザリング」もあって子供がガンガンとデュエルしてる。彼ら彼女たちが大人になった時にはきっと日本の「MTG」ランキング、相当に上がってることだろーね。

 14歳とか17歳が何かやったからって「ひきこもりがちなゲーム世代」なんて大人が記事に書くけれど、現場を見ているといるのは紛うことなき「ゲーム世代」の中心選手&有力予備群なのに、どこにも「ひきこもり」な傾向は見えていない、だってトレーディングカードゲームだってベイブレードだってジャンプロープだって一緒にプレイしてくれる人、自分のプレイを見てくれる人がいないと全然楽しくないからね、TVゲームだって「ポケモン」にしろ「デジモン」にしろ、誰かと交換しなきゃやってられない。昔も今も「遊び」によってつながっていた子供たちの、その「遊び」のアイティムが変わって来ているからと言って、誰も彼もが「ひきこも」って「おたく」になるなんてことは、少なくとも会場で誰彼となく相手を見つけて対戦している姿を見ると、ちょっと想像がつかない。

 徹底的な「おたく」は昔も、たぶん今も1部の人で裾野はちょっぴり広がっているけどマスには多分なり得ない。ちょっとばかり金遣いが荒いからってそんな層にばかり働きかけていたら、いずれは飽和状態になるのは自明の理。とは言え自分がまっただ中にいるとなかなか見えないこともあるもので、「次世代ワールドホビーフェア」なんかに行って純粋に「遊び」を楽しんでいる姿を見ると、先鋭化するなりタコ壺化している自分の感覚がちょっとだけ押し広げられる気がしてくる、とは行っても擦り込まれた性根はそうそう変わるもんじゃなく、7月末の「東京キャラクターショー」に8月の「SF大会」「ワンダーフェスティバル」「コミックマーケット」に「AMショー」「東京ゲームショウ」と続く「おたくシーズン」に揉まれて再び目は曇り頭ばかりがでっかくなってしまうんだ、まあしょうがない、これが自分の人生だから。

 せっかくだったんで長蛇の列には並ばなくても買える先行販売の品々から、今回イチオシの商品だと確信した「エアガン」を購入する。むしろ「エア・バスター・ランチャー」とでも言った方が良いのかな、とにかく迫力の外観で、全長はだいたい40センチくらいはあるのかな、そこに詰めたBB弾なんてチンケな弾なんかじゃなく、ちゃんと弾丸部分があって薬莢部分も造形されたマグナム弾よりも巨大な弾を使用。銃身ってゆーよりも砲身と言った方が相応しい大口径から発射すると勢いよく弾丸が飛び出して、狙った獲物を倒すとゆーからなかなかに恐ろしい。ただ不思議なことに本体のどこにも引き金がついておらず、代わりに筒状になった本体の中に仕込まれたスライドを後ろへと引っ張り、それを前へと押し出して弾丸との間に出来た空間の空気を圧搾して、弾丸を飛ばす仕掛けになっているのが普通のエアガンと違う点、これはちょっと新しい……わきゃないね、そりゃただの「空気鉄砲」だ。

jbustor  ご明察。本来だったら竹で作る空気鉄砲をプラスティックで作ったのがタカラの「Jバスター」。モールドなんかをしっかり付けて見栄えを格好良くした上に、銃身の中にもライフリングを切って弾がちゃんと真っ直ぐ飛ぶよーにしてある点がなかなかの工夫、弾丸はスポンジで当たったくらいじゃ痛くないけど、結構な勢いで飛んでいくから3メートルくらい離れた場所に立てた缶なら当たればカコンと飛ばすことが出来る。単発式なのが残念だけど夏だかには連射用のマガジンも発売されるとか。エアガンではちょっとマジになりすぎるサバゲーを、これでやったらほのぼのとして面白いかも、ってことで次の「ノットデジタル」は「Jバスター」にとりあえず決定、明日は公園で練習だ。

 再開なった「Jリーグ」の「名古屋グランパスエイトvs鹿島アントラーズ戦」をテレビで見る、駄目だこりゃ、後ろ向きにボールを貰って前を向いて見つけた人にボールを蹴り渡すとゆー繰り返しだけで前へとボールを運ぼうしていて、オーバーラップしたりボジションチェンジして相手ディフェンスを引き離しながらボールをもらって渡すってなダイナミックさが全然見えず、左から行くにしても右から行くにしても攻め手がだいたい同じで適当に行ったら切り返してセンタリングして網にかかってポン、そこから3人くらいでポポンとつないだ鹿島アントラーズにやられてしまった。「EURO2000」で本場の最先端のサッカーを見ている人はその遅さが如実に分かっただろーなー。前半も出だしでつまづきずるずる負け続けた名古屋、後期もちょっとキツそー、でもピクシーに早く帰って来と言うのは「EURO2000」に負けろってことだしなー、とにかく踏ん張ってせめて10位以内を目指してくれい。


【6月23日】 秋葉原の「ダイナミックオーディオ」に山と積まれた「聖戦士ダンバイン DVD−BOX1」から1箱をゲット、丸善に留め置いてあった「佐藤春夫全集」11冊分は日曜日に引き取り済みで懸案だった「日本SF大会」の申し込みもとりあえず済ませて夏のボーナスに予定していた買い物類はこれでほぼ完了、7月には「伝説巨神イデオン DVD−BOX」も出るけれど「イデオン」へのあんまり愛はないから買うかどーかは現在保留、といっても8月には「ダンバインBOX2」が控えてるしコミケにワンフェスにキャラクターショーと夏のオタク系イベントも目白押しなんで、今のところはプラスになっている銀行預金の残高も、遠からず恒常的なマイナス状況へと陥ることは目に見えている(マイナスに出来るだけマシって声も)、いやその前にユーゴスラビアが決勝トーナメントに進んだ「EURO2000」を見るためにWOWOWへと加入するのが先か、引っ越しは10年後だな。

 もらったDVDのリリース予定を見るとあれもDVDこれもDVDとDVDがもはや映像ソフトのデファクトになりつつあることがよく分かる、バンダイビジュアルとかにどーしれDVDで出さないんだと言ってた時から約3年、世の中変われば変わるもんだ。「空飛ぶモンディ・パイソン」のコレクターズBOXはちょっと欲しい気があるけど38000円じゃーなー、ちと辛い。7月26日の「ジオブリーダーズ2 魍魎遊撃隊File−XX act1」は初回限定BOXって全巻プラス前のDVDも入る箱付きって奴ですかぁ、買わなきゃ。懸案の劇場公開未完成版入り「癌ドレス」は予定表だと9月22日が発売とか、限定3000枚って日本に3000人も買う人間がいるのかなぁ、いるだろーなぁ、無限ナルトを再びこの目に。7月25日のビームエンタテインメント「ソリトンの悪魔」(アニメ)って何?

 浜松町へと流れて東京流通センターで開催中のコスギの社内販売会の行列に……は並ばずに奥で開催中だったセガ・エンタープライゼスのアミューズメント機器の展示会をのぞく。そんなに広くない会場にちょぼちょぼと並べられた業務用機器の新作群は、見栄えも数もかつての「セガのAMは世界いちぃ」だった時代に比べるといささか派手さに欠けてる気もしたけれど、地味でもそこは流石にセガ、ツボを押さえた作品でもって客足の遠のくゲームセンターに新たな話題を作って盛り上げようってな意識が見えて頑張りへの期待が湧いてくる、だって今この時期に出すんですぜ「全日本プロレス」のゲームを。川田と渕が2人で延々と闘い続けてレフリーは元子ちゃんってなゲームを魂からの全日本プロレスファンがどうしてやらずにおかれましょう、って全然違う一応はちゃんと選手もそろって外国人レスラーの顔も見えてはいるから今のところはちゃんと「馬場さんの全日本」を楽しめます。

 しかし前にAMショーだか見た第一弾はジャイアント馬場が死去した直後の発表だったし、セガのプロレスゲームはよくよく巡り合わせが悪いって言うか良すぎるって言うか。会場であと目についたのは、「ドリームキャスト」用で話題の「東京バス案内」を大型ボディに組み込んだドライブゲームってところでしょーか、聞くとアメリカで受けてる割には日本だといまいちらしーコンボイトラックのゲームのボディを塗り替え運転席を改造した奴らしく、なるほど見れば確かにそんな感じを受ける、値段もあんまり高くはないし。トラックではナムコが冠二郎を音楽に迎えたデコトラのゲームをこの夏に投入の予定で、バスとデコトラ、見かけは似てるけどスピリットは正反対な2種類の大型免許不必要ゲームがゲームセンターに並んで覇権を争う光景が見られそう。

 帯の猫が「漫画嫌い」とフキダシを伸ばして喋ってるシンプルでスタイリッシュな装丁の本を見かけて早速購入、最近はNHK午後の顔になっているらしーけど仕事があって見たことがない枡野浩一さんが朝日新聞とかに連載していた漫画評を集めた本だけど、特殊歌人の独特な言い回しから付いたっぽい「漫画嫌い」なんてタイトルを、実に巧妙に処理したデザインで感嘆する。担当は収録されている本をモチーフにした写真も撮影した八二一(はにはじめ)さん、ラストに写真も入ってて見ると男女のユニットだってことが判明、表山道のギャラリーで見た人たちだぁ、撮影場所も表山道のギャラリーに上がる階段みたい。カバーをはずしても綺麗な写真があって下に「821」って数字が振ってあると何だか「326」を思い出す。

 収録してある作家作品は西原理恵子さん佐藤史生さん小池田マヤさん大島弓子さんあたりが僕の読んできた作家さんと重なってはいるけれど、安野モヨコさん安彦麻理恵さん小野塚カホリさん南Q太さんやまだないとさんおかざき真里さんといった、キューティってな言葉がふと浮かぶ、女の子の日常をあからさまに描いた作品が多いような印象を受けた作家さんたちについては、内田春菊岡崎京子近藤ようこさべあのま多田由美ってな人たちがバタバタとデビューして来た時代にリアルタイムで四出て感じた若干の食傷気分が影響してか、意識的に避けてる感じが自分にあって、作品を知った上で枡野さんがどんな感想を持ったのかを自分の感想と比較させることが出来ず、ちょっと悩む。とは言っても、今の漫画シーンの先端をこーゆー人たちが作っているのは紛れもない事実なんで、おさえておかないのは将来振り返ると残念に感じるだろーから、この機会に集中的に読んでみよーか。


【6月22日】 朝刊とかの広告で「山本周五郎賞受賞」ってな文句のバックに勇ましくも手に猟銃を持ってスリットの入ったスカートからのぞく足の片方をひょいと上げた先にはピンヒールとゆー、艶っぽいのかヤバいのか分からない女性の写真が掲載されてたんで、まじまじと見るとをを彼女こそは先の「山周賞」を「ぼっけえ、きょうてえ」で授賞した岩井志麻子さんではありませんか。これはあるいはグラビアなんかで披露している格好なのかと早速本屋へと出向いて「小説新潮」の7月号を立ち読むと、実はピンヒールの下には半裸の男性がうつ伏せに横たわっていたことが判明、いささかの小太り具合は不摂生な編集者かあるいは作家か関係者か誰かってな疑問も浮かんだけれど、授賞の喜びをこーした格好で現してしまうご本人に現させてしまう「小説新潮」の英断を、今はただただ喜びたい。どうせだったらボンデージにすれば良かったのにぃ。

 とはいえ苦節があったかないから本人じゃないから知らないけれど、やっぱり苦労もあったのか受賞が決まった瞬間に受けた電話を耳に当てて、涙ぐんでいたのは大森望さんの日記にある当日の写真なんかでも明かになっていて、「小説新潮」にはその時の模様が、机に並べられたミノハツハサミシロタンカルビだかな焼き肉の皿の向こうにくっきりと写った写真が掲載されている。嬉しかったんでしょうねえ。しかしそんな涙ぐんでいる岩井さんを机挟んだ手前からデジカメで狙う謎の男性もバッチリ写っていて、なるほどワルモノ容赦がないってことを「小説新潮」の平均年齢おそらくは60越えてんじゃないかってな読者に見せつけてくれています。「若い婦女子を虐める奴メ」ってな投書が平均年齢75歳の投書欄を来月なり再来月には飾ることでしょう。

 表紙のイラストの迫力につられて芦原すなおさんの「ハート・オブ・スティール」(小学館、1500円)を購入、冒頭の探偵な女性と依頼人のやりとりが最高におかしくって読んでないけど中身への期待がちょっと募る。無神経なのが自信家なのか依頼人に対して傍若無人に振る舞う様は、例えば「いや、ある方の指示を受けて連絡をとっているものです」との言葉に「要するにお使いですね」と言ってみたり、「よろしければこれからお迎えに上がります」と言えば「よろしくなければ?」、「ご自宅の方に車でご案内したいと思いますが」と言えば「知らない人についていっちゃだめと母から言われてますから」と、ギャグにも見える会話が続く。けれどもこれが、形式を表出して見せておかしみを誘う手段でも、言葉遊びでもなさそーなのが読んでいる側に腰の座らない感じを与えてくれて不思議な気分になる。まあ問題は本編がちゃんと面白いか、読めるかなんで感想はそれから。ラストの短編のラストも妙な雰囲気があって、とにかく一筋縄ではいかなそー。

 松本零士氏推薦、ってあたりが果たしてどれだけの購買意欲を誘うか微妙なところだけど、それはおいても夢野れいさんの描いたロボットだけになってしまった世界を描いたマンガ「GENERAL MACHINE ある星の未来」(B.S.P、1500円)はほのぼのとしたタッチの、けれどもフルデジタルで描かれているらしー絵柄が目に優しく、お話し自体も例えば「銃夢」のよーな暴力が支配する雑然とした未来都市とは正反対を行くよーな、礼節正しいロボットたちが暮らす礼節正しい未来都市が舞台になっていて、落ちついた気持ちにさせてくれるけど、礼節にしても愛情にしても見せているのがすべて人間に作られたロボットたちの子孫って当たりに、かえって人間の世界が持っている喧噪、情熱、パワーが浮かび上がって複雑な気分になる。

 記憶が消去された段階で迎える「死」の概念、そして失われた記憶のけいしょうが不可能になっている設定は、ロボットなのにどーしてとゆー気にもなるけれど、そういった人間とロボットの違いを明らかにして人間にとって「死」が持つ意味を考えさせるよりも、寓話として人間とは違う存在であるにも関わらず、ロボットが必死になって人間の軌跡をなぞろうとする様から人間の至らなさ、やるせなさを浮かび上がらせようとしてるんだと思えば、こーゆー甘く酸っぱい話でも納得できる。巻末のサハラ砂漠で生まれた砂漠怪獣の末路を見せたマンガも最高、確かにそーだよなー、駱駝怪獣じゃないんだからやっぱ砂漠はムリだよなー。

7dream  突然の案内にセブン−イレブン・ジャパンへと出向く。セブンイレブンがソニーとかNECとかJTBとか三井物産ってな企業と組んで設立した電子商取引の会社「セブンドリーム・ドットコム」が7月1日から本格的にインターネットでのショッピングサービスを提供することになったらしく、だったらどんな商品を売るのかってなことを発表する会で、当然ながらも出資していてサイト作りでも中心になっているキノトロープから生田昌弘社長も出席の予定。ちょい前に富ヶ谷の本社でインタビューしたけれど、前は行けなかった最初の発表会に続いての大企業と肩を並べる姿を、是非ともこの目で見ておかなくっちゃと思っていそいそと駆け付ける。

 と、見つけた名札にある肩書きが「セブンドリーム・ドットコム取締役副社長」になっていたんで吃驚仰天、代々木上原に立ち上がった「町場のWEB屋」の職人社長が、世界に冠たるコンビニエンスストアの雄やら総合商社やら旅行会社やらIT企業の出資する戦略的新会社の「副社長」になるってのは、目立って巧妙に立ち回って株式を公開して稼いでオサラバな企業への懸念が巷間言われている中にあって、地に足をつけたままでの大成長って意味で相当に凄いことのよーに思う、本人がそう思っているかいないかは別にして。前の大々的な発表の時は居並ぶ大企業のトップに挟まって謎な坊主だった人も、かくも立派な肩書きがついてしまった以上は「恥ずかしい」なんて言ってメディアへの登場を避けることは難しいかも。とは言え襟足の長い髪をオールバックにしたNECインターチャネルの黒川社長と並んで坊主な生田さんはやっぱりビジュアル的に衝撃度高いからなー、マジメなジャーナリストからは胡散臭がられても仕方ないかもなー、居並ぶ人たちの中でこの2人とだけ知り合いって自分のなおいっそうの胡散臭さは脇に置くとして。


【6月21日】 「モーニング娘。」のDVDを見る日々が続く、何とかよーやくにして「恋いのダンスサイト」くらいまでのメンバーだったら見分けが付くよーになった気がしてはいるけれど、人数が増えた上に化粧して髪型服装が同じな「ハッピーサマーウェディング」だけはまったくもって誰が誰やら分かりません、武道館に行くよーなファンはそれでもちゃんと見分けがついてるんだろーか。ってな訳で突発的に思いついた「やってTRY!」風あるいは「これができたら100万円」的おやじ嘲笑企画「これ誰モーニング娘。」パフパフ(喇叭)。

 とりあえずはベストが入ったDVDに限定してあらゆるシーンを瞬間見せて映っているのを当てさせるクイズで連続100回は全イベント制覇&全「ASAYAN」録画保存な人なら感嘆だろーけど普通の人は難しいんでせいぜいが10回にしあ時に、42歳厄年妻夏江長男健太くらいなおじさんは果たして1週間で全問正解にたどり着けるか否か。あるいは10歳の坊やと同じ条件で競い合って勝てるかどうか。あたしゃ全然自信がないなあ、ほんと分からん「ハッピーサマーウェディング」飯田以外。

 まさしく42歳厄年妻夏江長男健太伝書鳩プッチー盲犬ペスが家族、と自称する鳥肌実さんの野外演説会「人間爆弾 鳥肌実」が7月21日に日比谷野外音楽堂で開催されるってんで予約を入れて郵便振り替えでお金を送る。4月の日本青年館から伸びて公園をグルリと囲んだ行列の凄さを目の当たりにした上に、最近の急激なメディアへの露出ぶりすさまじく、例えば「サイゾー」には広告なのかコラムなのか不明なんだけどいつの間にやら鳥肌さんのコーナーが出来ているし、最新号の「クイックジャパン」のキレまくったインタビューはなるほど「らしさ」がのぞいて凄みは十分。まさに「演説のシーズン」を迎えている今週あたりはあちらこちらに出没しては魂の、けれども選挙とは無縁どころか迷惑に思う人がいるかもしれない演説芸を披露してくれそーで、なおいっそうの話題が集まりそーな気がする。

 そんな旬にある鳥肌さんをナマで見られる貴重な機会、前回にも増して一層の混雑が予想されて「チケットぴあ」もおそらくは15分でソールドアウトしたんじゃないか、なんて想像もしてしまったけど、そっちは電話かけてないんで状況は不明、ネットでの予約の方はとりあえず「ことり事務所」からメールが届いて金が振り込まれればチケットは送ると書いてあったんで、多分とれてはいるでしょー。野外なんだけど雨天決行のイベントで、「日本青年館」のよーなスライドを使った演目はちょっと想像ができないから、持ち味の演説を通して聞かせてくれるんだろーか。とにかく期待の7月21日、日本男児よ大和撫子よ、駆けつけ友に散華せよ。

 どーして「ことり事務所」とゆーのか伝書鳩を飼っているからなのか鳥の調教師(自称)だからなのかは想像の域を越えてないけれど、こっちは本当に鳥の飼育に明け暮れている漫画家の今市子さんが、文鳥との日々を綴ったエッセイ漫画「文鳥様と私」(あおば出版、650円)が出てたんで、別に愛鳥家じゃないけれど今さんのファンなんで買ってしまう。しかし不思議だあおば出版、出している本は「インコ倶楽部」に「インコと遊ぼう」に「インコ行進曲」ってな鳥コミックを集めたアンソロジーで、ピンでもさくらまこさんって人の「小鳥のお医者さん」だったり桐島いつみさんの「ももちゃん」(何の漫画かは不明、ピンクの熊じゃなさそー)とか動物モノばかり。こーゆーとてつもなく狭い世界で結構な厚みの出版文化が育っている状況は何とも興味深い。狭くても深ければ商売になるってことなのかな。

 マガジンハウスから再刊なった岡野玲子さんの「コーリング」全3巻を買う。前にどこから出たのかは覚えてないけれど、確か最初のバージョンが橋本一子さんの音楽が入ったCD付きだったよーな記憶があって、ちょうど金回りの悪い時期だったんで放っておいたらみかけなくなって残念だなあ、と思っていたら今回の再刊。終末にかけてじっくりと読み込もう。岡野さんと言えば「KAWADE夢ムック」の陰陽師特集号に夢枕獏さんとの対談が載っていて、中にNHK・BSが「マンガ夜話」だかで「陰陽師」を厚かった回だかに萩尾望都さんがゲストに来ていて、いしかわじゅんさんが岡野さんが描く顔は2種類しかないと言ったら「あなた、眼鏡を拭いてらっしゃい」と言ったとかどうとか。どんな顔したんだろーいしかわさん、見たかったなあ。


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