未読の本棚


本棚の整理をした。

 でてくるわでてくるわ、読みかけの本。まだ読み始めてもいない本。
 もちろん自分の財布の中身と交換した本だから、読む、という意志はあったし、いまだってある。でも、こんなにたまっちゃうと「ほんとに読むんかいな」って思っちゃうのもほんとのこと。
 持ち運びに不便、って理由だけじゃないと思うけど、ハードカバーに読んでない本が多いね。もってるだけで安心しちゃうのかな。

 途中まで読んで、中断した本をまた読み始めるって、結構大変だよね。もちろんつまらなくって投げ出した、っていうのは別にして。おもしろくて、続きが楽しみなんだけど、あしたセミナーだとか、F1観なくちゃ、とかで途中で置き去りにされた本。
 導入部を読んで、おはなしがやっと動き始めたところで中断してしまった本。
 続きを読み出す前に、自分の頭の中では勝手にどんどん登場人物が成長していって、あることないこと行動していって。
 いざ、また読み出したときに、自分で考えた続きのおはなしよりも、もし、おもしろくなかったら、なんかほんとに損した気分になるよね。
 まぁ、そういうことはめったにないから、別にいいのだけれども。

 よく、ある人を知るには、その人の本棚を見せてもらうのがいい、っていう人がいるよね。たしかに、その人が読んできた本って、きっといまのその人のどっかにみんな現れてるから、本棚を見せてもらえば、手っ取り早くその人のこと分かった気になるんだろうなあ。
 でも、本棚にあって、まだ読んでない本のリストを見せてもらうっていうのも、なかなか楽しい気がするよね。読もうとする意志と、これだけは読まなきゃ、っていう見栄と、でもだんだん後回しになっていく正直と。
 その方が、きっと生身のその人、それからその本を読んだあとの、未来のその人を予想するのに役にたつと思うなあ。
 えっ、ぼくの本棚の中身を知りたいって?
 しょうがないなあ。じゃあ、まだ読んでない本だけ、教えてあげる

 

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