種としての人類を総体として描ける唯一のジャンル。
サイエンスフィクションを指してそういった人がいる。
つまりそれは、寓話としてではなく、象徴としてのストーリーを描ける、ということ。
もっといえば、例をひとつだけ出してだから人間はダメなんだ、っていってしまえること。
そうだね。
たしかに人間は悪いことをしたよ。森を切り倒し、獣に銃を向けて、神さえも殺そうとした。
ひどいことだよね。
自分たちが豊かに暮らしたいために、大昔から一緒に住んでいた、畏れ敬っていた隣人たちのことなんか、なんにも考えなくなっちゃうんだもんね。
それは、ひどいことだよ。うん、とってもひどい。
ほんとに「にんげん」って、ひどいよね。
でもさ。
サンは、最後まで神様の味方だったよね。
アシタカは、命がけでサンを守ろうとした。神様を、森を守ろうとした。
エボシ様は、苦しい過去を背負って、自分と仲間を豊かにしようとしたんだ。
トキやゴンザは、生きるのに必死だっただけなんだ。
みんないい人たちだよね。呪いのかかったアシタカを、村で見捨てられたアシタカを、そういうことを気にせず受け入れてくれて。
でも、「にんげん」って、ひどいやつだよね。
でも、ひどいのは、「だれ」なんだろうね。
みんないい人たちなのに。
でもやっぱり、シシ神様は死んじゃって、くらくてこわいお山は、明るくて健康的なやまになっちゃったんだよね。
「人間」はひどいやつだけど、「誰」が悪いのかな。
「アシタカは好きだけど、人間は許せない」ってことかな。
who's bad ?