この作品が、最高傑作と呼ばれることについて、
あなたはどうお考えですか?
もしかしたら、この作品は一般的には、傑作と呼ばれてはいないかもしれません。もしかしたら、家で、プレーヤーにのることの少ない作品なのかもしれません。
でも、ぼくのなかでは、これは、あなた方の最高傑作であり、そして、ぼくにとって、あなた方ミスターチルドレンの、はじめてのアルバムでした。
それ以前にも、もちろん、あなた方の作品は、耳にしていました。テレビで、街で。ただ、それらは、ぼくにとっては、数あるポップソングのひとつであり、ことさらに興味深いものではありませんでした。
そんなぼくが、このアルバムを手に取ったのは、ただジャケットがいい、という理由からでした。
なんの先入観も、いや、もしかしたら悪感情さえ抱いていたかもしれないわたしが、この作品をきいてはじめに感じたのは、
「なんだこれ」
でした。こんな重く苦しい作品が、日本一作品を売るバンドの音なのか。ほんとにみんな、この音にあこがれてこの作品をきくのか。
それからしばらく、この作品は棚のなかで眠り続けました。
その後、車のチェンジャーに入れ、何度か繰り返しこの作品をきくにつけ、その印象は大きく変わっていきました。
「すごい」
最終的にはこの一言につきます。
心身を創作に打ち込んだ者だけが、ごく稀に創りあげることのできる奇跡のような作品。村上龍の映画、「KYOKO」とおなじ輝きを持つ作品。
はじめてのあなた方の作品が、「深海」であったことを、わたしはだれに感謝すればいいのでしょうか。