セナの、背中


 

 ここ何年かのレギュレーションの迷走でね、ほとんど見ることはなくなっちゃったF1。僕の好きなシューマッハが勝てなくなっちゃった、っていうのが大きい理由なんだけれどもね。
 
 そのシューマッハが、イモラで行われているサンマリノGPでポールポジションを取って、セナの持つ最多ポールポジションの記録を抜いたらしい。
 イモラか。
 まだ覚えてるよ。94年の5月1日。イモラに散ったセナと、交代するように台頭したシューマッハ。あれがセナの最後のppだったのかな?
 
 あれから12年。シューマッハはセナや、他の人が持ついろんな記録を悉く塗り替えまくった。勝利数を追い抜かしたときのインタビュー。言葉に詰まって、涙を見せたシューマッハ。最大のライバルになるはずが、急にいなくなってしまったセナの、見えない背中を追いかける辛いレースを続けてきたシューマッハ。
 レギュレーションとブリジストンタイヤのせいで、いつの間にか追われる立場から転げ落ちたシューマッハ。
 多分今回のこの記録で、追いかけるべきセナの背中は無くなっちゃったんだよね。
 そんな大記録を、チャンプ争いから遠い位置で達成したシューマッハ。しかも、エンジンとタイヤとガソリンの交換制限によって、ppの意味はこれまでと比べものにならないくらい軽くなって。
 
 もういいんだよ、休んでも。っていってあげたい気持ちもいっぱいあるんだけれども。
 でもあえて、まだやめないでね。あの憎たらしい満面の笑みを、シーズンの最後にもう一度見せてくれるまでは。

2006年4月23日

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