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●「こんな夜更けにバナナかよ−筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち−」● |
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2013年07月
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凄い本だな、と思いました。最初から最後まで圧倒され続けたというノンフィクション。 進行性筋ジストロフィー、全身の筋肉が徐々に衰えていく難病。鹿野靖明40歳は、小6で病気宣告を受け、18歳の時に車椅子、1年前にはもはや動くのは両手の指が少しだけ、という状況。そんな鹿野と彼の生活を支えたボランティアたちを描いた渾身のルポタージュ。 簡単に言えばそんな一文で終わってしまうことですが、そこに至るまでの過程、鹿野本人とその現場が、凄い。 その鹿野とボランティアたちの関係は、私が想像していたものとは全く違うものだった。障害者=弱者というのが普通の認識だと思うのですが、鹿野邸ではむしろ鹿野が強者でさえある。次々繰り出される、もうワガママとさえ感じる程の鹿野の要求、そこにボランティアと共に生きていくという鹿野の壮絶な覚悟があります。一方、多くのボランティアたちは鹿野に人間として育てられているという感謝の念さえ抱いている。 全 460頁余。本書を読むことは貴重な体験を得ることでもあります。読むべしという一冊。 今夜もシカノは眠れない/ワガママなのも私の生き方/介助する学生たち/私の障害、私の利害/鎖につながれた犬じゃない/人工呼吸器はわれなり/介助する女性たち/夜明け前の介助/燃え尽きたあとに残るもの |