ハギィギィ志雅子著作のページ


1942年青森県北津軽郡金木町生、法政大学文学部英文科卒。卒業と同時にイランに渡り、約20年ラシュト市に居住。その間、東芝現地工場等勤務。84年夫と子供3人と共に日本へ帰国。

 


 

●「カスピ海の空はむらさき色」● ★☆

 

1987年02月
日本放送出版
協会刊

 

 

2000/09/02

若くしてイラン人と結婚し、イランに渡って約20年間、カスピ海ほとりのラシュトに暮らしたという、志雅子さんがイランについて語る一冊。
最初は ふ〜ん という気持ちで読み始めたのですが、徐々にこの本の魅力が胸の内に入り込んできました。この本の良さは、まず“普通”であるということでしょう。イランでの日常生活が、ありのまま、身辺雑記として綴られています。
イラン、イスラムというと砂漠の中というイメージがどうしてもつきまとうのですが、ラシュトという町は降水量が多く、気温は快適、緑も多く海にも近いという、とても住み心地の良い所とか。是非一度訪れてみたいと思うような町のようです。
それ以上に魅力があるのは、姑であるママン(母親の意味)、ハギィギィ家の女中アイッヤさん、そして「思い出の人びと」に中に登場する人達。“計算づく”という言葉から全くかけ離れたようなイランの人達の暮らし振りに、気持ち良さを感じます。
また、面白いのは、バンドエンダーズと呼ばれる、糸を操って毛を抜く職業の女性達。顔の毛を抜かれる痛さを志雅子さんが耐えかねている部分には、思わず笑みがこぼれてしまいます。
なお、ハギィギィ一家がイランを出たのは、イスラム革命→イラン・イラク戦争が理由だったそうです。さぞ残念だったことでしょう。
普段着の感覚で味わえる快さが、本書の魅力です。

カスピ海のほとりへ/革命と戦争の間で/ラシュトでの日々/イランの町をゆく/思い出の人びと/革命のあとで考えたこと

 

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